(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039415
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】列車制御システム及び列車制御方法
(51)【国際特許分類】
H04L 12/28 20060101AFI20240314BHJP
H04L 61/09 20220101ALI20240314BHJP
【FI】
H04L12/28 200Z
H04L61/09
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143951
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100125151
【弁理士】
【氏名又は名称】新畠 弘之
(72)【発明者】
【氏名】中村 幸太
(72)【発明者】
【氏名】柘植 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】佐口 太一
(72)【発明者】
【氏名】宮田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】寺門 康弘
(72)【発明者】
【氏名】村上 秀人
【テーマコード(参考)】
5K033
【Fターム(参考)】
5K033AA01
5K033BA06
5K033DA01
5K033DB18
5K033EC03
(57)【要約】
【課題】号車位置に対応させた機器の制御をより効率的に行うことが可能な列車制御システム及び列車制御方法を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る送列車制御システムは、車両中央制御装置と、機器と、中継器と、を備える。車両中央制御装置は、IPアドレスに関連付けされた制御信号を出力する。機器は、制御信号に従い駆動する。中継器は、機器が接続可能であり、接続された機器に対して号車番号に関連する情報を含むIPアドレスを付与する。機器は、認識部と、機器制御部と、を有する。認識部は、IPアドレスに含まれる所定の情報に基づき号車番号を認識する。機器制御部は、認識部が認識した号車番号を用いて情報の取捨選択を行い、制御信号に従った駆動を実行させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IPアドレスに関連付けた制御信号を出力する車両中央制御装置と、
前記制御信号にしたがい駆動する機器と、
前記機器が接続可能であり、接続された前記機器に対して号車番号に関連する情報を含むIPアドレスを付与する中継器と、
を備え、
前記機器は、
前記IPアドレスに含まれる所定の情報に基づき号車番号を認識する認識部と、
前記認識部が認識した号車番号を用いて情報の取捨選択を行い、前記制御信号にしたがった前記駆動を実行させる機器制御部と、を有する、列車制御システム。
【請求項2】
前記機器は、前記制御信号のなかの前記号車に応じて配置されるデータに従った駆動を行う、請求項1に記載の列車制御システム。
【請求項3】
前記中継器は、
複数の接続ポートと、
前記複数の接続ポートそれぞれに対応する複数の異なるIPアドレスを記憶する記憶部と、を有し、
前記中継器は、前記複数の接続ポートのいずれかに接続された前記機器に、接続された接続ポートに関連付けられた前記IPアドレスを払い出す、請求項1又は2に記載の列車制御システム。
【請求項4】
前記中継器は、DHCP機能を有し、
前記機器からのDHCPの要求に応じて、前記IPアドレスを払い出す、請求項3に記載の列車制御システム。
【請求項5】
前記複数の接続ポートそれぞれに異なる複数の機器が接続され、
前記中継器は、前記複数の異なるIPアドレスのなかから接続された接続ポートに関連付けられたIPアドレスをそれぞれ付与する、請求項4に記載の列車制御システム。
【請求項6】
前記マルチキャスト送信される制御信号には、前記複数の号車に対する制御命令が一括で設定され、
前記複数の機器のそれぞれは、自号車に対応する制御命令に応じた駆動を行う、請求項5に記載の列車制御システム。
【請求項7】
前記中継器は複数あり、列車の異なる車両にそれぞれ搭載され、
前記複数の中継器機器のそれぞれは、搭載位置である車両を特定する情報を含むIPアドレスを、前記複数の中継器機器のそれぞれに接続された機器に払い出す、請求項6に記載の列車制御システム。
【請求項8】
IPアドレスに関連付けた制御信号を出力する車両中央制御手順と、
接続された機器に対して搭載位置に関連する情報を含むIPアドレスを付与する付与手順と、
前記IPアドレスに含まれる所定の情報に基づき、搭載号車位置を認識する認識手順と、
前記機器が求められた号車位置から必要な制御信号のみを利用して駆動を行う駆動手順と、
を備える、列車制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、列車制御システム及び列車制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道車両に配置されて車両制御を行う列車制御システムが知られている。この列車制御に用いられる編成内ネットワークはLANと同等のため、接続される機器にはユニークなIPアドレスを持たせる必要がある。また、ネットワークの機器にIPアドレスを自動的に割り当てるプロトコルとしてDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)がある。DHCPでは、DHCPクライアントからの要求に対して、DHCPサーバが管理するアドレス範囲から任意のIPアドレスが選択されて割り当てられる。
【0003】
ところが、車両機器は、同じ構成で各号車に搭載されるものが多く存在する。このため、DHCPにより任意のIPアドレスが割り振られる設定であると、たとえ伝送データ内に機器種別を示す情報を加えていたとしても、どの位置(前後、号車等)に搭載されている伝送データなのかをパケット内の情報から判別することができなくなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、搭載位置に対応させた機器の制御をより効率的に行うことが可能な列車制御システム及び列車制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る送列車制御システムは、車両中央制御装置と、機器と、中継器と、を備える。車両中央制御装置は、IPアドレスに関連付けされた制御信号を出力する。機器は、制御信号に従い駆動する。中継器は、機器が接続可能であり、接続された機器に対して号車番号に関連する情報を含むIPアドレスを付与する。機器は、認識部と、機器制御部と、を有する。認識部は、IPアドレスに含まれる所定の情報に基づき号車番号を認識する。機器制御部は、認識部が認識した号車番号を用いて情報の取捨選択を行い、制御信号に従った駆動を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る列車制御システムの構成例を示す図。
【
図2】車両中央制御装置の構成例を示すブロック図。
【
図5】記憶部に記憶されるポート管理表の例を示す表。
【
図7】本実施形態における号車認識例を示すタイムタチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態に係る列車制御システム及び列車制御方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号又は類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
(一実施形態)
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係る列車制御システム1の構成例を示す図である。列車制御システム1は、編成内の全機器を制御、監視、検査を伝送により実行するシステムであり、車両中央制御装置(TCMS:Train Control and Monitoring System)10と、号車毎に設置される中継器(スイッチ)と複数の支線機器20とを備える。車両中央制御装置10と、各号車の支線機器20とは、例えば有線LAN15およびLAN25によりイーサネット(登録商標)によって接続されている。なお、車両中央制御装置10の詳細な構成は後述する。
【0010】
支線機器20は、車両中央制御装置10の制御指令に従い動作する。支線機器20は、例えば中継器30と、中継器30に有線LAN25を介して接続される駆動系装置40、ブレーキ装置42、及び空調装置44とを有する。中継器30は、DHCP機能を有しており、駆動系装置40、ブレーキ装置42、及び空調装置44のそれぞれに対して車両番号を識別可能としたIPアドレスの割り当てを行う。なお、中継器30の詳細な構成も後述する。
【0011】
駆動系装置40、ブレーキ装置42、及び空調装置44のそれぞれは、DHCPクライアントである。駆動系装置40は、例えばモータであり、車両中央制御装置10の制御信号に従い、駆動車輪に駆動力を与える。ブレーキ装置42は、車輪の制動装置であり、車両中央制御装置10の制御信号に従い、車輪を制動する。空調装置44は、例えばエアコンであり、車両中央制御装置10の制御信号に従い、車両内の温度、及び湿度を調整する。駆動系装置40、ブレーキ装置42、及び空調装置44のそれぞれは通信ブロック50を有する。通信ブロック50は、払い出されたIPアドレスの割り当てと号車認識、および車両制御通信の処理を行う。なお、通信ブロック50の詳細な構成も後述する。なお、本実施形態に係る支線機器20は、駆動系装置40、ブレーキ装置42、及び空調装置44で示しているがこれに限定されない。例えばドア制御装置、行き先表示器、及びマスコンなどでもよい。また、支線機器20の機器の組み合わせや数が異なってもよい。
【0012】
ここで、
図2に基づき車両中央制御装置10の構成例を説明する。
図2は、車両中央制御装置10の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、車両中央制御装置10は、通信部100と、記憶部102と、車両制御部104とを有する。
【0013】
通信部100は、有線LAN15、25を介して、複数の支線機器20と通信を行う。通信部100は、例えばイーサネットコントローラを有し、イーサネット通信により複数の支線機器20である機器40、42、44と通信を行う。
【0014】
図3は、記憶部102に記憶される管理表の例を示す表である。記憶部102は、号車別の各々の機器のIPアドレスを記憶する。IPアドレスは、列車制御システム1の各装置で共有される所定の規則により生成される。例えば、IPアドレスの第3オクテットを号車番号と定義し、第4オクテットを装置種別とする。より具体的には、「10.1.3.5」ならば3号車の駆動系装置、「10.1.4.22」ならば4号車の空調装置として処理される。本実施形態では、記憶部102に記憶される号車別の各々の機器のIPアドレスと、後述の各支線機器20の機器40、42、44に付与されるIPアドレスを固定値として説明するが、これに限定されない。
【0015】
車両制御部104は、例えば、全号車の機器40に同時に制御指令を出力する場合には、IPヘッダの送信先IPアドレスに「239.255.1.5」のようなマルチキャストアドレスを設定し、イーサネットパケットのデータ部に機器40の号車毎のデータ位置に割り振った制御内容を示すデータを設定する。なお、マルチキャストアドレスの第2~4オクテットには、任意の数字を設定してもよく、これに限定されない。
【0016】
図4は、中継器30の構成例を示すブロック図である。中継器30は、例えばマネージドスイッチであり、スイッチ自身の制御が可能なDHCP機能付きスイッチである。また、この中継器30は、複数のポートを有する。
図4に示すように、中継器30は、通信部300と、記憶部302と、DHCP制御部304とを有する。中継器30に接続した機器40、42、44は、リンク確立を検出した瞬間から通信を開始する。このため、中継器30は、記憶部302に保存された設定情報に基づき起動時点で全ての設定が確定するように動作する。
【0017】
通信部300は、有線LAN15を介して車両中央制御装置10と通信し、有線LAN25を介して機器40、42、44と通信を行う。通信部300は、例えばイーサネットコントローラを有し、イーサネット通信により車両中央制御装置10、及び機器間通信の中継を行う。
【0018】
図5は、記憶部302に記憶されるポート管理表の例を示す表である。記憶部302は、ポート番号別にDHCPで払い出しを行う各々の機器のIPアドレスを設定情報として記憶している。例えば1号車における中継器30のポートAには、IPアドレス「10.1.1.5」が、ポートBには、IPアドレス「10.1.1.6」が、ポートCには、IPアドレス「10.1.1.22」が、関連付けられている。同様に、例えば3号車における中継器30のポートAには、IPアドレス「10.1.3.5」が、ポートBには、IPアドレス「10.1.3.6」が、ポートCには、IPアドレス「10.1.3.22」が、関連付けられている。すなわち、ポート管理表は、各号車の中継器30における接続ポート毎のIPアドレス定義である。
【0019】
また、列車制御システム1内のIPアドレスはユニークな値になっていなければならないため、中継器30が各機器40、42、44に付与するIPアドレスは号車毎に全て異なった値にならければならない。つまり、記憶部302に記憶されるポート管理表は中継器30毎に異なることになる。
【0020】
DHCP制御部304は、例えばDHCPサーバとして動作する機能である。DHCP制御部304は、機器40、42、44から送信されるIPアドレス取得要求に対して、記憶部302に記憶されるポート管理表を参照して機器40、42、44に払い出すIPアドレスを決定し、割り当てを行う。例えば、DHCP制御部304は、ポートAに接続された機器からのDHCP discoverに対しては、DHCP offerとしてIPアドレス「10.1.1.5」を固定で返答する。同様に、ポートBに接続された機器からのDHCP discoverに対しては、IPアドレス「10.1.1.6」を返答し、ポートCに接続された機器からのDHCP discoverには、IPアドレス「10.1.1.22」を返答する。
【0021】
このように、DHCP制御部304は、ポートA~Cに接続される機器に、常にポートA~Cそれぞれに対応する固定のIPアドレスを払い出し、確定させる。つまり、中継器30の予め決められたポートに接続するだけで、想定された機器としての設定が完了する。例えば、ポートAに接続された機器40が故障し、代替となる別の機器40をポートAに接続しても常にIPアドレス「10.1.1.5」が割り振られる。このため、車両中央制御装置10は、ポートAに接続された機器のMACアドレスを管理することなく、ポートAに接続された機器40に対して常に同じ制御を行うことが可能となる。このように、各機器40、42、44をネットワークに接続する際に、作業員は指定ポートに機器を接続するだけで事前の設定変更作業をする必要が無くなる。このため、作業員の手間を減らすことが可能となり、設定間違いを防止することも可能となる。逆にいえば、この方式の場合、例えばポートAにどのような機器を接続してもポートに割り当てられているIPアドレスが割り当てられてしまうため接続に注意する必要がある。基本的に車両の配線は決められているため、問題は起きないはずである。
【0022】
図6は、通信ブロック50の構成例を示すブロック図である。
図6に示すように、通信ブロック50は、例えばDHCPクライアント機能を有するブロックであり、通信部400と、記憶部402と、要求部404と、認識部406とを有する。
【0023】
通信部400は、有線LAN15、及び有線LAN25を介して車両中央制御装置10、及び中継器30と通信を行う。通信部400は、例えばイーサネットドライバを有し、イーサネットにより車両中央制御装置10、及び中継器30と通信を行う。
【0024】
記憶部402は、例えばDHCPにより決定されたIPアドレスを記憶する。要求部404は、IPアドレスを取得するためのDHCP処理を実行する。
【0025】
認識部406は、中継器30から払い出されたIPアドレスに基づき、搭載位置、例えば号車の認識を行うことを可能にする。例えば、認識部406は、IPアドレスの第3オクテットを号車番号として識別するように決めておき、IPアドレスから号車番号を判断する。機器制御部408は、認識部406が判断した号車番号を利用して号車に応じた動作を実行する。
【0026】
これにより、機器制御部408は、認識部406により求められた号車番号を用いて、イーサネットパケットの号車別に設定された制御内容を示すデータから自号車に該当する部分を取り出すことができるようになる。具体的な使い方としては、車両中央制御装置10がマルチキャストを用いて制御信号に全号車の情報を一括で設定して送信する場合に有効となる。受信した機器は自号車に該当するデータだけを取り出し、他号車の情報を無視する動きとなる。特に、駆動系装置40、ブレーキ装置42などの制御系装置の伝送においては送信間隔を数十ミリセカンドとするため、1編成における号車数が多ければ多いほど処理負荷を低減させることが可能となる。本発明はこのようなマルチキャスト送信処理を利用する場合に、もっとも効果を発揮する。よって車両中央制御装置10の処理負荷を低減するだけでなく、ネットワーク負荷の低減もおこなうことが可能となる。
【0027】
図7は、本実施形態における号車認識例を示すタイムタチャートである。ここでは、1号車の駆動系装置40、ブレーキ装置42、及び空調装置44には、複合指令を含む制御信号のデータ構造に関して、自身への制御信号が格納されるデータ位置が定義されている場合について説明する。
【0028】
まず、中継器30の記憶部302に各ポート別のIPアドレスを設定する(ステップS100)。次に、駆動系装置40、ブレーキ装置42、及び空調装置44の各通信ブロック50の要求部404が順にDHCP discoverによりIPアドレスの要求を行う(ステップS102a、S102b、S102c)。
【0029】
次に、中継器30のDHCP制御部304は、DHCP discoverによるIPアドレスの要求に対して、駆動系装置40、ブレーキ装置42、及び空調装置44の各装置が接続されたポートに応じて、固定のIPアドレスの割り当て提案(DHCP Offer)を送信する(ステップS103a、S103b、S103c)。
【0030】
次に、駆動系装置40、ブレーキ装置42、及び空調装置44の各要求部404が順に提案(DHCP Offer)を受信すると、その固定のIPアドレスを使用することを要求(DHCP Request)する(ステップS104a、S104b、S104c)。
【0031】
次に、中継器30のDHCP制御部304は、各応答(DHCP Request)に対して、駆動系装置40、ブレーキ装置42、及び空調装置44の各要求部404への固定のIPアドレスの使用を承認(DHCP Ack)する(ステップS105a、S105b、S105c)。
【0032】
次に、駆動系装置40、ブレーキ装置42、及び空調装置44の各通信ブロック50の各要求部404は、承認(DHCP Ack)された固定のIPアドレスを記憶部402に設定する(ステップS106a、S106b、S105c)。
【0033】
次に、に駆動系装置40、ブレーキ装置42、及び空調装置44の各通信ブロック50の認識部406は、設定されたIPアドレスの例えば第3オクテットに基づき、自身の号車を認識する(ステップS107a、S107b、S107c)。
【0034】
次に、車両中央制御装置10は、例えばIPヘッダの送信先IPアドレスに「239.255.1.5」を設定し、データ部の所定位置に全号車情報を一括設定したイーサネットパケットを駆動系装置40へ有線LAN15、25にマルチキャスト通信を用いて送信する(ステップS108)。ブレーキ装置42、及び空調装置44においても同様に、別のマルチキャストアドレスを定義し、全号車情報を一括設定したマルチキャスト通信を行う。
【0035】
次に、1号車の駆動系装置40、ブレーキ装置42、及び空調装置44の各通信ブロック50の機器制御部408は、認識部406により求められた号車番号を用いて受信したイーサネットパケットのデータ部の所定の位置から自身への制御信号を読み出す(ステップS109a、S109b、S109c)。これにより、1号車の駆動系装置40、ブレーキ装置42、及び空調装置44は、全号車一括でマルチキャスト送信されたイーサネットパケットであっても自号車向けに設定された制御信号だけを取り出して駆動することができる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態によれば、中継器30が、接続された駆動系装置40、ブレーキ装置42、及び空調装置44に対して搭載位置に関連する情報を含むIPアドレスを払い出すことで、駆動系装置40、ブレーキ装置42、及び空調装置44は、認識部406がIPアドレスに基づき認識した搭載位置を用いて機器制御を行うことが可能とした。これにより、接続した中継器30から払い出されるIPアドレス情報を用いることで全号車に応じた制御を1つのプログラムで動作させられるようになる。
【0037】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
10:車両中央制御装置、30:中継器、40:駆動系装置、42:ブレーキ装置、44:空調装置、406:認識部、408:機器制御部。