(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039442
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】センサと標識灯の取付構造、及び荷役車両
(51)【国際特許分類】
G01S 17/931 20200101AFI20240314BHJP
B60Q 1/26 20060101ALI20240314BHJP
B66F 9/24 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
G01S17/931
B60Q1/26 A
B66F9/24 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144013
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】森 博樹
(72)【発明者】
【氏名】藥師 忠幸
【テーマコード(参考)】
3F333
3K339
5J084
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AE02
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3F333FA11
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3K339MC01
3K339MC03
3K339MC35
5J084AA05
5J084AA10
5J084AC02
5J084BA03
5J084BA31
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(57)【要約】
【課題】センサによる障害物の観測性能を低下させることなく標識灯の視認性の低下を抑制できるセンサと標識灯の取付構造、及び荷役車両を提供すること。
【解決手段】取付部材40は、ヘッドカバー22における取付板20aの上面に取り付けられている。センサ25と標識灯31は、上下方向に重なり合って取付部材40に取り付けられている。標識灯31は、センサ25の下方に配置されるとともに、センサ25からのレーザーの照射範囲から外れた位置に配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷役車両の車体の周囲に照射波を照射するとともに、前記照射波を受信することによって障害物を観測する1つのセンサと、
前記車体の周囲に状態を通知する1つの標識灯と、
前記センサ及び前記標識灯を前記車体に取り付けるための取付部材と、を備え、
前記取付部材は、前記車体の上面に配置され、
前記センサと前記標識灯は、上下方向に重なり合って前記取付部材に取り付けられ、
前記標識灯は、前記センサの下方に配置されるとともに、
前記センサからの前記照射波の照射範囲から外れた位置に配置されていることを特徴とするセンサと標識灯の取付構造。
【請求項2】
前記標識灯は、前記車体の上面よりも上方に離れて配置されている請求項1に記載のセンサと標識灯の取付構造。
【請求項3】
前記取付部材は、取付部本体と、当該取付部本体に対し折り曲げられた複数本の脚部と、を備え、前記取付部本体の上面に前記センサが取り付けられるとともに、前記取付部本体の下面に前記標識灯が取り付けられ、前記脚部は、前記車体の上面に取り付けられており、前記取付部材は、1枚の金属板を折り曲げて形成されている請求項1又は請求項2に記載のセンサと標識灯の取付構造。
【請求項4】
前記脚部は、前記取付部本体の四隅に配置されている請求項3に記載のセンサと標識灯の取付構造。
【請求項5】
前記荷役車両の前面視、後面視及び側面視のいずれにおいても、前記脚部は、前記標識灯から離れている請求項4に記載のセンサと標識灯の取付構造。
【請求項6】
車体と、
前記車体の周囲に照射波を照射するとともに、前記照射波を受信することによって障害物を観測する1つのセンサと、
前記車体の周囲に状態を通知する1つの標識灯と、
前記センサ及び前記標識灯を前記車体に取り付けるための取付部材と、を備え、
前記取付部材は、前記車体の上面に配置され、
前記センサと前記標識灯は、上下方向に重なり合って前記取付部材に取り付けられ、
前記標識灯は、前記センサの下方に配置されるとともに、
前記センサからの前記照射波の照射範囲から外れた位置に配置されていることを特徴とする荷役車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサと標識灯の取付構造、及び荷役車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の作業車両は、後方監視カメラ、後方障害物センサ、及び測位検出装置を備えている。後方監視カメラ、後方障害物センサ、及び測位検出装置は、作業車両の自動運転を支援するための機器である。後方監視カメラ及び後方障害物センサは、ルーフの後部に配置されている。測位検出装置は、ルーフの上面に配置されている。また、特許文献1に開示の作業車両は、例えば2つの表示灯を備えている。表示灯は、作業車両の異常の有無や、障害物検出の有無等を区別して表示する。表示灯は、ルーフの左右両側に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年は、自動運転を支援するための機器を1つだけとすることが可能になっている。1つの機器で、作業車両の周囲の情報を全方向から漏れなく取得するためには、特許文献1の作業車両において、機器は、ルーフの上面の中央付近に配置されるのが好ましい。さらに、表示灯の個数を減らすことを目的として、特許文献1の作業車両において、表示灯を片側1つだけとすることが考えられる。しかし、この場合、作業車両の周囲での位置によっては、機器と表示灯が重なり合って表示灯の視認性が低下してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するためのセンサと標識灯の取付構造は、荷役車両の車体の周囲に照射波を照射するとともに、前記照射波を受信することによって障害物を観測する1つのセンサと、前記車体の周囲に状態を通知する1つの標識灯と、前記センサ及び前記標識灯を前記車体に取り付けるための取付部材と、を備え、前記取付部材は、前記車体の上面に配置され、前記センサと前記標識灯は、上下方向に重なり合って前記取付部材に取り付けられ、前記標識灯は、前記センサの下方に配置されるとともに、前記センサからの前記照射波の照射範囲から外れた位置に配置されていることを要旨とする。
【0006】
上記問題点を解決するための荷役車両は、車体と、前記車体の周囲に照射波を照射するとともに、前記照射波を受信することによって障害物を観測する1つのセンサと、前記車体の周囲に状態を通知する1つの標識灯と、前記センサ及び前記標識灯を前記車体に取り付けるための取付部材と、を備え、前記取付部材は、前記車体の上面に配置され、前記センサと前記標識灯は、上下方向に重なり合って前記取付部材に取り付けられ、前記標識灯は、前記センサの下方に配置されるとともに、前記センサからの前記照射波の照射範囲から外れた位置に配置されていることを要旨とする。
【0007】
これらによれば、取付部材は、車体の上面に配置されている。このため、取付部材に取り付けられたセンサは、車体の上面より上方に配置される。よって、1つのセンサであっても、車体の周囲の障害物を観測できる。1つの標識灯は、センサの下方においてセンサと上下方向に重なり合っている。このため、標識灯の周囲にセンサが配置されないため、車体の上面上で標識灯とセンサが重なり合うことがない。つまり、標識灯の視認性がセンサによって低下することはない。そして、標識灯は、照射波の照射範囲から外れた位置に配置されているため、標識灯がセンサによる障害物の観測を妨げることもない。よって、センサ及び標識灯を1つにしても、センサによる障害物の観測性能を低下させることなく、標識灯の視認性の低下を抑制できる。
【0008】
センサと標識灯の取付構造について、前記標識灯は、前記車体の上面よりも上方に離れて配置されていてもよい。
これによれば、標識灯を車体の上面よりも上方に配置できるため、標識灯の視認性を向上できる。
【0009】
センサと標識灯の取付構造について、前記取付部材は、取付部本体と、当該取付部本体に対し折り曲げられた複数本の脚部と、を備え、前記取付部本体の上面に前記センサが取り付けられるとともに、前記取付部本体の下面に前記標識灯が取り付けられ、前記脚部は、前記車体の上面に取り付けられており、前記取付部材は、1枚の金属板を折り曲げて形成されていてもよい。
【0010】
これによれば、脚部によって取付部本体を車体の上面より上方へ嵩上げして配置できる。そして、取付部本体にセンサ及び標識灯が取り付けられるため、センサ及び標識灯を車体の上面より上方に容易に配置できる。取付部材は、金属板を折り曲げて形成できるため、取付部材を容易に形成できる。よって、センサと標識灯の取付構造を容易に形成できる。
【0011】
センサと標識灯の取付構造について、前記脚部は、前記取付部本体の四隅に配置されていてもよい。
これによれば、取付部本体は、4本の脚部によって安定して車体に支持される。このため、取付部本体に取り付けられるセンサ及び標識灯を安定した状態で車体に配置できる。
【0012】
センサと標識灯の取付構造について、前記荷役車両の前面視、後面視及び側面視のいずれにおいても、前記脚部は、前記標識灯から離れていてもよい。
これによれば、4本の脚部を備えていても、荷役車両の前面視、後面視及び側面視のいずれにおいても、標識灯の視認性が脚部によって低下することがない。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、センサによる障害物の観測性能を低下させることなく標識灯の視認性の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】荷役車両をアッパーフレームから示す部分斜視図である。
【
図3】センサ、標識灯及び取付部材を示す斜視図である。
【
図4】取付部材とカバー部材を示す分解斜視図である。
【
図5】荷役車両をヘッドカバーから示す平面図である。
【
図6】センサ、標識灯、及び取付部材を示す前面図である。
【
図7】センサ、標識灯、及び取付部材を示す後面図である。
【
図8】センサ、標識灯、及び取付部材を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、センサと標識灯の取付構造、及び荷役車両を具体化した一実施形態を
図1~
図8にしたがって説明する。
<荷役車両>
図1に示すように、荷役車両10は、リーチ式のフォークリフトである。荷役車両10は、カウンタ式のフォークリフトであってもよい。荷役車両10は、自動で動作する。荷役車両10は、自動での動作と手動での動作とを切り替え可能であってもよい。以下の説明において、前後左右は、荷役車両10を基準とした場合の前後左右である。
【0016】
荷役車両10は、車体11を備える。荷役車両10は、リーチレグ12を備える。リーチレグ12は、左右方向に互いに離間して2つ設けられている。リーチレグ12は、車体11から前方に延びている。
【0017】
荷役車両10は、前輪13を備える。前輪13は、各リーチレグ12に1つずつ設けられている。荷役車両10は、後輪14を備える。後輪14は、車体11に設けられている。
【0018】
荷役車両10は、荷役装置15を備える。荷役装置15は、車体11の前方に設けられている。荷役装置15は、マスト16を備える。マスト16には、リフトブラケット17を介して左右一対のフォーク18が設けられている。フォーク18は、リフトブラケット17を介してマスト16に対して昇降する。マスト16は、前後方向へ移動する。また、リフトブラケット17は、前後方向に傾動するため、フォーク18は、リフトブラケット17とともに傾動する。
【0019】
車体11は、運転室19を備える。運転室19は、車体11の後部片側に設けられている。運転室19は、立席タイプである。車体11は、インストルメントパネル19aを備える。インストルメントパネル19aは、車体11における運転室19の前側に設けられている。車体11は、操作レバー19b及びハンドル19cを備える。操作レバー19b及びハンドル19cは、運転室19の前側において、インストルメントパネル19aに設けられている。
【0020】
図2に示すように、荷役車両10は、アッパーフレーム20を備える。アッパーフレーム20は、一対のサイドフレーム21と、ヘッドカバー22とを備える。一対のサイドフレーム21の各々は、車体11の前部に設けられている。一対のサイドフレーム21の各々は、上下方向に延びる。ヘッドカバー22は、一対のサイドフレーム21の上端部に設けられている。ヘッドカバー22は、運転室19を上から覆う。ヘッドカバー22の上面には、取付板20aが固定されている。取付板20aは、ヘッドカバー22の前部及び側部に固定されている。
【0021】
荷役車両10は、障害物検出装置23を備える。障害物検出装置23は、荷役車両10の進行の妨げとなる障害物を検出する。障害物検出装置23は、制御装置24と、1つのセンサ25と、を備える。制御装置24は、ヘッドカバー22の下面に配置されている。制御装置24は、センサ25の観測結果に基づいて障害物を検出する。障害物検出装置23による障害物の検出方法は、従来公知のものが採用されるため、詳細な説明は省略する。
【0022】
センサ25は、荷役車両10の車体11の周囲に存在する障害物を観測する。センサ25としては、点までの距離及び方向を測定可能なものが用いられる。本実施形態では、センサ25としてレーザー距離計を用いている。レーザー距離計は、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)又はレーザーレンジファインダと称されることもある。
【0023】
図3に示すように、センサ25は、円柱状である。センサ25の円柱の中心を通過するセンサ中心軸L1は、上下方向に延びる。センサ25は、センサ中心軸L1を中心とする360度に、照射波としてのレーザーを照射する。センサ25は、レーザーが当たった点から反射されたレーザー(反射光)を受信することで周辺環境を認識可能な距離計である。したがって、センサ25は、車体11の周囲に照射波を照射するとともに、反射した照射波を受信することによって障害物を観測する。なお、ここでいう障害物は、荷役車両10の進行の妨げとなる障害物、及び荷役車両10の進行の妨げとならない物体を含む。
【0024】
センサ25は、検出信号を出力するためや、信号を入力するためのケーブル25aを備える。詳細に図示しないが、ケーブル25aは、ヘッドカバー22及び取付板20aを通過して制御装置24に接続されている。センサ25は、直径Rの大きさである。
【0025】
図5、
図6、
図7及び
図8に示すように、荷役車両10は、標識灯31を備える。標識灯31は、荷役車両10の周囲の人に荷役車両10の状態及び存在を通知するために設けられている。標識灯31は、四角柱状である。標識灯31は、取付部31aと、回転灯部31bと、を備える。取付部31aと回転灯部31bは上下方向に連続している。取付部31aは、後述する取付部材40に取り付けられる。回転灯部31bは、荷役車両10の周囲の人に視認される部分である。
【0026】
標識灯31の四角柱の中心を通過する中心軸L2は、上下方向に延びる。回転灯部31bは、中心軸L2を中心とする360度に点灯する。回転灯部31bは、前後方向及び左右方向のそれぞれに寸法Mの大きさである。回転灯部31bの寸法Mは、センサ25の直径Rと僅かに異なる。ただし、回転灯部31bの寸法Mは、センサ25の直径Rと同じであってもよい。
【0027】
<取付部材>
図2及び
図3に示すように、荷役車両10は、取付部材40を備える。取付部材40は、センサ25及び標識灯31を車体11に取り付けるために設けられている。実施形態では、取付部材40は、センサ25及び標識灯31を車体11におけるヘッドカバー22に取り付けるために設けられている。取付部材40は、ヘッドカバー22に固定された取付板20aの上面に配置されている。したがって、取付板20aの上面は、取付部材40が取り付けられる車体11の上面である。
【0028】
図4及び
図5に示すように、取付部材40は、取付部本体41と、取付部本体41に対し折り曲げられた複数本の脚部42と、2つのリブ43と、を備える。取付部材40は、一枚の金属板を加工して形成されている。具体的には、取付部材40は、一枚の金属板を、取付部本体41と、4本の脚部42と、リブ43とを形成できる形状に加工した後、脚部42及びリブ43を取付部本体41に対して折り曲げることで形成されている。
【0029】
取付部本体41は、長四角板状である。取付部本体41の長辺は、車体11の前後方向に延びる。取付部本体41の短辺は、車体11の左右方向に延びる。2つのリブ43の一方は、取付部本体41の一方の長辺に沿って車体11の前後方向に延びるとともに、2つのリブ43の他方は、取付部本体41の他方の長辺に沿って車体11の前後方向に延びる。2つのリブ43は、取付部本体41の左右両側に設けられている。
【0030】
脚部42は、取付部本体41の四隅に配置されている。脚部42は、取付部本体41の左右両側に2本ずつ配置されている。取付部本体41の左右両側において、2本の脚部42の一方は、取付部本体41の前端部から前方及び外方に向けて延びるとともに、2本の脚部42の他方は、取付部本体41の後端部から後方及び外方に向けて延びる。荷役車両10を上から見た平面視では、4本の脚部42は、取付部本体41から放射状に延びている。4本の脚部42の各々の板厚方向は、車体11の左右方向と略一致する。
【0031】
図6及び
図7に示すように、取付部本体41の前後両側において、2本の脚部42は、車体11の左右方向に対向する。取付部本体41の前後両側において、2本の脚部42は、車体11の左右方向に間隔を空けて配置されている。取付部本体41の前後両側において、左右方向における2本の脚部42の間には、第1間隙S1が画定されている。第1間隙S1の左右方向への寸法は、下から上に向かうに従い徐々に狭くなっている。したがって、左右方向に対向する2本の脚部42は、下端から上端に向けて取付部本体41に向かうように傾斜している。
【0032】
図8に示すように、取付部本体41の左右両側において、2本の脚部42は、前後方向に間隔を空けて配置されている。取付部本体41の左右両側において、前後方向における2本の脚部42の間には、第2間隙S2が画定されている。第2間隙S2の前後方向への寸法は、下から上に向かうに従い徐々に狭くなっている。したがって、前後方向に対向する2本の脚部42は、下端から上端に向けて取付部本体41に向かうように傾斜している。リブ43は、車体11の前後方向に対向する2本の脚部42に掛け渡されている。
【0033】
図3に示すように、4本の脚部42の各々は、取付片42aを備える。取付片42aは、取付部本体41と平行となるように脚部42に対し折り曲げられている。取付片42aは、四角板状である。各取付片42aには、固定部材44が挿通されている。固定部材44は、ボルトである。固定部材44の雄ねじは、ヘッドカバー22又は取付板20aに設けられた雌ねじに螺合されている。これにより、各脚部42は、取付板20aの上面に取り付けられるとともに、取付部材40は、取付板20aの上面に取り付けられている。
【0034】
図2に示すように、取付部材40は、ヘッドカバー22における左右方向の中央部、かつ前後方向の前端寄りに配置されている。したがって、取付部本体41は、ヘッドカバー22における左右方向の中央部、かつ前後方向の前端寄りに配置されている。また、取付部本体41は、4本の脚部42によって、取付板20aの上面よりも上方に配置されている。取付部本体41からの脚部42の突出長さを調節することにより、取付板20aの上面からの取付部本体41の嵩上げ位置を調節できる。
【0035】
ヘッドカバー22は、運転室19を上方から覆う。このため、取付部材40は、運転室19に乗る人よりも高い位置に配置されることとなる。したがって、取付部材40に取り付けられた標識灯31は、荷役車両10の周囲の人よりも高い位置に配置される。このような標識灯31であっても、荷役車両10の周囲から視認できるようにするため、脚部42の突出長さが調節される。
【0036】
<カバー部材>
図3及び
図4に示すように、荷役車両10は、取付部材40に一体化されるカバー部材50を備えていてもよい。カバー部材50は、取付部本体41の後部に取り付けられる。カバー部材50は、取付部本体41の後部に配置されるとともに、取付部本体41の後部の2本の脚部42に沿って配置されている。
【0037】
カバー部材50は、上部カバー51と、一対の脚部カバー52と、を備える。上部カバー51は、取付部本体41の後部において、取付部本体41の上面の一部を覆うとともに、取付部本体41の後端縁から下方に延出している。
【0038】
一対の脚部カバー52の各々は、上部カバー51の左右方向の両側面から側方へ延出する第1部位52aと、第1部位52aから下方へ延出する第2部位52bと、を備える。第1部位52aは、取付部本体41の後端縁に沿って配置されている。第2部位52bは、脚部42の後端縁に沿って配置されている。
【0039】
<センサと標識灯の取付構造>
図5~
図8に示すように、センサ25は、取付部本体41の上面に取り付けられている。センサ25は、取付部本体41の上面において、カバー部材50の上部カバー51よりも前方に取り付けられている。センサ25は、取付部材40によって、取付板20aの上面よりも上方に嵩上げされている。そして、センサ25は、荷役車両10における最も高い位置に配置されている。
【0040】
取付部本体41の大きさは、センサ25から照射されるレーザーの照射範囲に入らないように設定されている。このため、取付部本体41は、センサ25から照射されるレーザーを遮らない。したがって、取付部本体41は、センサ25による、荷役車両10の周囲に存在する障害物の観測を妨げない。
【0041】
図3に示すように、センサ25のケーブル25aは、取付部本体41の上面に沿って配線されるとともに、後部側の1本の脚部42の内面に沿って配線されている。ケーブル25aのうち、取付部本体41の上面に配線された部分は、上部カバー51によって上方から覆われるとともに、脚部42の内面に配線された部分は、脚部カバー52によって後方から覆われている。
【0042】
図6~
図7に示すように、センサ25と標識灯31は、取付部本体41を間に挟んで上下方向に重なり合って取付部材40に取り付けられている。そして、標識灯31は、センサ25の下方に配置されている。具体的には、標識灯31の取付部31aは、取付部本体41の下面に取り付けられている。回転灯部31bは、取付部31aを介して取付部本体41の下面に取り付けられている。したがって、標識灯31は、取付部本体41の下面に取り付けられている。
【0043】
図6のように、荷役車両10を前方から見ることを「前面視」とする。
図7に示すように、荷役車両10を後方から見ることを「後面視」とする。
図8のように、荷役車両10を左方又は右方から見ることを「側面視」とする。
【0044】
図6に示すように、前面視では、標識灯31は、左右に対向する2本の脚部42の間に配置されている。そして、前面視では、左右に対向する2本の脚部42の各々は、標識灯31から離れている。その結果、前面視では、標識灯31は、取付部本体41の前部に画定された第1間隙S1から視認できる。
【0045】
図7に示すように、後面視では、標識灯31は、左右に対向する2本の脚部42の間に配置されている。そして、後面視では、左右に対向する2本の脚部42の各々は、標識灯31から離れている。後面視では、取付部31aは、カバー部材50によって視認できないが、回転灯部31bは、上部カバー51の下端及び第1部位52aの下端よりも下方に突出している。このため、後面視では、回転灯部31bは、取付部本体41の後部に画定された第1間隙S1から視認できる。
【0046】
図8に示すように、側面視では、標識灯31は、取付部本体41の側部に画定された第2間隙S2から視認できる。そして、側面視では、前後に対向する2本の脚部42の各々は、標識灯31から離れている。前後に対向する2本の脚部42のうち、前側の脚部42と標識灯31との前後方向の距離は、後側の脚部42と標識灯31との前後方向の距離より短い。側面視では、取付部31aは、リブ43によって視認できないが、回転灯部31bは、リブ43の下端よりも下方に突出している。このため、側面視では、回転灯部31bは、第2間隙S2から視認できる。したがって、荷役車両10の前面視、後面視及び側面視のいずれにおいても、脚部42は、標識灯31から離れている。そして、荷役車両10の前面視、後面視、左右両方の側面視のいずれにおいても、回転灯部31bは、視認できる。
【0047】
回転灯部31bは、取付部材40によって、取付板20aの上面よりも上方に嵩上げされている。回転灯部31bの下面と、取付板20aの上面との間には空隙が画定されている。
【0048】
センサ25のセンサ中心軸L1と、標識灯31の中心軸L2は同軸上にある。上記したように、回転灯部31bの寸法Mと、センサ25の直径Rとは、同じ、又は僅かに異なる。このため、前面視、後面視、及び側面視のいずれにおいても、センサ25の側面と回転灯部31bの側面とは、上下方向に一直線上に並んでいる。そして、センサ25と標識灯31とは、取付部本体41を間に挟んで上下方向に重なっている。荷役車両10を上方から見たとき、センサ25は、標識灯31の面内に配置されている。つまり、センサ25の全てが、標識灯31に重なっている。
【0049】
また、標識灯31は、取付部本体41の縁から取付部本体41の中央寄りに離れている。上記したように、取付部本体41は、センサ25から照射されるレーザーを遮らない。このため、取付部本体41の縁よりも中央寄りに配置される標識灯31も、センサ25から照射されるレーザーを遮らない。したがって、標識灯31は、センサ25からのレーザーの照射範囲から外れた位置に配置されている。
【0050】
<実施形態の作用>
センサ25は、取付部材40における取付部本体41の上面に取り付けられている。このため、センサ25は、取付部材40によって、取付板20aの上面より上方に配置される。よって、1つのセンサ25であっても、車体11の周囲の障害物を観測できる。
【0051】
また、標識灯31は、取付部材40における取付部本体41の下面に取り付けられている。このため、標識灯31は、センサ25の下方においてセンサ25と上下方向に重なり合っている。取付部材40にセンサ25及び標識灯31を取り付けることによって、取付板20aの上面と同一面上に標識灯31とセンサ25は配置されていない。このため、センサ25の周囲に標識灯31が配置されていない。
【0052】
<実施形態の効果>
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)取付部材40によって、センサ25と標識灯31を上下方向に重ねて配置できる。そして、標識灯31は、センサ25の下方に配置されるとともに、センサ25からのレーザーの照射範囲から外れた位置に配置されている。よって、標識灯31によって、センサ25による障害物の観測が妨げられない。また、標識灯31は、センサ25の下方に配置されているため、センサ25の周囲に標識灯31が配置されていない。よって、標識灯31の視認性は、センサ25によって低下しない。したがって、センサ25を1つとしつつ、標識灯31を1つとしても、センサ25による障害物の観測性能、及び標識灯31の視認性の低下もない。
【0053】
(2)標識灯31は、取付部材40によって、取付板20aの上面よりも上方に配置されている。例えば、取付板20aの上面に沿って標識灯31を配置する場合と比べると、標識灯31の位置を高くできる。よって、標識灯31の視認性を向上できる。
【0054】
(3)取付部材40は、取付部本体41と、脚部42とを備える。脚部42によって取付部本体41を取付板20aの上面より上方に嵩上げして配置できる。そして、取付部本体41にセンサ25及び標識灯31が取り付けられるため、センサ25及び標識灯31を取付板20aの上面より上方に容易に配置できる。この取付部材40は、金属板を折り曲げて形成できるため、取付部材40を容易に形成できる。よって、センサ25と標識灯31の取付構造を取付部材40を用いて容易に形成できる。
【0055】
(4)取付部材40は、4本の脚部42を備える。4本の脚部42は、取付部本体41の四隅に配置されている。このため、取付部本体41は、4本の脚部42によって安定して取付板20aに支持される。このため、取付部本体41に取り付けられるセンサ25及び標識灯31を安定した状態で配置できる。
【0056】
(5)荷役車両10の前面視、後面視及び側面視のいずれにおいても、脚部42は、標識灯31から離れている。このため、荷役車両10の前面視、後面視及び側面視のいずれにおいても、脚部42によって標識灯31の視認性が低下することがない。
【0057】
(6)取付部材40は、取付部本体41の左右両側にリブ43を備える。リブ43は、前後の脚部42に掛け渡されている。リブ43によって、取付部材40を長辺方向に補強できるため、取付部本体41の撓みを抑制できる。その結果、リブ43は、センサ25及び標識灯31の上下方向の位置変化を抑制できる。
【0058】
(7)取付部材40は、カバー部材50を備える。カバー部材50は、センサ25のケーブル25aを覆う。このため、ケーブル25aを取付部材40の周囲から視認しにくくできるため、ケーブル25aによる美観の低下を抑制できる。
【0059】
(8)脚部42は、車体11の前後方向に幅を有するが、荷役車両10の側面視において、脚部42は、回転灯部31bから離れている。このため、脚部42が幅を有していても、側面視での回転灯部31bの視認性が脚部42によって低下することがない。また、脚部42は、車体11の左右方向に板厚を有するが、荷役車両10の前面視及び後面視のいずれにおいても、脚部42は、回転灯部31bから離れている。このため、前面視及び後面視のいずれにおいても、回転灯部31bの視認性が脚部42によって低下することがない。
【0060】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
○荷役車両10の前面視で、脚部42と回転灯部31bの一部が重なっていたり、荷役車両10の後面視で、脚部42と回転灯部31bの一部が重なっていたりしていてもよい。さらには、荷役車両10の側面視で、脚部42と回転灯部31bの一部が重なっていてもよい。要は、回転灯部31bの視認性が大幅に低下しなければ、脚部42と回転灯部31bの一部が重なっていてもよい。
【0061】
○4本の脚部42の配置は、変更してもよい。
○リブ43は、取付部本体41の短辺に沿って車体11の左右方向に延びるように設けられていてもよいし、リブ43は、取付部本体41の長辺及び短辺の両方に沿って設けられていてもよい。また、リブ43は、無くてもよい。
【0062】
○取付部材40は、取付部本体41と、取付部本体41から延出する1本の脚部42と、を備えていてもよい。この場合、脚部42は、取付部本体41の下面中央部から突出している。そして、取付部本体41の上面にセンサ25が取り付けられるとともに、脚部42を囲むように標識灯31が取付部本体41の下面に取り付けられている。このように構成した場合、脚部42によって標識灯31の視認性が低下することはない。
【0063】
○センサ25と標識灯31が上下方向に重なり合って取付部材40に取り付けられるとともに、センサ25からのレーザーの照射範囲から外れた位置に標識灯31が配置されていれば、センサ中心軸L1と、標識灯31の中心軸L2とは、ずれていてもよい。例えば、センサ25からのレーザーの照射範囲から外れた位置に標識灯31が配置されていれば、荷役車両10の平面視において、標識灯31の一つの縁部が、センサ25の縁部よりはみ出していてもよい。
【0064】
○センサ25と標識灯31が上下方向に重なり合って取付部材40に取り付けられるとともに、センサ25からのレーザーの照射範囲から外れた位置に標識灯31が配置されていれば、標識灯31の寸法Mは、センサ25の直径Rより大きくてもよい。
【0065】
○センサ25は、円柱状に限らない。例えば、センサ25は、四角柱状であってもよい。標識灯31は、四角柱状に限らない。例えば、標識灯31は、円柱状であってもよい。
○脚部42の本数は、2本であったり、3本であったり、5本以上であってもよい。
【0066】
○取付部材40は、取付部本体41と、脚部42とを溶接によって一体化して形成されていてもよい。
○取付部材40は、樹脂材料によって形成されていてもよい。この場合、取付部本体41と脚部42とは一体成形される。
【0067】
○荷役車両10は、自動で動作する無人操作車であってもよい。この場合、荷役車両10は、運転室19が不要となるため、アッパーフレーム20が設けられない。そして、取付部材40は、車体11の上面として、マスト16の上面に取り付けられるのが好ましい。マスト16の上面において、取付部材40における取付部本体41の上面にセンサ25が取り付けられるとともに、取付部本体41の下面に標識灯31が取り付けられる。このようにすれば、マスト16がセンサ25からのレーザーの照射の妨げにならない。
【0068】
○荷役車両10が、荷役装置15にマスト16を備えず、かつアッパーフレーム20を備えない無人操作車であれば、車体11の上面は、インストルメントパネル19aであってもよい。そして、インストルメントパネル19a付近において、取付部材40における取付部本体41の上面にセンサ25が取り付けられるとともに、取付部本体41の下面に標識灯31が取り付けられる。
【0069】
この場合、インストルメントパネル19aは、人の視線よりも低い位置にある。このため、取付部材40は、人の視線よりも低い位置に配置されることとなる。したがって、取付部材40に取り付けられる標識灯31は、荷役車両10の周囲の人の視線よりも低い位置に配置される。よって、標識灯31は、荷役車両10の周囲から視認しやすい。よって、脚部42の突出長さは、実施形態より短くてもよい。
【0070】
○荷役車両10が自動で動作する無人操作車であっても、車体11の上面は、インストルメントパネル19aであってもよい。
○標識灯31は、取付板20aの上面に沿うように取付部本体41に取り付けられていてもよい。
【0071】
○取付部本体41の高さ調節のため、取付片42aと取付板20aとの間に、スペーサを介在させてもよい。例えば、取付部本体41の前部を嵩上げしたい場合、取付部本体41の前側の2本の脚部42において、各取付片42aの下面と取付板20aの上面との間に、スペーサを介在させる。すると、スペーサが無い場合と比べて、取付部本体41の前部を嵩上げできる。
【0072】
このとき、2本の脚部42の間にスペーサを介在させるため、取付部本体41の前部の片側だけ嵩上げされることはない。よって、取付部本体41の前部が左右いずれかに傾くことなく嵩上げできる。これは、取付部本体41の後部を嵩上げする場合、取付部本体41の左右いずれかを嵩上げする場合も同じである。
【0073】
○取付部本体41の高さ調節を可能とするため、脚部42にボールネジやサスペンションなどを設けてもよい。
○取付板20aを使用せずに、取付部材40をヘッドカバー22の上面に取り付けてもよい。この場合、ヘッドカバー22の上面が車体11の上面となる。
【0074】
○標識灯31は、荷役車両10の走行速度を色を異ならせて示す状態表示灯であってもよい。要は、標識灯31による標識の内容は、標識灯31の搭載される荷役車両10に応じて適宜変更してもよい。
【0075】
○取付部材40は、センサ25用の取付部材と、標識灯31用の取付部材とを別々に備えていてもよい。この場合、センサ25用の取付部材の上面にセンサ25が取り付けられる。そして、センサ25用の取付部材の下方に、標識灯31用の取付部材が配置されるとともに、その標識灯31用の取付部材に標識灯31が取り付けられる。
【0076】
○センサ25は、超音波センサを用いてもよい。超音波センサは、照射波としての超音波を照射することで距離を測定可能である。
○荷役車両10の車種は、トーイングトラクタや、フォークリフトであってもよい。
【符号の説明】
【0077】
10…荷役車両、11…車体、25…センサ、31…標識灯、40…取付部材、41…取付部本体、42…脚部。