(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039409
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】マゼンタインク組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 11/322 20140101AFI20240314BHJP
B41M 5/00 20060101ALI20240314BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
C09D11/322
B41M5/00 120
B41J2/01 501
B41J2/01 129
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143940
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003322
【氏名又は名称】大日本塗料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】高岳 駿介
(72)【発明者】
【氏名】安斎 康弘
(72)【発明者】
【氏名】南 和男
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
4J039
【Fターム(参考)】
2C056FC02
2H186AB12
2H186BA08
2H186DA12
2H186FB04
2H186FB07
2H186FB15
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2H186FB29
2H186FB36
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2H186FB48
2H186FB54
4J039AD21
4J039BC10
4J039BC15
4J039BC20
4J039BE01
4J039BE22
4J039BE26
4J039EA15
4J039EA41
4J039EA42
(57)【要約】
【課題】貯蔵後も吐出安定性に優れるマゼンタインク組成物を提供する。
【解決手段】酸化鉄顔料を含むマゼンタインク組成物であって、酸化鉄顔料中のマグネタイト含有量が5質量%以下であることを特徴とする、マゼンタインク組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化鉄顔料を含むマゼンタインク組成物であって、酸化鉄顔料中のマグネタイト含有量が5質量%以下であることを特徴とする、マゼンタインク組成物。
【請求項2】
前記マゼンタインク組成物中における前記酸化鉄顔料の分散粒子径D50が50~400nmの範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載のマゼンタインク組成物。
【請求項3】
前記マゼンタインク組成物が、光重合性化合物と光重合開始剤を少なくとも含む光硬化型インクであることを特徴とする、請求項1または2に記載のマゼンタインク組成物。
【請求項4】
前記マゼンタインク組成物中に含まれる前記酸化鉄顔料の量が1~10質量%の範囲内であることを特徴とする、請求項1または2に記載のマゼンタインク組成物。
【請求項5】
前記酸化鉄顔料がピグメントレッド101であることを特徴とする、請求項1または2に記載のマゼンタインク組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マゼンタインク組成物に関し、特には、貯蔵後も吐出安定性に優れるマゼンタインク組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無機顔料は、有機顔料や染料に比べて耐候性に優れることから、屋外用途に用いられる建材分野での利用が進んでいる。
【0003】
特開2011-047152号公報(特許文献1)には、イエロー顔料を含むインクによるイエロードットと、マゼンタ顔料を含むインクによるマゼンタドットと、シアン顔料を含むインクによるシアンドットとで模様付けされている建築板の発明が記載され、イエロー顔料として酸化鉄(シー・アイ・ピグメントイエロー42)またはバナジウム酸化ビスマス、マゼンタ顔料として酸化鉄(シー・アイ・ピグメントレッド101)、シアン顔料としてコバルトブルー(シー・アイ・ピグメントブルー28)、ブラック顔料としてカーボン(シー・アイ・ピグメントブラック7)を用いた無機顔料の組み合わせの場合に、促進耐候試験において各色成分の色差は略同一の範囲であると認められ、模様付けされた試験用建築板の変退色前後の色差において、時間の経過に関わらず、略同一の範囲に維持することができるとしている。
【0004】
特開2018-80263号公報(特許文献2)には、黄色色材として、C.I.Pigment Brown 24、金属被覆されたC.I.Pigment Yellow 42、C.I.Pigment Yellow 48、53、119、161、189からなる群から選択される少なくともいずれか1つを含むインクジェットインクセットの発明が記載され、このような特定の黄色色材を含むことにより、耐候性の優れたプリント物が得られるのみでなく、耐熱性にも優れたインクジェットインクセットを提供することができるとしている。
【0005】
特開2015-218218号公報(特許文献3)には、マゼンタインク組成物が着色剤としてピグメントレッド101を含有する建築材料用インクセットの発明が記載され、マゼンタ無機顔料としてピグメントレッド101を用いると、耐候性に優れる画像が得られることを記載する。また、特許文献3は、建築材料用インクセットを構成するシアンインク組成物、マゼンタインク組成物、イエローインク組成物およびグリーンインク組成物のそれぞれが、(成分A)ラジカル重合性化合物と、(成分B)ラジカル重合開始剤と、(成分C)着色剤として無機顔料と、(成分D)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、及び、ケトン樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の樹脂とを含有することにより、耐候性(経時による色差が少ない)に優れたインクセットが得られることを記載している。
【0006】
特開2014-129481号公報(特許文献4)には、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、及びブラックインクからなる4色のインクを含む活性エネルギー線硬化型インクセットであって、前記4色のインクがそれぞれ活性エネルギー線重合性化合物、光重合開始剤及び無機系着色顔料を含み、前記4色のインクそれぞれの水分量が0.5質量%以下であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクセットの発明が記載され、これによって、耐候性に優れた印刷物を作製可能であり且つ保存安定性に優れる活性エネルギー線硬化型インクセットを提供することができることを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011-047152号公報
【特許文献2】特開2018-80263号公報
【特許文献3】特開2015-218218号公報
【特許文献4】特開2014-129481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、無機顔料を用いた建材用インクの検討を行っていたところ、酸化鉄顔料を用いたマゼンタインクは、一定期間貯蔵した後に、吐出が不安定となる場合があることを確認した。
【0009】
そこで、本発明の目的は、貯蔵後も吐出安定性に優れるマゼンタインク組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討したところ、酸化鉄顔料を含むマゼンタインク組成物において、酸化鉄顔料に不純物として含まれるマグネタイトの量を酸化鉄顔料中5質量%以下とすることで、一定期間貯蔵した後でも、安定な吐出が可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
したがって、本発明の1つの態様は、酸化鉄顔料を含むマゼンタインク組成物であって、酸化鉄顔料中のマグネタイト含有量が5質量%以下であることを特徴とする、マゼンタインク組成物である。
【0012】
本発明のマゼンタインク組成物の好適例においては、前記マゼンタインク組成物中における前記酸化鉄顔料の分散粒子径D50が50~400nmの範囲内である。
【0013】
本発明のマゼンタインク組成物の他の好適例においては、前記マゼンタインク組成物が、光重合性化合物と光重合開始剤を少なくとも含む光硬化型インクである。
【0014】
本発明のマゼンタインク組成物の他の好適例においては、前記マゼンタインク組成物中に含まれる前記酸化鉄顔料の量が1~10質量%の範囲内である。
【0015】
本発明のマゼンタインク組成物の他の好適例においては、前記酸化鉄がピグメントレッド101である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、貯蔵後も吐出安定性に優れるマゼンタインク組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施例において作成したマグネタイト含有量を求めるための検量線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0019】
本発明の1つの態様は、酸化鉄顔料を含むマゼンタインク組成物である。本明細書では、このマゼンタインク組成物を「本発明のマゼンタインク組成物」または「本発明のインク組成物」とも称する。
【0020】
酸化鉄顔料は、無機顔料に分類され、印刷物に耐候性を付与できる顔料である。酸化鉄顔料としては、黒色酸化鉄(鉄黒)、黄色酸化鉄(黄鉄)、赤色酸化鉄(べんがら)が広く知られている。赤色酸化鉄は、三酸化二鉄(Fe2O3)を主成分とする赤茶色の顔料であり、色調は、粒子の大きさなどに応じて、黄色から紫色に亘る。本発明のインク組成物は、この三酸化二鉄を酸化鉄顔料として用いるマゼンタインク組成物である。
【0021】
赤色酸化鉄の製造方法は、古くから様々な文献において記載されている。例えば、戸田浩次,「酸化鉄黒色および赤色顔料の湿式製法の量産技術の開発」,粉体および粉末冶金,1979年,第26巻,第7号,第235頁~第243頁では、弁柄の製造法として古典的な「乾式製法」から「湿式製法」について記載されており、ここでは、赤色酸化鉄顔料の出発原料として黒色酸化鉄粉末が使用されている。特開昭50-5424号公報には、鉄塩溶液から湿式反応工程により生成した特定の凝結性多結晶含水酸化鉄粒子を原料とし、これを焼成脱水、後粉砕することで、透明性酸化鉄顔料(三酸化二鉄)を製造する方法が記載されている。特開2006-8990号公報は、T.C. Patton, Pigment Handbook, 第1巻, 1973, 第333頁を引用し、酸化鉄赤色顔料は、一般に、緑バン赤色法(Copperas red method)、フェライト赤色法、沈殿赤色法および合成赤色法の4つの方法を用いて製造されることを記載している。
【0022】
国際公開第2015/178451号には、マグネタイト微粒子を生成させる第一段反応と、第一段反応の終了後、第一鉄塩水溶液又は金属塩の追加および酸化反応を経てヘマタイト粒子を生成させる第二段反応との二段階反応からなるヘマタイト粒子粉末の製造方法が記載されている。特表2014-527951号公報には、金属鉄と水との混合工程、希硝酸の添加工程、微粉ヘマタイトの水性懸濁液の分離工程、および微粉ヘマタイトの単離工程を含む微粉ヘマタイトの製造方法、ならびに該製造方法により得られた微粉ヘマタイトの水性懸濁液の製造工程、ヘマタイト顔料懸濁液を与えるための、酸素含有ガスの存在下での核としての微粉ヘマタイトの水性懸濁液と鉄塩、アルカリ性沈殿物との反応、または元素鉄、鉄塩および酸素含有ガスの反応による工程、およびヘマタイト顔料の単離工程を含む酸化鉄赤色顔料の製造方法を記載する。特表2019-509247号公報には、酸化鉄赤色顔料を製造するための、硝酸塩を使用するペンニマン(Penniman)プロセス(硝酸塩プロセスまたは直接赤色法プロセスとも呼ばれる)による改良されたプロセスが記載されている。
【0023】
酸化鉄顔料のうち、マゼンタ顔料(マゼンタ色を呈する顔料)としては、ピグメントレッド101(C.I.Pigment Red 101)、ピグメントレッド102(C.I.Pigment Red 102)等の赤色酸化鉄が好適に挙げられる。ピグメントレッド102が天然物由来の顔料であるのに対し、ピグメントレッド101は合成顔料であることから、ピグメントレッド101の方が三酸化二鉄(Fe2O3)の純度が高く、好ましい。
【0024】
本発明のマゼンタインク組成物中に含まれる酸化鉄顔料の量は、0.5~15質量%の範囲内であることが好ましく、1~10質量%の範囲内であることがより好ましい。酸化鉄顔料は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
本発明のマゼンタインク組成物において、酸化鉄顔料中のマグネタイトの含有量は、5質量%以下であり、0.01質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上4質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以上3質量%以下であることがさらに好ましい。本発明者は、酸化鉄顔料に不純物として含まれるマグネタイトの量が酸化鉄顔料中5質量%を超えて存在すると、インクの保存安定性が低下し、一定期間(例えば一週間以上)貯蔵した後に、インクの吐出不良に繋がることを見出した。インクを一定期間貯蔵した際には色分かれが起こり得ることから、インクをよく振ってから使用する場合が多い。しかし、酸化鉄顔料に不純物として含まれるマグネタイトの量が酸化鉄顔料中5質量%を超えて存在すると、一定期間貯蔵した後にマグネタイトが沈降し、その後にインクをよく振ったりしたとしてもインクの吐出が不安定になることが分かった。
また、マグネタイトは強磁性を有するため、粒子間の磁気的相互作用により凝集性が高く、分散制御が非常に困難であることが知られている。特にインクジェットヘッドは微小な吐出ノズルからインクを吐出させるため、酸化鉄顔料に不純物として含まれるマグネタイトの量が酸化鉄顔料中5質量%を超えて存在すると、ノズル近傍でマグネタイトが凝集し、印刷休止後に再度インクを吐出させると、短い休止時間であっても吐出不良に繋がることがある。さらには、マグネタイトが黒色であることから、印刷物に黒味が混じる場合があり、色安定性が損なわれる。
【0026】
マグネタイトは、磁鉄鉱として天然にも存在する黒色の酸化鉄であり、四酸化三鉄(Fe3O4)とも称される。このマグネタイトは、ピグメントレッド102のような天然物由来のマゼンタ顔料にも少量含まれる酸化鉄であり、また、ピグメントレッド101のような合成マゼンタ顔料であっても通常不純物として少量含まれる酸化鉄である。
【0027】
本明細書において、酸化鉄顔料中のマグネタイトの含有量は、X線回折法によって酸化鉄顔料のX線回折パターンを測定した後、X線回折パターンのピーク強度値と後述のマグネタイト含有量を求めるための検量線を照らし合わせることで、推定することができる。本明細書では、この推定値を「酸化鉄顔料中のマグネタイトの含有量」とする。
マグネタイト含有量を求めるための検量線の作成には、まず、三酸化二鉄にマグネタイトを混合した複数の混合物を用意する。混合物100質量%に対するマグネタイトの量は、例えば、10質量%、5質量%、1質量%であるが、これに限定されるものではない。酸化鉄顔料中にはマグネタイトが不純物として含まれることから、検量線の作成には、元素分析等の各種分析用試薬として使用される純度の高い三酸化二鉄を用いる。なお、当然ながら、このような分析用の高純度試薬をインク用顔料として使用できるものではない。
次いで、用意した上記複数の混合物の回折パターンをX線回折法による測定によって得る。得られた回折パターンのそれぞれから三酸化二鉄のファーストピークの位置(33.15°2θ、ICDD:01-085-0599)とマグネタイトのファーストピークの位置(35.62°2θ、ICDD:01-084-9337)における三酸化二鉄のファーストピークのピーク強度値(A)とマグネタイトのファーストピークの位置のピーク強度値(B)とを読み取り、両者のピーク強度比(B/A)を算出して、縦軸(y軸)をピーク強度比(B/A)とし、横軸(x軸)を混合物100質量%に対するマグネタイトの量(質量%)とするグラフに10点以上プロットし、プロットされた全ての点を用いて最小二乗法による近似直線を引くことで検量線を作成することができる。最小二乗法による近似直線は、例えば、マイクロソフト社製の表計算ソフトであるマイクロソフト・エクセル上で検量線を描いたグラフの近似曲線の書式設定から近似曲線オプションの線形近似を選択することで、簡便に描くことができる。検量線は相関係数が0.99以上であれば、信頼性がある。相関係数はエクセル上で検量線を描いたグラフの近似曲線の書式設定から「グラフにR-2乗値を表示する」を選択することで、簡便に求めることができる。回折パターンにおける三酸化二鉄のファーストピークの位置A及びマグネタイトのファーストピークの位置Bは、LightStone社のICDD(International Centre for Diffraction Data)から引用したものである。ファーストピークとは、回折パターンで観測される最も強度の高いピークを指す。
得られた検量線は、下記式(1):
y = ax + b ・・・ 式(1)
(式中、aは、直線の傾きであり、bは、y軸との切片である)によって表される。
例えば、任意の酸化鉄顔料についてX線回折法を行い、得られたX線回折パターンからピーク強度値A及びBを読み取り、式(1)から酸化鉄顔料中のマグネタイトの含有量を求めることができる。
【0028】
酸化鉄顔料中に含まれるマグネタイトは、磁性体を用いることで、取り除くことができる。例えば、酸化鉄顔料を適当な溶媒(メチルエチルケトン等)を用いて分散体を調製し、次いで磁性体の金網に分散体を通すことで、酸化鉄顔料中に含まれるマグネタイトが磁性体に捕捉され、酸化鉄顔料中のマグネタイトの含有量を低減することができる。また、磁性体の金網に分散体を繰り返し通すことで、酸化鉄顔料中のマグネタイトの含有量を大きく低減させることも可能である。適した磁性体としては、ネオジム磁石を吸着させた磁性を有するステンレス鋼等が挙げられる。
【0029】
また、本発明のマゼンタインク組成物は、貯蔵後の吐出安定性の観点から、マゼンタインク組成物中のマグネタイトの含有量が1質量ppm以上10000質量ppm以下であることが好ましく、1質量ppm以上7500質量ppm以下であることがより好ましく、1ppm質量以上5000質量ppm以下であることがさらに好ましい。
【0030】
本明細書において、マゼンタインク組成物中のマグネタイトの含有量は、マゼンタインク組成物中の酸化鉄顔料の含有量と上述の酸化鉄顔料中のマグネタイトの含有量から求めることができる。
【0031】
また、本発明者は、以下の(i)~(iii)のような場合に、マグネタイトの存在による不安定な吐出の現象が顕著になることが分かった。そこで、本発明は、貯蔵後の吐出安定性を更に向上させるために、インクの吐出温度、インクの貯蔵温度、インクの粘度、酸化鉄顔料の粒径について検討を行った。
(i)インクの吐出温度とインクの貯蔵温度の差が大きい。
(ii)インクの粘度が低い。
(iii)酸化鉄顔料の粒径が大きい。
【0032】
(i)インクの吐出温度とインクの貯蔵温度
本発明のインク組成物を貯蔵する場合、インクの貯蔵温度は、0~35℃の範囲内であることが好ましい。また、本発明のインク組成物を用いて印刷を行う場合、印刷装置からインクを吐出する際のインクの温度(インクの吐出温度)は、20~55℃の範囲内であることが好ましい。そして、本発明のインク組成物について、インクの貯蔵温度とインクの吐出温度の温度差は40℃以下であることが好ましく、0~35℃の範囲内であることがさらに好ましい。
【0033】
(ii)インクの粘度
本発明のインク組成物は、インクの吐出温度での粘度が、5~20mPa・sの範囲内であることが好ましい。なお、インクの吐出温度は、上記のとおり、好ましくは20~55℃の範囲内である。インクの粘度は、コーンプレート型粘度計を用いて測定できる。
【0034】
(iii)酸化鉄顔料の粒径
本発明のインク組成物は、マゼンタインク組成物中における酸化鉄顔料の分散粒子径D50が50~400nmの範囲内であることが好ましく、80~300nmの範囲内であることがより好ましく、100~200nmの範囲内であることがさらに好ましい。
また、本発明のインク組成物は、マゼンタインク組成物中における酸化鉄顔料の分散粒子径D100が、100~600nmの範囲内であることが好ましく、150~500nmの範囲内であることがより好ましく、200~400nmであることがさらに好ましい。
また、本発明のインク組成物は、マゼンタインク組成物中における酸化鉄顔料の分散粒子径D10が、10~300nmの範囲内であることが好ましく、20~250nmの範囲内であることがより好ましく、30~200nmであることがさらに好ましい。酸化鉄顔料の分散粒子径D50を50~400nmとすることによって、特には、分散粒子径D100及び分散粒子径D10を考慮して、酸化鉄顔料の分散粒子径D50を50~400nmの範囲内、分散粒子径D100を100~600nmの範囲内、酸化鉄顔料の分散粒子径D10を10~300nmの範囲内とすることによって、マゼンタインクとしての隠蔽性とインク中における酸化鉄顔料の分散安定性を良好にすることができる。
【0035】
本明細書において、顔料の分散粒子径D50は、インク中に分散している顔料の体積基準粒度分布の50%粒子径(D50)を指し、顔料の分散粒子径D100は、インク中に分散している顔料の体積基準粒度分布の100%粒子径(D100)を指し、顔料の分散粒子径D10は、インク中に分散している顔料の体積基準粒度分布の10%粒子径(D10)を指し、これらの分散粒子径は、粒度分布測定装置(例えばレーザ回折/散乱式粒度分布測定装置)を用いて測定される粒度分布から求めることができる。粒子径は、レーザ回折・散乱法による球相当径で表される。
【0036】
本発明のインク組成物は、光重合性化合物と光重合開始剤を少なくとも含む光硬化型インクであることが好ましい。光重合性化合物、特にモノマーが顔料の表面に濡れ広がることで、インク中の顔料の貯蔵安定性が向上できることから、光硬化型インクであることが好ましい。本明細書において、光硬化型インクとは、光の照射により硬化させることができるインクであり、具体例として、紫外線、可視光線、電子線等の活性エネルギー線の照射により硬化させることができるインク組成物(活性エネルギー線硬化型インク組成物)が挙げられる。
【0037】
本発明のインク組成物は、液滴吐出タイプの印刷装置での印刷のためのインクであることが好ましく、インクジェットインクであることが特に好ましい。液滴吐出タイプの印刷装置とは、印刷装置(特にはプリントヘッド)からインクの液滴を吐出し、基材へ着弾させる方式の印刷装置であり、インクジェットプリンタの他、ジェットディスペンサー等が挙げられる。本明細書において、インクジェットインクとは、インクジェットプリンタに用いられるインクを意味する。
【0038】
光重合性化合物は、ラジカル重合性を示す官能基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基またはアリル基を構成する炭素-炭素二重結合等の光重合性不飽和基)を介して重合反応を起こす化合物である。ラジカル重合性を示す炭素-炭素二重結合は「エチレン性不飽和二重結合」とも称される。光重合性化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
光重合性化合物は、単官能重合性化合物または多官能重合性化合物に分類される。ここで、単官能重合性化合物としては、ラジカル重合性を示す官能基を1つ有する単官能重合性モノマー(例えば1つの重合性不飽和基を有する単官能重合性モノマー)やラジカル重合性を示す官能基を1つ有する単官能重合性オリゴマー(例えば、1つの重合性不飽和基を有する単官能重合性オリゴマー)等が挙げられる。多官能重合性化合物としては、ラジカル重合性を示す官能基を2つ以上有する多官能重合性モノマー(例えば2つ以上の重合性不飽和基を有する多官能重合性モノマー)やラジカル重合性を示す官能基を2つ以上有する多官能重合性オリゴマー(例えば、2つ以上の重合性不飽和基を有する多官能重合性オリゴマー)等が挙げられる。
【0040】
本発明のインク組成物は、インク組成物中に含まれる単官能重合性化合物の量(質量%)をAとし、インク組成物中に含まれる多官能重合性化合物の量(質量%)をBとする場合、0.01≦B/A≦0.50であり、かつ、30質量%≦A+B≦95質量%であることが好ましい。光重合性化合物の全量が30~95質量%であるインク組成物において、単官能重合性化合物に対する多官能重合性化合物の割合を0.50以下とすることで、膜の硬化収縮を抑えることができ、膜自体の付着性を向上させることができる。これにより、さまざまな基材や塗膜への付着性を確保することができる。さらに、インク組成物中に含まれる単官能重合性化合物と多官能重合性化合物の量を上記特定した割合とすることで、硬化性や膜強度を確保することもできる。ここで、B/Aは、0.01~0.40であることが好ましい。また、A+Bは、35~95質量%であることが好ましい。
【0041】
本発明のインク組成物中に含まれる光重合性化合物は、平均官能基数が1.25以下であることが好ましく、1.01~1.25であることが更に好ましい。系全体における反応点の数を減らして硬化収縮を抑えつつ、適度な架橋構造をもたせて膜強度を確保するため、最適な反応点の数と架橋密度を検討した結果、インク組成物中に含まれる光重合性化合物の平均官能基数が1.25以下、特には1.01~1.25であると、膜の硬化収縮を抑える効果が高く、膜自体の付着性を大幅に向上でき、かつ膜強度を保持することができる。これにより、さまざまな基材や塗膜への付着性と膜強度を確保することができる。
【0042】
本明細書において、インク組成物中に含まれる光重合性化合物の平均官能基数は、以下のように算出することができる。
平均官能基数=〔光重合性化合物に含まれる全エチレン性不飽和二重結合数〕/〔光重合性化合物の全分子数〕 ・・・計算式(1)
ここで、計算式(1)における「光重合性化合物に含まれる全エチレン性不飽和二重結合数」については、光重合性化合物の1分子当たりのエチレン性不飽和二重結合の数に、当該光重合性化合物の全分子数を乗じて計算される。インク中に光重合性化合物が複数種類配合される場合においては、その種類毎にエチレン性不飽和二重結合数を計算し、それらを合計した全てのエチレン性不飽和二重結合の数のことを言う。
(光重合性化合物の平均官能基数の求め方の例)
光重合性化合物の全量を100質量部とする。
光重合性化合物A:エチレン性不飽和二重結合数=1、分子量XA、30質量部
光重合性化合物B:エチレン性不飽和二重結合数=2、分子量XB、70質量部
平均官能基数={(1×30/XA)+(2×70/XB)}/{(30/XA)+(70/XB)}
【0043】
平均官能基数を1.01~1.25とするためエチレン性不飽和二重結合当量の大きな多官能重合性化合物を用いることが有用である。エチレン性不飽和二重結合当量とは分子量を1分子内に含有するエチレン性不飽和二重結合数で割った値のことである。エチレン性不飽和二重結合が(メタ)アクリロイル基に由来する場合は「アクリル当量」とも称される。一般的にこの値が大きいほど架橋点間が広がり、架橋密度が下がるため、結果として硬化収縮の低減に寄与できる。
【0044】
本発明のインク組成物中に含まれる光重合性化合物は、単官能重合性化合物を20~90質量%含むことが好ましい。光重合性化合物全体に対する単官能重合性化合物の量が20質量%以上であると、付着性や可撓性を向上させることができる。また、単官能重合性化合物の割合が高すぎると、膜強度や硬化性が低下することから、光重合性化合物全体に対する単官能重合性化合物の割合は90質量%以下であることが好ましい。光重合性化合物全体に対する単官能重合性化合物の量は25~90質量%であることが更に好ましい。
【0045】
本発明のインク組成物中に含まれる光重合性化合物は、分子量150~2000の2官能重合性化合物を1~40質量%、特には1~35重量%含むことが好ましい。付着性と硬化性を両立させる観点から、ラジカル重合性を示す官能基を2つ有する光重合性化合物(2官能重合性化合物)を用いることが好ましい。また、硬化収縮を抑える観点から、分子量がある程度高い光重合性化合物を用いることが好ましく、2官能重合性化合物の分子量は、150~2000が好ましく、150~1800が更に好ましい。光重合性化合物全体に対する分子量150~1800の2官能重合性化合物の量は1~30質量%であることが更に好ましい。
【0046】
本明細書において、光重合性化合物がオリゴマーである場合、その分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定されるポリスチレン換算した重量平均分子量として測定することができる。
【0047】
2官能重合性化合物としては、2官能重合性モノマーおよび2官能重合性オリゴマーが挙げられる。本発明のインク組成物中において、2官能重合性化合物の量は、1~40質量%であることが好ましく、1~35質量%であることが更に好ましい。
【0048】
本発明のインク組成物は、ヘテロ環骨格を有する光重合性化合物を含むことが好ましい。ヘテロ環骨格を有する光重合性化合物を用いることで、硬化性を向上させることができる。また、ヘテロ環骨格を有する光重合性化合物は、窒素含有重合性化合物であることが好ましく、ヘテロ環骨格が窒素原子を含む重合性化合物であることが更に好ましい。特に、ヘテロ環骨格を有する光重合性化合物としての窒素含有重合性化合物は、硬化時の酸素による重合阻害を低減する効果が高く、インクの硬化性を向上させることができる。本発明のインク組成物中において、ヘテロ環骨格を有する光重合性化合物の量は、0.1~20質量%であることが好ましい。
【0049】
本発明のインク組成物は、水酸基を有する光重合性化合物を含むことが好ましい。水酸基を有する光重合性化合物を用いることで、水酸基を介した水素結合や化学結合により基材との付着性、膜強度を向上させることができる。また、ヘテロ環骨格を有する光重合性化合物と同様、硬化時に酸素阻害を低減する効果があり、硬化性の向上が期待できる。本発明の一実施形態において、インク組成物は、水酸基を有する光重合性化合物と後述するシラン化合物の少なくとも一方を含み、水酸基を有する光重合性化合物とシラン化合物の両方を含むことが好ましい。本発明のインク組成物中において、水酸基を有する光重合性化合物の量は0.1~20質量%であることが好ましい。
【0050】
本発明のインク組成物は、ケイ素原子を有する光重合性化合物を含むことが好ましく、下記構造式(1)で表される重合性化合物を含むことが更に好ましい。シラン化合物としてケイ素原子を有する光重合性化合物を用いることで、基材との付着性を向上させることができる。特に、構造式(1)で表される重合性化合物は、付着性の向上効果に優れる。インク中において、ケイ素原子を有する光重合性化合物の量は0.1~20質量%であることが好ましい。
【化1】
〔構造式(1)中、nは1~3であり、Yはメトキシ基またはエトキシ基であり、RはC3より選ばれるアルキレン基であり、Zは(メタ)アクリロキシ基である。〕
【0051】
光重合性化合物は、P.I.I.値の加重平均が2.00未満であることが好ましい。P.I.I.とは、Primary Irritation Indexの略であり、一次皮膚刺激性インデックス等と訳される。一次皮膚刺激性(P.I.I.)が高いほど皮膚に化学的な刺激をもたらすことを示し、症状としてかぶれ等が生じやすくなる。そのため、作業環境や従事者にとって危険で扱いにくいものとなり得る。また、一次皮膚刺激性の高いモノマーが硬化過程後にも膜中に残留することで問題となる場合もある。よって、できるだけP.I.I.が低い安全なインク設計が望まれる。抗菌製品技術協議会(SIAA)では、刺激反応を認めない、または弱い刺激性程度(P.I.I.(一次刺激性指数):2.00未満)であることが安全性の基準として挙げられている。
【0052】
光重合性化合物のP.I.I.値の加重平均の求め方は、以下のとおりである。
光重合性化合物A:P.I.I.=PA、質量比=TA
光重合性化合物B:P.I.I.=PB、質量比=TB
P.I.I.の加重平均=PA×TA+PB×TB ・・・計算式(2)
【0053】
単官能重合性モノマーの具体例としては、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル-ジグリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、2-(2’-ビニルオキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4-t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、N-(メタ)アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、γ-ブチロラクトン(メタ)アクリレート、N-ビニルカプロラクタム、N-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、1-(メタ)アクリロイルピロリジン-2-オン、1-(メタ)アクリロイルピペリジン-2-オン、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルイミダゾール、ジメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、N-n-ブトキシメチルアクリルアミド、N-イソブトキシメチルアクリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシブチルフェニルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジエチルメトキシシランβ-(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、β-(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、ポリオキシエチレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシブチレンモノ(メタ)アクリレート等や、これらをアルキレングリコールで変性したものが挙げられる。これらの中でも、アルキル鎖やアルキレングリコール鎖を伸長した単官能重合性モノマーは、鎖の伸長前と比較して分子量増大により臭気が低減されるため好ましい。
【0054】
多官能重合性モノマーのうち、ラジカル重合性を示す官能基を2つ有する多官能重合性モノマー(2官能重合性モノマー)の具体例としては、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、PO(プロピレンオキシド)変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0055】
ラジカル重合性を示す官能基を3つ以上有する多官能重合性モノマー(3官能以上の多官能重合性モノマー)の具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、EO変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0056】
本明細書において、(メタ)アクリレートの用語は、メタクリレートまたはアクリレートを意味する。例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートは、2-ヒドロキシエチルアクリレートまたは2-ヒドロキシエチルメタクリレートである。また、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレート等のように、複数であることを示す接頭語が(メタ)アクリレートに付されている場合、各(メタ)アクリレートは同一でも異なっていてもよい。
【0057】
重合性オリゴマーは、好ましくはアクリルオリゴマーである。アクリルオリゴマーとは、ラジカル重合性を示す官能基としてアクリロイル基またはメタクリロイル基を有するオリゴマーである。
【0058】
重合性オリゴマーは、好ましくは多官能重合性オリゴマー、より好ましくは多官能アクリルオリゴマーである。重合性オリゴマーの官能基数は2~6であることが好ましく、重合性オリゴマーの分子量は800~20000であることが好ましい。重合性オリゴマーの分子量は、ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0059】
アクリルオリゴマーの具体例としては、ポリウレタンアクリルオリゴマー[ウレタン結合(-NHCOO-)を複数持つアクリルオリゴマー]、ポリエステルアクリルオリゴマー[エステル結合(-COO-)を複数持つアクリルオリゴマー]、ポリアミノアクリルオリゴマー[アミノ基(-NH2)を複数持つアクリルオリゴマー]、ポリエポキシアクリルオリゴマー[エポキシ基を複数持つアクリルオリゴマー]、シリコーンアクリルオリゴマー[シロキサン結合(-SiO-)を複数持つアクリルオリゴマー]、ポリブタジエンアクリルオリゴマー[ブタジエン単位を複数持つアクリルオリゴマー]等が挙げられる。
【0060】
また、アクリルオリゴマーとして、以下のものが知られている。
ビームセット502H、ビームセット505A-6、ビームセット550B、ビームセット575、ビームセットAQ-17(荒川化学工業社製)、
AH-600、UA-306H、UA-306T、UA-306I、UA-510H、UF-8001G(共栄社化学社製)、
CN910、CN959、CN963、CN964、CN965NS、CN966NS、CN969NS、CN980NS、CN981NS、CN982、CN983NS、CN985、CN991NS、CN996NS、CN2920、CN2921、CN8881NS、CN8883NS、CN9001NS、CN9004、CN9005、CN9009、CN9011、CN9021NS、CN9023、CN9028、CN9030、CN9178NS、CN9290、CN9893NS、CN929、CN989NS、CN968NS、CN9006NS、CN9010NS、CN9025、CN9026、CN9039、CN9062、CN9110NS、CN9029、CN8885NS、CN9013NS、CN973、CN978NS、CN992、CN9167、CN9782、CN9783、CN970、CN971、CN972、CN975NS、CN9165(サートマー社製)、
U-2PPA、U-6LPA、U-10HA、U-10PA、UA-1100H、U-15HA、UA-53H、UA-33H、U-200PA、UA-200PA、UA-160TM、UA-290TM、UA-4200、UA-4400、UA-122P(新中村化学工業社製)、
ニューフロンティアR-1235、R-1220、RST-201、RST-402、R-1301、R-1304、R-1214、R-1302XT、GX-8801A、R-1603、R-1150D(第一工業製薬社製)、
EBECRYL204、EBECRYL205、EBECRYL210、EBECRYL215、EBECRYL220、EBECRYL230、EBECRYL244、EBECRYL245、EBECRYL264、EBECRYL265、EBECRYL270、EBECRYL280/15IB、EBECRYL284、EBECRYL285、EBECRYL294/25HD、EBECRYL1259、EBECRYL1290、KRM8200、EBECRYL4820、EBECRYL4858、EBECRYL5129、EBECRYL7100、EBECRYL8210、EBECRYL8254、EBECRYL8301R、EBECRYL8307、EBECRYL8402、EBECRYL8405、EBECRYL8411、EBECRYL8465、EBECRYL8800、EBECRYL8804、EBECRYL8807、EBECRYL9260、EBECRYL9270、EBECRYL7735、EBECRYL8296、EBECRYL8452、EBECRYL8904、EBECRYL8311、EBECRYL8701、EBECRYL8667(ダイセル・オルネクス社製)、
UV-1700B、UV-6300B、UV-7550B、UV-7600B、UV-7605B、UV-7610B、UV-7630B、UV-7640B、UV-7650B、UV-6630B、UV-7000B、UV-7510B、UV-7461TE、
UV-2000B、UV-2750B、UV-3000B、UV-3200B、UV-3300B、UV-3310B、UV-3700B、UV6640B(日本合成化学社製)、
アートレジンUN-333、UN-350、UN-1255、UN-2600、UN-2700、UN-5590、UN-6060PTM、UN-6200、UN-6202、UN-6300、UN-6301、UN-7600、UN-7700、UN-9000PEP、UN-9200A、UN-3320HA、UN-3320HC、UN-904、UN-906S(根上工業社製)、
アロニックスM-6100、M-6250、M-6500、M-7100、M-7300K、M-8030、M-8060、M-8100、M-8530、M-8560、M-9050(東亜合成社製)
【0061】
水酸基を有する光重合性化合物の具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシキプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンモノ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート等が挙げられる。この他にも、水酸基を有する光重合性化合物には熱分解によって水酸基を発生する光重合性化合物も含まれ、N-メチロールアクリルアミド等が挙げられる。また、水酸基を有する光重合性化合物は、合成したものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
【0062】
ケイ素原子を有する光重合性化合物の具体例としては、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、β-(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、β-(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシブチルフェニルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジエチルメトキシシラン等が挙げられる。これらの中で、構造式(1)で表される重合性化合物としては、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン等が挙げられる。
【0063】
ヘテロ環骨格を有する光重合性化合物の具体例としては、N-アクリロイルモルホリン、N-メタクリロイルモルホリン、γ-ブチロラクトン(メタ)アクリレート、N-ビニルカプロラクタム、N-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、N-メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、1-アクリロイルピロリジン-2-オン、1-メタクリロイルピロリジン-2-オン、1-アクリロイルピペリジン-2-オン、1-メタクリロイルピペリジン-2-オン、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルイミダゾール、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、窒素を含有するものが好ましく、N-アクリロイルモルホリンが特に好ましい。
【0064】
光重合開始剤は、活性エネルギー線が照射されることによって、上述した光重合性化合物の重合を開始させる作用を有する。光重合開始剤の量は、インク組成物中1~15質量%であることが好ましく、1~12質量%であることが更に好ましく、1~10質量%であることが一層好ましい。光重合開始剤の含有量が1質量%未満では、膜が硬化不良となることがあり、15質量%を超えると、低温時に析出物が発生してインクの吐出が不安定になることがある。更に、光重合開始剤の開始反応を促進させるため、光増感剤等の助剤を併用することも可能である。
【0065】
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、アシルホスフィンオキシド系化合物等が挙げられるが、硬化性の観点から、照射する活性エネルギー線の波長と光重合開始剤の吸収波長ができるだけ重複するものが好ましい。特に、光重合開始剤は、硬化時の着色や厚膜時の硬化性の観点から、アシルホスフィンオキシド系開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0066】
光重合開始剤については、異なる波長域の開始剤を2種類以上用いることが好ましい。これにより、化合物の重合性が向上できる。また、開裂点が2点のものと1点のものを組み合わせることで、開始ラジカル濃度が増大し、さらに重合性、硬化度が向上できる。
【0067】
アシルホスフィンオキシド系開始剤としては、モノアシルホスフィンオキシド系開始剤とビスアシルホスフィンオキシド系開始剤とを併用することが好ましい。ここで、モノアシルホスフィンオキシド系開始剤(C)とビスアシルホスフィンオキシド系開始剤(D)との質量比(C:D)は、1:1~5:1であることが特に好ましい。
【0068】
光重合開始剤の具体例としては、
2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、
1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、
2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、
ベンゾフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、
2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン、
2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン等が挙げられる。
【0069】
これらの中でも、インクの硬化性の観点から、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、及び2,4-ジエチルチオキサントンが好ましく、更には硬化時の着色や厚膜時の硬化性の観点から、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、及び2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイドが好ましく、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイドが特に好ましい。
【0070】
本発明のインク組成物は、シランカップリング剤を含むことが好ましく、下記構造式(2)で表されるシランカップリング剤を含むことが更に好ましい。シラン化合物としてシランカップリング剤を用いることで、基材との付着性を向上させることができる。また、構造式(2)で表されるシラン化合物は、更に顔料分散性にも優れ、インクの保存安定性を向上できる。本発明のインク組成物中において、シランカップリング剤の量は0.1~20質量%であることが好ましい。シランカップリング剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【化2】
〔構造式(2)中、nは1~3であり、Yはメトキシ基またはエトキシ基であり、RはC3より選ばれるアルキレン基であり、Xはグリシドキシ基またはエポキシシクロヘキシル基である。〕
なお、エポキシシクロヘキシル基とは、シクロヘキシル環を構成する2つの炭素原子と酸素原子でエポキシ基を形成しているシクロヘキシル基であり、エポキシ環とシクロヘキシル環の縮合環構造を有する基である。
【0071】
シランカップリング剤の具体例としては、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、β-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピル(エチル)ジメトキシシラン、β-3,4-エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、β-3,4-エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン、8-グリシドキシオクチルトリメトキシシラン、8-グリシドキシオクチルメチルジメトキシシラン、8-グリシドキシオクチルメチルジエトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ビニルベンジル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-8-アミノオクチルトリメトキシシラン、γ-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン等のアミノ基含有シランカップリング剤等が挙げられる。
【0072】
これらの中で、構造式(2)で表されるシランカップリング剤としては、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン等が挙げられる。
【0073】
本発明のインク組成物は、シラン化合物を含むことが好ましい。シラン化合物を用いることで、基材との付着性や顔料の分散性を向上させることができる。本発明の一実施形態において、インク組成物は、シラン化合物と前述の水酸基を有する光重合性化合物の少なくとも一方を含み、シラン化合物と水酸基を有する光重合性化合物の両方を含むことが好ましい。本発明のインク組成物中において、シラン化合物の量は0.1~20質量%であることが好ましい。シラン化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0074】
シラン化合物としては、例えば、ケイ素原子を有する光重合性化合物、好ましくは構造式(1)で表される重合性化合物、シランカップリング剤、好ましくは構造式(2)で表されるシランカップリング剤等が挙げられる。
【0075】
本発明のインク組成物は、シラン化合物として、構造式(1)で表される重合性化合物と構造式(2)で表されるシランカップリング剤の少なくとも一方を含むことが好ましく、構造式(1)で表される重合性化合物と構造式(2)で表されるシランカップリング剤の両方を含むことが更に好ましい。構造式(1)で表される重合性化合物と構造式(2)で表されるシランカップリング剤を併用する場合、構造式(1)で表される重合性化合物(E)と構造式(2)で表されるシランカップリング剤(F)との質量比(E:F)は、1:2~2:1であることが特に好ましい。
【0076】
本発明のインク組成物は、酸化鉄顔料に加えて、染料や顔料等の色材を更に含有してもよいが、その場合は、耐候性の観点から、顔料、特には無機顔料を含有することが好ましい。この場合、色材の合計含有量は、例えばインク組成物中0.1~20質量%である。色材は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0077】
酸化鉄顔料を除く色材の具体例としては、
C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、7、9、10、12、13、14、15、16、17、24、32、34、35、36、37、41、42、43、49、53、55、60、61、62、63、65、73、74、75、77、81、83、87、93、94、95、97、98、99、100、101、104、105、106、108、109、110、111、113、114、116、117、119、120、123、124、126、127、128、129、130、133、138、139、150、151、152、153、154、155、165、167、168、169、170、172、173、174、175、176、179、180、181、182、183、184、185、191、193、194、199、205、206、209、212、213、214、215、219、
C.I.Pigment Orange 1、2、3、4、5、13、15、16、17、19、20、21、24、31、34、36、38、40、43、46、48、49、51、60、61、62、64、65、66、67、68、69、71、72、73、74、81、
C.I.Pigment Red 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、21、22、23、31、32、38、41、48、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49、52、52:1、52:2、53:1、54、57:1、58、60:1、63、64:1、68、81:1、83、88、89、95、104、105、108、112、114、119、122、123、136、144、146、147、149、150、164、166、168、169、170、171、172、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、211、213、214、216、220、220、221、224、226、237、238、239、242、245、247、248、251、253、254、255、256、257、258、260、262、263、264、266、268、269、270、271、272、279、
C.I.Pigment Violet 1、2、3、3:1、3:3、5:1、13、15、16、17、19、23、25、27、29、31、32、36、37、38、42、50、
C.I.Pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、16、17:1、24、24:1、25、26、27、28、29、36、56、60、61、62、63、75、79、80、
C.I.Pigment Green 1、4、7、8、10、15、17、26、36、50、
C.I.Pigment Brown 5、6、23、24、25、32、41、42、
C.I.Pigment Black 1、6、7、9、10、11、20、26、28、31、32、34、
C.I.Pigment White 1、2、4、5、6、7、11、12、18、19、21、22、23、26、27、28、
アルミニウムフレーク、ガラスフレーク、パール顔料及び中空粒子等が挙げられる。
【0078】
これらの中でも、得られる膜の耐候性と色再現性の観点から、
C.I.Pigment Black 7、
C.I.Pigment Blue 15:3、C.I.Pigment Blue 15:4、C.I.Pigment Blue 28、
C.I.Pigment Red 122、C.I.Pigment Red 202、C.I.Pigment Red 254、C.I.Pigment Red 282、
C.I.Pigment Violet 19、
C.I.Pigment White 6、
C.I.Pigment Yellow 42、C.I.Pigment Yellow 120、C.I.Pigment Yellow 138、C.I.Pigment Yellow 139、C.I.Pigment Yellow 150、C.I.Pigment Yellow 151、C.I.Pigment Yellow 155、C.I.Pigment Yellow 184、C.I.Pigment Yellow 213が好ましい。
【0079】
本発明のインク組成物は、顔料を分散させるために、必要に応じて分散剤を更に含有してもよい。分散剤の含有量は、例えばインク組成物中0.1~10質量%である。分散剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0080】
分散剤は、塩基価30~70mgKOH/gおよび/または酸価10~150mgKOH/gの分散剤を含むことが好ましい。このような塩基価および/または酸価を有する分散剤を用いることによって、顔料の分散安定性を向上させることができる。
【0081】
本明細書において、「塩基価」は、「アミン価」とも称され、試料1g中に含まれている塩基性成分を中和するのに要する塩酸又は過塩素酸と当量の水酸化カリウムのミリグラム数(単位:mgKOH/g)のことをいい、JIS K2501:2003で定められた方法によって測定することができる。また、「酸価」は、試料1g中に存在する酸性成分を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数(単位:mgKOH/g)のことをいい、JIS K2501:2003で定められた方法によって測定することができる。
【0082】
顔料分散剤の具体例としては、
ANTI-TERRA-U、ANTI-TERRA-U100、
ANTI-TERRA-204、ANTI-TERRA-205、
DISPERBYK-101、DISPERBYK-102、
DISPERBYK-103、DISPERBYK-106、
DISPERBYK-108、DISPERBYK-109、
DISPERBYK-110、DISPERBYK-111、
DISPERBYK-112、DISPERBYK-116、
DISPERBYK-130、DISPERBYK-140、
DISPERBYK-142、DISPERBYK-145、
DISPERBYK-161、DISPERBYK-162、
DISPERBYK-163、DISPERBYK-164、
DISPERBYK-166、DISPERBYK-167、
DISPERBYK-168、DISPERBYK-170、
DISPERBYK-171、DISPERBYK-174、
DISPERBYK-180、DISPERBYK-182、
DISPERBYK-183、DISPERBYK-184、
DISPERBYK-185、DISPERBYK-190、
DISPERBYK-191、DISPERBYK-192、
DISPERBYK-193、DISPERBYK-2000、
DISPERBYK-2001、DISPERBYK-2008、
DISPERBYK-2009、DISPERBYK-2020、
DISPERBYK-2025、DISPERBYK-2050、
DISPERBYK-2070、DISPERBYK-2096、
DISPERBYK-2013、DISPERBYK-2150、
DISPERBYK-2155、DISPERBYK-2163、
DISPERBYK-2164、
BYK-P104、BYK-P104S、BYK-P105、
BYK-9076、BYK-9077、BYK-220S、BYKJET-9150、BYKJET-9151(以上、ビックケミー・ジャパン社製)、
Solsperse3000、Solsperse5000、
Solsperse9000、Solsperse11200、
Solsperse13240、Solsperse13650、
Solsperse13940、Solsperse16000、
Solsperse17000、Solsperse18000、
Solsperse20000、Solsperse21000、
Solsperse24000SC、Solsperse24000GR、
Solsperse26000、Solsperse27000、
Solsperse28000、Solsperse32000、
Solsperse32500、Solsperse32550、
Solsperse32600、Solsperse33000、
Solsperse34750、Solsperse35100、
Solsperse35200、Solsperse36000、
Solsperse36600、Solsperse37500、
Solsperse38500、Solsperse39000、
Solsperse41000、Solsperse54000、
Solsperse55000、Solsperse56000、
Solsperse71000、Solsperse76500、
SolsperseJ180、SolsperseJ200、
SolsperseX300(以上、ルブリゾール社製)、
ディスパロンDA-7301、ディスパロンDA-325、ディスパロンDA-375、ディスパロンDA-234(以上、楠本化成社製)、
フローレンAF-1000、フローレンDOPA-15B、フローレンDOPA-15BHFS、フローレンDOPA-17HF、フローレンDOPA-22、フローレンDOPA-33、フローレンG-600、フローレンG-700、フローレンG-700AMP、フローレンG-700DMEA、フローレンG-820、フローレンG-900、フローレンGW-1500、フローレンKDG-2400、フローレンNC-500、フローレンWK-13E、(以上、共栄社化学社製)、
TEGO Dispers610、TEGO Dispers610S、
TEGO Dispers630、TEGO Dispers650、
TEGO Dispers652、TEGO Dispers655、
TEGO Dispers662C、TEGO Dispers670、
TEGO Dispers685、TEGO Dispers700、
TEGO Dispers710、TEGO Dispers740W、
LIPOTIN A、LIPOTIN BL、
LIPOTIN DB、LIPOTIN SB(以上、エボニック・デグサ社製)、
PB821、PB822、PN411、PA111(以上、味の素ファインテクノ社製)、
テキサホール963、テキサホール964、テキサホール987、テキサホールP60、テキサホールP61、テキサホールP63、テキサホール3250、テキサホールSF71、テキサホールUV20、テキサホールUV21(以上、コグニス社製)、
BorchiGenSN88、BorchiGen0451(以上、ボーシャス社製)等が挙げられる。
【0083】
本発明のインク組成物は、濡れ性の向上等の観点から、表面調整剤を更に含有してもよい。本明細書において、表面調整剤とは、分子構造中に親水性部位と疎水性部位を有し、添加することによりインク組成物の表面張力を調整し得る物質のことを意味する。
【0084】
表面調整剤としては、具体的に、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性表面調整剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性表面調整剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性表面調整剤、アクリル系表面調整剤、シリコン系表面調整剤、およびフッ素系表面調整剤などが挙げられる。特に、シリコン系表面調整剤、およびアクリル系表面調整剤が好ましく、ビックケミー社、エボニック社、東レ・ダウコーニング社等の市販品を使用することができる。さらにシリコン系表面調整剤の場合、HLBが7.6~12であるポリエーテル変性シリコーンオイルを用いることが好ましい。
【0085】
表面調整剤の量は、使用目的により適宜選択し得るが、例えばインク組成物中0.01~3質量%であることが好ましい。表面調整剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0086】
表面調整剤の具体例としては、
BYK-300、BYK-302、BYK-306、BYK-307、BYK-310、BYK-313、BYK-315N、BYK-320、BYK-322、BYK-323、BYK-325、BYK-326、BYK-330、BYK-331、BYK-333、BYK-342、BYK-345、BYK-346、BYK-347、BYK-348、BYK-349、BYK-350、BYK-354、BYK-355、BYK-356、BYK-358N、BYK-361N、BYK-370、BYK-375、BYK-377、BYK-378、BYK-381、BYK-392、BYK-394、BYK-399、BYK-3440、BYK-3441、BYK-3455、BYK-3550、BYK-3560、BYK-3565、BYK-3760、BYK-DYNWET 800N、BYK-SILCLEAN 3700、BYK-SILCLEAN 3701、BYK-SILCLEAN 3720、BYK-UV3500、BYK-UV3505、BYK-UV3510、BYK-UV3530、BYK-UV3535、BYK-UV3570、BYK-UV3575、BYK-UV3576(以上、ビックケミー・ジャパン社製)、
TEGO Flow 300、TEGO Flow 370、TEGO Flow 425、TEGO Flow ATF 2、TEGO Flow ZFS 460、TEGO Glide 100、TEGO Glide 110、TEGO Glide 130、TEGO Glide 406、TEGO Glide 410、TEGO Glide 411、TEGO Glide 415、TEGO Glide 432、TEGO Glide 435、TEGO Glide 440、TEGO Glide 450、TEGO Glide 482、TEGO Wet 510、TEGO GlideA 115、TEGO GlideB 1484、TEGO GlideZG 400(以上、エボニック ジャパン社製)、
501W ADDITIVE、FZ-2104、FZ-2110、FZ-2123、FZ-2164、FZ-2191、FZ-2203、FZ-2215、FZ-2222、FZ-5609、L-7001、L-7002、L-7604、OFX-0193、OFX-0309 FLUID、OFX-5211 FLUID、SF 8410 FLUID、SH3771、SH 3746 FLUID、SH 8400 FLUID、SH 8700 FLUID、Y-7006(以上、東レ・ダウコーニング社製)、
KF-351A、KF-352A、KF-353、KF-354L、KF-355A、KF-615A、KF-640、KF-642、KF-643、KF-644、KF-945、KF-6004、KF-6011、KF-6012、KF-6015、KF-6017、KF-6020、KF-6204、X-22-2516、X-22-4515(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0087】
本発明のインク組成物は、紫外線吸収剤を含んでもよい。紫外線吸収剤は、紫外線を吸収し、紫外線による劣化を防止する作用を有する。紫外線吸収剤としては、シアノアクリレート系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾエート系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物、ベンジリデンカンファー系化合物、無機微粒子等が挙げられる。
【0088】
紫外線吸収剤の具体例としては、
2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、
2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、
2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルフォニックアシッド、
2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、
2-ヒドロキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン-2-ヒドロキシ-4-ベンジロキシベンゾフェノン、
ビス(5-ベンゾイル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)メタン、
2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、
2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、
2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、
2―ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノン、
2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
2-[2’-ヒドロキシ-3’,5’-ビス(α,α-(ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、
2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、
2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、
2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2,2’-メチレン-ビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2N-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]、
メチル-3-[3-t-ブチル-5-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネートとポリエチレングリコールとの縮合物、
2-(2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、
2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、
2,6-ジ-t-ブチルフェニル-3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシベンゾエート、
ヘキサデシル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
【0089】
本発明のインク組成物中において、紫外線吸収剤の量は、好ましくは0.1~15質量%、より好ましくは0.1~12質量%、さらに好ましくは0.1~10質量%の範囲内である。紫外線吸収剤の量が多すぎると、膜が十分に硬化しない可能性がある。紫外線吸収剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、紫外線吸収剤は、少なくとも2種の紫外線吸収剤を含有することが好ましい。構造が異なる複数種の紫外線吸収剤を用いることで、紫外線吸収剤の効果をより持続させることができる。
【0090】
本発明のインク組成物は、ラジカル捕捉剤を含んでもよい。ラジカル捕捉剤は、フリーラジカル等を捕捉し、光安定性を向上させることができる。また、フリーラジカルと反応し、重合反応が起こることを防止する機能を有する物質(いわゆる重合禁止剤)も、ラジカル捕捉剤に含まれる。
【0091】
ラジカル捕捉剤としては、ヒンダードアミン系化合物、ハイドロキノン系化合物、フェノール系化合物、フェノチアジン系化合物、ニトロソ系化合物、N-オキシル系化合物等が挙げられ、特にヒンダードアミン系光安定化剤(HALS)が好ましい。
【0092】
ラジカル捕捉剤の具体例としては、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、1-{2-(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ)エチル}-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ{4.5}デカン-2,4-ジオン等のヒンダードアミン系化合物、フェノール、o-、m-又はp-クレゾール、2-t-ブチル-4-メチルフェノール、6-t-ブチル-2,4-ジメチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2-t-ブチルフェノール、4-t-ブチルフェノール、2,4-ジ-t-ブチルフェノール、2-メチル-4-t-ブチルフェノール、4-t-ブチル-2,6-ジメチルフェノール等のフェノール系化合物、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、メチルハイドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノン、2-メチル-p-ハイドロキノン、2,3-ジメチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン4-メチルベンズカテキン、t-ブチルハイドロキノン、3-メチルベンズカテキン、2-メチル-p-ハイドロキノン、2,3-ジメチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、t-ブチルハイドロキノン、ベンゾキノン、t-ブチル-p-ベンゾキノン、2,5-ジフェニル-p-ベンゾキノン等のハイドロキノン系化合物、フェノチアジン等のフェノチアジン系化合物、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩等のニトロソ系化合物、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-ピペリジン-N-オキシル、4-オキソ-2,2,6,6-テトラメチル-ピペリジン-N-オキシル、4-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチル-ピペリジン-N-オキシル等のN-オキシル系化合物等が挙げられる。
【0093】
本発明のインク組成物中において、ラジカル捕捉剤の量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下の範囲内である。ラジカル捕捉剤の量が多すぎると、硬化不良の原因となる可能性がある。本発明のインク組成物中のラジカル捕捉剤の含有量の下限値は、例えば0.01質量%以上であり、好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上である。ラジカル捕捉剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0094】
本発明のインク組成物は、樹脂を含んでもよい。樹脂は、顔料等の固形成分を捕捉しつつ基材上に被膜を形成する役割を有し、インクの基材付着性向上に寄与する。また、樹脂が分散樹脂であると、顔料の分散安定性にも寄与し得るため、好ましい。
【0095】
樹脂の具体例としては、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、塩化ゴム、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化エチレン-ビニルアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ケトン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体(アニオン変性ポリビニルアルコール等)、セルロース、セルロース誘導体(ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロース等)、ロジン系樹脂、アルキッド樹脂、アルギン酸、アルギン酸誘導体(アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。また、これら樹脂の変性物も含まれる。例えば、水酸基を有する樹脂であれば、ヒドロキシアルキルエーテル化変性、カルボン酸変性などの変性が挙げられる。
【0096】
本発明のインク組成物中において、樹脂の量は、好ましくは25質量%以下、特には20質量%以下、より好ましくは15質量%以下の範囲内である。樹脂の量が多すぎると、硬化不良の原因となる可能性がある。本発明のインク組成物中の樹脂の含有量の下限値は、例えば0.1質量%以上であり、好ましくは0.3質量%以上である。樹脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0097】
本発明のインク組成物は、その他の成分として、酸化防止剤、可塑剤、防錆剤、溶剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、粘性調整剤、充填剤、消泡剤、荷電制御剤、応力緩和剤、浸透剤、導光材、光輝材、磁性材、蛍光体等の添加剤を必要に応じて含んでもよい。
【0098】
本発明のインク組成物は、必要に応じて適宜選択される各種成分を混合することで調製できる。また、不純物等によるヘッドのノズル詰まりを防止する目的で、フィルターを用いたろ過をインク組成物に対して行うことが好ましい。
【0099】
本発明のインク組成物は、その25℃における表面張力が20~30mN/mの範囲内であることが好ましい。25℃におけるインク表面張力が上記特定した範囲内にあれば、良好な吐出安定性が得られる。インクの表面張力は、プレート法により測定できる。
【0100】
本発明のインク組成物を用いた印刷は、特にインクジェット印刷方式にて行われることが好ましい。インクジェット印刷では、種々のインクジェットプリンタに使用することができる。インクジェットプリンタとしては、例えば、荷電制御方式又はピエゾ方式によりインク組成物を噴出させるインクジェットプリンタが挙げられる。また、大型インクジェットプリンタ、具体例としては工業ラインで生産される物品への印刷を目的としたインクジェットプリンタも好適に使用できる。
【0101】
本発明のインク組成物が活性エネルギー線硬化型インクである場合、印刷により形成される層は、紫外線等の活性エネルギー線の照射により硬化されることになる。活性エネルギー線の光源としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、LEDランプ等を使用できる。また、この層を硬化させるために照射する活性エネルギー線の波長は、光重合開始剤の吸収波長と重複していることが好ましく、活性エネルギー線の主波長が350~400nmであることが好ましい。活性エネルギー線の積算光量は100~2000mJ/cm2の範囲にあることが好ましい。
【0102】
ランプによる漏れ光によってノズル面でインクの硬化が起こり、これがインクの吐出不良の原因となり得る。このため、活性エネルギー線の光源として使用されるランプをインクジェットプリンタからある程度の距離(1m~2m程度)をあけて設置したり、インクジェットプリンタのノズルとランプの間に壁を設置したりすることができる。
【0103】
本発明のインク組成物を用いた印刷は、吐出条件やその後の硬化条件を適宜選択することで、グロス調、マット調等の表面仕上げ加工を行うことができる。例えば、インク組成物が拡がった後、時間を置いて硬化すればグロス調になり、インク滴がレンズ状のまま硬化すればマット調になる。
【0104】
本発明のインク組成物を用いた印刷が行われる基材としては、特に限定されるものではなく、例えば、紙、コート紙、プラスチック材、建築板等が挙げられる。基材の形状としては、例えば、フィルム状、シート状、板状等がある。基材の材質としては、例えば、エポキシ樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、特にはポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリプロピレン(PP)等のプラスチック、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、チタンやそれらの合金等の金属、木材、セメント、コンクリート、石膏、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、大理石、人工大理石、ガラス、セラミック等が挙げられ、これら材料の2種以上を組み合わせたものでもよい。基材は、その表面に、脱脂処理、化成処理、研磨等の前処理や、シーラー、プライマー塗装等が施されていてもよい。基材表面は、平滑であってもよいし、凹凸を有するものや立体物であってもよい。基材の具体例としては、塩ビシート、ターポリン、プラダン(プラスチック製ダンボール)、アクリル板等のプラスチック材;コート紙(具体的には樹脂コート紙)、アート紙、キャスト紙、微塗工紙、上質紙、合成紙、インクジェット用紙等の紙類;単板、合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木材を原料とする木質建材;窯業系サイディングボード、フレキシブルボード、珪酸カルシウム板、石膏スラグバーライト板、木片セメント板、パルプセメント板、プレキャストコンクリート板、軽量気泡コンクリート(ALC)板、石膏ボード等の無機質建材;アルミニウム、鉄、ステンレス等の金属建材、タイル、ガラス板等が挙げられる。
【0105】
基材は、その表面の一部又は全体に層(例えば塗膜や印刷膜)が形成されていてもよい。例えば、塗料により形成される塗膜、インクにより形成される印刷膜、粉体トナーにより形成される印刷膜等が基材上に形成されていてもよい。基材上に形成される層は、樹脂、染料や顔料等の色材、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤、酸化防止剤、可塑剤、防錆剤、充填剤、荷電制御剤、導光材、光輝材、磁性材、蛍光体、ワックス等を含むことができる。
【0106】
基材上に層を形成する際に使用される塗料及びインクとしては、主溶媒として有機溶剤を用いる有機溶剤系塗料及びインク、主溶媒として水を用いる水系塗料及びインク、光重合性化合物を用いる光硬化型塗料及びインク、粉体塗料等の各種塗料及びインク等が挙げられる。ここで、インクの場合に使用できる成分としては、上述した本発明のインク組成物に使用できる成分等が挙げられる。
【0107】
基材上に層を形成するための手段は、特に制限されるものではない。例えば、塗料の場合は、エアスプレー、エアレススプレー、ロールコーター、フローコーター、静電塗装等の各種塗装手段が使用できる。また、インクの場合は、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、コーター印刷、インクジェット印刷等の各種印刷手段が使用できる。粉体トナーの場合は、通常、電子写真現像方式の印刷手段(具体的には、複写機、レーザープリンター等の画像形成装置)が使用できる。
【0108】
本発明のインク組成物を用いた印刷により形成される層上には、別の層(例えば塗膜や印刷膜)が形成されていてもよい。例えば、塗料により形成される塗膜、インクにより形成される印刷膜等が形成されていてもよい。本発明のインク組成物から形成される層上に配置され得る別の層は、樹脂、染料や顔料等の色材、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤、酸化防止剤、可塑剤、防錆剤、防藻剤、防カビ剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、充填剤、荷電制御剤、導光材、光輝材、磁性材、蛍光体、ワックス等を含むことができる。
【0109】
本発明のインク組成物を用いた印刷後に別の層を形成する場合、その別の層の形成のための塗料及びインクとしては、主溶媒として有機溶剤を用いる有機溶剤系塗料及びインク、主溶媒として水を用いる水系塗料及びインク、光重合性化合物を用いる光硬化型塗料及びインク、粉体塗料等の各種塗料及びインク等が挙げられる。ここで、インクの場合に使用できる成分としては、上述した本発明のインク組成物に使用できる成分等が挙げられる。
【0110】
本発明のインク組成物を用いた印刷後に別の層を形成するための手段は、特に制限されるものではない。例えば、塗料の場合は、エアスプレー、エアレススプレー、ロールコーター、フローコーター、静電塗装等の各種塗装手段が使用できる。また、インクの場合は、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、コーター印刷、インクジェット印刷等の各種印刷手段が使用できる。
【実施例0111】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0112】
実施例および比較例に用いるインクを作製するにあたって使用した顔料は、下記に示す通りである。
・酸化鉄顔料A:C.I.ピグメントレッド 101、戸田工業社製、マグネタイト含有量7.9質量%
・A-1:C.I.ピグメントレッド 101、マグネタイト含有量5.5質量%
・A-2:C.I.ピグメントレッド 101、マグネタイト含有量4.6質量%
・A-3:C.I.ピグメントレッド 101、マグネタイト含有量3.5質量%
・A-4:C.I.ピグメントレッド 101、マグネタイト含有量2.2質量%
【0113】
(マグネタイト含有量を求めるための検量線の作成例)
三酸化二鉄の試薬(酸化鉄(III)(酸化第二鉄)、鹿特級、関東化学社製)とマグネタイトの試薬(四三酸化鉄、鹿1級、関東化学社製)とを混合し、マグネタイト含有量が10質量%、9質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%、及び1質量%である10種類の混合物を用意した。
使用した三酸化二鉄の試薬については、X線回折装置(AERIS、PANalytical社製)を用いた蛍光除去モードによる15分間の測定によってX線回折パターンを得、マグネタイトのファーストピークの位置(35.62°2θ、ICDD:01-084-9337)にピークがないことを確認した。
用意した10の混合物のX線回折パターンを、X線回折装置(AERIS、PANalytical社製)を用いた蛍光除去モードによる15分間の測定によって得た。次いで、得られた混合物のX線回折パターンのそれぞれについて三酸化二鉄のファーストピークの位置(33.15°2θ、ICDD:01-085-0599)とマグネタイトのファーストピークの位置(35.62°2θ、ICDD:01-084-9337)における三酸化二鉄のファーストピークのピーク強度値(A)とマグネタイトのファーストピークの位置のピーク強度値(B)とを読み取り、両者のピーク強度比(B/A)を算出した。
マイクロソフト社のエクセルを用いて、縦軸(y軸)をピーク強度比(B/A)とし、横軸(x軸)を混合物100質量%に対するマグネタイトの量(質量%)とするグラフにプロットし、プロットされた10点の近似直線を引くことによって、
図1に示された検量線を作成した。
図1は、y=0.0057x+0.6902で表されたマグネタイト含有量を求めるための検量線を示す。
【0114】
(酸化鉄顔料A中におけるマグネタイト含有量)
検量線の作成の場合と同じ条件にて酸化鉄顔料AのX線回折パターンを測定し、検量線からマグネタイト含有量が7.9質量%であることを確認した。
【0115】
(酸化鉄顔料A-1の調製例)
酸化鉄顔料Aをメチルエチルケトン中に分散させて、分散体を調製した。
次いで、ネオジム磁石(240mT)を吸着させた磁性を有するステンレス鋼の金網(KMGメッシュ、関西金網社製)に分散体を一回通し、酸化鉄顔料A-1を調製した。
検量線の作成の場合と同じ条件にて酸化鉄顔料A-1のX線回折パターンを測定し、検量線からマグネタイト含有量が5.5質量%であることを確認した。
【0116】
(酸化鉄顔料A-2の調製例)
ネオジム磁石(240mT)を吸着させた磁性を有するステンレス鋼の金網に対し、分散体を通した回数を2回に変更した以外は、酸化鉄顔料A-1の調製例と同様の方法によって、酸化鉄顔料A-2を調製した。
検量線の作成の場合と同じ条件にて酸化鉄顔料A-2のX線回折パターンを測定し、検量線からマグネタイト含有量が4.6質量%であることを確認した。
【0117】
(酸化鉄顔料A-3の調製例)
ネオジム磁石(240mT)を吸着させた磁性を有するステンレス鋼の金網に対し、分散体を透した回数を3回に変更した以外は、酸化鉄顔料A-1の調製例と同様の方法によって、酸化鉄顔料A-3を調製した。
検量線の作成の場合と同じ条件にて酸化鉄顔料A-3のX線回折パターンを測定し、検量線からマグネタイト含有量が3.5質量%であることを確認した。
【0118】
(酸化鉄顔料A-4の調製例)
ネオジム磁石(240mT)を吸着させた磁性を有するステンレス鋼の金網に対し、分散体を通した回数を5回に変更した以外は、酸化鉄顔料A-1の調製例と同様の方法によって、酸化鉄顔料A-4を調製した。
検量線の作成の場合と同じ条件にて酸化鉄顔料A-4のX線回折パターンを測定し、検量線からマグネタイト含有量が2.2質量%であることを確認した。
【0119】
表1~4に示す配合処方に従う混合物を得、これをビーズミルで練合して均質にし、フィルターを用いてろ過することで、インクジェットインクを調製した。調製されたインクの40℃での粘度をコーンプレート型粘度計を用いて測定した。
【0120】
表1~4に示す酸化鉄顔料の分散粒子径D50は、各インクジェットインク調整後に粒度分布測定装置(Nanotrac WaveII、MicrotracBEL社製)を用いて測定した値(単位:nm)である。
【0121】
表1~4中の注釈は、以下のとおりである。
1)溶剤A:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(東邦化学工業社製)
2)溶剤B:プロパン-1,2-ジオール(ADEKA社製)
3)光重合性化合物A:フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学社製)
4)光重合性化合物B:トリメチロールプロパントリアクリレート(共栄社化学社製)
5)分散剤A:DISPERBYK-192(BYK社製商品名)
6)分散剤B:TEGO Dispers 685(Evonic社製商品名)
7)樹脂1:ソルバイン CL(日信化学工業社製商品名)
8)樹脂2:JONCRYL 60(BASF社製商品名)
9)モノアシルフォスフィンオキサイド:IRGACURE TPO(BASF社製商品名)
10)表面調整剤A:TEGO Glide 410(Evonic社製商品名)
11)表面調整剤B:TEGO Wet 510(Evonic社製商品名)
【0122】
<酸化鉄顔料中のマグネタイト量の評価>
酸化鉄顔料Aおよび酸化鉄顔料A-1~A-4についてのマグネタイト含有量を以下の基準に従い評価した。結果を表1~4に示す。
(評価基準)
○:3質量%以下であった。
△:3質量%を超え、5質量%以下であった。
×:5質量%を超えた。
【0123】
<吐出安定性の評価>
コニカミノルタ株式会社製のインクジェットヘッド(KM1024-LHB)を搭載したインクジェットプリンタを使用し、これに25℃で一週間静置したインクを充分に攪拌してから充填した。インクジェットプリンタのノズルヒーター温度は40℃に設定し、1ヘッドの全ノズルを使用してインクを5分間隔で吐出と休止を10回繰り返した場合の不吐出ノズルの本数で評価を行った。評価基準は以下の通りである。評価結果を下記の表1~4に示す。
(評価基準)
◎:不吐出ノズルが発生しなかった。
○:不吐出ノズルが1~3ピンであった。
△:不吐出ノズルが4~9ピンであった。
×:不吐出ノズルが10ピン以上であった。
【0124】
<インク色安定性の評価>
コニカミノルタ株式会社製のインクジェットヘッド(KM1024-LHB)を搭載したインクジェットプリンタを使用し、これに25℃で一週間静置したインクを充分に攪拌してから充填し、インクジェットプリンタのノズルヒーター温度を40℃に設定した。最初に普通紙上にベタ画像を印刷した。30分放置後、インクジェットヘッドから微量のインクを吐出させ、ワイパーを用いてノズル面のふき取りを行ってから、普通紙上に上記と同じベタ画像を印刷した。上記各印刷物のLab値を分光光度計によって測定して色差(ΔE)を算出し、下記評価基準に当てはめて評価を行った。評価結果を下記の表1~4に示す。
(評価基準)
◎:ΔEが1以下である。
○:ΔEが1を超え、3以下である。
×:ΔEが3を超える、あるいは目視で明らかな黒味への色味変化が見受けられる。
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】