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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039518
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】全固体電池アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/262 20210101AFI20240314BHJP
   H01M 50/264 20210101ALI20240314BHJP
   H01M 50/244 20210101ALI20240314BHJP
【FI】
H01M50/262 E
H01M50/264
H01M50/262 S
H01M50/262 P
H01M50/244 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144128
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 敦
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA07
5H040AS04
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY10
5H040CC33
5H040CC34
5H040CC38
5H040NN00
5H040NN01
5H040NN03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電池モジュールの膨張時に、エンドプレートとガイド部材とが離れ難い全固体電池アセンブリを提供することである。
【解決手段】全固体電池アセンブリ1は、相互に積層された複数の全固体電池セル21を含む電池モジュール2と、電池モジュール2を加圧すると共に、電池モジュール2の充電時における膨張方向に向かって移動可能な可動エンドプレート33と、可動エンドプレート33の移動を案内するガイド部材4a、4cと、を備え、ガイド部材4a、4cは、可動エンドプレート33と接触する接触面を有し、接触面は、膨張方向に向かうに従って可動エンドプレート33側に湾曲する曲面であり、接触面の曲率は、膨張方向に向かうに従って増加する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に積層された複数の全固体電池セルを含む電池モジュールと、
前記電池モジュールを加圧すると共に、前記電池モジュールの充電時における膨張方向に向かって移動可能な加圧板と、
前記加圧板の移動を案内するガイド部材と、を備え、
前記ガイド部材は、前記加圧板と接触する接触面を有し、
前記接触面は、前記膨張方向に向かうに従って前記加圧板側に湾曲する曲面であり、
前記接触面の曲率は、前記膨張方向に向かうに従って増加する全固体電池アセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の全固体電池アセンブリにおいて、
前記ガイド部材は、壁状部材である全固体電池アセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載の全固体電池アセンブリにおいて、
前記全固体電池アセンブリは、前記電池モジュールを内部に収容する収容体をさらに備え、
前記収容体の内面に前記接触面が形成されている全固体電池アセンブリ。
【請求項4】
請求項1に記載の全固体電池アセンブリにおいて、
前記加圧板は、前記接触面と接触する端面を有し、
前記端面は、曲面形状を有している全固体電池アセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載の全固体電池アセンブリにおいて、
前記接触面の曲率は、前記全固体電池セルの積層方向と直交する方向において、前記電池モジュールの中央に近づくに従って大きくなる全固体電池アセンブリ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の全固体電池アセンブリにおいて、
前記加圧板が前記膨張方向に向かって移動する際の前記加圧板と前記接触面との間の第1摩擦係数は、前記加圧板が前記電池モジュールの放電時における収縮方向に向かって移動する際の前記加圧板と前記接触面との間の第2摩擦係数より大きい全固体電池アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全固体電池アセンブリに関するものであり、特に、電池モジュールを加圧する構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バッテリは、互いに直列または並列に接続された複数のスタックを含んでおり、スタックは、複数のセルと、複数のセルを挟んで固定する一対のエンドプレートと、一対のエンドプレートを連結する複数の拘束バンドと、を含んでいる(特許文献1参照)。複数のセルは、拘束荷重が加えられた状態で一対のエンドプレート及び複数の拘束バンドにより拘束されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-117636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
全固体電池セルを使用する場合、充電に伴う電池モジュールの体積膨張量が大きくなるので、エンドプレートによる荷重を適切な大きさとするために、エンドプレートを電池モジュールの体積膨張に応じて移動できるようにする。この場合、エンドプレートの移動を案内するガイド部材を設ける必要がある。
【0005】
一方で、全固体電池セルから構成される電池モジュールには高荷重を印加する必要があるため、電池モジュールの膨張時には、エンドプレートが電池モジュールから高荷重を受ける。このため、エンドプレートが撓んでしまい、エンドプレートがガイド部材から離れてしまうことがある。そうすると、エンドプレート電池モジュールを十分に固定することができず、外部からの振動や衝撃に対して電池モジュールがガタつき易くなってしまう、という問題がある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、電池モジュールの膨張時に、エンドプレートとガイド部材とが離れ難い全固体電池アセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ガイド部材の加圧板との接触面を、電池モジュールの膨張方向に向かうに従って加圧板側に湾曲し、膨張方向に向かうに従って曲率が増加する曲面とすることによって、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電池モジュールの膨張により加圧板が撓んだとしても、接触面が加圧板の変形に応じた形状を有する曲面であることで、加圧板とガイド部材が離れ難い。その結果、電池モジュールがガタつき難くなり、全固体電池アセンブリを振動や衝撃に対して強くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の全固体電池アセンブリの実施形態の一例を示す正面図である。
図2図2は、本発明の全固体電池アセンブリの実施形態の一例を示す側面図である。
図3図3は、図1のIII-III線に沿った断面図である。
図4図4は、図1のIV部の拡大図であり、全固体電池の充電率(SOC)に応じた可動エンドプレートとガイド部材との接触状態を説明する説明図である。
図5図5(A)は、本実施形態の全固体電池アセンブリのガイド部材の接触面が形成された部分を抜き出して示した上面図であり、図5(B)は、第1変形例の全固体電池アセンブリのガイド部材の接触面が形成された部分を抜き出して示した上面図である。
図6図6は、本発明の全固体電池アセンブリの第1変形例を示す断面図である。
図7図7は、本発明の全固体電池アセンブリの第2変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態に係る全固体電池アセンブリ1について図面に基づいて説明する。図1は、本発明の全固体電池アセンブリ1の実施形態の一例を示す正面図である。図2は、本発明の全固体電池アセンブリ1の実施形態の一例を示す側面図である。図3は、図1のIII-III線に沿った断面図である。
【0011】
本実施形態における全固体電池アセンブリ1は、特に限定されないが、自動車に搭載される。図1に示すように、この全固体電池アセンブリ1は、電池モジュール2と、荷重印加機構3と、を備えている。
【0012】
電池モジュール2は、複数の全固体電池セル21を含む組電池である。この電池モジュール2では、複数の全固体電池セル21がZ方向(積層方向)に沿って相互に積層されている。なお、特に図示しないが、複数の全固体電池セル21の電極は、バスバを介して相互に接続されている。
【0013】
全固体電池セル21は、特に図示しないが、負極と、負極集電体と、固体電解質と、正極と、正極集電体と、が積層された発電素子を内部に含んでいる。負極は、例えば、リチウム金属層である。リチウム金属層は、全固体電池セル21の充電時に負極集電体上に析出して体積が増加し、放電時に体積が減少する層である。なお、負極として、リチウム金属層以外の層を含んでいてもよく、例えば、リチウム金属層の析出を補助する補助層を含んでいてもよい。また、負極集電体は、金属箔であり、この金属箔としては、銅箔を例示することができる。また、固体電解質としては、例えば、硫化物固体電解質又は酸化物固体電解質等を用いることができるが、硫化物固体電解質を用いることが好ましい。
【0014】
正極としては、リチウム(Li)を放出及び吸蔵可能な正極活物質を少なくとも含有しており、特に限定されないが、硫黄を含む正極活物質を含有することが好ましい。硫黄を含む正極活物質は、硫黄の酸化還元反応を利用して、充電時にリチウムイオンを放出し、放電時に当該リチウムイオンを吸蔵することができる物質であればよい。硫黄を含む正極活物質の種類としては、特に制限されないが、硫黄単体(S)、有機硫黄化合物、又は、無機硫黄化合物の粒子或いは薄膜を使用することができる。また、正極集電体は、金属箔であり、この金属箔としては、銅箔を例示することができる。
【0015】
複数の全固体電池セル21から構成された電池モジュール2は、充放電に伴うリチウム金属層の体積変化が大きい。本実施形態では、電池モジュール2は、充電時に図中の+Z方向に向かって膨張し、放電時に-Z方向に向かって収縮する。本実施形態における+Z方向は本発明における「膨張方向」の一例に相当し、本実施形態における-Z方向は本発明における「収縮方向」の一例に相当する。
【0016】
このような電池モジュール2は、荷重印加機構3によって、-Z方向に向かって荷重を印加されている。図1図3に示すように、この荷重印加機構3は、第1固定エンドプレート31と、第2固定エンドプレート32と、可動エンドプレート33と、拘束バンド34と、複数のガイド部材4a~4c(なお、以下の説明において、複数のガイド部材4a~4cをガイド部材4と総称することもある。)と、を備えている。本実施形態における可動エンドプレート33は、本発明における「加圧板」の一例に相当する。
【0017】
図1に示すように、第1固定エンドプレート31は、剛性を有する板状部材である。第1固定エンドプレート31は、電池モジュール2の下方に配置されており、下方から電池モジュール2を支持している。図2に示すように、この第1固定エンドプレート31は、締結ボルト35によってガイド部材4に固定されており、移動することはできない。
【0018】
図1に示すように、第2固定エンドプレート32も、剛性を有する板状部材である。第2固定エンドプレート32は、荷重印加機構3の上端に配置されている。この第2固定エンドプレート32も、締結ボルト35によってガイド部材4に固定されており、移動することはできない。
【0019】
可動エンドプレート33も、剛性を有する板状部材である。可動エンドプレート33は、電池モジュール2の上面に載置されている。可動エンドプレート33は、後述の拘束バンド34から印加された荷重を電池モジュール2に伝達することによって、電池モジュール2を加圧している。
【0020】
この可動エンドプレート33は、ガイド部材4と接触しているが、ガイド部材4に固定されていない。このため、電池モジュール2の充放電時の膨張及び収縮に伴って、積層方向(図中のZ方向)に移動可能となっている。
【0021】
図3に示すように、可動エンドプレート33は、一対の幅広部331と、幅狭部333と、を有している。一対の幅広部331は、図中のY方向において、可動エンドプレート33の両端に位置しており、幅狭部333に対して幅広な矩形の平面形状を有している。この幅広部331のX方向における一対の端部332にガイド部材4が接触している。
【0022】
図4は、図1のIV部の拡大図であり、電池モジュール2の充電率(SOC)に応じた可動エンドプレート33とガイド部材4aとの接触状態を説明する説明図である。図4の下図は電池モジュール2のSOC(State of Charge)が0%時の端部332とガイド部材4aとの相対的な位置関係を示しており、図4の上図は電池モジュール2のSOC(State of Charge)が100%時の端部332とガイド部材4aとの相対的な位置関係を示している。
【0023】
図4に示すように、端部332は、曲面形状を有する端面322aを含んでいる。この端面322aは、ガイド部材4に直接接触している。端面が平面である場合、端部に角部が含まれ、この角部がガイド部材4に接触すると、角部に応力が集中して、可動エンドプレート33がガタつき易くなってしまい、電池モジュール2もガタつき易くなってしまう。一方で、端面322aが曲面であれば、端面322aとガイド部材4との接触面積を増加させることができるので応力集中が生じ難く、可動エンドプレート33がガタつき難くなる。但し、端面322aは、曲面のみに限定されず、平面であってもよい。
【0024】
図3に示すように、幅狭部333は、一対の幅広部331の間に介在している。幅狭部333は、電池モジュール2に直接接触して、電池モジュール2を上方から押圧する部分である。また、この幅狭部333には、拘束バンド34が巻き掛けられる。
【0025】
図1に示すように、拘束バンド34は、特に限定されないが、伸縮可能な環状の弾性部材であり、第1固定エンドプレート31と可動エンドプレート33に巻き掛けられている。拘束バンド34は、自然長から伸びた状態で第1固定エンドプレート31と可動エンドプレート33に巻き掛けられているので、復元力により可動エンドプレート33を図中の-Z方向に向かって押圧している。
【0026】
図1図3に示すように、複数(本例では4個)のガイド部材4は、可動エンドプレート33の膨張方向及び収縮方向の移動を案内する。本実施形態におけるガイド部材4は、図中のZ方向に沿って延在する壁状(平板状)部材である。ガイド部材4を壁状部材とすることにより、ガイド部材4を小型化することができる。
【0027】
なお、ガイド部材4の形状は、壁状のみに限定されない。ガイド部材4の形状は、例えば、ポール状であってもよい。この場合、可動エンドプレート33に形成された貫通孔にガイド部材4を挿通すると共に、第1及び第2固定エンドプレート31,32に形成された貫通孔にガイド部材4の両端を留め具等により固定すればよい。
【0028】
なお、このような場合、可動エンドプレートが撓んでガイド部材に干渉し過ぎないよう貫通孔の径を大きくすることが好ましいが、そうすると、可動エンドプレートがガタつきやすくなる。これに対して、本実施形態では、ガイド部材に後述する接触面41を形成することで、可動エンドプレートをガタつき難くすることができる。
【0029】
図1及び図2に示すように、ガイド部材4は、第1及び第2固定エンドプレート31,32に締結ボルト35により固定されている。図3に示すように、複数のガイド部材4は、可動エンドプレート33の端部332のそれぞれの端面332aに接触するように配置されている。
【0030】
図4に示すように、ガイド部材4aは、可動エンドプレート33の端面332aと接触する接触面41を含んでいる。接触面41は、ガイド部材4aの内側面に形成されており、上端41aと、下端41bと、左端(図1及び図4において紙面奥側の端)41cと、右端(図1及び図4において紙面手前側の端)41dと、を含んでいる。
【0031】
図4に示すように、接触面41は、膨張方向(図中の+Z方向)に向かうに従って可動エンドプレート33側(図中の-X方向)に湾曲する曲面である。この接触面41の曲率は、膨張方向に向かって増加している。つまり、この接触面41の上端41a側の領域は、下端41b側の領域に比べて大きく湾曲し、可動エンドプレート33側への突出量が大きくなっている。
【0032】
上述の通り、電池モジュール2の充電時の膨張に伴い、可動エンドプレート33に対して膨張方向に高荷重が印加される。一方で、可動エンドプレート33の端面332aはガイド部材4aの接触面41と接触しているので、端面332aは膨張方向とは逆向きの方向の摩擦力を受ける。このため、図4に示すように、SOCの増加に伴って、可動エンドプレート33は上昇しながら徐々に凸形状に撓んでいく。
【0033】
この時、端面332aは、ガイド部材4aの接触面41から徐々に離れるように図中の-X方向にも移動していく。また、可動エンドプレート33が上昇するに従い、端面332aの-X方向への移動量は徐々に大きくなっていく。
【0034】
従来のように、この移動に伴って端面がガイド部材の接触面から離れると、可動エンドプレートは、電池モジュールを十分に固定することができなくなる。また、拘束バンドは弾性部材であるため、全固体電池アセンブリに振動や衝撃が加わった場合に、電池モジュールのガタつきに合わせて伸縮してしまい、電池モジュールを十分に固定することができない。
【0035】
これに対して、本実施形態におけるガイド部材4aの接触面41は、上記のような可動エンドプレート33に起因する端面332aの移動に対応するように、上端41aに近づくに従い可動エンドプレート33側への湾曲が大きくなる表面形状を有している。つまり、端面332aの-X方向への移動に対応できるように、接触面41が-X方向に向かって湾曲している。このため、電池モジュール2の充電時において、可動エンドプレート33の端面332aとガイド部材4aの接触面41とが離れ難く、両者の接触を維持することができる。その結果、電池モジュール2が振動や衝撃等によってガタつき難くなり、全固体電池アセンブリ1が振動や衝撃等に強くなる。
【0036】
なお、特に図示しないが、ガイド部材4b~4dの接触面も、ガイド部材4aと同様に、膨張方向に向かうに従って可動エンドプレート33側に湾曲する曲面であり、これらの接触面の曲率は、膨張方向に向かうに従って増加している。
【0037】
図5(A)は、本実施形態の全固体電池アセンブリ1のガイド部材4aの接触面41が形成された部分を抜き出して示した上面図である。図5(A)に示すように、本実施形態では、ガイド部材4aの接触面41の曲率は、全固体電池セルの積層方向と直交する方向(図中のY方向)において、電池モジュール2(図3参照)の中央に近づくに従って大きくなっている。このため、図5(A)及び図4に示すように、接触面41の曲率は、接触面41の幅方向において、右端41d側から左端41cに向かって徐々に大きくなっており、可動エンドプレート33側への接触面41の突出量が右端41d側から左端41cに向かって徐々に大きくなっている。
【0038】
可動エンドプレート33の撓み量は、電池モジュール2(図3参照)の中央に近いほど大きいため、上記のような接触面41であれば、電池モジュール2の中央からの距離に起因する撓み量の変化に対応することができる。よって、ガイド部材4aは、Y方向に沿って可動エンドプレート33の端面332aと接触することができるため、可動エンドプレート33とガイド部材4aの接触範囲が広がり、歳差運動を含めて電池モジュール2のガタつきを抑制できる。
【0039】
なお、ガイド部材4b~4d(図3参照)の接触面の曲率も、積層方向と直交する方向において、電池モジュール2の中央に近づくに従って大きくなっている。つまり、ガイド部材4bの接触面は、図5(A)に示したガイド部材4aの接触面とY軸に対して線対称となる表面形状を有している。
【0040】
また、ガイド部材4c,4dの接触面は、可動エンドプレート33側への突出量が左端側(図中の+Y方向側)から右端側(図中の-Y方向側)に向かって徐々に大きくなっている。つまり、ガイド部材4cの接触面はガイド部材4aの接触面とX軸に対して線対称となる表面形状を有しており、ガイド部材4dの接触面はガイド部材4aの接触面と点対称となる表面形状(つまり、ガイド部材4cの接触面とY軸に対して線対称となる表面形状)を有している。
【0041】
また、本実施形態では、可動エンドプレート33が膨張方向に向かって移動する際の可動エンドプレート33と接触面41との間の第1摩擦係数は、可動エンドプレート33が収縮方向に向かって移動する際の可動エンドプレート33と接触面41との間の第2摩擦係数より大きい。
【0042】
このため、可動エンドプレート33に対して収縮方向に作用する摩擦力が増加するので、衝撃や振動が全固体電池アセンブリ1に加わった際の電池モジュール2の膨張方向へのガタツキや浮き上がりを抑制することができる。
【0043】
なお、第1摩擦係数と第2摩擦係数とを上記のような関係とするためには、特に限定されないが、図4の右下図のような微小な表面形状を形成すればよい。なお、図4の右下図では、便宜上、端面332aと接触面41が離間しているように図示しているが、実際には互いに接触している。
【0044】
図4に示すように、端面332aは、膨張方向に向かうに従って接触面41側に傾斜する第1微小斜面334aと、略水平方向に延在する第1微小係止面334bと、を有している。一方で、接触面41は、第1微小斜面334aに略平行な第2微小斜面411aと、第1微小係止面334bに略平行な第2微小係止面411bと、を有している。
【0045】
可動エンドプレート33が膨張方向に向かって移動する際、第1微小係止面334bが、第2微小係止面411bに接触するため、第1摩擦係数を相対的に大きくすることができる。一方で、可動エンドプレート33が収縮方向に向かって移動する際、第1微小係止面334bは、第2微小係止面411bに接触しないため、第2摩擦係数を相対的に小さくすることができる。
【0046】
以上のような本実施形態における全固体電池アセンブリ1では、ガイド部材4aの接触面41は、上端41aに近づくに従い可動エンドプレート33側への湾曲が大きくなる表面形状を有している。このため、電池モジュール2の充電時において、可動エンドプレート33の端面332aとガイド部材4aの接触面41とが離れ難く、両者の接触を維持することができる。その結果、電池モジュール2が振動や衝撃等によってガタつき難くなり、全固体電池アセンブリ1が振動や衝撃等に強くなる。
【0047】
なお、上記実施形態では、可動エンドプレート33の両端に4個のガイド部材4を配置しているが、ガイド部材4の位置や個数はこれに限定されない。図6に示す以下の第1変形例のように、可動エンドプレート33Bの中央に2個のガイド部材4Bを配置する構造としてもよい。
【0048】
図6は、全固体電池アセンブリの第1変形例を示す断面図である。この第1変形例における全固体電池アセンブリ1Bの可動エンドプレート33Bは、中央に幅広部331Bを有し、両端に幅狭部333Bを有している。
【0049】
幅広部331Bの端部332Bには、ガイド部材4Bが接触している。このガイド部材4Bも、膨張方向に向かうに従って可動エンドプレート33B33B側に湾曲する接触面41Bを有しており、この接触面41Bの曲率は、膨張方向に向かうに従って増加している。但し、接触面41Bは、上記実施形態の接触面41に比べて、電池モジュール2の中央のより近くに設けられているので、接触面41Bの曲率は接触面41の曲率より小さくなっている。
【0050】
また、第1変形例では、積層方向と直交する方向(図中のY方向)における接触面41Bの曲率の変化も上記実施形態と異なっている。図5(B)は、第1変形例の全固体電池アセンブリのガイド部材の接触面が形成された部分を抜き出して示した上面図である。第1変形例ではガイド部材4Bが可動エンドプレート33Bの中央部に接触するように配置されているため、接触面41Bの曲率は、接触面41Bの中央から左右端41c,41dに向かって徐々に大きくなっている。
【0051】
各々の幅狭部333Bには、拘束バンド34が巻き掛けられている。よって、この第1変形例では、2個の拘束バンド34により可動エンドプレート33Bを介して電池モジュール2を加圧している。
【0052】
また、図7に示す第2変形例のように、電池モジュール2を内部に収容する収容体(電池パック5)の内面をガイド部材として使用してもよい。図7は、全固体電池アセンブリの第2変形例を示す断面図である。
【0053】
この第2変形例の全固体電池アセンブリ1Cは、電池パック5をさらに備えている。電池パック5は、複数の電池モジュール2を収容するケース部51と、ケース部51の開口を覆う蓋部52と、を有している。なお、蓋部52は、自動車ボディのフロアパネルであってもよい。
【0054】
本変形例において、可動エンドプレート33は、ケース部51の底面と、蓋部52の下面と、に接触しており、ケース部51の底面と蓋部52の下面は、可動エンドプレート33の水平方向(図7中のX方向)への移動を案内するガイド部材として機能する。
【0055】
よって、ケース部51の底面及び蓋部52の下面のそれぞれに、電池モジュール2の膨張方向に向かうに従って可動エンドプレート33側に湾曲する曲面である接触面41C,41Cが形成されている。そして、これらの接触面41C,41Cの曲率は、特に図示しないが、膨張方向に向かうに従って増加している。なお、図中左側の電池モジュール2の膨張方向は-X方向であり、図中右側の電池モジュール2の膨張方向は+X方向である。
【0056】
このような第2変形例であれば、電池パック5を利用した簡素な構造によって可動エンドプレート33をガイドできるうえに、電池モジュール2のガタつきを抑制できる。
【0057】
なお、第2変形例では、上部に開口を有するケース部51を例示したが、開口の位置はこれに限定されない。ケース部51は、側面に開口を有し、当該側面の開口が蓋で覆われていてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1、1B、1C…全固体電池アセンブリ
2…電池モジュール
21…全固体電池セル
3…荷重印加機構
31…第1固定エンドプレート
32…第2固定エンドプレート
33,33B…可動エンドプレート
331、331B…幅広部
332…端部
332a…端面
334a…第1微小斜面
334b…第1微小係止面
333、333B…幅狭部
34…拘束バンド
35…締結ボルト
4、4B…ガイド部材
41、41B、41C、41C…接触面
41a,41b…上下端
41c,41d…左右端
411a…第2微小斜面
411b…第2微小係止面
5…電池パック
51…ケース部
52…蓋部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7