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特開2024-39509情報処理装置、最適化方法および最適化プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039509
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】情報処理装置、最適化方法および最適化プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 67/60 20060101AFI20240314BHJP
   G06Q 10/08 20240101ALN20240314BHJP
【FI】
B65G67/60 F
G06Q10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144118
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 秀史
【テーマコード(参考)】
3F077
5L049
【Fターム(参考)】
3F077AA01
3F077EA01
3F077EA09
3F077EA28
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】貨物配置の最適化の精度を向上させることを課題とする。
【解決手段】情報処理装置は、空間内の複数の部分空間夫々の高さと複数の空間の相互間の第1経路と複数の部分空間夫々から空間の出入口への第2経路とが定義された空間情報を受け付け、複数の貨物の空間への運び入れ時および運び出し時に、運び入れ対象の貨物または運び出し対象の貨物が配置される部分空間から出入口への第1経路上の他の部分空間には、他の貨物が存在しないことを示す第1の制約条件と、複数の部分空間夫々の高さを超えない貨物の数であって複数の部分空間夫々に配置することが可能な貨物数を示す第2の制約条件と、複数の部分空間夫々の高さを超えない貨物の最大積載量を示す第3の制約条件を生成し、第1から第3の制約条件に基づいて、複数の部分空間の何れにも複数の部分空間の夫々の高さ超える貨物が配置されないことを条件として貨物の配置を決定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の貨物が配置される空間に関し、前記空間に含まれる複数の部分空間それぞれの高さと、前記複数の部分空間の相互間の第1経路と、前記複数の部分空間それぞれから前記空間の出入口への第2経路と、が定義された、前記空間に関する空間情報を受け付ける受付部と、
前記空間情報にしたがって、前記複数の貨物の前記空間への運び入れ時および運び出し時に、運び入れ対象の貨物または運び出し対象の貨物が配置される部分空間から前記出入口への前記第1経路上の他の部分空間には、他の貨物が存在しないことを示す第1の制約条件と、前記複数の部分空間それぞれの高さを超えない貨物の数であって前記複数の部分空間それぞれに配置することが可能な貨物数を示す第2の制約条件と、前記複数の部分空間それぞれの高さを超えない貨物の最大積載量を示す第3の制約条件とを生成する生成部と、
前記第1の制約条件、前記第2の制約条件、および、前記第3の制約条件に基づいて、前記複数の部分空間の何れにも、前記複数の部分空間のそれぞれの高さ超える貨物が配置されないことを条件として、前記空間における前記複数の貨物の配置を決定する決定部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記複数の部分空間は第1部分空間と、前記第1部分空間の上に配置される第2部分空間を含み、前記第1部分空間の高さは変更可能であり、前記第1部分空間の高さを増加させた場合には、前記第2部分空間の高さは減少し、
前記複数の貨物は、第1貨物を含み、
前記生成部は、前記第1部分空間の高さを前記第1貨物の高さ以上の高さに変更できないときは前記第1貨物は前記第1部分空間を通過できないこと、および、前記第1部分空間に前記第1貨物が配置されているときは前記第2部分空間を貨物は通過できないことを示す第4の制約条件を生成し、
前記決定部は、前記第1の制約条件、前記第2の制約条件、前記第3の制約条件、および、前記第4の制約条件に基づいて前記空間における前記複数の貨物の配置を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記生成部は、
前記第1貨物が前記第1部分空間に配置されることで前記第1部分空間の高さが増加した場合、前記第2部分空間には、減少した前記第2部分空間の高さまでの貨物しか配置できないことを示す第5の制約条件を生成し、
前記決定部は、前記第1の制約条件、前記第2の制約条件、前記第3の制約条件、前記第4の制約条件、および、前記第5の制約条件に基づいて前記空間における前記複数の貨物の配置を決定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記生成部は、前記空間の不安定度合いを算出する目的関数を生成し、
前記決定部は、前記第1の制約条件と前記第2の制約条件と前記第3の制約条件と前記第4の制約条件と前記第5の制約条件と前記目的関数とを用いたエネルギー関数を用いて、前記空間における前記複数の貨物の配置を決定することを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記エネルギー関数をイジングマシンに入力して、前記イジングマシンによる求解結果を用いて、前記空間における前記複数の貨物の配置を決定することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータが、
複数の貨物が配置される空間に関し、前記空間に含まれる複数の部分空間それぞれの高さと、前記複数の部分空間の相互間の第1経路と、前記複数の部分空間それぞれから前記空間の出入口への第2経路と、が定義された、前記空間に関する空間情報を受け付け、
前記空間情報にしたがって、前記複数の貨物の前記空間への運び入れ時および運び出し時に、運び入れ対象の貨物または運び出し対象の貨物が配置される部分空間から前記出入口への前記第1経路上の他の部分空間には、他の貨物が存在しないことを示す第1の制約条件と、前記複数の部分空間それぞれの高さを超えない貨物の数であって前記複数の部分空間それぞれに配置することが可能な貨物数を示す第2の制約条件と、前記複数の部分空間それぞれの高さを超えない貨物の最大積載量を示す第3の制約条件とを生成し、
前記第1の制約条件、前記第2の制約条件、および、前記第3の制約条件に基づいて、前記複数の部分空間の何れにも、前記複数の部分空間のそれぞれの高さ超える貨物が配置されないことを条件として、前記空間における前記複数の貨物の配置を決定する、
処理を実行することを特徴とする最適化方法。
【請求項7】
コンピュータに、
複数の貨物が配置される空間に関し、前記空間に含まれる複数の部分空間それぞれの高さと、前記複数の部分空間の相互間の第1経路と、前記複数の部分空間それぞれから前記空間の出入口への第2経路と、が定義された、前記空間に関する空間情報を受け付け、
前記空間情報にしたがって、前記複数の貨物の前記空間への運び入れ時および運び出し時に、運び入れ対象の貨物または運び出し対象の貨物が配置される部分空間から前記出入口への前記第1経路上の他の部分空間には、他の貨物が存在しないことを示す第1の制約条件と、前記複数の部分空間それぞれの高さを超えない貨物の数であって前記複数の部分空間それぞれに配置することが可能な貨物数を示す第2の制約条件と、前記複数の部分空間それぞれの高さを超えない貨物の最大積載量を示す第3の制約条件とを生成し、
前記第1の制約条件、前記第2の制約条件、および、前記第3の制約条件に基づいて、前記複数の部分空間の何れにも、前記複数の部分空間のそれぞれの高さ超える貨物が配置されないことを条件として、前記空間における前記複数の貨物の配置を決定する、
処理を実行させることを特徴とする最適化プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、最適化方法および最適化プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
階層建ての倉庫、平面の駐車場、車両輸送船などに貨物を配置する際、貨物や車両の運び入れや運び出し時に貨物等が通行の妨げにならないように、貨物等を運び入れるときの配置を最適化することが行われている。
【0003】
例えば、1階建ての天井がオープンな船に複数の倉庫から薄板コイルを運搬して船に2段積みで積載する時に、船のバランス等を最適化する技術が利用されている。また、複数の配送元から複数の配送先に配送品を配送する場合、各配送先で配送品を卸した後に他の配送品を積んで次の配送先に配送するために、運送効率の良い配送計画を作成する技術が利用されている。また、自動車専用船への積付計画(車両配置)において、船内のブロック内で船内障害物を避けブロークンスペースを作らないように個別の車両配置を決定する技術が利用されている。
【0004】
近年では、複数回の運び入れと運び出しが発生する状況で、車両輸送船内の各ブロックに車両を配置するプランニングを行うときに、運び入れ及び陸揚げが可能であることを考慮しながら、貨物配置の最適化を行う技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-173366号公報
【特許文献2】特開2015-230660号公報
【特許文献3】特開2021-169369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、貨物輸送船の天井には上下可動なパネルが用いられるなど、各デッキの高さが一定でない貨物輸送船が利用されつつある。このような貨物輸送船に対して上記最適化技術による最適化を行った場合、最適化の精度が低下することが考えられる。
【0007】
一つの側面では、貨物配置の最適化の精度を向上させることができる情報処理装置、最適化方法および最適化プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の案では、情報処理装置は、複数の貨物が配置される空間に関し、前記空間に含まれる複数の部分空間それぞれの高さと、前記複数の部分空間の相互間の第1経路と、前記複数の部分空間それぞれから前記空間の出入口への第2経路と、が定義された、前記空間に関する空間情報を受け付ける受付部と、前記空間情報にしたがって、前記複数の貨物の前記空間への運び入れ時および運び出し時に、運び入れ対象の貨物または運び出し対象の貨物が配置される部分空間から前記出入口への前記第1経路上の他の部分空間には、他の貨物が存在しないことを示す第1の制約条件と、前記複数の部分空間それぞれの高さを超えない貨物の数であって前記複数の部分空間それぞれに配置することが可能な貨物数を示す第2の制約条件と、前記複数の部分空間それぞれの高さを超えない貨物の最大積載量を示す第3の制約条件とを生成する生成部と、前記第1の制約条件、前記第2の制約条件、および、前記第3の制約条件に基づいて、前記複数の部分空間の何れにも、前記複数の部分空間のそれぞれの高さ超える貨物が配置されないことを条件として、前記空間における前記複数の貨物の配置を決定する決定部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
一つの側面では、貨物配置の最適化の精度を向上させることができる情報処理装置、最適化方法および最適化プログラムを提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施例1にかかる情報処理装置を説明する図である。
図2図2は、最適化の精度低下を説明する図である。
図3図3は、最適化の精度低下を説明する図である。
図4図4は、実施例1にかかる情報処理装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
図5図5は、車両運搬船の模式図である。
図6図6は、車両運搬船の空間をグラフ構造で表した図である。
図7図7は、デッキの高さ管理表を説明する図である。
図8図8は、車両搬入出表を説明する図である。
図9図9は、ブロックをセルに分割した模式図である。
図10図10は、最適化装置による求解と解が表す車両配置の演算を説明する図である。
図11図11は、最適化された車両配置を説明する図である。
図12図12は、最適化処理の流れを示すフローチャートである。
図13図13は、定式化計算の流れを示すフローチャートである。
図14図14は、ハードウェア構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本願の開示する情報処理装置、最適化方法および最適化プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、各実施例は、矛盾のない範囲内で適宜組み合わせることができる。
【実施例0012】
(情報処理装置の説明)
図1は、実施例1にかかる情報処理装置10を説明する図である。図1に示す情報処理装置10は、階層建ての倉庫、平面の駐車場、車両輸送船などに貨物を配置する際、貨物や車両の運び入れや運び出し時に貨物等が通行の妨げにならないように、貨物等を運び入れるときの貨物配置を最適化するコンピュータ装置の一例である。最適化装置50は、アニーリング計算機やイジングマシンなどの一例であり、情報処理装置10から入力された計算式の最適化を実行する。
【0013】
実施例1では、貨物配置の一例として、1回の航海で複数の港で車両を積み込み、複数の港で陸揚げする車両輸送船を例にして説明する。なお、車両は、貨物の一例であり、車両輸送船は、貨物を配置する対象空間の一例である。また、対象空間は、複数のデッキを含み、各デッキは、複数のブロックに分割される。
【0014】
図1に示すように、情報処理装置10は、複数の区画(部分空間とも呼ぶ)に区分けされるとともに、複数の区画間の経路と複数の区画それぞれから出入口への経路が定義された、車両を配置する車両輸送船内に関する空間情報の入力を受け付ける。同様に、情報処理装置10は、どの港で何台の車両を積み込み、どの港で何台の車両を陸揚げするかを示す、いわゆる車両搬入出表に該当する搬出入情報の入力を受け付ける。
【0015】
そして、情報処理装置10は、入力された情報を用いて、制約条件を生成する。例えば、情報処理装置10は、車両の積み込み時および陸揚げ時に、積み込みまたは陸揚げ対象の車両から出入口への経路上に他の車両が存在しないことを示す制約条件を生成する。また、情報処理装置10は、積み込み数および陸揚げ数は予め指定されていることを示す制約条件を生成する。また、情報処理装置10は、複数の区画それぞれには予め設定される積載量(最大積載量)を越えない範囲で車両を配置することを示す制約条件を生成する。
【0016】
その後、最適化装置50が、情報処理装置10により生成された各制約条件を用いて、最適化を実行し、情報処理装置10が、最適化結果を用いて、適切な車両の配置を決定する。
【0017】
ところが、船内の各デッキの高さは一定ではないことがあり、上記最適化手法では、最適化の精度が低下することがある。図2図3は、最適化の精度低下を説明する図である。図2に示すように、船内は、高さが1.8mのデッキ1、高さが2.0mのデッキ2、高さが2.5mのデッキ3、高さが2.5mのデッキ4、高さが2.0mのデッキ5、高さが1.8mのデッキ6を有している。つまり、デッキごとに高さが異なる。この場合、車高が高い車両は、高さが低いデッキに配置できない場合があるが、上記制約条件を用いた最適化では、この点が考慮されていないことから、最適化の結果が正しいとは限らない。
【0018】
また、デッキの高さが可変な場合も、最適化の精度低下を説明する可能性がある。図3に示すように、デッキ3の天井であってデッキ4の床となるパネルが可変式であり、デッキ3の高さを高くすることができることもある。このように、デッキ内の一部の領域の天井が上下可動なパネルが存在する時に、パネルの上下に配置または通過できる車両には車高の制約が発生するが、上記制約条件を用いた最適化では、この点が考慮されていないことから、最適化の結果が正しいとは限らない。
【0019】
そこで、実施例1にかかる情報処理装置10は、少なくとも船内のデッキの高さが一定ではないことを考慮し、適切な車高の車両配置を決定する方法を提供する。さらに、実施例1にかかる情報処理装置10は、デッキ高さが可変であることも考慮して、車両配置の精度をさらに向上させることもできる。
【0020】
具体的には、情報処理装置10は、複数の区画に区分けされるとともに、複数の区画それぞれの高さと複数の区画の相互間の経路と複数の区画それぞれから出入口への経路とが定義された、所定の高さを有する貨物を配置する対象空間に関する空間情報を受け付ける。
【0021】
そして、情報処理装置10は、空間情報にしたがって、貨物の運び入れ時および運び出し時に、運び入れ対象または運び出し対象の貨物から出入口への経路上の各区画には他の貨物が存在しないことを示す制約条件1を生成する。さらに、情報処理装置10は、複数の区画それぞれの高さを超えない貨物の数であって複数の区画それぞれに対する運び入れる貨物数および運び出す貨物数を示す制約条件2と、複数の区画それぞれについて各区画の高さを超えない貨物の最大積載量を示す制約条件3とを生成する。その後、情報処理装置10は、制約条件1、制約条件2、および、制約条件3に基づいて対象空間における貨物の配置を決定する。
【0022】
すなわち、実施例1にかかる情報処理装置10は、車両の車高を船のデッキ高さを基準にカテゴリ分けし、制約条件1から3を生成することで、貨物配置の最適化の精度を向上させることができる。
【0023】
さらに、情報処理装置10は、パネルの高さ制約に対応する第4の制約条件や第5の制約条件5を新たに追加することで、高さが可変であることも考慮して、車両配置の精度をさらに向上させることもできる。
【0024】
(機能構成)
図4は、実施例1にかかる情報処理装置10の機能構成を示す機能ブロック図である。図4に示すように、情報処理装置10は、通信部11、表示部12、記憶部13、制御部20を有する。
【0025】
通信部11は、他の装置の間の通信を制御する処理部であり、例えば通信インタフェースなどにより実現される。例えば、通信部11は、管理者などが利用する装置などの外部装置との間で、各種データの送受信を実行する。
【0026】
表示部12は、各種情報を表示する処理部であり、例えばディスプレイやタッチパネルなどにより実現される。例えば、表示部12は、最終的に得られた車両の配置結果や、算出された求解結果などを表示する。
【0027】
記憶部13は、各種データや制御部20が実行するプログラムなどを記憶する処理部であり、例えばメモリやハードディスクなどにより実現される。この記憶部13は、船舶情報14、車両搬入出表15を記憶する。
【0028】
船舶情報14は、複数の区画に区分けされるとともに、複数の区画それぞれの高さと複数の区画間の経路と複数の区画それぞれから出入口への経路が定義された、所定の高さを有する車両を配置する車両輸送船に関する情報である。例えば、船舶情報14は、車両運搬船の模式図をグラフ化した情報やデッキの高さ管理表などを含む。
【0029】
まず、車両運搬船の模式図について説明する。図5は、車両運搬船の模式図である。図5に示す模式図に示すように、車両輸送船は、1階のデッキ1から6階のデッキ6まで6階建てあり、各デッキはブロックに分割されるとともに、出入口は1箇所でデッキ3にあり、各デッキはスロープS1、S2、S3で繋がっている。
【0030】
また、デッキ6は、高さが1.8mであり、ブロック1から4の4つのブロックに分割される。デッキ5は、高さが2.0mであり、ブロック5から8の4つのブロックに分割される。デッキ4は、高さが2.5mであり、ブロック9から12の4つのブロックに分割される。デッキ3は、高さが2.5mであり、ブロック13から16の4つのブロックに分割される。デッキ2は、高さが2.0mであり、ブロック17から19の3つのブロックに分割される。デッキ1は、高さが1.8mであり、ブロック20から22の3つのブロックに分割される。
【0031】
また、スロープS1は、デッキ6およびデッキ5からデッキ3の出入口までの経路であり、スロープS2は、デッキ4から出入口までの経路であり、スロープS1は、デッキ2およびデッキ1から出入口までの経路である。
【0032】
次に、車両運搬船の模式図をグラフ化した情報について説明する。図6は、車両運搬船の空間をグラフ構造で表した図である。図6に示すように、同一デッキ内の各ブロックは、相互に繋がっている。また、デッキ6のブロック1からブロック4は、ブロック2、ブロック6、ブロック13を順に経由して出入口に繋がる。デッキ5のブロック5からブロック8は、ブロック6、ブロック13を順に経由して出入口に繋がる。デッキ4のブロック9からブロック12は、ブロック10、ブロック13を順に経由して出入口に繋がる。
【0033】
デッキ3のブロック13からブロック16は、ブロック13を経由して出入口に繋がる。デッキ2のブロック17からブロック19は、ブロック17、ブロック14、ブロック13を順に経由して出入口に繋がる。デッキ1のブロック20からブロック22は、ブロック20、ブロック17、ブロック14、ブロック13を順に経由して出入口に繋がる。
【0034】
次に、デッキの高さ管理表について説明する。図7は、デッキの高さ管理表を説明する図である。図7に示すように、デッキの高さ管理表には、デッキごとの高さが規定され、高さ1が規定の高さを示し、高さ2および高さ3が可変により変更される最大限の高さを示す。
【0035】
例えば、図7の例では、デッキ1、2、3、4、5、6のそれぞれは、1.8m、2.0m、2.5m、2.5m、2.0m、1.8mの高さに設定されている。また、デッキ3とデッキ4の各天井のパネルが可変である。さらに、デッキ3は、高さが3.0mに変更できるエリアと、高さが5.0mに変更できるエリアを有する。また、デッキ3の上に位置するデッキ4は、デッキ3のパネルの位置により、高さが2.0mに変更されるエリアと、高さが0.0mに変更されるエリアを含む。
【0036】
なお、船舶情報14には、図5から図7に示したデッキ位置、ブロック位置、スロープ位置などを含むグラフ構造の情報以外にも、各ブロックの最大積載量などが定義された積載情報も含まれる。
【0037】
図4に戻り、車両搬入出表15は、寄港順や積み下ろし台数などを定めた搬入出情報の一例である。図8は、車両搬入出表15を説明する図である。図8に示すように、車両搬入出表15は、車両を積み込む積み込み港と、車両を陸揚げする陸揚げ港と、それぞれの車両数とが対応付けられる。
【0038】
具体的には、車両搬入出表15では、港A→港B→港C→港D→港E→港Fの順で寄港することが定義されている。また、車両搬入出表15の数字は、各港で積み下ろしする車両の台数を示しており、車高カテゴリごとに台数が定義される。なお、車高カテゴリの「1.8」は、車高1.8m以下の車両を示し、「2.0」は、車高1.8m以上2.0m以下の車両を示し、「2.5」は、車高2.0m以上2.5m以下の車両を示し、「3.0」は、車2.5m以上3.0m以下の車両を示し、「5.0」は、車高3.0m以上5.0m以下の車両を示す。例えば、図8の(a)は、高さが1.8m以下の150台の車両が、港Bで積み込まれて、港Dで陸揚げされることが設定されている。
【0039】
制御部20は、情報処理装置10全体を司る処理部であり、例えばプロセッサなどにより実現される。この制御部20は、受付部21、定式化部22、最適化部23、出力演算部24を有する。なお、受付部21、定式化部22、最適化部23、出力演算部24は、プロセッサなどの電子回路で実現することもでき、プロセッサが実行するプロセスの一例として実現することもできる。
【0040】
受付部21は、船舶情報14や車両搬入出表15を受け付ける処理部である。例えば、受付部21は、通信部11を介して、管理者端末などから船舶情報14や車両搬入出表15を受け付けて、記憶部13に格納する。なお、船舶情報14や車両搬入出表15は、管理者などが人為的に生成した情報でもよく、公知のツールなどを用いて生成された情報でもよい。
【0041】
定式化部22は、船舶情報14や車両搬入出表15などを用いて、制約条件や目的関数の定式化を実行する処理部である。具体的には、定式化部22は、実施例1にかかる最適化問題を数理最適化問題と捉え、複数の制約条件(制約条件1から制約条件5)と目的関数を生成する。
【0042】
(前提)
ここで、定式化部22は、各ブロック(領域)をセルに分割して、各セルにバイナリ変数を割り当てる。図9は、ブロックをセルに分割した模式図である。図9に示すように、各ブロックは、4つのセルに分割される。なお、分割する数(セルの数)は、最適化装置の仕様により決定されることが好ましい。例えば、セルを細かく分割し過ぎると、変数が多くなり、最適化装置による最適化が遅くなるので、最適化装置の処理能力にしたがって決定されることが好ましい。
【0043】
そして、定式化部22は、変数および定数の定義を以下のように定める。変数「xijtkm」は、「1」または「0」の値である。なお、「1」のときは、積み込み港i、陸揚げ港j、車高tの車両がブロックk内のセルmに存在することを示し、それ以外を「0」とする。各デッキについて車高tが選択できない変数xijtkmは最初から定義しない。このように各区画には区画の高さ以上の貨物に変数を割り当てないことによって「各区画にはその区画の高さ以上の貨物は存在しない」という状態を表現することができる。例えば、デッキ6に車高2.0以上の車両は配置できないので、k=1,t=2.0~5.0となる変数xijtkmは定義しない。そうすることにより、最適化装置はブロック1に車高2.0以上の車両を配置するという解を選択できなくなる。デッキ4のk=11の時は最大デッキ高さが2.5なのでt=1.8~2.5のxijtkmは定義されていて、t=3.0~5.0のxijtkmは定義されていない。「cijt」は、積み込み港iで積み込み、陸揚げ港jで陸揚げする車高tの車両の台数である。「bkm」は、ブロックk内のセルmの最大積載台数である。「M」は、積み込み港の数であり、「N」は、陸揚げ港の数であり、「R」は、ブロックの数であり、「S」は、ブロックk内のセルの数である。
【0044】
(制約条件1)
次に、制約条件1について説明する。例えば、定式化部22は、貨物の運び入れ時および運び出し時に、運び入れまたは運び出し対象の貨物から出入口への経路上の各区画には他の貨物が存在しないことを示す制約条件1を生成する。すなわち、定式化部22は、「あるブロックを車が通過する時にそのブロックに存在する車両が0台でないと通過できない」とする制約条件1を生成する。
【0045】
例えば、あるセルに車両があるときに、そのセルと出入口との間にあるブロックに着目すると、その車両の積み込み港より前の積み込み港の車両がそのブロックに無い、かつ、その車両の陸揚げ港より後の陸揚げ港の車両がそのブロックに無い、となればよい。したがって、定式化部22は、ブロックr内のセルsに積み込み港p、陸揚げ港qの車高tの車両があるときに、セルsと出入口との間にあるブロックをk´として、通過の妨げになる積み込み港i、陸揚げ港j、車高t´の車両の和ypqを、式(1)のように定義できる。
【0046】
【数1】
【0047】
ここで、あるxpqtrsについて、(xpqtrs=1のときypq=0)かつ(xpqtrs=のときypqは任意の値)となればよいことは、式(2)のように定義でき、このとき(xpqtrs・ypq)は最小である。よって、すべてのp、q、t、r、sについて和をとった式(3)が成り立てばよい。なお、Tは、ブロックkで選択可能な車高カテゴリの集合を示し、T´は、ブロックk´で選択可能な車高カテゴリの集合を示す。
【0048】
【数2】
【数3】
【0049】
(制約条件2)
次に、制約条件2について説明する。例えば、定式化部22は、複数の区画それぞれの高さを超えない車両の数であって複数の区画それぞれに対する運び入れる貨物数および運び出す貨物数は予め指定されていることを示す制約条件2を生成する。すなわち、定式化部22は、「積み込み港で積み込み、陸揚げ港で陸揚げする車両の台数は車両搬入出表15で指定された値である」を示す制約条件2を生成する。
【0050】
例えば、積み込み港p、陸揚げ港qの車両の車両輸送船全体での総和が車両搬入出表15における値cpqtと等しくなればよく、これを式(4)で定義する。よって、すべてのp、q、tについて和をとった式(5)が成り立てばよい。
【0051】
【数4】
【数5】
【0052】
(制約条件3)
次に、制約条件3について説明する。例えば、定式化部22は、複数の区画それぞれには予め設定される積載量を越えない範囲で、各区画の高さを超えない貨物を配置することを示す制約条件3を生成する。すなわち、定式化部22は、「1つのセルに積載可能量以上の車両を積み込むことはできない」を示す制約条件3を生成する。
【0053】
例えば、セルにいずれかの港の車両が存在するが、2つの港の車両が同一のセルに存在することはない。つまり、あるブロックr内にあるセルsについて、すべての港と車高の総和が0または1になればよく、これを式(6)で定義する。あるxijtrsについては式(7)で定義できる。よって、すべてのr、sについて和をとった式(8)が成り立てばよい。
【0054】
【数6】
【数7】
【数8】
【0055】
(制約条件4)
次に、制約条件4について説明する。定式化部22は、出入口への経路上のパネルの下を一定値以上の高さを有する背高車両(例えば3.0m以上)が通過するときに、パネルを背高車両以上の高さに変更できないときは通過できないこと、および、パネルの上を車両が通過するときに、パネルの下に背高車両が配置されていると通過できないことを示す制約条件4を生成する。
【0056】
すなわち、定式化部22は、「背高車両がパネルの下のデッキを通過する時に、パネルの上のデッキに車両が配置されているために下のデッキのデッキ高さを背高車両の車高より高くできない時は通過できないこと」、および、「パネルの上のデッキを車両が通過する時に、パネルの下のデッキに背高車両が配置されているために上のデッキのデッキ高さが上のデッキの車両の車高より低くなっている時は通過できない」ことを示す制約条件4を生成する。
【0057】
なお、車両がパネルの上または下のデッキを通過する時に、経路上のパネルを挟んだ反対側のデッキに車高が高い車両が存在すると通過に必要なデッキ高さが確保できずに障害となる。したがって、その車両が存在しない条件については、制約条件1と同様に考えることができることから、式(9)と式(10)に示す制約条件4が生成される。
【0058】
【数9】
【数10】
【0059】
なお、Rは、パネルの上下のデッキのブロックの集合を示す。Tは、ブロックrがパネルの下のデッキのときはパネルを上げる必要がある車高カテゴリの集合を示し、ブロックrがパネルの上のデッキのときは上のデッキで選択可能な車高カテゴリの集合を示す。Cは、セル(r,s)から出入口までの経路上のセルのパネルを挟んで上下反対側のセルの集合を示す。Tは、高さtの車両が通行するときにセル(k,m)で障害となる車両の車高カテゴリの集合を示す。
【0060】
(制約条件5)
次に、制約条件5について説明する。定式化部22は、背高車両が配置されることでパネルが上昇した場合、当該パネルの上には、上昇したパネルから天井までの高さまでの車両しか配置できないことを示す制約条件5を生成する。
【0061】
すなわち、定式化部22は、「背高車両によりパネルが上がった時、その上のデッキには低くなったデッキ高さより車高が低い車両しか配置できない」ことを示す制約条件5を生成する。なお、背高車両がパネルを上げる時に上のデッキに車高が高い車両が存在すると障害となるが、その車両が存在しない条件については、制約条件1と同様に考えることができるから、式(11)と式(12)に示す制約条件5が生成される。
【0062】
【数11】
【数12】
【0063】
なお、Rは、パネルの下のデッキのブロックの集合を示す。Tは、パネルの下のデッキでパネルを上げる必要がある車高カテゴリの集合を示す。Cは、セル(r,s)の真上のセルの集合を示す。Tは、パネルが上がることによって上のデッキで置けなくなる車高カテゴリの集合を示す。
【0064】
(目的関数)
次に、目的関数について説明する。例えば、定式化部22は、車両輸送船の安定性を高めるためには、車両輸送船の重心位置をできるだけ低くすることが好ましい。ここで、車両輸送船の不安定性の度合いを示す値Gを、デッキの上半分の積載量と下半分の積載量との差として定義する。すなわち、実施例1においては「G=(デッキ4よりも上の積載量)-(デッキ3よりも下の積載量)」と定義する。このため、それぞれの港を出港するときのGは式(13)で定義できる。例えば、式(13)におけるGは、積み込み港Aを出港する時の不安定度合いに該当する。これらの結果、目的関数はGの平均を用いた式(14)で表せられる。
【0065】
【数13】
【数14】
【0066】
以上のように、定式化部22は、制約条件1、制約条件2、制約条件3、制約条件4、制約条件5、目的関数を生成して、最適化部23に出力する。
【0067】
最適化部23は、制約条件1、制約条件2、制約条件3、制約条件4、制約条件5の条件下において車両輸送船の不安定度合いを最適化する処理部である。具体的には、最適化部23は、制約条件付きの最適化問題を解くことにより、不安定度合いを最小とする(できるだけ低くする)解を算出する。
【0068】
例えば、最適化部23は、予め設定する任意の定数(β、γ、δ、ε、ζ、σ)を用いて、上記制約条件1、制約条件2、制約条件3、目的関数の和である、式(15)に示すエネルギー関数Eを生成する。そして、最適化部23は、エネルギー関数Eを、イジングマシンやアニーリング計算機などの最適化装置に入力し、最適化装置を実行することで、目的関数の値が最小となる値を算出する。
【0069】
【数15】
【0070】
出力演算部24は、最適な車両配置を演算する処理部である。具体的には、出力演算部24は、最適化部23により取得された最適化装置による求解結果を用いて、車両輸送船の不安定度合いを最小化する最適な車両配置を決定する。そして、出力演算部24は、決定された車両配置を表示部12に表示したり、記憶部13に格納したりする。
【0071】
図10は、最適化装置による求解と解が表す車両配置の演算を説明する図である。図10に示すように、出力演算部24は、zというバイナリ変数を定義し、z=x1111やz=x1112などのように、zとxijkmとを対応付ける。例えば、z=0,(000・・・000)を初期解として最適化装置で演算を行うと、図10の式(16)に示す解(z=1、z=0、・・・、z13=1・・・)が得られる。
【0072】
ここで、出力演算部24は、z=1のときに車両が存在するので、z=1となるnを抽出して、対応するi,j,t,k,mを求めることにより、ブロックk内のセルmに積み込み港i、陸揚げ港j、車高tの車両が存在すると表すことができる。
【0073】
上述した処理を実行することにより、出力演算部24は、車両が存在する積み込み港i、陸揚げ港j、車高t、ブロックk内のセルmを算出し、これらを模式図に対応付けることで、車両配置を決定する。図11は、最適化された車両配置を説明する図である。図11に示すように、出力演算部24は、車両搬入出表15に示される各車両(1)などの配置を示した模式図を生成して、表示部12に表示する。図11の模式図の例では、例えば、積み込み港Cで積み込んで陸揚げ港Dで陸揚げする車高1.8mの600台の車両(3)をデッキ6に配置することが示されている。
【0074】
(処理の流れ)
図12は、最適化処理の流れを示すフローチャートである。図12に示すように、情報処理装置10の受付部21は、処理が開始されると、入力データを取得して読み込む(S101)。例えば、受付部21は、船舶情報14や車両搬入出表15を読み込む。
【0075】
続いて、定式化部22は、船舶情報14や車両搬入出表15に基づいて、各制約条件や目的関数などを生成する定式化計算を実行する(S102)。そして、最適化部23は、各制約条件と目的関数とを加算するエネルギー関数を生成して最適化装置に入力して、最適化装置による求解の結果を取得する(S103)。
【0076】
その後、出力演算部24は、最適化装置による求解の結果(解)が表す車両配置を演算し(S104)、演算により得られた車両配置を出力する(S105)。
【0077】
(定式化計算)
次に、図12のS102で実行される定式化計算の流れについて説明する。図13は、定式化計算の流れを示すフローチャートである。図13に示すように、定式化部22は、制約条件nと目的変数の空の係数リストを生成する(S201)。
【0078】
続いて、定式化部22は、1次項xと2次項xの係数を算出し(S202)、係数リストに追加する(S203)。
【0079】
そして、定式化部22は、全ての項について係数を追加するまで(S204:No)、S202以降を繰り返し、全ての項について係数の追加が完了すると(S204:Yes)、制約条件nと目的変数の定数を係数リストに乗算する(S205)。
【0080】
その後、定式化部22は、全ての制約条件と目的変数の係数リストを作成するまで(S206:No)、S201以降の処理を繰り返し、全ての制約条件と目的変数の係数リストを作成が完了すると(S206:Yes)、制約条件1から5と目的変数の係数リストの和を算出する(S207)。
【0081】
(効果)
上述したように、情報処理装置10は、問題を数理最適化問題として捉え、入力データから制約条件と目的関数を定め、最適化装置を用いて解く場合に、車両を搭載するデッキの高さや搭載される車両の高さを考慮した制約条件を自動で生成することができる。この結果、情報処理装置10は、船内のデッキ高さが異なっている場合やパネルによりデッキ高さが可変である場合でも、最適な車両配置を決定することができ、貨物配置の最適化の精度を向上させることができる。
【0082】
また、情報処理装置10は、最適化に必要な制約条件を自動生成することができるので、ユーザの負担軽減だけではなく、貨物配置の最適化の時間を短縮することができ、貨物運搬などのサービスを向上させることもできる。
【0083】
また、情報処理装置10は、ユーザが設定した船舶情報14や車両搬入出表15を読み込むことで、要求される制約条件の生成や最適化を実行することができるので、最適化処理の全体的な処理量を削減し、処理を高速化することができる。
【0084】
また、情報処理装置10は、複数回の運び入れと運び出しが発生する場合であっても、最適化にかかる時間を短縮することができる。例えば、手作業で解くのに30分かかっていた問題であっても、最適化装置により5分程度で制約を満たした車両配置を求めることができる。
【実施例0085】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0086】
(数値等)
上記実施例で用いた車両数、港数、船内の構成図等は、あくまで一例であり、任意に変更することができる。また、上記実施例では、車両輸送船のブロックを複数のセルに分割した例を説明したが、これに限定されるものではなく、1ブロックが1セルであってもよい。また、最適化を実行する最適化装置は、情報処理装置10と各種バスやネットワークなどにより接続される外部装置を用いることもでき、情報処理装置10が内蔵するプロセッサなどを用いることもできる。なお、エネルギー関数や目的関数の最適化の手法は、公知の様々な手法を採用することができる。また、重心は、不安定度合いの指標の一例である。
【0087】
(貨物)
上記実施例では、車両輸送船を例にして説明したが、これに限定されるものではなく、階層建ての倉庫、平面の駐車場、貨物保管庫など、様々な貨物と空間を対象とすることができる。なお、貨物についても、車両に限らず、段ボール箱などのような各種配送物についても同様に処理することができる。なお、対象空間の不安定度合いの例としては、貨物を運ぶ移動体の重心に限らず、貨物を配置する倉庫の適切な位置や重心なども含まれる。
【0088】
(パネル)
上記実施例は、2デッキ貫通型のパネルを用いた例で説明したが、これに限らず、3デッキ以上貫通型のパネルであっても実施例と同じ制約条件で最適な車両配置を求めることができる。また、上記実施例で用いたパネルは鉛直方向に可動であったが、水平方向に可動なパネルでも、水平方向の可動を90度変換させることで鉛直方向と同様に処理することができる。
【0089】
(システム)
上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0090】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。なお、受付部21は、受付部の一例であり、定式化部22は、取得部と特定部と生成部の一例であり、最適化部23と出力演算部24は、決定部の一例である。
【0091】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0092】
(ハードウェア)
次に、情報処理装置10のハードウェア構成例を説明する。図14は、ハードウェア構成例を説明する図である。図14に示すように、情報処理装置10は、通信装置10a、HDD(Hard Disk Drive)10b、メモリ10c、プロセッサ10dを有する。また、図14に示した各部は、バス等で相互に接続される。
【0093】
通信装置10aは、ネットワークインタフェースカードなどであり、他のサーバとの通信を行う。HDD10bは、図4に示した機能を動作させるプログラムやDBを記憶する。
【0094】
プロセッサ10dは、図4に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムをHDD10b等から読み出してメモリ10cに展開することで、図4等で説明した各機能を実行するプロセスを動作させる。例えば、このプロセスは、情報処理装置10が有する各処理部と同様の機能を実行する。具体的には、プロセッサ10dは、受付部21、定式化部22、最適化部23、出力演算部24等と同様の機能を有するプログラムをHDD10b等から読み出す。そして、プロセッサ10dは、受付部21、定式化部22、最適化部23、出力演算部24等と同様の処理を実行するプロセスを実行する。
【0095】
このように、情報処理装置10は、プログラムを読み出して実行することで最適化方法を実行する情報処理装置として動作する。また、情報処理装置10は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施例と同様の機能を実現することもできる。なお、この他の実施例でいうプログラムは、情報処理装置10によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0096】
このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布されてもよい。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行されてもよい。
【符号の説明】
【0097】
10 情報処理装置
11 通信部
12 表示部
13 記憶部
14 船舶情報
15 車両搬入出表
20 制御部
21 受付部
22 定式化部
23 最適化部
24 出力演算部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14