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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039414
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】パレット洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/02 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
B08B3/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143949
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】西濱 淳盛
(72)【発明者】
【氏名】白木 貴之
【テーマコード(参考)】
3B201
【Fターム(参考)】
3B201AA26
3B201AB03
3B201BB22
3B201BB92
3B201CC12
(57)【要約】
【課題】装置を設置するためのスペースを省スペース化する。
【解決手段】パレット洗浄装置(100)は、複数のフォーク(10)と、パレット積層群(PG)を水平方向に移動させることによってそれぞれのパレット(P)の側面の挿入口にフォーク(10)を挿入させる受入部(20)と、複数のフォーク(10)を移動させるフォーク移動機構(30)と、受入部(20)の上方に配置される洗浄部(40)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフォークと、
複数のパレットが積み重ねられたパレット積層群を水平方向に移動させることによって、それぞれの前記パレットの側面の挿入口に前記フォークを挿入させる受入部と、
前記複数のフォークを移動させるフォーク移動機構と、
前記受入部の上方に配置された洗浄部であって、前記フォークに保持され、他のパレットから離間している状態の前記パレットを洗浄する洗浄部と、を備えたパレット洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄部で洗浄された前記パレットを乾燥させる、乾燥部を更に備えた請求項1に記載のパレット洗浄装置。
【請求項3】
前記乾燥部は、前記洗浄部から水平方向の位置に配置されている、請求項2に記載のパレット洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄部で洗浄された後に、前記乾燥部で乾燥されるまでの前記パレットが待機する、待機部を更に備え、
前記待機部は、前記乾燥部の下方に配置される、請求項3に記載のパレット洗浄装置。
【請求項5】
前記フォーク移動機構は、
少なくとも1対の、それぞれ上下方向に懸架された無端チェーンと、
少なくとも1対の前記無端チェーン間に亘って設けられた水平方向に長い板部材であって、それぞれの前記無端チェーンを構成するリンクに対して固定され、主面に垂直な方向が前記無端チェーンの軌道面内の前記軌道に直行する方向である板部材を有し、
前記板部材に前記フォークが、前記主面に垂直かつ外向きとなるように固定されている、請求項1に記載のパレット洗浄装置。
【請求項6】
前記受入部には、
2つの直進部と2つの転回部とから構成される前記無端チェーンの軌道のうちの一方の前記直進部にある前記板部材に固定された前記フォークの少なくとも一部が位置する、請求項5に記載のパレット洗浄装置。
【請求項7】
前記洗浄部には、
2つの直進部と2つの転回部とから構成される前記無端チェーンの軌道のうちの上側の前記転回部の前半部にある前記板部材に固定された前記フォークの少なくとも一部が位置する、請求項5に記載のパレット洗浄装置。
【請求項8】
前記洗浄部で洗浄された前記パレットを乾燥させる、乾燥部を更に備え、
前記乾燥部には、
上側の前記転回部の後半部にある前記板部材に固定された前記フォークの少なくとも一部が位置する、請求項7に記載のパレット洗浄装置。
【請求項9】
前記洗浄部で洗浄された後に、前記乾燥部で乾燥されるまでの前記パレットが待機する、待機部を更に備え、
前記待機部には、
前記転回部の後半部の下方の前記直進部にある前記板部材に固定された前記フォークの少なくとも一部が位置する、請求項8に記載のパレット洗浄装置。
【請求項10】
前記受入部は、前記パレット洗浄装置によって処理された前記パレットが積み重ねられたパレット積層群を取り出すための取出部を兼ねている、請求項1に記載のパレット洗浄装置。
【請求項11】
前記受入部は、前記パレットの側面に向けて液体を噴射するノズルを有している、請求項1に記載のパレット洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、貨物の輸送などに用いられるパレットの洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、貨物の輸送などに用いられるパレットなどの被洗浄物を洗浄する洗浄装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6-52973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来技術は、装置を設置するために広いスペースを確保する必要がある。
【0005】
本発明の一態様は、装置を設置するためのスペースを省スペース化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係るパレット洗浄装置は、複数のフォークと、複数のパレットが積み重ねられたパレット積層群を水平方向に移動させることによって、それぞれの前記パレットの側面の挿入口に前記フォークを挿入させる受入部と、前記複数のフォークを移動させるフォーク移動機構と、前記受入部の上方に配置された洗浄部であって、前記フォークに保持され、他のパレットから離間している状態の前記パレットを洗浄する洗浄部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、装置を設置するためのスペースを省スペース化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態に係るパレット洗浄装置の概略側面図を示す。
図2】本開示の実施形態に係るパレット洗浄装置の概略上面図を示す。
図3】パレットを示す概略斜視図である。
図4】本開示の実施形態に係るフォーク移動機構の概略上面図である。
図5図4における領域Vの拡大図である。
図6図1の領域VIの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態〕
本開示に係るパレット洗浄装置の説明に先立ち、パレット洗浄装置の洗浄および乾燥の対象であるパレットについて説明する。図3は、パレットPを示す概略斜視図である。
【0010】
パレットPは、当該パレットP上に物品を積載した状態で、パレットPごと当該物品を輸送するための輸送具である。例えば、パレットPは、フォークリフトのフォークによって持ち上げられ、当該フォークリフトにより輸送され得る。パレットPは、例えば、上面デッキボードTDと、下面デッキボードBDと、接続部Cと、を有する。
【0011】
パレットPは、各側面に、上面デッキボードTD、下面デッキボードBD、および接続部Cによって囲まれた開口である挿入口Eを有する。挿入口Eに、フォークリフトのフォークが挿入されることにより、パレットPはフォークリフトによって輸送され得る。
【0012】
<パレット洗浄装置の構成>
以下、本開示の一態様に係るパレット洗浄装置100について、図1図6を用いて詳細に説明する。図面において、地面(設置面)に直交する方向をZ軸方向とし、上方向をZ軸正方向とする。また、後述する受入部20におけるパレットPの進行方向をX軸正方向とする。X軸正方向を前方、X軸負方向を後方と称することもある。Y軸方向は、Z軸およびX軸と直交する方向である。Y軸方向を側方と称することもある。また、Y軸正方向を左方向、Y軸負方向を右方向と称することもある。
【0013】
図1は、本実施形態に係るパレット洗浄装置100の概略側面図を示す。図2は、本実施形態に係るパレット洗浄装置100の概略上面図を示す。
【0014】
図1に示すように、パレット洗浄装置100は、受入部20と、洗浄部40と、待機部50と、乾燥部60とを備えている。パレット洗浄装置100はまた、パレットPの挿入口Eへの挿入が可能なフォーク10が取り付けられた、フォーク移動機構30を備えている。パレット洗浄装置100は、受入部20が備えるコンベヤ21およびフォーク移動機構30によってパレットPを輸送しつつ、パレットPに対する洗浄および乾燥を行う装置である。パレット洗浄装置100によって、パレットPは高圧洗浄され得る。
【0015】
フォーク移動機構30、洗浄部40、待機部50および乾燥部60は、図1に示すような、筐体Cに収容されていてもよい。図1および図2の側面図および上面図は、筐体Cの側面および上面を透過した状態で示しており、筐体Cの外形のみを2点鎖線によって示している。筐体Cは、パレット積層群PGが通過するための開口を有している。筐体Cを備えることにより、パレットPの洗浄および乾燥に伴う洗浄液、水などの外部への飛散を防ぐことができる。
【0016】
パレット洗浄装置100は、各部を制御するCPU等のプロセッサにて構成された不図示の制御部を備えていてもよい。また、パレット洗浄装置100は、ユーザによって操作され、当該操作によってパレットPを洗浄するための不図示の操作部を備えていてもよい。以下では、パレット洗浄装置100が備える各部について詳述する。
【0017】
(受入部)
受入部20は、複数のパレットPが積み重ねられたパレット積層群PGを水平方向に移動させることによって、それぞれのパレットPの側面の挿入口Eにフォーク10を挿入させる。具体的には、図1および図2に示すように、受入部20は、コンベヤ21を備えている。また、受入部20には、後述するフォーク移動機構30に取り付けられているフォーク10の少なくとも一部が位置している。
【0018】
コンベヤ21は、フォークリフトFLによって運搬されコンベヤ21上に載置されたパレット積層群PGを、X軸方向に輸送する。これにより、個々のパレットPの前方側面の挿入口Eに、フォーク移動機構30に取り付けられているフォーク10が挿入される。受入部20におけるフォーク10の上下の間隔は、パレット積層群PGにおける各パレットPの挿入口Eにフォーク10が挿入され得るよう、調整されている。
【0019】
図1および図2に示すように、受入部20は、パレットPの側面を洗浄する側面洗浄部22を備えていてもよい。側面洗浄部22は、パレットPの側面に向けて液体を噴射するノズルを備えている。受入部20が当該ノズルを有していることにより、受入部20において、パレットPの側面を洗浄することができる。
【0020】
より具体的には、側面洗浄部22は、受入部20において、コンベヤ21の輸送経路上に設けられ得る。側面洗浄部22は、図1および図2に示すように、ゲート220と、レール221と、一対のノズル222R・ノズル222Lと、を備えている。ゲート220は、コンベヤ21によって輸送されるパレット積層群PGが通過し得るように構成されている。レール221は、ゲート220の天井部下面に取り付けられており、液体(洗浄液)を噴射するための、ノズル222Rおよびノズル222LをY軸方向に移動させるためのガイドレールである。
【0021】
図2に示すように、ノズル222Rは、レール221の中央近傍の位置NP1から、Y軸負方向の端部近傍の位置NP2までの間において往復動作可能なノズルである。ノズル222Lは、レール221の中央近傍の位置NP1から、Y軸正方向の端部近傍の位置NP2までの間において往復動作可能なノズルである。
【0022】
ノズル222Rおよびノズル222Lは、例えば、円筒形状を有しており、レール221から下方に延伸している。ノズル222Rおよびノズル222Lは、当該延伸方向に沿って配列される複数の噴射口223を有している。各ノズルが有する噴射口223の数は、特に限定されないが、例えば10個であってよい。また、ノズル222Rおよびノズル222Lは、各ノズルの中心軸を回転軸とする回転動作可能に設計されている。各噴射口223からは高圧の液体が噴射され得る。
【0023】
ノズル222Rおよびノズル222Lは、パレット積層群PGが、側面洗浄部22付近まで移動してくる間に、それぞれ位置NP1から位置NP2まで移動しつつ、コンベヤ21によって輸送されるパレット積層群PGの前方側面を洗浄する。あるいは、ノズル222Rおよびノズル222Lは、パレット積層群PGが側面洗浄部22に近接する位置において停止した状態で、それぞれ位置NP1から位置NP2まで移動しつつパレット積層群PGの前方側面を洗浄してもよい。位置NP1から位置NP2まで移動する間の、ノズル222Rおよびノズル222Lからの洗浄液の噴射方向はX軸負方向である。なお、図2において、ノズル222Rおよびノズル222Lに隣接して図示されている矢印の方向は、各ノズルの噴射口223から洗浄液が噴射される方向を示している。
【0024】
ノズル222Rおよびノズル222Lがそれぞれ位置NP2まで移動すると、ノズル222Rおよびノズル222Lはそれぞれ回転によって噴射方向を変更する。当該回転により、ノズル222Rからの洗浄液の噴射方向はY軸正方向、ノズル222Lからの洗浄液の噴射方向はY軸負方向となる。ノズル222Rおよびノズル222Lがそれぞれ位置NP2に位置している場合、ノズル222Rとノズル222Lとの距離は、パレットPの一辺の長さよりも長い。液体を噴射しているノズル222Rとノズル222Lとの間をパレット積層群PGが通過することにより、パレット積層群PGの側方側面が洗浄される。
【0025】
パレット洗浄群PGの後端がノズル位置を超えると、ノズル222Rおよびノズル222Lは、回転によって噴射方向をX軸方向に変更する。噴射方向を変更したノズル222Rおよびノズル222Lは、それぞれ位置NP2から位置NP1に移動しながら、パレット積層群PGの後方側面を洗浄する。
【0026】
パレット洗浄装置100が上述した構成の側面洗浄部22を備えることにより、受入部20におけるパレット積層群PGの移動中に、パレットPの全ての側面を洗浄することができる。
【0027】
(フォーク移動機構30)
フォーク移動機構30は、複数のフォーク10を移動させる。フォーク移動機構30の詳細な構成について、図1および図4図6を参照して説明する。図4は、フォーク移動機構30の概略上面図である。図5は、図4における領域Vの拡大図である。図6は、図1の領域VIの拡大図である。なお、各図は、簡単のために、説明に必要な部材を抽出して記載していることに留意されたい。
【0028】
図1および図4に示すように、フォーク移動機構30は、少なくとも1対の、上下方向に懸架された無端チェーン31Aおよび31Bと、無端チェーン31Aと無端チェーン31Bとの間に亘って設けられる複数の板部材32とを有している。
【0029】
本実施形態のフォーク移動機構30において、一方の無端チェーン31Aは、同じ長さの2本の無端チェーン311および312が、横方向から見たときに重なるように配置され、かつ連結されることにより構成されている。同様に、他方の無端チェーン31Bは、同じ長さの2本の無端チェーン313および314が横方向から見たときに重なるように配置され、かつ連結されることにより構成されている。当該構成により、各無端チェーン31A・31Bの強度が向上する。なお、無端チェーン31Aと31Bについても、横方向から見たときに重なるように配置されている。
【0030】
図1に示すように、フォーク移動機構30では、各無端チェーン31A・31Bの軌道面が、XZ平面と平行になるように、各無端チェーン31A・31Bが配置されている。各無端チェーン31A・31Bは、上下方向に懸架されている。無端チェーン31Aおよび無端チェーン31Bは、それぞれ上下に配置されるスプロケットに懸架されている。無端チェーン31Aおよび無端チェーン31Bは、図示しないモータを用いて上下に配置されるスプロケットの少なくとも一方のスプロケットを回転させることにより、スプロケットの軸に垂直な面を軌道面として回転する。各無端チェーン31A・31Bは、受入部20に近い側の第1直進部321、上部に位置する第1転回部322、第1直進部321と対向して位置する第2直進部323および下部に位置する第2転回部324から構成されている。第1転回部322および第2転回部324において、各無端チェーンとスプロケットとが係合する。
【0031】
板部材32は、各無端チェーン31A・31Bを構成するリンク310に対して固定されている。例えば、図5に示すように、板部材32は、無端チェーン31Aのリンク310と接続されるアタッチメント331、および板部材32の取り付け位置を調整するための接続部材332を介して、リンク310に対して固定され得る。アタッチメント331と、接続部材332とは、ネジ333によって固定され、接続部材332と、板部材32とはネジ334によって固定され得る。
【0032】
板部材32は、水平方向に長い板部材である。また、板部材32の主面32Aに垂直な方向は、無端チェーン31A・31Bの軌道面に直交する方向である。板部材32の主面32Aには、2本のフォーク10が垂直かつ外向きになるように固定されている。
【0033】
図6に示すように、フォーク10と、板部材32との接続部には、フォーク10がパレットPの挿入口Eに挿入されたときのパレットPと無端チェーン31A・31Bとの距離を確保するためのスペーサ101が設けられていてもよい。
【0034】
図1に示されるように、第1直進部321にある板部材32に固定されたフォーク10の少なくとも一部は、受入部20に位置している。第1転回部322の前半部にある板部材32に固定されたフォーク10の少なくとも一部は、後述する洗浄部40に位置している。第1転回部322の前半部とは、第1転回部322のうち、第1直進部321側に位置する部分である。第2直進部323にある板部材32に固定されたフォークの少なくとも一部は、後述する待機部50に位置している。第1転回部322の後半部にある板部材32に固定されたフォークの少なくとも一部は、後述する乾燥部60に位置している。第1転回部322の後半部とは、第1転回部322のうち、第2直進部323側に位置する部分である。
【0035】
(洗浄部40)
洗浄部40は、受入部20からフォーク移動機構30およびフォーク10によって輸送されたパレットPを、液体を用いて洗浄する。当該液体は、例えば市水であってもよいし、シャンプー剤などの洗浄液であってもよい。洗浄部40は、受入部20の上方に配置されている。図1および図2では、フォーク移動機構30の第1直進部321から第1転回部322に移動し、地面に対して傾斜した状態のフォーク10が挿入されたパレットPを、位置PP1に位置するパレットPとして2点鎖線を用いて図示している。第1転回部322では、無端チェーン31Aおよび無端チェーン31Bがスプロケットに沿って転回するのに伴い、フォーク10の先端の間隔が開く。これにより、位置PP1に位置するパレットPは、他のパレットPから上下方向に離間している。洗浄部40は、位置PP1に位置するパレットPを洗浄する。
【0036】
図1および図2に示すように、洗浄部40は、ノズル支持部41と、Y軸方向に延伸し、ノズル支持部41の移動を案内するガイドレール42と、を備えている。ガイドレール42は、筐体Cに対して固定されていてもよい。ノズル支持部41は、Y軸方向から見たときに、位置PP1に位置するパレットPの上面、下面およびフォーク移動機構30と反対側に位置する側面を囲むU字形状を有している。ノズル支持部41には、上方ノズル43、下方ノズル44、および側方ノズル45が設けられている。各ノズルからは高圧の液体が噴射され得る。
【0037】
ノズル支持部41は、上面視したときにX軸方向に延伸する細長い形状を有している。上方ノズル43は、パレットPの上面を洗浄するためのノズルであり、ノズル支持部41の天井面に長手方向に沿って複数配置されていてもよい。下方ノズル44は、パレットPの下面を洗浄するためのノズルであり、ノズル支持部41の底面に長手方向に沿って複数配置されていてもよい。側方ノズル45は、パレットPのフォーク移動機構30と反対側に位置する側面を洗浄するためのノズルであり、ノズル支持部41の内側面(U字形状の底部)に少なくとも1つ配置されていてもよい。側方ノズル45は任意の構成である。例えば、パレット洗浄装置100が側面洗浄部22を備えている場合、側面洗浄部22においてパレットPの4つの側面が洗浄されるため、側方ノズル45を備える必要はない。
【0038】
図2に示されるように、ノズル支持部41は、上面視したときに、パレットPの移動領域よりも左側方の位置WP1と、右側方の位置WP2との間の往復動作が可能である。洗浄部40において、各ノズルから液体を噴射しながら、ノズル支持部41が位置WP1と位置WP2との間を移動することにより、位置PP1に位置するパレットPが洗浄される。
【0039】
なお、洗浄部40は、上述した構成要素の他に、図示しない液体タンクおよび当該液体タンクから各ノズルまでの通液経路を備えている。また、洗浄部40の下方には、受液部70が設けられ、受液部70は下水道などに接続されていてもよい。
【0040】
(待機部50)
待機部50は、洗浄部40において洗浄された後に、後述する乾燥部60で乾燥されるまでのパレットPが待機する部分である。待機部50は、後述する乾燥部60の下方に配置されている。
【0041】
(乾燥部60)
乾燥部60は、洗浄部40で洗浄されたパレットPを乾燥させる。乾燥部60は、洗浄部40から水平方向の位置に配置されている。図1および図2には、フォーク移動機構30の第2直進部323から第1転回部322に移動し、地面に対して傾斜した状態のフォーク10が挿入されたパレットPを、位置PP2に位置するパレットPとして2点鎖線を用いて図示している。第1転回部322では、フォーク10の先端の間隔が開くため、位置PP2に位置するパレットPは、他のパレットPから上下方向に離間している。乾燥部60は、位置PP2に位置するパレットPを乾燥させる。
【0042】
乾燥部60は、図示しないブロワと、Y軸に沿って延伸するガイドレール62と、を備えている。乾燥部60また、ブロワに接続され、パレットPの上面に向けて気体を噴射する上面送風ノズル63と、パレットPの下面に向けて気体を噴射する下面送風ノズル64とを備えている。上面送風ノズル63および下面送風ノズル64は、Y軸方向から見たときに、位置PP2に位置するパレットPを挟んで位置している。上面送風ノズル63および下面送風ノズル64のそれぞれへの送風は、ブロワと、上面送風ノズル63および下面送風ノズル64とをそれぞれ接続するパイプ65を介して達成される。
【0043】
図2に示されるように、上面送風ノズル63および下面送風ノズル64は、上面視したときに、パレットPの移動領域よりも左側方の位置BP1と、右側方の位置BP2との間の往復動作が可能である。乾燥部60は、位置PP2に位置するパレットPに対し、各送風ノズルが気体を噴射しながら位置BP1と位置BP2との間を移動することにより、パレットPを乾燥させる。
【0044】
乾燥部60の下方には、受液部70が設けられ、受液部70は下水道などに接続されていてもよい。
【0045】
(パレット洗浄乾燥工程)
図1を参照しつつ、パレット洗浄装置100によるパレットPの洗浄乾燥工程を簡単に説明すると以下のとおりである。フォークリフトFLによって、受入部20に輸送されてきたパレット積層群PGは、コンベヤ21によってフォーク移動機構30に向けて水平方向に(X軸正方向に)移動される。当該移動中に、パレット積層群PGは、側面洗浄部22によってその側面が洗浄される。側面洗浄部22による側面の洗浄を経て、パレット積層群PGがさらに移動すると、個々のパレットPの前方側面の挿入口Eに、フォーク移動機構30に取り付けられているフォーク10が挿入される。
【0046】
フォーク移動機構30は、パレットPの挿入口Eにフォーク10が挿入されると、無端チェーン31の正回転動作を開始し、フォーク10を移動させる。これによりフォーク10が挿入されたパレットPは、それぞれ上方に移動する。
【0047】
受入部20の上方には、洗浄部40が位置しており、洗浄部40に到達し、他のパレットから離間した状態のパレットPは、洗浄部40において個々に洗浄される。ここで、洗浄待ちのパレットPは、洗浄部40の下方に位置している。そのため、洗浄待ちのパレットPは、洗浄部40における洗浄で用いられた液体による予備洗浄が行われ得る。これにより、最上段のパレットP以外は、洗浄部40において予備洗浄を行わなくてもよいか、または洗浄時間が少なくてもよい。よって、節水効果を得ることができる。
【0048】
フォーク移動機構30は、パレット積層群PGに含まれるパレットP全てが洗浄部40において洗浄され、待機部50に移動するまで、正回転の回転動作を継続する。正回転とは、受入部20から待機部50に向けてフォーク10を移動させる方向の回転を意味する。パレット積層群PGに含まれるパレットP全てが洗浄部40において洗浄され、待機部50に移動するまでの間、乾燥部60における上面送風ノズル63および下面送風ノズル64は、位置BP1または位置BP1に待機した状態を維持している。
【0049】
パレット積層群PGに含まれるパレットP全てが待機部50に移動すると、フォーク移動機構30は、無端チェーン31を逆回転させることにより、フォーク10を上方に移動させる。逆回転とは、待機部50から受入部20に向けてフォークを移動させる方向の回転を意味する。待機部50の上方には、乾燥部60が位置しており、乾燥部60に到達し、他のパレットから離間した状態のパレットPは、乾燥部60において個々に乾燥される。乾燥部60におけるパレットPの移動方向が、洗浄時と逆向きであるため、乾燥後のパレットPが乾燥部60の下方に位置しない。そのため、乾燥部60の下部に液体の滴下を防ぐためのシャッタなどを設けることなく、乾燥後のパレットPが再び濡れる可能性を低減することができる。よって、上部空間を有効活用するフォーク移動機構30を用いた洗浄および乾燥を効率よく行うことができる。
【0050】
フォーク移動機構30は、パレット積層群PGに含まれるパレットP全てが乾燥部60において乾燥され、受入部20のコンベヤ21の位置に到達するまで、逆回転の回転動作を継続する。パレット積層群PGに含まれるパレットP全てが乾燥部60において乾燥され、受入部20に移動するまでの間、洗浄部40におけるノズル支持部41は、位置WP1または位置WP2に待機した状態を維持している。パレット洗浄装置100は、洗浄工程において、フォーク移動機構30がフォーク10を移動させるための回転方向を切り替えている。これにより、洗浄後のパレットPを受入部20に再び戻すことができる。
【0051】
コンベヤ21に到達したパレット積層群PGは、コンベヤ21によって、X軸負方向に移動される。コンベヤ21のX軸負方向側の端部まで移動されたパレット積層群PGは、フォークリフトFLによってパレット洗浄装置100から搬出される。なお、パレット洗浄装置100では、受入部20は、パレット積層群PGを取り出すための取出部を兼ねている。受入部20が取出部を兼ねることにより、パレット洗浄装置100の設置スペースをより省スペース化することができる。
【0052】
〔まとめ〕
(1)本開示の態様1に係るパレット洗浄装置は、複数のフォークと、複数のパレットが積み重ねられたパレット積層群を水平方向に移動させることによって、それぞれの前記パレットの側面の挿入口に前記フォークを挿入させる受入部と、前記複数のフォークを移動させるフォーク移動機構と、前記受入部の上方に配置された洗浄部であって、前記フォークに保持され、他のパレットから離間している状態の前記パレットを洗浄する洗浄部と、を備えるパレット洗浄装置。
【0053】
洗浄部が受入部の上方に配置されていることにより、上方の空間を有効活用することができる。これにより、装置を設置するためのスペースを省スペース化することができる。また、洗浄部が受入部の上方に配置されていることにより、受入部から洗浄部への移動過程にある洗浄待ちパレットが、洗浄部において洗浄に用いられた液体によって予備洗浄されるため、洗浄に用いられる液体を節約することができる。
【0054】
(2)本開示の態様2に係るパレット洗浄装置は、上記態様1において、前記洗浄部で洗浄された前記パレットを乾燥させる、乾燥部を更に備える、パレット洗浄装置である。
【0055】
パレット洗浄装置が乾燥部を備えることにより、パレット洗浄装置内でパレットの洗浄から乾燥までを行うことができる。
【0056】
(3)本開示の態様3に係るパレット洗浄装置は、上記態様2において、前記乾燥部は、前記洗浄部から水平方向の位置に配置されている、パレット洗浄装置である。
【0057】
乾燥部が洗浄部から水平方向の位置に配置されていることにより、乾燥部を備える場合であっても装置を設置するためのスペースを省スペース化することができる。
【0058】
(4)本開示の態様4に係るパレット洗浄装置は、上記態様3において、前記洗浄部で洗浄された後に、前記乾燥部で乾燥されるまでの前記パレットが待機する、待機部を更に備え、前記待機部は、前記乾燥部の下方に配置される、パレット洗浄装置である。
【0059】
待機部が乾燥部の下方に配置されることにより、乾燥部の下方のスペースを有効活用することができ、装置を設置するためのスペースを省スペース化することができる。
【0060】
(5)本開示の態様5に係るパレット洗浄装置は、上記態様1から4のいずれかにおいて、前記フォーク移動機構は、少なくとも1対の、それぞれ上下方向に懸架された無端チェーンと、少なくとも1対の前記無端チェーン間に亘って設けられた水平方向に長い板部材であって、それぞれの前記無端チェーンを構成するリンクに対して固定され、主面に垂直な方向が前記無端チェーンの軌道面内の前記軌道に直行する方向である板部材を有し、前記板部材に前記フォークが、前記主面に垂直かつ外向きとなるように固定されている、パレット洗浄装置である。
【0061】
フォーク移動機構が当該構成を有することにより、パレットPを、受入部上方に位置する洗浄部に個別に移動させることができる。また、洗浄部から水平方向に位置する乾燥部および乾燥部の下方に位置する待機部を備える場合であっても、当該フォーク移動機構によって洗浄工程に従って連続的に各パレットPを移動させることができる。
【0062】
(6)本開示の態様6に係るパレット洗浄装置は、上記態様5において、前記受入部には、2つの直進部と2つの転回部とから構成される前記無端チェーンの軌道のうちの一方の前記直進部にある前記板部材に固定された前記フォークの少なくとも一部が位置する、パレット洗浄装置である。
【0063】
態様6のパレット洗浄装置によれば、受入部においてフォーク移動機構に洗浄対象のパレットを保持させることができる。
【0064】
(7)本開示の態様7に係るパレット洗浄装置は、上記態様5において、前記洗浄部には、2つの直進部と2つの転回部とから構成される前記無端チェーンの軌道のうちの上側の前記転回部の前半部にある前記板部材に固定された前記フォークの少なくとも一部が位置する、パレット洗浄装置である。
【0065】
態様7のパレット洗浄装置によれば、フォーク移動機構に保持された洗浄対象のパレットを、フォーク移動機構を動作させることにより、洗浄部に移動させることができる。
【0066】
(8)本開示の態様8に係るパレット洗浄装置は、上記態様7において、前記洗浄部で洗浄された前記パレットを乾燥させる、乾燥部を更に備え、前記乾燥部には、上側の前記転回部の後半部にある前記板部材に固定された前記フォークの少なくとも一部が位置する、パレット洗浄装置である。
【0067】
態様8のパレット洗浄装置によれば、フォーク移動機構に保持された洗浄対象のパレットを、フォーク移動機構を動作させることにより、乾燥部に移動させることができる。また、洗浄部から乾燥部までのパレットの移動経路において、パレットがフォーク移動機構の頂部を経由する。当該頂部では、パレットは地面に対して縦向きに起こされた姿勢となるため、洗浄後のパレットから効率よく液体を除去することができる。
【0068】
(9)本開示の態様9に係るパレット洗浄装置は、上記態様8において、前記洗浄部で洗浄された後に、前記乾燥部で乾燥されるまでの前記パレットが待機する、待機部を更に備え、前記待機部には、前記転回部の後半部の下方の前記直進部にある前記板部材に固定された前記フォークの少なくとも一部が位置する、パレット洗浄装置である。
【0069】
態様9のパレット洗浄装置によれば、フォーク移動機構に保持された洗浄対象のパレットを、フォーク移動機構を動作させることにより、待機部に移動させることができる。
【0070】
(10)本開示の態様10に係るパレット洗浄装置は、上記態様1から9のいずれかにおいて、前記受入部は、前記パレット洗浄装置によって処理された前記パレットが積み重ねられたパレット積層群を取り出すための取出部を兼ねている、パレット洗浄装置である。
【0071】
受入部が取出部を兼ねることにより、装置を設置するためのスペースをより省スペース化することができる。
【0072】
(11)本開示の態様11に係るパレット洗浄装置は、上記態様1から10のいずれかにおいて、前記受入部は、前記パレットの側面に向けて液体を噴射するノズルを有している、パレット洗浄装置である。
【0073】
受入部にパレットの側面を洗浄し得るノズルを有することにより、パレットの4つの側面をより確実に洗浄することができる。
【0074】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
100・・・パレット洗浄装置
10・・・フォーク
20・・・受入部
22・・・側面洗浄部
222L・222R・・・ノズル
30・・・フォーク移動機構
31・・・無端チェーン
32・・・板部材
321・・・第1直進部
322・・・第1転回部
323・・・第2直進部
324・・・第2転回部
40・・・洗浄部
50・・・待機部
60・・・乾燥部
331・・・アタッチメント
332・・・接続部材
P・・・パレット
図1
図2
図3
図4
図5
図6