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  • 特開-空気圧縮機およびガス圧縮機 図1
  • 特開-空気圧縮機およびガス圧縮機 図2
  • 特開-空気圧縮機およびガス圧縮機 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039400
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】空気圧縮機およびガス圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F25B 9/00 20060101AFI20240314BHJP
   F04B 41/02 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
F25B9/00 301
F04B41/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143924
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松隈 正樹
(72)【発明者】
【氏名】笠井 一徳
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大輔
【テーマコード(参考)】
3H076
【Fターム(参考)】
3H076AA35
3H076BB38
3H076BB50
3H076CC99
(57)【要約】
【課題】等温圧縮が可能で設置面積を低減可能なコンパクトな圧縮時間の短い空気圧縮機およびガス圧縮機を提供する。
【解決手段】空気が入れられた圧縮タンク12と、前記圧縮タンク12に接続したプレート熱交換器14と、前記圧縮タンク12に加圧水を給水する機能と、前記圧縮タンク12側から前記プレート熱交換器14に向けて加圧水を給水する機能を有する水ポンプ16とを備え、圧縮圧力比が所定値以下の場合には、前記圧縮タンク12の部分で断熱圧縮に近いポリトロープ圧縮を行う一方、圧縮圧力比が所定値超の場合には、前記プレート熱交換器14の部分で等温圧縮するようにする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
等温で空気を圧縮する空気圧縮機であって、
空気が入れられた圧縮タンクと、前記圧縮タンクに接続したプレート熱交換器と、前記圧縮タンクに加圧水を給水する機能と、前記圧縮タンク側から前記プレート熱交換器に向けて加圧水を給水する機能を有する水ポンプとを備え、圧縮圧力比が所定値以下の場合には、前記圧縮タンクの部分で断熱圧縮に近いポリトロープ圧縮を行う一方、圧縮圧力比が所定値超の場合には、前記プレート熱交換器の部分で等温圧縮することを特徴とする空気圧縮機。
【請求項2】
水素ガス、炭酸ガス、アンモニアガス、窒素ガスもしくは酸素ガス、または、これらの組み合わせからなるガスを等温で圧縮するガス圧縮機であって、
前記ガスが入れられた圧縮タンクと、前記圧縮タンクに接続したプレート熱交換器と、前記圧縮タンクに加圧水を給水する機能と、前記圧縮タンク側から前記プレート熱交換器に向けて加圧水を給水する機能を有する水ポンプとを備え、圧縮圧力比が所定値以下の場合には、前記圧縮タンクの部分で断熱圧縮に近いポリトロープ圧縮を行う一方、圧縮圧力比が所定値超の場合には、前記プレート熱交換器の部分で等温圧縮することを特徴とするガス圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、等温で空気を圧縮する空気圧縮機およびガス圧縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空気圧縮機が知られている(例えば、特許文献1を参照)。空気圧縮機の空気圧縮方法は断熱圧縮方式であり、等温圧縮より理論的に圧縮行程で37%程度、消費電力が多い。また、機械的圧縮で高低圧隙間からの漏れが10%程度あり、電力ロスとなる。吐出温度が高温になるため、高温吐出空気の冷却が必要である。吐出圧力が一般的な7BAR程度でもオイルフリー空気圧縮機では吐出温度制限から2段圧縮が必要である。20BAR程度では3段圧縮と吐出圧力に比例し圧縮段数が増加し高価となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-174105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の等温圧縮式を目指す等温空気圧縮機開発では、圧縮行程での発生熱を冷却して吐出温度を上昇させないため、発生圧縮熱をQc(kcal/h)、総括熱伝達係数をκ(kcal/m2h)、冷却面積をA(m2)、空気と冷却熱媒との温度差をΔTlnとすると、Qc=κ×A×ΔTlnとなることから、Aを短い圧縮時間の間に如何に大きくとることに腐心している。
【0005】
これまでの等温圧縮機開発に関し、本発明者はいくつか検討を行った。検討例1は、吸気空気に界面活性剤を微量に含ませた、空気のマイクロ水バブルを生成してバブルの水膜に発生熱を吸収させ、吐出後、遠心分離等で水と空気を分離し水を回収するものである。小型モデルでは、この方法である程度、等温圧縮化ができたが、実証規模では、マイクロバブルでの冷却面積Aの拡大に成功せず、断熱圧縮と大差ない結果となった。
【0006】
検討例2は、水平タンク内に水ポンプで加圧水を投入し、水面上昇に連れて水平タンク内の空気が圧縮され、規定圧力に達した時、吐出弁を開とし圧縮空気を吐出するものである。水で満水となった水平タンク内の加圧水を水ポンプ吸水側に開放すると同時に、断熱圧縮と等温圧縮で消費電力の差が少ない低圧(1~2BAR)の空気を充填し、最初に戻るサイクルを繰り返す。この方法は、圧縮用の水平タンクを複数用い、交互に水平タンクを切り替えて圧縮することで、水ポンプの連続運転を可能としている。水平タンク内の水面を広大にとり、水平タンク上面の複数部から加圧水を噴出させ、水面面積と噴出部水面積に水温と圧縮空気温度の差分の熱交換が行われることにより、等温圧縮を可能としている。この方法は、発生する熱量の割に大きな横型の水平タンクが必要であり、設置面積が大きく、またコストも安価にならないことが予想された。圧縮サイクル時間が機械式に比べて長いことから、圧力脈動抑制用エアタンク容量が大きくなる可能性もある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、等温圧縮が可能で設置面積を低減可能なコンパクトな圧縮時間の短い空気圧縮機およびガス圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る空気圧縮機は、等温で空気を圧縮する空気圧縮機であって、空気が入れられた圧縮タンクと、前記圧縮タンクに接続したプレート熱交換器と、前記圧縮タンクに加圧水を給水する機能と、前記圧縮タンク側から前記プレート熱交換器に向けて加圧水を給水する機能を有する水ポンプとを備え、圧縮圧力比が所定値以下の場合には、前記圧縮タンクの部分で断熱圧縮に近いポリトロープ圧縮を行う一方、圧縮圧力比が所定値超の場合には、前記プレート熱交換器の部分で等温圧縮することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るガス圧縮機は、水素ガス、炭酸ガス、アンモニアガス、窒素ガスもしくは酸素ガス、または、これらの組み合わせからなるガスを等温で圧縮するガス圧縮機であって、前記ガスが入れられた圧縮タンクと、前記圧縮タンクに接続したプレート熱交換器と、前記圧縮タンクに加圧水を給水する機能と、前記圧縮タンク側から前記プレート熱交換器に向けて加圧水を給水する機能を有する水ポンプとを備え、圧縮圧力比が所定値以下の場合には、前記圧縮タンクの部分で断熱圧縮に近いポリトロープ圧縮を行う一方、圧縮圧力比が所定値超の場合には、前記プレート熱交換器の部分で等温圧縮することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る空気圧縮機によれば、等温で空気を圧縮する空気圧縮機であって、空気が入れられた圧縮タンクと、前記圧縮タンクに接続したプレート熱交換器と、前記圧縮タンクに加圧水を給水する機能と、前記圧縮タンク側から前記プレート熱交換器に向けて加圧水を給水する機能を有する水ポンプとを備え、圧縮圧力比が所定値以下の場合には、前記圧縮タンクの部分で断熱圧縮に近いポリトロープ圧縮を行う一方、圧縮圧力比が所定値超の場合には、前記プレート熱交換器の部分で等温圧縮するので、圧縮タンクのみの従来の等温圧縮機構成に比べてプレート熱交換器の空間容積分だけ吸気体積が拡大する。拡大された熱交換器部は圧縮タンクのみに比べ広大な冷却面積を持つため圧縮に要する時間をタンクのみの圧縮時より低減できる。したがって、従来よりも設置面積を低減可能なコンパクトな空気圧縮機を提供することができるという効果を奏する。
【0011】
また、本発明に係るガス圧縮機によれば、水素ガス、炭酸ガス、アンモニアガス、窒素ガスもしくは酸素ガス、または、これらの組み合わせからなるガスを等温で圧縮するガス圧縮機であって、前記ガスが入れられた圧縮タンクと、前記圧縮タンクに接続したプレート熱交換器と、前記圧縮タンクに加圧水を給水する機能と、前記圧縮タンク側から前記プレート熱交換器に向けて加圧水を給水する機能を有する水ポンプとを備え、圧縮圧力比が所定値以下の場合には、前記圧縮タンクの部分で断熱圧縮に近いポリトロープ圧縮を行う一方、圧縮圧力比が所定値超の場合には、前記プレート熱交換器の部分で等温圧縮するので、圧縮タンクのみの従来の等温圧縮機構成に比べてプレート熱交換器の空間容積分だけ吸気体積が拡大する。拡大された熱交換器部は圧縮タンクのみに比べ広大な冷却面積を持つため圧縮に要する時間をタンクのみの圧縮時より低減できる。したがって、従来よりも設置面積を低減可能なコンパクトなガス圧縮機を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明に係る空気圧縮機の実施の形態を示す概略構成図である。
図2図2は、本実施の形態による圧縮行程の説明図である。
図3図3は、圧縮PV線と、ポリトロープ変化を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る空気圧縮機の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る空気圧縮機10は、等温で空気を圧縮する空気圧縮機であって、空気が入れられた圧縮タンク12と、圧縮タンク12に接続したプレート熱交換器14と、圧縮タンク12に加圧水を給水する機能と、圧縮タンク12側からプレート熱交換器14に向けて加圧水を給水する機能を有する水ポンプ16とを備える。
【0015】
圧縮タンク12には、小型タンクを用いる。水ポンプ16は、図示しない水タンクからの水を給水管18を介して圧縮タンク12に給水可能である。給水管18の下端部には、圧縮タンク12への給水量を制御するための制御弁20が設けられている。
【0016】
プレート熱交換器14は、圧縮タンク12と配管22で接続され、圧縮タンク12の上側に配置される。このプレート熱交換器14は、筐体24内に収容された縦置きの複数枚の金属製のプレート26を備える。プレート26は、水平方向に多数積層されている。プレート26によって、冷却媒体が通る冷媒流路28と、この冷媒流路28を流れる冷却媒体と熱交換される空気が通る空気流路30とが積層方向に交互に形成される。筐体24の上部には、各空気流路30の上端と連通する空気取入流路32と、各冷媒流路28の上端と連通する冷媒排出流路34とがそれぞれ形成されている。一方、筐体24の下部には、各空気流路30の下端と連通する空気排出流路36と、各冷媒流路28の下端と連通する冷媒取入流路38とがそれぞれ形成されている。空気取入流路32、冷媒排出流路34、空気排出流路36、冷媒取入流路38は、多数積層されたプレート26を積層方向に貫通する管状に形成されており、管の一方端が開口し他方端が閉口している。
【0017】
冷媒排出流路34の開口端と空気排出流路36の開口端は、筐体24の外側の配管40で接続している。冷媒取入流路38の開口端には、圧縮タンク12からの配管22が接続している。空気取入流路32の開口端は、配管42および制御弁44を介してバッファータンクBTと接続している。バッファータンクBTには、配管46および制御弁48が接続している。なお、バッファータンクBTは、配管50および制御弁52を介して水ポンプ16側の給水管18と連通可能である。
【0018】
上記のように構成することで、等温圧縮式の空気圧縮機10の吸気体積を拡大する。すなわち、空気圧縮機10の圧縮容器をプレート熱交換器14と小型の圧縮タンク12を組み合わせた構成とし、断熱圧縮と消費動力に差が少ない低圧縮比範囲は等温圧縮効果が小さい圧縮とし、圧縮圧力比が一定以上高まったところからプレート26で熱伝達面積を急増させる構造とする。
【0019】
この空気圧縮機10による圧縮行程の一例を、図2(1)~(6)に示す。なお、図2(1)は吸気・圧縮開始時の状況、(2)は25%圧縮の状況、(3)は50%圧縮の状況、(4)は75%圧縮の状況、(5)は100%圧縮となり圧縮終了の状況(充填開始時)、(6)は圧縮空気吐出時(充填完了時)である。まず、図2(2)に示すように、制御弁20を開放し、水ポンプ16で加圧水を圧縮タンク12に給水する。バッファータンクBT側の制御弁44は開放し、制御弁48は閉じておく。圧縮タンク12が加圧水で満たされると、圧縮タンク12内の加圧水は配管22を通じてプレート熱交換機14に入り、冷媒取入流路38から各冷媒流路28を上昇する。その後、図2(3)の状態を経て、各冷媒流路28を満たした加圧水が冷媒排出流路34に達すると、図2(4)に示すように、加圧水は配管40を通じて空気排出流路36に入り、各空気流路30を上昇する。その後、図2(5)の100%圧縮に達すると圧縮終了する。図2(6)に示すように、バッファータンクBT側の制御弁48を開き、圧縮空気を外部に吐出する。
【0020】
プレート熱交換器14の高温側流路の体積をVh(m)、低温側流路の体積をVl(m)、圧縮タンク12の体積をVt(m)とすると、圧縮開始時の空気圧縮機10の吸気体積Vsは、Vs=Vh+Vl+Vtである。等温圧縮の場合、圧力Pと体積Vの積は一定であり、P×Vs=一定となるため、Vt=α×(Vh+Vl)とすると、α=1の場合、空気圧縮機10の吸気圧力が大気圧のときは、吐出圧力が1BARまでは横型の圧縮タンク12の部分で断熱圧縮に近いポリトロープ圧縮、1BAR超ではプレート熱交換器14の部分で等温圧縮とすることができる。例えば、図3に示すように、プレート熱交換器の流路(Vh+Vl)による等温圧縮範囲は、ポリトロープ指数n=1.0に近似である。圧縮タンク(Vt)による断熱圧縮範囲は、ポリトロープ指数n=1.4である。
【0021】
このように、圧縮圧力比が所定値以下の場合には、圧縮タンク12の部分で断熱圧縮に近いポリトロープ圧縮を行う一方、圧縮圧力比が所定値超の場合には、プレート熱交換器14の部分で等温圧縮するので、圧縮タンク12のみの従来の構成に比べてプレート熱交換器14の空間容積分だけ吸気体積が拡大する。したがって、本実施の形態によれば、従来よりも設置面積を低減可能で冷却面積が大であることから圧縮サイクル時間が低減できるコンパクトな空気圧縮機を提供することができる。
【0022】
本実施の形態によれば、等温圧縮効果の少ない圧縮比の時間帯を断熱圧縮化しても消費動力への増大が少ないまま吸気体積を倍程度にすることが可能となって、等温圧縮式の空気圧縮機としての価格競争力が増すとともに、機器寸法を横型の水平タンクを用いた等温圧縮式の空気圧縮機よりも大幅にコンパクトにすることが可能となる。
【0023】
また、単段高圧縮比の等温圧縮機を実現することができる。すなわち、特性を生かし、空気冷却用のプレート熱交換器14の空気側の空気流路30と、冷却媒体側の冷媒流路28を配管40で連結して、プレート熱交換器14内の空間容積として空気側、冷却媒体側の双方の合計を利用できるようにする。これにより、冷却媒体と圧縮空気はプレート熱交換器14の各プレート26を介した熱交換が可能であり、かつ圧縮熱が多く発生する高圧縮比行程でプレート熱交換器14全体を使用した単段等温圧縮が可能となる。
【0024】
また、プレート熱交換器14内の流路の空気を加圧水が上昇して圧縮することにより、機械的圧縮で発生する高圧側から低圧側への空気漏れは生じないので、空気圧縮機の性能で評価される吸気効率は100%となり、この分だけ消費電力の節減と、温度上昇の低減効果が期待できる。
【0025】
また、圧縮行程における吐出温度上昇による圧縮圧力比の制限が無くなることから、水ポンプ16の吐出圧力とプレート熱交換器14の耐圧力まで単段で圧縮することが可能となる。
【0026】
(実施例)
本発明は、等温圧縮式の空気圧縮機の大幅なコンパクト化と設置面積の縮小を図ることができる。例えば、25kWの等温圧縮式の空気圧縮機の場合、従来方式では横型タンクの仕様は、体積5m、径800mm、長さ5m、熱交換面積2~3m程度とすることができる。これに対し、本発明の実施例では、横型タンク(圧縮タンク12)の体積0.2m、プレート熱交換器14の体積0.2mとすると合計0.4m、熱交換面積100mで実現することができる。物理的には、本実施例は従来方式の1/10の体積で30倍の熱交換面積を確保できることになる。
【0027】
また、圧縮サイクル時間低減によるエアタンク脈動幅の低減を図ることができる。例えば、1サイクルの圧縮時間が1/10程度になり、従来方式が1サイクル5分と仮定すると、本実施例では1サイクル30秒程度となる。
【0028】
以上説明したように、本発明に係る空気圧縮機によれば、等温で空気を圧縮する空気圧縮機であって、空気が入れられた圧縮タンクと、前記圧縮タンクに接続したプレート熱交換器と、前記圧縮タンクに加圧水を給水する機能と、前記圧縮タンク側から前記プレート熱交換器に向けて加圧水を給水する機能を有する水ポンプとを備え、圧縮圧力比が所定値以下の場合には前記圧縮タンクの部分で断熱圧縮に近いポリトロープ圧縮を行う一方、圧縮圧力比が所定値超の場合には、前記プレート熱交換器の部分で等温圧縮するので、圧縮タンクのみの従来の等温圧縮機構成に比べてプレート熱交換器の空間容積分だけ吸気体積が拡大する。拡大された熱交換器部は圧縮タンクのみに比べ広大な冷却面積を持つため圧縮に要する時間をタンクのみの圧縮時より低減できる。したがって、従来よりも設置面積を低減可能なコンパクトな空気圧縮機を提供することができる。
【0029】
また、本発明に係るガス圧縮機によれば、水素ガス、炭酸ガス、アンモニアガス、窒素ガスもしくは酸素ガス、または、これらの組み合わせからなるガスを等温で圧縮するガス圧縮機であって、前記ガスが入れられた圧縮タンクと、前記圧縮タンクに接続したプレート熱交換器と、前記圧縮タンクに加圧水を給水する機能と、前記圧縮タンク側から前記プレート熱交換器に向けて加圧水を給水する機能を有する水ポンプとを備え、圧縮圧力比が所定値以下の場合には、前記圧縮タンクの部分で断熱圧縮に近いポリトロープ圧縮を行う一方、圧縮圧力比が所定値超の場合には、前記プレート熱交換器の部分で等温圧縮するので、圧縮タンクのみの従来の等温圧縮機構成に比べてプレート熱交換器の空間容積分だけ吸気体積が拡大する。拡大された熱交換器部は圧縮タンクのみに比べ広大な冷却面積を持つため圧縮に要する時間をタンクのみの圧縮時より低減できる。したがって、従来よりも設置面積を低減可能なコンパクトなガス圧縮機を提供することができる。
【0030】
なお、2015年9月の国連サミットにおいて採択された17の国際目標として「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」がある。本実施の形態に係る空気圧縮機およびガス圧縮機は、このSDGsの17の目標のうち、例えば「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」の目標などの達成に貢献し得る。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上のように、本発明に係る空気圧縮機およびガス圧縮機は、等温で空気を圧縮する空気圧縮機に有用であり、特に、設置面積を低減してコンパクト化を図るのに適している。
【符号の説明】
【0032】
10 空気圧縮機
12 圧縮タンク
14 プレート熱交換器
16 水ポンプ
18 給水管
20,44,48,52 制御弁
22,40,42,46,50 配管
24 筐体
26 プレート
28 冷媒流路
30 空気流路
32 空気取入流路
34 冷媒排出流路
36 空気排出流路
38 冷媒取入流路
BT バッファータンク
図1
図2
図3