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特開2024-393703次元座標取得方法および3次元座標取得装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039370
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】3次元座標取得方法および3次元座標取得装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20240314BHJP
   G01C 11/04 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
G01C15/00 102Z
G01C11/04
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143877
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 喜義
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 卓弥
(57)【要約】
【課題】「モノ」の設置位置の3次元座標を取得できる3次元座標取得方法および3次元座標取得装置を提供すること。
【解決手段】実施形態の3次元座標取得方法は、「モノ」の設置位置の3次元座標を取得する3次元座標取得装置が実行する3次元座標取得方法であって、「モノ」には、「モノ」の識別情報が表現された画像コードが表された印刷コードが貼付されている。3次元座標取得装置は、3次元座標取得装置の3次元座標を取得し、「モノ」に貼付されている印刷コードに表された画像コードを読み取り、「モノ」と3次元座標取得装置との間の距離、「モノ」と3次元座標取得装置とを結ぶ線の水平線に対する傾きを表す仰角および「モノ」と3次元座標取得装置とを結ぶ線が指し示す方角を計測し、3次元座標取得装置の3次元座標と、距離、仰角および前記方角とに基づいて、「モノ」の3次元座標を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
「モノ」の設置位置の3次元座標を取得する3次元座標取得装置が実行する3次元座標取得方法であって、
前記「モノ」には、前記「モノ」の識別情報が表現された画像コードが表された印刷コードが貼付されており、
前記3次元座標取得装置は、
前記3次元座標取得装置の3次元座標を取得し、
前記「モノ」に貼付されている前記印刷コードに表された前記画像コードを読み取り、
前記「モノ」と前記3次元座標取得装置との間の距離、前記「モノ」と前記3次元座標取得装置とを結ぶ線の水平線に対する傾きを表す仰角および前記「モノ」と前記3次元座標取得装置とを結ぶ線が指し示す方角を計測し、
前記3次元座標取得装置の前記3次元座標と、前記距離、前記仰角および前記方角とに基づいて、前記「モノ」の3次元座標を算出する、3次元座標取得方法。
【請求項2】
前記3次元座標取得装置は、
前記「モノ」の前記3次元座標と前記画像コードを読み取ることで取得した前記「モノ」の識別情報とを関連付けて記憶部に記憶し、
前記3次元座標取得装置の3次元座標を取得できない場合に、前記画像コードを読み取ることで取得した前記「モノ」の前記識別情報が前記記憶部に記憶されている場合には、前記「モノ」の前記識別情報に関連付けられている前記「モノ」の前記3次元座標を取得し、
取得した前記「モノ」の前記3次元座標から前記3次元座標取得装置の3次元座標を取得する、請求項1に記載の3次元座標取得方法。
【請求項3】
前記「モノ」の前記識別情報に関連付けられている前記「モノ」の3次元座標を取得したときと、前記距離、前記仰角および前記方角とを計測したときとの間での前記3次元座標取得装置の位置の変化を計測し、
計測した前記3次元座標取得装置の位置の前記変化に基づいて、前記「モノ」の前記3次元座標から取得した前記3次元座標取得装置の3次元座標を補正する、請求項2に記載の3次元座標取得方法。
【請求項4】
前記3次元座標取得装置の3次元座標を取得できる箇所から、前記3次元座標取得装置の3次元座標を取得できない箇所に向けて測定する、請求項2又は請求項3に記載の3次元座標取得方法。
【請求項5】
「モノ」の設置位置の3次元座標を取得する3次元座標取得装置であって、
前記「モノ」には、前記「モノ」の識別情報が表現された画像コードが表された印刷コードが貼付されており、
前記3次元座標取得装置は、
前記3次元座標取得装置の3次元座標を取得する測位部と、
前記「モノ」と前記3次元座標取得装置との間の距離、前記「モノ」と前記3次元座標取得装置とを結ぶ線の水平線に対する傾きを表す仰角および前記「モノ」と前記3次元座標取得装置とを結ぶ線が指し示す方角を計測する計測部と、
前記測位部が取得した前記3次元座標取得装置の前記3次元座標と、前記計測部が計測した前記距離、前記仰角および前記方角とに基づいて、前記「モノ」の3次元座標を算出する算出部と
を備え、
前記計測部は、前記「モノ」に貼付されている前記印刷コードに表された前記画像コードを読み取る、3次元座標取得装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、3次元座標取得方法および3次元座標取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation, DX)が進展し、社会には多種多様な情報システム(以下、単にシステムという)が構築されている。従来、個々のシステムは独自に構築され、一部を除き互いに連携を取りながら動作する形態は少なかった。それらの多種多様のシステムは俯瞰的にみると、互いに意味的な関係性を持つものが多くあり、相互に連携しながら動作させることにより新たな価値を生み出すことや、重複した機能の整理統合等によって、社会全体としての効率化を進められる可能性がある。
【0003】
ところが現状は、各システム間の連携は大きくは進んでいない。それは、異システム間で連携しながら動作させるために必要な機能を持った「共通の言語」が十分には確立していなかったためであると考えられる。例えば、「モノ」の設置位置の3次元座標値を、「モノ」の識別子として用いることが検討されている。
【0004】
物体の位置を検索する技術に関して、製品がいつどこに置かれていたかを覚えているがその製品名を正確に思い出せない場合であっても位置情報を取得できる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術は、GPS(Global Positioning System)を内蔵したレーザーポインタを用いてレーザーの照射されたものの座標を取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-38746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、「モノ」の設置位置の3次元座標を取得できる3次元座標取得方法および3次元座標取得装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の3次元座標取得方法は、「モノ」の設置位置の3次元座標を取得する3次元座標取得装置が実行する3次元座標取得方法であって、前記「モノ」には、前記「モノ」の識別情報が表現された画像コードが表された印刷コードが貼付されている。前記3次元座標取得装置は、前記3次元座標取得装置の3次元座標を取得し、前記「モノ」に貼付されている前記印刷コードに表された前記画像コードを読み取り、前記「モノ」と前記3次元座標取得装置との間の距離、前記「モノ」と前記3次元座標取得装置とを結ぶ線の水平線に対する傾きを表す仰角および前記「モノ」と前記3次元座標取得装置とを結ぶ線が指し示す方角を計測し、前記3次元座標取得装置の前記3次元座標と、前記距離、前記仰角および前記方角とに基づいて、前記「モノ」の3次元座標を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の3次元座標取得装置100の一例を示す図。
図2】計測データ保存部の一例を示す図。
図3】本実施形態の3次元座標取得装置100の動作の一例を示す図。
図4】本実施形態の3次元座標取得装置100の動作の一例を示すフロー図。
図5】計測データ保存部の一例を示す図。
図6】本実施形態の3次元座標取得装置100の動作の一例を示すフロー図。
図7】計測データ保存部の一例を示す図。
図8】本実施形態の3次元座標取得装置100の動作の一例を示すフロー図。
図9】計測データ保存部の一例を示す図。
図10】本実施形態の3次元座標取得装置100の動作の一例を示すフロー図。
図11】実施形態の変形例1の3次元座標取得装置100aを示す図。
図12】実施形態の変形例1の3次元座標取得装置100aの動作を示す図。
図13】実施形態の変形例1の3次元座標取得装置100aの動作の一例を示すフロー図。
図14】計測データ保存部の一例を示す図。
図15】実施形態の変形例1の3次元座標取得装置100aの動作の一例を示すフロー図。
図16】計測データ保存部の一例を示す図。
図17】計測データ保存部の一例を示す図。
図18】計測データ保存部の一例を示す図。
図19】実施形態の変形例1の3次元座標取得装置100aの動作の一例を示すフロー図。
図20】計測データ保存部の一例を示す図。
図21】実施形態の変形例1の3次元座標取得装置100aの動作の一例を示すフロー図。
図22】計測データ保存部の一例を示す図。
図23】計測データ保存部の一例を示す図。
図24】実施形態の変形例1の3次元座標取得装置100aの動作を示す図。
図25】実施形態の変形例2の3次元座標取得装置100bを示す図。
図26】実施形態の変形例2の3次元座標取得装置100bの動作の一例を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態の3次元座標取得方法および3次元座標取得装置を、図面を参照して説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0010】
本実施形態では、複数システムの各々が連携しながら動作するために、各システムで扱う個々の「モノ」がその設置位置を変化させない場合において、「モノ」が設置された位置の3次元座標を「モノ」の識別子として使用する場合について説明する。つまり、各システムで扱う個々の「モノ」がその設置位置を変化させない場合においては、個々の「モノ」は、設置された位置の3次元座標データを「モノ」の識別子として取り扱うことができる。この場合、3次元座標データを有していない「モノ」に対して、新たに3次元座標データを付与する。システムの一例では、「モノ」の設置位置は固定されている。「モノ」自体の識別情報は画像コードで表現され、画像コードの印刷物(以下「印刷コード」という)が「モノ」に貼付される。画像コードの一例は、バーコードなどの一次元コード、QRコード(登録商標)などの二次元コード、あるいは、シリアル番号の文字列を印刷したものである。
【0011】
実施形態の3次元座標取得装置100について説明する。図1は、本実施形態の3次元座標取得装置100の一例を示す図である。3次元座標取得装置100は、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。3次元座標取得装置100は、システムで扱う個々の「モノ」が設置された位置の3次元座標を取得する。以下、「モノ」の設置位置を測定点、3次元座標取得装置100の位置を計測点と呼ぶ場合がある。3次元座標取得装置100は、測位部101、計測部102、算出部103、処理部104、出力部105および記憶部110を備える。
【0012】
測位部101は、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)受信機によって構成され、衛星システムからの信号を受信し、受信した信号に基づいて3次元座標取得装置100の3次元座標(以下「計測点座標」という)を取得する。計測点座標の一例は、緯度、経度、標高で表される。本実施形態では、衛星システムの一例として、GPSを適用した場合について説明を続ける。
【0013】
計測部102は、例えばレーザー距離計によって構成され、「モノ」と3次元座標取得装置100との間の距離(以下「測定点距離」という)、「モノ」と3次元座標取得装置100とを結ぶ線の水平線に対する傾きを表す仰角(以下「測定点仰角」という)および「モノ」と3次元座標取得装置100とを結ぶ線が指し示す方角(以下「測定点方角」という)を計測する。計測部102は、「モノ」に貼付されている印刷コードに表されている画像コードを読み取り、「モノ」自体の識別情報を取得する。
【0014】
記憶部110は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などにより実現される。記憶部110は、計測データ保存部を含む。図2は、計測データ保存部の一例を示す図である。計測データ保存部は、計測日時、計測点座標、計測点種別、印刷コード、測定点方角、測定点仰角、測定点距離、測定点座標および測定点種別を関連付けたテーブル形式の情報である。計測点種別は、計測点を取得した手段を示す情報である。印刷コードには、印刷コードから取得された「モノ」の識別情報が格納される。測定点種別は、測定点を取得した手段を示す情報である。
【0015】
計測データ保存部において、新たに取得された情報は下部に追加される。つまり、図2において、計測点座標「x1,y1,z1」を含む行が最も古いデータであり、計測点座標「x3,y3,z3」を含む行が最も新しいデータである。以下、最も新しい行を最新行と呼ぶ。図1に戻り説明を続ける。
【0016】
算出部103は、測位部101から計測点座標を示す情報を取得し、計測部102から測定点方角を示す情報、測定点仰角を示す情報および測定点距離を示す情報を取得する。算出部103は、取得した計測点座標を示す情報、測定点方角を示す情報、測定点仰角を示す情報および測定点距離を示す情報に基づいて、「モノ」の3次元座標(以下「測定点座標」という)を算出する。
【0017】
処理部104は、測位部101から計測点座標を示す情報および計測点種別を示す情報を取得し、取得した計測点座標を示す情報および計測点種別を示す情報を、計測日時と関連付けて計測データ保存部に記憶させる。処理部104は、計測部102から印刷コードから取得した「モノ」の識別情報、測定点方角を示す情報、測定点仰角を示す情報および測定点距離を示す情報を取得し、取得した「モノ」の識別情報、測定点方角を示す情報、測定点仰角を示す情報および測定点距離を示す情報を、計測日時と関連付けて計測データ保存部に記憶させる。処理部104は、算出部103から測定点座標を示す情報および測定点種別を示す情報を取得し、取得した測定点座標を示す情報および測定点種別を示す情報を、計測日時と関連付けて計測データ保存部に記憶させる。
【0018】
出力部105は、算出部103から印刷コードから取得した「モノ」の識別情報および測定点座標を示す情報を取得する。出力部105は、取得した「モノ」の識別情報および測定点座標を示す情報を出力する。例えば、出力部105は、「モノ」の識別情報および測定点座標を示す情報を音声で出力してもよいし、表示部(図示なし)に表示することによって出力してもよい。
【0019】
測位部101、計測部102、算出部103、処理部104および出力部105の全部または一部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサが記憶部110に格納されたプログラムを実行することにより実現される機能部(以下、ソフトウェア機能部と称する)である。なお、これらの全部または一部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアにより実現されてもよく、ソフトウェア機能部とハードウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0020】
3次元座標取得装置100の動作について説明する。図3は、本実施形態の3次元座標取得装置100の動作の一例を示す図である。図3には、「モノ」の一例として、スマートメーターSMを適用した場合が示されている。
スマートメーターSMには、画像コードICが表された印刷コードが貼付されている。計測点に位置する3次元座標取得装置100において、測位部101は衛星SAからの信号に基づいて計測点座標を取得し、計測部102は測定点距離、測定点仰角および測定点方角を計測する。算出部103は、計測点座標、測定点距離、測定点仰角および測定点方角に基づいて、スマートメーターSMの測定点座標を取得する。
【0021】
図4は、本実施形態の3次元座標取得装置100の動作の一例を示すフロー図である。図4を参照して、3次元座標取得装置100が、計測点座標を取得する処理について説明する。
処理部104は、計測データ保存部の最新行に測定点種別が記憶されているか否かをチェックする(ステップS1-1)。処理部104は、計測データ保存部の最新行に測定種別が記憶されている場合に(ステップS2-1:YES)、計測データ保存部に新たな行を作成する(ステップS3-1)。
【0022】
計測データ保存部の最新行に測定種別が記憶されていない場合又はステップS3-1で計測データ保存部に新たな行が作成された場合に、測位部101は、GPSからの信号を受信し、受信した信号に基づいて計測点座標を取得する。処理部104は現在の時刻を計測する(ステップS4-1)。
【0023】
処理部104は、測位部101によって計測点座標の計測が成功したか否かを判定し(ステップS5-1)、計測が成功した場合に測位部101から計測点座標を示す情報を示す情報を取得する。処理部104は、計測データ保存部の最新行に、計測点座標を示す情報を、現在の時刻と関連付けて記憶させる(ステップS6-1)。処理部104は、計測データ保存部の最新行に、計測種別「GPS」を書き込む(ステップS7-1)。図5は、計測データ保存部の一例を示す図である。計測データ保存部の一例には、最新行に計測日時を示す情報、計測点座標を示す情報、計測点種別を示す情報が記憶されている。図4に戻り説明を続ける。
【0024】
ステップS5-1において、測位部101によって計測点座標の計測が失敗したと判定した場合(ステップS5-1:NO)、処理部104は、計測データ保存部の最新行に、計測不能コードを書き込む(ステップS8-1)。
【0025】
ステップS7-1で計測データ保存部の最新行に計測種別「GPS」を書き込んだ後、又はステップS8-1で計測データ保存部の最新行に、計測不能コードを書き込んだ後、処理部104は、一定時間遅延させ(ステップS9-1)、ステップS1-1へ戻る。以降、ステップS1-1からステップS9-1の処理が繰り返される。
【0026】
図6は、本実施形態の3次元座標取得装置100の動作の一例を示すフロー図である。図6を参照して、3次元座標取得装置100が、測定点座標を取得する処理について説明する。
処理部104は、計測トリガがあるかを判定する(ステップS1-2)。計測トリガの一例は、ユーザーによって「モノ」の設置されている位置の3次元座標を取得するための操作が行われたことである。計測トリガがあると判定した場合に(ステップS1-2:YES)、計測部102は、印刷コードに表された画像コードを読み取り、「モノ」の識別情報を取得する(ステップS2-2)。
【0027】
処理部104は、計測部102から印刷コードから取得された「モノ」の識別情報を取得する。処理部104は、計測データ保存部を検索し、取得した印刷コードから取得した「モノ」の識別情報と同じ識別情報で、且つ測定点座標が得られているかをチェックする(ステップS3-2)。
処理部104は、計測データ保存部に、取得した「モノ」の識別情報と同じ識別情報が無い、又は測定点座標が得られていないと判定した場合(ステップS4-2:YES)、計測データ保存部の最新行に有効な計測点座標を示す情報が記憶されているか否かをチェックする(ステップS5-2)。
【0028】
処理部104が計測データ保存部の最新行に有効な計測点座標を示す情報が記憶されていると判定した場合に(ステップS6-2:YES)、計測部102は、測定点方角、測定点仰角および測定点距離を計測する(ステップS7-2)。処理部104は、計測部102から測定点方角を示す情報、測定点仰角を示す情報および測定点距離を示す情報を取得する。
【0029】
処理部104は、印刷コードから取得された「モノ」の識別情報、測定点方角を示す情報、測定点仰角を示す情報および測定点距離を示す情報を、計測日時と関連付けて計測データ保存部の最新行に記憶させる(ステップS8-2)。図7は、計測データ保存部の一例を示す図である。計測データ保存部の一例には、計測日時を示す情報、計測点座標を示す情報、計測点種別を示す情報に加え、印刷コードに「モノ」の識別情報が記憶され、測定点方角を示す情報、測定点仰角を示す情報および測定点距離を示す情報が記憶されている。図6に戻り説明を続ける。
【0030】
算出部103は、測定点座標算出処理を行う(ステップS9-2)。測定点座標算出処理については後述する。ステップS4-2で「モノ」の識別情報と同じ識別情報があり、且つ測定点座標が得られていると判定した場合、処理部104は、2度目の計測であることを通知するための警告を出力部105に出力させる(ステップS10-2)。ステップS6-2で計測データ保存部の最新行に有効な計測点座標が記憶されていないと判定した場合に、処理部104は、GPSからの信号が未受信であることを通知するための警告を出力部105に出力させる(ステップS11-2)。
【0031】
ステップS9-2で測定点座標算出処理を行った後、ステップS10-2で2度目の計測であることを通知するための警告を出力部105に出力させた後、又はステップS11-2でGPSからの信号が未受信であることを通知するための警告を出力部105に出力させた後、処理部104は、一定時間遅延させ(ステップS12-2)、ステップS1-2へ戻る。以降、ステップS1-2からステップS12-2の処理が繰り返される。
【0032】
図8は、実施形態の3次元座標取得装置100の動作の一例を示すフロー図である。図8を参照して、測定点座標算出処理について説明する。
【0033】
算出部103は、計測データ保存部の最新行から、計測点座標を示す情報、計測点種別を示す情報、測定点方角を示す情報、測定点仰角を示す情報および測定点距離を示す情報を取得する(ステップS1-3)。算出部103は、計測点座標を起点として、測定点方角、測定点仰角、測定点距離を元に、測定点座標を導出する(ステップS2-3)。
【0034】
処理部104は、算出部103から測定点座標を示す情報を取得し、取得した測定点座標を示す情報を、計測日時と関連付けて計測データ保存部の最新行に書き込む(ステップS3-3)。
【0035】
処理部104は、測定点種別「算出値1」を、計測日時と関連付けて計測データ保存部の最新行に書き込む(ステップS4-3)。図9は、計測データ保存部の一例を示す図である。計測データ保存部の一例には、計測日時を示す情報、計測点座標を示す情報、計測点種別を示す情報、印刷コードを示す情報、測定点方角を示す情報、測定点仰角を示す情報および測定点距離を示す情報に加え、測定点座標を示す情報および測定点種別を示す情報が記憶されている。
【0036】
図10は、本実施形態の3次元座標取得装置100の動作の一例を示すフロー図である。図10を参照して、期限切れ処理について説明する。
【0037】
処理部104は、計測データ保存部の最新行に測定点種別を示す情報があるかをチェックする(ステップS1-4)。計測データ保存部の最新行に測定点種別を示す情報がある場合に(ステップS2-4:YES)、処理部104は、計測データ保存部の最新行の計測日時を示す情報を取得する(ステップS3-4)。
【0038】
処理部104は、現在時刻と計測日時との差は規定値以上であるかを判定する(ステップS4-4)。現在時刻と計測日時との差が規定値以上である場合に(ステップS4-4:YES)、処理部104は、計測データ保存部の最新行を削除する(ステップS5-4)。
【0039】
ステップS5-4で計測データ保存部の最新行を削除した後、ステップS2-4で計測データ保存部の最新行に測定点種別がないと判定した場合又はステップS4-4で現在時刻と計測日時との差が規定値未満であると判定した場合、処理部104は、一定時間遅延させ(ステップS6-4)、ステップS1-4へ戻る。以降、ステップS1-4からステップS6-4の処理が繰り返される。
【0040】
前述した実施形態では、計測データ保存部が、3次元座標取得装置100の記憶部110に記憶される場合について説明したが、この例に限られない。例えば、計測データ保存部が、クラウドサーバ(図示なし)に記憶されてもよい。例えば、3次元座標取得装置100は、ネットワークを介してクラウドサーバと接続される。この場合、3次元座標取得装置100は、クラウドサーバと通信することによって、データを計測データ保存部に記憶させ、計測データ保存部からデータを取得する。
【0041】
前述した実施形態では、計測データ保存部の最新行を使用して、測位部101と計測部102とがデータの授受を行う場合について説明したが、この例に限られない。例えば、測位部101と計測部102とがデータの授受を行うためのエリアを用意し、そのエリアでデータの授受を行うようにしてもよい。
【0042】
前述した実施形態において、図4を参照して説明した計測点座標を取得する処理と、図6を参照して説明した測定点座標を取得する処理と、図8を参照して説明した測定点座標算出処理と、図10を参照して説明した期限切れ処理との少なくとも2つの処理が並列して実行されてもよい。
【0043】
本実施形態の3次元座標取得装置100によれば、3次元座標取得装置100は、測位部101と、計測部102と、算出部103とを持つ。測位部101は、3次元座標取得装置の3次元座標を取得する。計測部102は、「モノ」と3次元座標取得装置100との間の距離、「モノ」と3次元座標取得装置100とを結ぶ線の水平線に対する傾きを表す仰角および「モノ」と3次元座標取得装置とを結ぶ線が指し示す方角を計測する。算出部103は、測位部101が取得した3次元座標取得装置100の3次元座標と、計測部102が計測した距離、仰角および方角とに基づいて、「モノ」の3次元座標を算出する。計測部102は、「モノ」に貼付されている画像コードを読み取る。
【0044】
このように構成することによって、3次元座標取得装置100は、3次元座標取得装置100の3次元座標と、計測部102が計測した距離、仰角および方角とに基づいて、「モノ」の3次元座標を算出できるため、システムで扱う個々の「モノ」が設置された位置の3次元座標を取得できる。また、「モノ」の位置の3次元座標の算出結果と、「モノ」に貼付されている画像コードから取得した「モノ」の識別情報とを関連付けることによって、「モノ」に3次元座標を付与できる。
【0045】
近年は全球測位衛星システムを利用した測量やLiDAR(light detection and ranging)を利用した測量を用いた3次元座標データ化技術の進展に伴って3次元座標データ作成コスト低減が進んでおり、3次元座標データを低コストに作成できる。
【0046】
(実施形態の変形例1)
図11は、実施形態の変形例1の3次元座標取得装置100aを示す図である。3次元座標取得装置100aは、3次元座標取得装置100において、算出部103の代わりに算出部103aを備え、処理部104の代わりに処理部104aを備えたものである。
【0047】
図12は、実施形態の変形例1の3次元座標取得装置100aの動作を示す図である。3次元座標取得装置100aにおいて、処理部104aは、GPS電波が受信できない場合に備えて、GPS電波が受信できる場合に、印刷コードから取得した「モノ」の識別情報とその「モノ」の測定点座標を示す情報とを関連付けたペア情報を記憶し、蓄えておく。
【0048】
具体的には、図12において、3次元座標取得装置100aは、計測点1で、「モノ」OB01の識別情報と「モノ」OB01の測定点座標を示す情報とを関連付けたペア情報を記憶し、蓄えておく。例えば、処理部104aは、計測点1で、計測部102から「モノ」OB01の識別情報を取得し、算出部103aから「モノ」OB01の測定点座標を取得する。処理部104aは、取得した「モノ」OB01の識別情報と「モノ」OB01の測定点座標とを関連付けたペア情報を、記憶部110に記憶させる。
【0049】
また、測定の完了した「モノ」に貼付されている印刷コードには、測定済みであることを示すマーキングを実施しておく。例えば、赤マジックでチェックマークを「モノ」OB01に貼付された印刷コードに付与する。
【0050】
ユーザーは、3次元座標取得装置100aにおいてGPS電波が受信できない場合は、最初のステップとして付近(目視できる範囲)の「モノ」の中からマーキング済みの印刷コードを選択する。具体的には、図12において、ユーザーが、計測点2において、「モノ」OB02の測定点座標を取得しようとした場合に、計測点2では、3次元座標取得装置100aはGPS電波を受信できないため、計測点座標を取得できない。この場合、ユーザーは、付近の「モノ」の中からマーキング済みの印刷コードを選択する。ここでは、ユーザーが、「モノ」OB01に貼付されているマーキング済みの印刷コードを選択した場合について説明を続ける。
【0051】
ユーザーは、選択したマーキング済みの印刷コードを、3次元座標取得装置100aの計測部102にスキャンさせる。計測部102は、印刷コードに表されている画像コードをスキャンすることで、「モノ」OB01の識別情報を取得する。処理部104aは、計測部102から、「モノ」OB01の識別情報を取得し、取得した「モノ」OB01の識別情報と関連付けて記憶されている測定点座標を、記憶部110から取得する。算出部103aは、処理部104aから測定点座標を取得し、取得した測定点座標から逆算して、3次元座標取得装置100aの3次元座標を算出する。算出部103aは、3次元座標取得装置100aの3次元座標の算出結果を、計測点座標として、「モノ」OB02の測定点座標を算出する。
【0052】
図13は、実施形態の変形例1の3次元座標取得装置100aの動作の一例を示すフロー図である。図13を参照して、3次元座標取得装置100aが、計測点座標を取得する処理について説明する。ステップS1-5からS7-5は、図4のステップS1-1からS7-1を適用できるため、ここでの説明は省略する。
【0053】
ステップS5-5において、測位部101によって計測点座標の計測が失敗したと判定した場合(ステップS5-5:NO)、処理部104aは、計測データ保存部の最新行の計測点種別をチェックする(ステップS8-5)。処理部104aは、計測データ保存部の最新行の計測点種別が逆算値でない場合に(ステップS9-5:YES)、計測データ保存部の最新行に計測不能コードを格納する(ステップS10-5)。
【0054】
図14は、計測データ保存部の一例を示す図である。計測データ保存部の一例には、計測日時、計測点座標、計測点種別の欄に「計測不能」が記憶されている。図13に戻り説明を続ける。処理部104aは、計測データ保存部の最新行の計測点種別が逆算値である場合に(ステップS9-5:NO)、計測データ保存部の最新行の計測定座標には逆算して求められた計測定座標を示す情報が格納されているので処理を継続する。
【0055】
ステップS7-5で計測データ保存部の最新行に計測種別「GPS」を書き込んだ後、ステップS10-5で計測データ保存部の最新行に計測不能コードを書き込んだ後、又はステップS10-5で計測データ保存部の最新行の測定種別が逆算値である場合に、処理部104aは、一定時間遅延させ(ステップS11-5)、ステップS1-5へ戻る。以降、ステップS1-5からステップS11-5の処理が繰り返される。
【0056】
図15は、実施形態の変形例1の3次元座標取得装置100aの動作の一例を示すフロー図である。図15を参照して、3次元座標取得装置100aが、測定点座標を取得する処理について説明する。ステップS1-6からS2-6およびS5-6からS9-6は、図6のステップS1-2からS2-2およびS5-2からS9-2を適用できるため、ここでの説明は省略する。
【0057】
図16は、計測データ保存部の一例を示す図である。計測データ保存部の一例には、計測日時、計測点座標、計測点種別の欄に「計測不能」が記憶され、印刷コード、測定点方角、測定点仰角、測定点距離、測定点座標および測定点種別の欄は空欄である。この場合、処理部104aは、GPS電波を未受信であることを通知するための警告を、出力部105に出力させる。ここでは、処理部104aは、データを格納しない。さらに、処理部104aは、過去に計測済みの箇所をリファレンスポイントとして、再計測するように促すことを通知するための警告を、出力部105に出力させる。図15に戻り説明を続ける。
【0058】
処理部104aは、計測部102から「モノ」の識別情報を取得する。処理部104aは、計測データ保存部を検索し、取得した「モノ」の識別情報と同じ「モノ」の識別情報が計測されているかをチェックする(ステップS3-6)。処理部104aは、取得した「モノ」の識別情報と同じ「モノ」の識別情報が計測されていないと判定した場合(ステップS4-6:YES)、計測データ保存部の最新行に有効な計測点座標が記憶されているか否かをチェックする(ステップS5-6)。
【0059】
ステップS4-6で「モノ」の識別情報と同じ「モノ」の識別情報があると判定された場合(ステップS4-6:NO)、処理部104aは、計測データ保存部の最新行に有効な計測点座標が格納されているか否かをチェックする(ステップS10-6)。処理部104aは、計測データ保存部の最新行に有効な計測点座標が格納されていない場合に(ステップS11-6:YES)、逆算処理を行う(ステップS12-6)。
【0060】
図17は、計測データ保存部の一例を示す図である。計測データ保存部の最新行に有効な計測点座標が格納されていない場合、計測データ保存部の一例には、計測日時、計測点座標、計測点種別の欄に「計測不能」が記憶され、印刷コードの欄には過去に計測していた「モノ」の識別情報「AAA3」が記憶され、測定点方角、測定点仰角および測定点距離の欄には、計測部102によって計測された測定点方角を示す情報、測定点仰角を示す情報および測定点距離を示す情報が記憶され、測定点座標および測定点種別は空欄である。処理部104aは、GPS電波を未受信であり、過去に計測済みの箇所を計測した場合には、データを格納する。図15に戻り説明を続ける。
【0061】
処理部104aは、計測データ保存部の最新行に有効な計測点座標を示す情報が格納されている場合に(ステップS11-6:NO)、2度目の計測であることを通知するための警告を出力部105に出力させる(ステップS13-6)。
【0062】
ステップS6-6で、計測データ保存部の最新行に有効な計測点座標を示す情報が記憶されていないと判定された場合に(ステップS6-6:NO)、処理部104aは、計測点の再測定を促すための情報を出力部105に出力させる(ステップS14-6)。
【0063】
図18は、計測データ保存部の一例を示す図である。図18は、ステップS8-6で、計測データ保存部の最新行において、印刷コードに「モノ」の識別情報が格納され、測定点方角を示す情報、測定点仰角を示す情報および測定点距離を示す情報が格納された状態を示す。計測点座標の欄に逆算値が格納されているため、計測部102は、印刷コードから「モノ」の識別情報を取得し、測定点方角、測定点仰角および測定点距離を計測する。処理部104aは、計測データ保存部の最新行に「モノ」の識別情報、測定点方角を示す情報、測定点仰角を示す情報および測定点距離を示す情報を格納する。
【0064】
図19は、実施形態の変形例1の3次元座標取得装置100aの動作の一例を示すフロー図である。図19を参照して、ステップS10-6の測定点座標算出処理の詳細について説明する。ステップS1-7からS3-7は、図8のステップS1-3からS3-3を適用できるため、説明を省略する。
【0065】
処理部104aは、ステップS3-7で計測データ保存部に格納した測定点座標の種別を判定する(ステップS4-7)。具体的には、処理部104aは、測定点座標を導出する際に使用した計測点座標が、GPSを使用して取得したものであるか、過去に取得した測定点座標から逆算することによって取得したものであるかを判定する。
【0066】
処理部104aは、GPSを使用して取得したものであると判定した場合、計測データ保存部の最新行の測定点種別に「算出値1」を格納し、終了する。
【0067】
処理部104aは、過去に取得した測定点座標から逆算することによって取得したものであると判定した場合、計測データ保存部の最新行の測定点種別に「算出値2」を格納し、終了する。図20は、計測データ保存部の一例を示す図である。計測データ保存部の最新行には、測定点座標を導出する際に使用した計測点座標が、過去に取得した測定点座標から逆算することによって取得したものであるため、測定点種別に「算出値2」が格納されている。算出部103aは、GPS電波を受信した場合と同様の方法で、測定点座標を算出する。
【0068】
図21は、実施形態の変形例1の3次元座標取得装置100aの動作の一例を示すフロー図である。図21を参照して、逆算処理の詳細について説明する。
【0069】
処理部104aは、計測データ保存部の過去データから同一の印刷コードから取得される「モノ」の識別情報を含む行から、「モノ」の識別情報、測定点座標を示す情報、測定点種別を示す情報を取得する(ステップS1-8)。処理部104aは、計測データ保存部の最新行に、ステップS1-8で取得した測定点座標を示す情報を複写し、測定種別に「過去測定値1」を格納する(ステップS2-8)。図22は、計測データ保存部の一例を示す図である。計測データ保存部の最新行に、測定点座標を示す情報が複写され、測定種別に「過去測定値1」が格納されている。図21に戻り説明を続ける。
【0070】
算出部103aは、計測データ保存部の最新行から、測定点座標を示す情報、測定点方角を示す情報、測定点仰角を示す情報、測定点距離を示す情報を取得し(ステップS3-8)、測定点座標を起点として、測定点方角、測定点仰角、測定点距離から逆算して、計測点座標を導出する(ステップS4-8)。処理部104aは、算出部103aから、計測点座標を示す情報を取得し、計測データ保存部の最新行に取得した計測点座標を示す情報を格納する。処理部104aは、計測データ保存部の最新行の計測点種別に「逆算値」を格納する。処理部104aは、計測データ保存部の最新行に現在時刻を示す情報を格納する。
【0071】
図23は、計測データ保存部の一例を示す図である。計測データ保存部の最新行の計測点座標の欄に計測点座標を示す情報が格納され、計測点種別の欄に「逆算値」が格納され、計測日時の欄に現在時刻を示す情報が格納されている。計測データ保存部の最新行の計測点座標の欄に計測点座標を示す情報が格納されることによって、GPS電波の受信ができなくても計測点の座標が分かる。計測データ保存部の最新行の計測点種別の欄に「逆算値」が格納されている場合には、処理部104aは、計測点種別を更新しない。処理部104aは、逆算することによって取得された計測点座標をしばらく保持する。
【0072】
期限切れ処理については、図10と同様であるため、説明を省略する。
【0073】
前述した実施形態の変形例1において、図13を参照して説明した計測点座標を取得する処理と、図15を参照して説明した測定点座標を取得する処理と、図19を参照して説明した測定点座標算出処理と、図10を参照して説明した期限切れ処理との少なくとも2つの処理が並列して実行されてもよい。
【0074】
実施形態の変形例1において、3次元座標取得装置100aは、3次元座標取得装置100aの3次元座標を取得できる箇所から、3次元座標取得装置100aの3次元座標を取得できない箇所に向けて測定するようにしてもよい。
【0075】
一般に建物の窓近くはGPS電波が受信できるが建物の中に入っていくと電波が届かない。よって、窓に近い「モノ」の3次元座標から順に測定を始めて、徐々に窓から遠い「モノ」の3次元座標へと測定を進めるようにしてもよい。このように構成することによって、3次元座標取得装置100aは、電波が届かない箇所があった場合でも建物全体の「モノ」の3次元座標の測定を進めることができる。
【0076】
図24は、実施形態の変形例1の3次元座標取得装置100aの動作を示す図である。3次元座標取得装置100aにおいて、処理部104aは、計測点1で、計測部102から「モノ」OB01の識別情報を取得し、算出部103aから「モノ」OB01の測定点座標を取得する。処理部104aは、取得した「モノ」OB01の識別情報と「モノ」OB01の測定点座標とを関連付けたペア情報を、記憶部110に記憶させる。
【0077】
また、測定の完了した「モノ」に貼付されている印刷コードには、測定済みであることを示すマーキングを実施しておく。例えば、赤マジックでチェックマークを「モノ」OB01に貼付された印刷コードに付与する。
【0078】
ユーザーは、3次元座標取得装置100aにおいてGPS電波が受信できない場合は、付近(目視できる範囲)の「モノ」の中からマーキング済みの印刷コードを選択する。ユーザーが、計測点2において、「モノ」OB02の測定点座標を取得しようとした場合に、計測点2では、3次元座標取得装置100aはGPS電波を受信できないため、計測点座標を取得できない。この場合、ユーザーは、付近の「モノ」の中から「モノ」OB01に貼付されたマーキング済みの印刷コードを選択する。
【0079】
ユーザーは、選択したマーキング済みの印刷コードを、3次元座標取得装置100aの計測部102にスキャンさせる。計測部102は、印刷コードに表されている画像コードをスキャンすることで、「モノ」OB01の識別情報を取得する。処理部104aは、計測部102から、「モノ」OB01の識別情報を取得し、取得した「モノ」OB01の識別情報と関連付けて記憶されている測定点座標を、記憶部110から取得する。算出部103aは、処理部104aから測定点座標を取得し、取得した測定点座標から逆算して、3次元座標取得装置100aの3次元座標を算出する。算出部103aは、3次元座標取得装置100aの3次元座標の算出結果を計測点座標として「モノ」OB02の測定点座標を算出する。
【0080】
処理部104aは、計測点2で、計測部102から「モノ」OB2の識別情報を取得し、算出部103aから「モノ」OB2の測定点座標を取得する。処理部104aは、取得した「モノ」OB2の識別情報と「モノ」OB2の測定点座標とを関連付けたペア情報を、記憶部110に記憶させる。
【0081】
また、測定の完了した「モノ」に貼付されている印刷コードには、測定済みであることを示すマーキングを実施しておく。例えば、赤マジックでチェックマークを「モノ」OB01に貼付された印刷コードに付与する。
【0082】
ユーザーは、3次元座標取得装置100aにおいてGPS電波が受信できない場合は、付近(目視できる範囲)の「モノ」の中からマーキング済みの印刷コードを選択する。ユーザーが、計測点3において、「モノ」OB03の測定点座標を取得しようとした場合に、計測点3では、3次元座標取得装置100aはGPS電波を受信できないため、計測点座標を取得できない。この場合、ユーザーは、付近の「モノ」の中から「モノ」OB02に貼付されたマーキング済みの印刷コードを選択する。
【0083】
ユーザーは、選択したマーキング済みの印刷コードを、3次元座標取得装置100aの計測部102にスキャンさせる。計測部102は、印刷コードに表されている画像コードをスキャンすることで、「モノ」OB01の識別情報を取得する。処理部104aは、計測部102から、「モノ」OB01の識別情報を取得し、取得した、「モノ」OB01の識別情報と関連付けて記憶されている測定点座標を、記憶部110から取得する。算出部103aは、処理部104aから測定点座標を取得し、取得した測定点座標から逆算して、3次元座標取得装置100aの3次元座標を算出する。算出部103aは、3次元座標取得装置100aの3次元座標の算出結果を計測点座標として、「モノ」OB03の座標を算出する。
【0084】
処理部104aは、計測点3で、計測部102から「モノ」OB3の識別情報を取得し、算出部103aから「モノ」OB3の測定点座標を取得する。処理部104aは、取得した「モノ」OB3の識別情報と「モノ」OB3の測定点座標とを関連付けたペア情報を、記憶部110に記憶させる。
【0085】
実施形態の変形例1によれば、3次元座標取得装置100aは、3次元座標取得装置100において、算出部103aが算出した「モノ」の3次元座標と計測部102が画像コードを読み取ることで取得した「モノ」の識別情報とを関連付けて記憶部110に記憶させる処理部104aをさらに備える。処理部104aは、測位部101が3次元座標取得装置100aの3次元座標を取得できない場合に、計測部102が画像コードを読み取ることで取得した「モノ」の識別情報が記憶部110に記憶されている場合には、「モノ」の識別情報に関連付けられている「モノ」の3次元座標を取得し、算出部103aは、処理部104aが取得した3次元座標から3次元座標取得装置100aの3次元座標を取得する。
【0086】
このように構成することによって、3次元座標取得装置100aは、「モノ」の3次元座標を取得する場合にGPS電波が受信できない場合においても、既に取得している他の「モノ」の3次元座標から3次元座標取得装置100の座標を逆算することによって3次元座標取得装置100aの3次元座標を取得できるため、未測定の「モノ」の3次元座標を算出できる。
【0087】
(実施形態の変形例2)図25は、実施形態の変形例2の3次元座標取得装置100bを示す図である。3次元座標取得装置100bは、3次元座標取得装置100aにおいて、補正部106bをさらに備えたものである。
【0088】
補正部106bは、例えば、ジャイロセンサ、加速度センサによって構成される。補正部106bは、測位部101が3次元座標取得装置100bの3次元座標を取得できない場合で、且つ計測部102が画像コードを読み取ることで取得した「モノ」の識別情報が記憶部110に記憶されている場合に、処理部104aが取得した「モノ」の識別情報に関連付けられている「モノ」の3次元座標を取得したときと、計測部102が距離、仰角および方角とを計測したときとの間での3次元座標取得装置100bの位置の変化を計測する。補正部106bは、計測した位置の変化に基づいて、算出部103aが「モノ」の3次元座標から逆算することによって取得した3次元座標取得装置100bの3次元座標を補正する。
【0089】
図26は、実施形態の変形例2の3次元座標取得装置100bの動作の一例を示すフロー図である。図26を参照して、補正処理について説明する。
【0090】
処理部104aは、計測データ保存部の最新行に測定点種別があるかをチェックする(ステップS1-9)。計測データ保存部の最新行に測定点種別がある場合に(ステップS2-9:YES)、処理部104aは、計測データ保存部の最新行の計測点種別および計測点座標を取得する(ステップS3-9)。
【0091】
処理部104aは、計測点種別が逆算値であるかを判定する(ステップS4-9)。計測点種別が逆算値である場合に(ステップS4-9:YES)、補正部106bは、ジャイロセンサと加速度センサから得られる前回実行時からの変位を導出する(ステップS5-9)。
【0092】
補正部106bは、導出した変位量で計測点座標を補正する。処理部104aは、補正部106bから、計測点座標を補正した結果を取得し、取得した計測点座標を補正した結果を、計測データ保存部の最新行に格納する(ステップS6-9)。
【0093】
ステップS6-9で計測点座標を補正した結果を計測データ保存部の最新行に格納した後、ステップS2-9で測定点種別が無いと判定した場合又はステップS4-9で計測点種別が逆算値でないと判定した場合、処理部104は、一定時間遅延させ(ステップS7-9)、ステップS1-9へ戻る。以降、ステップS1-9からステップS7-9の処理が繰り返される。
【0094】
実施形態の変形例2の3次元座標取得装置100bによれば、3次元座標取得装置100aにおいて、処理部104aが「モノ」の識別情報に関連付けられている「モノ」の3次元座標を取得したときと、計測部102が距離、仰角および方角とを計測したときとの間での3次元座標取得装置100bの位置の変化を計測し、計測した3次元座標取得装置100bの位置の変化に基づいて、「モノ」の3次元座標から取得した3次元座標取得装置100bの3次元座標を補正する補正部106bをさらに備える。
【0095】
このように構成することによって、3次元座標取得装置100bは、処理部104aが「モノ」の識別情報に関連付けられている「モノ」の3次元座標を取得したときと、計測部102が距離、仰角および方角とを計測するときとの間での3次元座標取得装置100bの位置の変化に基づいて、3次元座標取得装置100bの3次元座標の位置を補正できるため、「モノ」の測定点座標の精度を向上できる。
【0096】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、3次元座標取得装置は、3次元座標取得装置の3次元座標と、計測部が計測した距離、仰角および方角とに基づいて、「モノ」の3次元座標を算出できるため、システムで扱う個々の「モノ」が設置された位置の3次元座標を取得できる。また、「モノ」の位置の3次元座標の算出結果と、「モノ」に貼付されている画像コードから取得した「モノ」の識別情報とを関連付けることによって、「モノ」に3次元座標を付与できる。
【0097】
以上、本発明の実施形態およびその変形例を説明したが、これらの実施形態およびその変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態およびその変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組合せを行うことができる。これら実施形態およびその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0098】
100、100a、100b…3次元座標取得装置、101…測位部、102…計測部、103、103a…算出部、104、104a…処理部、105…出力部、106b…補正部、110…記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26