(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039382
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】作業機械のフレーム構造
(51)【国際特許分類】
E02F 9/08 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
E02F9/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143897
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 直樹
(72)【発明者】
【氏名】戸田 久雄
(72)【発明者】
【氏名】岡野 哲也
(57)【要約】
【課題】上方向荷重に対して強度アップを図ることができるフレーム構造を提供する。
【解決手段】前後方向に延びる縦板13を含むセンターセクション11と、一端が縦板13に結合され他端側が縦板13から左方または右方へ延在する横梁18を含むサイドデッキ12とを備える作業機械のアッパーフレームにおいて、上面21uおよび下面21dを有し一方側を縦板13に溶接されるとともに他方側を横梁18に溶接される補強板21を有し、センターセクション11とサイドデッキ12との間には溶接トーチTdが差し込まれるトーチ干渉回避空間が設けられる。これにより溶接トーチTdはセンターセクション11およびサイドデッキ12と干渉することなく、補強板21の下面21d側と縦板13とを溶接する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に延びる縦板を含むセンターセクションと、一端が前記縦板に結合され他端側が前記縦板から左方または右方へ延在する横梁を含むサイドデッキと、を備える作業機械のアッパーフレームにおいて、
上面および下面を有し、一方側を前記縦板に溶接されるとともに他方側を前記横梁に溶接される補強板を有し、
前記センターセクションと前記サイドデッキとの間には、前記補強板の前記下面側と前記縦板とを溶接する溶接トーチがこれらセンターセクションおよびサイドデッキと干渉することを回避するトーチ干渉回避空間が設けられることを特徴とする、作業機械のフレーム構造。
【請求項2】
前記センターセクションは、前記縦板の下縁と一体結合して前記補強板の下面と対向する底板を含み、
前記補強板は、前記一方側から前記他方側へ向かうほど上側になるよう傾斜する傾斜部を含み、
前記トーチ干渉回避空間は、前記傾斜部と前記底板との間に構成される、請求項1に記載の作業機械のフレーム構造。
【請求項3】
前記補強板の前記他方側は、前記横梁の上下方向中央部に溶接される、請求項2に記載の作業機械のフレーム構造。
【請求項4】
前記横梁は、梁縦板、および前記梁縦板の上縁から前方および後方の少なくとも一方に広がる梁上板を含み、
前記横梁の延在方向中央領域の梁縦板下縁は、前記横梁の一端部の梁縦板下縁よりも低い位置とされ、これら梁縦板下縁同士の連続箇所で段差を構成し、
前記補強板は前記一端部の前記梁縦板下縁に沿って溶接され、
前記トーチ干渉回避空間は、前記補強板の下面側で、前記センターセクションの前記縦板と、前記段差との間に構成される、請求項1に記載の作業機械のフレーム構造。
【請求項5】
前記補強板は、前記横梁の前記一端部のみに配置され、前記横梁の延在方向中央部から離隔する、請求項4に記載の作業機械のフレーム構造。
【請求項6】
前記補強板は、前記横梁の前記一端部から前記延在方向中央領域へ広がり、前記横梁の他端部から離隔する、請求項4に記載の作業機械のフレーム構造。
【請求項7】
前記補強板は、前記横梁の前記一端部から他端部まで広がる、請求項4に記載の作業機械のフレーム構造。
【請求項8】
前記補強板は、前記横梁の前記一端部の前記梁縦板下縁の前側および後側に跨って広がる、請求項4に記載の作業機械のフレーム構造。
【請求項9】
前記補強板は、前記横梁の前記延在方向中央領域の前記梁縦板が差し込まれるスリットを有し、
前記横梁の前記延在方向中央領域の前記梁縦板は、前記スリットで前記補強板に溶接される、請求項6に記載の作業機械のフレーム構造。
【請求項10】
前記横梁の前記梁縦板は、前記作業機械の前後方向に間隔を空けて2枚設けられ、
前記横梁の前記上板は、前側の前記梁縦板の上縁および後側の前記梁縦板の上縁と一体結合し、
前記補強板は、前記前側梁縦板および前記後側梁縦板に跨って広がる、請求項4~9のいずれかに記載の作業機械のフレーム構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械や農業機械等の作業機械に関し、特にアッパーフレームを補強する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルのアッパーフレームとして従来、例えば特開2018-053452号公報(特許文献1)に記載のものが知られている。かかる特許文献に記載のアッパーフレームは、下部走行体上に設けられた上部旋回体のフレームであって、センターフレーム(センターセクションともいう)と、このセンターフレームの幅方向左右両側に設けられるサイドフレーム(サイドデッキともいう)を備える。
【0003】
センターフレームは、縦板としての側面部と、側面部の上部に一体に設けられて側方に張り出す上板としての上面部と、側面部の下部に一体に設けられて側方に張り出す底板としての底面部とにより、I字形断面に形成されている。サイドフレームは、複数の梁および枠材で構成されている。各梁は、センターフレームに対して交差する方向に長手に配列され、各梁の一端がセンターフレーム側面部に溶接されてセンターフレームと一体に設けられている。
【0004】
サイドフレーム梁の一端とセンターフレーム側面部の溶接箇所には板状の補強部材がさらに溶接されている。具体的には、梁の一端の上部に補強部材があてがわれ、補強部材の上面とセンターフレーム側面が溶接される。補強部材下面とセンターフレーム側面は溶接されていない。サイドフレーム梁は、上側を縦板とし下側を横板とするL字断面であり、梁の一端がセンターフレーム側面に突き合わされて溶接される。ここでサイドフレーム梁の横板の上面側がセンターフレーム側面に溶接され、サイドフレーム梁の横板の下面側とセンターフレーム側面は溶接されていない。センターフレーム底面部はサイドフレーム梁の横板の下面に下方から被さる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-053452号公報
図3 図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように特許文献1では、センターフレーム梁の下面側がセンターフレーム溶接されていない。かかる従来の構造だと、上方向荷重がサイドデッキに付与されることによって梁の下面とセンターフレーム側面の溶接箇所で強度が不足する懸念がある。
【0007】
特に、センターフレーム底板に設けられる旋回軸ベアリングが大径になる場合、旋回軸ベアリングが設けられる当該底板がセンターフレーム縦板から大きく突出してサイドフレームに広く被さってしまい、サイドフレーム下面とセンターフレームを溶接することが益々困難になる。
【0008】
本発明は、上述の実情に鑑み、上方向荷重に対して強度アップを図ることができるフレーム構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のため本発明による作業機械のフレーム構造は、前後方向に延びる縦板を含むセンターセクションと、一端が縦板に結合され他端側が縦板から左方または右方へ延在する横梁を含むサイドデッキとを備える作業機械のアッパーフレームにおいて、上面および下面を有し一方側を前記縦板に溶接されるとともに他方側を横梁に溶接される補強板を有し、センターセクションとサイドデッキとの間には補強板の下面側と縦板とを溶接する溶接トーチがこれらセンターセクションおよびサイドデッキと干渉することを回避するトーチ干渉回避空間が設けられることを特徴とする。
【0010】
かかる本発明によれば、溶接トーチをトーチ干渉回避空間に差し込み、補強板の下面側とセンターセクションの縦板を溶接することが可能となる。したがって横梁に過大な上方向荷重が繰り返し付与されても、補強板の下面側から補強板とセンターセクション縦板の溶接箇所の強度アップを図ることができる。またセンターセクションが底板を有し、センターセクション縦板の下縁にセンターセクション底板が結合する場合であっても、センターセクション底板と補強板との間にトーチ干渉回避空間か確保される。
【0011】
補強板の姿勢は限定されないが、本発明の一局面として、センターセクションは縦板の下縁と一体結合して補強板の下面と対向する底板を含み、補強板は横梁の一方側から他方側へ向かうほど上側になるよう傾斜する傾斜部を含み、トーチ干渉回避空間は傾斜部と底板との間に構成される。かかる局面によれば、補強板の傾斜部が、横梁に付与される上方向荷重および下方向荷重を受け持つことから、サイドデッキとセンターセクションの溶接箇所の強度アップを図ることができる。
【0012】
本発明の好ましい局面として、補強板の他方側は横梁の上下方向中央部に溶接される。かかる局面によれば、横梁の曲げモーメントによって発生する応力集中を回避することができる。
【0013】
横梁の形状は特に限定されない。本発明の他の局面として、横梁は梁縦板および梁縦板の上縁から前方および後方の少なくとも一方に広がる梁上板を含み、横梁の延在方向中央領域の梁縦板下縁は横梁の一端部の梁縦板下縁よりも低い位置とされ、これら梁縦板下縁同士の連続箇所で段差を構成し、補強板は一端部の梁縦板下縁に沿って溶接され、トーチ干渉回避空間は、補強板の下面側で、センターセクションの縦板と横梁の段差との間に構成される。かかる局面によれば、段差よりも横梁の一端側下縁が切り欠かれてトーチ干渉回避空間が区画される。したがって補強板の下面側とセンターセクションの縦板を溶接することが可能となり、補強板の下面側とセンターセクションの縦板が溶接され、溶接箇所の強度アップを図ることができる。
【0014】
横梁の長手方向に関し、補強板の長さは特に限定されない。本発明の一局面として補強板は、横梁の一端部のみに配置され、横梁の延在方向中央部から離隔する。本発明の他の局面として補強板は、横梁の一端部から横梁の延在方向中央領域へ広がり、横梁の他端部から離隔もよい。本発明の他の局面として補強板は、横梁の一端部から他端部まで広がってもよいし、横梁の他端部と結合する枠材に溶接されてもよい。
【0015】
アッパーフレームの前後方向に関し、補強板の大きさは特に限定されない。本発明の一局面として補強板は、横梁の一端部の梁縦板下縁の前側および後側に跨って広がる。
【0016】
補強板の形状は特に限定されない。本発明の一局面として補強板は、横梁の延在方向中央領域の梁縦板が差し込まれるスリットを有し、横梁の延在方向中央領域の梁縦板は、スリットで補強板に溶接される。
【0017】
補強板の配置は特に限定されない。本発明の好ましい局面として、横梁の梁縦板は作業機械の前後方向に間隔を空けて2枚設けられ、横梁の上板は前側の梁縦板の上縁および後側の梁縦板の上縁と一体結合し、補強板は前側梁縦板および後側梁縦板に跨って広がる。
【発明の効果】
【0018】
このように本発明によれば、補強板の下面側とセンターセクションを溶接することが可能となり、上方向荷重に対してアッパーフレームの強度アップを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態になるフレーム構造を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態の補強板および溶接箇所を示す図である。
【
図3】第1実施形態の溶接箇所を示す正面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態になるフレーム構造を示す斜視図である。
【
図5】第2実施形態の補強板および溶接箇所を示す図である。
【
図6】本発明の第3実施形態になるフレーム構造を示す斜視図である。
【
図7】第3実施形態の補強板および溶接箇所を示す図である。
【
図8】第3実施形態の溶接箇所を示す正面図である。
【
図11】本発明の第6実施形態になるフレーム構造を示す斜視図である。
【
図12】第6実施形態の補強板および溶接箇所を示す図である。
【
図13】第6実施形態の溶接箇所を示す正面図である。
【
図14】本発明の第7実施形態になるフレーム構造を示す斜視図である。
【
図15】第7実施形態の補強板および溶接箇所を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態になるアッパーフレームの構造を示す全体斜視図である。アッパーフレーム10は、作業機械の上部旋回体のフレームであり、図示しない旋回ベアリングを介して、下部走行体に搭載される。作業機械は、建設機械や農業機械やその他の作業を行う機械である。本実施形態のアッパーフレーム10は、例えば油圧ショベルに搭載される。
【0021】
略矩形のアッパーフレーム10は、アッパーフレーム幅方向中央部に配置されるセンターセクション11と、アッパーフレーム幅方向左右両側にそれぞれ配置されるサイドデッキ12を備える。センターセクション11は、アッパーフレーム前後方向に延びて互いに対向配置される1対の縦板13と、縦板13の下端縁同士を結合する底板15を含む。
【0022】
縦板13は、上下方向に広がる鋼板である。縦板13の上下方向寸法は、前端13bおよび後端13dで小さくされ、前後方向中央部で大きくされ、このうち頂上部分13cでもっと大きくされる。つまり縦板13の上下方向寸法は、頂上部分13cから前方あるいは後方に向かう程、徐々に小さくされる。
【0023】
底板15は、アッパーフレーム前後方向およびアッパーフレーム幅方向(以下、単に前後方向および幅方向ともいう)に広がる鋼板である。底板15の中心領域には、図示しない旋回ベアリングが設けられる。旋回ベアリングの外径は、1対の縦板13,13間距離よりも小さくてもよいし、あるいは大きくてもよい。
【0024】
頂上部分13cには、ブームフートピン取付孔13fが貫通形成される。ブームフートピン取付孔13fには、図示しないピンを介してショベルのブームが連結される。前端13bには、ブームシリンダ取付孔13gが貫通形成される。ブームシリンダ取付孔13gには、図示しないピンを介してブームの動作させるブームシリンダが連結される。
【0025】
サイドデッキ12は、前後方向に延びる枠材14と、幅方向に延びる横梁16,18を含む。横梁16,18は、前後方向に間隔を空けて複数本設けられる。また横梁16,18は、自身の前後方向位置や、横梁16,18上に載置される機材(図略)に応じて、異なる断面形状が適宜選定される。本実施形態では、アッパーフレーム10の前後方向中央部に配置される横梁18が、梁縦板22および梁上板24とで構成される。横梁18の一端は、センターセクション11の縦板13に溶接される。横梁18の他端は、枠材14に溶接される。枠材14は、例えば断面D字形状のDチューブ、あるいは図示はしなかったが断面C字形状のCチューブである。
【0026】
横梁18と縦板13に跨って補強部材としての補強板21が溶接される。第1実施形態の補強板21は、センターセクション11側を下としサイドデッキ12側が上とする傾斜姿勢で取り付けられる。
【0027】
図2は補強板および溶接箇所を示す図面であって、(a)は補強板21のみを示す図であり、(b)は補強板21の取付状態を梁上板24から見下ろした状態を示す平面図であり、(c)は同取付状態をサイドデッキ12側から横梁18の延在方向にみた図である。
【0028】
まず縦板13につき補足説明すると、一枚物の縦板13は、
図2(b)に示すように元々厚み寸法の異なる2枚の鋼板13d,13gを、前後に配列し、両者の縁同士を溶接で接合したものである。かかる溶接痕は、
図2(c)に示すように、上下方向に延びるビード13k(溶接継目)である。
図2(b)に示すようにビード13kは縦板13の外側面(サイドデッキ12側の面)に設けられ、縦板13の幅方向外側面を面一とされる。これに対し、縦板13の内側面(縦板13,13同士が向き合う面)には段差状の継目13jがある。継目13jは溶接されていてよい。
【0029】
第1実施形態の横梁18は、いわゆるチャンネル鋼であり、1対の平行な梁縦板22,22と、梁縦板22,22の上縁同士を結合する梁上板24を含み、下向き開口の姿勢とされる。横梁18の一端はビード13kと交差する位置で縦板13に溶接される。具体的には梁上板24がビード13kと交差し、梁縦板22,22はビード13kよりも前方および後方に配置される。梁縦板22の両面は前後方向に指向することから、前面あるいは後面とも称される。
【0030】
図2(a)を参照して、平坦な鋼板である補強板21には、スリット23が設けられる。センターセクション11側を一方縁25としサイドデッキ12側を他方縁27としてスリット23は、他方縁27を始端として他方縁27から一方縁25に向かって延び、一方縁25に達することなく途中で終了する。第1実施形態では、2本のスリット23,23が平行に配設され、スリット23,23の間隔が梁縦板22,22の間隔に対応する。本実施形態の補強板21は全体的に板厚一定である。ただし後述するV字開先あるいは他の開先を実現するため、一方縁25には面取り加工され、その板厚は先細にされる。
【0031】
補強板21の外縁形状は、一方縁25が直線形状とされ、他方縁27が非直線形状、例えばスリット23近傍で一方縁25から最も離れ、スリット23から遠い部位で一方縁25に近くなるようにされる。以下の説明ではスリット23,23間の外縁を切欠縁29ともいう。あるいは図示しない変形例として、一方縁25とは反対側の外縁も直線形状とされることで、補強板21は四角形状にされてもよい。
【0032】
スリット23に梁縦板22が差し込まれ、スリット23に沿って補強板21と梁縦板22が溶接される。また補強板21の一方縁25が他方縁27よりも下方に配置され、補強板21は傾斜姿勢でセンターセクション11およびサイドデッキ12に溶接される。一方縁25は、上面21u側で縦板13の外側面とV字開先をなし、補強板21の上面21u側で縦板13の外側面に溶接される。また一方縁25は、下面21d側でセンターセクション11の表面とV字開先をなし、下面21d側で縦板13の外側面に溶接される。かかる溶接痕は、
図2(b)(c)に示すように、前後方向に延びる上面側ビード25uおよび下面側ビード25dである。
【0033】
図3はセンターセクションとサイドデッキの溶接箇所を示す正面図であり、アッパーフレーム前後方向にみた状態を表す。傾斜姿勢の補強板21に関し、補強板21の下面21dは底板15と対向し、補強板21の上面21uは縦板13と対向する。
図3中の(a)(b)に示すように、センターセクション11とサイドデッキ12との間には、溶接トーチTd、Tuがセンターセクション11およびサイドデッキ12と干渉することを回避するトーチ干渉回避空間が設けられる。
【0034】
具体的には
図3(a)に示すように補強板21の下面21dと底板15との間にトーチ干渉回避空間が区画され、当該空間に溶接トーチTdが差し込まれる。溶接トーチTdの先端は、縦板13外側面および補強板21の下面21dの突き合わせ部分に到達し、両者を溶接することによって下面側ビード25dを生成する。下面側ビード25dは、以前より存在している縦板13外側面と底板15上面とのビード15uに被さり、当該ビードの一部あるいは全部に溶け込むように形成される。
【0035】
また
図3(b)に示すように補強板21の上面21uと縦板13との間にもトーチ干渉回避空間が区画され、当該空間に溶接トーチTuが差し込まれる。溶接トーチTuの先端は、縦板13外側面および補強板21の上面21uの突き合わせ部分に到達し、両者を溶接することによって上面側ビード25uを生成する。
【0036】
トーチ干渉回避空間は溶接トーチTd、Tuの先端外径よりも大きな空間であり、少なくとも溶接トーチTd、Tuの先端部分が出入可能であり、好ましくは溶接トーチTd、Tu全体が出入可能である。
【0037】
図3(a)に示すように、横梁18の一端部のうち梁縦板22には、切欠部22u,22dと、切欠部22u,22dの間でセンターセクション11側へ突出する舌部22tが形成される。舌部22tは傾斜角度αで縦板13に指向する。溶接トーチTdが切欠部22dに通されることにより、下面側ビード25dは切欠部22dを通り抜けるよう前後に延び、梁縦板22と補強板21の溶接長を確保することができる(
図2(c))。また
図3には示さなかったが溶接トーチTuが切欠部22uに通されることにより、上面側ビード25uは切欠部22uを通り抜けるよう前後に延び、縦板13と補強板21の溶接長を確保することができる(
図2(b))。そして梁縦板22の舌部22tは補強板21のスリット23に差し込まれたまま溶接されることから、梁縦板22と補強板21の溶接長を確保することができる。
図3(b)を参照して、補強板21のうち他方縁27を含む他方側は、梁縦板22に溶接される。具体的には横梁18の上下方向中央部に溶接される。
【0038】
なお第1実施形態は梁縦板22を2枚含むが、後述する第2実施形態のように梁縦板22が1枚の場合では切欠部22uを省略可能である。参考のため
図3(b)では切欠部22uが設けられない場合を表す。梁縦板22が1枚の場合、梁縦板22の前面側および後面側のそれぞれのトーチ干渉回避空間に溶接トーチTu,Tdを差し込めばよい。横梁18の延在方向に対する補強板21の傾斜角度αは、20°以上70°以下の範囲に含まれる所定値である。
【0039】
第1実施形態によれば、補強板21下面側と縦板13が下面側ビード25dによって溶接されることから、
図3に示すように上方向荷重Fが横梁18に付与されても、下面側ビード25dが上方向荷重Fを支持し、補強板21と縦板13の溶接箇所が補強板21の下面側から破断してしまうルート割れを防止することができる。特に底板15に設けられる旋回ベアリングが縦板13,13間距離よりも大径の場合、上方向荷重Fが従来よりも大きくなるので、第1実施形態の実益が大きくなる。
【0040】
補強板21は、横梁18の中立軸Vaよりも下方に配置される。このように下方に配置すれば横梁18の断面2次モーメントを大きくできる為、アッパーフレーム10の剛性を確保することができる。特に
図1中の横梁16,18,16上にタンクあるいは他の重量物が搭載される場合に実益が大きくなる。補強板21の一方側および他方側は中立軸Vaよりも下方に位置するが、図示しない変形例として補強板21の他方側が中立軸Vaと重なってもよいし、あるいは中立軸Vaよりも上方に配置されてもよい。本明細書でいう中立軸とは、横梁に曲げモーメントが生じたとき、断面内に応力度が生じない位置のことをいう。
【0041】
なお底板15の外縁15fは、補強板21の真下に位置する。あるいは変形例として底板15は、縦板13を越えてサイドデッキ12側へ大きく張り出してもよい。変形例の底板15の外縁15gは、補強板21よりも幅方向外側に位置する。
【0042】
次に本発明の第2実施形態を説明する。
図4は第2実施形態のフレーム構造を示す斜視図であり、
図1中の一点鎖線による囲み部分に対応する。
図5は、第2実施形態の補強板を示す図であり、
図2各図に対応する。前述した
図3は、符号21を符号31と読み替えて第2実施形態に準用され、外縁15gが補強板31よりも幅方向外側に位置する。第2実施形態につき、前述した実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。
【0043】
図4に示すように第2実施形態の横梁18は、断面逆L字状に形成され、換言すると1枚の梁上板24および1枚の梁縦板22で構成される。梁上板24には、図示しないタンクあるいは機器を取付固定するための貫通孔24hが設けられる。これにより横梁18は下方からタンク等を支持する。
図5に示すように第2実施形態の補強板31は、略二等辺三角形状であり、一方縁25から最も離れている他方縁27において1本のスリット23が形成される。補強板31は、
図3中の補強板21と同様に、傾斜角度αの傾斜姿勢でセンターセクション11およびサイドデッキ12に溶接される。
【0044】
第2実施形態のアッパーフレームも、前述した実施形態と同様に、
図3に示す上方向荷重Fに対する強度アップと、逆向きの下方向荷重Pに対する強度アップを図ることができる。
【0045】
なお図示しない変形例として、
図5(a)に示す補強板31をスリット23に沿って延びる仮想直線で分割し、分割された2枚の補強板の少なくとも一方を、
図3(b)に示すように梁縦板22の前面および後面の少なくとも一方に溶接してもよい。
【0046】
次に本発明の第3実施形態を説明する。
図6は第3実施形態のフレーム構造を示す斜視図であり、
図1紙面上側に示すようにアッパーフレーム中の囲み部分の位置に相当する。
図7は補強板および溶接箇所を示す図面であって、(a)は補強板のみを示す図であり、(b)は補強板の取付状態を梁上板24から見下ろした状態を示す平面図であり、(c)および(d)は同取付状態をサイドデッキ12側から横梁18の延在方向にみた断面図である。
図8はセンターセクションとサイドデッキの溶接箇所を示す正面図であり、アッパーフレーム前後方向にみた状態を表す。第3実施形態につき、前述した実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。第3実施形態では前述した補強板21,31に代えて補強板34を設ける。補強板34は基本的に前述した補強板21(
図2)と共通する形状である。
【0047】
図7(a)に示すようにスリット23は補強板34の他方縁27を始端として一方縁25に向かって真っ直ぐ延び、他方縁27および一方縁25間の途中で終了する。スリット23の延在方向と同じ方向にスリット23の終端23fから一方縁25までさらに延びる一点鎖線部分にはスリットが形成されない。かかる一点鎖線部分は後述する梁縦板22の下縁が当接する。
【0048】
図7(c)の断面図は
図8中、横梁18の一端部をc―cで断面とし、矢の方向にみたものである。
図7(d)の断面図は
図8中、横梁18の延在方向中央領域をd―dで断面とし、矢の方向にみたものである。第3実施形態の横梁18は、いわゆるチャンネル鋼であり、1対の平行な梁縦板22,22と、梁縦板22,22の上縁同士を結合する梁上板24を含み、下向き開口の姿勢とされる。
【0049】
前後方向に延びる底板15は、ビード13kの前後方向位置とは異なる前後方向位置でビード15k(溶接継目)を含む。ビード15kは幅方向に延び、前側の底板要素と後側の底板要素を一体結合する。なおビード13k,15kの前後方向位置は、補強板34の前後方向位置と重なる。
【0050】
図7(c)(d)を対比して、また
図8を参照して、梁縦板22の下縁は、横梁18の一端部で相対的に高い位置とされ横梁18の延在方向中央領域で相対的に低い位置とされる。これら梁縦板下縁同士は、これらの連続箇所で段差26を構成する。このように横梁18の一端部において、梁縦板22の略下半分が切り欠かれている。そして当該切り欠きの前後方向に亘ってトーチ干渉回避空間が確保され、当該空間に溶接トーチTdが差し込まれる。また切り欠き状の梁縦板22下縁には、補強板上面34uが当接する。具体的には、
図7(a)を参照して、補強板上面の一点鎖線部分が梁縦板22下縁に当接する。かかる当接状態は
図7(c)の断面図に表される。また当接箇所で、梁縦板22下縁と補強板34が互いに溶接される。かかる溶接痕はビード33uである。ビード33uは補強板34の上面に沿って延びる。またビード33uは、梁縦板22の両面のうち、対を成す残りの梁縦板22とは反対側の面に沿って延びる。
【0051】
補強板34のスリット23と、スリット23に差し込まれる梁縦板22は、
図7(d)の断面図に表される。当該断面は
図8中、d―d断面を矢の方向にみたものである。補強板34と梁縦板22はスリット23で互いに溶接される。かかる溶接痕は上述したビード33dである。ビード33dは補強板34の下面に沿って延びる。またビード33dは、梁縦板22の両面のうち、互いに対向する梁縦板22の内側の面とは反対側の面(いわゆる外側の面)に沿って延びる。
【0052】
補強板34は、横梁18の一端部から段差26を越えて延在方向中央領域まで延びる。ただし補強板34は横梁18全長の半分未満であり、横梁18の他端部から離隔する。
【0053】
第3実施形態によれば、
図8に示すようにセンターセクション11とサイドデッキ12の間には、トーチ干渉回避空間が設けられることから、当該空間に溶接トーチTdを差し込み、補強板34下面側と縦板13を溶接することができる。したがって補強板34下面側が縦板13に溶接され、横梁18に付与される上方向荷重F(
図3)に対して強度が大きくされる。
【0054】
また補強板34は、横梁18の一端部において梁縦板22下縁の前側および後側に跨って広がることから、横梁18の一端部が縦板13に強固に溶接され、横梁18の一端部の強度がアップする。
【0055】
また第3実施形態によれば、前述した実施形態と同様、補強板34が中立軸Vaよりも下方に配置されることから、横梁18上面にタンク等の重量物を搭載しても、横梁18は重量物から付与される下方向荷重を確りと支持することができる。
【0056】
ここで附言すると、トーチ干渉回避空間によって横梁18の一端部で梁縦板22の下側が切り欠き形状になっていて、強度が不足するとも思われる。しかしながら上述したように溶接箇所の強度アップ、および
図8(c)に示すように補強板34によって横梁18が閉断面に構成されることによって、切り欠きの形成による強度不足は解消される。
【0057】
なお図示しない変形例として補強板34を、
図7(a)に示すスリット23,23に沿って真っ直ぐに延びる一点鎖線で分割し、分割された3枚の補強板の少なくとも1枚を、
図7(b)に示すように梁縦板22の前面および後面の少なくとも一方に溶接してもよい。
【0058】
また図示しない変形例として
図7(a)に表される他方縁27の位置を、スリット23の終端23fの位置に変更して、他方縁27を一方縁25に近づけてスリット23を有さない補強板が可能である。かかる変形例の補強板は、一点鎖線部分で、
図7(c)の断面図のように横梁18の一端部に溶接される。変形例の補強板は段差26を越えないため、横梁18の延在方向中央領域および他端部から離隔する。
【0059】
次に本発明の第4実施形態を説明する。
図9は、第4実施形態の補強板を示す図であり、前述した
図7中の各図に対応する。前述した
図8は、符号34を符号35と読み替えて第4実施形態に準用される。第4実施形態につき、前述した実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。
【0060】
図9に示すように第4実施形態は、前述した補強板34に代えて補強板35を備える。補強板35は短冊形状であり、他方縁27を含む他方部が先細形状にされる。2枚の補強板35は、前述した補強板34と同様に、横梁18の中立軸Vaと平行あるいは略平行な姿勢でセンターセクション11およびサイドデッキ12に溶接される。
【0061】
第4実施形態の補強板35は、
図7(a)に示す第3実施形態の補強板34の変形例であり、当該補強板34から切欠縁29を含む板部分を取り除いてスリット23,23を含む板部分が残ったものである。したがって第4実施形態の補強板35も、第3実施形態の補強板34のように、
図3に示す上方向荷重Fに対する強度アップと、逆向きの下方向荷重Pに対する強度アップを図ることができる。
【0062】
次に本発明の第5実施形態を説明する。
図10は、第5実施形態の補強板を示す図であり、前述した
図7中の各図に対応する。前述した
図8は、符号34を符号36hと読み替えて第5実施形態に準用される。第5実施形態につき、前述した実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。
【0063】
図10に示すように第5実施形態は、前述した補強板34に代えて、3枚の補強板36h、36i,36jを備える。中央の補強板36iは輪郭として、一方縁25と、他方縁27と、切欠縁29と、前縁36lと、後縁36mを有する。前縁36lおよび後縁36mは互いに平行に延び、これらの間隔は1対の梁縦板22,22に対応する。補強板36iよりも前側に配列される補強板36hは輪郭として、一方縁25と、他方縁27と、後縁36kとを有する。補強板36iよりも後側に配列される補強板36jは輪郭として、一方縁25と、他方縁27と、前縁36nとを有する。
【0064】
図10(b)を参照して、中央の補強板36iは1対の梁縦板22,22間に配置される。他の1枚の補強板36hは、一方の梁縦板22からみて中央の補強板36iとは反対側に配置される。残り1枚の補強板36hは、他方の梁縦板22からみて中央の補強板36iとは反対側に配置される。
【0065】
中央の補強板36iの前縁36lおよび後縁36mは、1対の梁縦板22,22のうち互いに対向する内側の面にそれぞれ溶接される。前側の補強板36hの後縁36kと、後側の補強板36hの前縁36nは、前後1対の梁縦板22,22のうち外側の面にそれぞれ溶接される。
【0066】
図10(a)を参照して、第5実施形態の補強板36h,36i,36jは、
図7(a)に示す第3実施形態の補強板34の変形例であり、スリット23,23を他方縁27から一方縁25まで延長することによって補強板34を分割したものである。したがって第5実施形態の補強板36h,36i,36jも、第3実施形態の補強板34のように、
図3に示す上方向荷重Fに対する強度アップと、逆向きの下方向荷重Pに対する強度アップを図ることができる。
【0067】
次に本発明の第6実施形態を説明する。
図11は第6実施形態のフレーム構造を示す斜視図であり、
図1紙面上側に示すようにアッパーフレーム中の囲み部分の位置に相当する。
図12は補強板および溶接箇所を示す図面であって、(a)は補強板のみを示す図であり、(b)は補強板の取付状態を梁上板24から見下ろした状態を示す平面図であり、(c)および(d)は同取付状態をサイドデッキ12側から横梁18の延在方向にみた断面図である。
図13はセンターセクションとサイドデッキの溶接箇所を示す正面図であり、アッパーフレーム前後方向にみた状態を表す。第6実施形態につき、前述した実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。
【0068】
第6実施形態では前述した補強板34(
図6~
図8)に代えて補強板37を設ける。補強板37は前述した補強板34の変形例であり、一部共通する形状である。
【0069】
前述した補強板34、35、36h、36i,36jは横梁18の全長のうち、一端部の長さよりも若干長い寸法を有する。これに対し第6実施形態の補強板37は、横梁18の全長と同じ寸法を有する補強板である。
図13に示すように補強板37の他方縁27は、枠材14と当接し、好ましくは枠材14に溶接される。
【0070】
具体的には
図12(a)を参照して、一方縁25から切欠縁29までの寸法が、縦板13から段差26までの距離よりも小さい点で、補強板37と補強板34は共通する。しかしながら、補強板37の一方縁25から他方縁27までの寸法は、補強板34のそれよりもはるかに大きい。また補強板37のスリット23は、補強板34のスリット23よりもはるかに長い。スリット23の始端(他方縁27)からスリット23の終端23fまでのスリット深さ寸法は、一方縁25から切欠縁29までの寸法よりも大きい。そして梁縦板22の延在方向中央領域全体が補強板37の長尺なスリット23に差し込まれる。
【0071】
補強板37は、横梁18の一端部から段差26を越えて他端部まで延びる。なお第5実施形態の図示しない変形例として補強板は、横梁18全長の半分前後であり、横梁18の一端部から段差26を越えて延在方向中央領域まで延びるが、横梁18の他端部から離隔してもよい。あるいは別な変形例として補強板は、横梁18全長よりも若干短い長さとされ、横梁18の一端部から他端部まで延びるが、他方縁27が隙間を介して枠材14から離隔する。
【0072】
第6実施形態の補強板37によれば、横梁18が中立軸Vaよりも下側で、一方端から他方端まで補強される。したがって
図3に示す上方向荷重Fに対する強度アップと、逆向きの下方向荷重Pに対する強度アップが実現する。なお図示しない変形例として、スリット23を他方縁27から一方縁25まで延ばして補強板37を
図10(a)に示すように3分割し、これら3枚の補強板を横梁18および縦板13に跨って溶接してもよい。
【0073】
次に本発明の第7実施形態を説明する。
図14は第7実施形態のフレーム構造を示す斜視図である。
図15は補強板および溶接箇所を示す図面であって、(a)は補強板のみを示す図であり、(b)は補強板の取付状態を梁上板24から見下ろした状態を示す平面図であり、(c)および(d)は同取付状態をサイドデッキ12側から横梁18の延在方向にみた断面図である。前述した
図8は、符号34を符号35と読み替えて第7実施形態に準用される。第7実施形態につき、前述した実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。
【0074】
第7実施形態は、基本的には前述した第4実施形態(
図9)と共通するが、横梁18は梁縦板22を1枚有する点で第4実施形態と異なる。
図15(c)および(d)に示すように第2実施形態の横梁18は、断面逆L字状に形成され、換言すると1枚の梁上板24および1枚の梁縦板22で構成される。
【0075】
補強板35は横梁18の一端部に配置される。そして補強板35のスリット23に、段差26および梁縦板22が差し込まれる。補強板35の上面35uが梁縦板22の一端部の下縁に当接する。かかる当接箇所およびスリット23に沿って、補強板35は梁縦板22に溶接される。また補強板35の一方縁25は、下面35d側で縦板13外側面に溶接される。この溶接痕は下面側ビード25dである。
【0076】
第7実施形態の補強板35によれば、これまでに説明した各実施形態と同様、縦板13と横梁18の溶接箇所が補強され、サイドデッキ12に付与される上方向荷重F(
図3)およびサイドデッキ12に付与される逆向きの下方向荷重Pに対して、アッパーフレームの強度がアップする。
【0077】
以上、図面を参照して本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。例えば上述した1の実施形態から一部の構成を抜き出し、上述した他の実施形態から他の一部の構成を抜き出し、これら抜き出された構成を組み合わせてもよい。例えば、第2実施形態以降では、補強板水平方向に広がり、傾斜していない。しかし、第1実施形態に係る傾斜する補強板においても、第2以降の実施形態に係る各種構成を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、車両あるいは他の機械において有利に利用される。
【符号の説明】
【0079】
10 アッパーフレーム、 11 センターセクション、
12 サイドデッキ、 13 センターセクション縦板、
14 サイドデッキ枠材、 15 センターセクション底板
16,18 サイドデッキ横梁、 21 補強板、 21d 補強板下面、
21u 補強板上面、 22 梁縦板、 22d,22u 切欠部、
23 スリット、 24 梁上板、 25d 下面側ビード、
25u 上面側ビード、 Tu,Td 溶接トーチおよびトーチ干渉回避空間、 Va 横梁中立軸。