IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社イミューの特許一覧

<>
  • 特開-ふるさと納税者寄附動向解析システム 図1
  • 特開-ふるさと納税者寄附動向解析システム 図2
  • 特開-ふるさと納税者寄附動向解析システム 図3
  • 特開-ふるさと納税者寄附動向解析システム 図4
  • 特開-ふるさと納税者寄附動向解析システム 図5
  • 特開-ふるさと納税者寄附動向解析システム 図6
  • 特開-ふるさと納税者寄附動向解析システム 図7
  • 特開-ふるさと納税者寄附動向解析システム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039444
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】ふるさと納税者寄附動向解析システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0242 20230101AFI20240314BHJP
【FI】
G06Q30/02 382
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144015
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】522333442
【氏名又は名称】株式会社イミュー
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 秀二
(72)【発明者】
【氏名】黒田 康平
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】過去寄附を頂いた納税者が再度寄附するかどうかを追跡して分析できる指標情報を自治体に提供すること。
【解決手段】自治体が操作する自治体端末と、納税者が操作するユーザ端末と、納税者寄附動向解析を行う第1のサーバと、前記自治体からの委託に基づいて公開されるECサイトを介して行う寄附情報を受領する第2のサーバと、を通信ネットワークで接続した、ふるさと納税者寄附動向解析システムにおいて、第1のサーバは、いずれの納税者が前記第2のサーバが公開する前記ECサイト上でふるさと納税として寄附した寄附情報を取得する処理(d14)と、取得した寄附情報をメモリ310に蓄積する処理(d16)と、に蓄積された寄附情報から同一納税者による寄附情報を抽出して、その寄附動向を所定の分析パラメータに基づいて解析する処理(d32)と、を実行して、解析結果として生成した再度寄附すると解析されたリピート率の高い納税者に関する指標を自治体端末20に送信する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自治体が操作する自治体端末と、納税者が操作するユーザ端末と、納税者寄附動向解析を行う第1のサーバと、前記自治体からの委託に基づいて公開されるECサイトを介して行う寄附情報を受領する第2のサーバと、を通信ネットワークで接続した、ふるさと納税者寄附動向解析システムであって、
前記第1のサーバは、
いずれの納税者が前記第2のサーバが公開する前記ECサイト上でふるさと納税として寄附した寄附情報を取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した寄附情報を蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積手段に蓄積された寄附情報から同一納税者による寄附情報を抽出して、その寄附動向を所定の分析パラメータに基づいて解析する解析手段と、
前記解析手段による解析結果に基づく指標を前記自治体端末に提示する提示手段と、を備えることを特徴とするふるさと納税者寄附動向解析システム。
【請求項2】
自治体が操作する自治体端末と、納税者が操作するユーザ端末と、納税者寄附動向解析を行う第1のサーバと、前記自治体からの委託に基づいて公開されるECサイトを介して行う寄附情報を受領する第2のサーバと、を通信ネットワークで接続した、ふるさと納税者寄附動向解析システムであって、
前記第2のサーバは、
前記ユーザ端末に対して前記自治体端末からのふるさと納税募集情報のページを表示し、納税額、返礼品の選択に伴って、ユーザ端末識別情報及び自治体情報を関連付けてふるさと納税者情報として前記納税者寄附動向解析サイトのサーバに送信する送信部を備え、
前記納税者寄附動向解析サイトのサーバは、
前記第2のサーバに対して、ふるさと納税者情報要求情報を送信し、受信したふるさと納税者情報を記憶部に記憶する問合せ部と、
前記ふるさと納税者情報に含まれている返礼品、金額、ユーザ識別情報に基づいて、ユーザがどのような返礼品を購入しているかの動向を指標化して、この指標を前記納税者情報に関連付けてふるさと納税者寄附動向指標情報として記憶部に記憶する指標算出部と、
前記自治体端末からのアクセスに伴って、記憶部に記憶されているふるさと納税者寄附動向指標情報をその自治体端末に送信する指標提供部と、を有することを特徴とする、ふるさと納税者寄附動向解析システム。
【請求項3】
前記問合せ部は、
前記第2のサーバからの前記ふるさと納税者情報の受信に伴って、記憶部に記憶されている前記納税募集情報に関連付けられている問合せメッセージを前記ユーザ端末に送信し、反応結果情報を前記記憶部に記憶する問合せ部と、
一定時間経過する毎に、自治体毎の反応結果の項目を集めて解析し、この解析結果を指標化して前記記憶部に記憶する指標算出部と、
前記自治体端末からのアクセスで、前記解析結果及び指標を前記自治体端末に送信する指標提供部とを有することを特徴とする、請求項2記載のふるさと納税者寄附動向解析システム。
【請求項4】
前記解析結果及び指標に基づいて、自治体毎の前記問合せメッセージを生成し、この問合せメッセージに前記記憶部の問合せメッセージを更新する問合せ文更新部とを有することを特徴とする、請求項3記載のふるさと納税者寄附動向解析システム。
【請求項5】
前記問合せメッセージは、当該自治体にふるさと納税をしたか及び返礼品に対する推奨度の項目を含むことを特徴とする請求項4記載のふるさと納税者寄附動向解析システム。
【請求項6】
前記解析手段は、前記蓄積手段に蓄積された寄附情報から同一納税者による寄附情報を抽出して、リピート率の高い納税者の寄附動向を所定の分析パラメータに基づいて解析することを特徴とする請求項1記載のふるさと納税者寄附動向解析システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ふるさと納税者寄附動向解析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、自分の居住地域以外の自治体に対して寄附を行うことで、その自治体を活性化させるための納税制度(「ふるさと納税制度」)が利用されている。
【0003】
この納税制度の利用者(納税者)に、納税先の自治体からその地域にゆかりのある商品が特典(返礼品)として提供されることがある。
【0004】
一般に、ふるさと納税は、先ず、各自治体は、各々のWebサイトに寄附募集の記事を載せている。この寄附募集には返礼品が記載されている。
【0005】
寄附者は、それらのWebサイトを見つけて巡回しながら、気に入った自治体を探して、ふるさと納税契約を行う。一方、自治体側は入金を確認した後で、「寄附金受領証明書」と「返礼品」を郵送する。
【0006】
一方、特許文献1(特開2019-153299号公報)は、本発明のコンピュータシステムは、商品またはサービスを提供する提供者の複数の構成員が商品またはサービスを評価した結果を示す複数の第1の評価結果を受信することと、商品またはサービスの提供を受ける複数のユーザが商品またはサービスを評価した結果を示す複数の第2の評価結果を受信することと、複数の第1の評価結果および複数の第2の評価結果を統計的に分析することと、分析結果を出力することとを行うように構成されていることが開示されている。
【0007】
また、特許文献2(特開2022-32413号公報)は、ふるさと納税を現地で行った者に対し、現地で即時の返礼を可能にすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2019-153299号公報
【特許文献2】特開2022-032413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ふるさと納税は、Webサイトに寄附募集ページを掲載するので、その寄附募集ページの製作には費用が掛かる。寄附募集ページの内容が悪いと、ふるさと納税の寄附者が低減する。また、ふるさと納税を募る自治体は、ページ制作や寄附を募るための広告費に多額の費用を投じている。
【0010】
一方、自治体側は、寄附者の実体を把握しない中での紹介ページ作成や広告投下のため、過去の寄附者が同じ自治体が提供する募集ページに再度寄附行為がなされる不明であり、担当者は同じ寄附者が再度寄附を行ってもらえるか不明であり不安である。
【0011】
本発明は以上の課題を鑑みてなされたものであり、より多くのふるさと納税者が自治体に継続納税するため、過去寄附を頂いた納税者が再度寄附をするため、継続して寄附をするための指標情報を自治体に提供することができるふるさと納税者寄附動向解析システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は以上の問題に鑑みてなされたものであり、本発明は、自治体が操作する自治体端末と、納税者が操作するユーザ端末と、納税者寄附動向解析を行う第1のサーバと、前記自治体からの委託に基づいて公開されるECサイトを介して行う寄附情報を受領する第2のサーバと、を通信ネットワークで接続した、ふるさと納税者寄附動向解析システムであって、第1のサーバは、いずれの納税者が前記第2のサーバが公開する前記ECサイト上でふるさと納税として寄附した寄附情報を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した寄附情報を蓄積する蓄積手段と、前記蓄積手段に蓄積された寄附情報から同一納税者による寄附情報を抽出して、その寄附動向を所定の分析パラメータに基づいて解析する解析手段と、前記解析手段による解析結果に基づく指標を前記自治体端末に提示する提示手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本発明によれば、より多くのふるさと納税者が自治体に継続納税するための指標情報を自治体に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面は、本発明の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
図1】本実施の形態のふるさと納税者寄附動向解析システムの概略構成図。
図2】納税者寄附動向解析サイトのサーバの概略構成図。
図3】本実施の形態のふるさと納税者寄附動向解析システムを説明するシーケンス図。
図4】本実施の形態のふるさと納税者寄附動向解析システムを説明するシーケンス図。
図5】問合せメッセージの項目の説明図。
図6】指標化の標準偏差分布の説明図。
図7】指標のフラフ化の説明図。
図8】指標のグラフ化処理のプロセスを説明する工程図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に示す実施の形態は、発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示したものであって、本発明の技術的思想は、下記のものに特定されるものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において、種々の変更を加えることができる。特に、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。既に公知の技術である部分は説明を省略している。
【0016】
本実施の形態では、EC(Electronic commerce)サイト50を運営するサーバ60でふるさと納税する方の寄附行動を自治体に提供することができる、ふるさと納税者寄附動向解析システム1を例として説明する。
【0017】
本実施の形態のふるさと納税者寄附動向解析システム1は、図1に示すように、自治体端末20(村、町、市・・)と、ふるさと納税の契約をする複数のユーザ端末10と、第1のサーバとして機能するふるさと納税者の寄附動向を解析する納税者寄附動向解析サイトのサーバ30と、自治体の返礼品を掲載しているECサイト50を運営する第2のサーバとして機能するサーバ60とを通信ネットワーク(インターネット網等)40で接続している。なお、ECサイト50は、現存に限らず、これから新規に運用開始されるサイトも含まれるものとし、本発明の適用が特定のECサイトに限定されるものではない。
【0018】
前述の自治体端末20及び納税者寄附動向解析サイトのサーバ30は、サーバとパソコン等よりなり、CPU(Central Processing Unit不図示)と、CPU上で動作一時的に格納するためのRAM(Random Access Memory不図示)等のハードウエア資源を備えて構成されている。
【0019】
また、ユーザ端末10は、スマートフォン又はパソコンであり、CPU(Central Processing Unit)と、CPU上で動作する制御プログラム等を格納したROM(Read- only Memory不図示)と、各種データを一時的に格納するためのRAM(Random Access Memory不図示)等のハードウエア資源を備えて構成されている。
【0020】
以下、本システムでは、自治体が操作する自治体端末と、納税者が操作するユーザ端末と、納税者寄附動向解析を行う第1のサーバとして機能するサーバ30と、自治体からの委託に基づいて公開されるECサイト50を介して行う寄附情報を受領する第2のサーバとしてのサーバ60と、を通信ネットワーク40で接続した、ふるさと納税者寄附動向解析システムを例として、サーバ30による、いずれの納税者がサーバ60が公開するECサイト50上でふるさと納税として寄附した寄附情報を取得する取得処理、取得した寄附情報をメモリ310に蓄積する蓄積処理と、蓄積された寄附情報から1回限りの納税者または同一納税者による複数回の寄附情報を抽出して、指標算出部350がそれぞれの寄附動向を所定の分析パラメータに基づいて解析する解析処理と、指標算出部350による解析結果に基づく指標を自治体端末20に提示する提示処理を詳述する。ここで、提示するとは、メールにて解析ドキュメント(表形式、PDF、テキスト、図表を含み、これらの組合せも含むものとする)を添付して送付することも含まれる。
【0021】
なお、指標算出部350は、メモリ310で更新可能に記憶している納税者情報識別コード、問合せ項目、メッセージコード、点数を読み出すことが可能に構成されている。ここで、納税者情報識別コード、問合せ項目、メッセージコード、点数は寄附動向を所定の分析パラメータとして機能する。また、指標算出部350は、メモリ301に蓄積された寄附情報から同一納税者による寄附情報を抽出して、繰り返される寄附動向を所定の分析パラメータに基づいて解析することを特徴としている。
【0022】
これにより、自治体として把握したい納税者のうち、特に着目したい納税者(リピート率の高い)にフォーカスした納税動向を詳細に分析して、次に出品する物品、周遊券等の金券をどのように企画すべきかにとって重要な指針を効率よく見出すことができ、さらに継続してもらえるようなふるさと納税企画を創出することが可能となる。
【0023】
また、本システムでは、自治体ごとに視覚化の要請に伴い解析結果の表示態様を自在に調整できるため、自治体にわかり易い解析結果を提示することも可能となる。
【0024】
具体的には、図1に示すシステムにおいて、指標算出部350が解析結果として生成した再度寄附すると解析された納税者に関する指標を自治体端末20に送信する。
ここで、指標して提示する情報は、納税に関するリピート件数、リピート金額、リピート率、継続寄附以降(経過期間)が含まれる。
【0025】
また、取得データは、大きく分け、A寄附行動データ(A1.API連系データとA2.CSVレン系データ)とB寄附経験データ(B1.コミュニティ内のアンケートやインタビューデータ)がある。Aはポータルサイトや受注システムとの連携により取得するデータである。A1に関してはリアルタイムでの取得が可能。A2に関しては任意のタイミングで自治体から取得反映するものである。Bは既存寄附者を集めたオンライングループから取得するデータである。B1に関しては、定点調査によるデータ収集を行うものとする(図8参照)。
【0026】
図8において、A寄附行動データは、寄附者の行動に関するデータであって、ページアクセス数、寄附件数、寄附単価、年間寄附回数、寄附をした返礼品などがこれに該当する。
【0027】
A1,A2はデータの連携方法を示すものである。API連携とは、ポータルサイトや受注システムにおいて、別のプログラムと接続し、機能の一部を共有する仕組みのことである。楽天ふるさと納税など一部の寄附行動データをAPI連携による取得を行っている。API連携ができない場合はCSV連携による取得を行っている。
B寄附経験データは、寄附者の思考に関するデータであって、自治体への興味、返礼品への興味、推奨度に関する情報がこれに該当する。
B1は寄附経験データBの取得方法が寄附者から直接コミュニケーションを取るものであって、オンラインアンケートやインタビューによる取得を行う。
【0028】
〔分析について〕
なお、データベースをクラウド上に構築することも可能である。
寄附行動データをCPM(カスタマーポートフォリオマネジメント)分析を応用したもので分類(図中C)と、寄附思考データを推奨度による分析により分類(図中D)する。具体的な指標は以下の通り。
[1人あたりの通年寄附金額]×[在籍期間(連続寄附年数)]×[推奨度]
【0029】
なお、推奨度については、オンライン上で寄附実績のあるユーザからアンケートやインタビューが実施できる仕組みとなっており、「推奨度」「年間使用金額と自治体使用率」を調査し「継続寄附意向」を測る。
【0030】
推奨度については、NPS分析という手法を応用して活用している。推奨者にあたるセグメントを継続寄附意欲“高”、中立者および批判者に当たるセグメントを継続寄附意欲“低”として分類するもの。年間使用金額と自治体使用率については、推奨度としては加味せず、寄附額の改善幅の算出をする際に考慮する指標となる。
【0031】
ここで、NPS(Net Promoter Score)は顧客のロイヤルティの程度を把握するための指標。製品やサービスをどの程度他人に勧めるかを、10「非常に薦めたい」から0「まったく薦めたくない」の11段階で聴取することにより、顧客のロイヤルティの強さを測定する。
【0032】
寄附者を分類し表示する方法を説明する。
表示の仕方は、ヨコ軸を離反/新規/休眠復帰/N年連続の4分類と、縦軸を継続寄附意欲“高”/“低”の2分類、計8つのセグメントで表す(図中E)。
以下、表示→再取得のアクションについて説明する。
【0033】
寄附者を図8に示すように、セグメントに分けることで、寄附行動と継続寄附意欲がわかった状態で特定対象者にアプローチすることが可能になる。自治体の運営改善の示唆を得る際に全セグメントからランダムにヒアリングした情報と、回答者がどのセグメントに所属するのか(寄附行動と寄附思想)を把握した上で得られる情報では、得られる示唆は雲泥の差となる。この点も本システムの非常にユニークなポイントである。
【0034】
表示事項は、寄附額、顧客数、割合とし、パラメータとして、離反パラメータ、新規パラメータ、休眠復帰パラメータ、2年連続パラメータ、3年連続パラメータ、合計寄附者数パラメータからなる。なお、分析に有効、かつ有望な情報として他の情報を加えてもよい。
また、図1に示したシステムでは、寄附行動に伴う集計分析作業においては、月単位、年単位、地域別などに特化する分析データを集積することができる。
本実施の形態ではユーザと自治体とはすでに、ふるさと納税契約をして、返礼品等が記憶されているとして説明する。
【0035】
ECサイト50を運営するサーバ60は、アクセスがあったユーザ端末10に対して自治体端末20からのふるさと納税募集情報のページを表示部10aに表示し、このページに書き込まれた納税額、返礼品の選択に伴って、これにユーザ端末識別情報及び自治体情報を関連付けてふるさと納税者情報として納税者寄附動向解析サイトのサーバ30に送信する送信部を備えている。
【0036】
次に、納税者寄附動向解析サイトのサーバ30の構成について図2を用いて説明する。
【0037】
図2に示すように、納税者寄附動向解析サイトのサーバ30は、問合せ部320と、指標算出部350と、指標提供部360と、問合せ文更新部380とよりなるプログラムを有している。
【0038】
メモリ310は、納税者情報等を記憶している。この納税者情報は、ユーザ識別情報(ID、パスワード、氏名、登録年月日時刻、年齢、性別、住所、メールアドレス、電話番号:ユーザコード)と、自治体のふるさと納税額及び返礼品並びに納税年月日時刻と、自治体識別情報(○○県)等よりなる。
【0039】
メモリ390には、自治体毎のふるさと納税者への問合せメッセージが記憶されている。このメッセージは、何故ふるさと納税をしたかを問合せるメッセージ(問合せ文ともいう)である。例えば、返礼品に満足、親戚がいる、すきな都道府県、災害が発生した、テレビで見た等の項目であり、各々に点数を書き込むようなメッセージページである。
【0040】
問合せ部320は、ECサイト50を運営するサーバ60に対して、ふるさと納税者情報要求情報(当該サイトのアカウントを含む)を送信し、受信したふるさと納税者情報(ユーザアカウント、自治体名、人数、年月日時刻等)を記憶部に記憶する。これを、納税者情報と称している。
【0041】
問合せ部320は自治体との契約が詳細解析の契約である場合は、以下の処理を行う。
【0042】
問合せ部320は、メモリ310の納税者情報を順に読み込み、この読み込み毎にこの納税者情報に含まれている自治体識別情報を読み込む。
【0043】
そして、自治体識別情報に該当する自治体の問合せメッセージをメモリ390(390a、390b、・・・)から読み込む。
【0044】
そして、納税者情報に含まれているユーザ識別情報のメールアドレス(電話番号でもよい)宛てに、読み込んだ問合せメッセージを通信ネットワーク40を介して送信する。
【0045】
問合せ部320は、ユーザ端末10からの問合せメッセージに対する反応結果(納税者情報識別コード、問合せ項目、メッセージコード、点数)を受信し、年月日時刻に関連付けてメモリ340に記憶する。
【0046】
指標算出部350は、メモリ310で記憶して管理される納税者情報に含まれている返礼品、金額、ユーザ識別情報に基づいて解析し、どのようなユーザがどのような返礼品を購入しているかの動向を指標化して、この指標を納税者情報に関連付けてふるさと納税者寄附動向指標情報としてメモリ370に記憶する。
【0047】
指標算出部350は、自治体との契約が詳細解析の契約をしている場合は、以下の処理を行う。
【0048】
指標算出部350は、例えば一定時間経過(1日、3日、1週間、1か月、・・、3か月)する毎に、メモリ340の自治体毎の反応結果(情報)を読み込む。そして、これらの項目を集めて解析し、この解析結果を指標化してメモリ370に記憶する。
【0049】
指標提供部360は、自治体端末20からのアクセスで、この自治体端末識別情報が関連付けられている解析結果及び指標をその自治体端末20に送信する。
【0050】
なお、指標提供部360は、指標算出部350による解析結果を図表として自治体端末20が備える表示デバイス上で表示可能な動向分析表示データを生成する。
また、表示デバイス上で表示可能な動向分析表示データは、通常の出力デバイスである、印刷装置、複合機から印刷結果として視覚化することもできる。
【0051】
問合せ文更新部380は、この解析結果及び指標に基づいて、自治体毎の問合せメッセージを生成し、この問合わせメッセージにメモリ390の問合せメッセージを更新する。
【0052】
ふるさと納税募集情報は、自治体名と、自治体コードと、納税額と、返礼品等よりなる。
【0053】
図3は本実施の形態のふるさと納税者寄附動向解析システム1を説明するシーケンス図である。図においては、自治体、ユーザ端末を1つとして説明する。シーケンス図においては、自治体との契約が詳細解析の契約をしているものとして説明する。
【0054】
図3に示すように、自治体端末20と、ECサイト50を運営するサーバ60とは回線を接続して、自治体の納税額と、この納税額に対する各種返礼品等をECサイトに登録している(d9)。
【0055】
ユーザはユーザ端末10を操作してECサイト50を運営するサーバ60と通信を開始し、ふるさと納税契約(例えば、1万、返礼品肉)を行う(d10)。
【0056】
この納税者情報には、ユーザ識別情報、自治体識別情報が関連付けられており、受信時刻と共にメモリ310に記憶する(d16)。
【0057】
問合せ部320は、メモリ310の納税者情報を順に読み込み、この読み込み毎にこの納税者情報に含まれている自治体識別情報を読み込み、自治体識別情報に該当する自治体の問合せメッセージをメモリ390(390a、390b、・・・)から読み込み、問合せメッセージを生成する(d18、d20)。
【0058】
そして、納税者情報に含まれているユーザ識別情報のメールアドレス(電話番号でもよい)宛てに、読み込んだ問合せメッセージを通信ネットワーク40で送信する(d24)。なお、メール送信に代えて、封書または、葉書によるDMの郵送や、ECサイト50上でのメールマガジンで行う構成としてもよい。
【0059】
問合せ部320は、ユーザ端末10からの問合せメッセージに対する反応結果(納税者情報識別コード、問合せ項目、メッセージコード、点数)を受信し(d26)、年月日時刻に関連付けてメモリ340に記憶する(d28)。
【0060】
図4に示すように、指標算出部350は、例えば3か月経過したかどうかを判断する(d30)。
【0061】
経過している場合は、納税者情報に含まれている返礼品、金額、ユーザ識別情報に基づいて解析し、どのようなユーザがどのような返礼品を寄附しているかの動向を指標化する(d32)。そして、この指標を納税者情報に関連付けてふるさと納税者寄附動向指標情報としてメモリ370に記憶する(d34)。
【0062】
例えば一定時間経過(1日、3日、1週間、1か月、・・、3か月)する毎に、メモリ340の自治体毎の反応結果(情報)を読み込む。そして、これらの項目を集めて解析し、この解析結果を指標化してメモリ370に記憶する。
【0063】
具体的には図5に示すように、各項目に対しての数値とその傾向を解析して指標化する。指標化は図6に示すような標準偏差分布を用いるのが好ましい。なお、x軸は、偏差を示し、y軸は、確率密度関数f(x)を示す。
【0064】
例えば、図5においては、「項目が返礼品がよい」、「父のふるさと」、「応援したい都道府県」、「災害があった」・・等であり、それぞれに寄附者が入力した点数が付いている。
【0065】
指標算出部350は自治体の自治体端末20からのアクセス(アカウント、自治体名)があって(d36)、指標の要求を含んでいる場合は、このアクセス情報に含まれている自治体の指標情報を送信する(d38)。
【0066】
次に、問合せ文更新部380は、この解析結果及び指標に基づいて、自治体毎の問合せメッセージを生成し、この問合せメッセージにメモリ390の問合せメッセージを更新する(d40)。
【0067】
従って、常に最新の指標結果に基づいた問合せメッセージを保管できる。
【0068】
前述の指標の生成は以下のようにするのが好ましい。
【0069】
なお、第1のサーバとしてのサーバ30は、既に納税した納税者に対して所定のお問合せを行う問合せ処理を実行し、メモリ310に蓄積された寄附情報から同一納税者による寄附情報または、例えばアンケートによる問合せにより納税者から応答された応答情報を分析して、繰り返される(リピート率の高い納税者による)寄附動向を示す指標を生成する処理を実行する。
【0070】
<指標の具体例>
問合せメッセージは、質問Q1と、質問Q2と、質問Q3とを含む。
【0071】
質問Q1は、「推奨意向度」を問う質問である。「推奨意向度」とは、ユーザが評価対象を他のユーザに推奨したいかという観点からユーザが評価対象を評価した際の評価の度合(すなわち、ユーザが評価対象を他のユーザに推奨したいという推奨意向の度合)である。
【0072】
この例では、「評価対象」は、自治体のふるさと納税契約をした場合に、返礼品(例えば肉)が良かったので、友人に紹介したい。ユーザは、質問Q1に対して推奨意向度を0点~10点の点数で回答するフォーマットである。
【0073】
例えば、ユーザは、親しい友人や知人に非常に推奨したい場合には10点を付けることができ、親しい友人や知人に全く推奨したくない場合には0点を付けることができる。
【0074】
質問Q2は、評価対象に関連してユーザが体験したユーザ体験が推奨意向度に対してどのように影響したかを問う質問である。
【0075】
ユーザは、質問Q2に対して、質問Q1で推奨意向度を決定するに際して各ユーザ体験がプラスに寄与したか、マイナスに寄与したか、どちらでもないかを回答する。
【0076】
各ユーザ体験は、ふるさと納税検討段階、ふるさと納税契約後段階、返礼品試食段階等の複数の段階での体験を含む。
【0077】
例えば、ふるさと納税検討段階のユーザ体験は、ECサイトのホームページ等からふるさと納税検討中に得た情報による体験(体験1)、自治体の担当者から受けた連絡や対応による体験(体験2)を含む。
【0078】
例えば、ユーザが、ふるさと納税の返礼品が良かったので、他人に推奨したいと感じたときは、ユーザは、「返礼品の試食時の体験」が推奨意向度に「プラスに寄与した」と評価をする。
【0079】
また、ユーザが、返礼品が良くないと感じたとき、また、他人に推奨したくないと感じたときは、ユーザは、「トラブル時の体験」が推奨意向度に「マイナスに寄与した」と評価する。
【0080】
質問Q3は、質問Q2のユーザ体験が推奨意向度にプラスまたはマイナスに寄与した理由を問う質問である。ユーザは、質問Q3に対して、記述形式で回答する。例えば、返礼品が非常においしいと感じたときは、ユーザは、返礼品が良かった」と評価することができる。また、返礼品の到着が遅いと感じたときは、ユーザは、「トラブル時の体験」について「対応が遅かった」と評価することができる。
【0081】
指標算出部350は、メモリ340の反応結果から図7に示すような体験の項目に、その指数をグラフ化したデータを生成する。
【0082】
このデータを指標提供部360が通信ネットワーク40を介して自治体端末20に送信する。なお、図7は破線で示す第1の曲線21の縦軸が影響度絶対値の軸であり、0が推奨意向度に対して影響がないことを示し、100に近いほど推奨意向度に対する影響が大きいことを示す。ここで、NPSは、サーバ30が推奨者数/(中立者数+批判者数)を演算することで算出する。
【0083】
実線で描かれた第2の曲線22は、推奨意向度に対する影響度相対値を示す。影響度相対値は、推奨意向度に対して、プラスの影響またはマイナスの影響がどの程度あるかを示す値である。実線の縦軸が影響度相対値の軸であり、マイナスが推奨意向度に対してマイナスの影響があることを示し、-100に近いほど推奨意向度に対してマイナスの影響が大きいことを示し、0が推奨意向度に対して影響がないことまたはプラスの影響とマイナスの影響とが同程度であることを示し、プラスが推奨意向度に対してプラスの影響があることを示し、100に近いほど推奨意向度に対してプラスの影響が大きいことを示す。
なお、NPSによる場合は、基本%とするため、-1~1で表現される。
【0084】
すなわち、ユーザ体験の時系列の流れに沿って、ユーザの感情の動きを曲線で表現しているといえる。
【0085】
例えば、分析結果において、第1の曲線21は、複数のユーザ体験のうちの体験5、体験T10(トラブル時の体験)、体験11(返礼品到着後の体験)、体験12(返礼品の到着後に自治体から受けた連絡や対応による体験)が推奨意向度に対する影響度が高いことを示している。
【0086】
しかしながら、第1の曲線21のみでは、推奨意向度に対して影響があるユーザ体験が判明しても、その影響がプラスの影響であるか、マイナスの影響であるかがわからない。そのため、推奨意向度向上のために、そのユーザ体験を改善すべきか、強化すべきかがわからない。そこで、第2の曲線22を参照すると、各ユーザ体験が推奨意向度に対してプラスの影響があるかマイナスの影響があるかがわかる。
【0087】
推奨意向度に対する影響度が高い各ユーザ体験はすべてマイナスの影響を有しているので、推奨意向度向上のためには、ふるさと納税をしたこれらのユーザ体験を改善すべきであることが可視的にわかる。
【0088】
また、これらのユーザ体験を他のユーザ体験よりも優先的に改善することが、推奨意向度向上、ひいては自治体のふるさと納税の契約数向上のために、効果的であることがわかる。
【0089】
なお、各ユーザ体験がプラスに寄与したか、マイナスに寄与したかを多段階(例えば、-3、-2、-1、0、+1、+2、+3等)で評価するようにしてもよい。また、グラフは性別毎、年齢毎、地域毎に示してもよい。
【0090】
〔指標のグラフ化処理のプロセス〕
図8は、図1に示したシステムにおける指標のグラフ化処理のプロセスを説明する工程図である。
サーバ30は、既に納税した納税者に対して所定の問合せを行う問合せ機能(例えばメール、チャット)を備え、指標算出部は、メモリ310に蓄積された寄附情報から同一納税者による寄附情報または上記問合せにより納税者から応答された応答情報を分析して、繰り返される寄附動向を示す指標を生成する。
【0091】
以上の記載した本発明に関する開示は、少なくとも下記事項に要約することができる。
【0092】
(1)自治体が操作する自治体端末と、納税者が操作するユーザ端末と、納税者寄附動向解析を行う第1のサーバと、前記自治体からの委託に基づいて公開されるECサイトを介して行う寄附情報を受領する第2のサーバと、を通信ネットワークで接続した、ふるさと納税者寄附動向解析システムであって、前記第1のサーバは、いずれの納税者が前記第2のサーバが公開する前記ECサイト上でふるさと納税として寄附した寄附情報を取得する取得手段と、前記取得手段が取得した寄附情報を蓄積する蓄積手段と、前記蓄積手段に蓄積された寄附情報から同一納税者による寄附情報を抽出して、その寄附動向を所定の分析パラメータに基づいて解析する解析手段と、前記解析手段による解析結果に基づく指標を前記自治体端末に提示する提示手段と、を備えることを特徴とする。
【0093】
(2)自治体が操作する自治体端末と、納税者が操作するユーザ端末と、納税者寄附動向解析を行う第1のサーバと、前記自治体からの委託に基づいて公開されるECサイトを介して行う寄附情報を受領する第2のサーバと、を通信ネットワークで接続した、ふるさと納税者寄附動向解析システムであって、前記第2のサーバは、前記ユーザ端末に対して前記自治体端末からのふるさと納税募集情報のページを表示し、納税額、返礼品の選択に伴って、ユーザ端末識別情報及び自治体情報を関連付けてふるさと納税者情報として前記納税者寄附動向解析サイトのサーバに送信する送信部を備え、前記納税者寄附動向解析サイトのサーバは、前記第2のサーバに対して、ふるさと納税者情報要求情報を送信し、受信したふるさと納税者情報を記憶部に記憶する問合せ部と、前記ふるさと納税者情報に含まれている返礼品、金額、ユーザ識別情報に基づいて、ユーザがどのような返礼品を購入しているかの動向を指標化して、この指標を前記納税者情報に関連付けてふるさと納税者寄附動向指標情報として記憶部に記憶する指標算出部と、前記自治体端末からのアクセスに伴って、記憶部に記憶されているふるさと納税者寄附動向指標情報をその自治体端末に送信する指標提供部と、を有することを特徴とする。
【0094】
(3)前記問合せ部は、前記第2のサーバからの前記ふるさと納税者情報の受信に伴って、記憶部に記憶されている前記納税募集情報に関連付けられている問合せメッセージを前記ユーザ端末に送信し、反応結果情報を前記記憶部に記憶する問合せ部と、一定時間経過する毎に、自治体毎の反応結果の項目を集めて解析し、この解析結果を指標化して前記記憶部に記憶する指標算出部と、前記自治体端末からのアクセスで、前記解析結果及び指標を前記自治体端末に送信する指標提供部とを有することを特徴とする。
【0095】
(4)前記解析結果及び指標に基づいて、自治体毎の前記問合せメッセージを生成し、この問合せメッセージに前記記憶部の問合せメッセージを更新する問合せ文更新部とを有することを特徴とする。
【0096】
(5)前記問合せメッセージは、当該自治体にふるさと納税をしたか及び返礼品に対する推奨度の項目を含むことを特徴とする。
(6)前記解析手段は、前記蓄積手段に蓄積された寄附情報から同一納税者による寄附情報を抽出して、リピート率の高い納税者の寄附動向を所定の分析パラメータに基づいて解析することを特徴とする。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明のふるさと納税者寄附動向解析システム1は、個人の寄附指向を調査するのに好適である。
【符号の説明】
【0098】
1 ふるさと納税者寄附動向解析システム
10 ユーザ端末
20 自治体端末
30 ふるさと納税者寄附動向解析サイトのサーバ
40 通信ネットワーク
50 ECサイトのサーバ
320 問合せ部
350 指標算出部
360 指標提供部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8