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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039466
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20240314BHJP
   E06B 1/18 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B1/18 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144052
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】391008582
【氏名又は名称】昭和フロント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128392
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】小山 優貴
【テーマコード(参考)】
2E011
2E239
【Fターム(参考)】
2E011BA00
2E011DA08
2E239CA02
2E239CA22
2E239CA26
2E239CA32
2E239CA52
2E239CA62
(57)【要約】
【課題】平時の防水性や火災時の遮炎性に優れた建具を提供する。
【解決手段】少なくとも2連の窓1a、1bを含む建具1であって、窓1a、1b間に配置される方立1cは、2連方向に分割された一対の分割方立44A、44Bを備え、施工時に一対の分割方立44A、44Bを突き合わせ状に連結して方立1cが構成され、一対の分割方立44A、44Bの突き合わせ部には、火災による熱で発泡し、突き合わせ部の隙間を塞ぐ遮炎板71、72(加熱発泡材7)が設けられる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2連の窓を含む建具であって、
前記窓間に配置される方立は、前記2連方向に分割された一対の分割方立を備え、施工時に一対の前記分割方立を突き合わせ状に連結して前記方立が構成され、
一対の前記分割方立の突き合わせ部には、火災による熱で発泡し、前記突き合わせ部の隙間を塞ぐ加熱発泡材が設けられることを特徴とする建具。
【請求項2】
前記突き合わせ部における前記加熱発泡材の屋外側に配置され、前記突き合わせ部への水の侵入を阻止する止水材を備えることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記突き合わせ部に配置される第1加熱発泡材と、
前記突き合わせ部における前記第1加熱発泡材の屋外側に配置される第1止水材と、
前記突き合わせ部における前記第1加熱発泡材の屋内側に配置される第2加熱発泡材と、
前記突き合わせ部における前記第1加熱発泡材の屋内側で、かつ前記第2加熱発泡材の屋外側に配置される第2止水材と、を備えることを特徴とする請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記加熱発泡材は、板形状であり、
前記突き合わせ部における一方又は両方の前記分割方立には、一対の前記分割方立を連結する際に他方の前記分割方立と当接又は近接し、前記突き合わせ部に前記加熱発泡材の配置空間を形成する突部が形成されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の建具。
【請求項5】
前記止水材は、弾性変形可能な弾性材であり、
前記突き合わせ部における一方の前記分割方立には、前記止水材を収容する溝部が形成され、
前記突き合わせ部における他方の前記分割方立には、一対の前記分割方立を連結する際に、前記溝部に収容された前記止水材を押圧して弾性変形させる押圧部が形成されることを特徴とする請求項2又は3に記載の建具。
【請求項6】
前記加熱発泡材は、加熱発泡材料を含む弾性変形可能な弾性材であり、前記突き合わせ部への水の侵入を阻止する止水材に兼用されることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2連の窓を含む建具に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも2連の窓を含む建具が知られている。例えば、特許文献1には、窓間に配置される方立を2連方向に分割された一対の分割方立とし、施工時に一対の分割方立を突き合わせ状に連結させる建具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6960769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の建具では、平時の防水性や火災時の遮炎性において改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、少なくとも2連の窓を含む建具であって、前記窓間に配置される方立は、前記2連方向に分割された一対の分割方立を備え、施工時に一対の前記分割方立を突き合わせ状に連結して前記方立が構成され、一対の前記分割方立の突き合わせ部には、火災による熱で発泡し、前記突き合わせ部の隙間を塞ぐ加熱発泡材が設けられることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の建具であって、前記突き合わせ部における前記加熱発泡材の屋外側に配置され、前記突き合わせ部への水の侵入を阻止する止水材を備えることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項2に記載の建具であって、前記突き合わせ部に配置される第1加熱発泡材と、前記突き合わせ部における前記第1加熱発泡材の屋外側に配置される第1止水材と、前記突き合わせ部における前記第1加熱発泡材の屋内側に配置される第2加熱発泡材と、前記突き合わせ部における前記第1加熱発泡材の屋内側で、かつ前記第2加熱発泡材の屋外側に配置される第2止水材と、を備えることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1~3のいずれか1項に記載の建具であって、前記加熱発泡材は、板形状であり、前記突き合わせ部における一方又は両方の前記分割方立には、一対の前記分割方立を連結する際に他方の前記分割方立と当接又は近接し、前記突き合わせ部に前記加熱発泡材の配置空間を形成する突部が形成されることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項2又は3に記載の建具であって、前記止水材は、弾性変形可能な弾性材であり、前記突き合わせ部における一方の前記分割方立には、前記止水材を収容する溝部が形成され、前記突き合わせ部における他方の前記分割方立には、一対の前記分割方立を連結する際に、前記溝部に収容された前記止水材を押圧して弾性変形させる押圧部が形成されることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項1に記載の建具であって、前記加熱発泡材は、加熱発泡材料を含む弾性変形可能な弾性材であり、前記突き合わせ部への水の侵入を阻止する止水材に兼用されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、一対の分割方立の突き合わせ部には、火災による熱で発泡し、突き合わせ部の隙間を塞ぐ加熱発泡材が設けられるので、火災時の遮炎性を向上させることができる。
また、請求項2の発明によれば、突き合わせ部における加熱発泡材の屋外側には、突き合わせ部への水の侵入を阻止する止水材が設けられるので、平時の防水性を向上させることができるだけでなく、水の侵入による加熱発泡材の劣化を防止できる。
また、請求項3の発明によれば、突き合わせ部には、屋外側から順番に、第1止水材、第1加熱発泡材、第2止水材及び第2加熱発泡材が配置されるので、平時の防水性及び火災時の遮炎性をさらに向上させることができる。
また、請求項4の発明によれば、加熱発泡材は、板形状であり、突き合わせ部における一方又は両方の分割方立には、一対の分割方立を連結する際に他方の分割方立と当接又は近接し、突き合わせ部に加熱発泡材の配置空間を形成する突部が形成されるので、一対の分割方立を連結する際に加熱発泡材が潰れたり、加熱発泡材が位置ずれすることを防止できる。
また、請求項5の発明によれば、止水材は、弾性変形可能な弾性材であり、突き合わせ部における一方の分割方立には、止水材を収容する溝部が形成され、突き合わせ部における他方の分割方立には、一対の分割方立を連結する際に、溝部に収容された止水材を押圧して弾性変形させる押圧部が形成されるので、平時の防水性をさらに向上させることができる。
また、請求項6の発明によれば、加熱発泡材は、加熱発泡材料を含む弾性変形可能な弾性材であり、突き合わせ部への水の侵入を阻止する止水材に兼用されるので、部品点数やコストの削減が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る建具の屋外側から視た正面図である。
図2】本発明の実施形態に係る建具を構成する窓ユニット及びその連結構造を示す正面図である。
図3図1の縦断面図である。
図4図1の横断面図である。
図5】方立部(分割方立の突き合わせ部)の平面断面図である。
図6】方立部の変形例を示す平面断面図である。
図7】(a)は上部小口フタの平面図、(b)は上部小口フタの正面図、(c)は上部小口フタの側面図である。
図8】(a)は下部小口フタの平面図、(b)は下部小口フタの側面図である。
図9】(a)は小口スペーサの正面図、(b)は小口スペーサの側面図である。
図10】(a)は上部小口マットシーラの平面図、(b)は下部小口マットシーラの平面図である。
図11】上部小口フタの制作手順を示す図である。
図12】下部小口フタの制作手順を示す図である。
図13】上部小口フタの取付状態を仮想線で示す建具の要部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[建具]
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1において、1は建具であって、該建具1は、左右方向に並ぶ2連の窓1a、1bを備え、窓1a、1b間には、方立1cが配置される。なお、本実施形態の窓1a、1bは、いずれも排煙窓であるが、窓1a、1bの種類は、排煙窓に限定されない。また、本実施形態の建具1は、2連の窓1a、1bを備えるが、3連以上の窓を備えてもよい。
【0009】
[窓ユニット]
図2に示すように、建具1は、窓1aを構成する第1窓ユニット2Aと、窓1bを構成する第2窓ユニット2Bとを含み、窓ユニット2A、2B同士を複数本(例えば、3~4本)の連結ネジ31(図3図6参照)を介して連結することで、2連の窓1a、1bを備える建具1が構成される。言い換えると、各窓ユニット2A、2Bは、それぞれ分割方立44A、44B(方立1cを左右方向に分割した形状のもの)を備えており、施工時に分割方立44A、44B同士を突き合わせ状に連結することで、方立1cが構成される。
【0010】
つぎに、第1窓ユニット2A及び第2窓ユニット2Bの構成について、図2図4を参照して説明する。なお、第1窓ユニット2A及び第2窓ユニット2Bの構成は、分割方立44A、44Bの左右位置と、窓1a、1bの左右幅において相違するものの、その他の部分においては略同様であるため、両窓ユニット2A、2Bの共通部分は、同一の符号を付けて説明を援用する場合がある。
【0011】
窓ユニット2A、2Bは、建物100の開口部に配置される枠体4と、枠体4の内周側に配置される障子5と、枠体4の下枠42と障子5の下框52との間に設けられるヒンジ部6と、を備えており、ヒンジ部6を回動支点として障子5を開閉動作可能に構成される。
【0012】
枠体4は、例えば、押出形材や曲げ物等からなる上枠41、下枠42、縦枠43及び分割方立44A(44B)を連結して正面視四角形状に構成される。上枠41、下枠42及び縦枠43は、建物100の躯体101に固定されるヒレ部41a、42a、43aを備える。上枠41のヒレ部41aは、上方に延在しており、複数本の固定ネジ32を介して躯体101に固定される。下枠42のヒレ部42aは、下方に延在しており、複数本の固定ネジ32を介して躯体101に固定される。縦枠43のヒレ部43aは、外側方に延在しており、複数本の固定ネジ32を介して躯体101に固定される。
【0013】
障子5は、例えば、押出形材や曲げ物等からなる上框51、下框52、及び左右の縦框53を連結して構成される正面視四角形状の框体54と、框体54の内周側に配置されるパネル55と、下框52に設けられ、パネル55の自重を支持するセッティングブロック56と、を備える。
【0014】
ヒンジ部6は、下枠42に形成される下枠側ヒンジ片61と、下框52に形成され、下枠側ヒンジ片61に回動可能に係合する下框側ヒンジ片62と、下枠42の上面部に取り付けられ、下枠側ヒンジ片61と下框側ヒンジ片62との係合状態を維持するヒンジ押さえ部材63と、を備える。下框側ヒンジ片62は、下枠側ヒンジ片61に屋内側から係合しており、ヒンジ押さえ部材63は、屋内側から下框側ヒンジ片62に当接することで、下枠側ヒンジ片61に対する下框側ヒンジ片62の抜けを規制している。
【0015】
[分割方立の突き合わせ部]
つぎに、分割方立44A、44Bの突き合わせ部について、図4図6を参照して説明する。
【0016】
図4図6に示すように、分割方立44A、44Bは、方立1cを左右方向に分割した形状を有し、施工時に分割方立44A、44B同士を突き合わせ、複数本の連結ネジ31を介して連結することで、方立1cが構成される。
【0017】
分割方立44A、44Bの突き合わせ部には、火災による熱で発泡し、突き合わせ部の隙間を塞ぐ加熱発泡材7が設けられる。例えば、図4及び図5に示す例では、加熱発泡材7を含む板形状の遮炎板71を分割方立44A、44Bの突き合わせ部に配置している。このような建具1によれば、分割方立44A、44Bの突き合わせ部には、火災による熱で発泡し、突き合わせ部の隙間を塞ぐ遮炎板71が設けられるので、火災時の遮炎性を向上させることができる。
【0018】
また、分割方立44A、44Bの突き合わせ部には、突き合わせ部における遮炎板71の屋外側に配置され、突き合わせ部への水の侵入を阻止する止水材81が設けられる。止水材81は、例えば、弾性変形可能なゴム質弾性材からなる線状のシール材である。このような建具1によれば、分割方立44A、44Bの突き合わせ部には、止水材81が設けられるので、平時の防水性を向上させることができる。また、止水材81は、遮炎板71よりも屋外側に配置されるので、水の侵入による遮炎板71の劣化も防止できる。
【0019】
また、分割方立44A、44Bの突き合わせ部には、前述した遮炎板71(第1加熱発泡材)や、その屋外側に配置される止水材81(第1止水材)に加えて、突き合わせ部における遮炎板71の屋内側に配置される第2の遮炎板72(第2加熱発泡材)と、突き合わせ部における遮炎板71の屋内側で、かつ第2の遮炎板72の屋外側に配置される第2の止水材82(第2止水材)と、が設けられる。このような建具1によれば、分割方立44A、44Bの突き合わせ部には、屋外側から順番に、第1の止水材81、第1の遮炎板71、第2の止水材82及び第2の遮炎板72が配置されるので、平時の防水性及び火災時の遮炎性をさらに向上させることができる。
【0020】
つぎに、遮炎板71、72及び止水材81、82を配置するための分割方立44A、44Bの具体的な構成について、図5を参照して説明する。
【0021】
図5に示すように、突き合わせ部における一方又は両方の分割方立44A、44Bには、分割方立44A、44Bを連結する際に他方の分割方立44A、44Bと当接又は近接し、突き合わせ部に遮炎板71、72の配置空間S1、S2を形成する複数の突部44a、44b、44c、44dが形成される。このような建具1によれば、分割方立44A、44Bを連結する際に遮炎板71、72が潰れたり、遮炎板71、72が位置ずれすることを防止できる。
【0022】
図5に示すように、突き合わせ部における一方の分割方立44Bには、止水材81、82を収容する溝部44e、44fが形成される。また、突き合わせ部における他方の分割方立44Aには、分割方立44A、44Bを連結する際に、溝部44e、44fに収容された止水材81、82を押圧して弾性変形させる押圧部44g、44hが形成される。このような建具1によれば、止水材81、82を確実に機能させ、平時の防水性をさらに向上させることができる。
【0023】
つぎに、分割方立44A、44Bの突き合わせ部の変形例について、図6を参照して説明する。
【0024】
図6に示す変形例の突き合わせ部には、加熱発泡材7としての遮炎板71、72が設けられず、止水材81、82が加熱発泡材7に兼用される。言い換えると、加熱発泡材7は、加熱発泡材料を含む弾性変形可能な弾性材からなり、突き合わせ部への水の侵入を阻止する止水材81、82に兼用される。このような変形例によれば、専用の加熱発泡材7(遮炎板71、72)が不要になるので、部品点数やコストの削減が可能になる。
【0025】
[小口フタ]
つぎに、分割方立44A、44B(方立1c)の上端部及び下端部を覆う上部小口フタ11及び下部小口フタ12について、図1図3図7図13を参照して説明する。
【0026】
上部小口フタ11は、上部カバー111と、小口スペーサ112と、上部小口マットシーラ113とを備える。図7に示すように、上部カバー111は、カバー本体部111aと、カバー本体部111aの前端部から下方に延在する水切り部111bと、カバー本体部111aの後端部から上方に延在するヒレ部111cとを備える。
【0027】
図2及び図3に示すように、カバー本体部111aは、分割方立44A、44Bの上端部を上方から覆うとともに、一対の固定ネジ33を介して分割方立44A、44Bの上端部に固定される。また、図3及び図13に示すように、ヒレ部111cは、窓ユニット2Aを構成する上枠41のヒレ部41aと、窓ユニット2Bを構成する上枠41のヒレ部41aとの間に形成される隙間S3を屋外側から覆うとともに、一対の固定ネジ34を介して躯体101に固定される。
【0028】
図9及び図13に示すように、小口スペーサ112は、隙間S3に嵌まるように形成された板状部材(ヒレ部41aと同等の板材)であり、図11に示すように、上部カバー111のヒレ部111cの屋内側の面に固定(例えば、両面粘着テープによる固定)される。図13に示すように、上部小口フタ11の取付状態では、小口スペーサ112が隙間S3に嵌まり、上枠41のヒレ部41aと面一となることで、隙間S3における遮炎性を確保する。
【0029】
図10の(a)及び図11に示すように、上部小口マットシーラ113は、マット状のシート部材であり、上部カバー111のカバー本体部111aの下面及びヒレ部111cの屋内側の面に亘って貼り付けられる。図3及び図13に示すように、上部小口フタ11の取付状態では、上部小口マットシーラ113が、上部カバー111のカバー本体部111aと分割方立44A、44Bの上端面との間や、上部カバー111のヒレ部111cと上枠41のヒレ部41aとの間に介在することで、分割方立44A、44Bの上端部における止水性が確保される。
【0030】
下部小口フタ12は、下部カバー121と、小口スペーサ122と、下部小口マットシーラ123とを備える。図8に示すように、下部カバー121は、カバー本体部121aと、カバー本体部111aの後端部から下方に延在するヒレ部121cとを備える。
【0031】
図2及び図3に示すように、カバー本体部121aは、分割方立44A、44Bの下端部を下方から覆う。また、ヒレ部121cは、窓ユニット2Aを構成する下枠42のヒレ部42aと、窓ユニット2Bを構成する下枠42のヒレ部42aとの間に形成される隙間S4(図示せず)を屋外側から覆うとともに、一対の固定ネジ35を介して躯体101に固定される。
【0032】
図9に示すように、小口スペーサ122は、隙間S4に嵌まるように形成された板状部材(ヒレ部42aと同等の板材)であり、図12に示すように、下部カバー121のヒレ部121cの屋内側の面に固定(例えば、両面粘着テープによる固定)される。下部小口フタ12の取付状態では、小口スペーサ122が隙間S4に嵌まり、下枠42のヒレ部42aと面一となることで、隙間S4における遮炎性を確保する。
【0033】
図10の(b)及び図12に示すように、下部小口マットシーラ123は、マット状のシート部材であり、下部カバー121のカバー本体部121aの上面及びヒレ部121cの屋内側の面に亘って貼り付けられる。下部小口フタ12の取付状態では、下部小口マットシーラ123が、下部カバー121のカバー本体部121aと分割方立44A、44Bの下端面との間や、下部カバー121のヒレ部121cと下枠42のヒレ部42aとの間に介在することで、分割方立44A、44Bの下端部における止水性が確保される。
【0034】
[実施形態の効果]
叙述の如く構成された本実施形態によれば、少なくとも2連の窓1a、1bを含む建具1であって、窓1a、1b間に配置される方立1cは、2連方向に分割された一対の分割方立44A、44Bを備え、施工時に一対の分割方立44A、44Bを突き合わせ状に連結して方立1cが構成され、一対の分割方立44A、44Bの突き合わせ部には、火災による熱で発泡し、突き合わせ部の隙間を塞ぐ遮炎板71、72(加熱発泡材7)が設けられるので、火災時の遮炎性を向上させることができる。
【0035】
また、建具1は、突き合わせ部における遮炎板71、72の屋外側に配置され、突き合わせ部への水の侵入を阻止する止水材81、82を備えるので、平時の防水性を向上させることができるだけでなく、水の侵入による遮炎板71、72の劣化を防止できる。
【0036】
また、建具1は、突き合わせ部に配置される第1の遮炎板71と、突き合わせ部における第1の遮炎板71の屋外側に配置される第1の止水材81と、突き合わせ部における第1の遮炎板71の屋内側に配置される第2の遮炎板72と、突き合わせ部における第1の遮炎板71の屋内側で、かつ第2の遮炎板72の屋外側に配置される第2の止水材82とを備えるので、平時の防水性及び火災時の遮炎性をさらに向上させることができる。
【0037】
また、遮炎板71、72は、板形状であり、突き合わせ部における一方又は両方の分割方立44A、44Bには、一対の分割方立44A、44Bを連結する際に他方の分割方立44A、44Bと当接又は近接し、突き合わせ部に遮炎板71、72の配置空間S1、S2を形成する突部44a、44b、44c、44dが形成されるので、一対の分割方立44A、44Bを連結する際に遮炎板71、72が潰れたり、遮炎板71、72が位置ずれすることを防止できる。
【0038】
また、止水材81、82は、弾性変形可能な弾性材であり、突き合わせ部における一方の分割方立44A、44Bには、止水材81、82を収容する溝部44e、44fが形成され、突き合わせ部における他方の分割方立44A、44Bには、一対の分割方立44A、44Bを連結する際に、溝部44e、44fに収容された止水材81、82を押圧して弾性変形させる押圧部44g、44hが形成されるので、平時の防水性をさらに向上させることができる。
【0039】
また、図6に示す変形例の加熱発泡材7は、加熱発泡材料を含む弾性変形可能な弾性材であり、突き合わせ部への水の侵入を阻止する止水材81、82に兼用されるので、部品点数やコストの削減が可能になる。
【符号の説明】
【0040】
1 建具
1a 窓
1b 窓
1c 方立
2A 第1窓ユニット
2B 第2窓ユニット
4 枠体
41 上枠
42 下枠
43 縦枠
44A 分割方立
44B 分割方立
44a~44d 突部
44e、44f 溝部
44g、44h 押圧部
5 障子
6 ヒンジ部
7 加熱発泡材
71 第1の遮炎板
72 第2の遮炎板
81 第1の止水材
82 第2の止水材
11 上部小口フタ
12 下部小口フタ
100 建物
101 躯体
S1、S2 配置空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13