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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039501
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】塗工装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/02 20060101AFI20240314BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20240314BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
B05C5/02
B05C11/00
B05C11/10
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144101
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦上 太一
(72)【発明者】
【氏名】石津 誠二
(72)【発明者】
【氏名】市野 遊
(72)【発明者】
【氏名】梅原 将一
(72)【発明者】
【氏名】石塚 直宏
(72)【発明者】
【氏名】岸本 尚也
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AA02
4F041AA12
4F041AB01
4F041BA05
4F041CA02
4F041CA13
4F041CA16
4F042AA02
4F042AA22
4F042AB00
4F042BA05
4F042BA08
4F042BA19
4F042BA25
4F042DF19
4F042DF24
(57)【要約】
【課題】バックアップロールへ熱が伝達されることを抑制することができる塗工装置を得る。
【解決手段】塗工装置10は、放熱部28を備えており、この放熱部28によってバックアップロール12を駆動する駆動部26に発生する熱を放熱することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを搬送可能なバックアップロールと、
前記ワークに塗液を吐出可能な塗工ダイと、
前記バックアップロールを駆動可能な駆動部と、
前記駆動部に発生する熱を放熱可能な放熱部と、
を備えた塗工装置。
【請求項2】
前記バックアップロールと前記駆動部との間に配置された断熱部をさらに備える、
請求項1に記載の塗工装置。
【請求項3】
前記バックアップロールを支持する支持部をさらに備えると共に、
前記断熱部は、前記支持部と前記駆動部との間に介在している、
請求項2に記載の塗工装置。
【請求項4】
前記駆動部は、前記バックアップロールと連結された減速部と、当該減速部に駆動力を入力する駆動モータと、を備えると共に、
前記放熱部の一部が前記減速部と前記駆動モータとの間に介在している、
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の塗工装置。
【請求項5】
前記放熱部は、前記減速部と前記駆動モータとの間に介在する介在部と、当該介在部と一体又は一体的に設けられると共に、当該駆動モータと間隔をあけて配置された放熱板と、を備えている、
請求項4に記載の塗工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、塗布装置に関する発明が開示されている。この塗布装置では、塗布ギャップ調節部によって、スリットダイの吐出口を形成するリップ先端部を支えるリップベース部を変形させて、塗布ギャップを調節することができる。このため、下記特許文献1に係る先行技術では、温度変化等によってスリットダイが変形しても塗液の膜厚が基準範囲に収まる確度を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-130066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、塗液の膜厚が基準範囲から外れる要因としては、ワークを支持するバックアップロールに熱が伝達されることでバックアップロールが変形することも考えられる。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、バックアップロールへの熱の伝達の抑制については考慮されておらず、上記特許文献1に係る発明は、バックアップロールへ熱が伝達されることを抑制するという点において改善の余地がある。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、バックアップロールへ熱が伝達されることを抑制することができる塗工装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の本発明に係る塗工装置は、ワークを搬送可能なバックアップロールと、前記ワークに塗液を吐出可能な塗工ダイと、前記バックアップロールを駆動可能な駆動部と、前記駆動部に発生する熱を放熱可能な放熱部と、を備えている。
【0008】
請求項1に記載の本発明によれば、ワークが駆動部で駆動されたバックアップロールによって搬送されると共に、塗工ダイからワークに塗液が吐出されることで、ワークに塗液が塗布される。
【0009】
ところで、駆動部が駆動するとき、駆動部に負荷がかかることで駆動部が発熱することが考えられる。そして、駆動部の熱がバックアップロールに伝達されることでバックアップロールが変形し、塗液の膜厚が基準範囲に収まらないことが考えられる。
【0010】
ここで、本発明では、放熱部を備えており、この放熱部によって駆動部に発生する熱を放熱することができ、その結果、駆動部からバックアップロールに伝達される熱量を低減することができる。
【0011】
請求項2に記載の本発明に係る塗工装置は、請求項1に記載の発明において前記バックアップロールと前記駆動部との間に配置された断熱部をさらに備えている。
【0012】
請求項2に記載の本発明によれば、バックアップロールと駆動部との間に断熱部が配置されており、駆動部で発生した熱のバックアップロールへの伝達経路が断熱部によって遮断される。
【0013】
請求項3に記載の本発明に係る塗工装置は、請求項2に記載の発明において、前記バックアップロールを支持する支持部をさらに備えると共に、前記断熱部は、前記支持部と前記駆動部との間に介在している。
【0014】
請求項3に記載の本発明によれば、バックアップロールが支持部で支持されており、断熱部が支持部と駆動部との間に介在している。このため、本発明では、バックアップロールに近い位置において、駆動部からバックアップロールへの熱の伝達を遮断することができる。
【0015】
請求項4に記載の本発明に係る塗工装置は、請求項1~請求項3の何れか1項に記載の発明において、前記駆動部は、前記バックアップロールと連結された減速部と、当該減速部に駆動力を入力する駆動モータと、を備えると共に、前記放熱部の一部が前記減速部と前記駆動モータとの間に介在している。
【0016】
請求項4に記載の本発明によれば、駆動部がバックアップロールと連結された減速部と駆動モータとを備えている。そして、駆動モータの駆動力が減速部を介して入力されることで、バックアップロールの回転速度及び回転力が調整される。
【0017】
ところで、駆動部から発生する熱は、主に駆動モータから発生するため、バックアップロールへの熱の伝達を抑制するには、駆動モータの近傍において駆動モータで発生する熱を放熱できることが好ましい。
【0018】
ここで、本発明では、放熱部の一部が減速部と駆動モータとの間に介在しており、駆動モータで発生した熱を駆動モータの近傍で放熱し、この熱が減速部に伝達することを抑制することができる。
【0019】
請求項5に記載の本発明に係る塗工装置は、請求項4に記載の発明において、前記放熱部は、前記減速部と前記駆動モータとの間に介在する介在部と、当該介在部と一体又は一体的に設けられると共に、当該駆動モータと間隔をあけて配置された放熱板と、を備えている。
【0020】
請求項5に記載の本発明によれば、放熱部が介在部と、当該介在部と一体又は一体的に設けられた放熱板とを備えている。そして、介在部は、減速部と駆動モータとの間に介在しており、この介在部によって駆動モータの熱が減速部に伝達することを抑制することができる。
【0021】
また、介在部と別途放熱板を設けることで、駆動モータから伝達された熱が放熱される面積を確保することができる。
【0022】
さらに、本発明では、放熱板が駆動モータと間隔をあけて配置されているため、駆動モータが駆動するときに駆動モータが振動しても、放熱板と駆動モータとが干渉することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明に係る塗工装置は、バックアップロールへ熱が伝達されることを抑制することができるという優れた効果を有する。
【0024】
請求項2に記載の本発明に係る塗工装置は、バックアップロールへ熱が伝達されることをより抑制することができるという優れた効果を有する。
【0025】
請求項3に記載の本発明に係る塗工装置は、バックアップロールの周辺部に熱が伝達されることを抑制することができるという優れた効果を有する。
【0026】
請求項4に記載の本発明に係る塗工装置は、駆動部の周辺において駆動部で発生した熱が放熱される確度を高めることができるという優れた効果を有する。
【0027】
請求項5に記載の本発明に係る塗工装置は、放熱量を確保しつつ、駆動部を安定した状態で駆動させることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本実施形態に係る塗工装置において放熱部周辺の構成を模式的に示す断面図である。
図2】本実施形態に係る塗工装置においてバックアップロールと駆動部との境界部の構成を模式的に示す断面図である。
図3】本実施形態に係る塗工装置の概略構成を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図1図3を用いて、本発明に係る「塗工装置10」の実施形態の一例について説明する。なお、各図に適宜示される矢印Xは、塗工装置10の前後方向一方側を示しており、矢印Yは、塗工装置10の幅方向一方側を示しており、矢印Zは、塗工装置10の上下方向上側を示している。また、以下では、塗工装置10の前後方向を単に前後方向と称し、塗工装置10の幅方向を単に幅方向と称し、塗工装置10の上下方向を単に上下方向と称することとする。
【0030】
図3に示されるように、塗工装置10は、「ワークW」を搬送可能な「バックアップロール12」と、バックアップロール12を支持する「支持部14」と、「塗工ダイ16」とを備えている。
【0031】
バックアップロール12は、外形が円柱状とされており、軸方向を幅方向とされて配置されている。また、バックアップロール12の表面には、ワークWの裏面が接触するようになっている。なお、ワークWとしては、例えば、金属製の箔材や等が挙げられる。
【0032】
支持部14は、図2にも示されるように、バックアップロール12の端部12Aを、軸受け18を介して支持している。また、支持部14には、バックアップロール12にワークWを供給可能とされたロール20が取り付けられている。
【0033】
塗工ダイ16は、上流側ダイ本体部22と、下流側ダイ本体部24とを備えると共に、図示しない塗液供給部から供給された塗液を吐出口16AからワークWの表面に吐出するようになっている。そして、塗工ダイ16とバックアップロール12との間隔は、所定の間隔に設定されている。なお、以下では、塗工ダイ16とバックアップロール12との間隔を塗工ギャップと称することとする。また、塗工ダイ16は、図示しない移動装置によってバックアップロール12との相対位置関係を調整可能とされている。
【0034】
ここで、本実施形態では、図1及び図2に示されるように、バックアップロール12を駆動する「駆動部26」に対して「放熱部28」が設けられている点に第1の特徴がある。また、支持部14と駆動部26との間に「断熱部30」が設けられている点に第2の特徴がある。以下、駆動部26、放熱部28及び断熱部30の構成について詳細に説明することとする。
【0035】
駆動部26は、「駆動モータ32」と、駆動モータ32に連結された「減速部34」と、減速部34と支持部14との間に介在する連結部材36とを備えている。
【0036】
駆動モータ32は、図示しない電力供給部から電力を供給されて所定の回転数及び駆動力で駆動可能とされている。
【0037】
一方、減速部34は、ケース34Aとケース34Aに内蔵された複数のギヤを含んで構成されており、駆動モータ32からの出力をバックアップロール12の運転に適した回転速度及び駆動力に調整可能とされている。また、減速部34の出力軸34Bは、バックアップロール12の端部12Aに連結されており、駆動モータ32からの出力は、減速部34を介してバックアップロール12に伝達されるようになっている。
【0038】
放熱部28は、放熱部28の取り付けに用いられる「介在部38」と、放熱部28の主な部分を構成する「放熱板40」とを備えている。
【0039】
詳しくは、介在部38は、板厚方向を上下方向とされた板状とされると共に、駆動モータ32と減速部34とに挟持された状態となっている。なお、介在部38には、駆動モータ32の出力軸32Aが挿通される貫通部42が形成されている。
【0040】
一方、放熱板40は、その主な部分を構成する主板部40Aと、一対の延出板部40Bとを含んで構成されている。なお、放熱板40は、介在部38と一体とされていてもよいし、介在部38に取付部材等で取り付けられていてもよい。
【0041】
詳しくは、主板部40Aは、板厚方向を幅方向とされて前後方向及び上下方向に延在する板状とされている。また、主板部40Aは、幅方向から見て駆動モータ32と重なるようにかつ駆動モータ32に対して幅方向に間隔をあけられた状態で配置されている。
【0042】
一方、延出板部40Bは、主板部40Aの前後方向一方側及び前後方向他方側の周縁部のそれぞれから板厚方向を前後方向とされて幅方向一方側に延出した板状とされている。
【0043】
断熱部30は、一例として発泡ゴムで構成されると共に、板厚方向を幅方向とされた板状とされており、支持部14と連結部材36とに挟持された状態となっている。
【0044】
(本実施形態の作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果を説明する。
【0045】
本実施形態に係る塗工装置10では、図3に示されるように、ワークWが駆動部26で駆動されたバックアップロール12によって搬送されると共に、塗工ダイ16からワークWに塗液が吐出されることで、ワークWに塗液が塗布される。
【0046】
ところで、駆動部26が駆動するとき、駆動部26に負荷がかかることで駆動部26が発熱することが考えられる。そして、駆動部26の熱がバックアップロール12に伝達されることでバックアップロール12が変形し、塗液の膜厚が基準範囲に収まらないことが考えられる。
【0047】
ここで、本実施形態では、図1に示されるように、放熱部28を備えており、この放熱部28によって駆動部26に発生する熱を放熱することができ、その結果、駆動部26からバックアップロール12に伝達される熱量を低減することができる。したがって、本実施形態では、バックアップロール12へ熱が伝達されることを抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態では、図2に示されるように、バックアップロール12と駆動部26との間に断熱部30が配置されており、駆動部26で発生した熱のバックアップロール12への伝達経路が断熱部30によって遮断される。したがって、本実施形態では、バックアップロール12へ熱が伝達されることをより抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態では、バックアップロール12が支持部14で支持されており、断熱部30が支持部14と駆動部26との間に介在している。このため、本実施形態では、バックアップロール12に近い位置において、駆動部26からバックアップロール12への熱の伝達を遮断することができる。したがって、本実施形態では、バックアップロール12の周辺部に熱が伝達されることを抑制することができる。
【0050】
図1に戻り、本実施形態では、駆動部26が、バックアップロール12と連結された減速部34と、駆動モータ32とを備えている。そして、駆動モータ32の駆動力が減速部34を介して入力されることで、バックアップロール12の回転速度及び回転力が調整される。
【0051】
ところで、駆動部26から発生する熱は、主に駆動モータ32から発生するため、バックアップロール12への熱の伝達を抑制するには、駆動モータ32の近傍において駆動モータ32で発生する熱を放熱できることが好ましい。
【0052】
ここで、本実施形態では、放熱部28の一部が減速部34と駆動モータ32との間に介在しており、駆動モータ32で発生した熱を駆動モータ32の近傍で放熱し、この熱が減速部34に伝達することを抑制することができる。したがって、本実施形態では、駆動部26の周辺において駆動部26で発生した熱が放熱される確度を高めることができる。
【0053】
また、本実施形態では、放熱部28が介在部38と、介在部38と一体又は一体的に設けられた放熱板40とを備えている。そして、介在部38は、減速部34と駆動モータ32との間に介在しており、この介在部38によって駆動モータ32の熱が減速部34に伝達することを抑制することができる。
【0054】
また、介在部38と別途放熱板40を設けることで、駆動モータ32から伝達された熱が放熱される面積を確保することができる。
【0055】
さらに、本実施形態では、放熱板40が駆動モータ32と間隔をあけて配置されているため、駆動モータ32が駆動するときに駆動モータ32が振動しても、放熱板40と駆動モータ32とが干渉することを抑制することができる。
【0056】
したがって、本実施形態では、放熱量を確保しつつ、駆動部26を安定した状態で駆動させることができる。
【0057】
<上記実施形態の補足説明>
(1) 上述した実施形態では、放熱部28による放熱が主に放熱板40で行われていたが、塗工装置10の仕様等に応じて、放熱板40に放熱フィン等を設ける構成としてもよい。
【0058】
(2) また、上述した実施形態では、駆動部26から放熱部28に伝達された熱を放熱する構成とされていたが、塗工装置10の仕様等に応じて、空冷ファンやペルチェ素子等を用いて駆動部26の放熱を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10 塗工装置
12 バックアップロール
14 支持部
16 塗工ダイ
26 駆動部
28 放熱部
30 断熱部
32 駆動モータ
34 減速部
38 介在部
40 放熱板
W ワーク
図1
図2
図3