(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039406
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 5/24 20060101AFI20240314BHJP
H02K 5/173 20060101ALI20240314BHJP
H02K 1/18 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
H02K5/24 A
H02K5/173 A
H02K1/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143937
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 遼太
【テーマコード(参考)】
5H601
5H605
【Fターム(参考)】
5H601AA02
5H601AA08
5H601CC05
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601EE18
5H601GA02
5H601GA23
5H601GA33
5H601GA40
5H601KK18
5H605AA04
5H605BB01
5H605BB05
5H605CC02
5H605CC03
5H605CC04
5H605CC10
5H605EA06
5H605EB10
5H605EB17
5H605GG06
(57)【要約】
【課題】ステータからハウジングへの振動伝達を低減する。
【解決手段】回転電機は、軸を備えるロータと、前記ロータを囲むステータと、前記ステータを収容するハウジングと、を有する。前記回転電機は、前記ステータに設けられ、複数の第1凹部が周方向に形成される第1環状部材と、前記ハウジングに設けられ、複数の第2凹部が周方向に形成される第2環状部材と、を有する。前記回転電機は、前記第1環状部材と前記第2環状部材との間に設けられ、前記第1凹部と前記第2凹部との双方に入る複数の球体と、を有する。前記第1環状部材、前記第2環状部材および前記球体によって、前記ハウジングと前記ステータとを連結する連結機構が構成されている。前記連結機構の径方向のバックラッシは、前記連結機構の周方向のバックラッシよりも狭く、かつ前記連結機構の軸方向のバックラッシよりも狭い。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸を備えるロータと、
前記ロータを囲むステータと、
前記ステータを収容するハウジングと、
前記ステータに設けられ、複数の第1凹部が周方向に形成される第1環状部材と、
前記ハウジングに設けられ、複数の第2凹部が周方向に形成される第2環状部材と、
前記第1環状部材と前記第2環状部材との間に設けられ、前記第1凹部と前記第2凹部との双方に入る複数の球体と、
を有し、
前記第1環状部材、前記第2環状部材および前記球体によって、前記ハウジングと前記ステータとを連結する連結機構が構成されており、
前記連結機構の径方向のバックラッシは、前記連結機構の周方向のバックラッシよりも狭く、かつ前記連結機構の軸方向のバックラッシよりも狭い、
回転電機。
【請求項2】
請求項1に記載の回転電機において、
前記第1環状部材は、前記第1凹部が内周面に形成される外輪部材であり、
前記第2環状部材は、前記第2凹部が外周面に形成される内輪部材である、
回転電機。
【請求項3】
請求項1に記載の回転電機において、
前記第1環状部材は、前記第1凹部が外周面に形成される内輪部材であり、
前記第2環状部材は、前記第2凹部が内周面に形成される外輪部材である、
回転電機。
【請求項4】
請求項1に記載の回転電機において、
前記第1環状部材と前記第2環状部材との少なくとも何れか一方は、少なくとも2つの部材に分割可能である、
回転電機。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の回転電機において、
前記ステータに設けられる前記第1環状部材として、前記ステータの第1端部に設けられる第1ステータ側環状部材と、前記ステータの第2端部に設けられる第2ステータ側環状部材と、があり、
前記ハウジングに設けられる前記第2環状部材として、前記第1ステータ側環状部材の径方向に位置する第1ハウジング側環状部材と、前記第2ステータ側環状部材の径方向に位置する第2ハウジング側環状部材と、があり、
前記球体として、前記第1ステータ側環状部材と前記第1ハウジング側環状部材との間に設けられる複数の第1球体と、前記第2ステータ側環状部材と前記第2ハウジング側環状部材との間に設けられる複数の第2球体と、があり、
前記連結機構として、前記第1ステータ側環状部材、前記第1ハウジング側環状部材および前記第1球体からなる第1連結機構と、前記第2ステータ側環状部材、前記第2ハウジング側環状部材および前記第2球体からなる第2連結機構と、がある、
回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車両や電気自動車等の車両には、回転電機であるモータジェネレータが搭載されている。モータジェネレータは、ハウジングに取り付けられるステータと、ステータの内側に収容されるロータと、を有している(特許文献1-4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-90311号公報
【特許文献2】国際公開第2014/136504号
【特許文献3】特許第6670863号公報
【特許文献4】特許第3448416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ステータコイルに対して通電が行われると、磁気歪みによる振動がステータに発生し、ステータからハウジングに対して振動が伝達される。このように、ステータからハウジングへの振動伝達は、モータジェネレータの振動や騒音を増加させる要因であるため、ステータからハウジングへの振動伝達を低減することが求められている。
【0005】
本発明の目的は、ステータからハウジングへの振動伝達を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態の回転電機は、軸を備えるロータと、前記ロータを囲むステータと、前記ステータを収容するハウジングと、前記ステータに設けられ、複数の第1凹部が周方向に形成される第1環状部材と、前記ハウジングに設けられ、複数の第2凹部が周方向に形成される第2環状部材と、前記第1環状部材と前記第2環状部材との間に設けられ、前記第1凹部と前記第2凹部との双方に入る複数の球体と、を有し、前記第1環状部材、前記第2環状部材および前記球体によって、前記ハウジングと前記ステータとを連結する連結機構が構成されており、前記連結機構の径方向のバックラッシは、前記連結機構の周方向のバックラッシよりも狭く、かつ前記連結機構の軸方向のバックラッシよりも狭い。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、連結機構の径方向のバックラッシは、連結機構の周方向のバックラッシよりも狭く、かつ連結機構の軸方向のバックラッシよりも狭い。これにより、ステータからハウジングへの振動伝達を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】パワーユニットが搭載される車両を示した図である。
【
図2】パワーユニットの内部構造の一例を示した図である。
【
図3】本発明の一実施形態である回転電機としてのモータジェネレータを示した断面図である。
【
図4】ロータが外されたモータジェネレータを示した断面図である。
【
図5】
図4のA-A線に沿って第1連結機構を示した断面図である。
【
図6】第1連結機構の分解状態と組付状態とを示した図である。
【
図7】
図7は本発明の他実施形態1であるモータジェネレータを示した断面図である。
【
図8】本発明の他実施形態2であるモータジェネレータを示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一または実質的に同一の構成や要素については、同一の符号を付して繰り返しの説明を省略する。
【0010】
[パワーユニット]
図1はパワーユニット10が搭載される車両11を示した図である。
図1に示すように、車両11には、エンジン12およびモータジェネレータMG1,MG2を備えたパワーユニット10が搭載されている。パワーユニット10の後輪出力軸13には、プロペラ軸14およびリアデファレンシャル機構15を介して後輪16が連結されている。また、パワーユニット10にはフロントデファレンシャル機構17が組み込まれており、フロントデファレンシャル機構17には前輪18が連結されている。図示するパワーユニット10は、全輪駆動用のパワーユニットであるが、これに限られることはなく、前輪駆動用や後輪駆動用のパワーユニットであっても良い。
【0011】
図2はパワーユニット10の内部構造の一例を示した図である。
図2に示すように、パワーユニット10には、エンジントルクやモータトルクを前後輪に出力するため、モータジェネレータMG2の中央を貫通するメイン出力軸20が設けられている。メイン出力軸20には、ギア列21を介して前輪出力軸22が連結されるとともに、トランスファクラッチ23を介して後輪出力軸13が連結されている。また、メイン出力軸20には、ギア列24を介して遊星ギア列からなる動力分割機構25が連結されている。この動力分割機構25には、モータジェネレータMG1が連結されるとともに、エンジン12がダンパ機構26およびギア列27を介して連結されている。さらに、メイン出力軸20には、モータジェネレータMG2が遊星ギア列28を介して連結されている。なお、前輪出力軸22には前述したフロントデファレンシャル機構17が連結されている。
【0012】
[モータジェネレータ(回転電機)]
図3は本発明の一実施形態である回転電機としてのモータジェネレータMG2を示した断面図である。
図3に示すように、モータジェネレータMG2は、ハウジング30に収容される円筒形状のステータ31と、ステータ31の径方向内側に収容されるロータ32と、を有している。つまり、モータジェネレータMG2のハウジング30内には、ロータ32を囲むようにステータ31が設けられている。また、ハウジング30は、ステータ31を取り囲む円筒形状のハウジング本体33と、ハウジング本体33の開口端に取り付けられるハウジングカバー34と、を有している。
【0013】
ステータ31は、複数枚の電磁鋼板からなる円筒形状のステータコア35と、ステータコア35に巻き付けられる三相のステータコイル36と、を有している。また、ロータ32は、複数枚の電磁鋼板からなる円筒形状のロータコア37と、ロータコア37に埋め込まれる複数の永久磁石38と、ロータコア37の中央に固定される中空のロータ軸(軸)39と、を有している。さらに、ロータ軸39の一端部は、軸受40を介してハウジング本体33に支持されており、ロータ軸39の他端部は、軸受41を介してハウジングカバー34に支持されている。
【0014】
ステータ31の一端部(第1端部)31aとハウジング本体33とは、第1連結機構(連結機構)51を介して連結されている。この第1連結機構51は、ステータ31に取り付けられる第1外輪部材(第1環状部材,外輪部材,第1ステータ側環状部材)52と、ハウジング本体33に取り付けられる第1内輪部材(第2環状部材,内輪部材,第1ハウジング側環状部材)53と、を有している。また、第1外輪部材52と第1内輪部材53とは互いに径方向に配置されており、第1外輪部材52と第1内輪部材53との間には複数の第1球体(球体)54が設けられている。
【0015】
同様に、ステータ31の他端部(第2端部)31bとハウジングカバー34とは、第2連結機構(連結機構)61を介して連結されている。この第2連結機構61は、ステータ31に取り付けられる第2外輪部材(第1環状部材,外輪部材,第2ステータ側環状部材)62と、ハウジングカバー34に取り付けられる第2内輪部材(第2環状部材,内輪部材,第2ハウジング側環状部材)63と、を有している。また、第2外輪部材62と第2内輪部材63とは互いに径方向に配置されており、第2外輪部材62と第2内輪部材63との間には複数の第2球体(球体)64が設けられている。
【0016】
また、第1外輪部材52および第2外輪部材62は、締結ボルト65を用いてステータ31に固定されており、第1内輪部材53および第2内輪部材63は、スプライン嵌合によってハウジング30に固定されている。なお、ステータ31を軸方向に位置決めするため、ステータ31と第1外輪部材52との間には間隔を規制するスペーサ66が取り付けられるとともに、ステータ31と第2外輪部材62との間には間隔を規制するスペーサ67が取り付けられている。
【0017】
[連結機構]
続いて、ハウジング30とステータ31とを連結する連結機構51,61の構造について説明する。以下、第1連結機構51の構造について説明するが、第1連結機構51と第2連結機構61とは同様の構造を有することから、第2連結機構61の構造説明については省略する。ここで、
図4はロータ32が外されたモータジェネレータMG2を示した断面図であり、
図5は
図4のA-A線に沿って第1連結機構51を示した断面図である。また、
図6は第1連結機構51の分解状態と組付状態とを示した図である。
図6には、第1外輪部材52の断面と第1内輪部材53の側面とが示されている。
【0018】
図4および
図5に示すように、第1連結機構51は、ステータ31に設けられる環状の第1外輪部材52を有している。第1外輪部材52の内周面52aには、複数の第1凹部55が周方向に等間隔で形成されている。また、第1連結機構51は、ハウジング30に設けられる環状の第1内輪部材53を有している。第1内輪部材53の外周面53aには、複数の第2凹部56が周方向に等間隔で形成されている。さらに、第1外輪部材52と第1内輪部材53との間には複数の第1球体54が設けられており、第1球体54は球状の凹みである第1凹部55と第2凹部56との双方に入れられた状態となっている。
【0019】
図6に示すように、第1外輪部材52と第1内輪部材53との間に第1球体54を組み込むため、第1内輪部材53はその中央で2つの環状体(部材)57,58に分割可能である。つまり、第1外輪部材52の第1凹部55に対して複数の第1球体54を組み付けた後に、複数の第1球体54を挟み込むように一対の環状体57,58が互いに組み付けられる。なお、第1内輪部材53を構成する一対の環状体57,58は、図示しないネジ部材等によって固定されている。また、図示する例では、第1内輪部材53を2つの環状体57,58によって分割しているが、これに限られることはなく、第1内輪部材53を3つ以上の部材に分割しても良い。また、図示する例では、第1内輪部材53を2つの環状体57,58によって分割しているが、これに限られることはなく、第1外輪部材52を2つ以上の部材によって分割しても良く、第1外輪部材52と第1内輪部材53との双方を2つ以上の部材によって分割しても良い。
【0020】
図4および
図5の拡大部分に示すように、第1凹部55および第2凹部56の曲率は、第1球体54の曲率よりも小さく設定されている。つまり、第1凹部55および第2凹部56の曲率半径は、第1球体54の曲率半径よりも大きく設定されている。このように、第1凹部55および第2凹部56を設定することにより、符号α1で示すように、第1凹部55の中央においては第1球体54と密着しており、符号α2で示すように、第1凹部55の縁部においては第1球体54との間に隙間が設けられている。同様に、符号β1で示すように、第2凹部56の中央においては第1球体54と密着しており、符号β2で示すように、第2凹部56の縁部においては第1球体54との間に隙間が設けられている。
【0021】
このように、第1凹部55の中央に対して第1球体54を密着させるとともに、第2凹部56の中央に対して第1球体54を密着させることにより、
図4および
図5に破線の矢印X1で示すように、第1外輪部材52の径方向の動作が制限される。また、第1凹部55の縁部と第1球体54との間に隙間を設けるとともに、第2凹部56の縁部と第1球体54との間に隙間を設けることにより、
図4に矢印X2で示すように、第1外輪部材52の軸方向の動作が許容される。さらに、第1凹部55の縁部と第1球体54との間に隙間を設けるとともに、第2凹部56の縁部と第1球体54との間に隙間を設けることにより、
図5に矢印X3で示すように、第1外輪部材52の周方向の動作が許容される。
【0022】
すなわち、第1連結機構51における径方向の遊びであるバックラッシは、第1連結機構51における周方向のバックラッシよりも狭く、かつ第1連結機構51における軸方向のバックラッシよりも狭く設定されている。換言すれば、第1連結機構51の第1外輪部材52に対して同じ大きさの荷重が入力された場合において、第1外輪部材52の径方向の移動量は、第1外輪部材52の周方向の移動量よりも少なく、かつ第1外輪部材52の軸方向の移動量よりも少なく設定されている。また、換言すれば、第1連結機構51における径方向の剛性は、第1連結機構51における周方向の剛性よりも高く、かつ第1連結機構51における軸方向の剛性よりも高く設定されている。
【0023】
これにより、コイル通電時の磁気歪みによってステータ31が振動した場合であっても、連結機構51,61を介してハウジング30に対する振動伝達を抑制することができ、モータジェネレータMG2の振動や騒音を抑制することができる。しかも、連結機構51,61における外輪部材52,62の径方向の動作は制限されるため、ステータ31が径方向に移動することを防止することができ、ステータ31とロータ32との径方向の隙間であるエアギャップを適切に保持することができる。
【0024】
[他実施形態1]
図3に示した例では、2つの連結機構51,61によってハウジング30とステータ31とを連結しているが、これに限られることはなく、例えば1つの連結機構51によってハウジング30とステータ31とを連結しても良い。ここで、
図7は本発明の他実施形態1であるモータジェネレータMG2aを示した断面図である。なお、
図7において、
図3に示した部品や部材と同様の部品や部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0025】
図7に示すように、ステータ31の一端部31aとハウジング本体33とは、第1連結機構51を介して連結されている。この第1連結機構51は、ステータ31に取り付けられる第1外輪部材52と、ハウジング本体33に取り付けられる第1内輪部材53と、を有している。また、第1連結機構51は、第1外輪部材52と第1内輪部材53との間に設けられる複数の第1球体54を有している。また、第1外輪部材52は締結ボルト65を用いてステータ31に固定されており、第1内輪部材53はスプライン嵌合によってハウジング30に固定されている。なお、ステータ31を軸方向に位置決めするため、ステータ31と第1外輪部材52との間には間隔を規制するスペーサ66が取り付けられている。このように、1つの連結機構51によってハウジング30とステータ31とを連結した場合であっても、
図3に示したモータジェネレータMG2と同様に、モータジェネレータMG2aのエアギャップを適切に保持しつつ、モータジェネレータMG2aの振動や騒音を抑制することができる。
【0026】
[他実施形態2]
図2および
図3に示した例では、ステータ31に第1および第2外輪部材52,62を取り付けるとともに、ハウジング30に第1および第2内輪部材53,63を取り付けているが、これに限られることはなく、ステータ31に第1および第2内輪部材53,63を取り付けるとともに、ハウジング30に第1および第2外輪部材52,62を取り付けても良い。ここで、
図8は本発明の他実施形態2であるモータジェネレータMG2bを示した断面図である。なお、
図8において、
図2に示した部品や部材と同様の部品や部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0027】
図8に示すように、ステータ31の一端部(第1端部)31aとハウジング30とは、第1連結機構(連結機構)71を介して連結されている。この第1連結機構71は、ステータ31に取り付けられる第1内輪部材(第1環状部材,内輪部材,第1ステータ側環状部材)72と、ハウジング30に取り付けられる第1外輪部材(第2環状部材,外輪部材,第1ハウジング側環状部材)73と、を有している。また、第1内輪部材72と第1外輪部材73とは互いに径方向に配置されており、第1内輪部材72の第1凹部75と第1外輪部材73の第2凹部76とには複数の第1球体(球体)74が入れられている。なお、第1凹部75および第2凹部76の曲率は、第1球体74の曲率よりも小さく設定されている。
【0028】
同様に、ステータ31の他端部(第2端部)31bとハウジング30とは、第2連結機構(連結機構)81を介して連結されている。この第2連結機構81は、ステータ31に取り付けられる第2内輪部材(第1環状部材,内輪部材,第2ステータ側環状部材)82と、ハウジング30に取り付けられる第2外輪部材(第2環状部材,外輪部材,第2ハウジング側環状部材)83と、を有している。また、第2内輪部材82と第2外輪部材83とは互いに径方向に配置されており、第2外輪部材62の第1凹部85と第2内輪部材63の第2凹部86との間には複数の第2球体(球体)84が設けられている。なお、第1凹部85および第2凹部86の曲率は、第2球体84の曲率よりも小さく設定されている。
【0029】
このように、第1連結機構71および第2連結機構81によってハウジング30とステータ31とを連結する場合であっても、
図2に示したモータジェネレータMG2と同様に、モータジェネレータMG2bのエアギャップを適切に保持しつつ、モータジェネレータMG2bの振動や騒音を抑制することができる。つまり、第1連結機構51における径方向のバックラッシは、第1連結機構51における周方向のバックラッシよりも狭く、かつ第1連結機構51における軸方向のバックラッシよりも狭く設定されている。また、第2連結機構61における径方向のバックラッシは、第2連結機構61における周方向のバックラッシよりも狭く、かつ第2連結機構61における軸方向のバックラッシよりも狭く設定されている。これにより、コイル通電時の磁気歪みによってステータ31が振動した場合であっても、連結機構を介してハウジング30に対する振動伝達を抑制することができ、モータジェネレータMG2bの振動や騒音を抑制することができる。しかも、連結機構における外輪部材の径方向の動作は制限されるため、ステータ31が径方向に移動することを防止することができ、ステータ31とロータ32とのエアギャップを適切に保持することができる。
【0030】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。図示する例では、モータジェネレータMG2に対して本発明を適用しているが、これに限られることはなく、モータジェネレータMG1に対して本発明を適用しても良い。また、図示する例では、ハイブリッド車両のパワーユニット10に組み込まれるモータジェネレータMG2に対して本発明を適用しているが、これに限られることはなく、例えば、ハウジングにデファレンシャル機構および回転電機が組み込まれた電動アクスルに対して本発明を適用しても良い。なお、本発明を適用可能な回転電機としては、ハイブリッド車両や電気自動車等に用いられる回転電機に限られることはなく、他の機器に設けられる回転電機に本発明を適用しても良い。
【0031】
前述の説明では、締結ボルト65を用いてステータ31に外輪部材52,62を取り付けているが、これに限られることはなく、他の方法によってステータ31に外輪部材52,62を取り付けても良い。また、前述の説明では、スプライン嵌合によってハウジング30に内輪部材53,63を取り付けているが、これに限られることはなく、他の方法によってハウジング30に内輪部材53,63を取り付けても良い。
【符号の説明】
【0032】
30 ハウジング
31 ステータ
31a 一端部(第1端部)
31b 他端部(第2端部)
32 ロータ
39 ロータ軸(軸)
51 第1連結機構(連結機構)
52 第1外輪部材(第1環状部材,外輪部材,第1ステータ側環状部材)
52a 内周面
53 第1内輪部材(第2環状部材,内輪部材,第1ハウジング側環状部材)
53a 外周面
54 第1球体(球体)
55 第1凹部
56 第2凹部
57,58 環状体(部材)
61 第2連結機構(連結機構)
62 第2外輪部材(第1環状部材,外輪部材,第2ステータ側環状部材)
63 第2内輪部材(第2環状部材,内輪部材,第2ハウジング側環状部材)
64 第2球体(球体)
71 第1連結機構(連結機構)
72 第1内輪部材(第1環状部材,内輪部材,第1ステータ側環状部材)
73 第1外輪部材(第2環状部材,外輪部材,第1ハウジング側環状部材)
74 第1球体(球体)
75 第1凹部
76 第2凹部
81 第2連結機構(連結機構)
82 第2内輪部材(第1環状部材,内輪部材,第2ステータ側環状部材)
83 第2外輪部材(第2環状部材,外輪部材,第2ハウジング側環状部材)
84 第2球体(球体)
85 第1凹部
86 第2凹部
MG2 モータジェネレータ(回転電機)
MG2a モータジェネレータ(回転電機)
MG2b モータジェネレータ(回転電機)