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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003941
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】印刷装置およびその調整方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240109BHJP
   B41J 2/21 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B41J2/01 201
B41J2/01 451
B41J2/21
B41J2/01 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103315
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100104695
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 明宏
(74)【代理人】
【識別番号】100148459
【弁理士】
【氏名又は名称】河本 悟
(72)【発明者】
【氏名】有薗 重徳
(72)【発明者】
【氏名】上田 晃平
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 涼子
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 祐弥
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 洋記
(72)【発明者】
【氏名】横内 健一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 知孝
(72)【発明者】
【氏名】村松 明寿香
(72)【発明者】
【氏名】臼井 健祐
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA11
2C056EA20
2C056EA24
2C056EB13
2C056EB42
2C056EB47
2C056EB58
2C056EC12
2C056EC31
2C056EC77
2C056EC79
2C056EE03
2C056FA13
2C056HA29
(57)【要約】
【課題】印刷データに基づく印刷の前に実行すべき調整処理を簡単な操作で従来よりも損紙を削減しつつ短時間で実行することのできる印刷装置を提供する。
【解決手段】インクジェット印刷装置は、印刷に関する調整処理を外部からの1回の指示に基づいて複数回連続して行う一括調整処理の実行が可能に構成される。搬送制御部は、チャート印刷処理が行われる期間およびチャート撮像処理が行われる期間には搬送速度を第1速度V1で維持する。また、搬送制御部は、一括調整処理で最後に行われる調整処理以外の調整処理においてチャート撮像処理が終了した後に搬送速度を第1速度V1から第2速度V2にまで減速し、次に行われる調整処理におけるチャート印刷処理が開始されるまでに搬送速度を第2速度V2から第1速度V1にまで加速する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材を搬送する搬送機構と、
インクを吐出することにより前記基材への印刷を行う印刷部と、
前記印刷部による印刷で得られた印刷画像を読み取る読み取り部と、
前記搬送機構が前記基材を搬送する速度である搬送速度を制御する搬送制御部と、
印刷条件を設定する印刷条件設定部と
を備え、
印刷に関する調整処理を外部からの1回の指示に基づいて複数回連続して行う一括調整処理の実行が可能に構成され、
1回の調整処理には、前記印刷部が調整対象項目に対応する検査チャートを印刷するチャート印刷処理と、前記読み取り部が検査チャートの印刷画像を読み取るチャート読み取り処理と、前記印刷条件設定部が前記チャート読み取り処理によって得られた読み取りデータに基づいて印刷条件を設定する印刷条件設定処理とが含まれ、
前記搬送制御部は、
前記チャート印刷処理が行われる期間および前記チャート読み取り処理が行われる期間には、前記搬送速度を第1速度で維持し、
前記一括調整処理で最後に行われる調整処理以外の調整処理において前記チャート読み取り処理が終了した後に前記搬送速度を前記第1速度よりも低い第2速度にまで減速し、次に行われる調整処理における前記チャート印刷処理が開始されるまでに前記搬送速度を前記第1速度にまで加速することを特徴とする、印刷装置。
【請求項2】
前記一括調整処理によって、複数の調整対象項目についての調整処理が行われることを特徴とする、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記読み取り部として、前記印刷部による印刷で得られた印刷画像を撮像する撮像部を備え、
前記一括調整処理によって、前記複数の調整対象項目についての調整処理として、段差調整、シェーディング調整、および濃度調整がこの順序で行われ、
前記段差調整、前記シェーディング調整、および前記濃度調整における前記チャート読み取り処理では、前記撮像部が検査チャートの印刷画像を撮像するチャート撮像処理が行われることを特徴とする、請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記読み取り部として、前記印刷部による印刷で得られた印刷画像を撮像する撮像部と、測色を行う測色部とを備え、
前記一括調整処理によって、前記複数の調整対象項目についての調整処理として、段差調整、シェーディング調整、濃度調整、およびカラープロファイル作成処理がこの順序で行われ、
前記段差調整、前記シェーディング調整、および前記濃度調整における前記チャート読み取り処理では、前記撮像部が検査チャートの印刷画像を撮像するチャート撮像処理が行われ、
前記カラープロファイル作成処理における前記チャート読み取り処理では、前記測色部が検査チャートの印刷画像の測色を行う測色処理が行われ、
前記カラープロファイル作成処理における前記印刷条件設定処理では、前記測色処理によって得られた測色データに基づいてカラープロファイルが作成されることを特徴とする、請求項2に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記一括調整処理による調整処理の対象とする調整対象項目を外部から選択するための調整対象項目選択部を更に備えることを特徴とする、請求項2に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記調整対象項目選択部による選択が可能な複数の調整対象項目について予め実行順序に関する優先順位が定められており、
前記一括調整処理によって、前記調整対象項目選択部によって選択された1以上の調整対象項目についての調整処理が前記優先順位に従った順序で行われることを特徴とする、請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記搬送制御部は、前記第1速度を調整対象項目毎に異ならせることを特徴とする、請求項2に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記搬送制御部は、前記第2速度を調整対象項目毎に異ならせることを特徴とする、請求項2に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記搬送制御部は、前記第1速度および前記第2速度の少なくとも一方を調整対象項目毎に異ならせることを特徴とする、請求項2に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記第2速度は、前記一括調整処理の実行による前記基材の搬送距離が最小となるように定められていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記第2速度は、下記の式で算出される前記基材の搬送距離Lが最小となるように定められていることを特徴とする、請求項10に記載の印刷装置:
【数3】
ここで、V1は前記第1速度であり、V2は前記第2速度であり、Taは前記チャート読み取り処理の終了時点から前記印刷条件設定処理が終了するまでに要する時間であり、Tdは前記搬送速度が前記第1速度から前記第2速度にまで減速するのに要する時間であり、Tuは前記搬送速度が前記第2速度から前記第1速度にまで加速するのに要する時間である。
【請求項12】
前記第2速度は0であることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項13】
前記チャート読み取り処理の終了時点から前記印刷条件設定処理が終了するまでに要する時間をTaとし、前記搬送速度が前記第2速度から前記第1速度にまで加速するのに要する時間をTuとすると、前記搬送制御部は、前記一括調整処理で最後に行われる調整処理以外の調整処理において前記チャート読み取り処理が終了した時点から(Ta-Tu)時間経過した時点に前記搬送速度の加速を開始することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項14】
前記第1速度として、第1レベルの第1速度と第2レベルの第1速度とが用意され、
1回の調整処理において、前記チャート印刷処理と前記チャート読み取り処理とは、前記搬送速度が前記第1レベルの第1速度で維持されている状態と前記搬送速度が前記第2レベルの第1速度で維持されている状態とで行われ、前記印刷条件設定処理では前記第1レベルの第1速度および前記第2レベルの第1速度のそれぞれに対応する印刷条件の設定が行われることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項15】
基材を搬送する搬送機構と、インクを吐出することにより前記基材への印刷を行う印刷部と、前記印刷部による印刷で得られた印刷画像を読み取る読み取り部と、前記搬送機構が前記基材を搬送する速度である搬送速度を制御する搬送制御部と、印刷条件を設定する印刷条件設定部とを備えた印刷装置の調整方法であって、
オペレータが前記印刷装置に対して一括調整処理の実行を指示する調整指示ステップと、
前記印刷装置が前記調整指示ステップによる指示に基づいて印刷に関する調整処理を繰り返し行う複数回の調整ステップと
を含み、
各回の調整ステップは、
前記搬送制御部が前記搬送速度を加速する加速ステップと、
前記印刷部が調整対象項目に対応する検査チャートを印刷するチャート印刷ステップと、
前記読み取り部が検査チャートの印刷画像を読み取るチャート読み取りステップと、
前記搬送制御部が前記搬送速度を減速する減速ステップと、
前記印刷条件設定部が前記チャート読み取りステップで得られた読み取りデータに基づいて印刷条件を設定する印刷条件設定ステップと
を含み、
最初の回の調整ステップに含まれる前記加速ステップでは、前記搬送制御部は、前記搬送速度を0から第1速度にまで加速し、
最初の回以外の調整ステップに含まれる前記加速ステップでは、前記搬送制御部は、前記搬送速度を前記第1速度よりも低い第2速度から前記第1速度にまで加速し、
各回の調整ステップに含まれる前記チャート印刷ステップおよび前記チャート読み取りステップは、前記搬送制御部によって前記搬送速度が前記第1速度で維持されている状態で行われ、
最後の回以外の調整ステップに含まれる前記減速ステップでは、前記搬送制御部は、前記搬送速度を前記第1速度から前記第2速度にまで減速し、
最後の回の調整ステップに含まれる前記減速ステップでは、前記搬送制御部は、前記搬送速度を前記第1速度から0にまで減速することを特徴とする、調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルからインクを吐出することにより印刷を行う印刷装置およびその調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、熱や圧力によってインクを基材(印刷用紙など)に吐出することにより印刷を行うインクジェット印刷装置が知られている。インクジェット印刷装置の印刷部には、例えば、インクの色毎に、基材の搬送方向とは直交する方向に延びる複数個のインクジェットヘッド(印刷ヘッド)が設けられている。各インクジェットヘッドには、インクを吐出する多数のノズルが含まれている。上記のような構成の印刷部によってロール紙への印刷を行うことにより、ワンパス方式での高速な印刷が実現されている。これにより、特にオンデマンド印刷については、インクジェット印刷装置が広く採用されている。
【0003】
このようなインクジェット印刷装置で印刷が行われる際、良好な印刷品質が得られるよう、各種の調整が行われる。詳しくは、対象の印刷物を実際に得るための印刷(印刷データに基づく印刷)(以下、「実印刷」という。)を実行する前に、検査チャートの印刷およびイメージセンサによる当該検査チャートの印刷画像の読み取りの結果に応じた調整データ(例えば、補正値)の計算・設定などからなる調整処理が行われる。
【0004】
図25は、インクジェット印刷装置で行われている従来の調整処理について説明するための図である。ここでは、3つの調整対象項目についての調整(段差調整、シェーディング調整、および濃度調整)が行われるケースに着目する。段差調整は、使用する基材の種類および厚さの違いや印刷モードの違いに起因するインクジェットヘッド(印刷ヘッド)間のずれ(段差)を補正することを目的としており、インク吐出タイミングを適宜の調整単位(例えば、インクジェットヘッド単位またはノズル単位)ごとに調整する作業である。シェーディング調整は、インクジェットヘッド間の濃度のばらつきを小さくすることを目的としている。シェーディング調整は、具体的には、所定濃度の補正用チャートを印刷した後に当該補正用チャートを光学的に読み取ることによって各ノズルに対応する部分の濃度を測定し、測定で得られた濃度と所定濃度との差に応じてノズルごとにインク吐出量の補正を行うことにより全てのノズルで同じ濃度の印刷結果が得られるようにして濃度ムラを抑制する作業である。濃度調整は、C色(シアン色)、M色(マゼンタ色)、Y色(黄色)、およびK色(黒色)などの各インク色の最高濃度および中間濃度を調整することを目的としており、階調補正テーブルのデータをインク色毎に調整する作業である。
【0005】
図25には、調整処理が行われている期間における搬送速度(基材を搬送する速度)の変化が示されている。なお、VHは、通常印刷速度(通常の印刷時の搬送速度)を表している。また、段差調整、シェーディング調整、および濃度調整についての矢印の矢先は、それらに対応する検査チャートの印刷が行われる期間の一時点を指している。
【0006】
まず、時点t90に、オペレータが段差調整の実行を指示する調整開始ボタンを押下する。これにより、インクジェット印刷装置の印刷機本体が動作を開始する。印刷後の基材を乾燥させるための乾燥部の温度が適温になるなど基材への印刷が可能な状態になると(時点t90aになると)、搬送速度が徐々に上昇する。時点t90bに搬送速度が通常印刷速度VHに到達すると、段差調整用の検査チャートの印刷が行われる。そして、当該検査チャートの印刷画像がイメージセンサによって読み取られた後、時点t90cになると搬送速度が徐々に低下し、時点t91に印刷機本体の動作が停止する。また、時点t90c以降に、検査チャートの印刷画像の読み取りの結果に応じて、調整データの計算および設定が行われる。なお、調整データの計算および設定については、例えば、インクジェット印刷装置のコントローラとして機能する印刷制御装置で行われる。
【0007】
その後、時点t92に、オペレータがシェーディング調整の実行を指示する調整開始ボタンを押下する。これにより、段差調整の際と同様の動作が行われ、時点t93に印刷機本体の動作が停止する。さらに、時点t94に、オペレータが濃度調整の実行を指示する調整開始ボタンを押下する。これにより、段差調整の際と同様の動作が行われ、時点t95に印刷機本体の動作が停止する。
【0008】
以上のように、複数の調整対象項目について、1項目ずつオペレータの操作に基づいて調整が行われる。このように実印刷の実行前に調整処理を行うことによって、高品質の印刷物が得られる。
【0009】
なお、本発明に関連して、以下の先行技術文献が知られている。国際公開第2018/225489号パンフレットには、複数の液体吐出ヘッドについての適切な吐出滴量調整を可能にした画像形成装置の発明が開示されている。その画像形成装置では、例えば、濃度検査チャートを印刷する際の搬送速度が通常画像印刷時の搬送速度よりも低くされる。具体的には、同色インクを吐出するインクジェットヘッドの数が多いほど、濃度検査チャートを印刷する際の搬送速度が低くされる。これにより、液体吐出ヘッドの数に関わらず吐出滴量調整が適切に行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2018/225489号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したように、従来のインクジェット印刷装置に関しては、複数の調整対象項目について、1項目ずつオペレータの操作に基づいて調整が行われている。これに関し、複数の調整対象項目についての調整が不適当な順序で実行されると、調整対象項目によっては良好な調整が行われない。例えば、段差調整の実行前にシェーディング調整が実行されると、各ノズルからのインクの吐出タイミングが調整されていない状態で、各ノズルから吐出されるインクの量が調整されることになる。そうすると、実際の印刷によって得られる画像の濃度は所望の濃度とは異なるものとなる。また、例えば、シェーディング調整の実行前に濃度調整が実行されると、ヘッドの位置によって濃度が異なることになる。以上のようなことから、調整処理を実行する際には、複数の調整対象項目についての調整の順序を考慮する必要がある。すなわち、複数の調整対象項目について、調整の順序を考慮しつつ1項目ずつ調整が実行されなければならない。それ故、オペレーションが煩雑であり、オペレータにとっては調整処理のための操作負担が極めて大きい。
【0012】
また、上述したように複数の調整対象項目について1項目ずつ調整を実行する必要があることから、「印刷機本体の起動、検査チャートの印刷、印刷機本体の停止」という動作が調整対象項目の数に等しい回数繰り返される。しかも、調整対象項目毎にオペレータによる実行の指示が必要である。従って、調整処理の実行に多大な時間を要する。さらに、「印刷機本体の起動、搬送速度の加速、検査チャートの印刷、搬送速度の減速、印刷機本体の停止」という動作が繰り返されることから損紙が多い。
【0013】
なお、国際公開第2018/225489号パンフレットには、調整処理のためのオペレータの操作に関しては何ら記載されていない。
【0014】
以上のような事情に鑑み、本発明は、印刷データに基づく印刷の前に実行すべき調整処理を簡単な操作で従来よりも損紙を削減しつつ短時間で実行することのできる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の発明は、印刷装置であって、
基材を搬送する搬送機構と、
インクを吐出することにより前記基材への印刷を行う印刷部と、
前記印刷部による印刷で得られた印刷画像を読み取る読み取り部と、
前記搬送機構が前記基材を搬送する速度である搬送速度を制御する搬送制御部と、
印刷条件を設定する印刷条件設定部と
を備え、
印刷に関する調整処理を外部からの1回の指示に基づいて複数回連続して行う一括調整処理の実行が可能に構成され、
1回の調整処理には、前記印刷部が調整対象項目に対応する検査チャートを印刷するチャート印刷処理と、前記読み取り部が検査チャートの印刷画像を読み取るチャート読み取り処理と、前記印刷条件設定部が前記チャート読み取り処理によって得られた読み取りデータに基づいて印刷条件を設定する印刷条件設定処理とが含まれ、
前記搬送制御部は、
前記チャート印刷処理が行われる期間および前記チャート読み取り処理が行われる期間には、前記搬送速度を第1速度で維持し、
前記一括調整処理で最後に行われる調整処理以外の調整処理において前記チャート読み取り処理が終了した後に前記搬送速度を前記第1速度よりも低い第2速度にまで減速し、次に行われる調整処理における前記チャート印刷処理が開始されるまでに前記搬送速度を前記第1速度にまで加速することを特徴とする。
【0016】
第2の発明は、第1の発明において、
前記一括調整処理によって、複数の調整対象項目についての調整処理が行われることを特徴とする。
【0017】
第3の発明は、第2の発明において、
前記印刷装置は、前記読み取り部として、前記印刷部による印刷で得られた印刷画像を撮像する撮像部を備え、
前記一括調整処理によって、前記複数の調整対象項目についての調整処理として、段差調整、シェーディング調整、および濃度調整がこの順序で行われ、
前記段差調整、前記シェーディング調整、および前記濃度調整における前記チャート読み取り処理では、前記撮像部が検査チャートの印刷画像を撮像するチャート撮像処理が行われることを特徴とする。
【0018】
第4の発明は、第2の発明において、
前記印刷装置は、前記読み取り部として、前記印刷部による印刷で得られた印刷画像を撮像する撮像部と、測色を行う測色部とを備え、
前記一括調整処理によって、前記複数の調整対象項目についての調整処理として、段差調整、シェーディング調整、濃度調整、およびカラープロファイル作成処理がこの順序で行われ、
前記段差調整、前記シェーディング調整、および前記濃度調整における前記チャート読み取り処理では、前記撮像部が検査チャートの印刷画像を撮像するチャート撮像処理が行われ、
前記カラープロファイル作成処理における前記チャート読み取り処理では、前記測色部が検査チャートの印刷画像の測色を行う測色処理が行われ、
前記カラープロファイル作成処理における前記印刷条件設定処理では、前記測色処理によって得られた測色データに基づいてカラープロファイルが作成されることを特徴とする。
【0019】
第5の発明は、第2の発明において、
前記印刷装置は、前記一括調整処理による調整処理の対象とする調整対象項目を外部から選択するための調整対象項目選択部を更に備えることを特徴とする。
【0020】
第6の発明は、第5の発明の発明において、
前記調整対象項目選択部による選択が可能な複数の調整対象項目について予め実行順序に関する優先順位が定められており、
前記一括調整処理によって、前記調整対象項目選択部によって選択された1以上の調整対象項目についての調整処理が前記優先順位に従った順序で行われることを特徴とする。
【0021】
第7の発明は、第2の発明において、
前記搬送制御部は、前記第1速度を調整対象項目毎に異ならせることを特徴とする。
【0022】
第8の発明は、第2の発明において、
前記搬送制御部は、前記第2速度を調整対象項目毎に異ならせることを特徴とする。
【0023】
第9の発明は、第2の発明において、
前記搬送制御部は、前記第1速度および前記第2速度の少なくとも一方を調整対象項目毎に異ならせることを特徴とする。
【0024】
第10の発明は、第1から第9までのいずれかの発明において、
前記第2速度は、前記一括調整処理の実行による前記基材の搬送距離が最小となるように定められていることを特徴とする。
【0025】
第11の発明は、第10の発明において、
前記第2速度は、下記の式で算出される前記基材の搬送距離Lが最小となるように定められていることを特徴とする。
【数1】
ここで、V1は前記第1速度であり、V2は前記第2速度であり、Taは前記チャート読み取り処理の終了時点から前記印刷条件設定処理が終了するまでに要する時間であり、Tdは前記搬送速度が前記第1速度から前記第2速度にまで減速するのに要する時間であり、Tuは前記搬送速度が前記第2速度から前記第1速度にまで加速するのに要する時間である。
【0026】
第12の発明は、第1から第7までのいずれかの発明において、
前記第2速度は0であることを特徴とする。
【0027】
第13の発明は、第1から第9までのいずれかの発明において、
前記チャート読み取り処理の終了時点から前記印刷条件設定処理が終了するまでに要する時間をTaとし、前記搬送速度が前記第2速度から前記第1速度にまで加速するのに要する時間をTuとすると、前記搬送制御部は、前記一括調整処理で最後に行われる調整処理以外の調整処理において前記チャート読み取り処理が終了した時点から(Ta-Tu)時間経過した時点に前記搬送速度の加速を開始することを特徴とする。
【0028】
第14の発明は、第1から第9までのいずれかの発明において、
前記第1速度として、第1レベルの第1速度と第2レベルの第1速度とが用意され、
1回の調整処理において、前記チャート印刷処理と前記チャート読み取り処理とは、前記搬送速度が前記第1レベルの第1速度で維持されている状態と前記搬送速度が前記第2レベルの第1速度で維持されている状態とで行われ、前記印刷条件設定処理では前記第1レベルの第1速度および前記第2レベルの第1速度のそれぞれに対応する印刷条件の設定が行われることを特徴とする。
【0029】
第15の発明は、基材を搬送する搬送機構と、インクを吐出することにより前記基材への印刷を行う印刷部と、前記印刷部による印刷で得られた印刷画像を読み取る読み取り部と、前記搬送機構が前記基材を搬送する速度である搬送速度を制御する搬送制御部と、印刷条件を設定する印刷条件設定部とを備えた印刷装置の調整方法であって、
オペレータが前記印刷装置に対して一括調整処理の実行を指示する調整指示ステップと、
前記印刷装置が前記調整指示ステップによる指示に基づいて印刷に関する調整処理を繰り返し行う複数回の調整ステップと
を含み、
各回の調整ステップは、
前記搬送制御部が前記搬送速度を加速する加速ステップと、
前記印刷部が調整対象項目に対応する検査チャートを印刷するチャート印刷ステップと、
前記読み取り部が検査チャートの印刷画像を読み取るチャート読み取りステップと、
前記搬送制御部が前記搬送速度を減速する減速ステップと、
前記印刷条件設定部が前記チャート読み取りステップで得られた読み取りデータに基づいて印刷条件を設定する印刷条件設定ステップと
を含み、
最初の回の調整ステップに含まれる前記加速ステップでは、前記搬送制御部は、前記搬送速度を0から第1速度にまで加速し、
最初の回以外の調整ステップに含まれる前記加速ステップでは、前記搬送制御部は、前記搬送速度を前記第1速度よりも低い第2速度から前記第1速度にまで加速し、
各回の調整ステップに含まれる前記チャート印刷ステップおよび前記チャート読み取りステップは、前記搬送制御部によって前記搬送速度が前記第1速度で維持されている状態で行われ、
最後の回以外の調整ステップに含まれる前記減速ステップでは、前記搬送制御部は、前記搬送速度を前記第1速度から前記第2速度にまで減速し、
最後の回の調整ステップに含まれる前記減速ステップでは、前記搬送制御部は、前記搬送速度を前記第1速度から0にまで減速することを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
上記第1の発明によれば、印刷装置は、複数回の調整処理を外部からの1回の指示に基づいて一括して行う一括調整処理の実行が可能なように構成されている。オペレータは、調整処理毎に実行を指示する必要はなく、調整処理の実行の順序を考慮する必要もない。以上より、印刷に関する調整処理を簡単な操作で短時間で実行することが可能となる。また、調整処理が行われている期間を通じて搬送速度が一定の速度で維持されるのではなく、最後に行われる調整処理以外の調整処理においてチャート読み取り処理が終了してから次に行われる調整処理におけるチャート印刷処理が開始されるまでの期間に、搬送速度はチャート印刷処理およびチャート読み取り処理が行われている期間に比べて低くなる。このように一括調整処理が実行されている期間中に搬送速度の加減速が行われることにより、従来よりも損紙を削減することが可能となる。また、このように損紙が削減されることからSDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献することができる。以上のように、実印刷(印刷データに基づく印刷)の前に実行すべき調整処理を簡単な操作で従来よりも損紙を削減しつつ短時間で実行することのできる印刷装置が実現される。
【0031】
上記第2の発明によれば、複数の調整対象項目についての調整処理を簡単な操作で従来よりも損紙を削減しつつ短時間で実行することのできる印刷装置が実現される。
【0032】
上記第3の発明によれば、段差調整とシェーディング調整と濃度調整とからなる一連の処理を簡単な操作で従来よりも損紙を削減しつつ短時間で実行することのできる印刷装置が実現される。
【0033】
上記第4の発明によれば、段差調整とシェーディング調整と濃度調整とカラープロファイル作成処理とからなる一連の処理を簡単な操作で従来よりも損紙を削減しつつ短時間で実行することのできる印刷装置が実現される。
【0034】
上記第5の発明によれば、一括調整処理による調整処理の対象とする調整対象項目を選択することが可能となるので、不必要な調整処理の実行が防止される。これにより、損紙の増大の抑制が可能になるとともに調整処理に要する時間の短縮が可能となる。
【0035】
上記第6の発明によれば、オペレータは、選択した複数の調整対象項目に関し、調整処理の実行の順序を考慮する必要はない。従って、調整処理に要する時間をより効果的に短縮することが可能となる。
【0036】
上記第7の発明によれば、調整対象項目毎に第1速度が最適化され、調整の精度が向上する。
【0037】
上記第8の発明によれば、調整対象項目毎に第2速度が最適化され、調整の精度が向上する。
【0038】
上記第9の発明によれば、より効果的に損紙の削減および調整に要する時間の短縮を実現することが可能となる。
【0039】
上記第10の発明によれば、従来よりも損紙を顕著に削減することが可能となる。
【0040】
上記第11の発明によれば、上記第10の発明と同様の効果が得られる。
【0041】
上記第12の発明によれば、印刷条件設定処理が行われる期間に基材の搬送が停止するので、より効果的に損紙が削減される。
【0042】
上記第13の発明によれば、無駄な時間が生じないように搬送速度の加速が開始されるので、一括調整処理の実行時間を効果的に短くすることができる。
【0043】
上記第14の発明によれば、印刷装置に複数種類の印刷速度が用意されている場合に、それぞれの印刷速度(搬送速度)に対応する調整データを容易に取得することが可能となる。
【0044】
上記第15の発明によれば、上記第1の発明と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明の一実施形態に係る印刷システムの全体構成図である。
図2】上記実施形態におけるインクジェット印刷装置の一構成例を示す模式図である。
図3】上記実施形態における印刷部の一構成例を示す平面図である。
図4】上記実施形態における印刷制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図5】上記実施形態において、印刷制御装置で印刷制御プログラムが実行されることによって実現される制御部の概略機能構成を示すブロック図である。
図6】上記実施形態における一括調整処理の流れを示すフローチャートである。
図7】上記実施形態における一括調整処理の流れを示すフローチャートである。
図8】上記実施形態において、1つの調整対象項目についての調整処理の流れを示すフローチャートである。
図9】上記実施形態において、搬送速度の変化について説明するための波形図である。
図10】上記実施形態において、搬送速度の加速の開始タイミングについて説明するための図である。
図11】上記実施形態において、加減速を行うことによる損紙削減について説明するための図である。
図12】上記実施形態において、加減速を行うことによる損紙削減について説明するための図である。
図13】上記実施形態において、損紙の発生に関するシミュレーションについて説明するための図である。
図14】上記実施形態において、損紙の長さ(発生量)について説明するための図である。
図15】上記実施形態において、どのように第2速度が決定されるのかについて説明するための図である。
図16】上記実施形態の第1の変形例における搬送速度の変化を示す波形図である。
図17】上記実施形態の第2の変形例における制御部の概略機能構成を示すブロック図である。
図18】上記実施形態の第2の変形例におけるICCプロファイル作成処理の手順を示すフローチャートである。
図19】上記実施形態の第3の変形例における調整対象項目選択画面の一例を示す図である。
図20】上記実施形態の第4の変形例における搬送速度の変化を示す波形図である。
図21】上記実施形態の第5の変形例における搬送速度の変化を示す波形図である。
図22】上記実施形態の第6の変形例における搬送速度の変化を示す波形図である。
図23】上記実施形態の第7の変形例において、各調整対象項目の減速可能速度等について説明するための図である。
図24】上記実施形態の第7の変形例における搬送速度の変化を示す波形図である。
図25】インクジェット印刷装置で行われている従来の調整処理について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態について説明する。
【0047】
<1.印刷システムの全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る印刷システムの全体構成図である。この印刷システムは、インクジェット印刷装置10と印刷データ生成装置30とによって構成されている。インクジェット印刷装置10と印刷データ生成装置30とはLAN4によって互いに接続されている。印刷データ生成装置30は、PDFファイルなどの入稿データに対してRIP処理等を施して印刷データを生成する。印刷データ生成装置30で生成された印刷データは、LAN4を介してインクジェット印刷装置10に送信される。インクジェット印刷装置10は、印刷版を用いることなく、印刷データ生成装置30から送信された印刷データに基づいて、基材である印刷用紙に印刷画像を出力する。インクジェット印刷装置10は、印刷機本体200と、印刷機本体200の動作を制御する印刷制御装置100とによって構成されている。
【0048】
<2.インクジェット印刷装置の構成>
図2は、インクジェット印刷装置10の一構成例を示す模式図である。上述したように、このインクジェット印刷装置10は、印刷制御装置100と印刷機本体200とによって構成されている。
【0049】
印刷機本体200は、印刷用紙(例えばロール紙)PAを供給する用紙送出部21と、印刷用紙PAへの印刷を行う印刷機構20と、印刷後の印刷用紙PAを巻き取る用紙巻取部29とを備えている。印刷機構20は、印刷用紙PAを内部へと搬送するための第1の駆動ローラ22と、印刷機構20の内部で印刷用紙PAを搬送するための複数個の支持ローラ23と、印刷用紙PAにインクを吐出して印刷を行う印刷部(インクジェットヘッド群)24と、印刷部24のクリーニング(例えば、ノズルからのインクの吸引やノズル面のワイピング)を行うクリーニング機構25と、印刷後の印刷用紙PAを乾燥させる乾燥部26と、印刷画像(印刷後の印刷用紙PA)を撮像する撮像部(画像読み取り装置)27と、印刷用紙PAを印刷機構20の内部から出力するための第2の駆動ローラ28とを備えている。なお、撮像部27としては、例えば、CMOSを用いたコンタクトイメージセンサ(CIS)が採用される。
【0050】
印刷制御装置100は、以上のような構成の印刷機本体200の動作を制御する。印刷制御装置100に印刷出力の指示コマンドが与えられると、印刷制御装置100は、印刷用紙PAが用紙送出部21から用紙巻取部29へと搬送されるよう、印刷機本体200の動作を制御する。そして、まず印刷部24によって印刷用紙PAへの印刷が行われ、次に乾燥部26によって印刷用紙PAの乾燥が行われ、最後に必要に応じて撮像部27による印刷画像の撮像が行われる。また、必要に応じて、クリーニング機構25による印刷部24のクリーニングが行われる。なお、本実施形態においては、撮像部27による印刷画像の撮像によって得られた撮像データ(読み取りデータ)Dcは印刷制御装置100に送られる。
【0051】
図3は、印刷部24の一構成例を示す平面図である。図3に示すように、印刷部24は、印刷用紙PAの搬送方向に列置されたC色(シアン色)、M色(マゼンタ色)、Y色(黄色)、およびK色(黒色)のインクジェットヘッド列240C、240M、240Y、および240Kから構成されている。各インクジェットヘッド列は、千鳥状に配置された複数個のインクジェットヘッド(印刷ヘッド)241により構成されている。各インクジェットヘッド241には、インクを吐出する多数のノズルが含まれている。C色のインクジェットヘッド列240Cに含まれるインクジェットヘッド241の各ノズルはC色のインクを吐出し、M色のインクジェットヘッド列240Mに含まれるインクジェットヘッド241の各ノズルはM色のインクを吐出し、Y色のインクジェットヘッド列240Yに含まれるインクジェットヘッド241の各ノズルはY色のインクを吐出し、K色のインクジェットヘッド列240Kに含まれるインクジェットヘッド241の各ノズルはK色のインクを吐出する。
【0052】
<3.印刷制御装置のハードウェア構成>
図4は、印刷制御装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。図4に示すように、印刷制御装置100は、本体110、補助記憶装置121、光ディスクドライブ122、表示部123、キーボード124、およびマウス125などを備えている。本体110は、CPU111、メモリ112、第1ディスクインタフェース部113、第2ディスクインタフェース部114、表示制御部115、入力インタフェース部116、および通信インタフェース部117を含んでいる。CPU111、メモリ112、第1ディスクインタフェース部113、第2ディスクインタフェース部114、表示制御部115、入力インタフェース部116、および通信インタフェース部117は、システムバスを介して互いに接続されている。第1ディスクインタフェース部113には補助記憶装置121が接続されている。第2ディスクインタフェース部114には光ディスクドライブ122が接続されている。表示制御部115には、表示部(表示装置)123が接続されている。入力インタフェース部116には、キーボード124およびマウス125が接続されている。通信インタフェース部117には、通信ケーブルを介して印刷機本体200が接続されている。また、通信インタフェース部117はLAN4に接続されている。補助記憶装置121は磁気ディスク装置などである。光ディスクドライブ122には、CD-ROMやDVD-ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体としての光ディスク5が挿入される。表示部123は液晶ディスプレイなどである。表示部123は、オペレータが所望する情報を表示するために使用される。キーボード124およびマウス125は、この印刷制御装置100に対して作業者が指示を入力するために使用される。
【0053】
補助記憶装置121には、印刷制御プログラム(印刷機本体200による印刷処理の実行を制御するためのプログラム)Pが格納されている。CPU111は、補助記憶装置121に格納された印刷制御プログラムPをメモリ112に読み出して実行することにより、印刷制御装置100の各種機能を実現する。メモリ112は、RAMおよびROMを含んでいる。メモリ112は、補助記憶装置121に格納された印刷制御プログラムPをCPU111が実行するためのワークエリアとして機能する。なお、印刷制御プログラムPは、上記コンピュータ読み取り可能な記録媒体(非一過性の記録媒体)に格納されて提供される。すなわち、ユーザーは、例えば、印刷制御プログラムPの記録媒体としての光ディスク5を購入して光ディスクドライブ122に挿入し、光ディスク5から印刷制御プログラムPを読み出して補助記憶装置121にインストールする。
【0054】
<4.制御部の構成>
図5は、印刷制御装置100で印刷制御プログラムPが実行されることによって実現される制御部150の概略機能構成を示すブロック図である。制御部150は、概略的には、印刷条件設定部151と搬送制御部152と印刷制御部153と乾燥制御部154と撮像制御部155とを含んでいる。
【0055】
印刷条件設定部151は、印刷の際に制御部150によって参照されるべき印刷条件の設定を行う。本実施形態においては、後述する一括調整処理において、印刷条件設定部151は、調整対象項目毎に、撮像部27による印刷画像の撮像によって得られた撮像データDcに基づいて印刷条件を設定する。
【0056】
搬送制御部152は、搬送機構210が印刷用紙PAを搬送する速度(搬送速度)を制御する。なお、本実施形態においては、用紙送出部21と第1の駆動ローラ22と複数個の支持ローラ23と第2の駆動ローラ28と用紙巻取部29とによって搬送機構210が実現される(図2参照)。
【0057】
印刷制御部153は、設定されている印刷条件に応じて、印刷部24を構成する各インクジェットヘッド241に含まれる各ノズルからのインクの吐出を制御する。例えば、インクの吐出タイミングやインクの吐出量の制御が印刷条件に応じて行われる。乾燥制御部154は、乾燥部26が印刷用紙PAを乾燥させる際の温度(乾燥温度)を制御する。撮像制御部155は、撮像部27による印刷画像の撮像タイミングを制御する。
【0058】
<5.一括調整処理>
本実施形態に係るインクジェット印刷装置10には、複数の調整対象項目についての調整処理をオペレータの1回の操作に基づいて行う一括調整処理を実行する機能が設けられている。換言すれば、本実施形態に係るインクジェット印刷装置10は、印刷に関する調整処理を外部からの1回の指示に基づいて複数回連続して行う一括調整処理の実行が可能に構成されている。以下、この一括調整処理について説明する。
【0059】
なお、本実施形態においては、一括調整処理によって、複数の調整対象項目についての調整処理として、段差調整、シェーディング調整、および濃度調整がこの順序で行われる。また、濃度調整に関し、従来においてはいわゆる「ベタ」の濃度を調整する処理と中間調の濃度を調整する処理とが別々に行われるのが一般的であったが、本実施形態においては両者が一括調整処理内でまとめて行われるものと仮定する。
【0060】
<5.1 処理のフロー>
図6および図7を参照しつつ、一括調整処理のフローについて説明する。まず、各調整対象項目についての調整処理の動作を制御する調整用パラメータがオペレータによって指定される(ステップS100)。調整用パラメータの指定は、例えば対象のファイルを指定することによって行われる。調整用パラメータとしては、シェーディング調整を繰り返す回数や濃度調整の際に基準とする濃度値であるターゲット濃度値などが挙げられる。
【0061】
次に、一括調整処理の実行を指示する一括調整開始ボタンがオペレータによって押下される(ステップS110)。このステップS110によって調整指示ステップが実現される。なお、一括調整開始ボタンは、例えば、印刷制御装置100の表示部123に表示される所定の操作画面内に含まれている。一括調整開始ボタンが押下された後、印刷機本体200が動作を開始する(ステップS120)。印刷機本体200に関して乾燥部26の温度が適温になるなど印刷用紙PAへの印刷が可能な状態になると、搬送制御部152による制御に基づいて搬送機構210による印刷用紙PAの搬送が開始され、搬送速度が加速する(ステップS130)。
【0062】
その後、搬送速度が印刷に適した速度(以下、この速度を便宜上「第1速度」という。)に到達すると、段差調整用の検査チャートの印刷が行われる(ステップS140)。そして、搬送速度が第1速度で維持された状態で、撮像部27が当該検査チャートの印刷画像を撮像する(ステップS150)。なお、ステップS150で得られた撮像データDcは印刷制御装置100に送られる。
【0063】
撮像部27による検査チャートの印刷画像の撮像の終了後、搬送制御部152による制御に基づき搬送速度が減速する(ステップS160)。以下、搬送速度の減速後の速度を便宜上「第2速度」という。なお、本実施形態においては、搬送速度が0にまで低下することはない。従って、本実施形態においては、第2速度は0よりも大きい速度である。ステップS170では、印刷条件設定部151(図5参照)によって、ステップS150で得られた撮像データDcに基づき段差調整用の調整データの計算および設定(調整データに基づく印刷条件の設定。具体的には、例えば、吐出タイミング設定データの設定。)が行われる。ステップS180では、搬送制御部152による制御に基づき搬送速度が加速する。ところで、典型的には、ステップS170の処理は、搬送速度の減速中にも搬送速度の加速中にも行われる。すなわち、典型的には、ステップS170の処理は、搬送速度の減速開始時点から搬送速度の加速終了時点までの時間をかけて行われる。
【0064】
搬送速度が第1速度に到達すると、シェーディング調整用の検査チャートの印刷が行われる(ステップS190)。そして、搬送速度が第1速度で維持された状態で、撮像部27が当該検査チャートの印刷画像を撮像する(ステップS200)。その後、搬送制御部152による制御に基づき搬送速度が第2速度にまで減速する(ステップS210)。ステップS220では、印刷条件設定部151によって、ステップS200で得られた撮像データDcに基づきシェーディング調整用の調整データの計算および設定(調整データに基づく印刷条件の設定。具体的には、例えば、シェーディング補正データの設定。)が行われる。ステップS230では、搬送制御部152による制御に基づき搬送速度が第1速度にまで加速する。なお、ステップS170の処理と同様、ステップS220の処理は、搬送速度の減速中にも搬送速度の加速中にも行われる。
【0065】
搬送速度が第1速度に到達すると、濃度調整用の検査チャートの印刷が行われる(ステップS240)。そして、搬送速度が第1速度で維持された状態で、撮像部27が当該検査チャートの印刷画像を撮像する(ステップS250)。その後、搬送制御部152による制御に基づき搬送速度が減速する(ステップS260)。ステップS270では、印刷条件設定部151によって、ステップS250で得られた撮像データDcに基づき濃度調整用の調整データの計算および設定(調整データに基づく印刷条件の設定。具体的には、例えば、階調補正テーブルのデータ設定。)が行われる。搬送速度が0にまで減速した後、印刷機本体200の動作が停止する(ステップS280)。これにより、一括調整処理は終了する。
【0066】
以上のフローから把握されるように、1つの調整対象項目についての調整処理(1回の調整処理)は図8に示すようなフローとなる。まず、搬送制御部152が搬送速度を第2速度から第1速度にまで加速する(ステップS310)。その後、印刷部24が調整対象項目に対応する検査チャートを印刷し(ステップS320)、撮像部27が当該検査チャートの印刷画像を撮像する(ステップS330)。その後、搬送制御部152が搬送速度を第1速度から第2速度にまで減速する(ステップS340)。また、印刷条件設定部151がステップS330で得られた撮像データDcに基づき調整データの計算および設定(調整データに基づく印刷条件の設定)を行う(ステップS350)。なお、ステップS310によって加速ステップが実現され、ステップS320によってチャート印刷ステップが実現され、ステップS330によってチャート読み取りステップが実現され、ステップS340によって減速ステップが実現され、ステップS350によって印刷条件設定ステップが実現される。
【0067】
以下、ステップS320の処理のように印刷部24が調整対象項目に対応する検査チャートを印刷する処理のことを「チャート印刷処理」といい、ステップS330の処理のように撮像部27が検査チャートの印刷画像を撮像する処理のことを「チャート撮像処理」といい、ステップS350の処理のように印刷条件設定部151がチャート撮像処理によって得られた撮像データDcに基づいて印刷条件を設定する処理のことを「印刷条件設定処理」という。なお、本実施形態においては、チャート撮像処理がチャート読み取り処理に相当する。
【0068】
<5.2 搬送速度の変化>
次に、図9を参照しつつ、搬送速度の変化について説明する。オペレータが一括調整開始ボタンを押下した時点t00には、搬送速度は0である。すなわち、搬送機構210は停止している。その後、時点t01に印刷用紙PAへの印刷が可能な状態になると、搬送速度は徐々に上昇する。時点t02に搬送速度が第1速度V1に到達すると、段差調整を用のチャート印刷処理とチャート撮像処理とが行われる。チャート撮像処理が終了した時点以降の時点t03になると、搬送速度は徐々に低下する。時点t04に搬送速度は第2速度V2に到達する。その後、時点t05になると、搬送速度は徐々に上昇する。時点t06に搬送速度が第1速度V1に到達すると、シェーディング調整用のチャート印刷処理とチャート撮像処理とが行われる。チャート撮像処理が終了した時点以降の時点t07になると、搬送速度は徐々に低下する。時点t08に搬送速度は第2速度V2に到達する。その後、時点t09になると、搬送速度は徐々に上昇する。時点t10に搬送速度が第1速度V1に到達すると、濃度調整用のチャート印刷処理とチャート撮像処理とが行われる。チャート撮像処理が終了した時点以降の時点t11になると、搬送速度は徐々に低下する。そして、時点t12に搬送速度は0になる。すなわち、搬送機構210が停止する。
【0069】
以上のように、チャート印刷処理が行われる期間およびチャート撮像処理が行われる期間には、搬送速度は第1速度V1で維持される。また、一括調整処理で最後に行われる調整処理(本実施形態では、濃度調整)以外の調整処理(本実施形態では、段差調整およびシェーディング調整)においてチャート撮像処理が終了した後に搬送速度は第1速度V1から第2速度V2にまで減速し、次に行われる調整処理におけるチャート印刷処理が開始されるまでに搬送速度は第2速度V1から第1速度V1にまで加速する。
【0070】
<5.3 加減速の開始タイミング>
搬送速度の加減速の開始タイミングについて説明する。
【0071】
<5.3.1 減速について>
仮に検査チャートの印刷画像の撮像が撮像部27によって行われている時に搬送速度に変化があると、撮像の精度が低下する。それ故、検査チャートの印刷画像の撮像が行われている期間には、搬送速度は、検査チャートの印刷が行われた際の速度である第1速度V1で維持されるべきである。また、調整処理による損紙を削減するためには、減速の開始タイミングは少しでも早い方が好ましい。以上より、チャート撮像処理が終了した時点(撮像部27による検査チャートの印刷画像の撮像が完全に終了した時点)に搬送速度の減速を開始するのが好ましい。
【0072】
<5.3.2 加速について>
各調整処理における印刷条件設定処理は、次の調整処理において検査チャートの印刷が開始されるまでに終了しなければならない。しかしながら、印刷条件設定処理が終了してから搬送速度の加速を開始すると、調整処理に要する時間が長くなってしまう。調整処理に要する時間を短くするためには、次の調整処理において検査チャートの印刷が開始される時点の直前に印刷条件設定処理が終了するのが好ましい。換言すれば、加速によって搬送速度が第1速度V1に到達する時点の直前に印刷条件設定処理が終了するのが好ましい。ところで、印刷条件設定処理についてはチャート撮像処理の終了後に実行を開始することができ、また、印刷条件設定処理に要する時間(以下、「設定所要時間」という。)については予め予測することが可能である。
【0073】
以上より、連続して行われる2つの調整処理を「先行調整処理」および「後続調整処理」というと、後続調整処理におけるチャート印刷処理の開始前については次のように搬送速度の加速を開始するのが好ましい(図10参照)。設定所要時間をTaとし、搬送速度が第2速度V2から第1速度V1にまで加速するのに要する時間をTuとすると、先行調整処理におけるチャート撮像処理の終了時点(図10における時点t20)から(Ta-Tu)時間経過した時点(図10における時点t21)に搬送速度の加速を開始する。そうすると、後続調整処理におけるチャート印刷処理の開始時点(図10における時点t22)には搬送速度が第1速度V1に到達する。
【0074】
<5.4 加減速を行うことによる損紙削減>
一括調整処理の実行中に上記のように搬送速度の減速および加速が行われることによる損紙の削減について説明する。仮に最初の調整処理におけるチャート印刷処理の開始前に搬送速度が第1速度V1に到達した時点から最後の調整処理におけるチャート撮像処理が終了する時点まで搬送速度が第1速度V1で維持されるとすると、一括調整処理の実行によって使用される印刷用紙PAの長さ(すなわち、損紙の長さ)は模式的には図11で符号71を付した網掛け部分の面積で表される。何故ならば、図11については、縦軸は搬送速度を表し、横軸は時間を表しているからである。これに対して、上記のように搬送速度の減速および加速が繰り返されると、一括調整処理の実行によって使用される印刷用紙PAの長さは模式的には図12で符号72を付した網掛け部分の面積で表される。以上より、搬送速度の減速および加速を繰り返した場合には、搬送速度を第1速度V1で維持した場合に比べて、図12で符号73を付した網掛け部分の面積に相当する長さの損紙が削減される。
【0075】
図13は、損紙の発生に関するシミュレーションについて説明するための図である。なお、このシミュレーションでは第1速度V1は150mpmであって第2速度V2は0.1mpm(実質的には0mpm)であると仮定する。
【0076】
まず、搬送速度の減速および加速を繰り返すケース(すなわち「加減速あり」のケース)に着目する。搬送速度が第1速度V1で維持されている状態から搬送速度を第2速度V2にまで減速し、その後すぐに搬送速度を第2速度V2から第1速度V1にまで加速すると仮定する。このとき、減速に要する時間は2.5秒であって、減速中の印刷用紙の搬送距離は3.1mである。また、加速に要する時間は20秒であって、加速中の印刷用紙の搬送距離は25mである。以上より、減速の開始時点から加速の終了時点までの時間(総時間)は22.5秒であって、その時間中の印刷用紙の搬送距離は28.1mである。
【0077】
次に、搬送速度を第1速度V1で維持するケース(すなわち「加減速なし」のケース)に着目する。第1速度V1は150mpmである。150mpmは秒速2.5mであるので、搬送速度が第1速度V1で維持されている状態で印刷用紙が28.1m搬送されるのに要する時間は11.24(=28.1/2.5)秒である。
【0078】
以上のシミュレーションによれば、設定所要時間が11.24秒であれば、加減速ありのケースと加減速なしのケースとで損紙の長さ(損紙の発生量)は同じになる。加減速ありのケースでは、設定所要時間が11.24秒よりも長くなっても、損紙の長さは28.1mよりも大きくはならない。これに対して、加減速なしのケースでは、設定所要時間が長くなるにつれて損紙の長さは長くなる(損紙の発生量は大きくなる)。例えば、設定所要時間が30秒であれば、第1速度V1(150mpm)で印刷用紙を30秒間搬送すると印刷用紙の搬送距離は75mとなるので、加減速を行うことによって損紙は46.9(=75-28.1)m削減される。また、例えば、設定所要時間が60秒であれば、第1速度V1(150mpm)で印刷用紙を60秒間搬送すると印刷用紙の搬送距離は150mとなるので、加減速を行うことによって損紙は121.9(=150-28.1)m削減される。ここでは1回の減速および加速に着目したが、減速および加速が繰り返される回数が多くなるほど加減速を行うことによる損紙削減の効果は顕著になる。また、設定所要時間が22.5秒を超える調整対象項目については、加減速を行うことによって加減速を行わない場合に比べて調整時間が長くなることはない。なお、搬送速度や加減速のタイミングなどについては、実際には印刷部24から撮像部27までの距離も考慮して決定される。
【0079】
図14は、上記のシミュレーションの結果を考慮して損紙の長さ(損紙の発生量)について説明するための図である。なお、図14に関し、符号75を付した太実線、符号76を付した細点線、および符号77を付した細実線についての縦軸は「損紙の長さ」であって、符号78を付した太点線についての縦軸は「減速可能速度」である。
【0080】
図13に示した「加減速なし」のケースでは、損紙の長さは設定所要時間の長さに比例する。このケースでは、設定所要時間と損紙の長さとの関係は符号75を付した太実線で表され、損紙の長さの上限が定まらないことが懸念される。設定所要時間の長さに関わらず上記先行調整処理におけるチャート撮像処理の終了時点と上記後続調整処理におけるチャート印刷処理の開始時点との間に搬送速度の減速および加速を行うようにしたケースでは、設定所要時間の長さに関わらず損紙の長さは同じである。このケースでは、設定所要時間と損紙の長さとの関係は符号76を付した細点線で表され、設定所要時間が顕著に短くても相当量(28.1m)の損紙が発生するという不利な点がある。そこで、「設定所要時間が11.24秒以下であれば搬送速度の加減速を行わず、設定所要時間が11.24秒を超える場合にのみ搬送速度の加減速を行う」という手法が考えられる。この手法によれば、設定所要時間と損紙の長さとの関係は、11.24秒以下の設定所要時間については符号75を付した太実線で表され、11.24秒を超える設定所要時間については符号76を付した細点線で表される。このように搬送速度の加減速を行うか否かを設定所要時間の長さに応じて切り替えることによって損紙の長さ(損紙の発生量)を削減することができる。
【0081】
ところで、図14で符号78を付した太点線で表されるような「設定所要時間と減速可能速度との関係」を予め求めておくことにより、損紙の発生量を更に削減することができる。なお、この関係は、上記後続調整処理におけるチャート印刷処理の開始の際に待ち時間(上記先行調整処理における印刷条件設定処理の終了時点から搬送速度が第1速度V1に到達する時点までの時間)が発生しないように定められる。図14に示す例では、設定所要時間が15秒であれば、減速可能速度は100mpmであるので、チャート撮像処理の終了後に搬送速度を150mpmから50mpmにまで減速することができる。すなわち、第2速度V2は50mpmに定められる。上記関係に基づいて加減速を行うことによって、設定所要時間と損紙の長さとの関係は図14で符号77を付した細実線で表されるようになる。このように、一括調整処理の実行による損紙の発生量が最小となるように第2速度V2が定められることが好ましい。但し、本実施形態においては、最後に行われる調整処理以外の調整処理におけるチャート撮像処理の終了後の第2速度V2は同じ速度に定められる(図9参照)。従って、例えば、最後に行われる調整処理以外の調整処理についての減速可能速度のうちの最大のものに基づいて第2速度V2が定められる。
【0082】
<5.5 第2速度>
ここで、どのように第2速度V2が決定されるのかについて説明する。本実施形態においては、一括調整処理の実行による印刷用紙PAの消費量(すなわち、損紙の発生量)が最小化されるように第2速度V2が決定される。これに関し、連続して行われる2つの調整処理(上述した先行調整処理および後続調整処理)に着目すると、先行調整処理におけるチャート撮像処理の終了時点から後続調整処理におけるチャート印刷処理の開始時点までの印刷用紙PAの搬送距離は、模式的には図15で符号79を付した網掛け部分の面積で表される。
【0083】
印刷条件設定処理に要する時間(設定所要時間)をTaとし、搬送速度が第1速度V1から第2速度V2にまで減速するのに要する時間をTdとし、搬送速度が第2速度V2から第1速度V1にまで加速するのに要する時間をTuとすると、先行調整処理におけるチャート撮像処理の終了時点から後続調整処理におけるチャート印刷処理の開始時点までの印刷用紙PAの搬送距離Lは次式(1)で表される(図15参照)。
【数2】
【0084】
本実施形態においては、上式(1)で表される印刷用紙PAの搬送距離Lが最小となるように第2速度V2が定められる。なお、第2速度V2として設定可能な速度が複数の速度に限られている場合には、それら複数の速度のうち上記搬送距離Lを最小にする速度が第2速度V2として採用される。
【0085】
<6.効果>
本実施形態によれば、インクジェット印刷装置10は、複数の調整対象項目についての調整処理をオペレータによる1回の指示に基づいて一括して行う一括調整処理の実行が可能なように構成されている。オペレータは、調整対象項目毎に調整処理の実行を指示する必要はなく、調整処理の実行の順序を考慮する必要もない。また、オペレータは、一括調整開始ボタンを押下するだけで良い。以上より、印刷に関する調整処理を簡単な操作で短時間で実行することが可能となる。また、調整処理が行われている期間を通じて搬送速度が一定の速度で維持されるのではなく、印刷条件設定処理が行われている期間に搬送速度は低くなる。詳しくは、最後に行われる調整処理以外の調整処理においてチャート撮像処理(チャート読み取り処理)が終了してから次に行われる調整処理におけるチャート印刷処理が開始されるまでの期間に、搬送速度はチャート印刷処理およびチャート撮像処理(チャート読み取り処理)が行われている期間に比べて低くなる。このように一括調整処理が実行されている期間中に搬送速度の加減速が行われることにより、従来よりも損紙を削減することが可能となる。また、このように損紙が削減されることからSDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献することができる。以上のように、本実施形態によれば、実印刷(印刷データ生成装置30からインクジェット印刷装置10に送られる印刷データに基づく印刷)の前に実行すべき調整処理を簡単な操作で従来よりも損紙を削減しつつ短時間で実行することのできるインクジェット印刷装置10が実現される。
【0086】
<7.変形例>
以下、上記実施形態の変形例について説明する。
【0087】
<7.1 第1の変形例>
上記実施形態においては、第2速度V2は0よりも大きい速度であった。すなわち、上記実施形態においては、一括調整処理において印刷用紙PAの搬送が開始すると、最後の調整処理が終了するまで印刷用紙PAの搬送が停止することはなかった。しかしながら、本発明はこれに限定されない。本変形例においては、第2速度V2は0である。
【0088】
図16は、本変形例における搬送速度の変化を示す波形図である。図16で符号81を付した部分から把握されるように段差調整についての印刷条件設定処理が行われている時に搬送速度は0にまで低下しており、また、図16で符号82を付した部分から把握されるようにシェーディング調整についての印刷条件設定処理が行われている時に搬送速度は0にまで低下している。このように印刷条件設定処理が行われる期間に印刷用紙PAの搬送を停止することによって、より効果的に損紙を削減することが可能となる。
【0089】
<7.2 第2の変形例>
上記実施形態においては、一括調整処理によって、段差調整、シェーディング調整、および濃度調整が行われた。しかしながら、一括調整処理で行われる調整処理の種類や組み合わせは、これには限定されない。そこで、段差調整、シェーディング調整、濃度調整、およびICCプロファイル作成処理(カラープロファイル作成処理)が一括調整処理によって行われる例を上記実施形態の第2の変形例として説明する。なお、ICCプロファイルとは、色空間の変換を行うためにInternational Color Consortium(国際色コンソーシアム)によって定められた書式のファイルであって、デバイスの色空間の特性を定義したファイルである。ICCプロファイルを用いて色のデータの変換を行うことによって、異なるデバイス間でできるだけ忠実に色を再現することが可能となる。
【0090】
本変形例においては、インクジェット印刷装置10の印刷機本体200を構成する印刷機構20の内部に、測色を行う測色部が設けられる。測色部としては、例えば、インライン測色器が採用される。なお、上記実施形態においては撮像部27が読み取り部として機能するのに対して、本変形例においては撮像部27および測色部が読み取り部として機能する。図17は、本変形例における制御部150の概略機能構成を示すブロック図である。本変形例における制御部150には、上記実施形態における構成要素(図5参照)に加えて、測色制御部156が設けられている。測色制御部156は、測色部による印刷画像の測色タイミングを制御する。なお、測色部による印刷画像の測色によって得られた測色データDmは、制御部150に送られ、印刷条件設定部151によって参照される。
【0091】
本変形例においては、一括調整処理によって、複数の調整対象項目についての調整処理として、段差調整、シェーディング調整、濃度調整、およびICCプロファイル作成処理がこの順序で行われる。濃度調整までの処理については、上記実施形態と同様に行われる。但し、濃度調整におけるチャート撮像処理の終了後、搬送速度は第2速度V2にまで減速する。以下、図18に示すフローチャートを参照しつつ、ICCプロファイル作成処理の手順について説明する。
【0092】
まず、搬送制御部152による制御に基づき搬送速度が第2速度V2から第1速度V1にまで加速する(ステップS410)。なお、搬送速度が加速している期間中に、濃度調整用の調整データの計算および設定が行われる。搬送速度が第1速度V1に到達すると、印刷部24によって、検査チャートとしてのICCプロファイル作成用チャートの印刷が行われる(ステップS420)。そして、搬送速度が第1速度V1で維持された状態で、測色部が当該ICCプロファイル作成用チャートの測色を行う(すなわち、測色処理が行われる)(ステップS430)。その後、搬送制御部152による制御に基づき搬送速度が0にまで減速する(ステップS440)。ステップS450では、印刷条件設定部151によって、ステップS430で得られた測色データ(読み取りデータ)Dmに基づいて、ICCプロファイルの作成および印刷ワークフローを管理するための印刷ワークフロー管理システムへの当該ICCプロファイルの登録が行われる。なお、ステップS450の処理は、搬送速度の減速中にも行われる。
【0093】
本変形例においては、段差調整、シェーディング調整、および濃度調整におけるチャート撮像処理とICCプロファイル作成処理における測色処理とがチャート読み取り処理に相当する。
【0094】
本変形例によれば、一括調整処理によってICCプロファイルの作成までもが行われる。これにより、実印刷の実行前に必要とされる処理に係るオペレータの操作負担が大幅に軽減される。
【0095】
<7.3 第3の変形例>
上記実施形態においては、予め定められた調整対象項目についての調整が一括調整処理によって行われることを想定していた。しかしながら、本発明はこれに限定されない。本変形例のように、一括調整処理によって調整処理が実行される調整対象項目をオペレータが選択できるようにしても良い。これについて、以下に説明する。
【0096】
本変形例においては、制御部150に、一括調整処理による調整処理の対象とする調整対象項目を外部から選択するための調整対象項目選択部が設けられる。調整対象項目選択部は、例えば図19に示すような調整対象項目選択画面6を表示部123に表示する。この調整対象項目選択画面6には、選択可能な複数の調整対象項目と1対1で対応するように設けられたチェックボックス61と、OKボタン62と、キャンセルボタン63とが含まれている。オペレータは、一括調整開始ボタンを押下するよりも前(すなわち、図6のステップS110よりも前)に、この調整対象項目選択画面6を用いて一括調整処理による調整処理の対象とする調整対象項目を選択する。チェックボックス61にて調整対象項目が選択された状態でOKボタン62が押下された後に一括調整開始ボタンが押下されると、選択された調整対象項目についての調整が一括調整処理によって行われる。なお、調整対象項目選択画面6でキャンセルボタン63が押下されたときには、前回の選択内容が維持される。
【0097】
また、本変形例においては、調整対象項目選択画面6にて選択することが可能な複数の調整対象項目について予め実行順序に関する優先順位が定められている。そして、調整処理の対象とする調整対象項目が調整対象項目選択画面6を用いて選択された後に一括調整処理の実行が指示されると、調整対象項目選択画面6を用いて選択された1以上の調整対象項目についての調整処理が優先順位に従った順序で行われる。
【0098】
本変形例によれば、調整処理の必要な調整対象項目のみを一括調整処理の対象とすることが可能となる。例えば、印刷用紙の種類は前回と同じであるが印刷用紙の厚さが前回とは異なるような場合、印刷用紙の種類に変更がなければ再調整が不要な調整対象項目については一括調整処理の対象外とし、印刷用紙の厚さの変更に応じて再調整が必要な調整対象項目については一括調整処理の対象とすれば良い。これにより、不必要な調整処理の実行が防止されるので、損紙の増大の抑制が可能になるとともに調整処理に要する時間の短縮が可能となる。
【0099】
<7.4 第4の変形例>
上記実施形態においては、一括調整処理の際、各調整対象項目について1回ずつ調整処理が行われていた。しかしながら、調整対象項目によっては、調整処理を2回以上繰り返すことが好ましい。例えば、シェーディング調整については、必要に応じて調整処理を2回以上繰り返すことが好ましい。従って、上述したようにシェーディング調整を繰り返す回数を調整用パラメータに含めておくことにより、シェーディング調整については一括調整処理の際に調整処理を2回以上繰り返すことが可能となる。また、上記第3の変形例によれば、一括調整処理によって調整処理が実行される調整対象項目をオペレータが選択することができる。そこで、一括調整処理の対象にシェーディング調整のみが選択されて一括調整処理の際にシェーディング調整が2回繰り返されるというケースを上記実施形態の第4の変形例として説明する。
【0100】
図20は、本変形例における搬送速度の変化を示す波形図である。上述したように、一括調整処理の際に、シェーディング調整(調整処理)が2回繰り返される。1回目の調整処理におけるチャート撮像処理の終了後に搬送速度は減速し、その後、2回目の調整処理におけるチャート印刷処理が開始されるまでに搬送速度は加速する。このように同じ調整対象項目についての調整処理が連続して行われる場合にも、或る調整対象項目についての調整処理と別の調整対象項目についての調整処理とが連続して行われる場合(上記実施形態を参照)と同様に搬送速度の加減速が行われる。
【0101】
<7.5 第5の変形例>
上記第4の変形例に関連するが、一括調整処理の対象とされる複数の調整対象項目のうちの一部についてのみ調整処理が2回以上繰り返されるようにしても良い。そこで、一括調整処理によって段差調整、シェーディング調整、および濃度調整が行われて、シェーディング調整についてのみ調整処理が2回繰り返されるというケースを上記実施形態の第5の変形例として説明する。
【0102】
図21は、本変形例における搬送速度の変化を示す波形図である。最初に搬送速度が第1速度V1に到達した後、段差調整におけるチャート撮像処理の終了後に搬送速度は第2速度V2にまで減速し、1回目のシェーディング調整におけるチャート印刷処理が開始されるまでに搬送速度は第1速度V1にまで加速する。また、1回目のシェーディング調整におけるチャート撮像処理の終了後に搬送速度は第2速度V2にまで減速し、2回目のシェーディング調整におけるチャート印刷処理が開始されるまでに搬送速度は第1速度V1にまで加速する。さらに、2回目のシェーディング調整におけるチャート撮像処理の終了後に搬送速度は第2速度V2にまで減速し、濃度調整におけるチャート印刷処理が開始されるまでに搬送速度は第1速度V1にまで加速する。そして、濃度調整におけるチャート撮像処理の終了後に搬送速度は0にまで減速する。
【0103】
以上のように、上記実施形態と同様、チャート印刷処理が行われる期間およびチャート撮像処理が行われる期間には搬送速度は第1速度V1で維持され、一括調整処理で最後に行われる調整処理以外の調整処理においてチャート撮像処理が終了した後に搬送速度は第1速度V1から第2速度V2にまで減速し、次に行われる調整処理におけるチャート印刷処理が開始されるまでに搬送速度は第2速度V2から第1速度V1にまで加速する。
【0104】
<7.6 第6の変形例>
近年、複数の印刷速度の中から指定された印刷速度で実印刷を実行することが可能なインクジェット印刷装置が開発されている。例えば、3種類の印刷速度(150mpm、100mpm、70mpm)が用意され、印刷目的などに応じて選択された印刷速度で実印刷が実行される。そこで、各調整処理におけるチャート印刷処理およびチャート撮像処理を2種類の搬送速度(印刷速度)で実行するようにした例を上記実施形態の第6の変形例として説明する。
【0105】
図22は、本変形例における搬送速度の変化を示す波形図である。本変形例においては、第1速度V1として、第1レベルの第1速度V1(1)と第2レベルの第1速度V1(2)とが用意される。第2レベルの第1速度V1(2)は、第1レベルの第1速度V1(1)よりも低い速度である。各調整処理におけるチャート印刷処理およびチャート撮像処理は、搬送速度が第1レベルの第1速度V1(1)で維持された状態および搬送速度が第2レベルの第1速度V1(2)で維持された状態の2つの状態で行われる。以下、詳しく説明する。
【0106】
オペレータが一括調整開始ボタンを押下した時点t30には、搬送速度は0である。すなわち、搬送機構210は停止している。その後、時点t31に印刷用紙PAへの印刷が可能な状態になると、搬送速度は徐々に上昇する。時点t32に搬送速度が第2レベルの第1速度V1(2)に到達すると、段差調整用のチャート印刷処理とチャート撮像処理とが行われる。チャート撮像処理が終了した時点以降の時点t33になると、再び、搬送速度は徐々に上昇する。時点t34に搬送速度が第1レベルの第1速度V1(1)に到達すると、再び、段差調整用のチャート印刷処理とチャート撮像処理とが行われる。段差調整用の2回目のチャート撮像処理が終了した時点以降の時点t35になると、搬送速度は徐々に低下する。時点t36に搬送速度は第2速度V2に到達する。その後、時点t37になると、搬送速度は徐々に上昇する。時点t38に搬送速度が第2レベルの第1速度V1(2)に到達すると、シェーディング調整用のチャート印刷処理とチャート撮像処理とが行われる。チャート撮像処理が終了した時点以降の時点t39になると、再び、搬送速度は徐々に上昇する。時点t40に搬送速度が第1レベルの第1速度V1(1)に到達すると、再び、シェーディング調整用のチャート印刷処理とチャート撮像処理とが行われる。シェーディング調整用の2回目のチャート撮像処理が終了した時点以降の時点t41になると、搬送速度は徐々に低下する。時点t42に搬送速度は第2速度V2に到達する。その後、時点t43になると、搬送速度は徐々に上昇する。時点t44に搬送速度が第2レベルの第1速度V1(2)に到達すると、濃度調整用のチャート印刷処理とチャート撮像処理とが行われる。チャート撮像処理が終了した時点以降の時点t45になると、再び、搬送速度は徐々に上昇する。時点t46に搬送速度が第1レベルの第1速度V1(1)に到達すると、再び、濃度調整用のチャート印刷処理とチャート撮像処理とが行われる。濃度調整用の2回目のチャート撮像処理が終了した時点以降の時点t47になると、搬送速度は徐々に低下する。そして、時点t48に搬送速度は0になる。すなわち、搬送機構210が停止する。各調整対象項目に関し、チャート印刷処理とチャート撮像処理とが2種類の搬送速度で行われるので、印刷条件設定処理についても2種類の搬送速度のそれぞれに対応するように行われる。
【0107】
以上のように、本変形例においては、第1速度V1として、第1レベルの第1速度V1(1)と第2レベルの第1速度V1(2)とが用意される。そして、1回の調整処理において、チャート印刷処理とチャート撮像処理とは搬送速度が第1レベルの第1速度V1(1)で維持されている状態と搬送速度が第2レベルの第1速度V1(2)で維持されている状態とで行われ、印刷条件設定処理では第1レベルの第1速度V1(1)および第2レベルの第1速度V1(2)のそれぞれに対応する印刷条件の設定が行われる。
【0108】
ところで、例えば、3種類の印刷速度(150mpm、100mpm、70mpm)が用意されているインクジェット印刷装置10において、第1レベルの第1速度V1(1)を150mpm、第2レベルの第1速度V1(2)を70mpmとして一括調整処理が行われたと仮定する。この場合、搬送速度100mpmに対応する調整データの値を、搬送速度が150mpmで維持された状態で得られた撮像データDcに基づいて求められた調整データの値と搬送速度が70mpmで維持された状態で得られた撮像データDcに基づいて求められた調整データの値とを用いた補間計算によって求めることができる。このような補間計算を採用することにより、多数の搬送速度のそれぞれに対応する調整データの値を迅速かつ容易に取得することが可能となる。
【0109】
<7.7 第7の変形例>
上記実施形態においては、第1速度V1は全ての調整対象項目について同じであって、第2速度V2も全ての調整対象項目について同じであった。しかしながら、本発明はこれに限定されず、第1速度V1および第2速度V2の少なくとも一方が調整対象項目毎に異なっていても良い。そこで、調整対象項目毎に第2速度V2が異なるという例を上記実施形態の第7の変形例として説明する。なお、本変形例においては、上記第2の変形例と同様、一括調整処理によって、段差調整、シェーディング調整、濃度調整、およびICCプロファイル作成処理がこの順序で行われるものと仮定する。
【0110】
設定所要時間(印刷条件設定処理に要する時間)と減速可能速度との関係が図14で符号78を付した太点線で表される関係であって、各調整対象項目についての設定所要時間が図23で符号84を付した部分に示すようなものであれば、各調整対象項目についての減速可能速度は図23で符号85を付した部分に示すようなものとなる。この例では第1速度V1は150mpmであるので、各調整対象項目についての第2速度V2は図23で符号86を付した部分に示すようなものとなる。すなわち、段差調整におけるチャート撮像処理の終了後の第2速度V2およびシェーディング調整におけるチャート撮像処理の終了後の第2速度V2は0mpmに定められるのに対して、濃度調整におけるチャート撮像処理の終了後の第2速度V2は50mpmに定められる。なお、ICCプロファイル作成処理は最後に行われる調整処理であるので、ICCプロファイル作成処理については第2速度V2を定める必要がない。それ故、図23では、ICCプロファイル作成処理についての各欄を空白にしている。
【0111】
図24は、本変形例における搬送速度の変化を示す波形図である。段差調整におけるチャート撮像処理の終了後およびシェーディング調整におけるチャート撮像処理の終了後については、搬送速度は150mpmから0mpmにまで減速している。これに対して、濃度調整におけるチャート撮像処理の終了後には、搬送速度は150mpmから50mpmまでにしか減速していない。このように調整対象項目毎に第2速度V2を異ならせることによって、より効果的に損紙の削減および調整に要する時間の短縮を実現することが可能となる。
【0112】
なお、ここでは調整対象項目毎に第2速度V2を異ならせる例を示したが、調整対象項目毎に第1速度V1を異ならせるようにしても良いし、調整対象項目毎に第1速度V1および第2速度V2の双方を異ならせるようにしても良い。
【0113】
<8.その他>
本発明は、上記実施形態(変形例を含む)に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、上記実施形態ではカラー印刷を行うインクジェット印刷装置10の構成を例示したが、モノクロ印刷を行うインクジェット印刷装置が採用されている場合にも本発明を適用することができる。また、上記実施形態では水性インクを用いるインクジェット印刷装置10の構成を例示したが、例えばラベル印刷向けインクジェット印刷装置のようにUVインク(紫外線硬化インク)を用いるインクジェット印刷装置が採用されている場合にも本発明を適用することができる。この場合、印刷機構20の内部(図2参照)には、乾燥部26に代えて、印刷用紙PA上のUVインクを紫外線照射により硬化させる紫外線照射部が設けられる。また、印刷が行われる基材は紙素材の印刷媒体に限らず、透明、半透明、または不透明のポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムであってもよい。
【符号の説明】
【0114】
6…調整対象項目選択画面
10…インクジェット印刷装置
20…印刷機構
24…印刷部
27…撮像部
100…印刷制御装置
150…制御部
151…印刷条件設定部
152…搬送制御部
153…印刷制御部
155…撮像制御部
200…印刷機本体
210…搬送機構
Dc…撮像データ
V1…第1速度
V1(1)…第1レベルの第1速度
V1(2)…第2レベルの第1速度
V2…第2速度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25