(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039498
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】メモリカード用ソケット
(51)【国際特許分類】
H01R 12/73 20110101AFI20240314BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
H01R12/73
H05K1/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144097
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】飯田 晃宏
【テーマコード(参考)】
5E223
5E338
【Fターム(参考)】
5E223AA01
5E223AA11
5E223AB74
5E223BA07
5E223BA09
5E223CA19
5E223GB36
5E223GB42
5E338AA01
5E338AA16
5E338BB61
5E338EE02
(57)【要約】
【課題】メモリカードの熱を効率的に発散することができるメモリカード用ソケットを提供する。
【解決手段】本実施形態に係るメモリカード用ソケットは、メモリカードを差し込みあるいは抜き出すことが可能なメモリカード用ソケットである。第1パッドは、第1基板の第1面に設けられている。第1端子は、メモリカードの端子に接触する第1端部、および、第1パッドに電気的に接続された第2端部を有する。保持部は、第1面に設けられ、第1端子を第1基板に固定する。突起部は、第1面に設けられ、メモリカードの端子以外の部分に接触する第2面を有し、金属材料または絶縁材料で構成されている。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリカードを差し込みあるいは抜き出すことが可能なメモリカード用ソケットであって、
第1基板の第1面に設けられた第1パッドと、
前記メモリカードの端子に接触する第1端部、および、前記第1パッドに電気的に接続された第2端部を有する第1端子と、
前記第1面に設けられ、前記第1端子を前記第1基板に固定する保持部と、
前記第1面に設けられ、前記メモリカードの端子以外の部分に接触する第2面を有し、金属材料または絶縁材料で構成された突起部と、を備える、メモリカード用ソケット。
【請求項2】
メモリカードを差し込みあるいは抜き出すことが可能なメモリカード用ソケットであって、
第1基板の第1面に設けられた第1パッドと、
前記メモリカードの端子に電気的に接続される第1端部、および、前記第1パッドに電気的に接続された第2端部を有する第1端子と、
前記第1面に設けられ、前記第1端子を前記第1基板に固定する保持部と、
前記第1面に設けられ、前記メモリカードの端子以外の部分に接触する第2面を有し、前記メモリカードを放熱させる、突起部と、を備える、メモリカード用ソケット。
【請求項3】
前記メモリカードが前記メモリカード用ソケットに差し込まれていないときに、前記第1面から前記第1端部までの第1距離は、前記第1面から前記第2面までの第2距離よりも長い、請求項1または請求項2に記載のメモリカード用ソケット。
【請求項4】
前記保持部は、前記メモリカードが前記メモリカード用ソケットに差し込まれたときに、前記メモリカードに対向する第3面を有し、
前記メモリカードが前記メモリカード用ソケットに差し込まれていないときに、前記第1面から前記第3面までの第3距離は、前記第1および第2距離よりも短い、請求項3に記載のメモリカード用ソケット。
【請求項5】
前記第2面の反対側にある前記突起部の第4面に接続され、前記第1基板に設けられた金属層をさらに備える、請求項1または請求項2に記載のメモリカード用ソケット。
【請求項6】
前記第2面の面積は、前記第4面の面積よりも大きい、請求項5に記載のメモリカード用ソケット。
【請求項7】
複数の前記突起部を備え、
前記複数の前記突起部は、金属材料で構成され、それぞれ前記第1パッド、前記第1端子および前記保持部に接触することなく配置されている、請求項1または請求項2に記載のメモリカード用ソケット。
【請求項8】
複数の前記突起部を備え、
前記複数の前記突起部は、絶縁材料で構成され、それぞれ前記第1パッド、前記第1端子および前記保持部の無いスペースに配置されている、請求項1または請求項2に記載のメモリカード用ソケット。
【請求項9】
前記第2面の面積は、前記第1パッドの面積よりも大きい、請求項1または請求項2に記載のメモリカード用ソケット。
【請求項10】
前記メモリカードが差し込まれたときに、前記メモリカードを前記第1基板側へ向かって押圧する蓋部を、さらに備える請求項1または請求項2に記載のメモリカード用ソケット。
【請求項11】
前記第1基板は、電子デバイスの実装基板である、請求項10に記載のメモリカード用ソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、メモリカード用ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
メモリカードを電子デバイスに実装するためのメモリカード用ソケットが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8747163号明細書
【特許文献2】米国特許第8547703号明細書
【特許文献3】米国特許第7066766号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メモリカードの熱を効率的に発散することができるメモリカード用ソケットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態に係るメモリカード用ソケットは、メモリカードを差し込みあるいは抜き出すことが可能なメモリカード用ソケットである。第1パッドは、第1基板の第1面に設けられている。第1端子は、メモリカードの端子に接触する第1端部、および、第1パッドに電気的に接続された第2端部を有する。保持部は、第1面に設けられ、第1端子を第1基板に固定する。突起部は、第1面に設けられ、メモリカードの端子以外の部分に接触する第2面を有し、金属材料または絶縁材料で構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】第1実施形態に係るメモリカード用ソケットの構成例を示す平面図である。
【
図1B】第1実施形態に係るメモリカード用ソケットの構成例を示す断面図である。
【
図1C】メモリカードを挿入した場合における、第1実施形態に係るメモリカード用ソケットの構成例を示す断面図である。
【
図2】第2実施形態に係るメモリカード用ソケットの構成例を示す断面図である。
【
図3A】第3実施形態に係るメモリカード用ソケットの構成例を示す平面図である。
【
図3B】第3実施形態に係るメモリカード用ソケットの構成例を示す断面図である。
【
図4A】第4実施形態に係るメモリカード用ソケットの構成例を示す平面図である。
【
図4B】第4実施形態に係るメモリカード用ソケットの構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
(メモリカード用ソケット100の構成)
図1A~
図1Cを参照して、第1実施形態に係るメモリカード用ソケット100の構成を説明する。
【0009】
図1Aは、第1実施形態に係るメモリカード用ソケット100の構成例を示す平面図である。
図1Aでは、蓋部15の図示が省略されている。
図1Bおよび
図1Cは、第1実施形態に係るメモリカード用ソケット100の構成例を示す断面図である。
図1Bおよび
図1Cは、
図1AのAA線におけるメモリカード用ソケット100の断面図である。
図1Bは、メモリカード用ソケット100にメモリカード30を差し込んでいない状態を示している。
図1Cは、メモリカード用ソケット100にメモリカード30を差し込んだ状態を示している。
【0010】
図1A~
図1Cに示すように、メモリカード用ソケット100は、金属パッド11a~11cと、金属端子12a~12cと、保持部13a~13cと、突起部14と、蓋部15とを備える。
【0011】
メモリカード用ソケット100は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等の電子デバイスに実装される。メモリカード用ソケット100は、該電子デバイスの基板10に実装される。メモリカード用ソケット100は、メモリカード30を差し込みあるいは抜き出すことが可能に構成されたソケットである。
基板10は、第1基板の例である。基板10は、面(第1面)F1を有している。基板10には、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁材料が用いられる。基板10内には、金属材料からなる複数の配線層や貫通電極等が設けられている。
図1Bに示すように、基板10の面F1上には、金属パッド11a~11cと、金属端子12a~12cと、保持部13a~13cと、突起部14と、蓋部15とが設けられている。金属パッド11a~11cは、それぞれ同一構成を有しているため、以下では単に金属パッド11とも呼ぶ。金属端子12a~12cは、それぞれ同一構成を有しているため、以下では単に金属端子12とも呼ぶ。保持部13a~13cは、それぞれ同一構成を有しているため、以下では単に保持部13とも呼ぶ。
【0012】
金属パッド11は、
図1Bに示すように、面F1の表面に埋設されるように設けられる。金属パッド11は、第1パッドの例である。金属パッド11の表面は、面F1において露出されている。金属パッド11は、金属端子12の一端に電気的に接続されている。金属パッド11には、例えば、銅または金等の導電性材料が用いられる。
図1Aに示すように、金属パッド11は面積S1の表面積を有し、金属パッド11の設けられる数は任意である。
【0013】
金属端子12は、
図1Bに示すように、第1端部121と第2端部122とを有している。金属端子12は、第1端子の例である。金属端子12には、銅または金等の導電性材料が用いられる。金属端子12において、第1端部121がメモリカード30の金属パッド32(後述)に電気的に接続され、第2端部122が金属パッド11に電気的に接続される。第1端部121から面F1までの垂直距離は、距離H1である。距離H1は、第1距離の例である。なお、金属端子12は、金属パッド11のそれぞれに、1つずつ対応するように設けられてもよい。
【0014】
保持部13は、
図1Bに示すように、面F1上に設けられる。保持部13には、LCP(Liquid Crystal Polymer)等の樹脂材料が用いられる。保持部13は、金属端子12を、第1端部121と第2端部122との間を外部から覆うようにして基板10に対して固定している。保持部13にLCP等の絶縁材料が用いられるため、保持部13と金属端子12とが電気的に分離される。保持部13の面(第3面)F3から面F1までの垂直距離は、距離H3である。距離H3は、第3距離の例である。面F3は、メモリカード30がメモリカード用ソケット100に差し込まれたときに、メモリカード30に対向する保持部13の面である。
【0015】
突起部14は、
図1Bに示すように、面F1上に設けられる。突起部14には、例えば、金等の熱伝導率が高い金属材料、または、樹脂等の熱伝導率が高い絶縁材料が用いられる。突起部14に導電性の金属材料を用いる場合、突起部14は、金属パッド11と金属端子12とから離間し、電気的に分離して設けられる。一方、突起部14に絶縁材料を用いる場合、突起部14は、金属パッド11と金属端子12と保持部13とから、必ずしも離間して設けられなくてもよい。突起部14は、面F1に接触する面(第4面)F4と、面F4の反対側の面(第2面)F2と、を有している。面F2は面積S2の表面積を有し、面F4は面積S4の表面積を有する。面F2から面F1までの垂直距離は、距離H2である。距離H2は、第2距離の例である。
【0016】
蓋部15は、
図1Cに示すように、メモリカード用ソケット100にメモリカード30が差し込まれたときに、メモリカード30を基板10側へ向かって押圧する。これにより、金属端子12の第1端部121がメモリカード30の金属パッド32に押し当てられ、電気的に安定して接続される。また、メモリカード用ソケット100は、メモリカード30を保持することができる。蓋部15には、ステンレス等が用いられる。蓋部15がメモリカード30を保持する際、蓋部15は、後述するメモリカード30の封止樹脂35の上面と接触してもよい。これにより、蓋部15はメモリカード30で発生する熱を発散させることができる。蓋部15は、保持部13c上に形成されているが、これに限られず、例えば、保持部13a上に形成されてもよく、または、保持部13上ではなく基板10上に形成されてもよい。
【0017】
図示しないが、メモリカード用ソケット100にメモリカード30が挿入されたことを検知する検知部が設けられていてもよい。
【0018】
(メモリカード30の構成)
図1Cに示すように、メモリカード30は、回路基板31と、金属パッド32a~32cと、回路部33と、メモリ部34と、封止樹脂35とを備える。
【0019】
回路基板31は、回路パターン等を有しており、回路基板31上にはメモリカード30の各構成が設けられる。回路基板31には、ガラスエポキシ樹脂等の絶縁材料が用いられる。回路基板31の基板10側の面には、金属パッド32a~32cが設けられている。金属パッド32a~32cは、それぞれ同一構成を有しているため、以下では単に金属パッド32とも呼ぶ。
【0020】
金属パッド32は、回路基板31の基板10側の面に設けられている。メモリカード30がメモリカード用ソケット100に差し込まれたときに、金属パッド32は、金属端子12の第1端部121に押圧され電気的に接続される。金属パッド32には、例えば、金(Au)等の導電性材料が用いられる。なお、金属パッド32は、金属端子12のそれぞれに、1つずつ対応して接続するように設けられてもよい。
【0021】
回路部33は、回路基板31上に設けられる。回路部33は、メモリカード30の各構成を制御する制御回路である。例えば、回路部33は、メモリ部34へ制御信号を送信し、メモリ部34へのデータの書き込み、メモリ部34からのデータの読み出し、および、メモリ部34のデータ消去などを行い、メモリ部34のデータの記憶状態を管理する。回路部33は、任意のロジック回路でよい。
【0022】
メモリ部34は、回路基板31上に設けられる。メモリ部34は、メモリカード30の外部から受信したデータを記憶して管理する。データはメモリ部34のメモリセル等(図示せず)に記憶され、データの読み出し等はメモリセルを流れるセル電流を通じて行われる。メモリ部34は、NAND型フラッシュメモリ等の任意のメモリチップでよい。
【0023】
回路部33およびメモリ部34は、詳細は図示しないが、回路基板31内の金属配線等を介して、金属パッド32に電気的に接続される。また、メモリカード用ソケット100の金属パッド11と金属端子12とは電気的に接続されている。これにより、回路部33およびメモリ部34が、金属パッド11と電気的に接続される。さらに金属パッド11は、電子デバイスの各構成に電気的に接続される。上記のようにして、メモリカード30と電子デバイスが電気的に接続され、両者の間においてデータのやりとりが可能となる。
【0024】
封止樹脂35は、回路基板31の蓋部15側の面に設けられ、回路部33およびメモリ部34を封止して保護する。封止樹脂35には、エポキシ樹脂等の絶縁材料が用いられる。封止樹脂35に絶縁材料が用いられることで、上述したように、蓋部15が封止樹脂35に接触した場合でも、蓋部15と回路部33およびメモリ部34との電気的な分離が確保される。
【0025】
メモリカード30には、例えば、XFMD(Crossover Flash Memory Embedded and Removable Memory Device)が用いられる。XFMDは、JEDEC(Joint Electron Device Engineering Councils)における規格である。メモリカード30は、SSD(Solid State Drive)であってもよい。XFMDは、例えば、PCIe Gen.3.0/NVMe1.3インターフェースを採用した場合には4レーンでの4GB/sの速度で動作し、PCIe Gen.4.0/NVMeインターフェースを採用した場合には4レーンでの8GB/sの速度で動作するため、従来のSSDの動作よりも高速である。
【0026】
(突起部14によるメモリカード30の放熱)
ここで、
図1A~
図1Cを参照して、メモリカード30からの発熱を、突起部14により放熱することについて詳細に説明する。
【0027】
上述したように、メモリカード30(XFMD)は、従来のSSDよりも高速に動作するため、単位時間当たりのデータの処理数が多い。このため、回路部33が送信する単位時間当たりの制御信号が多く、加えて、メモリ部34を流れる単位時間当たりのセル電流が多い。このため、回路部33およびメモリ部34の発熱量が比較的多くなり、メモリカード30の発熱量は従来のSSDよりも多くなる。メモリカード30からの発熱は、メモリカード用ソケット100の金属端子12と、メモリカード30の金属パッド32との接触面を通じて、電子デバイス側に放熱される。しかし、メモリカード30の金属パッド32との接触面積は比較的小さいので、XFMDのようにメモリカード30の発熱量が多い場合、メモリカード30が高温になる。この状況を鑑み本実施形態では、メモリカード30の発熱をより効率的に放熱するために、メモリカード用ソケット100に突起部14を設けている。
【0028】
突起部14は、
図1Cに示すように、面F2がメモリカード30の回路基板31に接触し、面F4が基板10に接触している。上述したように、突起部14は熱伝導率の高い材料を用いるため、メモリカード30の発熱は、突起部14を介して電子デバイス側に放熱される。すなわち、突起部14はメモリカード30の放熱板としての機能を有する。したがって、突起部14の放熱により金属端子12および金属パッド32が高温となることが抑制される。
【0029】
図1Aに示すように、突起部14は面積S2であり、金属パッド11の面積S1よりも十分に広い。したがって、突起部14と回路基板31との接触面からは、金属端子12と金属パッド32との接触面よりも効率的に放熱される。突起部14が接触する回路基板31の部分は、回路部33またはメモリ部34の直下の部分が望ましい。この理由としては、上述したようにメモリカード30で発熱する部分は、主に回路部33およびメモリ部34であり、放熱板としての突起部14は、これら回路部33またはメモリ部34の近傍に位置した方がより効率的に放熱できるからである。
【0030】
また、
図1Cに示すように、突起部14は、面F2の面積S2が面F4の面積S4よりも広い、T字型の断面形状を有してもよい。面F2が比較的広い場合、突起部14とメモリカード30との接触面も比較的広くなる。これにより、突起部14は、メモリカード30の発熱をより効率的に放熱できる。
【0031】
ここで、
図1Bに示すように、メモリカード30がメモリカード用ソケット100に差し込まれていないときに、突起部14の高さ(距離H2)は、金属端子12の第1端部121の高さ(距離H1)よりも低く、かつ、保持部13の高さ(距離H3)よりも高い。換言すると、メモリカード30がメモリカード用ソケット100に差し込まれていないときに、基板10の面F1から金属端子12の第1端部121までの距離H1は、面F1から面F2までの距離H2よりも長い。尚且つ、メモリカード30がメモリカード用ソケット100に差し込まれていないときに、面F1から保持部13の上面までの距離H3は、距離H1、H2よりも短い。
本実施形態において、突起部14は放熱板としてメモリカード30に接触する必要があり、かつ、金属端子12と金属パッド32とはデータのやり取りのために接触(電気的に接続)する必要がある。
仮に、突起部14の高さが第1端部121の高さよりも高い場合、メモリカード30がメモリカード用ソケット100に差し込まれても、第1端部121はメモリカード30の金属パッド32に接触できなくなってしまう。このため、突起部14の高さは第1端部121の高さよりも低い必要がある。なお、
図1Cに示すように、メモリカード用ソケット100にメモリカード30を挿入して、蓋部15を閉じれば、メモリカード30が金属端子12を押し下げる。金属端子12は、多少の弾性を有しているため、第1端部121はメモリカード30により押し下げられれば、撓んで突起部14と同じ高さ(距離H2)まで低くなる。したがって、突起部14の高さが、金属端子12の第1端部121の高さよりも低くても、メモリカード30は突起部14に接触することができる。
一方で仮に、突起部14の高さが保持部13の高さよりも低い場合、突起部14はメモリカード30に接触できなくなってしまう。保持部13は金属端子12のように弾性を有しておらず、メモリカード30により押し下げようとしても、保持部13の高さ(距離H3)は殆ど変わらないからである。したがって、突起部14がメモリカード30に接触するためには、突起部14の高さは保持部13の高さよりも高い必要がある。
これにより、メモリカード用ソケット100は、突起部14によるメモリカード30の放熱と、金属端子12および金属パッド32の電気的接続によるデータのやり取りとを両立することができる。
【0032】
以上のように、第1実施形態によれば、突起部14は、メモリカード30がメモリカード用ソケット100に差し込まれたときに、メモリカード30に接触し、メモリカード30の発熱を電子デバイス側に放熱する放熱板として機能する。これにより、金属端子12および金属パッド32が高温となることが抑制される。
【0033】
第1実施形態では、突起部14の高さは、第1端部121の高さよりも低く、保持部13の高さよりも高い。即ち、メモリカード30がメモリカード用ソケット100に差し込まれていないときに、基板10の面F1から金属端子12の第1端部121までの距離H1は、面F1から面F2までの距離H2よりも長い。尚且つ、メモリカード30がメモリカード用ソケット100に差し込まれていないときに、面F1から保持部13の上面までの距離H3は、距離H1、H2よりも短い。これにより、メモリカード用ソケット100にメモリカード30を挿入した際に、突起部14は回路基板31に接触し、第1端部121は金属パッド32に電気的に接続される。したがって、メモリカード用ソケット100は、突起部14によるメモリカード30の放熱と、金属端子12および金属パッド32の電気的接続によるデータのやり取りとを両立することができる。
【0034】
また、突起部14の放熱面(面F2)は実装面(面F4)よりも広い形状を有してもよい。放熱面が比較的広いことで、突起部14とメモリカード30との接触面も比較的広くなり、メモリカード30の発熱をより効率的に放熱できる。
【0035】
(第2実施形態)
図2は、第2実施形態に係るメモリカード用ソケット100の構成例を示す平面図である。第2実施形態は、基板10と突起部14との間に金属層16を備える点で第1実施形態と異なる。
【0036】
金属層16は、突起部14の面F4の下に、基板10に埋設するように設けられている。金属層16は、比較的熱伝導率が高い材料が用いられ、例えば、金等の金属材料が用いられる。
【0037】
金属層16は、突起部14に接触して設けられているため、メモリカード30の発熱は、突起部14を介して金属層16にも放熱される。このため第2実施形態においては、メモリカード30の発熱は、より体積の大きい物体(突起部14および金属層16)へ熱伝導されるため、より効率的に放熱される。なお、金属層16は、詳細は図示しないが、さらに基板10内に設けられている他のヒートシンク(図示せず)に接続されてもよい。この場合、メモリカード30の発熱は、さらに体積の大きい物体(突起部14、金属層16、および、ヒートシンク)へ熱伝導されるため、さらに効率的に放熱される。なお、金属層16に接続される放熱用のヒートシンクは、金属パッド11および配線(図示せず)に接触しないように設けられる。これにより基板10内において、放熱用のヒートシンクと金属パッド11または配線との短絡を抑制することができる。金属層16の表面の面積は、熱伝導性および放熱性を高めるために面F3、F4の面積よりも大きいことが好ましい。
【0038】
その他の第2実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同様で良い。したがって、第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果も得られる。
【0039】
(第3実施形態)
図3Aは、第3実施形態に係るメモリカード用ソケット100の構成例を示す平面図である。
図3Bは、第3実施形態に係るメモリカード用ソケット100の構成例を示す断面図である。
図3Bは、
図3AのBB線におけるメモリカード用ソケット100の断面図である。第3実施形態は、突起部14の面F2の面積が、第1実施形態の面F2の面積よりも広い。
【0040】
図3Aに示すように、第3実施形態では、基板10上において、金属端子12bおよび金属パッド11bが設けられていない部分には、保持部13bも設けられていない。このため、基板10上の中心部分に広いスペースが生じる。よって、この中心部分の広いスペースに、突起部14が設けられている。これにより、比較的大きい突起部14を設けることができ、突起部14の面F2の面積S2も比較的広くすることができる。したがって、メモリカード30の発熱は、面F2の面積がより広い突起部14を介して伝導する。このため、メモリカード30の発熱は、より効率的に放熱される。
例えば、
図3Bに示すように、突起部14は、回路部33およびメモリ部34が位置する直下の範囲を、いずれもカバーすることができる程度の大きさの面F2を有し、回路部33およびメモリ部34からの発熱を効率的に放熱することができる。なお、
図3Bでは、突起部14の下に金属層16が設けられているが、金属層16は必ずしも設けられなくてもよい。金属層16の構成および効果は、第2実施形態と同様である。
【0041】
その他の第3実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同様で良い。したがって、第3実施形態においても第1実施形態と同様の効果も得られる。
【0042】
(第4実施形態)
図4Aは、第4実施形態に係るメモリカード用ソケット100の構成例を示す平面図であり、
図4Bは、第4実施形態に係るメモリカード用ソケット100の構成例を示す断面図である。
図4Bは、
図4AのCC線におけるメモリカード用ソケット100の断面図である。第4実施形態は、複数の突起部14、17を備えている点で第1実施形態と異なる。複数の突起部14、17は、それぞれ金属パッド11および金属端子12に接触しないように配置されている。
【0043】
突起部17は、突起部14と大きさが異なるものの、その構成および機能は、突起部14と同様である。すなわち、突起部17は、基板10の面F1に載置されるように設けられる。突起部17には、例えば、金等の熱伝導率が高い金属材料、または、樹脂等の熱伝導率が高い絶縁材料が用いられる。突起部17に導電性の金属材料を用いる場合、突起部17は、金属パッド11と金属端子12とから離間し、電気的に分離される。一方、突起部17に絶縁材料を用いる場合、突起部17は、金属パッド11、金属端子12および保持部13から、必ずしも離間して設けられなくてもよく、接触していてもよい。
【0044】
図4Aおよび
図4Bに示すように、突起部17は、基板10上において、突起部14が設けられておらず、かつ、金属パッド11、金属端子12および保持部13の無いスペースに設けられている。突起部17は、基板10上において、他の構成が設けられていない任意の領域に設けられる。突起部17の面F2の面積S3の大きさは任意であり、突起部14の面F2の面積S2の大きさよりも大きくてもよく、小さくてもよく、または、同等でもよい。ただし、メモリカード30の発熱を効率的に放熱するために、面F2の面積S3の大きさは、面F4の面積S5よりも大きいことが望ましい。さらに、
図4Aおよび
図4Bでは、1つの突起部17が図示されているが、これに限られず、基板10上の構成のレイアウトの関係から、2つ以上の突起部17が設けられていてもよい。即ち、3つ以上の突起部が設けられていてもよい。
【0045】
突起部14に加えて突起部17が設けられることにより、突起部14の面F2に加えて突起部17の面F2が、メモリカード30に接触することになる。このため第4実施形態においては、メモリカード30の発熱は、突起部14および17の両方に伝導されるため、より効率的に放熱される。さらに、突起部17が突起部14と別個に設けられることにより、
図4Bに示すように、例えば、回路部33およびメモリ部34が離間して設けられている場合であっても、突起部14は回路部33が位置する直下の範囲をカバーすることができ、突起部17はメモリ部34が位置する直下の範囲をカバーすることができる。これにより、突起部14および突起部17により、回路部33およびメモリ部34からの発熱を効率的に放熱することができる。なお、
図4Bでは、突起部14の下に金属層16が設けられており、突起部17の下に金属層18が設けられているが、金属層16および金属層18は必ずしも設けられなくてもよい。金属層16および金属層18の構成および効果は、第2実施形態と同様である。
【0046】
その他の第4実施形態の構成は、第1実施形態の構成と同様で良い。したがって、第4実施形態においても第1実施形態と同様の効果も得られる。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0048】
100…メモリカード用ソケット、10…基板、11a~11c…金属パッド、12a~12c…金属端子、13a~13c…保持部、14,17…突起部、15…蓋部、16,18…金属層、30…メモリカード、31…回路基板、32a~32c…金属パッド、33…回路部、34…メモリ部、35…封止樹脂、121…第1端部、122…第2端部、F1~F4…第1~第4面、H1~H3…距離、S1~S5…面積