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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039407
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240314BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240314BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
H01L29/78 652N
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652P
H01L29/78 652J
H01L29/78 658F
H01L29/06 301V
H01L29/06 301G
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143938
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大原 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】新井 耕一
(72)【発明者】
【氏名】山下 泰典
(72)【発明者】
【氏名】八島 秀幸
(57)【要約】
【課題】半導体装置の信頼性を向上させ、歩留まりの低下を抑制する。
【解決手段】半導体装置は、半導体基板SUBと、平面視においてセル領域CRを囲むように、外周領域ORの半導体基板SUBの上面上に形成された絶縁膜IF1と、平面視においてセル領域CRを囲むように、絶縁膜IF1上に形成された抵抗素子SRと、を備える。外周領域ORの半導体基板SUBの上面上には、絶縁膜IF1よりも薄い厚さを有する絶縁膜IF2が形成されている。絶縁膜IF2と絶縁膜IF1との間で発生している段差を覆うように、絶縁膜IF2上から絶縁膜IF1上に渡って、ダミーパターンDP1が形成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MOSFETが形成されたセル領域と、平面視において前記セル領域を囲む外周領域とを有する半導体装置であって、
上面および下面を有する第1導電型の半導体基板と、
平面視において前記セル領域を囲むように、前記外周領域の前記半導体基板の上面上に形成された第1絶縁膜と、
平面視において前記セル領域を囲むように、前記第1絶縁膜上に形成された抵抗素子と、
を備え、
前記外周領域の前記半導体基板の上面上には、前記第1絶縁膜よりも薄い厚さを有する第2絶縁膜が形成され、
前記第2絶縁膜と前記第1絶縁膜との間で発生している段差を覆うように、前記第2絶縁膜上から前記第1絶縁膜上に渡って、第1ダミーパターンが形成されている、半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1ダミーパターンは、前記MOSFETおよび前記抵抗素子に電気的に接続されていない、半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1絶縁膜よりも高い位置に形成されている前記第1ダミーパターンの側面に、第3絶縁膜を介して第2ダミーパターンが形成されている、半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置において、
前記第1ダミーパターンおよび前記第2ダミーパターンは、前記MOSFETおよび前記抵抗素子に電気的に接続されていない、半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1ダミーパターンの厚さは、前記第1絶縁膜の厚さよりも薄い、半導体装置。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記抵抗素子は、
渦巻状の抵抗部と、
前記抵抗部と一体化し、且つ、前記抵抗部の内周側に位置する第1コンタクト部と、
前記抵抗部と一体化し、且つ、前記抵抗部の外周側に位置する第2コンタクト部と、
を含む、半導体装置。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置において、
前記MOSFETは、
前記セル領域の前記半導体基板の上面上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、
前記半導体基板の上面側において、前記セル領域の前記半導体基板中に形成され、且つ、前記第1導電型と反対の第2導電型であるボディ領域と、
前記ボディ領域に形成された前記第1導電型のソース領域と、
を有し、
前記ゲート絶縁膜は、前記第2絶縁膜と同じ絶縁膜からなり、
前記ゲート電極は、前記第1ダミーパターンと同じ導電性膜からなり、且つ、前記抵抗素子と異なる導電性膜からなる、半導体装置。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置において、
前記セル領域において前記MOSFETを覆い、且つ、前記外周領域において前記抵抗素子、前記第1ダミーパターンおよび前記第1絶縁膜を覆うように、前記半導体基板の上面上に形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜中に形成され、且つ、前記第1コンタクト部に達する第1孔と、
前記層間絶縁膜中に形成され、且つ、前記第2コンタクト部に達する第2孔と、
前記層間絶縁膜中に形成され、且つ、前記外周領域の前記半導体基板に達する第3孔と、
前記層間絶縁膜中に形成され、且つ、前記ソース領域に達する第4孔と、
前記層間絶縁膜中に形成され、且つ、前記ゲート電極に達する第5孔と、
前記層間絶縁膜上に形成されたソース電極と、
前記層間絶縁膜上に形成され、且つ、平面視において前記ソース電極を囲むゲート配線と、
前記層間絶縁膜上に形成され、平面視において前記ゲート配線を囲み、且つ、前記ソース電極に電気的に接続されたソース配線と、
前記層間絶縁膜上に形成され、且つ、平面視において前記ソース配線を囲むドレイン配線と、
前記半導体基板の下面下に形成されたドレイン電極と、
を更に備え、
前記ソース配線は、前記第1孔内に埋め込まれ、且つ、前記第1コンタクト部に電気的に接続され、
前記ドレイン配線は、前記第2孔内および前記第3孔内に埋め込まれ、且つ、前記第2コンタクト部および前記半導体基板に電気的に接続され、
前記ソース電極は、前記第4孔内に埋め込まれ、且つ、前記ソース領域に電気的に接続され、
前記ゲート配線は、前記第5孔内に埋め込まれ、且つ、前記ゲート電極に電気的に接続されている、半導体装置。
【請求項9】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1ダミーパターンには、前記第1導電型の不純物が導入され、
前記抵抗素子には、前記第1導電型と反対の第2導電型の不純物が導入されている、半導体装置。
【請求項10】
MOSFETが形成されるセル領域と、平面視において前記セル領域を囲む外周領域とを有する半導体装置の製造方法であって、
(a)上面および下面を有する第1導電型の半導体基板を用意する工程、
(b)前記(a)工程後、平面視において前記セル領域を囲むように、前記外周領域の半導体基板の上面上に、第1絶縁膜を形成する工程、
(c)前記(b)工程後、前記外周領域の前記半導体基板の上面上に、前記第1絶縁膜よりも薄い厚さを有する第2絶縁膜を形成する工程、
(d)前記(c)工程後、前記第2絶縁膜と前記第1絶縁膜との間で発生している段差を覆うように、前記第1絶縁膜上および前記第2絶縁膜上に、第1導電性膜を形成する工程、
(e)前記(d)工程後、前記段差を覆う前記第1導電性膜が残されるように、前記第1絶縁膜上の前記第1導電性膜の一部を選択的に除去する工程、
(f)前記(e)工程後、前記第1絶縁膜上および前記第1導電性膜上に、第3絶縁膜を形成する工程、
(g)前記(f)工程後、前記第3絶縁膜上に、第2導電性膜を形成する工程、
(h)前記(g)工程後、前記第2導電性膜をパターニングすることで、平面視において前記セル領域を囲むように、前記第1絶縁膜上に位置する抵抗素子を形成する工程、
(i)前記(h)工程後、前記半導体基板の上面上の前記第3絶縁膜の一部、前記第1導電性膜の一部および前記第2絶縁膜の一部を選択的に除去する工程、
を備え、
前記(i)工程後に前記外周領域に残された前記第1導電性膜は、第1ダミーパターンを成し、
前記第1ダミーパターンは、前記段差を覆うように、前記第2絶縁膜上から前記第1絶縁膜上に渡って形成されている、半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1ダミーパターンは、前記MOSFETおよび前記抵抗素子に電気的に接続されていない、半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項10に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(h)工程の前記パターニングでは、前記第2導電性膜を選択的に覆うレジストパターンをマスクとして、前記第2導電性膜に対して異方性エッチング処理が行われ、
前記異方性エッチング処理によって、前記第1絶縁膜よりも高い位置に形成されている前記第1導電性膜の側面に、前記第2導電性膜が、前記第3絶縁膜を介して第2ダミーパターンとして残される、半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2ダミーパターンの形成後、前記異方性エッチング処理を更に継続することで、前記第1絶縁膜よりも高い位置に形成されている前記第1導電性膜のうち、少なくとも前記第1絶縁膜上に位置する前記第1導電性膜の側面に残された前記第2ダミーパターンが除去される、半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項12に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1ダミーパターンおよび前記第2ダミーパターンは、前記MOSFETおよび前記抵抗素子に電気的に接続されていない、半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項10に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1導電性膜の厚さは、前記第1絶縁膜の厚さよりも薄い、半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項10に記載の半導体装置の製造方法において、
前記抵抗素子は、
渦巻状の抵抗部と、
前記抵抗部と一体化し、且つ、前記抵抗部の内周側に位置する第1コンタクト部と、
前記抵抗部と一体化し、且つ、前記抵抗部の外周側に位置する第2コンタクト部と、
を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項16に記載の半導体装置の製造方法において、
前記(c)工程では、前記セル領域の前記半導体基板の上面上にも、前記第2絶縁膜が形成され、
前記(d)工程では、前記セル領域の前記第2絶縁膜上にも、前記第1導電性膜が形成され、
前記(e)工程では、前記セル領域の前記第1導電性膜は残され、
前記(f)工程では、前記セル領域の前記第1導電性膜上にも、前記第3絶縁膜が形成され、
前記(g)工程では、前記セル領域の前記第3絶縁膜上にも、前記第2導電性膜が形成され、
前記(h)工程では、前記セル領域の前記第2導電性膜は除去され、
前記(i)工程後に、前記セル領域に残された前記第1導電性膜は、前記MOSFETのゲート電極を成し、
前記(i)工程後に、前記セル領域に残された前記第2絶縁膜は、前記MOSFETのゲート絶縁膜を成す、半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載の半導体装置の製造方法において、
(j)前記(i)工程後、前記半導体基板の上面側において、前記セル領域の前記半導体基板中に、前記第1導電型と反対の第2導電型であるボディ領域を形成する工程、
(k)前記(j)工程後、前記ボディ領域に、前記第1導電型のソース領域を形成する工程、
(l)前記(k)工程後、前記セル領域において前記MOSFETを覆い、且つ、前記外周領域において前記抵抗素子、前記第1ダミーパターンおよび前記第1絶縁膜を覆うように、前記半導体基板の上面上に、層間絶縁膜を形成する工程、
(m)前記(l)工程後、前記層間絶縁膜中に、前記第1コンタクト部に達する第1孔と、前記第2コンタクト部に達する第2孔と、前記外周領域の前記半導体基板に達する第3孔と、前記ソース領域に達する第4孔と、前記ゲート電極に達する第5孔とを形成する工程、
(n)前記(m)工程後、前記層間絶縁膜上に、ソース電極と、平面視において前記ソース電極を囲むゲート配線と、平面視においてゲート配線を囲み、且つ、前記ソース電極に電気的に接続されたソース配線と、平面視において前記ソース配線を囲むドレイン配線と、を形成する工程、
(o)前記(n)工程後に、前記半導体基板の下面下に、ドレイン電極を形成する工程、
を更に備え、
前記ソース配線は、前記第1孔内に埋め込まれ、且つ、前記第1コンタクト部に電気的に接続され、
前記ドレイン配線は、前記第2孔内および前記第3孔内に埋め込まれ、且つ、前記第2コンタクト部および前記半導体基板に電気的に接続され、
前記ソース電極は、前記第4孔内に埋め込まれ、且つ、前記ソース領域に電気的に接続され、
前記ゲート配線は、前記第5孔内に埋め込まれ、且つ、前記ゲート電極に電気的に接続される、半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項18に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1導電性膜には、前記第1導電型の不純物が導入され、
前記第2導電性膜には、前記第2導電型の不純物が導入されている、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に、セル領域の外周に抵抗素子を備えた半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高耐圧MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)が形成されるセル領域を備えた半導体装置では、セル領域を囲む外周領域の耐圧を向上させるために、外周領域に抵抗素子が設けられる場合がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)のような半導体素子が形成された中央領域の周辺に、抵抗素子として抵抗性フィールドプレートを備えた半導体装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-102705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
外周領域では、例えば1000V以上の高耐圧構造が要求されるので、抵抗素子は、例えば1μm以上の絶縁膜上に形成されている。従って、半導体基板と上記絶縁膜との間には、高い段差が発生している。抵抗素子は、例えば多結晶シリコン膜のような導電性膜を堆積し、上記導電性膜をパターニングすることで形成される。このパターニングでは、上記導電性膜に対して異方性エッチング処理が行われるが、段差部において、上記導電性膜の一部が、サイドウォール状に残され易くなる。残された上記導電性膜が、その後の製造工程中に剥離すると、上記導電性膜が異物として残存し、不良などの原因になってしまう。それ故、半導体装置の信頼性が低下するという問題、および、歩留まりが低下するという問題がある。
【0006】
本願の主な目的は、上記異物の発生を抑制できる技術を提供することにある。それにより、半導体装置の信頼性を向上させ、歩留まりの低下を抑制する。その他の課題および新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0008】
一実施の形態に係る半導体装置は、MOSFETが形成されたセル領域と、平面視において前記セル領域を囲む外周領域とを有する。前記半導体装置は、上面および下面を有する第1導電型の半導体基板と、平面視において前記セル領域を囲むように、前記外周領域の前記半導体基板の上面上に形成された第1絶縁膜と、平面視において前記セル領域を囲むように、前記第1絶縁膜上に形成された抵抗素子と、を備える。ここで、前記外周領域の前記半導体基板の上面上には、前記第1絶縁膜よりも薄い厚さを有する第2絶縁膜が形成され、前記第2絶縁膜と前記第1絶縁膜との間で発生している段差を覆うように、前記第2絶縁膜上から前記第1絶縁膜上に渡って、第1ダミーパターンが形成されている。
【0009】
一実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、MOSFETが形成されるセル領域と、平面視において前記セル領域を囲む外周領域とを有する半導体装置の製造方法である。半導体装置の製造方法は、(a)上面および下面を有する第1導電型の半導体基板を用意する工程、(b)前記(a)工程後、平面視において前記セル領域を囲むように、前記外周領域の半導体基板の上面上に、第1絶縁膜を形成する工程、(c)前記(b)工程後、前記外周領域の前記半導体基板の上面上に、前記第1絶縁膜よりも薄い厚さを有する第2絶縁膜を形成する工程、(d)前記(c)工程後、前記第2絶縁膜と前記第1絶縁膜との間で発生している段差を覆うように、前記第1絶縁膜上および前記第2絶縁膜上に、第1導電性膜を形成する工程、(e)前記(d)工程後、前記段差を覆う前記第1導電性膜が残されるように、前記第1絶縁膜上の前記第1導電性膜の一部を選択的に除去する工程、(f)前記(e)工程後、前記第1絶縁膜上および前記第1導電性膜上に、第3絶縁膜を形成する工程、(g)前記(f)工程後、前記第3絶縁膜上に、第2導電性膜を形成する工程、(h)前記(g)工程後、前記第2導電性膜をパターニングすることで、平面視において前記セル領域を囲むように、前記第1絶縁膜上に位置する抵抗素子を形成する工程、(i)前記(h)工程後、前記半導体基板の上面上の前記第3絶縁膜の一部、前記第1導電性膜の一部および前記第2絶縁膜の一部を選択的に除去する工程、を備える。ここで、前記(i)工程後に前記外周領域に残された前記第1導電性膜は、第1ダミーパターンを成し、前記第1ダミーパターンは、前記段差を覆うように、前記第2絶縁膜上から前記第1絶縁膜上に渡って形成されている。
【発明の効果】
【0010】
一実施の形態によれば、半導体装置の信頼性を向上でき、歩留まりの低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1における半導体装置を示す平面図である。
図2】実施の形態1における抵抗素子の概要を示す平面図である。
図3】実施の形態1における半導体装置を示す断面図である。
図4】実施の形態1における半導体装置を示す断面図である。
図5】実施の形態1における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図6図5に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図7図6に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図8図7に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図9図8に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図10図9に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図11図10に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図12図11に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図13図12に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図14図13に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図15図14に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図16図15に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
図17】実施の形態1における半導体装置の要部を拡大した断面図である。
図18】検討例における半導体装置の要部を拡大した断面図である。
図19】実施の形態2における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0013】
また、本願において説明されるX方向、Y方向およびZ方向は、互いに交差し、互いに直交している。本願では、Z方向をある構造体の上下方向、高さ方向または厚さ方向として説明する。また、本願で用いられる「平面図」または「平面視」などの表現は、X方向およびY方向によって構成される面を「平面」とし、この「平面」をZ方向から見ることを意味する。
【0014】
(実施の形態1)
<半導体装置の構造>
以下に図1図4を用いて、実施の形態1における半導体装置100について説明する。図1は、半導体装置100である半導体チップの平面図である。図2は、抵抗素子SRの概要を示す平面図である。図3は、図1に示されるA-A線に沿った断面図である。図4は、セル領域CRの一部を拡大した領域1Aと、外周領域ORの一部を拡大した領域2Aとを示す断面図である。
【0015】
図1は、主に半導体基板SUBの上方に形成される配線パターンを示している。半導体装置100は、MOSFETが形成されたセル領域CRと、平面視においてセル領域CRを囲む外周領域ORとを有する。
【0016】
図1に示されるように、セル領域CRはソース電極SEで覆われている。平面視において、ゲート配線GWはソース電極SEを囲み、ソース配線SWはゲート配線GWを囲み、ドレイン配線DWはソース配線SWを囲んでいる。ソース配線SWは、ソース電極SEに電気的に接続されている。ここでは、ゲート配線GWはソース電極SEを完全に囲んでおらず、ゲート配線GWの一部が分断されている箇所において、ソース電極SEおよびソース配線SWが、一体化して接続されている。
【0017】
また、ここでは図示していないが、ソース電極SE、ゲート配線GW、ソース配線SWおよびドレイン配線DWは、ポリイミド膜などの保護膜で覆われている。上記保護膜の一部には開口部が設けられ、その開口部で露出しているソース電極SEおよびゲート配線GWが、ソースパッドおよびゲートパッドになる。ソースパッド上およびゲートパッド上に、ワイヤまたはクリップ(銅板)などの外部接続用部材が接続されることで、半導体装置100が、他の半導体チップまたは配線基板などに電気的に接続される。
【0018】
ソース配線SWとドレイン配線DWとの間には、平面視においてセル領域CRを囲むように、絶縁膜IF1および抵抗素子SRが形成されている。抵抗素子SRは、絶縁膜IF1上に形成されている。
【0019】
図2に示されるように、抵抗素子SRは、渦巻状の抵抗部SRaと、抵抗部SRaの内周側に位置する第1コンタクト部SRbと、抵抗部SRaの外周側に位置する第2コンタクト部SRcとを含む。抵抗部SRa、第1コンタクト部SRbおよび第2コンタクト部SRcは、一体化しており、同じ導電性膜からなる。抵抗部SRaは、1本の導電性膜がセル領域CRの周りを複数回周回した形状を成している。なお、抵抗部SRaの周回数は、図2の例示に限られず、適宜設定できる。また、第1コンタクト部SRbおよび第2コンタクト部SRcは、環状を成している。
【0020】
後述するように、第1コンタクト部SRbは、孔CHを介してソース配線SWに電気的に接続され、第2コンタクト部SRcは、孔CHを介してドレイン配線DWに電気的に接続される。抵抗部SRaの一方の端部は、第1コンタクト部SRbに接続され、抵抗部SRaの他方の端部は、第2コンタクト部SRcに接続されている。このため、抵抗素子SRには、電流が流れる。
【0021】
等価回路的には、MOSFET1Qのソース・ドレイン間に、抵抗素子SRが接続されることになる。抵抗部SRaの長さが長く、抵抗部SRaの周回数が多い程、ソース・ドレイン間の電圧が分圧されるので、ドレイン配線DWからソース配線SWへ向かうに連れて、電界が緩和される。従って、外周領域ORにおいて、半導体装置100の耐圧を向上させることができる。
【0022】
図3および図4に示されるように、セル領域CRには複数のMOSFET1Qが形成され、外周領域ORには抵抗素子SRが形成されている。まず、セル領域CR(領域1A)のMOSFET1Qの構造について説明し、その後、外周領域OR(領域2A)の抵抗素子SRの構造およびその周囲の構造について説明する。
【0023】
半導体装置100は、上面および下面を有するn型の半導体基板SUBを備える。半導体基板SUBは、低濃度のn型のドリフト領域NVを有する。ここでは、n型の半導体基板SUB自体がドリフト領域NVを構成している。なお、ドリフト領域NVは、n型のシリコン基板上に、エピタキシャル成長法によって燐(P)を導入しながら成長させたn型の半導体層であってもよい。本願では、そのようなn型のシリコン基板およびn型の半導体層からなる積層体も半導体基板SUBであるとして説明する。
【0024】
セル領域CRの半導体基板SUBの上面上には、ゲート絶縁膜GIが形成されている。ゲート絶縁膜GI上には、ゲート電極GEが形成されている。ゲート電極GE上には、絶縁膜IF3が形成されている。ゲート絶縁膜GIは、例えば酸化シリコン膜であり、例えば80nm以上且つ120nm以下の厚さを有する。ゲート電極GEは、例えばn型の不純物が導入された多結晶シリコン膜であり、例えば400nm以上且つ500nm以下の厚さを有する。絶縁膜IF3は、例えば酸化シリコン膜であり、例えば80nm以上且つ120nm以下の厚さを有する。
【0025】
半導体基板SUBの上面側において、セル領域CRの半導体基板SUB中には、p型のボディ領域PBが形成されている。ボディ領域PBには、n型のソース領域NSが形成されている。ソース領域NSは、ドリフト領域NVよりも高い不純物濃度を有する。また、ボディ領域PBには、p型の高濃度拡散領域PAが形成されている。高濃度拡散領域PAは、ボディ領域PBよりも高い不純物濃度を有する。
【0026】
ゲート電極GEは、ゲート絶縁膜GIを介して、2つのボディ領域PBに跨るように形成されている。2つのボディ領域PBの間の半導体基板SUBには、n型のウェル領域NWが形成されている。ウェル領域NWは、ドリフト領域NVよりも高い不純物濃度を有する。ソース領域NSとウェル領域NWとの間に位置し、且つ、ゲート電極GE下に位置するボディ領域PBが、MOSFET1Qのチャネル領域として機能する。
【0027】
半導体基板SUBの下面側において、半導体基板SUBには、n型のドレイン領域NDが形成されている。ドレイン領域NDは、ドリフト領域NVよりも高い不純物濃度を有する。半導体基板SUBの下面下には、ドレイン電極DEが形成されている。半導体基板SUB(ドレイン領域ND、ドリフト領域NV)には、ドレイン電極DEからドレイン電圧が供給される。ドレイン電極DEは、例えばアルミニウム膜、チタン膜、ニッケル膜、金膜若しくは銀膜のような単層の金属膜、または、これらの金属膜を適宜積層させた積層膜からなる。
【0028】
ソース領域NSから、上記チャネル領域(ボディ領域PB)、ウェル領域NWおよびドリフト領域NVを介してドレイン領域NDへ至る経路が、MOSFET1Qの電流経路となる。
【0029】
セル領域CRにおいてMOSFET1Qを覆うように、半導体基板SUBの上面上には、層間絶縁膜ILが形成されている。層間絶縁膜ILは、例えば、窒化シリコン膜と、上記窒化シリコン膜上に形成された酸化シリコン膜との積層膜からなる。なお、上記酸化シリコン膜は、リンを含む厚い酸化シリコン膜(PSG:Phospho Silicate Glass膜)と、ボロンおよびリンを含む厚い酸化シリコン膜(BPSG:Boro Phospho Silicate Glass膜)とを含んでいてもよい。層間絶縁膜ILの厚さは、例えば900nm以上且つ1200nm以下である。
【0030】
層間絶縁膜IL中には、ソース領域NSに達する孔CHが形成されている。ここでは図示していないが、図面の奥行方向(Y方向)において、ソース領域NSは分断されており、高濃度拡散領域PAがボディ領域PBの表面に形成されている。また、孔CHは、Y方向に延在している。すなわち、孔CHの一部は、高濃度拡散領域PAに達している。
【0031】
セル領域CRにおいて、層間絶縁膜IL上には、ソース電極SEが形成されている。ソース電極SEは、孔CHの内部に埋め込まれている。また、ソース電極SEは、ソース領域NS、高濃度拡散領域PAおよびボディ領域PBに電気的に接続され、これらにソース電圧を供給する。
【0032】
また、ここでは図示していないが、層間絶縁膜IL中には、ゲート電極GEに達する孔も形成されている。ゲート配線GWは、層間絶縁膜IL上に形成され、上記孔CHの内部に埋め込まれている。従って、ゲート配線GWは、ゲート電極GEに電気的に接続され、ゲート電極GEにゲート電圧を供給する。
【0033】
次に、外周領域OR(領域2A)の抵抗素子SRの構造およびその周囲の構造について説明する。
【0034】
外周領域ORの半導体基板SUBの上面上には、絶縁膜IF1が形成されている。絶縁膜IF1は、例えば酸化シリコン膜であり、例えば900nm以上且つ1200nm以下の厚さを有する。
【0035】
絶縁膜IF1上には、絶縁膜IF3を介して抵抗素子SRが形成されている。上述のように、抵抗素子SRは、抵抗部SRa、第1コンタクト部SRbおよび第2コンタクト部SRcを含む。抵抗素子SRは、例えばp型の不純物が導入された多結晶シリコン膜であり、例えば500nm以上且つ700nm以下の厚さを有する。
【0036】
また、外周領域ORの半導体基板SUBの上面上には、絶縁膜IF2が形成されている。絶縁膜IF2は、ゲート絶縁膜GIと同じ絶縁膜からなり、絶縁膜IF1よりも薄い厚さを有し、例えば80nm以上且つ120nm以下の厚さを有する。
【0037】
絶縁膜IF2と絶縁膜IF1との間では、段差が発生している。上記段差を覆うように、絶縁膜IF2上から絶縁膜IF1上に渡って、ダミーパターンDP1が形成されている。ダミーパターンDP1は、ゲート電極GEと同じ導電性膜からなり、抵抗素子SRと異なる導電性膜からなる。
【0038】
絶縁膜IF1よりも高い位置に形成されているダミーパターンDP1の側面には、絶縁膜IF3を介してダミーパターンDP2が形成されている。ダミーパターンDP2は、抵抗素子SRと同じ導電性膜からなる。
【0039】
ダミーパターンDP1およびダミーパターンDP2は、フローティング状態であり、MOSFET1Qおよび抵抗素子SRなどのような半導体素子には電気的に接続されていない。
【0040】
半導体基板SUBの上面側において、外周領域ORの半導体基板SUB中には、p型のリサーフ領域PRSが形成されている。リサーフ領域PRSは、絶縁膜IF1を介して抵抗素子SRの直下に形成されている。リサーフ領域PRSには、p型のウェル領域PWが形成されている。ウェル領域PWには、高濃度拡散領域PAが形成されている。ウェル領域PWは、セル領域CRのボディ領域PBに電気的に接続されている。ウェル領域PWは、リサーフ領域PRSよりも高い不純物濃度を有し、高濃度拡散領域PAよりも低い不純物濃度を有する。
【0041】
半導体基板SUBの上面側において、外周領域ORの半導体基板SUB中には、n型の高濃度拡散領域NAが形成されている。高濃度拡散領域NAは、ドリフト領域NVよりも高い不純物濃度を有する。また、高濃度拡散領域NAには、高濃度拡散領域PAが形成されている。
【0042】
外周領域ORにおいて抵抗素子SR、ダミーパターンDP1および絶縁膜IF1を覆うように、半導体基板SUBの上面上には、層間絶縁膜ILが形成されている。層間絶縁膜IL中には、第1コンタクト部SRb、第2コンタクト部SRc、高濃度拡散領域NAおよび高濃度拡散領域PAに達する複数の孔CHが形成されている。なお、図2に示されるように、第1コンタクト部SRbおよび第2コンタクト部SRcは平面視で環状を成しているが、これらに達する孔CHも、第1コンタクト部SRbおよび第2コンタクト部SRcの形状に沿って、平面視で環状を成している。
【0043】
外周領域ORにおいて、層間絶縁膜IL上には、ソース配線SWおよびドレイン配線DWが形成されている。ソース配線SWおよびドレイン配線DWは、それぞれ複数の孔CHの内部に埋め込まれている。
【0044】
ソース配線SWは、高濃度拡散領域PA、ウェル領域PW、リサーフ領域PRSおよびボディ領域PBに電気的に接続され、これらにソース電圧を供給する。また、ソース配線SWは、第1コンタクト部SRbに接続され、第1コンタクト部SRbにソース電圧を供給する。
【0045】
ドレイン配線DWは、n型の半導体基板SUB(高濃度拡散領域NA、ドリフト領域NVおよびドレイン領域ND)を介してドレイン電極DEに電気的に接続されている。また、ドレイン配線DWは、第2コンタクト部SRcに接続されている。従って、ドレイン電極DEからドレイン配線DWに供給されるドレイン電圧が、第2コンタクト部SRcにも供給される。
【0046】
ソース電極SE、ゲート配線GW、ソース配線SWおよびドレイン配線DWは、例えば、バリアメタル膜と、上記バリアメタル膜上に形成された導電性膜とからなる。上記バリアメタル膜は、例えばチタンタングステン膜または窒化チタン膜であり、上記導電性膜は、例えばアルミニウム膜である。
【0047】
なお、ソース電極SE、ゲート配線GW、ソース配線SWおよびドレイン配線DWは、孔CHの内部を埋め込むプラグ層と、層間絶縁膜IL上に形成された配線層とから構成されていてもよい。その場合、配線層は、上記バリアメタル膜および上記導電性膜によって構成される。プラグ層は、例えば、窒化チタン膜のようなバリアメタル膜と、タングステン膜のような導電性膜との積層膜によって構成される。
【0048】
<半導体装置の製造方法>
以下に図5図16を用いて、半導体装置100の製造方法に含まれる各製造工程について説明する。以下の説明では、図4の領域1A(セル領域CR)および領域2A(外周領域OR)を用いる。
【0049】
また、実施の形態1における半導体装置100およびその製造方法の主な特徴は、抵抗素子SR、ダミーパターンDP1およびダミーパターンDP2の構造およびその製造方法にあるが、そのような特徴については、後で検討例と比較しながら詳細に説明する。
【0050】
図5に示されるように、まず、上面および下面を有するn型の半導体基板SUBを用意する。上述のように、ここでは、n型の半導体基板SUB自体がドリフト領域NVを構成しているが、ドリフト領域NVは、n型のシリコン基板上に、エピタキシャル成長法によって燐(P)を導入しながら成長させたn型の半導体層であってもよい。次に、熱酸化法によって、半導体基板SUBの上面上に、絶縁膜IF1を形成する。
【0051】
図6に示されるように、まず、絶縁膜IF1上に、外周領域ORの一部を覆うパターンを有するレジストパターンRP1を形成する。次に、レジストパターンRP1をマスクとして異方性エッチング処理を行うことで、絶縁膜IF1をパターニングする。これにより、平面視においてセル領域CRを囲むように、外周領域ORの半導体基板SUBの上面上に、絶縁膜IF1を形成する。その後、アッシング処理によってレジストパターンRP1を除去する。
【0052】
図7に示されるように、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法によって、セル領域CRの半導体基板SUBにn型のウェル領域NWを形成し、外周領域ORの半導体基板SUBにp型のリサーフ領域PRSおよびp型のウェル領域PWを形成する。その後、例えば1200℃の熱処理を行うことで、ウェル領域NW、リサーフ領域PRSおよびウェル領域PWに含まれる不純物を拡散させる。
【0053】
図8に示されるように、まず、熱酸化法によって、セル領域CRおよび外周領域ORの半導体基板SUBの上面上に、絶縁膜IF1よりも薄い厚さを有する絶縁膜IF2を形成する。次に、例えばCVD法によって、絶縁膜IF1上および絶縁膜IF2上に、導電性膜CF1を形成する。導電性膜CF1は、n型の不純物が導入された多結晶シリコン膜であり、絶縁膜IF2と絶縁膜IF1との間で発生している段差を覆うように形成される。
【0054】
図9に示されるように、導電性膜CF1上に、絶縁膜IF1の中央付近を開口するパターンを有するレジストパターンRP2を形成する。次に、レジストパターンRP2をマスクとして異方性エッチング処理を行うことで、導電性膜CF1をパターニングする。このパターニングによって、上記段差を覆う導電性膜CF1が残されるように、絶縁膜IF1上の導電性膜CF1の一部が選択的に除去される。なお、セル領域CRの導電性膜CF1も残されている。その後、アッシング処理によってレジストパターンRP2を除去する。
【0055】
図10に示されるように、まず、絶縁膜IF1上および導電性膜CF1上に、例えばCVD法によって、絶縁膜IF3を形成する。次に、例えばCVD法によって、絶縁膜IF3上に、導電性膜CF2を形成する。導電性膜CF2は、ノンドープの多結晶シリコン膜である。次に、イオン注入法によって、導電性膜CF2中に、ボロン(B)または二フッ化ボロン(BF)などのp型の不純物を導入する。
【0056】
図11に示されるように、まず、導電性膜CF2上に、絶縁膜IF1上に位置する導電性膜CF2を選択的に覆うレジストパターンRP3を形成する。次に、レジストパターンRP3をマスクとして、導電性膜CF2に対して異方性エッチング処理を行う。このように、導電性膜CF2をパターニングすることで、平面視においてセル領域CRを囲むように、絶縁膜IF1上に位置する抵抗素子SRを形成する。その後、アッシング処理によってレジストパターンRP3を除去する。
【0057】
また、異方性エッチング処理によって、絶縁膜IF1よりも高い位置に形成されている導電性膜CF1の側面に、導電性膜CF2が、絶縁膜IF3を介してダミーパターンDP2として残される。なお、セル領域CRの導電性膜CF2は、完全に除去される。
【0058】
図12に示されるように、まず、外周領域ORにおいて抵抗素子SRおよび段差付近の導電性膜CF1を覆い、セル領域CRの導電性膜CF1を選択的に覆うレジストパターンRP4を形成する。次に、レジストパターンRP4をマスクとして、導電性膜CF2に対して異方性エッチング処理を行うことで、半導体基板SUBの上面上の絶縁膜IF3の一部、導電性膜CF1の一部および絶縁膜IF2の一部を選択的に除去する。その後、アッシング処理によってレジストパターンRP4を除去する。
【0059】
ここで、外周領域ORに残された導電性膜CF1は、ダミーパターンDP1を成す。ダミーパターンDP1は、絶縁膜IF2と絶縁膜IF1との間で発生している段差を覆うように、絶縁膜IF2上から絶縁膜IF1上に渡って形成されている。また、セル領域CRに残された導電性膜CF1は、MOSFET1Qのゲート電極GEを成し、セル領域CRに残された絶縁膜IF2は、MOSFET1Qのゲート絶縁膜GIを成す。
【0060】
図13に示されるように、まず、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法によって、半導体基板SUBの上面側において、セル領域CRの半導体基板SUBにp型のボディ領域PBを形成する。その後、例えば1100℃の熱処理を行うことで、ボディ領域PBに含まれる不純物を拡散させる。
【0061】
次に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法によって、ボディ領域PBにn型のソース領域NSを形成すると共に、外周領域ORの半導体基板SUBに、n型の高濃度拡散領域NAを形成する。その後、例えば950℃の熱処理を行うことで、ソース領域NSおよび高濃度拡散領域NAに含まれる不純物を拡散させる。
【0062】
なお、ここでは図示を省略しているが、これらのイオン注入の前に、半導体基板SUB上に酸化シリコン膜のようなスルー膜が形成される。このスルー膜は、イオン注入後に除去されてもよいが、後述の層間絶縁膜ILの一部として残されていてもよい。
【0063】
図14に示されるように、セル領域CRにおいてMOSFET1Qを覆い、且つ、外周領域ORにおいて抵抗素子SR、ダミーパターンDP1、ダミーパターンDP2および絶縁膜IF1を覆うように、半導体基板SUBの上面上に、層間絶縁膜ILを形成する。層間絶縁膜ILは、例えば、CVD法によって形成された窒化シリコン膜と、CVD法によって形成された酸化シリコン膜と、塗布法によって形成されたPSG膜と、塗布法によって形成されたBPSG膜とを含む積層膜である。
【0064】
図15に示されるように、まず、フォトリソグラフィ技術および異方性エッチング処理によって、層間絶縁膜ILに複数の孔CHを形成する。複数の孔CHには、第1コンタクト部SRbに達する孔と、第2コンタクト部SRcに達する孔と、外周領域ORの半導体基板SUB(高濃度拡散領域NA、ウェル領域PW)に達する孔と、ソース領域NSに達する孔と、ゲート電極GEに達する孔とが含まれる。
【0065】
次に、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法によって、孔CHの底部に位置する高濃度拡散領域NA、ウェル領域PWおよびボディ領域PBに、高濃度拡散領域PAを形成する。また、ここでは図示を省略しているが、第1コンタクト部SRbおよび第2コンタクト部SRcにも、高濃度拡散領域PAが形成される。
【0066】
図16に示されるように、層間絶縁膜IL上に、ソース電極SE、ゲート配線GW、ソース配線SWおよびドレイン配線DWとを形成する。これらを形成するためには、まず、層間絶縁膜IL上に、スパッタリング法またはCVD法によって、例えばチタンタングステン膜または窒化チタン膜からなるバリアメタル膜と、例えばアルミニウム膜からなる導電性膜との積層膜を形成する。次に、上記積層膜をパターニングすることで、ソース電極SE、ゲート配線GW、ソース配線SWおよびドレイン配線DWを形成する。ソース電極SE、ゲート配線GW、ソース配線SWおよびドレイン配線DWは、それぞれ孔CH内に埋め込まれる。
【0067】
その後、ここでは図示はしないが、ソース電極SE上、ゲート配線GW上、ソース配線SW上およびドレイン配線DW上に、例えば塗布法によって、例えばポリイミド膜からなる保護膜を形成する。上記保護膜の一部を開口することで、ソース電極SEおよびゲート配線GWのうち、ソースパッドおよびゲートパッドになる領域を露出させる。
【0068】
その後、以下の製造工程を経て、図4に示される半導体装置100が製造される。まず、必要に応じて半導体基板SUBの下面を研磨する。次に、半導体基板SUBの下面に、イオン注入法によって、例えば砒素(As)などを導入することで、n型のドレイン領域NDを形成する。次に、半導体基板SUBの下面下に、スパッタリング法によって、ドレイン電極DEを形成する。
【0069】
<検討例と、実施の形態1の主な特徴>
図17は、ダミーパターンDP1付近の構造を示す断面図である。図18は、本願発明者が特許文献1などを基にして検討を行った検討例における半導体装置の断面図である。図18に示されるように、検討例では、実施の形態1と異なり、抵抗素子SRが導電性膜CF1によって形成されている。なお、検討例では、ゲート電極GEも導電性膜CF1によって形成されている。
【0070】
抵抗素子SRには高電圧が印加されるので、半導体基板SUBにトンネル電流が流れないように、絶縁膜IF1の厚さは、十分に厚く設定されている。それ故、絶縁膜IF2と絶縁膜IF1との間に発生している段差の高さも、非常に高くなっている。
【0071】
図18に示されるように、導電性膜CF1によって抵抗素子SRを形成しようとすると、パターニング時の異方性エッチング処理によって、導電性膜CF1が、サイドウォール状に加工され、上記段差にダミーパターンDP3として残される。その後の製造工程では、成膜前またはレジストパターンの除去後などに、数々の洗浄工程が行われる。それらの洗浄工程によって、ダミーパターンDP3に接している絶縁膜IF1および絶縁膜IF2が後退していくと、ダミーパターンDP3が剥離し易くなる。そうすると、ダミーパターンDP3が異物としてウェハ状態の半導体基板SUB上に残存し、不良の原因になる。
【0072】
そのようなダミーパターンDP3を完全に除去するために、導電性膜CF1のパターニング時の異方性エッチング処理を更に継続する方法も考えられる。しかし、その場合、セル領域CRにおいて、各ゲート電極GE間に位置する半導体基板SUBもエッチングに晒され、半導体基板SUBが削れてしまう。そうすると、MOSFET1Qの閾値電圧が変化するなどの不具合が発生し易くなる。
【0073】
また、上記段差を跨ぐ箇所は、後の製造工程において、何度もレジストパターンに覆われるが、上記段差が非常に高いと、レジストパターンを形成した際に、上記段差において、レジストパターンが途切れやすくなるという問題もある。
【0074】
また、検討例では、1層の導電性膜CF1によってゲート電極GEおよび抵抗素子SRの両方を形成しているので、ゲート電極GEの特性を優先すると、抵抗素子SRに求められる抵抗率を適切に設定し難いという問題がある。
【0075】
図17に示されるように、実施の形態1では、導電性膜CF1によってゲート電極GEを形成し、導電性膜CF2によって抵抗素子SRを形成している。このため、ゲート電極GEの特性と、抵抗素子SRの特性とを個別に設定できる。抵抗素子SRは、抵抗素子SR中を流れる電流を低減するため、高抵抗になるように形成され、p型の不純物が導入されている。なお、導電性膜CF2には、例えばボロン(B)が導入され、その不純物濃度は、4.9×10-17cm―3程度である。導電性膜CF1には、例えば燐(P)が導入され、その不純物濃度は、5.5×10-19cm―3程度である。
【0076】
また、実施の形態1では、絶縁膜IF2と絶縁膜IF1との間で発生している段差を覆うように、絶縁膜IF2上から絶縁膜IF1上に渡って、ダミーパターンDP1が形成されている。検討例のダミーパターンDP3のように、ダミーパターンDP1をサイドウォール状に残す場合と比較して、ダミーパターンDP1が絶縁膜IF2および絶縁膜IF1に接触する面積が増えている。このため、実施の形態1では、数々の洗浄工程に晒されても、ダミーパターンDP1が剥離し難くなっている。従って、異物の発生を抑制できるので、半導体装置100の信頼性を向上させることができ、歩留まりの低下を抑制することができる。
【0077】
なお、絶縁膜IF1よりも高い位置に形成されているダミーパターンDP1の側面には、導電性膜CF2をパターニングした際に、サイドウォール状のダミーパターンDP2が形成される。このダミーパターンDP2が剥離した際には、ダミーパターンDP2も異物の要因になり得るが、その後の製造工程で、ダミーパターンDP2は層間絶縁膜ILに覆われる。その間、ダミーパターンDP2は数回の洗浄工程に晒されるが、その回数が比較的少ないので、ダミーパターンDP2が剥離する可能性も少ない。
【0078】
また、上記段差を跨ぐ箇所では、導電性膜CF1の堆積時に、導電性膜CF1が、絶縁膜IF1に向かって勾配を有する形状になり易い。また、ダミーパターンDP2によって、更に勾配が小さくなる。従って、ダミーパターンDP1上およびダミーパターンDP2上にレジストパターンを形成した際に、レジストパターンの塗布性が向上し、レジストパターンが途切れ難くなる。
【0079】
また、導電性膜CF1(ダミーパターンDP1)の厚さは、絶縁膜IF1の厚さよりも薄い。そのため、図17に示されるように、半導体基板SUB上において、半導体基板SUBとダミーパターンDP1との間に発生している第1段差の高さH1と、絶縁膜IF1上において、絶縁膜IF1とダミーパターンDP1との間に発生している第2段差の高さH2とは、絶縁膜IF2と絶縁膜IF1との間に発生している第3段差の高さH3よりも低い(高さH1、高さH2<高さH3)。
【0080】
高さH3が、ダミーパターンDP1によって段階的に緩和される構造になっている。すなわち、検討例では、高さH3によって、レジストパターンが途切れ易くなっていたが、実施の形態1では、高さH3よりも低い高さH1および高さH2の箇所をレジストパターンが覆うことになる。絶縁膜IF1に律速されていた高さH3が緩和されるので、レジストパターンの塗布性が更に向上し、レジストパターンが更に途切れ難くなる。
【0081】
(実施の形態2)
以下に図19を用いて、実施の形態2における半導体装置について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点については説明を省略する。
【0082】
図19は、実施の形態1の図11に続く製造工程を示している。図11では、導電性膜CF2に対して異方性エッチング処理を行い、抵抗素子SRおよびダミーパターンDP2を形成していた。実施の形態2では、異方性エッチング処理を更に継続する。これにより、ダミーパターンDP2を除去する。
【0083】
ダミーパターンDP2は複数形成されているが、少なくともサイズが比較的小さいダミーパターンDP2を除去する。すなわち、図19に示されるように、絶縁膜IF1よりも高い位置に形成されている導電性膜CF1のうち、少なくとも絶縁膜IF1上に位置する導電性膜CF1の側面に残されたダミーパターンDP2を除去する。全てのダミーパターンDP2が除去されるまで、異方性エッチング処理を継続してもよい。
【0084】
上述のように、ダミーパターンDP2が層間絶縁膜ILに覆われるまでの間に、ダミーパターンDP2は数回の洗浄工程に晒される。その回数が比較的少ないので、ダミーパターンDP2が剥離する可能性も少ないが、その可能性を少しでも低くするために、実施の形態2では、複数のダミーパターンDP2のうち、少なくとも一部を除去しておく。
【0085】
ここで、図1に示されるように、比較的厚い厚さを有する絶縁膜IF1は、セル領域CRを囲むように形成され、ウェハ状態の半導体基板SUBにおいて比較的大きな面積を占める。それ故、絶縁膜IF1からの応力によって、ウェハ状態の半導体基板SUBが反り易くなり、種々の加工精度が低下する場合もある。
【0086】
異方性エッチング処理は、多結晶シリコン膜(導電性膜CF1、CF2)がエッチングされ易く、酸化シリコン膜(絶縁膜IF1、IF3)がエッチングされ難い条件で行われるが、多結晶シリコン膜がエッチングされている間、酸化シリコン膜も少しずつエッチングされる。すなわち、異方性エッチング処理を長くすることで、レジストパターンRP3から露出している絶縁膜IF3がエッチングされる。
【0087】
特に、全てのダミーパターンDP2が除去されるまで異方性エッチング処理を行うと、絶縁膜IF3が除去され、絶縁膜IF3下に位置していた絶縁膜IF1もエッチングされる。これにより、絶縁膜IF1からの応力を低減させることができ、ウェハ状態の半導体基板SUBの反りを低減できる。
【0088】
一方で、絶縁膜IF3が除去された後には、導電性膜CF1の上面が露出する。異方性エッチング処理を更に継続すると、導電性膜CF1がエッチングされ始めるので、導電性膜CF1の高さが低くなる。セル領域CRの導電性膜CF1はゲート電極GEになるので、導電性膜CF1の高さが変動することで、MOSFET1Qの特性が、所望の設計値から変動する可能性がある。
【0089】
従って、MOSFET1Qの特性変動が危惧される場合には、絶縁膜IF3が完全に除去されない程度の範囲内で、ダミーパターンDP2をできる限り除去することが望ましい。また、MOSFET1Qの特性に問題が無さそうな場合には、全てのダミーパターンDP2の除去と、ウェハ状態の半導体基板SUBの反りの低減とを優先し、絶縁膜IF3だけでなく絶縁膜IF1もエッチングされるように、異方性エッチング処理を行うことが望ましい。
【0090】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0091】
100 半導体装置
1A 領域(セル領域)
2A 領域(外周領域)
1Q MOSFET
CH 孔
CR セル領域
DE ドレイン電極
DP1~DP3 ダミーパターン
DW ドレイン配線
GE ゲート電極
GI ゲート絶縁膜
GW ゲート配線
IF1~IF3 絶縁膜
IL 層間絶縁膜
NA 高濃度拡散領域
ND ドレイン領域
NS ソース領域
NV ドリフト領域
NW ウェル領域
OR 外周領域
PA 高濃度拡散領域
PB ボディ領域
PRS リサーフ領域
PW ウェル領域
RP1~RP4 レジストパターン
SE ソース電極
SR 抵抗素子
SRa 抵抗部
SRb 第1コンタクト部
SRc 第2コンタクト部
SUB 半導体基板
SW ソース配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19