特開 2024-39536 空気調和装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024039536

(43)【公開日】2024-03-22

(54)【発明の名称】空気調和装置

(51)【国際特許分類】

   F24F 1/0035 20190101AFI20240314BHJP

   F24F 1/32 20110101ALI20240314BHJP

   F24F 1/46 20110101ALI20240314BHJP

【ＦＩ】

F24F1/0035

F24F1/32

F24F1/46

【審査請求】未請求

【請求項の数】4

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022144158

(22)【出願日】2022-09-09

(71)【出願人】

【識別番号】000002853

【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110000202

【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー

(72)【発明者】

【氏名】牧角 将

【テーマコード（参考）】

3L054

【Ｆターム（参考）】

3L054BA10

3L054BB01

3L054BC02

(57)【要約】

【課題】本開示の目的は、複数の曲げ部で生じた音を効果的に低減する消音器の配置形態を提供することである。
【解決手段】空気調和装置１では、第１ダクト６１が室外機３の右側板５２に沿って第１方向に進んだ後、１つ以上の曲げ部を経て第１方向と異なる方向で且つ室外機３の右側板５２に沿った第２方向へ進路を変える。消音器７２は、第１ダクト６１の最後の曲げ部である第４曲げ部６１４よりも給気流れ方向の下流側に配置される。音は、第１ダクト６１の曲げ部で発生し易いので、第１ダクト６１の第４曲げ部６１４よりも下流側に消音器が接続されることによって、高い消音効果が得られる。
【選択図】図６

【特許請求の範囲】

【請求項1】

室外機（３）から室内機（２）へ室外空気が供給される空気調和装置であって、
ファン（４３）と、
前記ファン（４３）によって供給される空気が通過する筒状の第１給気ダクト（６１）と、
前記第１給気ダクト（６１）に接続された状態で前記室外機（３）の側面に配置され、前記第１給気ダクト（６１）を伝搬する音を低減する消音器（７０）と、
前記第１給気ダクト（６１）から前記消音器（７０）に流入した空気をさらに下流へ導く筒状の第２給気ダクト（６２）と、
を備え、
前記第１給気ダクト（６１）は、前記室外機（３）の前記側面に沿って第１方向に進んだ後、１つ以上の曲げ部を経て前記第１方向と異なる方向で且つ前記室外機（３）の前記側面に沿った第２方向へ進路を変え、
前記消音器（７０）は、前記第１給気ダクト（６１）における前記第２方向へ進路を変えた後の部分に接続される、
空気調和装置。

【請求項2】

前記室外機（３）の前記側面に設けられ、冷媒配管が接続される閉鎖弁（２７，２８）と、
前記閉鎖弁（２７，２８）を覆うカバー（５５）と、
をさらに備え、
前記第１給気ダクト（６１）の最後の前記曲げ部および前記消音器（７０）は、前記カバー（５５）によって覆われている部分を有する、
請求項１に記載の空気調和装置。

【請求項3】

前記消音器（７０）は、前記閉鎖弁（２７，２８）よりも上方に配置されている、
請求項２に記載の空気調和装置。

【請求項4】

前記第１給気ダクト（６１）の給気流れ方向の端部は、前記第１給気ダクト（６１）の最下点よりも上方、かつ水平よりも上向きであり、
前記消音器（７０）は、前記端部に接続される、
請求項１から請求項３のいずれか１項に記載の空気調和装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

室外機と室内機との間で空気の搬送が行われる空気調和装置に関する。

【背景技術】

【0002】

近年、室外機から筒状の風路を介して室外空気を室内機へ供給する空気調和装置が広く普及している。例えば、特許文献１（特開２０２２－６０８７４号公報）に記載の空気調和装置は、ファンによって室外空気を室内に供給して室内を換気する換気装置を有している。換気装置と室内機とは換気ホースによって繋がっている。また、換気装置は加湿機能を備えており、加湿空気を室内に供給することもできる。

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0003】

このような空気調和装置では、給気ダクトが端子台、閉鎖弁などを避けるように引き回わされるので、室外機の側面に沿って蛇行させる構成となる。かかる場合、給気ダクトに複数の曲げ部が設けられることによってそれらが抵抗となり、通風音を増大させる可能性がある。

【0004】

一方、給気ダクトを伝搬する音を低減するため、給気ダクトに消音器が設けられることがある。しかしながら、上記のような複数の曲げ部が存在する給気ダクトへの消音器の配置は検討されていない。

【0005】

本開示の目的は、複数の曲げ部で生じた音を効果的に低減する消音器の配置形態を提供することである。

【課題を解決するための手段】

【0006】

第１観点の空気調和装置は、室外機から室内機へ室外空気が供給される空気調和装置であって、ファンと、第１給気ダクトと、消音器と、第２給気ダクトとを備える。第１給気ダクトは、ファンによって供給される空気が通過する筒状のダクトである。消音器は、第１給気ダクトに接続された状態で室外機の側面に配置され、第１給気ダクトを伝搬する音を低減する。第２給気ダクトは、第１給気ダクトから消音器に流入した空気をさらに下流へ導く筒状のダクトである。第１給気ダクトは、室外機の側面に沿って第１方向に進んだ後、１つ以上の曲げ部を経て第１方向と異なる方向で且つ室外機の側面に沿った第２方向へ進路を変える。消音器は、第１給気ダクトにおける第２方向へ進路を変えた後の部分に接続される。

【0007】

この空気調和装置では、第１給気ダクトの曲げ部で音が発生するので、第１給気ダクトのうち第２方向へ進路を変えた後の部分に消音器が接続されることによって、曲げ部の上流側に消音器が接続されたものよりも、高い消音効果が得られる。

【0008】

第２観点の空気調和装置は、第１観点の空気調和装置であって、閉鎖弁と、カバーとをさらに備える。閉鎖弁は、室外機の側面に設けられ、冷媒配管が接続される。カバーは、閉鎖弁を覆う。第１給気ダクトの最後の曲げ部および消音器は、カバーによって覆われている部分を有する。

【0009】

この空気調和装置では、第１給気ダクトおよび消音器の保護カバーを閉鎖弁用のカバーで兼用できるので、合理的である上に、屋外設置された場合でも屋外環境によって第１給気ダクトおよび消音器の構成部材が劣化することを抑制することができる。

【0010】

第３観点に係る空気調和装置は、第２観点に係る空気調和装置であって、消音器が閉鎖弁よりも上方に配置されている。

【0011】

この空気調和装置では、閉鎖弁に接続される冷媒配管のうち、減圧後の冷媒が通過する冷媒配管の表面では結露が発生して結露水が落下するが、消音器は閉鎖弁の上方に配置されているので、消音器に結露水が落下することが回避される。

【0012】

第４観点の空気調和装置は、第１観点から第３観点のいずれか１つの空気調和装置であって、第１給気ダクトの給気流れ方向の端部は、第１給気ダクトの最下点よりも上方、かつ水平よりも上向きである。消音器は、当該端部に接続される。

【0013】

この空気調和装置では、第１給気ダクトを通過する加湿空気の水分が結露して第１ダクトの最下点に結露水が滞留しても、消音器へ結露水が流入することが抑制される。

【図面の簡単な説明】

【0014】

【図1】本実施形態に係る空気調和装置の外観図である。

【図2】空気調和装置で用いられる冷媒回路の系統図である。

【図3】室外機の構成を示す分解斜視図である。

【図4】加湿ユニットの概略構成図である。

【図5】吸湿ロータを流れる空気の流れを模式的に表した図である。

【図6】消音器が配置された室外機の側面図である。

【図7】消音器の外観斜視図である。

【図8】変形例に係る空気調和装置の室外機の右側面図である。

【発明を実施するための形態】

【0015】

（１）空気調和装置１の概略構成
図１は、本実施形態に係る空気調和装置１の外観図である。図１において、空気調和装置１は、室内機２と室外機３とを備えている。室内機２は室内の壁面などに取り付けられ、室外機３は室外に設置される。

【0016】

図２は、空気調和装置１で用いられる冷媒回路の系統図であり、説明の便宜上、空気の流れの概略を付加している。図２において、室内機２は室内熱交換器１１を有し、室外機３は室外熱交換器２４を有している。各熱交換器およびこれらの熱交換器を接続する冷媒配管３１，３２が、冷媒回路を構成している。

【0017】

（１－１）室内機２
室内機２の室内熱交換器１１は、伝熱管と、複数のフィンとを有している。伝熱管は、長手方向の両端で複数回折り返されている。フィンには、伝熱管が挿通されている。室内熱交換器１１は、接触する空気との間で熱交換を行う。

【0018】

また、室内機２は、クロスフローファン１２と、クロスフローファン１２を回転駆動する室内ファンモータ１３とさらに有している。クロスフローファン１２は、円筒形状に構成され、周面には多数の羽根が設けられている。クロスフローファン１２は、回転軸と交わる方向に空気流を生成する。クロスフローファン１２は、室内空気を室内機２の内部に吸い込み、室内熱交換器１１との間で熱交換を行った後の空気を室内に吹き出す。

【0019】

（１－２）室外機３
室外機３は、空調室外ユニット５と、加湿ユニット４と、消音器７０を含む給排気経路とを有している。室外機３と室内機２との間には、給排気ホース６が設けられている。給排気ホース６は、加湿ユニット４からの室外空気や加湿空気を室内機２側に供給するとき、および室内の空気を室外に排気するときに用いられる。

【0020】

給排気ホース６は、室外機３の内外を跨ぐように設けられた第１ダクト６１、室外機３の側面に配置された消音器７０、および消音器７０と給排気ホース６とを繋ぐ第２ダクト６２と共に、空気が通る給排気経路を形成している。

【0021】

消音器７０は、図１に示すように第１ダクト６１に接続された状態で室外機３の側面に配置されている。消音器７０は、第１ダクト６１を伝搬してくる音、または給排気ホース６および第２ダクト６２を伝搬してくる音を低減する。

【0022】

（２）空調室外ユニット５の構成
図３は、室外機３の構成を示す分解斜視図である。図１および図３において、空調室外ユニット５は、冷媒回路構成部品と、冷媒回路構成部品を収納するケーシング５０とを有している。

【0023】

（２－１）ケーシング５０
ケーシング５０は、前面パネル５１、右側板５２、左側板５３、および金属製の底板５４で形成されている。

【0024】

前面パネル５１は、空調室外ユニット５の前面を覆う樹脂製の部材である。前面パネル５１は、室外熱交換器２４を通過する空気の流れ方向において、室外熱交換器２４よりも下流側に配置されている。前面パネル５１は、吹出口５１ａを有している。吹出口５１ａは、複数のスリット状の開口である。室外熱交換器２４を通過した空気は、空調室外ユニット５の内部から吹出口５１ａを通って室外機３の外部へと吹き出される。また、前面パネル５１の後方には、第１ベルマウス５６と仕切板５７とが取り付けられる。

【0025】

右側板５２および左側板５３は、空調室外ユニット５の側方を覆う金属製の部材である。ここでは、右側板５２は、室外機３の正面視における右側に設けられている。左側板５３は、室外機３の正面視における左側に設けられている。

【0026】

右側板５２および左側板５３は、吹出口５１ａからの吹出空気の吹き出し方向に対して概ね平行になるように設けられている。また、右側板５２には、カバー５５が取り付けられる。カバー５５は、液閉鎖弁２７およびガス閉鎖弁２８を保護する。

【0027】

（２－２）冷媒回路構成部品
ケーシング５０は、冷媒回路構成部品として、圧縮機２１と、四路切換弁２２と、アキュムレータ２３と、室外熱交換器２４と、電動弁２５とを収納している（図２参照）。圧縮機２１、四路切換弁２２、アキュムレータ２３および電動弁２５は、仕切板５７と右側板５２との間の機械室に配置されている。

【0028】

図２に示すように、四路切換弁２２は、圧縮機２１の吐出側に接続されている。アキュムレータ２３は、圧縮機２１の吸入側に接続されている。

【0029】

室外熱交換器２４は、平面視において略Ｌ字形状を有している。室外熱交換器２４は、空調室外ユニット５の背面を覆う保護金網（図示せず）の前方に配置される。

【0030】

電動弁２５は、一端が室外熱交換器２４に接続され、他端がフィルタ２６、液閉鎖弁２７および冷媒配管３２を介して室内熱交換器１１の一端と接続されている。

【0031】

また、四路切換弁２２は、ガス閉鎖弁２８および冷媒配管３１を介して室内熱交換器１１の他端と接続されている。これらの冷媒配管３１，３２は、給排気ホース６とともに集合連絡管７を形成している。

【0032】

空調室外ユニット５は、さらにプロペラファン２９を有している。プロペラファン２９は、室外熱交換器２４の前方で、仕切板５７と左側板５３との間の通気スペースに設けられている。プロペラファン２９は、室外ファンモータ３０によって回転駆動される。プロペラファン２９は、空調室外ユニット５の内部に取り入れた空気を室外熱交換器２４と接触させた後、吹出口５１ａから前面パネル５１の前方に排気させる。

【0033】

図３に示すように、空調室外ユニット５は、電装品ユニット５８をさらに有している。電装品ユニット５８は、空調室外ユニット５の上部に配置されている。電装品ユニット５８は、電装品箱と各部を制御するためのＣＰＵ８１（図２参照）を搭載したプリント基板を有している。電装品ユニット５８の上方には防炎板５９が取り付けられている。

【0034】

（３）加湿ユニット４の構成
加湿ユニット４は、加湿機能、給気機能、排気機能を有している。図３に示すように、加湿ユニット４は、ハウジング４０、吸湿ロータ４１、ヒータ４２、給排気ファン４３、切換ダンパ４４、吸着用ダクト４５、吸着用ファン４６、ロータ駆動モータ４７、ロータ駆動ギア４８、およびヒータ支持板４９を含む。

【0035】

（３－１）ハウジング４０
ハウジング４０は、加湿ユニット４の前方、後方および両側方を覆っている。ハウジング４０の上部は、天板６６により覆われている。

【0036】

ハウジング４０は、空調室外ユニット５の上部に接するように配置されている。ハウジング４０は、その前面に、吸着用吹出口４０ａを有している。吸着用吹出口４０ａは、複数のスリット状の開口である。空気は、吸着用吹出口４０ａを通って室外機３の外部へと吹き出される。

【0037】

また、ハウジング４０の背面には、吸着用吸込口４０ｂおよび給排気口４０ｃが左右方向に並んで配置されている。吸着用吸込口４０ｂは、前面側から見て左側に配置され、給排気口４０ｃは右側に配置されている。

【0038】

室外空気は、吸着用吸込口４０ｂを介して取り入れられ、吸湿ロータ４１へ導かれる。室外空気に含まれる水分は吸湿ロータ４１に吸着される。給排気口４０ｃは、室内機２へ送られる空気が通る、または、室内機２から室外へと排気される空気が通る。

【0039】

ハウジング４０は、内部に左右２つの空間を有している。右側の空間に吸湿ロータ４１等が収容され、左側の空間に吸着用ファン４６等が収容される。左側の空間は、吸着用ファン収納空間ＳＰ１と呼ばれる。

【0040】

ハウジング４０内には、吸湿ロータ４１、ヒータ４２、給排気ファン４３、切換ダンパ４４、吸着用ダクト４５、および吸着用ファン４６が配置されている。

【0041】

（３－２）吸湿ロータ４１
吸湿ロータ４１は、円板形状を有するハニカム構造のセラミックロータであり、空気が容易に通過できる。吸湿ロータ４１は、回転軸と垂直に切った断面において、多数の多角形の筒部分を有しており、その筒部分を空気が通過する。

【0042】

吸湿ロータ４１の主たる部分は、ゼオライト、シリカゲル、あるいはアルミナといった吸着剤から焼成されている。ゼオライト等の吸着剤は、接触する空気中の水分を吸着し、加熱されることによって吸着した水分を放出する性質を有している。

【0043】

吸湿ロータ４１は、ハウジング４０側に設けられた支持軸４０ｄに、回動可能に支持されている。吸湿ロータ４１の周面には、ギアが形成されており、ロータ駆動モータ４７の駆動軸に取り付けられるロータ駆動ギア４８と歯合している。

【0044】

（３－３）ヒータ４２
ヒータ４２は、吸湿ロータ４１の上面の略半分（右側の半分）を覆うように配置されている。ヒータ４２の下面には、吸込口と吐出口とが形成されている。吸込口から空気が吸入される。ヒータ４２で加熱された空気は、排出口から吸湿ロータ４１側へ排出される。このヒータ４２は、ヒータ支持板４９を介して吸湿ロータ４１の上方に取り付けられる。

【0045】

（３－４）給排気ファン４３
給排気ファン４３は、吸湿ロータ４１の側方に配置されている。給排気ファン４３は、室外から取り入れた空気を室内機２へと送るか、又は、室内機２から取り入れた空気を室外へと排出する。

【0046】

給排気ファン４３は、切換ダンパ４４が切り替わることにより、給気動作と排気動作とを切り替える。給排気ファン４３は、室外空気を室内機２へと送る場合、吸湿ロータ４１を通過して吸湿ロータ４１の所定の部分から降りてきた空気を、第１ダクト６１へと送り出す。

【0047】

給排気ファン４３と室内機２とは、第１ダクト６１、消音器７０、第２ダクト６２および給排気ホース６で構成される給排気経路によって繋がっている。給排気ファン４３は、当該給排気経路を介して空気を室内機２へと供給する。

【0048】

給排気ファン４３は、室内空気を室外へと排出する場合、第１ダクト６１から送られてきた空気をハウジング４０の背面に設けられた給排気口４０ｃから室外へと排出する。

【0049】

（３－５）切換ダンパ４４
切換ダンパ４４は、給排気ファン４３の下方に配置される回転式の空気流路切換手段であり、第１状態と第２状態とに切り替わる。

【0050】

第１状態では、給排気ファン４３から吹き出された空気は、上記給排気経路を通って室内機２へと供給される。これにより、第１状態では、図２の実線矢印Ａ１で示す矢印の向きに空気が流れ、加湿空気あるいは室外空気が室内機２へと供給される。

【0051】

第２状態では、図２の破線矢印Ａ２で示す矢印の向きに空気が流れ、室内機２からの空気が給排気ファン４３から給排気口４０ｃを経て室外へと排気される。

【0052】

（３－６）吸着用ダクト４５
吸着用ダクト４５は、吸湿ロータ４１の上面のうちヒータ４２が位置しない部分を覆っている。この吸着用ダクト４５は、第２ベルマウス６３とともに、吸湿ロータ４１の左半分の部分の上面から吸着用ファン収納空間ＳＰ１の上部へと通じる空気流路を形成する。

【0053】

（３－７）吸着用ファン４６
吸着用ファン４６は、吸着用ファン収納空間ＳＰ１に配置されている。吸着用ファン４６は、遠心ファンである。吸着用ファン４６は、吸着用ファンモータ６５によって回転する。吸着用ファン４６は、上部に配置される第２ベルマウス６３の開口部６３ａから空気を吸込み、吸着用吸込口４０ｂから吸湿ロータ４１を介して、開口部６３ａへ流れる気流を生成する。

【0054】

吸着用ファン４６は、吸湿ロータ４１を通る際に水分を吸着された乾燥空気を吸着用吹出口４０ａからハウジング４０の前方へ向けて排気する。第２ベルマウス６３は、吸着用ファン収納空間ＳＰ１の上部に設けられており、吸着用ダクト４５を通ってくる空気を吸着用ファン４６へと導く。

【0055】

（４）加湿ユニット４の動作
図４は、加湿ユニット４の概略構成図である。また、図５は吸湿ロータ４１を流れる空気の流れを模式的に表した図である。図４および図５において、説明の便宜上、吸着用吸込口４０ｂから吸着用ファン４６までの空気通路を吸湿通路Ｘ、給排気口４０ｃからヒータ４２までの空気通路を採熱通路Ｙ、ヒータ４２から給排気ファン４３までの空気通路を加湿通路Ｚという。

【0056】

（４－１）加湿動作
加湿ユニット４は、吸着用ファン４６が稼働することによって、室外空気を吸着用吸込口４０ｂから吸湿通路Ｘ内に取り入れる。吸湿通路Ｘを流れる空気Ａｘは、吸湿通路Ｘに面する吸湿ロータ４１の第１領域Ｒｘを通過し、その第１領域Ｒｘに空気Ａｘ中の水分が吸収される。

【0057】

空気Ａｘは、吸着用ファン４６を通過し、吸着用ファン収納空間ＳＰ１から吸着用吹出口４０ａを通って室外機３の前方へと排出される。

【0058】

また、加湿ユニット４は、給排気ファン４３が回転することによって、室外空気を給排気口４０ｃから採熱通路Ｙ内に取り入れる。採熱通路Ｙを流れる空気Ａｙは、採熱通路Ｙに面する吸湿ロータ４１の第２領域Ｒｙを通過した後、ヒータ４２で加熱される。空気Ａｙは、ヒータ４２で加熱されて高温空気Ａｚとなり加湿通路Ｚに流れる。高温空気Ａｚは、加湿通路Ｚに面する吸湿ロータ４１の第３領域Ｒｚを通過して第１ダクト６１に流れる。

【0059】

採熱通路Ｙを流れる空気Ａｙは、吸湿ロータ４１の第２領域Ｒｙを通過する際に第２領域Ｒｙから熱を回収して温度上昇し、その後、ヒータ４２でさらに加熱され、高温空気Ａｚとなる。加湿通路Ｚを流れる高温空気Ａｚは吸湿ロータ４１の第３領域Ｒｚを通過する際に第３領域Ｒｚから水分を吸収する。

【0060】

図５に示すように、吸湿ロータ４１は、矢印Ｄに示す方向に回転して、吸湿通路Ｘ、加湿通路Ｚおよび採熱通路Ｙの順に通過していく。その結果、吸湿ロータ４１において、吸湿通路Ｘに面する吸湿ロータ４１の第１領域Ｒｘと、加湿通路Ｚに面する吸湿ロータ４１の第３領域Ｒｚと、採熱通路Ｙに面する吸湿ロータ４１の第２領域Ｒｙとが順次移動していく。

【0061】

吸湿通路Ｘの空気Ａｘから吸湿ロータ４１が吸着した水分は、ヒータ４２によって加熱された高温空気Ａｚによって放出され、高温空気Ａｚは加湿される。

【0062】

給排気ファン４３は、吸湿ロータ４１を通り抜けてきた空気を、給排気経路を介して室内機２へと送る。この室内機２へと送られる空気は、吸湿ロータ４１に吸着されていた水分を含むようになっている。

【0063】

このようにして加湿ユニット４から室内機２に供給された空気は、室内熱交換器１１を経て室内に吹き出される。

【0064】

（４－２）換気動作
空気調和装置１は、吸着用ファンモータ６５やヒータ４２を動作させないことにより、加湿を行わずに室外の空気を取り入れて室内機２へと送る給気のみを行うこともできる。また、空気調和装置１は、室内の空気を室外へ送る排気のみを行うこともできる。

【0065】

（５）消音器７０を含む給排気経路の詳細
給排気経路は、第１ダクト６１、消音器７０、第２ダクト６２および給排気ホース６で構成されている。加湿ユニット４と室内機２とは給排気経路によって繋がっており、給排気ファン４３は当該給排気経路を介して空気を室内機２へと供給する。

【0066】

図６は、室外機３の右側面図である。図６において、説明の便宜上、カバー５５は仮想線（２点鎖線）で表示され、カバー５５が透視されて右側板５２が見えるようにしている。また、加湿ユニット４およびその内部も仮想線（２点鎖線）で表示している。さらに、図６に記載の消音器７０は、内部構造がわかるように、部分的に破断図で記載されている。

【0067】

また、説明に使用する「方向」については、図６の「上」、「下」、「前」、「後」の４方向の矢印で表記された方向に従う。

【0068】

（５－１）第１ダクト６１
第１ダクト６１は、筒状の風路であって、給排気ファン４３によって供給される空気が流れる。第１ダクト６１は、一端が室外機３の内部に位置し、給排気ファン４３の下方に配置されている切換ダンパ４４に接続される。

【0069】

第１ダクト６１は、図６において、右側板５２の上部で、かつ右側板５２の仮想鉛直中心線Ｃ１よりも後方の位置を、室外機３の内部から外部に向かって貫通し、第１曲げ部６１１に到る。

【0070】

第１ダクト６１は、第１曲げ部６１１において、下方にほぼ９０°曲げられて、右側板５２に沿って鉛直下方に進み、第２曲げ部６１２に到る。

【0071】

第１ダクト６１は、第２曲げ部６１２において、前方下向きに進路を変えて右側板５２に沿って進み、第３曲げ部６１３に到る。

【0072】

より具体的には、室外機３において、前面パネル５１（図３参照）が配置されている側を「前面側」、略Ｌ字形状の室外熱交換器２４（図３参照）の長尺部分が配置されている側を「背面側」とし、第１ダクト６１は第２曲げ部６１２によって、室外機３の右側板５２に沿って背面側から前面側へ、且つ下方に向けて進路を変えて進み、第３曲げ部６１３に到る。第３曲げ部６１３は、右側板５２の仮想鉛直中心線Ｃ１よりも前方に位置する。

【0073】

第１ダクト６１は、第３曲げ部６１３において、鉛直下方に進路を変えて右側板５２に沿って進み、第４曲げ部６１４に到る。第４曲げ部６１４の最下点は、第１ダクト６１の最下点である。

【0074】

第１ダクト６１は、第４曲げ部６１４において、後方上向きに進路を変えて右側板５２に沿って進み、終端となる。したがって、第１ダクト６１の終端は、第１ダクト６１の最下点よりも上方、かつ水平よりも上向きである。

【0075】

第１ダクト６１の終端には、消音器７０が接続される。したがって、第１ダクト６１を通過する加湿空気の水分が結露して第１ダクト６１の最下点に結露水が滞留しても、消音器７０へ結露水が流入することは抑制される。

【0076】

（５－２）消音器７０
消音器７０は、図１および図６に示すように、第１ダクト６１の終端に接続されており、第１ダクト６１および消音器７０は右側板５２とカバー５５との間に収容されている。これによって、第１ダクト６１および消音器７０がカバー５５に覆われるので、屋外設置された場合でも屋外環境によって第１ダクト６１および消音器７０の構成部材が劣化することを抑制することができる。

【0077】

但し、第１ダクト６１および消音器７０が右側板５２とカバー５５との間に完全に収容されている必要はなく、部分的にはみ出してもよい。なぜなら、第１ダクト６１および消音器７０が完全にカバー５５に覆われていないものと比べれば、当該構成部材の劣化は抑制されるからである。

【0078】

室外機３から室内機２へ室外空気が供給されるとき、消音器７０は第１ダクト６１を伝搬する音を低減する。また、室内機２から室外機３へ空気が排気されるとき、消音器７０は第２ダクト６２を伝搬する音を低減する。

【0079】

第１ダクト６１の曲げ部で音が発生し易いので、第１ダクト６１の最後の曲げ部である第４曲げ部６１４よりも下流側に消音器７０が接続される。これによって、第４曲げ部６１４の上流側に消音器７０が接続されたものよりも、高い消音効果が得られる。

【0080】

また、図６に示すように、消音器７０は、液閉鎖弁２７およびガス閉鎖弁２８よりも上方に配置されている。

【0081】

減圧後の冷媒が通過する冷媒配管３２の表面では結露が発生して結露水が落下するが、消音器７０は液閉鎖弁２７の上方に配置されているので、消音器７０に結露水が落下することが回避される。

【0082】

消音器７０は、消音器本体７００と、第１接続部７０１と、第２接続部７０２とを有している。

【0083】

（５－２－１）消音器本体７００
消音器本体７００は、直方体の外殻であるケーシング７００ａを有している。消音器本体７００は、ケーシング７００ａの内部に、吸音材７００ｂと、吸音材７００ｂに囲まれた空洞７００ｃを有している。

【0084】

吸音材７００ｂの素材としては、フェルトや発泡ウレタンなどが利用できる。空洞７００ｃは、第１ダクト６１と繋がっているので、室内機２へと送られる空気、又は、室内機２から送られる空気はこの空洞７００ｃを通る。

【0085】

空気調和装置１では、給排気ファン４３で発生した音は、室内機２へと送られる前に室外機３の第１ダクト６１に接続された消音器７０により低減される。このため、この空気調和装置１では、室外機３から室内機２へと伝わる音が小さくなる。

【0086】

また、排気のために空気が室内機２から室外機３へ送られるときには、給排気ホース６および第２ダクト６２を伝搬する音も消音器７０により低減される。

【0087】

図７は、消音器７０の外観斜視図である。図６および図７において、ケーシング７００ａは、第１ダクト６１に接続される第１接続部７０１と、第２ダクト６２が接続される第２接続部７０２を有している。

【0088】

また、図６に示すように、ケーシング７００ａには、消音器本体７００を右側板５２に締結するためのフランジ７０３さらに有している。

【0089】

（５－２－２）第１接続部７０１
第１接続部７０１は、直方体状のケーシング７００ａの一側面の中央部から突出している。但し、必ずしも中央部から突出させる必要はなく、図６において当該一側面の上下、前後のいずれかに偏らせてもよい。

【0090】

第１接続部７０１は、図６に示すように、第１ダクト６１の終端を受け入れる形態の接続部である。但し、これに限定されるものではなく、第１ダクト６１の終端に差し込まれる形態であってもよい。

【0091】

（５－２－３）第２接続部７０２
第２接続部７０２は、直方体状のケーシング７００ａのうち、第１接続部７０１が突出する一側面と対向する他側面の中央部から突出している。但し、第１接続部７０１と同様に、必ずしも中央部から突出させる必要はなく、図６において当該側面の上下、前後のいずれかに偏らせてもよい。

【0092】

第２接続部７０２は、図６に示すように、第２ダクト６２の一端に差し込まれる形態の接続部である。但し、これに限定されるものではなく、第２ダクト６２の当該一端を受け入れる形態であってもよい。

【0093】

（５－２－４）フランジ７０３
フランジ７０３は、図６に示すように、ケーシング７００ａの側面のうち、第１接続部７０１および第２接続部７０２が設けられていない側面から右側板５２に沿うように突出している。

【0094】

また、フランジ７０３には図７に示すように、貫通穴７０３ａが設けられている。右側板５２には、当該貫通穴７０３ａに対応する位置に、タッピングネジが挿入される小孔（図示せず）が形成されている。フランジ７０３が貫通穴７０３ａとタッピングネジとを介して右側板５２に締結されることによって、ケーシング７００ａが右側板５２に固定される。図６および図７では、２つのフランジ７０３が設けられているが、１つのフランジ７０３であってもよい。

【0095】

（５－３）第２ダクト６２
第２ダクト６２は、筒状の風路であって、消音器７０の第２接続部７０２に接続される。第２ダクト６２は、第１ダクト６１から消音器７０に流入した空気をさらに下流へ導く。

【0096】

また、第２接続部７０２が、室外機３の右側板５２に沿って液閉鎖弁２７およびガス閉鎖弁２８の上方に離間している。それゆえ、第２接続部７０２と液閉鎖弁２７およびガス閉鎖弁２８との間に、第２ダクト６２が配置される空間が確保されている。

【0097】

本実施形態では、第２ダクト６２が延びる方向は、冷媒配管３１，３２が延びる方向に沿っている。

【0098】

（５－４）給排気ホース６
給排気ホース６は、第２ダクト６２に接続され、室外機３と室内機２との間で空気の搬送を可能としている。室外機３から室外空気から供給されるとき、給排気ホース６は、室外空気を室内機２へ導く。また、室内機２から室外機３へ空気が排気されるとき、給排気ホース６は、空気を室外機３へ導く。

【0099】

第２ダクト６２と給排気ホース６とは室外機３と室内機２とを繋ぐように引き回されるホースのようなものであり、第２ダクト６２が給排気ホース６を含み、或いは給排気ホース６が第２ダクト６２を含むと考えてよい。本実施形態では、第２ダクト６２と給排気ホース６とを別体として設けているが、第２ダクト６２と給排気ホース６とを一体に成形してもよい。

【0100】

また、消音器７０は、液閉鎖弁２７およびガス閉鎖弁２８よりも上方に配置されているので、第２ダクト６２を液閉鎖弁２７およびガス閉鎖弁２８に接続される冷媒配管３１，３２に沿わせ易くなり、製品据え付け時に第２ダクト６２および／または給排気ホース６と冷媒配管３１，３２を束ね易くなる。本実施形態では、冷媒配管３１，３２と、冷媒配管３１，３２に隣接する第２ダクト６２の直管部が成す角度は、２０度以下である。

【0101】

（６）特徴
（６－１）
空気調和装置１では、第１ダクト６１の曲げ部で音が発生するので、第１ダクト６１の最後の曲げ部である第４曲げ部６１４よりも下流側に消音器７０が接続されることによって、第４曲げ部６１４の上流側に消音器７０が接続されたものよりも、高い消音効果が得られる。

【0102】

（６－２）
空気調和装置１では、第１ダクト６１の最後の曲げ部である第４曲げ部６１４および消音器７０は、カバー５５によって覆われており、第１ダクト６１および消音器７０の保護カバーを閉鎖弁用のカバー５５で兼用できるので、合理的である上に、屋外設置された場合でも屋外環境によって第１ダクト６１および消音器７０の構成部材が劣化することを抑制することができる。

【0103】

（６－３）
空気調和装置１では、消音器７０が液閉鎖弁２７およびガス閉鎖弁２８よりも上方に配置されているので、減圧後の冷媒が通過する冷媒配管の表面で発生した結露水が落下しても、消音器７０に結露水が落下することが回避される。

【0104】

（６－４）
空気調和装置１では、第１ダクト６１の給気流れ方向の端部が、第１ダクト６１の最下点よりも上方、かつ水平よりも上向きであり、消音器７０は、その端部に消音器７０が接続される。それゆえ、第１ダクト６１を通過する加湿空気の水分が結露して第１ダクト６１の最下点に結露水が滞留しても、消音器７０へ結露水が流入することが抑制される。

【0105】

（６－５）
空気調和装置１は、消音器７０が室外機３の右側板５２に締結される。

【0106】

（７）変形例
上記実施形態では、消音器７０は右側板５２とカバー５５との間に配置されているが、これに限定されるものではない。

【0107】

図８は、変形例に係る空気調和装置１の室外機３の右側面図である。図８において、第１ダクト６１は、第４曲げ部６１４からの延び代が上記実施形態（図６）よりも長く、その終端が右側板５２とカバー５５との間の空間よりも後方に位置する。

【0108】

したがって、第１ダクト６１の終端に接続された消音器７０は、右側板５２とカバー５５との間の空間よりも後方に位置する。

【0109】

消音器７０の右側板５２への締結は、消音器７０に設けられた１つのフランジ７０３を介してネジ止めすることによって行われる。

【0110】

この変形例の場合、消音器７０は、右側板５２とカバー５５との間の空間に収容する必要がないので、消音器７０のサイズを大きくして、消音効果を高めることができる。また、消音器７０を防炎壁として利用することもできる。

【0111】

以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。

【符号の説明】

【0112】

１ 空気調和装置
２ 室内機
３ 室外機
２７ 液閉鎖弁
２８ ガス閉鎖弁
３１ 冷媒配管
３２ 冷媒配管
４３ 給排気ファン（ファン）
５５ カバー
６０ 端子盤
６１ 第１ダクト（第１給気ダクト）
６１１ 第１曲げ部（曲げ部）
６１２ 第２曲げ部（曲げ部）
６１３ 第３曲げ部（曲げ部）
６１４ 第４曲げ部（最後の曲げ部）
６２ 第２ダクト（第２給気ダクト）
７０ 消音器
７００ 消音器本体
７０１ 第１接続部
７０２ 第２接続部

【先行技術文献】

【特許文献】

【0113】

【特許文献1】特開２０２２－６０８７４号公報

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】