(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039429
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】設計支援システム、設計支援方法及び設計支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20230101AFI20240314BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20240314BHJP
G16Z 99/00 20190101ALI20240314BHJP
【FI】
G06Q10/10 310
G06T19/00 A
G16Z99/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143976
(22)【出願日】2022-09-09
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】西村 海
(72)【発明者】
【氏名】一居 康夫
(72)【発明者】
【氏名】橋本 廉太郎
(72)【発明者】
【氏名】横田 成輝
【テーマコード(参考)】
5B050
5L049
【Fターム(参考)】
5B050BA09
5B050BA10
5B050CA07
5B050CA08
5B050EA07
5B050FA02
5L049AA12
5L049DD02
(57)【要約】
【課題】現実空間に対応した仮想空間での効率的な設計を行なうための設計支援システム、設計支援方法及び設計支援プログラムを提供する。
【解決手段】支援サーバ20は、現実空間に対応した仮想空間を記憶した仮想空間情報記憶部22と、現実空間に所在するユーザの関連領域を記憶するユーザ情報記憶部23と、ユーザ端末10に接続される制御部21と、を備える。制御部21が、ユーザ端末10から、仮想空間における新規設計提案についての配置位置を取得し、ユーザ情報記憶部23に記録された関連領域を用いて、配置位置の関係者を特定し、配置位置と関係者の関連領域とを用いた合意形成を促し、合意形成の結果をユーザ端末10に出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現実空間に対応した仮想空間を記憶した仮想空間情報記憶部と、
現実空間に所在するユーザの関連領域を記憶するユーザ情報記憶部と、
ユーザ端末に接続される制御部と、を備えた設計支援システムであって、
前記制御部が、
前記ユーザ端末から、前記仮想空間における新規設計提案についての配置位置を取得し、
前記ユーザ情報記憶部に記録された関連領域を用いて、前記配置位置の関係者を特定し、
前記配置位置と前記関係者の関連領域とを用いた合意形成を促し、
前記合意形成の結果を前記ユーザ端末に出力することを特徴とする設計支援システム。
【請求項2】
前記制御部が、
前記新規設計提案について、前記関係者への影響度を算出し、
前記影響度に応じて、前記合意形成を判定することを特徴とする請求項1に記載の設計支援システム。
【請求項3】
前記制御部が、
前記影響度を、前記配置位置と前記関連領域とを用いて特定し、
前記関係者について、前記影響度に応じて、前記合意形成の重み付けを行なうことを特徴とする請求項2に記載の設計支援システム。
【請求項4】
前記制御部が、前記現実空間の情報を用いて、前記仮想空間内において、前記新規設計提案のシミュレーションを行なうことを特徴とする請求項1又は2に記載の設計支援システム。
【請求項5】
現実空間に対応した仮想空間を記憶した仮想空間情報記憶部と、
現実空間に所在するユーザの関連領域を記憶するユーザ情報記憶部と、
ユーザ端末に接続される制御部と、を備えた設計支援システムを用いて、設計支援を行なう方法であって、
前記制御部が、
前記ユーザ端末から、前記仮想空間における新規設計提案についての配置位置を取得し、
前記ユーザ情報記憶部に記録された関連領域を用いて、前記配置位置の関係者を特定し、
前記配置位置と前記関係者の関連領域とを用いた合意形成を促し、
前記合意形成の結果を前記ユーザ端末に出力することを特徴とする設計支援方法。
【請求項6】
現実空間に対応した仮想空間を記憶した仮想空間情報記憶部と、
現実空間に所在するユーザの関連領域を記憶するユーザ情報記憶部と、
ユーザ端末に接続される制御部と、を備えた設計支援システムを用いて、設計支援を行なうためのプログラムであって、
前記制御部を、
前記ユーザ端末から、前記仮想空間における新規設計提案についての配置位置を取得し、
前記ユーザ情報記憶部に記録された関連領域を用いて、前記配置位置の関係者を特定し、
前記配置位置と前記関係者の関連領域とを用いた合意形成を促し、
前記合意形成の結果を前記ユーザ端末に出力する手段として機能させることを特徴とする設計支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、現実空間に対応した仮想空間での設計を行なう設計支援システム、設計支援方法及び設計支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現実空間の物理オブジェクトを、仮想空間(デジタル空間)上に反映させた仮想モデルであるデジタルツインが検討されている。このような仮想モデルを使用したシミュレーションにより、問題の調査や、改善の実施を検討することができる。現実空間とデジタル空間の間で、リアルタイムな情報連携を行なうことも可能である。
【0003】
現実世界をデジタル化して作成された3Dオブジェクトを現実世界と同期させて画像表示させる技術も検討されている(例えば、特許文献1参照。)。この文献に記載された技術では、3Dオブジェクト管理用データは、測地系位置データを検索キーとして、複数のコンピュータブロックチェーンに記録される。そして、検索キーとして入力された測地系位置に基づいて、該当する3Dオブジェクト管理用データをブロックチェーンから取得する。そして、取得した3Dオブジェクト管理用データに関連付けられた3Dデータから3D画像を生成して表示装置に表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
デジタルツインを用いることにより、現実空間の構造物の情報を仮想空間に取り入れるとともに、新規設計検討を行なうことができる。しかしながら、仮想空間上では、新規設計内容が影響を及ぼす構造物周辺の関係者との合意形成を図ることが難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための設計支援システムは、現実空間に対応した仮想空間を記憶した仮想空間情報記憶部と、現実空間に所在するユーザの関連領域を記憶するユーザ情報記憶部と、ユーザ端末に接続される制御部と、を備える。前記制御部が、前記ユーザ端末から、前記仮想空間における新規設計提案についての配置位置を取得し、前記ユーザ情報記憶部に記録された関連領域を用いて、前記配置位置の関係者を特定し、前記配置位置と前記関係者の関連領域とを用いた合意形成を促し、前記合意形成の結果を前記ユーザ端末に出力する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、現実空間に対応した仮想空間において効率的な設計を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施形態のハードウェア構成の説明図である。
【
図3】実施形態の仮想空間情報記憶部の説明図である。
【
図4】実施形態のユーザ情報記憶部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1~
図7に従って、設計支援システム、設計支援方法及び設計支援プログラムの一実施形態を説明する。本実施形態ではデジタルツインにより、現実空間の街(地域)を仮想空間において再現する。そして、仮想空間内において、建物等の新築や改装(構造物の新規設計提案)を検討する。
図1に示すように、本実施形態では、ネットワークを介して接続されたユーザ端末10、支援サーバ20(設計支援システム)を用いる。
【0010】
(ハードウェア構成の説明)
図2を用いて、ユーザ端末10、支援サーバ20を構成する情報処理装置H10のハードウェア構成を説明する。情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶装置H14、プロセッサH15を備える。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアにより実現することも可能である。
【0011】
通信装置H11は、他の装置との間で通信経路を確立して、データの送受信を実行するインタフェースであり、例えばネットワークインタフェースや無線インタフェース等である。
【0012】
入力装置H12は、各種情報の入力を受け付ける装置であり、例えばマウスやキーボード等である。表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイ等である。
記憶装置H14は、ユーザ端末10、支援サーバ20の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶装置である。記憶装置H14の一例としては、ROM、RAM、ハードディスク等がある。
【0013】
プロセッサH15は、記憶装置H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、ユーザ端末10、支援サーバ20における各処理を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。このプロセッサH15は、ROM等に記憶されるプログラムをRAMに展開して、各処理のための各種プロセスを実行する。
【0014】
プロセッサH15は、自身が実行するすべての処理についてソフトウェア処理を行なうものに限られない。例えば、プロセッサH15は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行なう専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。すなわち、プロセッサH15は、以下で構成し得る。
【0015】
〔1〕コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ
〔2〕各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは
〔3〕それらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)
プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリ、すなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0016】
(システム構成)
次に、
図1を用いて、ユーザ端末10、支援サーバ20の各機能を説明する。
ユーザ端末10は、デジタルツインを利用する各ユーザが用いるコンピュータ端末である。このユーザには、仮想空間で実現された地域に関わる個人(移住希望者、住民等)、法人、行政機関等が含まれる。
【0017】
支援サーバ20は、現実空間に対応した仮想空間の管理を支援するコンピュータシステムである。この支援サーバ20は、制御部21、仮想空間情報記憶部22、ユーザ情報記憶部23、企画情報記憶部24を備える。
【0018】
制御部21は、後述する処理(シミュレーション段階、企画支援段階、合意形成支援段階、設計支援段階等を含む処理)を行なう。このための各処理のためのプログラムを実行することにより、制御部21は、シミュレータ211、企画支援部212、合意形成支援部213、設計支援部214等として機能する。
【0019】
シミュレータ211は、仮想空間で、現実空間を再現するシミュレーションを行なう。この場合、後述するように、仮想空間情報記憶部22に記録された環境情報、交通情報、施設情報に対応した仮想空間を、所定条件で再現する。所定条件には、地図や建物・土木構造物の形状など静的データだけでなく、気象や人流・物流、交通状況やインフラの稼働状況など、動的データも統合されている。動的データは、現実空間に設置されたセンサから、リアルタイムで収集されており、場所を決めたら現地の最新の状況を知ることができる。
【0020】
企画支援部212は、ユーザの企画の管理を支援する。この企画には、構造物の設計提案を含む。そして、企画支援部212は、企画について、ユーザ間での協議可能な手段(コミュニケーションツール)を提供する。コミュニケーションツールとしては、例えば、意見交換可能なチャットルーム等を用いることができる。
【0021】
合意形成支援部213は、企画について、ユーザ(関係者)に合意形成を促すとともに、合意形成の有無を判定する。
設計支援部214は、企画に関わる構造物の設計を支援する。この設計支援部214は、例えば、BIM(Building Information Modeling)技術を用いることができる。
【0022】
図3に示すように、仮想空間情報記憶部22には、現実空間に対応した仮想空間を実現するための仮想空間データ220が記録される。仮想空間データ220は、本実施形態では、3次元CAD(BIM)技術において作成したオブジェクトにより構築する。この仮想空間データ220は、現実空間に対応させたオブジェクトが登録された場合に記録される。各オブジェクトは、現実空間の配置位置(経度、緯度)に対応した仮想空間内の座標に配置される。この仮想空間データ220には、例えば、登録日に関連付けて、環境情報221、交通情報222、施設情報223等が記録される。
【0023】
環境情報221には、緑化地域、上下水道網、森林再生、公園と街路の緑化等、地域の環境に関する情報が含まれる。この環境情報221には、日照や風向等の気象情報も含まれる。
【0024】
交通情報222には、幹線道路網、道路網、歩行者道路網、バス幹線等、移動に用いるリソースの配置や状況に関する情報が含まれる。この交通情報222には、人流や物流、交通状況等の動的情報も含まれる。
【0025】
施設情報223には、ビルや住宅等の建物、公共施設等、地域に配置された構造物に関する情報が記録される。この施設情報223には、インフラの稼働状況等の動的情報も含まれる。
【0026】
図4に示すように、ユーザ情報記憶部23には、ユーザ管理データ230が記録される。このユーザ管理データ230は、ユーザが登録された場合に記録される。ユーザ管理データ230は、ユーザID、住所、属性、関連領域を含んで構成される。
【0027】
ユーザIDは、このユーザを特定するための識別子である。
住所は、このユーザの所在地の住所である。例えば、住民の場合には、ユーザの住所が記録される。この住所は登録日毎に記録される。この登録日を用いることにより、過去や将来の住所を特定できる。
【0028】
属性は、このユーザの属性(個人、法人、行政機関等)や職種等である。
関連領域は、このユーザが活動を行なう領域を示す情報である。この関連領域は、関連度の高さに応じたヒートマップにより構成される。例えば、個人の場合には、個人の活動範囲であり、住所に近い程、関連度が高くなる。このヒートマップは、ユーザの所在状況を逐次、取得して、この所在状況に応じた範囲でユーザの所在可能性が高くなるように表示するように更新される。また、法人の場合には、この法人の顧客が所在する範囲であり、顧客が多い程、関連度が高くなる。行政機関の場合には、行政機関が管理する所掌範囲であり、所掌範囲は同じ関連度になる。なお、ヒートマップの生成方法は、各ユーザにおける各座標との関わりを示す指標であれば、上記に限定されるものではない。
【0029】
図5に示すように、企画情報記憶部24には、ユーザ端末10の提案に関する企画管理データ240が記録される。この企画管理データ240は、ユーザによって設計提案(企画)が登録された場合に記録される。企画管理データ240は、企画ID、企画者情報、目的、仮想設計情報(オブジェクト情報、要素モデル)、ステータスに関する情報を含んで構成される。
【0030】
企画IDは、ユーザによって提案された各企画を特定するための識別子である。
企画者情報は、この企画を提案したユーザに関する情報である。ユーザ情報記憶部23にユーザ登録されているユーザの場合にはユーザIDを用いる、一方、ユーザ情報記憶部23に、ユーザ登録されていない移住希望者の場合には、移住希望者の属性(年齢、性別、職業等)、人数構成等の移住希望者情報が記録される。なお、移住希望者情報は、属性等に限定されるものではない。
目的は、この企画の目的である。この目的には、例えば、移住の目的や建物の用途等がある。
オブジェクト情報は、この企画において設計提案されたオブジェクトに関する情報である。このオブジェクト情報は、オブジェクトID(オブジェクトを特定するための識別子)、名称、企画の詳細、経度・緯度(配置位置)、登録日等に関する情報を含む。なお、設計を伴わない企画(例えば、単なる移住)の場合には、仮想設計情報は記録されない。
【0031】
要素モデルは、このオブジェクトを構成する3次元モデル(BIMオブジェクト)に関する情報である。この要素モデルには、属性情報が付加される。この属性情報には、仕様(要素ID、要素種別、規格、寸法、面積、体積、材料等)に関する情報が含まれる。
【0032】
ステータスは、この企画についての進捗状況(例えば、合意形成状況)を示す情報である。
【0033】
(設計支援処理)
次に、
図6、
図7を用いて、上記のように構成された支援サーバ20において実行される設計支援方法の処理手順を説明する。この設計支援方法においては、移住支援処理及び構築支援処理を順番で実行する。
【0034】
(移住支援処理)
まず、
図6を用いて、移住支援処理を説明する。
ここでは、支援サーバ20の制御部21は、デジタルツイン登録処理を実行する(ステップS11)。具体的には、制御部21のシミュレータ211は、現実空間に対応した仮想空間データ220を仮想空間情報記憶部22に記録する。
【0035】
次に、支援サーバ20の制御部21は、検索処理を実行する(ステップS12)。具体的には、移住先を探すユーザは、ユーザ端末10を用いて支援サーバ20にアクセスする。この場合、制御部21のシミュレータ211は、ユーザ端末10に対して、検索画面を出力する。この検索画面には、地域を検索するための条件の設定欄が含まれる。ユーザ端末10に入力された検索条件を取得したシミュレータ211は、仮想空間情報記憶部22を用いて、検索条件に対応する移住先候補を検索する。この場合には、例えば、検索条件に対応する属性情報が記録された仮想空間データ220を特定する。そして、シミュレータ211は、特定した仮想空間データ220のオブジェクトを含む地域を、移住先候補としてユーザ端末10に出力する。
【0036】
次に、支援サーバ20の制御部21は、生活シミュレーション処理を実行する(ステップS13)。具体的には、ユーザは、ユーザ端末10に出力された移住先候補の一つを選択する。この場合、制御部21のシミュレータ211は、選択された移住先候補を含む地域の仮想空間データ220を仮想空間情報記憶部22から抽出する。そして、シミュレータ211は、仮想空間データ220を用いて、ユーザ端末10において、移住先候補の現実空間に対応した仮想空間を再現する。この場合、シミュレータ211は、仮想空間情報記憶部22に記録された動的データを用いて、仮想空間の中での生活経験のシミュレーションを、ユーザ端末10に提供する。
【0037】
更に、シミュレータ211は、移住先候補について、インターネット等で公開された地域情報を取得して、ユーザ端末10に提供する。例えば、移住先候補の地域の行政機関サイトにアクセスして、移住に関する情報を取得し、ユーザ端末10に提供する。
【0038】
更に、移住先の土地に建物(住宅)を仮想設計できる。この場合には、ユーザは、ユーザ端末10を介して、設計支援部214を用いて建物の新規築や改築について仮想設計を行なう。この場合、企画支援部212は、ユーザ情報記憶部23に記録されたユーザ(専門家)のユーザ端末10に、設計のアドバイスを求めるようにしてもよい。
【0039】
次に、支援サーバ20の制御部21は、移住申請処理を実行する(ステップS14)。具体的には、ユーザが、移住先候補への移住を決定した場合、ユーザ端末10に申請入力を行なう。この申請入力では、移住希望者情報、目的を設定する。この場合、制御部21の企画支援部212は、移住申請を受け付けて、企画情報記憶部24に企画管理データ240を記録する。この企画管理データ240には、仮想設計されたオブジェクト情報~ステータス(申請中)を記録する。
【0040】
次に、支援サーバ20の制御部21は、協議支援処理を実行する(ステップS15)。具体的には、制御部21の企画支援部212は、ユーザ情報記憶部23を用いて、移住先候補の住所が関連領域に含まれるユーザ(関係者)を特定する。そして、企画支援部212は、企画管理データ240に記録された移住希望者情報、目的を、関係者のユーザ端末10に提供する。また、企画管理データ240に仮想設計情報が含まれる場合には、この仮想設計情報も、関係者のユーザ端末10に提供する。更に、企画支援部212は、関係者に対して、コミュニケーションツールを提供する。この場合、関係者は、コミュニケーションツールを用いて、移住(移住希望者情報、目的、仮想設計情報等)についての意見交換を行なう。
【0041】
次に、支援サーバ20の制御部21は、合意形成処理を実行する(ステップS16)。具体的には、制御部21の合意形成支援部213は、合意形成時期条件を満たした場合、合意形成のための採決を行なう。合意形成時期条件としては、申請から所定時間が経過したときや、コミュニケーションツールでの意見交換の文章解析により、意見が出つくしたと判断したときを用いることができる。
【0042】
この場合、合意形成支援部213は、関係者のユーザ端末10に対して、採決依頼を送信する。そして、合意形成支援部213は、ユーザ端末10から採否情報を取得する。
【0043】
次に、合意形成支援部213は、関係者の関連領域(ヒートマップ)に応じて、各投票者について、移住先候補の住所と影響度を算出する。例えば、賛成票については投票者の影響度を加算し、反対票については投票者の影響度を減算する。これにより、合意形成支援部213は、採否結果として、各ユーザの採否情報に影響度を乗算した値について、全投票者の合計値を算出する。そして、合意形成支援部213は、企画管理データ240のステータスとして、採否結果を記録する。
【0044】
次に、支援サーバ20の制御部21は、合意完了かどうかについての判定処理を実行する(ステップS17)。具体的には、制御部21の合意形成支援部213は、算出した合計値が基準値を超えている場合には、合意完了と判定する。
【0045】
合意完了でないと判定した場合(ステップS17において「NO」の場合)、支援サーバ20の制御部21は、検索処理(ステップS12)以降の処理を繰り返す。
一方、合意完了と判定した場合(ステップS17において「YES」の場合)、支援サーバ20の制御部21は、移住登録処理を実行する(ステップS18)。具体的には、制御部21の合意形成支援部213は、企画管理データ240のステータスとして「合意形成済」を記録する。この場合、合意形成支援部213は、移住予定日に対応させて、仮想空間情報記憶部22に施設情報223を記録する。更に、合意形成支援部213は、移住予定日(登録日)に対応させて、移住先の住所を記録した移住希望者についてのユーザ管理データ230を、ユーザ情報記憶部23に登録する。
【0046】
(構築支援処理)
次に、
図7を用いて、構築支援処理を説明する。この構築支援処理では、所定の地域に対して、施設建物の構築についての提案を行なう場合を想定する。
【0047】
ここでは、支援サーバ20の制御部21は、仮想設計処理を実行する(ステップS21)。具体的には、企画者(ユーザ)は、ユーザ端末10を用いて、支援サーバ20にアクセスする。この場合、制御部21の企画支援部212は、ユーザ端末10に、企画提案画面を出力する。この企画提案画面には、施設建物を配置する所在地や概要、目的に関する情報を入力する。更に、設計支援部214は、ユーザ端末10に入力された情報に基づいて、施設建物について設計(仮想設計)を行なう。
【0048】
次に、支援サーバ20の制御部21は、シミュレーション処理を実行する(ステップS22)。具体的には、制御部21のシミュレータ211は、仮想設計された建物を仮想空間に配置する。この場合、シミュレータ211は、仮想空間情報記憶部22に記録された環境情報221、交通情報222、施設情報223を用いて、周囲環境から施設建物への影響や、施設建物による周囲環境への影響についてのシミュレーションを行なう。例えば、環境情報221を用いて、日照に応じて、周囲の緑化領域への変化を予測する。また、交通情報を用いて、交通量の変化を予測する。
【0049】
次に、支援サーバ20の制御部21は、企画申請処理を実行する(ステップS23)。具体的には、制御部21の企画支援部212は、企画申請を受け付けて、企画情報記憶部24に企画管理データ240を記録する。この企画管理データ240には、企画者情報、目的、仮想設計情報、ステータス(申請中)を記録する。
【0050】
次に、支援サーバ20の制御部21は、協議支援処理を実行する(ステップS24)。具体的には、制御部21の企画支援部212は、ユーザ情報記憶部23を用いて、企画の住所が関連領域に含まれるユーザ(関係者)を特定する。そして、企画支援部212は、企画管理データ240を、関係者のユーザ端末10に提供する。更に、企画支援部212は、関係者に対して、企画管理データ240についてのコミュニケーションツールを提供する。この場合、関係者は、コミュニケーションツールを用いて、企画(企画者情報、目的、仮想設計情報等)についての意見交換を行なう。
【0051】
次に、支援サーバ20の制御部21は、ステップS16と同様に、合意形成処理を実行する(ステップS25)。
次に、支援サーバ20の制御部21は、ステップS17と同様に、合意完了かどうかについての判定処理を実行する(ステップS26)。この場合、合意完了でないと判定した場合(ステップS25において「NO」の場合)、支援サーバ20の制御部21は、仮想設計処理(ステップS21)以降の処理を繰り返す。
【0052】
一方、合意完了と判定した場合(ステップS26において「YES」の場合)、支援サーバ20の制御部21は、企画登録処理を実行する(ステップS27)。具体的には、制御部21の制御部21の合意形成支援部213は、企画管理データ240のステータスとして「合意形成済」を記録する。この場合、合意形成支援部213は、構築完了日(登録日)に対応させて、仮想空間情報記憶部22に施設情報223を記録する。
【0053】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、デジタルツイン登録処理(ステップS11)、検索処理(ステップS12)を実行する。これにより、現実空間に対応する仮想空間において、所望の地域を検索することができる。
【0054】
(2)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、生活シミュレーション処理を実行する(ステップS13)。これにより、仮想空間において、移住後の生活を疑似体験することができる。
【0055】
(3)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、移住申請処理(ステップS14)、協議支援処理(ステップS15)を実行する。これにより、移住希望者に関する情報を、移住先地域の関係者が確認することができる。
【0056】
(4)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、合意形成処理(ステップS16)、移住登録処理(ステップS18)を実行する。これにより、移住希望者は、現実空間において、合意形成に基づいて、移住を行なうことができる。
【0057】
(5)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、仮想設計処理(ステップS21)、シミュレーション処理(ステップS22)を実行する。これにより、仮想空間内において、新しい建物や、建物の改装について、周囲環境を考慮した設計を行なうことができる。
【0058】
(6)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、企画申請処理(ステップS23)、協議支援処理(ステップS24)を実行する。これにより、企画について、地域の関係者が確認することができる。
【0059】
(7)本実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、合意形成処理(ステップS25)、企画登録処理(ステップS27)を実行する。これにより、合意形成に基づいて、現実空間において、企画を実現することができる。この場合、関連領域について関係者の関連度を用いるので、影響が大きいユーザの判断に対して重み付けを行なうことができる。
【0060】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、検索処理を実行する(ステップS12)。移住先候補の特定は、条件を用いた検索に限定されるものではない。例えば、仮想空間の地図情報をユーザ端末10に出力し、移住先候補を選択させるようにしてもよい。
・上記実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、協議支援処理を実行する(ステップS15)。この場合、企画支援部212は、企画管理データ240に記録された移住希望者情報、目的、仮想設計情報等を、関係者のユーザ端末10に提供する。ここで、関係者のユーザ端末10に提供される情報は、移住希望者情報、目的、仮想設計情報に限定されるものではない。例えば、移住希望者情報の一部であってもよい。
【0061】
・上記実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、仮想設計処理を実行する(ステップS21)。仮想設計については、支援サーバ20を用いる場合に限定されるものではない。例えば、他で設計した設計情報をインポートしてもよい。
【0062】
・上記実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、協議支援処理(ステップS15,S24)、合意形成処理(ステップS16,S25)を実行する。協議や合意形成については、状況に応じて実行するようにしてもよい。例えば、移住や企画において、周囲環境や関係者への影響度が小さい場合には、協議や合意形成をスキップしてもよい。
【0063】
・上記実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、合意形成処理を実行する(ステップS16,S25)。ここでは、合意形成支援部213は、採否結果として、各投票者(ユーザ)の採否情報に影響度を乗算した値について、全投票者の合計値を算出する。採否結果の算出方法は、これに限定されるものではない。例えば、ユーザの属性(居住期間等)に応じて、影響度に重み付けを行なうようにしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
10…ユーザ端末、20…支援サーバ、21…制御部、211…シミュレータ、212…企画支援部、213…合意形成支援部、214…設計支援部、22…仮想空間情報記憶部、23…ユーザ情報記憶部、24…企画情報記憶部。