(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039549
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】水中油型乳化皮膚化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/06 20060101AFI20240314BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240314BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240314BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240314BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240314BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20240314BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20240314BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/86
A61Q19/00
A61K8/41
A61K8/39
A61K8/31
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144182
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 友和
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC012
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC111
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC441
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC521
4C083AC541
4C083AC581
4C083AC582
4C083AC662
4C083AD021
4C083AD022
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD162
4C083BB05
4C083CC02
4C083DD33
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】肌上にラメラ状のα-ゲル構造の皮膜を形成し、タオルドライ後でもその保湿効果がより高く、持続性があり、使用感も良好な水中油型乳化皮膚化粧料を提供する。
【解決手段】(A)アニオン界面活性剤0.05質量%以上3質量%以下、(B)高級アルコール0.1質量%以上6質量%以下、(C)モノ脂肪酸グリセリンエステル、ジ脂肪酸グリセリンエステル、モノ脂肪酸ソルビタンエステル及びジ脂肪酸ソルビタンエステルから選ばれる1種又は2種以上の化合物0.3質量%以上12質量%以下、(D)ゲル浸透クロマトグラフィー測定により求められるクロマトグラフから算出されるMHとMLとが式(1):0.35≦ML/MH≦0.75の関係を充足するポリプロピレングリコール又はその低級アルキルエーテル0.05質量%以上10質量以下、(E)有機塩基0.01質量%以上1.5質量%以下、を含有する、水中油型乳化皮膚化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含有する、水中油型乳化皮膚化粧料。
(A)アニオン界面活性剤 0.05質量%以上3質量%以下、
(B)高級アルコール 0.1質量%以上6質量%以下、
(C)モノ脂肪酸グリセリンエステル、ジ脂肪酸グリセリンエステル、モノ脂肪酸ソルビタンエステル及びジ脂肪酸ソルビタンエステルから選ばれる1種又は2種以上の化合物 0.3質量%以上12質量%以下、
(D)ゲル浸透クロマトグラフィー測定により求められるクロマトグラフから算出されるMHとMLとが式(1)の関係を充足するポリプロピレングリコール又はその低級アルキルエーテル 0.05質量%以上10質量以下、
[数1]
0.35≦ML/MH≦0.75 ・・・・(1)
(式(1)において、前記クロマトグラム上の屈折率強度が最大となる極大点KからベースラインBへの垂線の長さをLとし、屈折率強度がL/2となるクロマトグラム上の2点のうち溶出時間が早いほうを点Oとし、溶出時間が遅いほうを点Qとし、点Oと点Qを結ぶ直線Gと前記極大点Kから前記ベースラインへ引いた垂線との交点をPとしたとき、点Oと交点Pの距離をMHとし、点Qと交点Pの距離をMLとする)
(E)有機塩基 0.01質量%以上1.5質量%以下
【請求項2】
さらに、成分(F)HLB10~16の非イオン界面活性剤を水相側及び油相側に含有する請求項1記載の水中油型乳化皮膚化粧料。
【請求項3】
成分(F)HLB10~16の非イオン界面活性剤を水相側に0.01質量%以上1.5質量%及び油相側に0.01質量%以上1.5質量%以下含有する請求項2記載の水中油型乳化皮膚化粧料。
【請求項4】
さらに、成分(G)分子量500以下の3価以上のポリオールを含有する請求項1~3のいずれか1項記載の水中油型乳化皮膚化粧料。
【請求項5】
さらに、成分(H)数平均分子量2000以下のグリコール類及び成分(I)液状炭化水素油から選ばれる1種又は2種以上を含有する請求項4記載の水中油型乳化皮膚化粧料。
【請求項6】
成分(D)が、ゲル浸透クロマトグラフィーにおいて、示差屈折率計を用いて得られた屈折率強度と溶出時間で表されるクロマトグラムが左右非対称であり、以下に示すようにして求められるクロマトグラムのピークの非対称値Asが、下記式(2)、(3)の関係を充足するものである、請求項1~5のいずれか1項記載の水中油型乳化皮膚化粧料。
[数2]
As=W1/2/W5% ・・・(2)
0.30≦As≦0.70 ・・・(3)
(式(2)において、前記クロマトグラム上で屈折率強度がL/20となる2点のうち溶出時間が早いほうを点Rとし、溶出時間が遅いほうを点Sとし、点Rと点Sを結んだ直線Hと前記極大点Kから前記ベースラインBへ引いた垂線との交点をTとし、点Rと交点Tの距離をW1/2、点Rと点Sの距離をW5%とする)
【請求項7】
成分(D)のポリプロピレングリコールにおけるオキシプロピレン基の平均付加モル数が、50以上250以下である請求項1~6のいずれか1項記載の水中油型乳化皮膚化粧料。
【請求項8】
成分(E)が、炭素数1~6のアルキル基を有するアルキルアミン、炭素数1~6のアルキル基を有するアルカノールアミン及び塩基性アミノ酸から選ばれる1種又は2種以上である請求項1~7のいずれか1項記載の水中油型乳化皮膚化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型乳化皮膚化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚への保湿効果の持続性に優れた化粧料として、皮膚表面に均一で柔軟なラメラ状のα-ゲル構造の皮膜を形成する皮膚化粧料として、高級アルコールや高級脂肪酸等の油剤に加えてジアルキルエーテル、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、高重合シリコーン等を配合した皮膚化粧料が報告されている(特許文献1~3)。しかし、十分な保湿効果を得ようとして、洗顔後、シャワー後又は入浴後等のぬれ肌にこれら従来の化粧料を適用した場合、十分に肌に密着せず、タオルドライ後に十分な保湿効果が得られなかった。
そこで、本発明者らは、高級アルコール、アニオン界面活性剤、特定の多価アルコール脂肪酸エステルに加えて、ポリエーテル変性シリコーン及びアルキルポリエーテル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上の化合物を含有させることにより、ぬれ肌に適用した場合であっても、肌上にラメラ状のα-ゲル構造の皮膜を形成し、タオルドライ後でも製剤の残留性が高く、肌の水分蒸散を抑制して、持続的な保湿効果を示し、皮膚感触も良好な皮膚化粧料が得られることを見出し、特許出願した(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-227304号公報
【特許文献2】特開2015-227305号公報
【特許文献3】特開2016-222598号公報
【特許文献4】特開2018-203730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献4記載の化粧料であっても、ぬれ肌に適用した場合、タオルドライ後の保湿効果、その持続性及び使用感は十分でなかった。
従って、本発明の課題は、肌上にラメラ状のα-ゲル構造の皮膜を形成し、タオルドライ後でもその保湿効果がより高く、持続性があり、使用感も良好な水中油型乳化皮膚化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明者は、さらにタオルドライ後の保湿効果及びその持続性を向上させるべく検討した結果、アニオン界面活性剤、高級アルコール、有機塩基、及びグリセリン脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステルに加えて、特定の分子量分布を有するポリプロピレングリコール又はその低級アルキルエーテルを配合して水中油型乳化組成物とすることにより、肌上にラメラ状のα-ゲル構造の皮膜を形成し、タオルドライ後でも肌に吸い付くような感触を有するという優れた保湿効果の実感が得られ、その肌へ吸いつき力が持続し、かつ使用感も良好な水中油型乳化皮膚化粧料が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含有する水中油型乳化皮膚化粧料を提供するものである。
(A)アニオン界面活性剤 0.05質量%以上3質量%以下、
(B)高級アルコール 0.1質量%以上6質量%以下、
(C)モノ脂肪酸グリセリンエステル、ジ脂肪酸グリセリンエステル、モノ脂肪酸ソルビタンエステル及びジ脂肪酸ソルビタンエステルから選ばれる1種又は2種以上の化合物 0.3質量%以上12質量%以下、
(D)ゲル浸透クロマトグラフィー測定により求められるクロマトグラフから算出されるMHとMLとが式(1)の関係を充足するポリプロピレングリコール又はその低級アルキルエーテル 0.05質量%以上10質量以下、
【0007】
[数1]
0.35≦ML/MH≦0.75 ・・・・(1)
【0008】
(式(1)において、前記クロマトグラム上の屈折率強度が最大となる極大点KからベースラインBへの垂線の長さをLとし、屈折率強度がL/2となるクロマトグラム上の2点のうち溶出時間が早いほうを点Oとし、溶出時間が遅いほうを点Qとし、点Oと点Qを結ぶ直線Gと前記極大点Kから前記ベースラインへ引いた垂線との交点をPとしたとき、点Oと交点Pの距離をMHとし、点Qと交点Pの距離をMLとする)
(E)有機塩基 0.01質量%以上1.5質量%以下
【発明の効果】
【0009】
本発明の皮膚化粧料を用いれば、ぬれ肌に適用した場合であっても、肌上にラメラ状のα-ゲル構造の皮膜を形成し、タオルドライ後でも肌に吸い付くような感触を有するという優れた保湿効果の実感が得られ、その肌へ吸いつき力が持続し、かつぬれ肌に塗布したときの肌へのなじみやすさ、ぬれ肌に塗布し、タオルドライした後の肌のもちもち感、肌のべたつきのなさなどの使用感も良好であるという効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の化粧料は、水中油型乳化皮膚化粧料であって、その一態様は、次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含有する。
(A)アニオン界面活性剤 0.05質量%以上3質量%以下、
(B)高級アルコール 0.1質量%以上6質量%以下、
(C)モノ脂肪酸グリセリンエステル、ジ脂肪酸グリセリンエステル、モノ脂肪酸ソルビタンエステル及びジ脂肪酸ソルビタンエステルから選ばれる1種又は2種以上の化合物 0.3質量%以上12質量%以下、
(D)ゲル浸透クロマトグラフィー測定により求められるクロマトグラフから算出されるMHとMLとが式(1)の関係を充足するポリプロピレングリコール又はその低級アルキルエーテル 0.05質量%以上10質量以下、
【0011】
[数2]
0.35≦ML/MH≦0.75 ・・・・(1)
【0012】
(式(1)において、前記クロマトグラム上の屈折率強度が最大となる極大点KからベースラインBへの垂線の長さをLとし、屈折率強度がL/2となるクロマトグラム上の2点のうち溶出時間が早いほうを点Oとし、溶出時間が遅いほうを点Qとし、点Oと点Qを結ぶ直線Gと前記極大点Kから前記ベースラインへ引いた垂線との交点をPとしたとき、点Oと交点Pの距離をMHとし、点Qと交点Pの距離をMLとする)
(E)有機塩基 0.01質量%以上1.5質量%以下
【0013】
本発明における成分(A)は、アニオン界面活性剤であり、水中油型乳化皮膚化粧料中の乳化粒子をラメラ構造にし、肌上にラメラ膜(α-ゲル)を形成させる機能を有する。
成分(A)のアニオン界面活性剤としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸アルギニン等の炭素数12~22の脂肪酸又はその塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等の炭素数12~22のアルキル硫酸エステル又はその塩;ポリオキシエチレンラウリル硫酸トリエタノールアミン等の炭素数12~22のアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩;ラウロイルサルコシンナトリウム等のN-炭素数12~22のアシルサルコシン又はその塩;モノステアリルリン酸ナトリウム等の炭素数12~22のアルキルリン酸又はその塩;ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸ナトリウム等のポリオキシエチレン炭素数12~22のアルキルエーテルリン酸又はその塩;ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム等の炭素数12~24のジアルキルスルホコハク酸又はその塩;N-ステアロイル-N-メチルタウリンナトリウム等の炭素数12~22のN‐アルキロイルメチルタウリン又はその塩、ジラウロイルグルタミン酸ナトリウム、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ステアロイル-L-グルタミン酸アルギニン、N-ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム等のN-炭素数12~22のアシルグルタミン酸又はその塩などが挙げられる。
【0014】
成分(A)のアニオン界面活性剤としては、脂肪酸又はその塩以外のものが好ましく、ポリオキシエチレン炭素数12~22のアルキルエーテルリン酸又はその塩、炭素数12~22のN-アルキロイルメチルタウリンナトリウム、及びN-炭素数12~22のアシルグルタミン酸塩から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、ぬれ肌に適用してタオルドライ後の肌に吸い付くような感触を得る観点及びそれを持続させる観点から、炭素数12~22のN-アルキロイルメチルタウリンナトリウム、N-炭素数12~22のアシルグルタミン酸又はその塩がより好ましい。N-炭素数12~22のアシルグルタミン酸塩としては、N-ステアロイル-L-グルタミン酸塩が好ましく、N-ステアロイル-L-グルタミン酸アルギニン塩、及びN-ステアロイル-L-グルタミン酸カリウム塩から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
【0015】
成分(A)は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができ、皮膚化粧料中の乳化粒子をラメラ構造にする観点、肌上にラメラ膜(α-ゲル)を形成させ、ぬれ肌に適用してタオルドライ後の肌に吸い付くような感触を得る観点、それを持続させる観点、及び良好な使用感を得る観点から、含有量は、対イオンを除いた化合物の含有量として、全組成中に0.05質量%以上3質量%以下であり、0.08質量%以上2質量%以下が好ましく、0.1質量%以上1.5質量%以下がより好ましい。
【0016】
成分(B)は、高級アルコールであり、皮膚化粧料中の乳化粒子をラメラ構造にし、肌上にラメラ膜(α-ゲル)を形成させ、また保湿作用及び保湿作用の持続性に寄与する。
成分(B)の高級アルコールとしては、炭素数12~22の直鎖状飽和アルコールが好ましく、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられる。これらのうち、炭素数14~22の直鎖状飽和アルコールが好ましく、炭素数16~22の直鎖状飽和アルコールがより好ましく、保湿作用の持続性を向上させる観点から、セチルアルコール及びステアリルアルコールから選ばれる少なくとも1種が更に好ましく、セチルアルコールとステアリルアルコールとを含むことが更により好ましい。セチルアルコールとステアリルアルコールとを含有する場合、それぞれ独立に、あるいは混合して配合してもよいし、更にはその混合物であるセトステアリルアルコールを配合してもよい。
【0017】
成分(B)は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができ、皮膚化粧料中の乳化粒子をラメラ構造にする観点、肌上にラメラ膜(α-ゲル)を形成させ、ぬれ肌に適用しタオルドライ後であっても、ぬれた肌に吸い付くような感触を得る観点及びその持続性の観点から、含有量は、全組成中に0.1質量%以上6質量%以下であり、0.2質量%以上5質量%以下が好ましく、0.3質量%以上4質量%以下がより好ましい。
【0018】
成分(C)は、モノ脂肪酸グリセリンエステル、ジ脂肪酸グリセリンエステル、モノ脂肪酸ソルビタンエステル及びジ脂肪酸ソルビタンエステルから選ばれる1種又は2種以上の化合物である。成分(C)は、皮膚化粧料中の乳化粒子をラメラ構造にし、肌上にラメラ膜(α-ゲル)を形成させ、ぬれ肌に適用しタオルドライ後であっても、ぬれた肌に吸い付くような感触を得る機能及びそれを持続させる機能を有する。
これらの化合物を構成する脂肪酸は、皮膚化粧料中の乳化粒子をラメラ構造にし、肌上にラメラ膜(α-ゲル)を形成させ、ぬれ肌に適用しタオルドライ後であっても、ぬれた肌に吸い付くような感触を得る観点及びそれを持続させる観点から、脂肪酸の炭素数が12~22であるのが好ましく、炭素数が16~18であるのがより好ましい。
成分(C)としては、上記の成分(C)の機能を十分に発揮させる観点から、モノ脂肪酸グリセリンエステル及びジ脂肪酸ソルビタンエステルから選ばれる少なくとも1種が好ましい。モノ脂肪酸グリセリンエステルの中ではベヘン酸モノグリセリルが好ましく、ジ脂肪酸ソルビタンエステルの中ではジステアリン酸ソルビタンが好ましく、ベヘン酸モノグリセリル及びジステアリン酸ソルビタンから選ばれる少なくとも1種が好ましく、ベヘン酸モノグリセリルとジステアリン酸ソルビタンの両方を含むことがより好ましい。
【0019】
成分(C)は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができ、皮膚化粧料中の乳化粒子をラメラ構造にし、肌上にラメラ膜(α-ゲル)を形成させ、ぬれ肌に適用しタオルドライ後であっても、ぬれた肌に吸い付くような感触を得る観点及びそれを持続させる観点から、含有量は、全組成中に0.3質量%以上12質量%以下であり、0.5質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上8質量%以下がより好ましい。
【0020】
本発明において、成分(B)及び(C)の合計量[(B)+(C)]に対する成分(A)の質量比は、皮膚化粧料中の乳化粒子をラメラ構造にする観点、ぬれ肌に適用しタオルドライ後であっても、ぬれた肌に吸い付くような感触を得る観点及びそれを持続させる観点から、(A)/[(B)+(C)]=0.05以上0.5以下が好ましく、0.08以上0.4以下がより好ましく、0.1以上0.3以下がさらに好ましい。
また、成分(B)及び(C)の合計量[(B)+(C)]に対する成分(B)の質量比は、皮膚化粧料中の乳化粒子をラメラ構造にする観点、ぬれ肌に適用しタオルドライ後であっても、ぬれた肌に吸い付くような感触を得る観点及びそれを持続させる観点から、(B)/[(B)+(C)]=0.2以上0.75以下が好ましく、0.25以上0.6以下がより好ましく、0.3以上0.5以下がさらに好ましい。
【0021】
成分(D)は、ゲル浸透クロマトグラフィー測定により求められるクロマトグラフから算出されるMHとMLとが式(1)の関係を充足するポリプロピレングリコール又はその低級アルキルエーテルである。
【0022】
[数3]
0.35≦ML/MH≦0.75 ・・・・(1)
【0023】
(式(1)において、前記クロマトグラム上の屈折率強度が最大となる極大点KからベースラインBへの垂線の長さをLとし、屈折率強度がL/2となるクロマトグラム上の2点のうち溶出時間が早いほうを点Oとし、溶出時間が遅いほうを点Qとし、点Oと点Qを結ぶ直線Gと前記極大点Kから前記ベースラインへ引いた垂線との交点をPとしたとき、点Oと交点Pの距離をMHとし、点Qと交点Pの距離をMLとする)
成分(D)は、タオルドライ後でも肌に吸い付くような感触を有するという優れた保湿効果を得、その肌へ吸いつき力を持続させる機能を有する主な成分である。
【0024】
本発明で用いる成分(D)のポリアルキレングリコール又はその低級アルキルエーテルは、特開2018-104342号公報記載のように、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)において、示差屈折率計を用いて得られたクロマトグラムによって規定される。このクロマトグラムとは、屈折率強度と溶出時間との関係を表すグラフであり、横軸は溶出時間を、縦軸は示差屈折率計を用いて得られた屈折率強度を示す。ゲル浸透クロマトグラフに試料溶液を注入して展開すると、最も分子量の高い分子から溶出が始まり、屈折率強度の増加に伴い、溶出曲線が上昇していく。その後、屈折率強度が最大となる極大点Kを過ぎると、溶出曲線は下降していく。
ML/MHは、それぞれ、以下のようにしてクロマトグラムから算出する。
(1)クロマトグラム上の屈折率強度の極大点KからベースラインBへ垂線を引き、垂線の長さをLとする。
(2)屈折率強度がL/2となるクロマトグラム上の2点のうち、溶出時間が早いほうを点Oとし、溶出時間が遅いほうを点Qとする。
(3)点Oと点Qを結んだ直線Gと、屈折率強度の極大点KからベースラインBへ引いた垂線との交点をPとする。
【0025】
前記式(1)中のML/MHは、ポリプロピレングルコール又はその低級アルキルエーテルの粘度の低下や粘度の上昇を防止する観点から、0.35以上0.75以下であるが、0.36以上0.75以下が好ましく、0.36以上0.62以下がより好ましい。
また、ポリプロピレングリコールにおけるオキシプロピレン基の平均付加モル数は、本発明皮膚化粧料の粘度低下防止、タオルドライ後でも肌に吸い付くような感触を有するという優れた保湿効果を得、その肌へ吸いつき力を持続させる機能を得る観点から、50以上250以下が好ましく、50以上150以下がより好ましい。
また、低級アルキルエーテル体としては、炭素数1~6のアルキルエーテルが好ましい。
【0026】
また、成分(D)は、ゲル浸透クロマトグラフィーにおいて、示差屈折率計を用いて得られた屈折率強度と溶出時間で表されるクロマトグラムが左右非対称であり、以下に示すようにして求められるクロマトグラムのピークの非対称値Asが、下記式(2)、(3)の関係を充足するものが好ましい。
【0027】
[数4]
【0028】
As=W1/2/W5% ・・・(2)
0.30≦As≦0.70 ・・・(3)
【0029】
(式(2)において、前記クロマトグラム上で屈折率強度がL/20となる2点のうち溶出時間が早いほうを点Rとし、溶出時間が遅いほうを点Sとし、点Rと点Sを結んだ直線Hと前記極大点Kから前記ベースラインBへ引いた垂線との交点をTとし、点Rと交点Tの距離をW1/2、点Rと点Sの距離をW5%とする)
【0030】
Asは、特開2018-104342号公報記載のように、以下のようにして算出できる。
(1)クロマトグラム上の屈折率強度の極大点KからベースラインBへ垂線を引き、その長さをLとする。
(2)屈折率強度がL/20となるクロマトグラム上の2点のうち、溶出時間が早いほうを点Rとし、溶出時間が遅いほうを点Sとする。
(3)点Rと点Sを結んだ直線Hと、屈折率強度の極大点KからベースラインBへ引いた垂線との交点をTとする。
(4)点Rと交点Tの距離をW1/2、点Rと点Sの距離をW5%とする。
【0031】
前記式(3)中のAsは、ポリプロピレングルコール又はその低級アルキルエーテルの粘度の低下や粘度の上昇を防止する観点から、0.30以上0.70以下が好ましいが、0.35以上0.65以下がより好ましく、0.50以上0.65以下がよりさらに好ましい。
【0032】
本発明において、ML、MH及びAsを求めるためのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)は、特開2018-104342号公報記載のように、システムとしてSHODEX(登録商標) GPC101GPC専用システム、示差屈折率計としてSHODEX RI-71s、ガードカラムとしてSHODEXKF-G、カラムとしてSHODEX KF804Lを3本連続装着し、カラム温度40℃、展開溶剤としてテトラヒドロフランを1ml/分の流速で流し、得られた反応物の0.1重量%テトラヒドロフラン溶液0.1mlを注入し、BORWIN GPC計算プログラムを用いて、屈折率強度と溶出時間で表されるクロマトグラムを得る。
【0033】
ポリプロピレングルコール又はその低級アルキルエーテルとしては、具体的には、ポリプロピレングリコール、そのメチルエーテル、そのエチルエーテル、そのプロピルエーテル又はそのブチルエーテルが好ましく、ポリプロピレングリコール、そのメチルエーテル、そのエチルエーテル、そのプロピルエーテル又はそのブチルエーテルがより好ましく、ポリプロピレングリコール、そのメチルエーテル、そのエチルエーテル、そのプロピルエーテル又はそのブチルエーテルがさらに好ましい。
当該成分(D)の市販品としては、アクロビュートTMMB-52,アクロビュートTMMB-90(日油株式会社製)などが挙げられる。
【0034】
成分(D)は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができ、ぬれ肌に適用しタオルドライ後であっても、ぬれた肌に吸い付くような感触を得る観点及びそれを持続させる観点から、含有量は、全組成中に0.05質量%以上10質量%以下であり、0.1質量%以上8質量%以下が好ましく、0.5質量%以上5質量%以下がより好ましい。
【0035】
成分(A)、成分(B)及び(C)の合計量[(A)+(B)+(C)]に対する成分(D)の質量比は、皮膚化粧料中の乳化粒子をラメラ構造にする観点、ぬれ肌に適用しタオルドライ後であっても、ぬれた肌に吸い付くような感触を得る観点及びそれを持続させる観点から、(D)/[(A)+(B)+(C)]=0.05以上6以下が好ましく、0.2以上4以下がより好ましく、0.45以上3以下がさらに好ましい。
【0036】
成分(E)は、有機塩基であり、皮膚化粧料中の乳化粒子をラメラ構造にし、肌上にラメラ膜(α-ゲル)を形成させ、ぬれ肌に適用しタオルドライ後であっても、ぬれた肌に吸い付くような感触を得る機能及びそれを持続させる機能を有する。
有機塩基としては、炭素数1~6のアルキル基を有するアルキルアミン、炭素数1~6のアルキル基を有するアルカノールアミン及び塩基性アミノ酸から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
具体的には、炭素数1~6のアルキル基を有するアルキルアミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン等が挙げられる。炭素数1~6のアルキル基を有するアルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチル-ジエタノールアミン、N,N-ジメチルモノエタノールアミン、アミノメチルプロパノール等が挙げられ、アミノメチルプロパノールが好ましい。塩基性アミノ酸としては、リジン、ヒスチジン、アルギニン等が挙げられ、アルギニンが好ましいい。アルギニンの中ではL-アルギニンが好ましい。
これらのうち、皮膚化粧料中の乳化粒子をラメラ構造にする観点、肌上にラメラ膜(α-ゲル)を形成させ、ぬれ肌に適用しタオルドライ後であっても、ぬれた肌に吸い付くような感触を得る機能及びそれを持続させる観点から、炭素数1~6のアルキル基を有するアルカノールアミン及び塩基性アミノ酸から選ばれる少なくとも1種が好ましく、炭素数3~6のアルキル基を有するアルカノールアミン及び塩基性アミノ酸から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、塩基性アミノ酸が更に好ましく、アミノメチルプロパノール及びアルギニンから選ばれる少なくとも1種が更により好ましく、アルギニンがより好ましい。アルギニンの中ではL-アルギニンが好ましい。
【0037】
成分(E)は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができ、皮膚化粧料中の乳化粒子をラメラ構造にする観点、肌上にラメラ膜(α-ゲル)を形成させ、ぬれ肌に適用しタオルドライ後であっても、ぬれた肌に吸い付くような感触を得る機能及びそれを持続させる観点から、含有量は、全組成中に0.01質量%以上1.5質量%以下であり、0.03質量%以上0.5質量%以下が好ましい。
【0038】
本発明において、成分(A)に対する成分(E)の質量比((E)/(A))は、皮膚化粧料中の乳化粒子をラメラ構造にする観点、肌上にラメラ膜(α-ゲル)を形成させ、ぬれ肌に適用しタオルドライ後であっても、ぬれた肌に吸い付くような感触を得る機能及びそれを持続させる観点から、(E)/(A)=0.1以上1以下であるのが好ましく、0.2以上0.8以下がより好ましく、0.3以上0,4以下がより好ましい。
【0039】
本発明皮膚化粧料においては、前記成分(C)以外の非イオン界面活性剤を含有するのが好ましく、成分(F)HLB10~16の非イオン界面活性剤を水相側及び油相側に含有するのが、本発明の皮膚化粧料の肌へのなじみやすさを向上させる点で好ましい。
(F)HLB10~16の非イオン界面活性剤を水相側に0.01質量%以上1.5質量%及び油相側に0.01質量%以上1.5質量%以下含有させるのがより好ましく、(F)HLB10~16の非イオン界面活性剤を水相側に0.1質量%以上1質量%及び油相側に0.1質量%以上1質量%以下含有させるのがさらに好ましく、(F)HLB10~16の非イオン界面活性剤を水相側に0.2質量%以上0.8質量%及び油相側に0.2質量%以上0.8質量%以下含有させるのがよりさらに好ましい。また、同様に本発明の皮膚化粧料の肌へのなじみやすさを向上させる観点から、当該成分(F)の水相側(F1)と油相側(F2)への含有質量比(F1/F2)は、0.1以上10以下が好ましく、0.5以上5以下がより好ましく、1以上3以下がさらに好ましい。なお、ここで、水相側に用いる非イオン界面活性剤と油相側に用いる非イオン界面活性剤とは、同一であっても相違していてもよい。
【0040】
(F)HLB10~16の非イオン界面活性剤としては、例えば、エチレングリコールモノステアリン酸エステル等のエチレングリコール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコール(2)モノステアリン酸エステル等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコール(5)デシルペンタデシルエーテル、ポリオキシエチレン(20)イソセチルエーテル等のポリアルキレングリコールアルキルエーテル;ポリエチレングリコール(5)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油等のポリエチレングリコール硬化ヒマシ油;プロピレングリコール脂肪酸エステル;グリセリンモノイソステアリルエーテル、グリセリンモノステアリルエーテル等のグリセリンアルキルエーテル;脂肪酸アルカノールアミド;ラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸ジアルカノールアミド;ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどが挙げられる。
これら非イオン界面活性剤のうち、ポリエチレングリコール硬化ヒマシ油、グリセリンアルキルエーテルから選ばれる少なくとも1種が好ましく、ポリエチ
レングリコール硬化ヒマシ油がより好ましい。
本発明において、HLB値は、親水性-親油性のバランス(Hydrophile Lipophile Balance)を示す指標であり、本発明においては、小田及び寺村らによる次式により算出した値を用いている。
【0041】
また、本発明皮膚化粧料においては、ぬれ肌に適用しタオルドライ後であっても、ぬれた肌に吸い付くような感触を得る機能及びそれを持続させる機能をさら向上させ、また、ぬれ肌に適用しタオルドライ後、汗や水が付着したときのべたつき感を抑制し、さらに肌への吸いつき感をさらに向上させる観点から、成分(G)分子量500以下の3価以上のポリオールを含有するのが好ましい。
成分(G)分子量500以下の3価以上のポリオールとしては、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリンなどの、グリセリン、分子量500以下のポリグリセリンが挙げられる。このうち、グリセリンがより好ましい。
成分(G)は、ぬれ肌に適用しタオルドライ後、汗や水が付着したときのべたつき感を抑制し、さらに肌への吸いつき感をさらに向上させる観点から、全組成物中に1質量%以上30質量%以下含有するのが好ましく、3質量%以上25質量%以下含有するのがより好ましく、5質量%以上20質量%以下含有するのがさらに好ましい。
【0042】
また、本発明皮膚化粧料においては、ぬれ肌に適用しタオルドライ後であっても、ぬれた肌に吸い付くような感触を得る機能及びそれを持続させる機能をさら向上させ、また、ぬれ肌に適用しタオルドライ後、汗や水が付着したときのべたつき感を抑制し、さらに肌への吸いつき感をさらに向上させる観点から、前記成分(G)に加えて、さらに、成分(H)数平均分子量2000以下のグリコール類び成分(I)液状炭化水素油から選ばれる1種又は2種以上を含有するのが好ましい。
成分(H)数平均分子量2000以下のグリコール類としては、エチレングリコール、数平均分子量2000以下のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、数平均分子量2000以下のポリプロピレングリコール、ブチレングリコールなどが挙げられる。
成分(H)は、ぬれ肌に適用しタオルドライ後、汗や水が付着したときのべたつき感を抑制し、さらに肌への吸いつき感をさらに向上させる観点から、全組成物中に0.1質量%以上5質量%以下含有するのが好ましく、0.3質量%以上4質量%以下含有するのがより好ましく、0.5質量%以上3質量%以下含有するのがさらに好ましい。
成分(I)液状炭化水素油としては、流動パラフィン、スクワラン、液状ワセリンなどが挙げられる。
また、成分(I)は、ぬれ肌に適用しタオルドライ後、汗や水が付着したときのべたつき感を抑制し、さらに肌への吸いつき感をさらに向上させる観点から、全組成物中に0.1質量%以上5質量%以下含有するのが好ましく、0.3質量%以上4質量%以下含有するのがより好ましく、0.5質量%以上3質量%以下含有するのがさらに好ましい。
【0043】
前記成分(G)に加えて、成分(H)及び(I)は、1種又は2種以上を含有させることができるが、成分(G)と成分(H)を併用する場合、成分(G)と成分(I)を併用する場合、成分(G)と成分(H)と成分(I)を併用する場合がより好ましい。
成分(G)及び成分(H)を含有する場合、成分(G)と成分(H)の含有質量比(G/H)は、1以上30以下であるのが好ましく、2以上25以下であるのがより好ましく、3以上20以下であるのがさらに好ましい。
成分(G)及び成分(I)を含有する場合、成分(G)と成分(I)の含有質量比(G/I)は、1以上30以下であるのが好ましく、2以上25以下であるのがより好ましく、3以上20以下であるのがさらに好ましい。
【0044】
また、本発明の皮膚化粧料は、ポリエーテル変性シリコーン及びアルキル・ポリエーテル変性シリコーンから選ばれる1種又は2種以上のシリコーン類を含有するのが、肌上の皮膜に優れた水分閉塞性を付与する観点で好ましい。
ポリエーテル変性シリコーンとしては、下記一般式(1)で表される化合物が好適である。
【0045】
【0046】
(式中、R1は同一でも異なってもよく、それぞれ炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。pは0以上1000以下の数を示し、qは1以上1000以下の数を示す。X1及びX2は同一でも異なってもよく、それぞれヒドロキシ基、炭素数1以上4以下のアルキル基又はアルコキシ基を示す。R2は水素原子、又は炭素数1以上4以下のアルキル基もしくは炭素数2以上4以下のアシル基を示す。aは1以上4以下の数、bは1以上100以下の数、cは0以上50以下の数を示す。/は、p、qが付された各構成単位及びb、cが付された構成単位がランダム又はブロックであってもよいことを示す。)
【0047】
上記一般式(1)において、R1は、好ましくはメチル基である。
X1及びX2は、好ましくは炭素数1以上3以下のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。
R2は、好ましくは水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基又は炭素数2以上3以下のアシル基であり、より好ましくは水素原子である。
【0048】
上記一般式(1)において、pは、0以上、好ましくは1以上、そして、1000以下、好ましくは100以下、より好ましくは10以下の数である。qは、1以上、そして、1000以下、好ましくは100以下、より好ましくは20以下の数である。
上記一般式(1)において、aは、好ましくは1以上3以下の数である。
上記一般式(1)において、bは、1以上、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、そして、100以下、好ましくは50以下、より好ましくは30以下、更に好ましくは15以下、より更に好ましくは8以下の数である。
上記一般式(1)において、cは、0以上、そして、50以下、好ましくは30以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは3以下の数であり、0であってもよい。
【0049】
上記一般式(1)で表される化合物のHLB値は、水分閉塞性、保湿効果、及び使用感の観点から、好ましくは4以上、より好ましくは6以上、更に好ましくは8以上、より更に好ましくは10.5以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは16以下、より更に好ましくは15以下、より更に好ましくは14.5以下である。
【0050】
上記一般式(1)で表される化合物のHLB値は、下記式により求められる。
HLB値=一般式(1)で表される化合物中のポリオキシエチレンの分子量×20/(b1)で表される化合物の分子量
尚、a、b、c、p、q、R1、R2、X1及びX2は、NMR等で求めることができる。
【0051】
アルキル・ポリエーテル変性シリコーンとしては、一般式(1)のようなポリエーテル変性に加えて、直鎖アルキル変性又は分岐鎖アルキル変性を有するシリコーンが挙げられる。アルキル変性のアルキル基としては炭素数6~24の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられる。またシリコーン鎖が直鎖の場合と分岐鎖の場合がある。
【0052】
前記シリコーン類の動粘度(mm2/s)は、水分閉塞性、保湿効果、及び使用感の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは1500以下、より好ましくは1000以下、更に好ましくは500以下、より更に好ましくは100以下である。ここで、動粘度は、25℃においてウベローデ型粘度計(柴田科学株式会社製)により測定した値である。
【0053】
前記シリコーン類としては市販品を用いることができ、市販品としては、KF618(PEG6メチルエーテルジメチコン(式(1)中、R2=メチル、b=6))、KF6011(PEG11メチルエーテルジメチコン(式(1)中、R2=メチル、b=11))、KF6016(PEG9メチルエーテルジメチコン(式中(1)中、R2=メチル、b=9))、KF615A(PEG/PPG-27/9-ブチルエーテルジメチコン(式(1)中、R2=ブチル、b=20、c=22))、KF6043(PEG10ジメチコン(式(1)中、R2=H、b=10))(いずれも信越化学工業社製)が挙げられる。
【0054】
前記シリコーン類は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができ、水分閉塞性、
保湿効果、及び使用感観点から、含有量は、全組成中に0.001質量%以上4質量%以下が好ましく、0.005質量%以上2質量%以下がより好ましく、0.005質量%以上1.5質量%以下がさらに好ましく、0.01質量%以上1質量%以下がよりさらにより好ましい。
【0055】
本発明の皮膚化粧料は、さらに前記成分(B)及び(I)以外の油剤含有することができ、保湿感をさらに高めることができる。
かかる油剤としては、成分(B)及び(I)以外のもので、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、25℃で液状、固形状、半固形状のいずれでも良い。
液状の油剤としては、例えば、メチルブチルエーテル、エチレングリコールジオクチルエーテル、グリセロールモノオレイルエーテル等のエール油;ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリオクタノイン、安息香酸アルキルエステル等のエステル油;ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等のシリコーン油;パーフルオロアルキルエチルリン酸、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンリン酸、パーフルオロポリエーテル、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系油などが挙げられる。また、これら油剤は植物由来のものであってもよい。
【0056】
25℃で固形状の油剤としては、例えば、動物性ワックス、植物性ワックス、鉱物性ワックス、合成ワックス等を用いることができる。より具体的には、エステルワックスとしては、コメヌカロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ミツロウ、ゲイロウ等が挙げられ、炭化水素ワックスとしては、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ポリオレフィンワックス等が挙げられる。
【0057】
25℃で半固形状の油剤としては、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカダミアナッツ油脂肪酸コレステリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のコレステロール類誘導体;N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・ベヘニル・2-オクチルドデシル)、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・2-オクチルドデシル)、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル等のフィトステロール類誘導体;ヘキサオキシステアリン酸ジペンタエリトリット、ロジン酸ジペンタエリトリット等のジペンタエリトリット脂肪酸エステル類;トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリド等のトリグリセライド類;硬化油等の部分的に水素添加されたトリグリセライド類、ラノリン、ラノステロール類誘導体、ワセリンなどが挙げられる。
【0058】
油剤は、1種又は2種以上用いることができ、本発明の構成により形成されるラメラ構造の安定性を向上させる観点、保湿性の観点から、含有量は、全組成中に0.5質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上9質量%以下がより好ましく、2質量%以上8質量%以下がさらに好ましい。
【0059】
本発明の皮膚化粧料は、前記成分以外に、更に通常の化粧料に用いられる成分として、例えば、水、増粘剤、殺菌剤、保湿剤、湿潤剤、着色剤、防腐剤、感触向上剤、粉体、香料、抗炎症剤、美白剤、制汗剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を、適宜含有することができる。
本発明の皮膚化粧料において、水は、溶媒として用いられ、各成分の残量となり、成分(A)~(E)の組み合わせにより、化粧料中に安定なラメラ状の構造を形成することができる。水の含有量は、その安定性を向上させる観点から、全組成中に60質量%以上99質量%以下が好ましく、70質量%以上95質量%以下がより好ましい。
【0060】
本発明の皮膚化粧料は、通常の方法により製造することができ、水中油型乳化化粧料とされる。例えば、成分(E)(成分(G)を配合する場合は、(E)及び(G)、さらに成分(H)を配合する場合は、(E)、(G)及び(H))を水と混合し、60~95℃で溶解させ、均一にし、水相部とする。成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(F)(成分(I)を配合する場合は、成分(A)、(B)、(C)、(D)、(F)及び(I))を混合し、70~100℃で溶解させ、均一にし、油相部とする。この水相部と油相部を混合して均一にし、好ましくは5℃~30℃に、より好ましくは10~28℃に、さらに好ましくは15~26℃に冷却することにより、製造することができる。
本発明の皮膚化粧料は、さらに以下の方法により製造することができ、水中油型乳化化粧料とされる。例えば、成分(E)及び(F1)(成分(G)を配合する場合は、成分(E)、(F1)及び(G)、更に成分(H)を配合する場合は、成分(E)、(F1)、(G)及び(H))を水と混合し、60~95℃で溶解させ、均一にし、水相部とする。成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(F2)(成分(I)を配合する場合は、成分(A)、(B)、(C)、(D)、(F2)及び(I))を混合し、70~100℃で溶解させ、均一にし、油相部とする。この水相部と油相部を混合して均一にし、好ましくは10℃~40℃に、より好ましくは15~35℃に、さらに好ましくは20~30℃に冷却することにより、製造することができる。
【0061】
本発明の皮膚化粧料は、例えば、化粧水、乳液、クリーム、ジェル、美容液などとすることができる。また、織布、不織布等のシート状基材に含浸又は塗布したシート状化粧料とすることもできる。
本発明の皮膚化粧料は、皮膚、好ましくは、頭皮を除く、より好ましくは、顔、身体、手足等のいずれかに塗布することにより、使用することができる。使用時期は、洗顔後などの肌がぬれた状態であってもよい。
【0062】
本発明の皮膚化粧料は、成分(A)~(E)を特定の割合で含有することにより、ラメラ状の構造体を形成する。肌に塗布し、水分が蒸発することで、皮膚表面に化粧塗布膜を形成する。なお、ラメラ構造は、広角X線回折により、確認することができる。
【実施例0063】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0064】
実施例1~14、比較例1~9
表1~表5に示す組成の皮膚化粧料を製造し、ラメラ構造の形成の有無を観察した。
また(1)ぬれ肌に塗布したときの肌へのなじみやすさ、(2)ぬれ肌に適用してタオルドライした後の吸いつき力(直後)、(3)ぬれ肌に適用してタオルドライした後の吸いつき力の持続性(30分後)、(4)ぬれ肌に適用してタオルドライした後、汗が付着したときのべたつき感の抑制力、及びぬれ肌に適用してタオルドライした後、水が付着したときの肌への吸いつき力のブースト効果、(5)ぬれ肌に塗布し、タオルドライした後の肌のもちもち感、(6)ぬれ肌に塗布し、タオルドライした後の肌のべたつきのなさを評価した。結果を表1~表5に示す。
【0065】
(製造方法)
成分(E)及び必要に応じて成分(F1)、(G)及び(H)を含む水相成分を70~80℃で攪拌、溶解させて水相部とする。次に、成分(A)、(B)、(C)、(D)、(F2)及び必要に応じて成分(I)を含む油相成分を85~95℃で攪拌、溶解させて油相部とする。水相部に油相部を85~95℃で攪拌しながら添加し、更に攪拌しながら室温(25℃)に冷却して、皮膚化粧料(水中油型乳化化粧料)を製造した。
【0066】
(評価方法)
(1)ぬれ肌に塗布したときの肌へのなじみやすさ
専門パネラー10人により、前腕内側を洗浄後、キムタオルで軽く押さえ肌表面の水滴を拭い、各皮膚化粧料を0.002g/cm2塗布した。塗布時の肌へのなじみのよさを評価した。
〇;なじみがよい
×;なじみが悪い
【0067】
(2)ぬれ肌に適用してタオルドライした後の吸いつき力(直後)、(3)ぬれ肌に適用してタオルドライした後の吸いつき力の持続性(30分後)
前腕内側を洗浄後、キムタオルで軽く押さえ肌表面の水滴を拭い、各皮膚化粧料を0.002g/cm2塗布した。キムタオルで2回上から軽く押さえつけた後、直後と30分後にハンディラブテスター(トリニティ―ラボ社製)を用いて吸い付き力をタック値を用いて評価した(荷重:200gf±20gf、プローブ:2cmφ、ステンレス製)。タック値は、水平にした前腕内側に対して垂直方向にプローブを荷重が200gfになるまで押し当て、離した際に得られる値を用いた。
◎◎:-32gf以下
◎:-31gf~-24gf
〇:-23gf~-16gf
△:-15gf~-8gf
×:-7gf以上
【0068】
(4)ぬれ肌に適用してタオルドライした後、汗が付着したときのべたつき感の抑制力、及びぬれ肌に適用してタオルドライした後、水が付着したときの肌への吸いつき力のブースト効果
前腕内側を洗浄後、キムタオルで軽く押さえ肌表面の水滴を拭い、各皮膚化粧料を0.002g/cm2塗布した。キムタオルで2回上から軽く押さえつけた後、塗布30分後に水を0.002g/cm2塗布した。5分後にハンディラブテスター(トリニティ―ラボ社製)を用いて吸い付き力をタック値を用いて評価した(荷重:200gf±20gf、プローブ:2cmφ、ステンレス製)。タック値は、水平にした前腕内側に対して垂直方向にプローブを荷重が200gfになるまで押し当て、離した際に得られる値を用いた。
◎◎:-32gf以下
◎:-31gf~-24gf
〇:-23gf~-16gf
△:-15gf~-8gf
×:-7gf以上
【0069】
(5)ぬれ肌に塗布し、タオルドライした後の肌のもちもち感
専門パネラー10人により、前腕内側を洗浄後、キムタオルで軽く押さえ肌表面の水滴を拭い、各皮膚化粧料を0.002g/cm2塗布した。キムタオルで2回上から軽く押さえつけた。5分後に手で前腕内側を上下に2回押さえ、もちもち感を評価し、平均値を求めた。
5;非常にもちもち感がある
4;もちもち感がある
3;ややもちもち感がある
2;あまりもちもち感がない
1;もちもち感がない
【0070】
(6)ぬれ肌に塗布し、タオルドライした後の肌のべたつきのなさ
専門パネラー10人により、前腕内側を洗浄後、キムタオルで軽く押さえ肌表面の水滴を拭い、各皮膚化粧料を0.002g/cm2塗布した。キムタオルで2回上から軽く押さえつけた。5分後に手で前腕内側を往復させ、べたつきのなさを評価し、平均値を求めた。
5;ほとんどべたつかない
4;べたつかない
3;あまりべたつかない
2;ややべたつく
1;べたつく
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
表1~表5から、本発明の皮膚化粧料は、肌上にラメラ膜を形成し、ぬれ肌に適用しタオルドライ後であっても、ぬれた肌に吸い付くような感触が得られ、及びその効果が持続するとともに、ぬれ肌に塗布したときの肌へのなじみやすさ、ぬれ肌に塗布し、タオルドライした後の肌のもちもち感、肌のべたつきのなさなどの使用感も良好である。