(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039417
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
H01F 27/00 20060101AFI20240314BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20240314BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
H01F27/00 160
H01F17/04 A
H01F27/28 K
H01F27/00 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143953
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勇人
(72)【発明者】
【氏名】神戸 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】竹澤 香織
(72)【発明者】
【氏名】谷本 徹也
(72)【発明者】
【氏名】橋本 良太
【テーマコード(参考)】
5E043
5E070
【Fターム(参考)】
5E043AA01
5E043AB01
5E043BA01
5E070AA01
5E070AB03
5E070BA03
5E070BB03
5E070CA13
5E070EA02
5E070EB03
(57)【要約】
【課題】コイル部品の耐電圧特性の低下を抑制する。
【解決手段】コイル部品10は、巻芯部11、第1鍔部20、第2鍔部30を有するドラムコア10Cを備えている。コイル部品10は、第1ワイヤ51と、第2ワイヤ52と、を備えている。第1ワイヤ51を第1線端51Aから第2線端51Bへと辿っていったときに、最初に巻芯部11の外周面と接触する箇所を第1ワイヤ51の1.0ターンの箇所A1とする。第2ワイヤ52を第1線端52Aから第2線端52Bへと辿っていったときに、中心軸Cを中心とする角度位置が第1ワイヤ51の1.0ターンの箇所A1の角度位置に最初に一致する箇所を第2ワイヤ52の1.0ターンの箇所B1とする。第1ワイヤ51の1.0ターンの箇所A1は、中心軸Cに対して第2負方向Y2側に位置しており、且つ、第2ワイヤ52の1.0ターンの箇所B1に対して中心軸Cに沿う方向に離れている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状の巻芯部、及び前記巻芯部の中心軸に沿う方向の第1端に接続している第1鍔部、前記巻芯部における前記第1端とは反対側の第2端に接続している第2鍔部を有するドラムコアと、
前記中心軸に直交する特定の方向を正方向とし、前記正方向とは反対方向を負方向としたとき、
前記第1鍔部の外面上において、前記中心軸に対して前記正方向側に位置する第1電極と、
前記第1鍔部の外面上において、前記中心軸に対して前記負方向側に位置する第2電極と、
前記第2鍔部の外面上において、前記中心軸に対して前記正方向側に位置する第3電極と、
前記第2鍔部の外面上において、前記中心軸に対して前記負方向側に位置する第4電極と、
前記巻芯部に巻回され、第1線端が前記第1電極に接続し、第2線端が前記第3電極に接続する第1ワイヤと、
前記第1ワイヤと同一方向に前記巻芯部に巻回され、第1線端が前記第2電極に接続し、第2線端が前記第4電極に接続する第2ワイヤと、
を備え、
前記第1ワイヤを前記第1線端から前記第2線端へと辿っていったときに、最初に前記巻芯部の外周面と接触する箇所を前記第1ワイヤの1.0ターンの箇所とし、前記第1ワイヤの前記第1線端から前記第2線端側に向かって前記中心軸を中心として1周するごとにターン数が1ずつ増加するものとし、
前記第2ワイヤを前記第1線端から前記第2線端へと辿っていったときに、前記中心軸を中心とする角度位置が前記第1ワイヤの1.0ターンの箇所の角度位置に最初に一致する箇所を前記第2ワイヤの1.0ターンの箇所とし、前記第2ワイヤの前記第1線端から前記第2線端側に向かって前記中心軸を中心として1周するごとにターン数が1ずつ増加するものとしたとき、
前記第1ワイヤの1.0ターンの箇所は、前記中心軸に対して前記負方向側に位置しており、且つ、前記第2ワイヤの1.0ターンの箇所に対して前記中心軸に沿う方向に離れている
コイル部品。
【請求項2】
前記第1ワイヤの1.0ターン以上2.0ターン未満の範囲は、前記第2ワイヤの1.0ターン以上2.0ターン未満の範囲に対して離れている
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記中心軸に沿う方向において、前記第1ワイヤの1.0ターンの箇所と前記第2ワイヤの1.0ターンの箇所との間に、前記第2ワイヤの2.0ターンの箇所が位置する
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項4】
Mを4以上の特定の整数とし、Nを3以上M未満の任意の整数としたとき、
前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤは、Mターン目を有する一方で(M+1)ターン目を有しておらず、
前記中心軸に沿う方向において、前記第2ワイヤのNターンの箇所が、前記第1ワイヤの(N-1)ターンの箇所とNターンの箇所との間に位置している
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記第2ワイヤを前記第1線端から前記第2線端側へ辿っていったときに、前記第2ワイヤが、初めて前記第1ワイヤの1.0ターンの箇所以降の部分の外側に乗り上げた箇所を初乗り上げ箇所としたとき、
前記初乗り上げ箇所は、前記第2ワイヤの2.0ターン以上3.0ターン未満の範囲内に存在している
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記第2ワイヤは、前記第1ワイヤの前記第1線端から1.0ターンの箇所までの部分に対して外側から交差する交差箇所を有し、
前記交差箇所は、前記第2ワイヤの1.0ターン以上2.0ターン未満の範囲内に存在している
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記交差箇所は、
前記中心軸に対して前記負方向側に位置する
請求項6に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のコイル部品は、巻芯部及び2つの鍔部を備えている。巻芯部は四角柱状である。2つの鍔部は、巻芯部の両端に接続している。各鍔部は、巻芯部の中心軸と直交する方向において、巻芯部から外側に張り出している。巻芯部及び鍔部の材質は、磁性体である。これら巻芯部及び鍔部は、コイル部品のコアを構成している。また、コイル部品は、第1電極~第4電極を備えている。第1電極及び第2電極は、一方の鍔部の上面に位置している。第3電極及び第4電極は、他方の鍔部の上面に位置している。
【0003】
上記のコイル部品は、第1ワイヤ及び第2ワイヤを備えている。第1ワイヤ及び第2ワイヤは、被覆導線である。第1ワイヤは、巻芯部に巻回されている。第2ワイヤは、巻芯部に巻回されている。第1ワイヤの第1線端は、第1電極に熱圧着されている。第1ワイヤの第2線端は、第3電極に熱圧着されている。第2ワイヤの第1線端は、第2電極に熱圧着されている。第2ワイヤの第2線端は、第4電極に熱圧着されている。各ワイヤにおいて第1線端側から第2線端側へと巻芯部を一周する毎にターン数が1ずつ増加するものとしたとき、第1ワイヤの1ターン目及び第2ワイヤの1ターン目は、巻芯部の中心軸に沿う方向において互いに隣接している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のコイル部品において、各電極と各ワイヤとは熱圧着されている。当該熱圧着の際に、各ワイヤの被覆膜が、熱の影響を受けて劣化することがある。特に、各ワイヤのうち、電極に近い部分は熱の影響を受けやすい。
【0006】
また、第1ワイヤと第2ワイヤとが隣接している箇所において、第1ワイヤと第2ワイヤとの間に電位差が生じていると、両ワイヤの間に比較的に大きな電界が生じる。そして、上述したワイヤの被覆膜に劣化が生じている箇所と、両ワイヤの間で大きな電界が生じる箇所と、が一致していると、その箇所において電流のリークが生じるおそれがある。すなわち、コイル部品における耐電圧特性が低下するおそれがある。
【0007】
なお、ワイヤが電極に熱圧着される例を上述したが、ワイヤが電極に接続される際に被覆膜に劣化が生じ得るものであれば、その接続態様に拘わらず同様の課題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、柱状の巻芯部、及び前記巻芯部の中心軸に沿う方向の第1端に接続している第1鍔部、前記巻芯部における前記第1端とは反対側の第2端に接続している第2鍔部を有するドラムコアと、前記中心軸に直交する特定の方向を正方向とし、前記正方向とは反対方向を負方向としたとき、前記第1鍔部の外面上において、前記中心軸に対して前記正方向側に位置する第1電極と、前記第1鍔部の外面上において、前記中心軸に対して前記負方向側に位置する第2電極と、前記第2鍔部の外面上において、前記中心軸に対して前記正方向側に位置する第3電極と、前記第2鍔部の外面上において、前記中心軸に対して前記負方向側に位置する第4電極と、前記巻芯部に巻回され、第1線端が前記第1電極に接続し、第2線端が前記第3電極に接続する第1ワイヤと、前記第1ワイヤと同一方向に前記巻芯部に巻回され、第1線端が前記第2電極に接続し、第2線端が前記第4電極に接続する第2ワイヤと、を備え、前記第1ワイヤを前記第1線端から前記第2線端へと辿っていったときに、最初に前記巻芯部の外周面と接触する箇所を前記第1ワイヤの1.0ターンの箇所とし、前記第1ワイヤの前記第1線端から前記第2線端側に向かって前記中心軸を中心として1周するごとにターン数が1ずつ増加するものとし、前記第2ワイヤを前記第1線端から前記第2線端へと辿っていったときに、前記中心軸を中心とする角度位置が前記第1ワイヤの1.0ターンの箇所の角度位置に最初に一致する箇所を前記第2ワイヤの1.0ターンの箇所とし、前記第2ワイヤの前記第1線端から前記第2線端側に向かって前記中心軸を中心として1周するごとにターン数が1ずつ増加するものとしたとき、前記第1ワイヤの1.0ターンの箇所は、前記中心軸に対して前記負方向側に位置しており、且つ、前記第2ワイヤの1.0ターンの箇所に対して前記中心軸に沿う方向に離れているコイル部品である。
【0009】
上記構成において、各ワイヤに流れる電流の向きによっては、第1ワイヤの1.0ターンの箇所と第2ワイヤの1.0ターンの箇所とで、比較的に大きな電位差が生じる。上記構成では、第1ワイヤの1.0ターンの箇所と第2ワイヤの1.0ターンの箇所とが隣接して巻き回されている構成に比較して、各ワイヤの1.0ターンの箇所の間で生じる電界は小さくなる。その結果、コイル部品の耐電圧特性が低下することを抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
コイル部品の耐電圧特性の低下を抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図2は、第3負方向を向いて視たときのコイル部品の平面図である。
【
図3】
図3は、第2正方向を向いて視たときのコイル部品の側面図である。
【
図4】
図4は、第3正方向を向いて視たときのコイル部品の平面図である。
【
図5】
図5は、第2負方向を向いて視たときのコイル部品の側面図である。
【
図6】
図6は、巻芯部の中心軸、第1ワイヤの1.0ターンの箇所、及び第2ワイヤの1.0ターンの箇所を含む断面での、コイル部品の一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、コイル部品の一実施形態について説明する。なお、図面は理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は実際のものと、又は別の図中のものと異なる場合がある。
【0013】
<全体構成について>
図1に示すように、コイル部品10は、ドラムコア10Cと、天板12と、を備えている。
【0014】
ドラムコア10Cは、巻芯部11、第1鍔部20、第2鍔部30を有している。
巻芯部11は、四角柱状である。巻芯部11の中心軸Cに直交する断面は長方形状である。なお、ここでいう「長方形状」は、4つの辺を有していて全体として長方形状であればよく、長方形の角が面取りされた形状も含む。巻芯部11の材質は、非導電性材料である。具体的には、巻芯部11の材質は、例えば、アルミナ、Ni-Zn系フェライト、樹脂、及びこれらの混合物等である。
【0015】
ここで、巻芯部11の中心軸Cに平行な特定の軸を第1軸Xとする。また、第1軸Xに直交する特定の軸を第2軸Yとする。本実施形態では、第2軸Yは、第1軸Xに沿う方向を向いて視たときに、巻芯部11の4つの辺のうち2つと平行である。また、第1軸X及び第2軸Yの双方に直交する軸を第3軸Zとする。本実施形態では、第3軸Zは、第1軸Xに沿う方向を向いて視たときに、巻芯部11の4つの辺のうちの残りの2つと平行である。そして、第1軸Xに沿う方向のうちの一方を第1正方向X1とし、第1正方向X1とは反対方向を第1負方向X2とする。同様に、第2軸Yに沿う方向のうちの一方を第2正方向Y1とし、第2正方向Y1とは反対方向を第2負方向Y2とする。また、第3軸Zに沿う方向のうちの一方を第3正方向Z1とし、第3正方向Z1とは反対方向を第3負方向Z2とする。
【0016】
図1に示すように、第1鍔部20は、巻芯部11の第1正方向X1の端である第1端に接続している。第1鍔部20は、第1軸Xに沿う方向に偏平な略四角板状である。第1軸Xに沿う方向を向いて視たとき、第1鍔部20の各辺は、巻芯部11の各辺と平行である。また、第1鍔部20は、第2軸Yに沿う方向及び第3軸Zに沿う方向において、巻芯部11に対して外側に張り出している。
【0017】
ここで、第1鍔部20のうち、第1正方向X1側を向く面を第1外端面22、第1負方向X2側を向く面を第1内端面23とする。また、第1鍔部20のうち第2正方向Y1側を向く面を第1側面24、第2負方向Y2側を向く面を第2側面25とする。また、第1鍔部20のうち第3正方向Z1側を向く面を第1底面26、第3負方向Z2側を向く面を第1天面27とする。
【0018】
第1外端面22及び第1内端面23は、中心軸Cに対して直交する面である。第1底面26及び第1天面27は、中心軸Cに平行な面である。また、第1底面26及び第1天面27は、コイル部品10を基板に実装する際に基板と対向する実装面と平行な面である。第1側面24及び第2側面25は、中心軸Cに平行且つ第1底面26に対して直交する面である。
【0019】
第1鍔部20は、窪み部21を有している。窪み部21は、第1鍔部20の第1底面26に対して窪んでいる。窪み部21は、第1軸Xに沿う方向において第1鍔部20の両側に開放している。その結果として、第1鍔部20の第1底面26は、窪み部21を挟んで2箇所に分かれている。なお、第1鍔部20は、第2軸Yに沿う方向において、対称形状である。
【0020】
第2鍔部30は、巻芯部11の第1負方向X2側の端である第2端に接続している。第2鍔部30は、第1軸Xに沿う方向において、第1鍔部20と対称形状である。すなわち、第2鍔部30は、略四角板状である。
【0021】
ここで、第2鍔部30のうち、第1負方向X2側を向く面を第2外端面32、第1正方向X1側を向く面を第2内端面33とする。また、第2鍔部30のうち第2正方向Y1側を向く面を第3側面34、第2負方向Y2側を向く面を第4側面35とする。また、第2鍔部30のうち第3正方向Z1側を向く面を第2底面36、第3負方向Z2側を向く面を第2天面37とする。
【0022】
第2外端面32及び第2内端面33は、中心軸Cに対して直交する平面である。第2底面36及び第2天面37は、中心軸Cに平行な面である。また、第2底面36及び第2天面37は、コイル部品10を基板に実装する際に基板と対向する実装面と平行な面である。第3側面34及び第4側面35は、中心軸Cに平行且つ第2底面36に対して直交する面である。
【0023】
第2鍔部30は、第2軸Yに沿う方向及び第3軸Zに沿う方向において、巻芯部11に対して外側に張り出している。また、第2鍔部30は、窪み部31を有している。窪み部31は、第2鍔部30の第2底面36に対して窪んでいる。
【0024】
上記の第1鍔部20及び第2鍔部30の材質は、巻芯部11と同じ非導電性材料である。また、第1鍔部20及び第2鍔部30は、巻芯部11との一体成形物である。
本実施形態において、ドラムコア10Cの第1軸Xに沿う方向の最大寸法は、3.2mmである。また、ドラムコア10Cの第2軸Yに沿う方向の最大寸法は、2.5mmである。また、ドラムコア10Cの第3軸Zに沿う方向の最大寸法は、2.3mmである。
【0025】
天板12は、長方形の板状である。天板12は、第3軸Zに沿う方向において扁平である。天板12の長辺は、第1軸Xと平行である。天板12の短辺は、第2軸Yと平行である。天板12は、ドラムコア10Cに対して第3負方向Z2側に位置する。天板12は、第1鍔部20における第1天面27、及び第2鍔部30における第2天面37の双方に接続している。つまり、天板12は、第1鍔部20及び第2鍔部30の間に架け渡されている。天板12の材質は、巻芯部11と同じ非導電性材料である。なお、
図2以降において、天板12の図示を省略している。
【0026】
コイル部品10は、第1電極41と、第2電極42と、第3電極43と、第4電極44と、を備えている。第1電極41は、第1鍔部20の外面上に位置している。具体的には、第1電極41は第1底面26上に位置している。また、第1電極41は、第1底面26上において、中心軸Cに対して第2正方向Y1側に位置している。具体的には、第1電極41は、窪み部21に対して第2正方向Y1側に位置している。
【0027】
第2電極42は、第1鍔部20の外面上に位置している。具体的には、第2電極42は第1底面26上に位置している。また、第2電極42は、第1底面26上において、中心軸Cに対して第2負方向Y2側に位置している。具体的には、第2電極42は、窪み部21に対して第2負方向Y2側に位置している。
【0028】
第3電極43は、第2鍔部30の外面上に位置している。具体的には、第3電極43は第2底面36上に位置している。また、第3電極43は、第2底面36上において、中心軸Cに対して第2正方向Y1側に位置している。具体的には、第3電極43は、窪み部31に対して第2正方向Y1側に位置している。
【0029】
第4電極44は、第2鍔部30の外面上に位置している。具体的には、第4電極44は第2底面36上に位置している。また、第4電極44は、第2底面36上において、中心軸Cに対して第2負方向Y2側に位置している。具体的には、第4電極44は、窪み部31に対して第2負方向Y2側に位置している。
【0030】
これらの第1電極41~第4電極44は、金属層及びめっき層を有している。金属層の材質は、銀である。金属層は、第1鍔部20または第2鍔部30の外面に形成されている。めっき層は、3層からなる。めっき層は、金属層の表面に、銅、ニッケル、錫の順に積層されている。
図1において、金属層及びめっき層の境界の図示を省略している。なお、コイル部品10の第3正方向Z1側の端面は、コイル部品10を基板に実装する際に基板と対向する実装面である。
【0031】
<第1ワイヤ及び第2ワイヤについて>
図1に示すように、コイル部品10は、第1ワイヤ51及び第2ワイヤ52を備えている。第1ワイヤ51及び第2ワイヤ52は、巻芯部11に巻回されている。図示は省略するが、第1ワイヤ51は、銅線と、絶縁被膜と、を有している。絶縁被膜は、銅線の外面を覆っている。第1ワイヤ51は、当該第1ワイヤ51が延びる方向に直交する断面で、略円形状である。第1ワイヤ51の外径は約100μmである。第2ワイヤ52は、第1ワイヤ51と同じ構成である。すなわち、第2ワイヤ52は、銅線と、絶縁被膜と、を有している。第2ワイヤ52の外径は、約100μmである。なお、
図1において、第1ワイヤ51にドットで色を付している。
【0032】
図2に示すように、第1ワイヤ51の第1線端51Aは、第1電極41に接続している。第1ワイヤ51の第2線端51Bは、第3電極43に接続している。第1線端51A及び第2線端51Bは、対応する電極に対して熱圧着で各電極に接続されている。
【0033】
ここで、第1ワイヤ51を第1線端51Aから第2線端51Bへと辿っていったときに、最初に巻芯部11の外周面と接触する箇所を第1ワイヤ51の1.0ターンの箇所A1とする。本実施形態では、第1ワイヤ51の1.0ターンの箇所A1は、巻芯部11の第2負方向Y2側、且つ第3正方向Z1側の稜線上に位置する。すなわち、第1ワイヤ51の1.0ターンの箇所A1は、中心軸Cに対して第2負方向Y2側に位置している。
【0034】
また、第1ワイヤ51の第1線端51Aから第2線端51Bに向かって中心軸Cを中心として1周するごとにターン数が1ずつ増加するものとする。第1ワイヤ51は、第1負方向X2を向いて視たとき、ターン数が増加するにつれて時計回りで進行するように、巻芯部11に巻回されている。したがって、例えば、第1負方向X2を向いて視たとき、第1ワイヤ51の1.0ターンの箇所A1から中心軸Cを中心として36度進行した箇所は、第1ワイヤ51の1.1ターンの箇所である。
【0035】
第2ワイヤ52の第1線端52Aは、第2電極42に接続している。第2ワイヤ52の第2線端52Bは、第4電極44に接続している。第1線端52A及び第2線端52Bは、対応する電極に熱圧着で各電極に接続している。
【0036】
ここで、第2ワイヤ52を第1線端52Aから第2線端52Bへと辿って行ったときに、中心軸Cを中心とする角度位置が第1ワイヤ51の1.0ターンの箇所A1の角度位置に最初に一致する箇所を、第2ワイヤ52の1.0ターンの箇所B1とする。すなわち、本実施形態では、第2ワイヤ52の1.0ターンの箇所B1は、第1軸Xに沿う方向を向いて視たときに、巻芯部11の第2負方向Y2側且つ第3正方向Z1側の稜線と中心軸Cとを結ぶ直線上に位置する。なお、本実施形態では、第2ワイヤ52を第1線端52Aから第2線端52Bへと辿っていったときに、第2ワイヤ52の1.0ターンの箇所B1において最初に巻芯部11の外周面と接触している。なお、第2ワイヤ52の1.0ターンの箇所B1は、巻芯部11の外周面と接触していなくてもよい。
【0037】
また、第2ワイヤ52の第1線端52Aから第2線端52Bに向かって中心軸Cを中心として1周するごとにターン数が1ずつ増加するものとする。第2ワイヤ52は、第1負方向X2を向いて視たとき、ターン数が増加するにつれて時計回りで進行するように、巻芯部11に巻回されている。すなわち、第2ワイヤ52は、第1ワイヤ51と同一方向に巻回されている。そして、第2ワイヤ52の一部は、第1ワイヤ51に対して外側から巻芯部11に巻回されている。換言すると、第2ワイヤ52の一部は、第1ワイヤ51の外面のうち、中心軸Cとは反対側の外面に接触している。
【0038】
<第1ワイヤ及び第2ワイヤのターンについて>
図3~
図5に示すように、第1ワイヤ51は、9ターン目を有している一方で、10ターン目は有していない。つまり、第1ワイヤ51は、9.0ターンの箇所を有している一方で、10.0ターンの箇所は有していない。また、第1ワイヤ51は、1.0ターンの箇所A1から9.0ターンの箇所の範囲内の概ね全域で、巻芯部11の外周面に直接巻回されている。
【0039】
図2に示すように、第2ワイヤ52は、9ターン目を有している一方で、10ターン目は有していない。つまり、第2ワイヤ52は、9.0ターンの箇所を有している一方で、10.0ターンの箇所は有していない。また、第2ワイヤ52のうち、1.0ターンの箇所B1から2ターン目の途中までの範囲は、巻芯部11の外周面上に巻回されている。そして、第2ワイヤ52のうち、2ターン目の途中から、9.0ターンの箇所までの範囲内の概ね全域で、第1ワイヤ51に対して外側から接触している。なお、「2ターン目」とは、ワイヤのうちの2.0ターン以上3.0ターン未満の範囲を示す。他の数値においても同様である。
【0040】
第2ワイヤ52は、第1ワイヤ51の第1線端51Aから1.0ターンの箇所A1までの部分に対して外側から交差する第1交差箇所CP1を有している。第1交差箇所CP1は、第2ワイヤ52の1.0ターン以上2.0ターン未満の範囲内に存在している。具体的には、第1交差箇所CP1は、第2ワイヤ52の約1.8ターンの箇所である。また、第1交差箇所CP1は、中心軸Cに対して第2負方向Y2側に位置する。なお、この実施形態では、巻芯部11の外周面に直交する方向、すなわち第3負方向Z2を向いて視たときに、第2ワイヤ52の中心線が、第1ワイヤ51の中心線に対して横切る箇所を「交差箇所」とする。
【0041】
図3に示すように、第2ワイヤ52の2.0ターンの箇所B2は、第2ワイヤ52の1.0ターンの箇所B1と中心軸Cに沿う方向に隣接している。そして、第2ワイヤ52の2.0ターンの箇所B2は、中心軸Cに沿う方向において、第1ワイヤ51の1.0ターンの箇所A1と第2ワイヤ52の1.0ターンの箇所B1との間に位置している。すなわち、第1ワイヤ51の1.0ターンの箇所A1は、第2ワイヤ52の1.0ターンの箇所B1に対して中心軸Cに沿う方向に離れている。
【0042】
また、
図2~
図5に示すように、第1ワイヤ51の1.0ターン以上2.0ターン未満の範囲は、第2ワイヤ52の1.0ターン以上2.0ターン未満の範囲に対して離れている。
【0043】
ここで、第2ワイヤ52を第1線端52Aから第2線端52B側へ辿っていったときに、第2ワイヤ52が、初めて第1ワイヤ51の1.0ターンの箇所A1以降の部分の外側に乗り上げた箇所を、初乗り上げ箇所Fとする。初乗り上げ箇所Fは、第2ワイヤ52の2.0ターン以上3.0ターン未満の範囲内に存在している。具体的には、初乗り上げ箇所Fは、第2ワイヤ52の約2.7ターンの箇所に位置している。なお、この実施形態では、第2ワイヤ52の中心線が、第1ワイヤ51の中心線に対して初めて外側に位置した箇所を、外側に乗り上げた箇所としている。なお、「ワイヤの中心線」とは、ワイヤの延びる方向に直交する断面において、当該断面の幾何中心をとおる線である。すなわち、ワイヤにおいて巻芯部11に巻回されている箇所では、ワイヤの中心線は、巻回方向に延びている。また、上記の「外側」とは、中心軸Cを中心とした円周方向の外側と一致する。
【0044】
図2に示すように、第2ワイヤ52は、第1ワイヤ51の1.0ターンの箇所A1から2.0ターンの箇所までの部分に対して外側から交差する第2交差箇所CP2を有している。第2交差箇所CP2は、第2ワイヤ52の2.0ターン以上3.0ターン未満の範囲内に存在している。具体的には、第2交差箇所CP2は、第2ワイヤ52の約2.9ターンの箇所である。
【0045】
図6に示すように、コイル部品10を、中心軸C、第1ワイヤ51の1.0ターンの箇所A1、及び第2ワイヤ52の1.0ターンの箇所B1を含む断面で断面視したとする。中心軸Cに沿う方向において、第1鍔部20側から第2鍔部30側に向かって、第2ワイヤ52の1.0ターンの箇所B1、第2ワイヤ52の2.0ターンの箇所B2、第1ワイヤ51の1.0ターンの箇所A1、第1ワイヤ51の2.0ターンの箇所の順で、並んでいる。
【0046】
また、同断面上で、中心軸Cに沿う方向において、第2ワイヤ52の3.0ターンの箇所は、第1ワイヤ51の2.0ターンの箇所と3.0ターンの箇所との間に位置している。そして、中心軸Cに沿う方向において、第2ワイヤ52の4.0ターンの箇所は、第1ワイヤ51の3.0ターンの箇所と4.0ターンの箇所との間に位置している。また、第2ワイヤ52の以降のターンにおいても同様に第1ワイヤ51同士の間に巻回されている。すなわち、Nを3以上9未満の任意の整数としたとき、中心軸Cに沿う方向において、第2ワイヤ52のNターンの箇所は、第1ワイヤ51の(N-1)ターンの箇所とNターンの箇所との間に位置している。
【0047】
<コイル部品の製造方法>
コイル部品10の製造方法は、準備工程と、第1工程と、第2工程と、を有している。
準備工程は、以下のようにして、第1電極41~第4電極44を有するドラムコア10Cを準備する。
【0048】
先ず、準備工程では、ドラムコア10Cを形成する。先ず、フェライト粉末に、合成樹脂バインダーを混合し、プレス成形によって形成された成型体を焼成する。そして成形体を、バレルによりバリを取り除き、ドラムコア10Cを形成する。次に、ドラムコア10Cにおいて、第1鍔部20の第1底面26、及び第2鍔部30の第2底面36に銀を含むペーストを焼付ける。当該ペースト上に銅、ニッケル、錫の順にメッキをすることで各電極が形成される。
【0049】
次に、第1工程では、第1ワイヤ51を、第1鍔部20側から第2鍔部30側に向かって巻芯部11に巻回する。そして、第1ワイヤ51の第1線端51Aを、第1電極41に熱圧着する。また、第1ワイヤ51の第2線端51Bを第3電極43に熱圧着する。このとき、第1ワイヤ51の第1線端51A近傍の絶縁被膜が剥がれることがある。同様に、第1ワイヤ51の第2線端51B近傍の絶縁被膜が剥がれることがある。
【0050】
次に、第2工程では、第2ワイヤ52を巻芯部11及び第1ワイヤ51の外周側に巻回する。具体的には、第2ワイヤ52の1ターン目を、巻芯部11の外周面に巻回させ始める。そして、第2ワイヤ52の1ターン目の途中で、第1ワイヤ51の第1線端51Aから1.0ターンの箇所A1までの区間において、第2ワイヤ52を第1ワイヤ51の外側から巻回する。これにより、第1交差箇所CP1が形成される。次に、第2ワイヤ52の2ターン目の一部を巻芯部11の外周面に巻回する。そして、第2ワイヤ52の2ターン目の途中において、第2ワイヤ52を第1ワイヤ51の1ターン目の外側に乗り上げさせる。これにより、初乗り上げ箇所Fが形成される。そして、第2ワイヤ52の2ターン目の途中において、第2ワイヤ52を第2鍔部30側に近づけつつ巻回することにより、第2ワイヤ52を再び第1ワイヤ51に対して交差させる。これにより、第2交差箇所CP2が形成される。そして、第2ワイヤ52の3ターン目以降を、第1ワイヤ51の外側に巻回する。そして、第2ワイヤ52の第1線端52Aを、第2電極42に熱圧着する。また、第2ワイヤ52の第2線端52Bを第4電極44に熱圧着する。このとき、第2ワイヤ52の第1線端52A近傍の絶縁被膜が剥がれることがある。同様に、第2ワイヤ52の第2線端52B近傍の絶縁被膜が剥がれることがある。
【0051】
<本実施形態の効果>
(1)上記実施形態のようなコモンモードチョークコイルにおいて、第1ワイヤ51及び第2ワイヤ52に流れる電流の向きによっては、第1ワイヤ51の1.0ターンの箇所A1と第2ワイヤ52の1.0ターンの箇所B1とで、比較的に大きな電位差が生じる。上記実施形態では、第1ワイヤ51の1.0ターンの箇所A1と第2ワイヤ52の1.0ターンの箇所B1とが隣接して巻き回されている構成に比較して、各ワイヤの1.0ターンの箇所の間で生じる電界は小さくなる。その結果、コイル部品10の耐電圧特性が低下することを抑制できる。
【0052】
また、特に、各ワイヤの線端を熱圧着により電極に接続する場合、線端近傍でワイヤの絶縁被膜が劣化する場合がある。そして、場合によっては、各ワイヤの1.0ターンの箇所にまで絶縁被膜の劣化が及ぶことがある。つまり、ワイヤの線端を熱圧着で接続する場合には、絶縁被膜に劣化が生じている箇所と、両ワイヤの間で大きな電界が生じる箇所と、が一致する可能性が高まる。このように、製造工程に熱圧着の過程を有するコイル部品10において上記実施形態の構成は特に有用である。
【0053】
(2)上記実施形態では、第1ワイヤ51の1.0ターン以上2.0ターン未満の範囲は、第2ワイヤ52の1.0ターン以上2.0ターン未満の範囲に対して離れている。つまり、この構成では、第1ワイヤ51の1ターン目全体と第2ワイヤ52の1ターン目全体という広い範囲に亘って、各ワイヤが接触していない。したがって、2つのワイヤ間に生じる電界を、より効果的に小さくできる。
【0054】
(3)上記実施形態では、中心軸Cに沿う方向において、第2ワイヤ52の1.0ターンの箇所B1と第1ワイヤ51の1.0ターンの箇所A1との間に、第2ワイヤ52の2.0ターンの箇所B2が位置する。したがって、仮に、第2ワイヤ52の1.0ターンの箇所B1が、中心軸Cに沿う方向に移動しようとしても、第2ワイヤ52の1.0ターンの箇所B1は、第2ワイヤ52の2.0ターンの箇所B2に規制される。すなわち、第2ワイヤ52の1.0ターンの箇所B1が、第1ワイヤ51の1.0ターンの箇所A1に近づく方向に移動しにくい。上記構成によれば、第1ワイヤ51の1.0ターンの箇所A1と第2ワイヤ52の1.0ターンの箇所B1とを、確実に離れさせることができる。
【0055】
(4)第1ワイヤ51及び第2ワイヤ52の同一ターン同士が離れて巻回されている構成と比較して、両ワイヤの同一ターン同士が隣接して巻き回されている構成の方が、インピーダンスが最大となる周波数がより高くなる。上記実施形態によれば、3ターン目以降において、各ワイヤの同一ターン同士が隣接して巻き回されている。すなわち、上記構成によれば、特に高周波領域において、好ましいインピーダンス特性が得られる。
【0056】
(5)上記実施形態では、初乗り上げ箇所Fは、第2ワイヤ52の2.0ターン以上3.0ターン未満の範囲内に存在している。つまり、第2ワイヤ52は、2.0ターンの箇所B2以降の早い段階で、第1ワイヤ51に対して外側に巻回される。この構成によれば、巻芯部11の外周面上に、第2ワイヤ52を巻回するための広いスペースを確保する必要はない。
【0057】
(6)上記実施形態では、第1交差箇所CP1は、第2ワイヤ52の1.0ターン以上2.0ターン未満の範囲内に存在している。上記構成によれば、第1ワイヤ51の1.0ターンの箇所A1と第2ワイヤ52の1.0ターンの箇所B1との間に第2ワイヤ52の2.0ターンの箇所B2を確実に配置できる。
【0058】
(7)上記実施形態では、第1交差箇所CP1は、中心軸Cに対して第2負方向Y2側に位置している。上記構成によれば、中心軸Cを基準として第1交差箇所CP1が第2正方向Y1側に位置する構成と比較して、第1交差箇所CP1は、巻芯部11から近い箇所に位置する。巻芯部11に近い箇所に第1交差箇所CP1が位置することで、第1交差箇所CP1の位置がずれにくい。
【0059】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0060】
・上記実施形態において、コイル部品10の構成は限定されない。例えば、コイル部品10は、天板12を省略可能である。また、第1鍔部20の形状は、上記実施形態の形状に限定されない。例えば、第1鍔部20は、窪み部21を省略可能である。
【0061】
・上記実施形態において、巻芯部11は四角柱状でなくてもよい。例えば、巻芯部11の断面形状は、円形、楕円形、又は四角形以外の多角形状であってもよい。
・上記実施形態において、巻芯部11の稜線は、面取りされていてもよい。すなわち、各外周面の境界は、例えば、隣り合う平面を形成される角をR面取り加工することで形成される曲面を含んでいる。
【0062】
・上記実施形態において、ドラムコア10Cの形状、及び寸法は上記実施形態の例に限定されない。
・上記実施形態において、各電極の材質は上記実施形態の例に限定されない。例えば、各電極におけるめっき層の材質は、ニッケル合金などでもよい。また、各電極は、めっき層を有さず、導電性を有する金属層が露出していてもよい。また、各電極は板状の金属端子であってもよい。
【0063】
・上記実施形態において、第1ワイヤ51及び第2ワイヤ52の外径は上記実施形態の例に限定されない。
・上記実施形態において、第1交差箇所CP1の位置は上記実施形態の例に限定されない。例えば、第1交差箇所CP1が中心軸Cに対して第2正方向Y1側に位置していてもよい。また、第2ワイヤ52が第1交差箇所CP1を有していなくてもよい。すなわち、第2ワイヤ52の2.0ターンの箇所B2が第1ワイヤ51の1.0ターンの箇所A1に対して第1負方向X2側に位置していてもよい。
【0064】
・上記実施形態において、初乗り上げ箇所Fは、上記実施形態の位置に限定されない。すなわち、初乗り上げ箇所Fが、第2ワイヤ52の2.0ターンの箇所B2未満に存在していてもよいし、第2ワイヤ52の3.0ターンの箇所以上に存在していてもよい。
【0065】
・第2ワイヤ52は、第1ワイヤ51に対して外側から巻回された部分を有していなくてもよい。例えば、巻芯部11の外周面上において、中心軸Cに沿う方向において、第1ワイヤ51、第2ワイヤ52、第1ワイヤ51、第2ワイヤ52・・・と交互に位置していてもよい。この場合でも、第1ワイヤ51の1.0ターンの箇所A1と、第2ワイヤ52の1.0ターンの箇所B1とが離れていれば、(1)の効果が得られる。
【0066】
・上記実施形態において、第2ワイヤ52の3.0ターンの箇所は、第1ワイヤ51の2.0ターンの箇所と3.0ターンの箇所との間に位置していなくてもよい。例えば、第2ワイヤ52の3.0ターンの箇所は、第1ワイヤ51の3.0ターンの箇所と4.0ターンの箇所との間に位置していてもよい。この点、その他のターンも同様である。なお、上記(4)に記載の効果を得るためには、以下の構成であることが好ましい。Mを4以上の特定の整数とし、Nを3以上M未満の任意の整数としたとき、第1ワイヤ51及び第2ワイヤ52は、Mターン目を有する一方で(M+1)ターン目を有していないとする。このとき、中心軸Cに沿う方向において、第2ワイヤ52のNターンの箇所が、第1ワイヤ51の(N-1)ターンの箇所とNターンの箇所との間に位置していることが好ましい。
【0067】
・上記実施形態において、第1ワイヤ51の1.0ターン以上2.0ターン未満の範囲の一部が、第2ワイヤ52の1.0ターン以上2.0ターン未満の範囲に対して接触していてもよい。第1ワイヤ51の1.0ターンの箇所A1が、第2ワイヤ52の1.0ターンの箇所B1に対して中心軸Cに沿う方向に離れていれば、(1)の効果が得られる。
【0068】
・上記実施形態において、中心軸Cに沿う方向において、第1ワイヤ51の1.0ターンの箇所A1と第2ワイヤ52の1.0ターンの箇所B1との間に、第2ワイヤ52の2.0ターンの箇所B2が位置しなくてもよい。
【0069】
・さらに、第1ワイヤ51の1.0ターンの箇所A1と第2ワイヤ52の1.0ターンの箇所B1とが、中心軸Cに沿う方向に離れているのであれば、各ワイヤの巻回の仕方は問わない。例えば、第1ワイヤ51の1.0ターンの箇所A1に対して、第2ワイヤ52の1.0ターンの箇所B1が第1負方向X2側に位置していてもよい。第1ワイヤ51の1.0ターンの箇所A1と第2ワイヤ52の1.0ターンの箇所B1との間に、第1ワイヤ51の2ターン目以降又は第2ワイヤ52の3ターン目以降が位置していても構わない。
【0070】
・上記実施形態と異なる工程及び順番でコイル部品10が製造されていてもよい。
・上記実施形態において、準備工程において準備するドラムコア10Cの製造方法は、上記実施形態の例に限定されない、例えば、ドラムコア10Cは、直方体状のフェライトコアを研削することにより形成してもよい。
【0071】
上記実施形態及び変更例から導き出せる技術思想を以下に記載する。
[1]柱状の巻芯部、及び前記巻芯部の中心軸に沿う方向の第1端に接続している第1鍔部、前記巻芯部における前記第1端とは反対側の第2端に接続している第2鍔部を有するドラムコアと、前記中心軸に直交する特定の方向を正方向とし、前記正方向とは反対方向を負方向としたとき、前記第1鍔部の外面上において、前記中心軸に対して前記正方向側に位置する第1電極と、前記第1鍔部の外面上において、前記中心軸に対して前記負方向側に位置する第2電極と、前記第2鍔部の外面上において、前記中心軸に対して前記正方向側に位置する第3電極と、前記第2鍔部の外面上において、前記中心軸に対して前記負方向側に位置する第4電極と、前記巻芯部に巻回され、第1線端が前記第1電極に接続し、第2線端が前記第3電極に接続する第1ワイヤと、前記第1ワイヤと同一方向に前記巻芯部に巻回され、第1線端が前記第2電極に接続し、第2線端が前記第4電極に接続する第2ワイヤと、を備え、前記第1ワイヤを前記第1線端から前記第2線端へと辿っていったときに、最初に前記巻芯部の外周面と接触する箇所を前記第1ワイヤの1.0ターンの箇所とし、前記第1ワイヤの前記第1線端から前記第2線端側に向かって前記中心軸を中心として1周するごとにターン数が1ずつ増加するものとし、前記第2ワイヤを前記第1線端から前記第2線端へと辿っていったときに、前記中心軸を中心とする角度位置が前記第1ワイヤの1.0ターンの箇所の角度位置に最初に一致する箇所を前記第2ワイヤの1.0ターンの箇所とし、前記第2ワイヤの前記第1線端から前記第2線端側に向かって前記中心軸を中心として1周するごとにターン数が1ずつ増加するものとしたとき、前記第1ワイヤの1.0ターンの箇所は、前記中心軸に対して前記負方向側に位置しており、且つ、前記第2ワイヤの1.0ターンの箇所に対して前記中心軸に沿う方向に離れているコイル部品。
【0072】
[2]前記第1ワイヤの1.0ターン以上2.0ターン未満の範囲は、前記第2ワイヤの1.0ターン以上2.0ターン未満の範囲に対して離れている[1]に記載のコイル部品。
【0073】
[3]前記中心軸に沿う方向において、前記第1ワイヤの1.0ターンの箇所と前記第2ワイヤの1.0ターンの箇所との間に、前記第2ワイヤの2.0ターンの箇所が位置する[1]または[2]に記載のコイル部品。
【0074】
[4]Mを4以上の特定の整数とし、Nを3以上M未満の任意の整数としたとき、前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤは、Mターン目を有する一方で(M+1)ターン目を有しておらず、前記中心軸に沿う方向において、前記第2ワイヤのNターンの箇所が、前記第1ワイヤの(N-1)ターンの箇所とNターンの箇所との間に位置している[1]~[3]のいずれか1つに記載のコイル部品。
【0075】
[5]前記第2ワイヤを前記第1線端から前記第2線端側へ辿っていったときに、前記第2ワイヤが、初めて前記第1ワイヤの1.0ターンの箇所以降の部分の外側に乗り上げた箇所を初乗り上げ箇所としたとき、前記初乗り上げ箇所は、前記第2ワイヤの2.0ターン以上3.0ターン未満の範囲内に存在している[1]~[4]のいずれか1つに記載のコイル部品。
【0076】
[6]前記第2ワイヤは、前記第1ワイヤの前記第1線端から1.0ターンの箇所までの部分に対して外側から交差する交差箇所を有し、前記交差箇所は、前記第2ワイヤの1.0ターン以上2.0ターン未満の範囲内に存在している[1]~[5]のいずれか1つに記載のコイル部品。
【0077】
[7]前記交差箇所は、前記中心軸に対して前記負方向側に位置する[6]に記載のコイル部品。
【符号の説明】
【0078】
C…中心軸
Y…第2軸
Y1…第2正方向
Y2…第2負方向
10…コイル部品
10C…ドラムコア
11…巻芯部
20…第1鍔部
30…第2鍔部
41…第1電極
42…第2電極
43…第3電極
44…第4電極
51…第1ワイヤ
51A…第1線端
51B…第2線端
52…第2ワイヤ
52A…第1線端
52B…第2線端