(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039468
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】タンパク質含有食品用組成物、タンパク質含有食品、およびタンパク質含有食品の作製方法
(51)【国際特許分類】
A23L 5/00 20160101AFI20240314BHJP
A23L 29/238 20160101ALI20240314BHJP
A23L 29/269 20160101ALI20240314BHJP
A23L 29/212 20160101ALI20240314BHJP
A23L 9/20 20160101ALI20240314BHJP
A23C 19/09 20060101ALI20240314BHJP
A23C 19/08 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
A23L5/00 M
A23L29/238
A23L29/269
A23L29/212
A23L9/20
A23C19/09
A23C19/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144055
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】506009453
【氏名又は名称】オルガノフードテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】広住 亜季
【テーマコード(参考)】
4B001
4B025
4B035
4B041
【Fターム(参考)】
4B001AC03
4B001BC02
4B001EC04
4B025LB25
4B025LG27
4B025LG53
4B025LP01
4B035LC03
4B035LE04
4B035LG20
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4B035LG27
4B035LG44
4B035LK04
4B035LP01
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4B035LP31
4B041LC03
4B041LD01
4B041LH02
4B041LH04
4B041LH07
4B041LH16
4B041LK37
4B041LP01
(57)【要約】
【課題】高温で加熱してもタンパク質含有食品のタンパク質の凝集および油の分離を抑制することができるタンパク質含有食品用組成物、そのタンパク質含有食品用組成物を用いたタンパク質含有食品、およびタンパク質含有食品の作製方法を提供する。
【解決手段】アマシードガムを含有する、タンパク質含有食品用組成物、そのタンパク質含有食品用組成物を用いたタンパク質含有食品、およびタンパク質含有食品の作製方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アマシードガムを含有することを特徴とするタンパク質含有食品用組成物。
【請求項2】
請求項1に記載のタンパク質含有食品用組成物であって、
さらにグァーガム、カロブビーンガム、キサンタンガム、ウェランガム、ネイティブジェランガム、スクシノグリカン、およびデンプンのうちの少なくとも1つを含有することを特徴とするタンパク質含有食品用組成物。
【請求項3】
アマシードガムを含有することを特徴とするタンパク質含有食品。
【請求項4】
請求項3に記載のタンパク質含有食品であって、
さらにグァーガム、カロブビーンガム、キサンタンガム、ウェランガム、ネイティブジェランガム、スクシノグリカン、およびデンプンのうちの少なくとも1つを含有することを特徴とするタンパク質含有食品。
【請求項5】
アマシードガムを用いることを特徴とするタンパク質含有食品の作製方法。
【請求項6】
請求項5に記載のタンパク質含有食品の作製方法であって、
さらにグァーガム、カロブビーンガム、キサンタンガム、ウェランガム、ネイティブジェランガム、スクシノグリカン、およびデンプンのうちの少なくとも1つを用いることを特徴とするタンパク質含有食品の作製方法。
【請求項7】
請求項5に記載のタンパク質含有食品の作製方法であって、
タンパク質含有食品の原料と、前記アマシードガムと、を混合する混合工程と、
前記混合工程後にレトルト加熱処理またはボイル加熱処理を行う加熱工程と、
を含むことを特徴とするタンパク質含有食品の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質含有食品用組成物、そのタンパク質含有食品用組成物を含むタンパク質含有食品、およびタンパク質含有食品の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質含有食品として、例えば、チーズソース、ドレッシング等の液状食品が知られている。これらのタンパク質含有食品について、特に、レトルト殺菌処理や缶詰殺菌等の過酷な高圧高熱殺菌処理をしたものは、タンパク質の凝集によるざらつきや乳化不足による油の分離が見られることがある。
【0003】
タンパク質の凝集抑制剤としては、ウェランガム、ジェランガム、カラギナン等が使われている。また、加工澱粉であるオクテニルコハク酸デンプンナトリウムや、アラビアガムは、乳化能を有する乳化剤として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際特許出願公開第2017/061628号パンフレット
【特許文献2】特許第6503840号公報
【特許文献3】特許第3489418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、高温で加熱してもタンパク質含有食品のタンパク質の凝集および油の分離を抑制することができるタンパク質含有食品用組成物、そのタンパク質含有食品用組成物を用いたタンパク質含有食品、およびタンパク質含有食品の作製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、アマシードガムを含有する、タンパク質含有食品用組成物である。
【0007】
前記タンパク質含有食品用組成物において、さらにグァーガム、カロブビーンガム、キサンタンガム、ウェランガム、ネイティブジェランガム、スクシノグリカン、およびデンプンのうちの少なくとも1つを含有することが好ましい。
【0008】
本発明は、アマシードガムを含有する、タンパク質含有食品である。
【0009】
前記タンパク質含有食品において、さらにグァーガム、カロブビーンガム、キサンタンガム、ウェランガム、ネイティブジェランガム、スクシノグリカン、およびデンプンのうちの少なくとも1つを含有することが好ましい。
【0010】
本発明は、アマシードガムを用いる、タンパク質含有食品の作製方法である。
【0011】
前記タンパク質含有食品の作製方法において、さらにグァーガム、カロブビーンガム、キサンタンガム、ウェランガム、ネイティブジェランガム、スクシノグリカン、およびデンプンのうちの少なくとも1つを用いることが好ましい。
【0012】
前記タンパク質含有食品の作製方法において、タンパク質含有食品の原料と、前記アマシードガムと、を混合する混合工程と;前記混合工程後にレトルト加熱処理またはボイル加熱処理を行う加熱工程と;を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、高温で加熱してもタンパク質含有食品のタンパク質の凝集および油の分離を抑制することができるタンパク質含有食品用組成物、そのタンパク質含有食品用組成物を用いたタンパク質含有食品、およびタンパク質含有食品の作製方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0015】
<タンパク質含有食品用組成物>
本発明の実施の形態に係るタンパク質含有食品用組成物は、アマシードガムを含有する。本実施形態に係るタンパク質含有食品用組成物は、さらにグァーガム、カロブビーンガム、キサンタンガム、ウェランガム、ネイティブジェランガム、スクシノグリカン、およびデンプンのうちの少なくとも1つを含有してもよい。
【0016】
本発明者は、ウェランガムやジェランガムとは原料由来が異なるアマシードガムを用いて検討した結果、アマシードガムを添加することによって、高温で加熱してもタンパク質含有食品のタンパク質の凝集および油の分離を抑制することができることを見出した。特にチーズソース等のタンパク質含有食品においてアマシードガムを使用することによって、下記効果が得られる。
1.過加熱耐性があり、タンパク質の凝集抑制、乳化安定効果が得られる。
2.他の増粘多糖類、オクテニルコハク酸デンプンナトリウムよりも効果が高い。
3.乳化剤を用いなくてもアマシードガムが乳化能を有する。
近年では、乳化剤無添加という点は訴求ポイントとなる。
【0017】
アマシードガムは、アマ科アマ(Linum usitatissimum LINNE)の種子から得られたものであり、多糖類を主成分とするものである。アマシードガムとしては、一般に入手可能なものを制限なく使用することができる。
【0018】
グァーガムは、マメ科のグァー豆(Cyamopsis tetragonoloba)の種子の胚乳部から得られたものであり、多糖類を主成分とするものである。グァーガムとしては、一般に入手可能なものを制限なく使用することができる。
【0019】
カロブビーンガムは、マンノースとガラクトースとを4:1のモル比で含有するガラクトマンナンであり、ローカストビーンガムとも称される。カロブビーンガムは、例えば、マメ科イナゴマメ(Ceratonia siliqua L.)の種子の胚乳部分を分離および精製することにより得られる。カロブビーンガムとしては、一般に入手可能なものを制限なく使用することができる。
【0020】
キサンタンガムは、とうもろこしや大豆等を栄養分として微生物キサントモナス・キャンペストリス(Xanthomonas campestriss)が発酵する際に産生される天然の増粘多糖類であり、グルコース、マンノース、グルクロン酸の繰り返し単位からなる。キサンタンガムとしては、一般に入手可能なものを制限なく使用することができる。
【0021】
ウェランガムは、アルカリゲネス属菌(Alcaligenes)の培養によって得られるものであり、多糖類を主成分とするものである。ウェランガムとしては、一般に入手可能なものを制限なく使用することができる。
【0022】
ネイティブジェランガムは、スフィンゴモナス・エロディア(Sphingomonas elodea)の培養によって得られるものであり、多糖類を主成分とするものである。ネイティブジェランガムとしては、一般に入手可能なものを制限なく使用することができる。
【0023】
スクシノグリカンは、微生物であるアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)が生産する分子量100万程度の多糖類である。主鎖に4糖、側鎖に4糖の繰り返しユニットから構成され、側鎖にコハク酸とピルビン酸を含む。その構成成分の比率は、グルコース:ガラクトース:コハク酸:ピルビン酸が約7:1:1:1である。
【0024】
デンプンは、アミロースとアミロペクチンデンプンを含んでなる炭水化物である。デンプンとしては、一般に入手可能なものを制限なく使用することができ、例えば、アセチル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム等が挙げられ、乳化安定性等の点からオクテニルコハク酸デンプンナトリウムが好ましい。
【0025】
本実施形態に係るタンパク質含有食品用組成物において、さらにグァーガム、カロブビーンガム、キサンタンガム、ウェランガム、ネイティブジェランガム、スクシノグリカン、およびデンプンのうちの少なくとも1つを含有する場合のグァーガム、カロブビーンガム、キサンタンガム、ウェランガム、ネイティブジェランガム、スクシノグリカン、およびデンプンのうちの少なくとも1つの含有量は、例えば、アマシードガム100質量%に対して、10質量%~100質量%の範囲であり、好ましくは10質量%~40質量%の範囲である。グァーガム、カロブビーンガム、キサンタンガム、ウェランガム、ネイティブジェランガム、スクシノグリカン、およびデンプンのうちの少なくとも1つの含有量がアマシードガム100質量%に対して10質量%未満であると、アマシードガムとの相乗効果が得られない場合があり、100質量%を超えても、アマシードガムとの相乗効果が得られない場合がある。
【0026】
本実施形態に係るタンパク質含有食品用組成物は、アマシードガム、グァーガム、カロブビーンガム、キサンタンガム、ウェランガム、ネイティブジェランガム、スクシノグリカン、デンプンの他に、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、脱アシルジェランガム、寒天、食物繊維等の他の成分を含んでもよい。
【0027】
他の成分の含有量は、例えば、アマシードガム100質量%に対して10質量%~100質量%の範囲であり、好ましくは10質量%~40質量%の範囲である。
【0028】
本実施形態に係るタンパク質含有食品用組成物の形態は、特に限定されず、例えば粉末の形態であってもよいし、粒状に造粒した顆粒の形態であってもよい。
【0029】
<タンパク質含有食品>
本実施形態に係るタンパク質含有食品は、上記タンパク質含有食品用組成物を含有するタンパク質含有食品であり、アマシードガムを含有するタンパク質含有食品である。本実施形態に係るタンパク質含有食品は、さらにグァーガム、カロブビーンガム、キサンタンガム、ウェランガム、ネイティブジェランガム、スクシノグリカン、およびデンプンのうちの少なくとも1つを含有してもよい。
【0030】
タンパク質含有食品としては、チーズソース、チーズフォンデュ、クリーム、パスタソース、フラワーペースト、ホワイトソース等が挙げられる。チーズソースは、ゴーダチーズ、チェダーチーズ、サムソーチーズ等のナチュラルチーズや、ナチュラルチーズを加工したプロセスチーズを用いたチーズフードである。
【0031】
「ナチュラルチーズ」は、乳等省令により、次のように定められている。
1.乳、バターミルク(バターを製造する際に生じた脂肪粒以外の部分をいう。以下同じ。)、クリーム又はこれらを混合したもののほとんどすべて又は一部のたんぱく質を酵素その他の凝固剤により凝固させた凝乳から乳清の一部を除去したもの又はこれらを熟成したもの
2.前号に掲げるもののほか、乳等を原料として、たんぱく質の凝固作用を含む製造技術を用いて製造したものであって、同号に掲げるものと同様の化学的、物理的及び官能的特性を有するもの
【0032】
「プロセスチーズ」は、乳等省令により、ナチュラルチーズを粉砕し、加熱溶融し、乳化したものと定められている。
【0033】
「チーズフード」は、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ及びチーズフードの表示に関する公正競争規約により、乳等省令にいう乳又は乳製品を主要原料とする食品であって、一種以上のナチュラルチーズ又はプロセスチーズを粉砕し、混合し、加熱溶融し、乳化してつくられるもので、製品中のチーズ分の重量が51%以上のものをいう。
【0034】
「乳等を主要原料とする食品」は、製品中のチーズ分が51%未満のものをいう。
【0035】
これらのうち、上記タンパク質含有食品用組成物は、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ、チーズフード、乳等を主要原料とする食品に好適に適用され、チーズフードに特に好適に適用される。
【0036】
本実施形態に係るタンパク質含有食品中のアマシードガムの含有量は、タンパク質含有食品全体の質量に対して、例えば、0.05質量%~1.5質量%の範囲であり、好ましくは0.1質量%~0.5質量%の範囲である。タンパク質含有食品中のアマシードガムの含有量が、タンパク質含有食品全体の質量に対して0.05質量%未満であると、効果が得られない場合があり、1.5質量%を超えると、粘度が高くなり、作業性が悪くなる場合がある。
【0037】
グァーガム、カロブビーンガム、キサンタンガム、ウェランガム、ネイティブジェランガム、スクシノグリカン、およびデンプンのうちの少なくとも1つを含有する場合の本実施形態に係るタンパク質含有食品中のグァーガム、カロブビーンガム、キサンタンガム、ウェランガム、ネイティブジェランガム、スクシノグリカン、およびデンプンのうちの少なくとも1つの含有量は、タンパク質含有食品全体の質量に対して、例えば、10質量%~100質量%の範囲であり、好ましくは10質量%~40質量%の範囲である。タンパク質含有食品中のグァーガム、カロブビーンガム、キサンタンガム、ウェランガム、ネイティブジェランガム、スクシノグリカン、およびデンプンのうちの少なくとも1つの含有量が、タンパク質含有食品全体の質量に対して10質量%未満であると、アマシードガムとの相乗効果が得られない場合があり、100質量%を超えても、アマシードガムとの相乗効果が得られない場合がある。
【0038】
本実施形態に係るタンパク質含有食品は、上記タンパク質含有食品用組成物の他に、一般的にタンパク質含有食品に用いられる油脂、乳化剤、香料等の他の成分を含んでもよい。
【0039】
タンパク質含有食品中の他の成分の含有量は、各種タンパク質含有食品の製造の常法に従えばよく、特に制限はない。
【0040】
タンパク質含有食品中のタンパク質の含有量は、タンパク質含有食品全体の質量に対して、例えば、10質量%~30質量%の範囲であり、好ましくは10質量%~20質量%の範囲である。タンパク質含有食品中のタンパク質の含有量が、タンパク質含有食品全体の質量に対して10質量%未満であると、凝集抑制効果が得られない場合があり、30質量%を超えると、加工適性が悪くなったり、食感や味への影響が出る場合がある。
【0041】
本実施形態に係るタンパク質含有食品は、上記タンパク質含有食品用組成物を含有することにより、高温で加熱してもタンパク質の凝集および油の分離が抑制される。
【0042】
<タンパク質含有食品の作製方法>
本実施形態に係るタンパク質含有食品の作製方法は、アマシードガムを含有するタンパク質含有食品用組成物を用いる方法であり、アマシードガムを用いる方法である。本実施形態に係るタンパク質含有食品の作製方法は、さらにグァーガム、カロブビーンガム、キサンタンガム、ウェランガム、ネイティブジェランガム、スクシノグリカン、およびデンプンのうちの少なくとも1つを用いてもよい。
【0043】
タンパク質含有食品の作製方法は、各種タンパク質含有食品の製造の常法に従えばよく、特に制限はない。
【0044】
例えば、チーズフードは、水等にナチュラルチーズ、プロセスチーズ等のチーズと、アマシードガムと、必要に応じてグァーガム、カロブビーンガム、キサンタンガム、ウェランガム、ネイティブジェランガム、スクシノグリカン、およびデンプンのうちの少なくとも1つや、他の成分とを混合して、例えば80~90℃まで達温後、5~10℃で冷却して、作製すればよい。
【0045】
加熱または冷却後に、レトルト加熱処理(レトルト殺菌処理)(例えば、121℃で20分間)やボイル加熱処理(例えば、80~90℃で5~60分間)等の加熱処理を行ってもよい。レトルト加熱処理を行う場合は、タンパク質含有食品をレトルト加熱処理に耐え得る容器(耐熱性袋等)に充填すればよい。
【0046】
水としては、特に制限はないが、水道水、純水、軟水、硬水等が挙げられる。
【0047】
タンパク質含有食品は、ナチュラルチーズ、プロセスチーズ等のチーズ等のタンパク質含有食品の原料と、アマシードガムと、必要に応じて水等と、グァーガム、カロブビーンガム、キサンタンガム、ウェランガム、ネイティブジェランガム、スクシノグリカン、およびデンプンのうちの少なくとも1つや、他の成分とを混合する混合工程を含む方法によって、作製してもよい。混合工程後にレトルト加熱処理またはボイル加熱処理を行う加熱工程を含んでもよい。
【0048】
本実施形態に係るタンパク質含有食品用組成物をタンパク質含有食品に添加することにより、高温で加熱してもタンパク質含有食品のタンパク質の凝集および油の分離を抑制することができる。
【実施例0049】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0050】
[チーズソースの作製]
<実施例1、参考例1、比較例1~5>
表1に示す配合比(質量%)で各材料を水に加えてビーカー中で手混合して混合物を得た。混合物を、湯煎で加熱し、80℃まで到達した後、さらに90℃で1時間加熱し、容器に充填し、40℃で一晩(24時間)保存してチーズソースを作製した。
【0051】
混合物の粘度(Pa・s)を、80℃まで到達した後、50℃まで放冷し、単一円筒形回転粘度計(リオン製、ビスコテスタVT-06)B型粘度計(東機産業製、TV10M型)を用いて、50℃で100秒の条件で測定した。
【0052】
90℃で1時間加熱した後の凝集状態を目視にて確認し、下記基準で評価した。また、40℃で一晩保存した後の油の分離状態を目視にて確認し、下記基準で評価した。結果を表2に示す。
【0053】
なお、用いたキサンタンガム(J)は、タンパクとの反応性がある通常のキサンタンガムであり、キサンタンガム(DAI-SH)は、タンパクとの反応性が低い特殊タイプのキサンタンガムである。
【0054】
(凝集)
5:非常に良い(凝集がなく、非常になめらか)
4:良い(一部凝集しているが、なめらか)
3:普通(凝集していて、ややざらつく)
2:悪い(凝集していてざらつく)
1:非常に悪い(非常に凝集していて、非常にざらつく)
(油の分離)
5:非常に良い(分離なし)
4:良い(若干分離あり)
3:普通(油は見えないが、上澄みが透明)
2:悪い(一部分離している)
1:非常に悪い(完全に分離して2層に分かれている)
【0055】
【0056】
【0057】
実施例1のアマシードガムを用いると、凝集状態、油の分離状態ともに良好であった。
【0058】
<実施例2、参考例2、比較例6~13>
表3に示す配合比(質量%)で各材料を水に加えてビーカー中で手混合して混合物を得た。混合物を、湯煎で加熱し、80℃まで到達した後、袋に充填し、レトルト殺菌処理(121℃、20分間)を行い、チーズソースを作製した。
【0059】
レトルト殺菌処理を行った直後の凝集状態を目視にて確認し、上記基準で評価した。また、レトルト殺菌処理を行った直後の油の分離状態を目視にて確認し、上記基準で評価した。結果を表4に示す。
【0060】
【0061】
【0062】
実施例2のアマシードガムを用いると、凝集状態、油の分離状態ともに良好であった。
【0063】
<実施例2~9>
アマシードガムの添加量を固定したままチーズの含有量を変えた。表5に示す配合比(質量%)で各材料を水に加えてビーカー中で手混合して混合物を得た。混合物を、湯煎で加熱し、80℃まで到達した後、袋に充填し、レトルト殺菌処理(121℃、20分間)を行い、チーズソースを作製した。
【0064】
レトルト殺菌処理を行った直後の凝集状態を目視にて確認し、上記基準で評価した。また、レトルト殺菌処理を行った直後の油の分離状態を目視にて確認し、上記基準で評価した。また、各チーズソース中のタンパク質の含有量(質量%)を計算した。結果を表6に示す。
【0065】
【0066】
【0067】
チーズの含有量が40~80質量%(タンパク質含有量10.4~20.8質量%)で、特に50~70質量%(タンパク質含有量13.0~18.2質量%)で、凝集状態、油の分離状態ともに良好であった。
【0068】
<実施例2,10~17>
アマシードガムと他の増粘多糖類との併用をアマシードガム:他の増粘多糖類の配合比=50:50で検討した。表7に示す配合比(質量%)で各材料を水に加えてビーカー中で手混合して混合物を得た。混合物を、湯煎で加熱し、80℃まで到達した後、袋に充填し、レトルト殺菌処理(121℃、20分間)を行い、チーズソースを作製した。
【0069】
レトルト殺菌処理を行った直後の凝集状態を目視にて確認し、上記基準で評価した。また、レトルト殺菌処理を行った直後の油の分離状態を目視にて確認し、上記基準で評価した。結果を表8に示す。
【0070】
【0071】
【0072】
アマシードガムとキサンタンガム、ウェランガム、ネイティブジェランガム、またはスクシノグリカンとの併用が、特にアマシードガムとキサンタンガム(J)との併用が、凝集状態、油の分離状態ともに良好であった。
【0073】
<実施例2,12,18~21、比較例8>
アマシードガムとキサンタンガム(J)との併用においてアマシードガムとキサンタンガム(J)との配合比を検討した。表9に示す配合比(質量%)で各材料を水に加えてビーカー中で手混合して混合物を得た。混合物を、湯煎で加熱し、80℃まで到達した後、袋に充填し、レトルト殺菌処理(121℃、20分間)を行い、チーズソースを作製した。
【0074】
レトルト殺菌処理を行った直後の凝集状態を目視にて確認し、上記基準で評価した。また、レトルト殺菌処理を行った直後の油の分離状態を目視にて確認し、上記基準で評価した。結果を表10に示す。
【0075】
【0076】
【0077】
アマシードガムとキサンタンガム(J)との配合比=100:0~50:50、特に100:0~75:25で、凝集状態、油の分離状態ともに良好であった。
【0078】
<実施例2,22~26>
アマシードガムの配合量を検討した。表11に示す配合比(質量%)で各材料を水に加えてビーカー中で手混合して混合物を得た。混合物を、湯煎で加熱し、80℃まで到達した後、袋に充填し、レトルト殺菌処理(121℃、20分間)を行い、チーズソースを作製した。
【0079】
レトルト殺菌処理を行った直後の凝集状態を目視にて確認し、上記基準で評価した。また、レトルト殺菌処理を行った直後の油の分離状態を目視にて確認し、上記基準で評価した。結果を表12に示す。
【0080】
【0081】
【0082】
アマシードガムとキサンタンガム(J)との配合比=100:0~50:50、特に100:0~75:25で、凝集状態、油の分離状態ともに良好であった。
【0083】
このように、実施例のタンパク質含有食品用組成物によって、高温で加熱してもタンパク質含有食品のタンパク質の凝集および油の分離を抑制することができた。また、乳化剤を用いなくてもアマシードガムの乳化能によって乳化が可能であった。