(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039395
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
B24B 41/06 20120101AFI20240314BHJP
B23B 23/00 20060101ALI20240314BHJP
B24B 49/00 20120101ALI20240314BHJP
B23Q 17/20 20060101ALI20240314BHJP
G05B 19/404 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
B24B41/06 C
B23B23/00 Z
B24B49/00
B23Q17/20 Z
G05B19/404 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143918
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石原 光晴
【テーマコード(参考)】
3C029
3C034
3C045
3C269
【Fターム(参考)】
3C029BB01
3C034AA02
3C034BB74
3C034BB91
3C034CA03
3C034CB07
3C034CB20
3C034DD07
3C045FD06
3C045FE01
3C045FE07
3C045FE09
3C045FE20
3C269AB07
3C269BB07
3C269CC01
(57)【要約】
【課題】工作物を工作機械から降ろすことなくセンタ穴の修正が可能な工作機械を提供する。
【解決手段】工作機械1は、工作物Wと一体として回転可能なセンタ部材20と、回転駆動力を発生させる駆動機構30と、工作物W及びセンタ部材20の一方の回転を抑制する回転抑制機構40と、工作物W及びセンタ部材20を一体として回転させて工作物Wの加工を行う加工制御部3aと、回転抑制機構40により工作物W及びセンタ部材20の一方の回転を抑制した状態で、回転駆動力により工作物W及びセンタ部材20の他方を回転させることにより、工作物Wとセンタ部材20とを相対回転させてセンタ部材20とセンタ部材20が嵌入されるセンタ穴W1、W2とをすり合わせてセンタ穴W1、W2の修正を行うセンタ穴修正制御部3bと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作物の端部に設けられたセンタ穴に嵌入して、上記工作物を軸方向に支持するとともに、上記工作物と一体として回転可能なセンタ部材と、
回転駆動力を発生させる駆動機構と、
上記工作物及び上記センタ部材の一方の回転を抑制する回転抑制機構と、
上記工作物の加工時に、上記回転駆動力により上記工作物及び上記センタ部材を一体として回転させて上記工作物の加工を行う加工制御部と、
上記センタ穴を修正するセンタ穴修正時に、上記回転抑制機構により上記工作物及び上記センタ部材の一方の回転を抑制した状態で、上記回転駆動力により上記工作物及び上記センタ部材の他方を回転させることにより、上記工作物と上記センタ部材とを相対回転させて上記センタ部材と上記センタ穴とをすり合わせて上記センタ穴の修正を行うセンタ穴修正制御部と、を備える、工作機械。
【請求項2】
上記センタ部材は、上記駆動機構を有する主軸台に備えられ、上記センタ穴として上記工作物の端部に設けられた主軸側センタ穴に嵌入する主軸側センタ部材を含み、
上記回転抑制機構は、上記工作物の回転を抑制する主軸側回転抑制機構を含み、
上記加工制御部は、上記工作物の加工時に、上記回転駆動力によって上記工作物及び上記主軸側センタ部材を一体として回転させて上記工作物の加工を行い、
上記センタ穴修正制御部は、上記センタ穴修正時に、上記主軸側回転抑制機構により上記工作物の回転を抑制した状態で、上記回転駆動力により上記主軸側センタ部材を回転させることにより、上記工作物と上記主軸側センタ部材とを相対回転させて上記主軸側センタ穴の修正を行う、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
上記駆動機構は、上記回転駆動力を発生させる駆動力発生部と、上記工作物に接続された駆動金具と、上記駆動金具に係合して上記回転駆動力を上記工作物に伝達する係合状態と、上記駆動金具との係合を解除して上記回転駆動力を上記工作物に伝達しない非係合状態とを切り替え可能な回転駆動力伝達部とを含み、
上記センタ穴修正制御部は、上記センタ穴修正時に、上記回転抑制機構により上記工作物の回転を抑制した状態で、上記回転駆動力伝達部と上記駆動金具とを非係合状態にして上記回転駆動力により上記主軸側センタ部材を回転させることにより、上記工作物と上記主軸側センタ部材とを相対回転させて上記主軸側センタ穴の修正を行う、請求項2に記載の工作機械。
【請求項4】
上記センタ部材は、上記工作物を軸方向の一方に押し付ける心押台に備えられ、上記センタ穴として上記工作物の端部に設けられた心押側センタ穴に嵌入する心押側センタ部材を含み、
上記回転抑制機構は、上記心押側センタ部材の回転を抑制する心押側回転抑制機構を含み、
上記加工制御部は、上記工作物の加工時に、上記回転駆動力によって上記工作物及び上記心押側センタ部材を一体として回転させて上記工作物の加工を行い、
上記センタ穴修正制御部は、上記センタ穴修正時に、上記心押側回転抑制機構により上記心押側センタ部材の回転を抑制した状態で、上記回転駆動力により上記工作物を回転させることにより、上記工作物と上記心押側センタ部材とを相対回転させて上記心押側センタ穴の修正を行う、請求項1又は2に記載の工作機械。
【請求項5】
上記駆動機構は、上記回転駆動力を発生させる駆動力発生部と、上記工作物に接続された駆動金具と、上記駆動金具に係合して上記回転駆動力を上記工作物に伝達する係合状態と、上記駆動金具との係合を解除して上記回転駆動力を上記工作物に伝達しない非係合状態とを切り替え可能な動力伝達部とを含み、
上記センタ穴修正制御部は、上記センタ穴修正時に、上記心押側回転抑制機構により上記心押側センタ部材の回転を抑制した状態で、上記動力伝達部と上記駆動金具とを係合状態にして上記回転駆動力により上記工作物を回転させることにより、上記工作物と上記心押側センタ部材とを相対回転させて上記心押側センタ穴の修正を行う、請求項4に記載の工作機械。
【請求項6】
上記駆動機構は、上記回転駆動力として、第1方向の回転駆動力と、上記第1方向と反対方向の第2方向の回転駆動力とを切り替えて発生させるように構成されており、
上記回転抑制機構は、上記工作物及び上記センタ部材の一方が上記第1方向に回転することを許容して上記第2方向に回転することを抑制するラチェット部材を備え、
上記加工制御部は、上記第1方向の回転駆動力により、上記工作物及び上記センタ部材を一体として回転させて上記工作物の加工を行い、
上記センタ穴修正制御部は、上記回転抑制機構により上記工作物及び上記センタ部材の一方の回転を抑制した状態で、上記第2方向の回転駆動力により上記工作物及び上記センタ部材の他方を回転させることにより、上記工作物と上記センタ部材とを相対回転させて上記センタ穴の修正を行う、請求項1又は2に記載の工作機械。
【請求項7】
上記工作物の加工精度を判定する加工精度判定部と、
上記工作物の加工精度の判定結果に基づいて、上記センタ穴の修正の要否を判定するセンタ穴修正要否判定部と、をさらに備え、
上記センタ穴修正制御部は、上記センタ穴修正要否判定部により上記センタ穴の修正が要と判定されたときに上記センタ穴の修正を行う、請求項1又は2に記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、円筒研削盤や旋盤などの工作機械には、特許文献1に示すように、工作物をセンタ部材で軸方向に支持する構成を有するものがある。当該構成では、センタ部材は工作物を端部のセンタ穴に嵌入するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の構成においてセンタ穴の成形精度が低い場合は、センタ部材と工作物との接触状態(当たり)が悪化し、工作物の支持状態を適正に維持することができず、工作物の加工精度が低下する。このような場合には、センタ穴の修正を行う必要がある。そして、センタ部材が工作物と一体的に回転する構成の場合は、機上でのセンタ穴の修正を行うことができないため、工作物を工作機械から降ろして、センタ穴修正機によりセンタ穴の修正を行う。そのため、センタ穴の修正に手間がかかり、作業効率の低下を招くとともに、センタ穴の修正を自動化することが困難となっている。
【0005】
本発明は、工作物を工作機械から降ろすことなくセンタ穴の修正が可能な工作機械を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、工作物の端部に設けられたセンタ穴に嵌入して、上記工作物を軸方向に支持するとともに、上記工作物と一体として回転可能なセンタ部材と、
回転駆動力を発生させる駆動機構と、
上記工作物及び上記センタ部材の一方の回転を抑制する回転抑制機構と、
上記工作物の加工時に、上記回転駆動力により上記工作物及び上記センタ部材を一体として回転させて上記工作物の加工を行う加工制御部と、
上記センタ穴を修正するセンタ穴修正時に、上記回転抑制機構により上記工作物及び上記センタ部材の一方の回転を抑制した状態で、上記回転駆動力により上記工作物及び上記センタ部材の他方を回転させることにより、上記工作物と上記センタ部材とを相対回転させて上記センタ部材と上記センタ穴とをすり合わせて上記センタ穴の修正を行うセンタ穴修正制御部と、を備える工作機械にある。
【発明の効果】
【0007】
上記態様によれば、センタ穴修正制御部は、回転抑制機構により上記工作物及び上記センタ部材の一方の回転を抑制した状態で、上記回転駆動力により上記工作物及び上記センタ部材の他方を回転させることにより、上記工作物と上記センタ部材とを相対回転させて上記センタ部材と上記センタ穴とをすり合わせて上記センタ穴の修正を行う。そのため、工作物を工作機械から降ろすことなく、センタ穴の修正を行ってセンタ部材とセンタ穴との接触状態を良好とする当たり出しを行うことができる。その結果、センタ穴の修正の作業効率を向上できるとともに、センタ穴の修正を自動化することが容易となる。また、工作物の加工を行う際に工作物を支持するセンタ部材によってセンタ穴の修正を行うため、より高精度にセンタ穴の修正を行うことができる。
【0008】
以上のごとく、上記態様によれば、工作物を工作機械から降ろすことなくセンタ穴の修正が可能な工作機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1における、工作機械の構成を示す概念図。
【
図2】実施形態1における、センタ部材近傍の拡大図。
【
図3】
図2における(a)IIIa-IIIa線位置断面図、(b)IIIb-IIIb線位置断面図、(c)IIIc-IIIc線位置断面図
【
図4】実施形態1における、センタ穴修正制御のフロー図。
【
図5】実施形態2における、IIIb-IIIb線位置相当での断面図。
【
図6】実施形態3における、IIIb-IIIb線位置相当での断面図。
【
図7】実施形態4における、(a)第1状態でのIIIb-IIIb線位置相当での断面図、(b)第2状態でのIIIb-IIIb線位置相当での断面図。
【
図8】実施形態5における、工作機械の構成を示す概念図。
【
図9】実施形態1における、センタ穴修正要否判定制御のフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
1.工作機械1の構成
本実施形態1における工作機械1について、
図1を参照して説明する。工作機械1は、加工装置としての研削盤2と、処理部3とを備える。
【0011】
研削盤2は、工作物Wを中心線Cを中心に回転させ、回転体である工具としての砥石車16を回転させ、かつ、砥石車16を工作物Wに対して工作物Wの軸線に交差する方向に相対的に接近させることにより、工作物Wの外周面または内周面を研削する。研削盤2は、テーブルトラバース型の研削盤、砥石台トラバース型の研削盤などを適用可能である。また、研削盤2は、円筒研削盤、カム研削盤等を適用可能である。
【0012】
本実施形態においては、
図1に示すように、工作物Wは、例えば、軸状に形成された部材とし、工作物Wの外周面が被加工部である場合を例にあげる。ただし、工作物Wの形状は、軸状に限られず、内周面を有する筒状など、任意の形状とすることができる。工作物Wが筒状である場合は工作物Wの内周面を被加工部とすることができる。
【0013】
本実施形態においては、工作物Wは、略棒状であって両端に形成されたセンタ穴W1、W2を介して後述するセンタ部材20により支持される。センタ穴W1、W2はセンタ部材20の形状に沿った円錐凹状をなしている。しかしながら、センタ穴W1、W2の成形精度が低い場合や、工作物Wの加工中に意図せずセンタ穴W1、W2が変形した場合には、センタ穴W1、W2の形状はセンタ部材20の形状に正確に沿った形状とならない場合がある。このような場合には、後述するセンタ穴修正を行う必要がある。なお、
図1に示す工作物Wは、一例であって、研削盤2は、種々の形状を有する工作物を研削加工の対象とすることができる。
【0014】
処理部3は、加工制御部3aと、センタ穴修正制御部3bとを備える。加工制御部3aは、工作物Wの加工制御を行う。センタ穴修正制御部3bは、後述するセンタ穴修正の制御を行う。処理部3は、コンピューターにより構成することができ、工作物Wの加工制御及びセンタ穴修正の制御をコンピューター制御とすることができる。
【0015】
2.研削盤2の構成
研削盤2の構成について、
図1を参照して説明する。本実施形態1においては、研削盤2は、砥石台トラバース型の円筒研削盤を例にあげる。研削盤2は、主として、ベッド11、主軸台12、心押台13、トラバースベース14、砥石台15、砥石車16、センタ部材20、駆動機構30、回転抑制機構40を備える。
【0016】
ベッド11は、設置面上に固定されている。主軸台12は、ベッド11の上面において、X軸方向の手前側(
図1の下側)且つZ軸方向の一端側(
図1の左側)に設けられている。心押台13は、ベッド11の上面において、主軸台12に対してZ軸方向に対向する位置、すなわち、X軸方向の手前側(
図1の下側)且つZ軸方向の他端側(
図1の右側)に設けられている。
【0017】
2-1.センタ部材20
図1に示すように、センタ部材20は、主軸側センタ部材21と心押側センタ部材22とを含む。主軸側センタ部材21は主軸台12に設けられており、心押側センタ部材22は心押台13に設けられている。
図2に示すように、主軸側センタ部材21は円錐状をなしており、その先端が工作物Wの一端に設けられたセンタ穴W1に嵌入している。また、心押側センタ部材22も円錐状をなしており、その先端が工作物Wの他端に設けられたセンタ穴W2に嵌入している。
【0018】
心押台13には図示しないバネが備えられており、当該バネにより心押側センタ部材22が工作物Wに向けて付勢されている。これにより、センタ部材20を構成する主軸側センタ部材21と心押側センタ部材22とにより工作物Wが軸方向に支持される。
【0019】
主軸側センタ部材21及び心押側センタ部材22はいずれも、工作物Wよりも硬度が高い材料からなる。そのため、後述するセンタ穴修正において主軸側センタ部材21及び心押側センタ部材22が工作物Wのセンタ穴W1、W2にこすり合わされても、主軸側センタ部材21及び心押側センタ部材22の形状は変化せず、工作物Wのセンタ穴W1,W2の形状が主軸側センタ部材21及び心押側センタ部材22の形状に沿って均されることとなる。
【0020】
2-2.駆動機構30
図1に示すように、主軸台12には、駆動機構30が接続されている。駆動機構30は、モータ31、駆動金具32及び駆動ピン33を備える。モータ31は、回転駆動力を発生させる駆動力発生部として機能する。本実施形態1では、駆動金具32は、
図3(a)に示すように環状をなしているとともに外方に突出した突起部を有し、
図2(a)に示すように、工作物Wにおける主軸側端部が駆動金具32の環状部内に入り込むように、工作物Wの主軸側端部に取り付けられている。
【0021】
駆動ピン33は、モータ31の回転駆動力によって主軸側センタ部材21と一体となって、
図3(a)に示すように第1方向R1に向けて回転するように構成されている。そして、
図2(a)、
図2(c)に示すように、駆動ピン33は、駆動金具32に向けて進退可能に構成されている。
図2(a)に示すように駆動ピン33が駆動金具32に向けて進んだ状態では、駆動ピン33は駆動金具32に係合してモータ31の回転駆動力を工作物Wに伝達する係合状態となる。一方、
図2(c)に示すように駆動ピン33が駆動金具32から退いた状態では、駆動ピン33と駆動金具32との係合が解除されてモータ31の回転駆動力を工作物Wに伝達しない非係合状態となっている。このように、駆動ピン33は、駆動金具32に対して係合状態と非係合状態とを切り替え可能な回転駆動力伝達部として機能する。
【0022】
2-3.回転抑制機構40
図1に示すように、回転抑制機構40は、主軸側回転抑制機構41と心押側回転抑制機構42とを含む。
図3(a)及び
図3(c)に示すように、主軸側回転抑制機構41は、ベッド11の上面における駆動金具32の下方の位置に固定されて設けられている。これにより、主軸側回転抑制機構41にはモータ31の回転駆動力は伝達されず、主軸側回転抑制機構41はベッド11上に静止している。
【0023】
図3(a)、
図3(c)に示すように、主軸側回転抑制機構41は、駆動金具32に向けて進退可能な駆動ピン41aを有する。そして、
図3(a)に示すように、駆動ピン41aが駆動金具32と離間して退いた状態では駆動ピン41aは駆動金具32に係合しておらず、駆動金具32が第1方向R1に回転することを抑制しない回転許容状態となっている。一方、
図3(c)に示すように、駆動ピン41aが駆動金具32に向けて進んだ状態では駆動金具32に係合して、駆動金具32が第1方向R1に回転することを抑制する回転抑制状態となっている。
【0024】
心押側回転抑制機構42は、ベッド11の上面における心押側センタ部材22の下方の位置に固定されて設けられている。これにより、モータ31の回転駆動力は伝達されず、ベッド11上に静止している。
図2(a)、
図2(c)に示すように、心押側回転抑制機構42は、心押側センタ部材22に向けて進退可能な駆動ピン42aを有する。そして、
図2(a)に示すように駆動ピン42aが心押側センタ部材22と離間する位置に退いた状態では駆動ピン42aは心押側センタ部材22に係合しておらず、心押側センタ部材22の回転を許容する回転許容状態となり、
図2(b)及び
図3(b)に示すように、駆動ピン42aが心押側センタ部材22に向けて進んだ状態では駆動ピン42aが心押側センタ部材22の外周に形成された溝22aに入り込んで心押側センタ部材22に係合して、心押側センタ部材22の回転を抑制する回転抑制状態となっている。
【0025】
2-4.その他の構成
図1に示すトラバースベース14は、ベッド11の上面において、Z軸方向に移動可能に設けられている。トラバースベース14は、ベッド11に設けられたモータ14aの駆動により移動する。砥石台15は、トラバースベース14の上面において、X軸方向に移動可能に設けられている。砥石台15は、トラバースベース14に設けられたモータ15aの駆動により移動する。砥石車16は、砥石台15に回転可能に支持されている。砥石車16は、砥石台15に設けられたモータ16aの駆動により回転する。砥石車16は、複数の砥粒をボンド材により固定されて構成されている。
【0026】
3.工作物Wの加工
工作物Wの加工は、上述の加工制御部3aにより制御される。加工制御部3aは、工作物Wの形状、研削条件、砥石車16の形状など諸条件を含む動作指令データに基づいて生成されたNCプログラムに基づいて、研削盤2における砥石車16等の駆動を制御することにより工作物Wの研削を行う。
【0027】
加工時には、
図2(a)及び
図3(a)に示すように、駆動機構30では駆動ピン33が駆動金具32に係合した係合状態とし、回転抑制機構40における主軸側回転抑制機構41では駆動ピン41aは駆動金具32に係合しておらず、心押側回転抑制機構42では駆動ピン42aは心押側センタ部材22に係合しておらず、いずれも回転許容状態とする。そして、モータ31の回転駆動力により駆動ピン33が第1方向R1に回転するのに伴って駆動金具32を介して工作物Wが第1方向R1に回転する。
【0028】
4.センタ穴W1、W2の修正
次に、
図1に示すセンタ穴修正制御部3bによるセンタ穴W1、W2の修正について、
図4の制御フローを用いて説明する。まず、ステップS1において、センタ穴修正制御部3bにより、センタ穴修正タイミングが到来したか否か判定する。本実施形態1では、センタ穴修正タイミングは、例えば、前回加工した工作物Wの加工精度が低いことが判明して、センタ穴W1、W2の修正が必要と判定されたタイミングとする。なお、センタ穴修正タイミングは、これに限定されず、工作物Wの加工精度の要求値が高い場合には、工作物Wの加工開始直前をセンタ穴修正タイミングとして、センタ穴W1、W2の形状精度が確実の高い状態で工作物Wの加工を開始するようにしてもよい。
【0029】
ステップS1において、センタ穴修正タイミングが到来していないと判定された場合は、ステップS1のNoに進み、再度ステップS1を行う。一方、ステップS1において、センタ穴修正タイミングが到来したと判定された場合は、ステップS1のYesに進む。
【0030】
そして、ステップS2において、センタ穴修正制御部3bにより、心押側回転抑制機構42における駆動ピン42aを心押側センタ部材22に係合して心押側センタ部材22を回転抑制状態にする。
【0031】
次いで、ステップS3において、センタ穴修正制御部3bにより、駆動機構30における駆動ピン33を駆動金具32に係合した状態にしてモータ31を駆動して工作物Wを回転させる。これにより、工作物Wと心押側センタ部材22とが相対回転することとなる。
【0032】
そして、ステップS4において、当該相対回転により工作物Wの心押側センタ穴W2に心押側センタ部材22がこすり合わされることにより、心押側センタ穴W2の形状が心押側センタ部材22の形状に沿って均されて、心押側センタ穴W2が修正される。なお、心押側センタ穴W2の修正の継続時間は特に限定されず、例えば予め設定された時間とすることができ、予め設定された時間が経過したタイミングで心押側センタ穴W2の修正を終了するようにしてよい。
【0033】
心押側センタ穴W2の修正の終了後、ステップS5において、センタ穴修正制御部3bにより、モータ31の駆動を停止して工作物Wの回転を停止し、心押側回転抑制機構42における駆動ピン42aと心押側センタ部材22との係合を解除して心押側センタ部材22を回転許容状態にする。
【0034】
そして、ステップS6において、センタ穴修正制御部3bにより、主軸側回転抑制機構41における駆動ピン41aを駆動金具32に係合して駆動金具32を介して工作物Wを回転抑制状態にする。
【0035】
その後、ステップS7において、センタ穴修正制御部3bにより、駆動機構30における駆動ピン33と駆動金具32との係合を解除する。次いで、ステップS8において、センタ穴修正制御部3bにより、モータ31を駆動することにより、工作物Wが停止した状態で主軸側センタ部材21を回転させる。これにより、工作物Wと主軸側センタ部材21が相対回転することとなる。
【0036】
そして、ステップS9において、主軸側センタ穴W1に主軸側センタ部材21がこすり合わされることとなり、主軸側センタ穴W1の形状が主軸側センタ部材21の形状に沿って均されて、主軸側センタ穴W1が修正される。なお、主軸側センタ穴W1の修正の継続時間は特に限定されず、例えば予め設定された時間とすることができ、予め設定された時間が経過したタイミングで主軸側センタ穴W1の修正を終了するようにしてよい。
【0037】
そして、主軸側センタ穴W1の修正の終了後、ステップS10において、センタ穴修正制御部3bにより、モータ31の駆動を停止して主軸側センタ部材21の回転を停止し、主軸側回転抑制機構41における駆動ピン41aと駆動金具32との係合を解除して工作物Wを回転許容状態にする。
【0038】
その後、ステップS11において、センタ穴修正制御部3bにより、駆動機構30における駆動ピン33と駆動金具32とを係合し、センタ穴修正を終了する。
【0039】
5.作用効果
本実施形態1の工作機械1によれば、センタ穴修正制御部3bは、回転抑制機構40により工作物W及びセンタ部材20の一方の回転を抑制した状態で、回転駆動力により工作物W及びセンタ部材20の他方を回転させることにより、工作物Wとセンタ部材20とを相対回転させてセンタ部材20とセンタ穴W1、W2とをすり合わせてセンタ穴W1、W2の修正を行う。そのため、工作物Wを工作機械1から降ろすことなく、センタ穴W1、W2の修正を行ってセンタ部材とセンタ穴W1、W2との接触状態を良好にする当たり出しを行うことができる。その結果、センタ穴W1、W2の修正の作業効率を向上できるとともに、センタ穴W1、W2の修正を自動化することが容易となる。また、工作物Wの加工を行う際に工作物Wを支持するセンタ部材20によってセンタ穴W1、W2の修正を行うため、より高精度にセンタ穴W1、W2の修正を行うことができる。
【0040】
また、本実施形態1では、センタ部材20は、駆動機構30を有する主軸台12に備えられ、センタ穴として工作物Wの端部に設けられた主軸側センタ穴W1に嵌入する主軸側センタ部材21を含み、回転抑制機構40は工作物Wの回転を抑制する主軸側回転抑制機構41を含む。そして、加工制御部3aは、工作物Wの加工時に、モータ31の回転駆動力によって工作物W及び主軸側センタ部材21を一体として回転させて工作物Wの加工を行い、センタ穴修正制御部3bは、センタ穴修正時に、主軸側回転抑制機構41により工作物Wの回転を抑制した状態で、モータ31の回転駆動力により主軸側センタ部材21を回転させることにより、工作物Wと主軸側センタ部材21とを相対回転させて主軸側センタ穴W1の修正を行う。これにより、工作物Wを工作機械1から降ろすことなく、主軸側センタ穴W1の修正を行うことができる。
【0041】
また、本実施形態1では、駆動機構30は、回転駆動力を発生させる駆動力発生部(モータ31)と、工作物Wに接続された駆動金具32と、駆動金具32に係合して回転駆動力を工作物Wに伝達する係合状態と、駆動金具32との係合を解除してモータ31の回転駆動力を工作物Wに伝達しない非係合状態とを切り替え可能な回転駆動力伝達部(駆動ピン33)とを含む。そして、センタ穴修正制御部3bは、センタ穴修正時に、回転抑制機構40により工作物Wの回転を抑制した状態で、駆動ピン33と駆動金具32とを非係合状態にしてモータ31の回転駆動力により主軸側センタ部材21を回転させることにより、工作物Wと主軸側センタ部材21とを相対回転させて主軸側センタ穴W1の修正を行う。これにより、加工時の動力源である駆動力発生部(モータ31)の回転駆動力を利用して主軸側センタ穴W1の修正を行うことができるため、主軸側センタ穴W1の修正のために別途動力源を要しないことから、工作機械1の構成が複雑とならない。
【0042】
また、本実施形態1では、センタ部材20は、工作物Wを軸方向の一方に押し付ける心押台13に備えられ、センタ穴として工作物Wの端部に設けられた心押側センタ穴W2に嵌入する心押側センタ部材22を含み、回転抑制機構40は、心押側センタ部材22の回転を抑制する心押側回転抑制機構42を含む。そして、加工制御部3aは、工作物Wの加工時に、モータ31の回転駆動力によって工作物W及び心押側センタ部材22を一体として回転させて工作物Wの加工を行う。そして、センタ穴修正制御部3bは、センタ穴修正時に、心押側回転抑制機構42により心押側センタ部材22の回転を抑制した状態で、モータ31の回転駆動力により工作物Wを回転させることにより、工作物Wと心押側センタ部材22とを相対回転させて心押側センタ穴W2の修正を行う。これにより、工作物Wを工作機械1から降ろすことなく、心押側センタ穴W2の修正を行うことができる。
【0043】
また、本実施形態1では、駆動機構30は、回転駆動力を発生させる駆動力発生部(モータ31)と、工作物Wに接続された駆動金具32と、駆動金具32に係合して回転駆動力を工作物Wに伝達する係合状態と、駆動金具32との係合を解除して回転駆動力を工作物Wに伝達しない非係合状態とを切り替え可能な動力伝達部(駆動ピン33)とを含む。そして、センタ穴修正制御部3bは、センタ穴修正時に、心押側回転抑制機構42により心押側センタ部材22の回転を抑制した状態で、駆動ピン33と駆動金具32とを係合状態にしてモータ31の回転駆動力により工作物Wを回転させることにより、工作物Wと心押側センタ部材22とを相対回転させて心押側センタ穴W2の修正を行う。これにより、加工時の動力源である駆動力発生部(モータ31)の回転駆動力を利用して主軸側センタ穴W1の修正を行うことができるため、主軸側センタ穴W1の修正のために別途動力源を要しないことから、工作機械1の構成が複雑とならない。
【0044】
なお、本実施形態1では、工作機械1において、主軸側センタ部材21及び心押側センタ部材22の両方が加工時において、工作物Wと一体として回転する構成を採用したが、これに限らず、主軸側センタ部材21及び心押側センタ部材22のいずれか一方のみが工作物Wと一体として回転する構成を採用することもできる。この場合は、工作物Wと一体として回転するセンタ部材が嵌入されるセンタ穴について、上述した本実施形態1の構成を適用して当該センタ穴の修正を行うことができる。なお、この場合、工作物Wと一体として回転しないセンタ部材については、加工時と同様に工作物Wを回転させることで工作物Wと当該センタ部材とを相対回転させて、工作物Wと一体として回転しないセンタ部材が嵌入されるセンタ穴の修正を行うようにすることができる。
【0045】
なお、駆動金具32は、工作物Wの主軸側端部を把持するチャックにより構成されていてもよい。この場合は、主軸側センタ部材21及び主軸側センタ穴W1は備えられないため、主軸側センタ穴の修正を考慮する必要はない。
【0046】
本実施形態1では、心押側回転抑制機構42はベッド11の上面に固定して配置したが、これに限らず、心押側回転抑制機構42を心押台13の内部に設けてもよい。例えば、心押側回転抑制機構42は、心押台13のハウジングに進退可能に設けて、心押側センタ部材22に係合した状態と当該係合が解除された状態とを切り替え可能なように構成してもよい。
【0047】
また、本実施形態1では、主軸側回転抑制機構41は駆動金具32を介して工作物Wの回転抑制を行うものとしたが、これに限らず、主軸側回転抑制機構41は直接工作物Wに係合して工作物Wの回転抑制を行うようにしてもよい。なお、この場合は主軸側回転抑制機構41が直接接触する工作物Wの部位は、被加工部位以外の部位とすることが好ましい。また、工作機械1が砥石車16と反対側に工作物Wが砥石車16に押されて退避することを防止するレスト装置を有している場合は、当該レスト装置を工作物Wに押し当てることにより工作物Wの回転抑制を行うこととし、当該レスト装置により主軸側回転抑制機構41が構成されるようにしてもよい。
【0048】
本実施形態1では、駆動機構30は主軸台12に設けられているが、これに限らず主軸台12と心押台13の両方に駆動機構30を設けて2つの駆動機構30を同期させて使用することとしてもよい。
【0049】
(実施形態2)
上述の実施形態1では、モータ31は第1方向R1の回転駆動力のみを発生させるとともに、心押側回転抑制機構42は進退可能な駆動ピン42aを備えることとしたが、本実施形態2では、これに替えて、モータ31は第1方向R1の回転駆動力と第2方向R2の回転駆動力とを切り替えて発生させるように構成されており、
図5に示すように、心押側回転抑制機構42はラチェット部材420aを備えている。
【0050】
そして、
図5に示すように、ラチェット部材420aの先端は、第1方向R1に対向する側が緩やかに湾曲した傾斜面となっている。そして、ラチェット部材420aは、心押側回転抑制機構42に保持されたバネ420bにより、心押側センタ部材22に常に付勢されている。これにより、心押側回転抑制機構42は、加工時には第1方向R1の回転駆動力で駆動することで、ラチェット部材420aは心押側センタ部材22の溝22aを乗り越えることができるため、心押側センタ部材22の回転を許容する。一方、センタ穴修正時には、第2方向R2の回転駆動力で駆動することで、ラチェット部材420aは心押側センタ部材22の溝22aに係合して、心押側センタ部材22の回転を抑制することができる。なお、その他の構成は実施形態1の場合と同様であって、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0051】
なお、本実施形態2における心押側回転抑制機構42のラチェット部材420aと同様の構成を主軸側回転抑制機構41に設けて、ラチェット部材420aによる心押側センタ部材22の回転抑制及び回転許容と同様に、工作物Wの回転抑制及び回転許容を行うようにしてもよい。
【0052】
すなわち、実施形態2では、駆動機構30は、回転駆動力として第1方向R1の回転駆動力と第1方向R1と反対方向の第2方向R2の回転駆動力とを切り替えて発生させるように構成されており、回転抑制機構40は、工作物W及びセンタ部材20の一方が第1方向R1に回転することを許容して第2方向R2に回転することを抑制するラチェット部材420aを備える。そして、加工制御部3aは、第1方向R1の回転駆動力により、工作物W及びセンタ部材20を一体として回転させて工作物の加工を行う。一方、センタ穴修正制御部3bは、回転抑制機構40により工作物W及びセンタ部材20の一方の回転を抑制した状態で、第2方向R2の回転駆動力により工作物W及びセンタ部材20の他方を回転させることにより、工作物Wとセンタ部材20とを相対回転させてセンタ穴の修正を行う。
【0053】
本実施形態2では、心押側回転抑制機構42に設けたラチェット部材420aにより、モータ31の回転駆動力の回転方向を反転するだけで、心押側センタ部材22の回転許容と回転抑制とを切り替えることができる。また、心押側回転抑制機構42に設けたラチェット部材420aと同様の機構を主軸側回転抑制機構41に設けることにより、モータ31の回転駆動力の回転方向を反転するだけで、工作物Wの回転許容と回転抑制とを切り替えることができる。これらにより、簡易な構成で制御負荷を軽減することができる。本実施形態2においても実施形態1の場合と同等の作用効果を奏する。
【0054】
(実施形態3)
本実施形態3では、
図6に示すように、ラチェット部材421aは断面矩形であるが、心押側センタ部材22の凹部220aが、第1方向R1に対応する壁面が立ち上がった面となっており、凹部220aにおける反対側の壁面は緩やかに湾曲した傾斜面となっており凹部220aの底部まで滑らかにつながった形状を有することにより、ラチェット構造を実現している。本実施形態3においても、実施形態1、2と同様の作用効果を奏する。
【0055】
(実施形態4)
上述の実施形態1では、主軸側回転抑制機構41は進退可能な駆動ピン41aを備えることとしたが、これに替えて、本実施形態4では、
図7(a)及び
図7(b)に示すように、主軸側回転抑制機構41は、回転可能なカム部材410aを備えている。主軸側回転抑制機構41は、カム部材410aは、
図7(a)に示すように、カム部材410aの先端が駆動金具32から離隔するようにカム部材410aを回転させた状態とすることで、カム部材410aと駆動金具32とが係合せずに工作物Wの回転を許容する状態とすることができる。一方、
図7(b)に示すように、カム部材410aの先端が駆動金具32に近接するようにカム部材410aを回転させた状態とすることで、カム部材410aと駆動金具32とを係合させて工作物Wの回転を抑制する状態とすることができる。本実施形態4においても、実施形態1の場合と同等の作用効果を奏する。
【0056】
なお、本実施形態4における主軸側回転抑制機構41におけるカム部材410aと同様の構成を心押側回転抑制機構42に設けて、カム部材410aによる工作物Wの回転抑制及び回転許容と同様に、心押側センタ部材22の回転抑制及び回転許容を行うようにしてもよい。
【0057】
(実施形態5)
本実施形態5の工作機械1は、
図9に示すように、上述の実施形態1の構成に加えて、加工精度判定部3cとセンタ穴修正要否判定部3dとをさらに備える。その他の構成について、実施形態1と同等の構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0058】
図9に示す加工精度判定部3cは、工作物Wの加工精度を判定する。加工精度の判定を行うタイミングは、加工途中や加工終了時とすることができる。加工精度の判定方法は限定されないが、例えば、図示しない定寸装置により工作物Wの大きさを計測して目標形状との差異を検出したり、カメラで工作物Wの画像を取得して画像処理により目標形状と比較する方法が例示できる。加工精度判定部3cによる判定結果は、加工途中又は加工完了後の工作物Wの形状と目標形状との差異を数値化したものとすることができる。
【0059】
図9に示すセンタ穴修正要否判定部3dは、加工精度判定部3cの判定結果に基づいてセンタ穴修正の要否判定を行う。センタ穴修正要否判定部3dは、例えば、予め設定された基準値と、加工精度判定部3cによる判定結果の数値とを比較して、加工精度判定部3cによる判定結果の数値が基準値よりも大きい場合に、センタ穴の修正が要と判定することができる。
【0060】
次に、
図9を用いて、センタ穴修正要否判定のフローを説明する。まず、
図9のステップS20において、加工制御部3aにより、工作物Wの加工を開始する。そして、ステップS21において、加工精度判定部3cにより工作物Wの加工精度を判定する。
【0061】
その後、ステップS22において、センタ穴修正要否判定部3dにより、加工精度判定部3cの判定結果としての加工精度と基準値とを比較する。ステップS22において、加工精度が基準値以下であると判定された場合は、ステップS22のYesに進み、ステップS23において、センタ穴修正要否判定部3dはセンタ穴修正が要と判定する。その後、
図4に示す実施形態1のセンタ穴修正の制御フローのステップS2以降を実施する。
【0062】
一方、ステップS22において、加工精度が基準値以下でないと判定された場合は、ステップS22のNoに進み、ステップS24において、センタ穴修正要否判定部3dはセンタ穴修正が不要と判定する。その後、ステップS25において、加工制御部3aにより、工作物Wの加工が完了しているか否か判定する。
【0063】
ステップS25において、工作物Wの加工が完了していないと判定された場合は、ステップS25のNoに進み、ステップS26において、加工制御部3aにより、工作物Wの加工を継続する、そして、再度ステップS21に戻り以降のステップを実施する。一方、ステップS25において、ステップS25のYesに進み、工作物Wの加工が完了していると判定された場合は、当該制御フローを終了する。
【0064】
本実施形態5では、センタ穴W1、W2の修正を適切なタイミングで行うことができ、作業効率の向上と加工精度の維持が図られる。
【0065】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 工作機械
3a 加工制御部
3b センタ穴修正制御部
3c 加工精度判定部
3d センタ穴修正要否判定部
12 主軸台
13 心押台
20 センタ部材
21 主軸側センタ部材
22 心押側センタ部材
30 駆動機構
31 モータ
32 駆動金具
33、41a、42a 駆動ピン
40 回転抑制機構
41 主軸側回転抑制機構
42 心押側回転抑制機構
420a、421a ラチェット部材