(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039560
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】生活パターン評価システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240314BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144206
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】村上 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 雅之
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】対象者の生活パターンを好適に評価できる生活パターン評価システムを提供する。
【解決手段】対象者P1が利用する住宅1に設けられた設備の使用状況を検出可能することで、対象者P1の行動を検出可能なサーバ120(行動検出部)と、サーバ120(行動検出部)により検出された対象者P1の行動に関する行動データ(実行動データ)と、予め学習した対象者P1の行動に関する学習データ(学習行動データ)と、を比較して、所定の対象時間帯(第一の時間帯)及び対象時間帯(第一の時間帯)を含む24時間(第二の時間帯)の対象者P1の生活パターンを評価するサーバ120(生活パターン評価部)と、24時間(第二の時間帯)の評価結果に応じて、対象時間帯(第一の時間帯)の評価結果の補正を行うサーバ120(評価結果補正部)と、を具備する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者が利用する建物に設けられた設備の使用状況を検出可能することで、前記対象者の行動を検出可能な行動検出部と、
前記行動検出部により検出された前記対象者の行動に関する実行動データと、予め学習した前記対象者の行動に関する学習行動データと、を比較して、所定の第一の時間帯及び前記第一の時間帯を含む第二の時間帯の前記対象者の生活パターンを評価する生活パターン評価部と、
前記第二の時間帯の評価結果に応じて、前記第一の時間帯の評価結果の補正を行う評価結果補正部と、
を具備する、
生活パターン評価システム。
【請求項2】
前記評価結果補正部は、
前記補正が予め設定された条件を満たすように複数回行われるかに応じて、評価結果を異ならせる、
請求項1に記載の生活パターン評価システム。
【請求項3】
報知対象者に対する報知を行うことが可能な報知部をさらに具備し、
前記評価結果補正部は、
前記補正が予め設定された条件を満たすように複数回行われた場合、前記報知部により報知を行う、
請求項2に記載の生活パターン評価システム。
【請求項4】
前記生活パターンの評価に用いられた前記実行動データを学習し、前記学習行動データに反映させる学習部をさらに具備し、
前記学習部は、
前記生活パターン評価部による評価結果に応じて、前記実行動データの学習可否を判定する、
請求項1に記載の生活パターン評価システム。
【請求項5】
前記学習部は、
前記補正が予め設定された条件を満たすように複数回行われる場合、前記生活パターンの評価に用いられた前記実行動データを学習し、前記学習行動データに反映させ、
前記補正が予め設定された条件を満たすように複数回行われていない場合、前記生活パターンの評価に用いられた前記実行動データの学習を保留する、
請求項4に記載の生活パターン評価システム。
【請求項6】
前記学習行動データは、所定の確率分布を用いて算出された、前記対象者の行動回数の発生確率を含む、
請求項1に記載の生活パターン評価システム。
【請求項7】
前記所定の確率分布は、ポアソン分布である、
請求項6に記載の生活パターン評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象者の生活パターンの評価を行う生活パターン評価システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物に居住する対象者の生活パターンの評価を行う技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、建物で使用されるエネルギーの使用量を用いて、居住者の生活パターン(行動)の変化を検出する生活パターン管理システムが記載されている。
【0004】
しかしながら、エネルギーの使用量は期間毎に異なることが想定されるため、ある特定の期間のエネルギー使用量に基づいて評価を行った場合、実情に沿った居住者の生活パターンの変化を検出できないおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、対象者の生活パターンを好適に評価できる生活パターン評価システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、対象者が利用する建物に設けられた設備の使用状況を検出可能することで、前記対象者の行動を検出可能な行動検出部と、前記行動検出部により検出された前記対象者の行動に関する実行動データと、予め学習した前記対象者の行動に関する学習行動データと、を比較して、所定の第一の時間帯及び前記第一の時間帯を含む第二の時間帯の前記対象者の生活パターンを評価する生活パターン評価部と、前記第二の時間帯の評価結果に応じて、前記第一の時間帯の評価結果の補正を行う評価結果補正部と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記評価結果補正部は、前記補正が予め設定された条件を満たすように複数回行われるかに応じて、評価結果を異ならせるものである。
【0010】
請求項3においては、報知対象者に対する報知を行うことが可能な報知部をさらに具備し、前記評価結果補正部は、前記補正が予め設定された条件を満たすように複数回行われた場合、前記報知部により報知を行うものである。
【0011】
請求項4においては、前記生活パターンの評価に用いられた前記実行動データを学習し、前記学習行動データに反映させる学習部をさらに具備し、前記学習部は、前記生活パターン評価部による評価結果に応じて、前記実行動データの学習可否を判定するものである。
【0012】
請求項5においては、前記学習部は、前記補正が予め設定された条件を満たすように複数回行われる場合、前記生活パターンの評価に用いられた前記実行動データを学習し、前記学習行動データに反映させ、前記補正が予め設定された条件を満たすように複数回行われていない場合、前記生活パターンの評価に用いられた前記実行動データの学習を保留するものである。
【0013】
請求項6においては、前記学習行動データは、所定の確率分布を用いて算出された、前記対象者の行動回数の発生確率を含むものである。
【0014】
請求項7においては、前記所定の確率分布は、ポアソン分布であるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0016】
本発明においては、対象者の生活パターンを好適に評価できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る生活パターン評価システムの構成を示した模式図。
【
図2】生活パターン評価システムによる一連の処理の概要を示した図。
【
図3】(a)ある対象家電の一週間の利用回数(実績値)に基づいて算出された各利用回数の発生確率の一例を示したグラフ。(b)
図3(a)のグラフに対応するよう、ポアソン分布を用いて算出された各利用回数の発生確率の一例を示したグラフ。
【
図4】(a)ポアソン分布に用いられる式。(b)ある時間帯での、ある対象家電の利用回数の平均値を2とした場合における、各利用回数の発生確率の一例を示した表。(c)ある時間帯での、ある対象家電の利用回数と発生確率との関係の一例を示したグラフ。
【
図5】未学習データ及び保留データの学習データへの対応をまとめた表。
【
図6】生活パターン評価処理を示したフローチャート。
【
図9】補正用学習データ処理を示したフローチャート。
【
図10】通常用学習データ処理を示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、
図1を用いて、本発明の一実施形態に係る生活パターン評価システム100の構成について説明する。
【0019】
生活パターン評価システム100は、対象者P1の生活パターンを学習すると共に、その学習結果と新たに取得した対象者P1の生活パターンとに基づいて、当該新たに取得した生活パターンの評価を行うものである。本実施形態において、対象者P1の生活パターンの評価とは、対象者P1の生活パターンが異常か正常かを示すものである。本実施形態では一例として、住宅1に居住する高齢者を対象者P1とし、所定の対象時間帯毎に、当該対象者P1の生活パターンの評価を行う場合を想定している。すなわち、生活パターン評価システム100は、対象者P1の生活パターンの評価を行うことにより、ひいては当該対象者P1の認知機能の異常の有無を判定することを目的としている。生活パターン評価システム100は、主として電力センサ110、サーバ120及び端末130を具備する。
【0020】
電力センサ110は、対象者P1が使用する各種設備(特に、日常生活において使用する設備)の消費電力を検出するものである。電力センサ110は、対象者P1が居住する住宅1の分電盤2に設けられる。電力センサ110は、分電盤2の分岐回路毎の電力を検出することができる。これによって電力センサ110は、各分岐回路に接続された設備の使用状況(使用されているか否か)を検出することができる。各種設備の使用状況を検出することで、対象者P1の行動を、間接的に検出することができる。なお電力センサ110は、例えば生活パターン評価システム100の導入時に住宅1に設置され、それ以降常時(継続的に)検出を行っている。
【0021】
本実施形態では、電力センサ110による消費電力の検出の対象となる設備の一例として、調理機器(IH、電子レンジ等)、冷蔵庫、テレビ、ドライヤー、掃除機、洗濯機、エアコン、暖房器具、照明等の家電を想定している。例えば調理機器の使用が検出された場合、間接的に、対象者P1が調理機器を使用したこと(ひいては、食事をしたこと)が検出される。またテレビの使用が検出された場合、間接的に、対象者P1がテレビを見たことが検出される。
【0022】
なお、各種設備の使用状況を検出する方法は、電力センサ110によって分岐回路毎の電力を検出する方法に限るものではなく、種々の方法を用いることが可能である。例えば、分電盤2の主幹回路の電力(主幹電力)を検出し、その電力の波形を分析することで、使用されている機器を識別して把握することも可能である。また、分電盤2の電力を検出するのではなく、各種設備自身の稼働状況(各種設備の電源のオン・オフ、各種設備が接続されたコンセントの電力等)を直接検出することも可能である。また、住宅1に各種設備の使用状況を把握(管理)するシステム(例えば、HEMS:Home Energy Management System 等)が設けられている場合は、そのシステムが把握している情報を利用することも可能である。
【0023】
サーバ120は、電力センサ110の検出結果に基づいて各種処理を行うものである。サーバ120は、例えばクラウド上に設けられた仮想サーバ(クラウドサーバ)により構成される。サーバ120は、後述する端末130との間で、各種情報を送受信することができる。
【0024】
またサーバ120は、電力センサ110から情報を取得することで、各種設備の使用状況(計測データ)を把握することができる。またサーバ120は、取得した計測データに基づいて、対象者P1の生活パターンに関するデータ(行動データ)を生成することができる。またサーバ120は、所定の期間に亘る行動データを学習することにより学習データを生成し、この学習データに基づいて生活パターンの評価に用いられる基準値(評価基準値)を生成することができる。
【0025】
端末130は、各種情報を表示することが可能なものである。端末130は、対象者P1の生活パターンの異常の有無を把握すべき者(例えば、対象者P1の家族、親戚等)によって所持される。本実施形態では、対象者P1の家族P2が端末130を所持しているものとする。端末130は、例えば対象者P1の家族P2が携帯可能な機器(例えば、スマートフォンやタブレット端末等)によって構成される。端末130は、サーバ120からの情報を適宜の方法(液晶画面への表示、音声等)で対象者P1の家族P2に報知することができる。
【0026】
以下では、
図1及び
図2を用いて、生活パターン評価システム100による一連の処理の概要について説明する。
【0027】
図2に示すように、サーバ120は、住宅1に設けられた各種設備を記憶している。本実施形態においては、サーバ120は、各種設備として、例えば調理機器(IH、電子レンジ)、冷蔵庫、テレビ、ドライヤー、掃除機、洗濯機、照明、季節家電(エアコン、暖房器具)等の複数の家電を記憶している。サーバ120は、これらの設備毎に適宜の処理を行うことで、対象者P1の生活パターンの評価を行い、必要に応じて対象者P1の家族P2に報知を行う。なお以下では、上記各種設備のうち1つの設備に着目する場合、当該1つの設備を「対象家電」と称する場合がある。
【0028】
具体的には、サーバ120は、一日毎(毎日)の計測データ(ひいては、対象者P1の行動パターン)を検出し、この検出結果に基づいて対象者P1の生活パターンの評価に関する処理を行う。以下、この処理を「日毎処理」と称する。サーバ120は、後述するように24時間を6時間毎に分類した4つの時間帯を対象時間帯とし、それぞれの時間帯において対象者P1の生活パターンが正常か異常かの評価を行う。サーバ120は、日毎処理において、評価対象となった行動、評価結果(異常の有無)、評価の理由を互いに紐付けて記憶する。
【0029】
またサーバ120は、一週間毎(毎週)の計測データ(ひいては、対象者P1の行動パターン)を検出し、この検出結果に基づいて対象者P1の生活パターンの評価に関する処理を行う。以下、この処理を「週毎処理」と称する。サーバ120は、1日毎(一週間の毎日)を対象時間帯とし、それぞれの時間帯において対象者P1の生活パターンが正常か異常かの評価を行う。サーバ120は、週毎処理において、評価対象となった行動、評価結果(異常の有無)、評価の理由を互いに紐付けて記憶する。
【0030】
またサーバ120は、一ヶ月毎(毎月)の計測データ(ひいては、対象者P1の行動パターン)を検出し、この検出結果に基づいて対象者P1の生活パターンの評価に関する処理を行う。以下、この処理を「月毎処理」と称する。サーバ120は、一週間毎(一ヶ月の毎週)を対象時間帯とし、それぞれの時間帯において対象者P1の生活パターンが正常か異常かの評価を行う。サーバ120は、月毎処理において、評価対象となった行動、評価結果(異常の有無)、評価の理由を互いに紐付けて記憶する。
【0031】
またサーバ120は、一週間の間に上記日毎処理によって、生活パターンの評価結果が「異常」と判定された回数を、行動毎に算出する。そして、所定回数以上「異常」が検知された行動(対象家電)について、端末130を用いてアラート(警告)を発報する。以下、この処理を「週間結果通知」と称する。週間結果通知によって、端末130を所持している対象者P1の家族P2は、対象者P1の所定の行動に異常が発生していることを把握することができる。
【0032】
またサーバ120は、一か月の間に上記週毎処理や月毎処理によって、生活パターンの評価結果が「異常」と判定された回数を、行動毎に算出する。そして、所定回数以上異常が検知された行動(対象家電)について、端末130を用いてアラートを発報する。以下、この処理を「月間結果通知」と称する。これによって、端末130を所持している対象者P1の家族P2は、対象者P1の行動に異常が発生していることを把握することができる。
【0033】
このように、生活パターン評価システム100では、対象家電毎に所定の処理(後述する「生活パターン評価処理」)を行うことによって、対象者P1の生活パターンの異常の有無を判定し、対象者P1の家族P2にアラートを発報することができる。なお端末130を用いて注意を促すことは、上述の如き構成に限定されず、生活パターンの種々の評価結果に応じて任意に設定することができる。
【0034】
以下では、
図3から
図5を用いて、生活パターン評価処理の内容について説明する。
【0035】
生活パターン評価処理は、サーバ120により実行される。なお日毎処理、週毎処理及び月毎処理において実行される生活パターン評価処理の内容は、評価の対象となる時間帯(対象時間帯)が異なる以外、互いに略同様である。そこで以下においては、日毎処理における生活パターン評価処理の内容について説明し、週毎処理及び月毎処理における生活パターン評価処理の内容についての説明は適宜省略する。
【0036】
サーバ120は、対象者P1の生活パターンの評価を行う場合、上述の如く対象者P1の行動データを生成する。例えば、サーバ120は、調理機器(IH、電子レンジ)の使用状況(計測データ)を取得した場合、行動データとして、調理機器を利用したこと及びその時間帯を取得する。またサーバ120は、住宅1の照明の使用状況(計測データ)を取得した場合、例えば照明が消されたこと等から、行動データとして、対象者P1が照明を利用していない(就寝した)こと及びその時間帯を取得する。このように、行動データには、各対象家電の利用の有無(利用回数)及びその時間帯が含まれる。
【0037】
またサーバ120は、対象者P1の生活パターンの評価を行う場合、対象時間帯より前の所定の期間に亘る行動データに基づいて学習データを生成する。またサーバ120は、生成した学習データに基づいて、生活パターンの評価に用いられる評価基準値を生成する。なお本実施形態では、サーバ120は、前記所定の期間として、対象時間帯より前の一週間及び一ヶ月間に亘る行動データに基づいて、それぞれの期間の学習データを生成している。そして、サーバ120は、生成した評価基準値と、対象時間帯に取得した行動データと、に基づいて、当該対象時間帯における対象者P1の生活パターンの評価を行う。以下では、学習データ及び評価基準値について詳細に説明する。
【0038】
本実施形態において、学習データとは、対象家電の各利用回数の発生確率を示すものである(
図4(b)参照)。また、評価基準値とは、対象時間帯における対象家電の利用回数の正常範囲を示すものである。評価基準値は、後述するように学習データに基づいて、対象家電の利用回数の発生確率を基にして算出される。
【0039】
ここで、対象者P1がある程度規則正しい生活を行ってる場合、所定の期間における対象家電の平均利用回数と、実際の(例えば、ある一日の)利用回数と、の差は小さいと想定される。その一方で、対象者P1の生活が不規則になったり生活パターンが変化した場合、所定の期間における対象家電の平均利用回数と、実際の利用回数と、の差は大きくなると想定される。すなわち、実際の利用回数が発生確率の低い利用回数である場合には、対象者P1の生活パターンが異常の可能性があると想定される。そこで、本実施形態では、対象家電の利用回数の発生確率を基にした評価基準値(対象家電の利用回数の正常範囲)を用いて、対象者P1の生活パターンの評価を行っている。
【0040】
ここで、評価基準値の生成に用いられる学習データは対象者P1の実際の利用回数(実績値)に基づいて生成されため、当該学習データにより示される対象家電の利用回数の発生確率は、所定の時間帯のうち一部の時間帯において偶然低くなる可能性がある。例えば
図3(a)のグラフは、ある対象家電の一週間の利用回数(実績値)に基づいて算出された各利用回数の発生確率の一例を示している。
図3(a)に示す一例においては、利用回数が4回や6回に比べて、5回の発生確率が極端に低くなっている。このように、実績値に基づくと利用回数が5回となる確率は0であるが、グラフから示される全体的な傾向からすると、仮に利用回数が5回であっても異常ではないと推測される。このように、実績値に基づくと利用回数の発生確率は偶然低くなる可能性があるため、評価基準値はこのような場合も想定したうえで適切に決定される必要がある。
【0041】
そこで、サーバ120は、評価基準値を所定の確率分布を用いて生成する。本実施形態においては、所定の確率分布として、ポアソン分布が用いられる。ポアソン分布とは、統計学において一定時間にある出来事が起こる回数等を説明する際に利用される離散型確率分布である。
【0042】
具体的には、まずサーバ120は、ポアソン分布により
図4(a)に示す式を用いて、ある時間帯に、対象家電の利用回数がk回となる発生確率P(X)を算出する。ここで、
図4(b)の表は、算出結果の一例として、ある時間帯での、ある対象家電の利用回数の平均値を2とした場合における、各利用回数の発生確率(例えば、6-12時の時間帯での、IHを平均2回利用している場合における各利用回数の発生確率)の一例を示している。
図4(b)に示す一例においては、例えば6-12時の時間帯にIHを平均2回利用している対象者P1が、当該IHを3回利用する確率は、約18%となる。なお本実施形態において、ある時間帯での、ある対象家電の各利用回数の発生確率は、学習データの一例である。
【0043】
なおサーバ120は、例えば生活パターンの評価を行う毎に、学習データを更新することができる。具体的には、サーバ120は、ある対象時間帯における行動データを用いて生活パターンの評価を行った後、学習データに反映されていない当該行動データを用いて学習データを更新することができる。
【0044】
次にサーバ120は、算出した学習データ(対象家電の各利用回数の発生確率)に基づいて評価基準値を生成する。具体的には、サーバ120は、算出結果において高い値の発生確率から順番に当該発生確率を合計していき、その合計値が所定の規定値を超えない範囲に含まれる利用回数を、評価基準値(対象家電の利用回数の正常範囲)として設定する。
【0045】
こうして、例えば前記所定の規定値が95%とする場合、発生確率の合計値が95%を超えない範囲に含まれる利用回数が、正常範囲内であり、95%を越える範囲に含まれる利用回数が、正常範囲外となる。なお生活パターンの最終的な評価結果は、対象時間帯における対象家電の利用回数が正常範囲内か正常範囲外かに加え、別の要素(後述するように、1日における対象家電の利用回数が正常範囲内か正常範囲外か)を加味して決定される。
【0046】
ここで、
図4(c)のグラフは、ある時間帯での、ある対象家電の利用回数と発生確率との関係の一例を示している。このように、ポアソン分布のグラフにおいては、平均値が発生確率のピークとなり、利用回数が平均値から大きく又は小さくなるにつれて発生確率が低くなる。すなわち、
図4(c)のグラフにおいては、利用回数の平均値を略中央に含み、発生確率の合計値が95%を超えない範囲(-2σから2σまでの範囲)が、正常範囲内となる。例えば、
図4(b)の表を用いて例示すると、利用回数が0~4回までの発生確率の合計が0.947348となり95%以内に収まる。すなわち、利用回数が0~4回であれば正常範囲内である(評価基準値を満たす)と判定される。
【0047】
こうして、ポアソン分布により評価基準値が設定されるため、利用回数の実績値を用いて学習データが生成された場合であっても、適切に対象者P1の生活パターンの評価を行うことができる。例えば
図3(b)のグラフ(二点鎖線のグラフ)は、
図3(a)のグラフに対応するよう、ポアソン分布を用いて算出された各利用回数の発生確率の一例を示している。こうして、ポアソン分布を用いて発生確率を算出した場合、
図3(b)のグラフに示すように、4回や6回に比べて、5回の利用回数の発生確率が極端に低くなるのを防止できる。これにより、サーバ120は、実情に沿って適切に対象者P1の生活パターンの評価を行うことができる。
【0048】
また本実施形態においては、対象時間帯(発生確率を算出する時間帯)として、1日(24時間)を6時間毎に分類した4つの時間帯を設けている。具体的には、4つの時間帯として、0-6時の時間帯、6-12時の時間帯、12-18時の時間帯及び18-24時の時間帯を設けている。こうして、1日を4つの時間帯に分類することにより、過度に小さい時間帯の判断により偏った評価を行うのではなく、適度に大きい時間帯の判断により適切な評価を行うことができ、さらにサーバ120の計算負荷を軽減できる。また一般的には時間帯によって対象者P1が利用する設備は異なるが、このような4つの時間帯に分類して評価を行うことにより、対象者P1の活動変化をより精度よく検知できる。
【0049】
また本実施形態においては、4つの時間帯において対象者P1の生活パターンの評価を行う場合と略同様の内容であるため詳細な説明を省略するが、1日(24時間)の対象家電の各利用回数の発生確率が、学習データとして算出される。またこの学習データ(24時間での対象家電の各利用回数の発生確率)に基づいて、1日(24時間)に関する評価基準値が生成される。こうして、本実施形態では、1日における対象家電の利用回数が正常範囲内か正常範囲外か判定される。この判定結果は、後述するように、生活パターンの評価結果に対する補正可否の決定に使用される。
【0050】
なおサーバ120は、対象家電の各利用回数の発生確率を算出する場合、平均値を起点として当該平均値よりも大きい値及び小さい値を交互に(
図4(c)のグラフの横軸において左右交互に)算出し、左右それぞれ下限値を下回った時点で左右一方の算出を終了することができる。これにより、サーバ120の計算負荷を低減できる。
【0051】
また本実施形態においては、所定の確率分布としてポアソン分布を用いたが、これ以外の確率分布を用いることもできる。また所定の規定値として95%を例示したが、これに限定されず任意の値を採用することができる。
【0052】
また本実施形態において、生活パターンの最終的な評価結果としては、4つの評価結果が設けられる。4つの評価結果には、「正常」、「異常」、「正常(補正)」、「注意(補正)」が含まれる。「正常」とは、対象時間帯における対象家電の利用回数が、正常範囲内である(評価基準値を満たす)場合である。また「異常」とは、対象時間帯における対象家電の利用回数が、正常範囲外である(評価基準値を満たさない)場合である。ただし、「異常」と判定された場合であっても、1日における対象家電の利用回数が正常範囲内か正常範囲外かを加味し、「正常(補正)」又は「注意(補正)」に評価結果が補正される場合がある。
【0053】
すなわち、対象家電の利用回数により生活パターンの評価を行う場合、対象家電の利用タイミングの僅かなズレによって、評価結果が変わる場合がある。例えば、対象者P1がいつも5時50分頃に電子レンジを3回使用し、それ以降は使用しない場合、学習データに基づいて生成される評価基準値によれば、0-6時の時間帯に電子レンジが3回使用されることが正常範囲内と判定され、6-12時の時間帯に電子レンジが使用されないことが正常範囲内と判定される。しかし、例えば対象者P1が6時5分に電子レンジを3回使用した場合、0-6時の時間帯に電子レンジが使用されず、6-12時の時間帯に電子レンジが3回使用されるため、上記評価基準値によれば、対象者P1の生活パターンが正常範囲外(異常)と判定されることとなる。
【0054】
このように、対象家電の利用タイミングが15分ズレただけで、対象者P1の生活パターンの評価結果が変わると、実情に沿った評価結果といえない可能性がある。そこで、本実施形態においては、所定の条件を満たした場合には、「異常」の評価結果を他の評価結果に補正する。
【0055】
具体的には、対象者P1の生活パターンに異常がなければ、上述の如く対象家電の利用タイミングが僅かにズレた場合でも、当該対象家電の1日あたりの利用回数は正常であると想定される。そこで、対象時間帯の生活パターンの評価結果が「異常」と判定された場合であっても、前記所定の条件を満たした場合として、1日(24時間)における対象家電の利用回数が正常範囲内である場合には、「異常」の評価結果を、補正により正常と判定されたことを示す評価結果(「正常(補正)」)に補正する。
【0056】
ただし、補正が連続して行われる場合、対象者P1の生活パターン自体が変わった可能性がある。なお本実施形態において「連続」とは、対象者P1の生活パターンが略同様であると想定される同一の曜日の同一の時間帯において連続することを示している。こうして、サーバ120は、同一の曜日の同一の時間帯において補正の連続した回数が所定の上限値(本実施形態では3回)に到達した場合には、「異常」の評価結果を、注意を促すような評価結果(「注意(補正)」)に補正する。なお連続している場合でなく、補正が高頻度(例えば、連続していなくとも4週間のうち3回)行われている場合に、注意を促すような評価結果(「注意(補正)」)に補正してもよい。
【0057】
このように、本実施形態においては、対象家電の利用タイミングのズレを考慮した生活パターンの評価が行われる。こうして、比較的短期間(例えば6時間)の利用回数実績を基準として「異常」と判定される場合でも、比較的長時間(例えば24時間)の利用回数実績を基準として評価結果の補正を行うことができる。また評価結果の補正を行う場合でも、注意を促す必要性に応じて段階的な評価結果(「正常(補正)」又は「注意(補正)」)が選択される。こうして、対象者P1の活動変化をより精度よく検知できる。
【0058】
また本実施形態においては、上述の如くサーバ120は、行動データを用いて生活パターンの評価を行った後、学習データに反映されていない当該行動データを用いて学習データを更新することができる。具体的には、サーバ120は、日毎処理における生活パターンの評価を行う場合、24時の時点で当日(0-24時まで)の生活パターンの評価を行った後、当日の行動データ(すなわち、当日の生活パターンの評価が行われたデータ)を用いて学習データ(ある時間帯での、ある対象家電の各利用回数の発生確率)を更新することができる。
【0059】
ただし、評価結果が「異常」である場合、当該評価結果に至る要因によっては行動データは学習すべきでない場合がある。なお前記要因としては、例えば対象者P1の行動がたまたまいつもと違った場合や、対象家電が故障等のため一時的に使用しなかった場合等が想定される。そのため、サーバ120は、評価結果が「異常」である場合、対象者P1や家族P2にフィードバックを行って、フィードバックの結果に応じて行動データを学習するか否かを決定する。なお以下では、生活パターンの評価が行われた(まだ学習されていない)行動データを「未学習データ」と称する場合がある。
【0060】
ここで
図5の表に示す「未学習データ」の列は、生活パターンの評価を行った後の、未学習データの学習データへの対応をまとめている。
図5に示すように、評価結果が「正常」である場合は、未学習データは学習データへ反映される。また評価結果が「異常」である場合は、上述の如く未学習データはフィードバックの結果に応じて、学習データへ反映されるか又は破棄される。また評価結果が「正常(補正)」である場合は、後述するように、未学習データは保留データとして保管される。また評価結果が「注意(補正)」である場合は、未学習データは学習データへ反映される。
【0061】
また本実施形態においては、上述の如く評価結果の補正が行われる場合がある。評価結果の補正が行われる場合には、対象家電の利用タイミングが僅かにズレた場合だけでなく、対象者P1の生活パターン自体が変わった場合も想定されるため、補正が連続して継続する場合に、対象者P1の実際の行動変化として注意喚起が必要となる。しかし、評価結果を補正した行動パターン(対象者P1の利用回数の実績値)を随時学習すると、学習データに当該評価結果を補正した行動パターンが反映されるため、対象者P1の行動変化の状況が継続しているのか判断が困難となる場合がある。
【0062】
そのため、補正が行われた場合、かつ、補正の連続した回数が所定の上限値に到達しないような場合、すなわち評価結果が「正常(補正)」と判定された行動データ(未学習データ)を用いて学習データを更新する場合は、当該行動データの学習データへの反映可否を適切に判断する必要がある。
【0063】
そこで、サーバ120は、評価結果が「正常(補正)」となる補正を行った場合、初回の補正を初回(1回目)として所定の条件を満たすまで、未学習データの学習データへの反映を保留する(保留データとして一旦保管する)。なお評価結果の補正を行った場合は、当該補正が行われた時間帯だけでなく他の時間帯においても学習データへの反映可否を判断する必要があるため、サーバ120は、全ての時間帯において未学習データの学習データへの反映を保留する。こうして、サーバ120は、評価結果が「正常(補正)」となる補正を行った場合、当日の全ての未学習データを、保留データとして所定の記憶領域に保管する。
【0064】
また本実施形態において、前記所定の条件を満たす場合(保留データの学習データへの反映の保留を解除する場合)には、評価結果が「正常(補正)」となる補正を行った時間帯と同一の時間帯において翌週以降の評価結果が「正常」又は「異常」となった場合と、当該補正(評価結果が「正常(補正)」となる補正)の連続した回数(連続回数)が所定の上限値に到達した場合と、が含まれる。
【0065】
すなわち、サーバ120は、例えば月曜日の0-6時の時間帯で当該補正を行った場合、翌週の月曜日0-6時の時間帯において評価結果が「正常」又は「異常」となった場合は、保留データの学習データへの反映の保留を解除する。
【0066】
またサーバ120は、例えば月曜日の0-6時の時間帯で当該補正を行った場合、当該補正を1回目とし、翌週以降において当該補正の連続回数が、所定の上限値(本実施形態では3回)に到達した場合は、保留データの学習データへの反映の保留を解除する。なお連続している場合でなく、補正が高頻度(例えば、連続していなくとも4週間のうち3回)行われている場合に、保留データの学習データへの反映の保留を解除してもよい。
【0067】
サーバ120は、保留データの学習データへの反映の保留を解除する場合、生活パターンの評価結果に応じて、保留データの処遇を決定する。ここで
図5の表に示す「保留データ」の列は、保留データの学習データへの反映の保留を解除する場合の、当該保留データの学習データへの対応をまとめている。
図5に示すように、評価結果が「正常」である場合は、保留データは破棄される。また評価結果が「異常」である場合は、保留データは破棄される。また評価結果が「正常(補正)」である場合は、継続して保管される。また評価結果が「注意(補正)」である場合は、保留データは学習データへ反映される。
【0068】
以下では、
図6及び
図7のフローチャートを用いて、サーバ120により実行される生活パターン評価処理について説明する。
【0069】
サーバ120は、全ての対象時間帯が経過した場合、生活パターン評価処理を実行することにより、当該全ての対象時間帯の生活パターンの評価を行う。例えば日毎処理における生活パターンの評価を行う場合、サーバ120は、24時の時点で当日(0-24時まで)の4つの時間帯毎の生活パターンの評価を行う。なお以下の説明では、サーバ120は、4つの時間帯及び1日(24時間)の評価基準値、及び、当日の行動データを取得しているものとする。また、後述する補正可否や補正回数リセットは初期化されている(すなわち、補正可否は「可」に設定され、補正回数リセットはOFFに設定されている)ものとする。サーバ120は、生活パターン評価処理が開始されると、以下の処理を対象家電毎に繰り返し実行する。
【0070】
ステップS101において、サーバ120は、当該対象家電の4つの時間帯及び1日(24時間)の利用回数実績を評価する。具体的には、サーバ120は、4つの時間帯及び1日(24時間)それぞれについて、対象者P1の対象家電の利用回数が正常範囲内か、又は、正常範囲外かを判定する。サーバ120は、ステップS101の処理の後、ステップS102へ移行する。
【0071】
なおサーバ120は、ステップS102からステップS117、ステップS110又はステップS108までの処理を、4つの時間帯毎に繰り返し実行する。
【0072】
ステップS102において、サーバ120は、補正可否が「否」に設定されているか否かの判定を行う。補正可否は、対象時間帯毎ではなく、評価対象全体で管理される。すなわち、本実施形態において、補正可否としては、1日及び4つの時間帯を合わせて1つの設定が行われている。サーバ120は、補正可否が「否」に設定されている場合、ステップS115へ移行し、一方、補正可否が「否」に設定されていない(「可」に設定されている)場合、ステップS103へ移行する。
【0073】
ステップS103において、サーバ120は、当該対象家電における当該対象時間帯の利用回数実績が正常範囲外か否かを判定する。サーバ120は、当該対象家電における当該対象時間帯の利用回数実績が正常範囲外である場合、ステップS104へ移行し、一方、当該対象家電における当該対象時間帯の利用回数実績が正常範囲外ではない(正常範囲内である)場合、ステップS115へ移行する。
【0074】
ステップS104において、サーバ120は、深夜時間帯の行動検出があるか否かの判定を行う。本実施形態において、深夜時間帯とは、例えば0-2時の時間帯である。なお深夜時間帯に対象者P1が行動している場合、異常行動の可能性が高いと想定される。そこで、深夜時間帯に行動検出がある場合、サーバ120は補正を行わないこととしている(ステップS115参照)。サーバ120は、深夜時間帯の行動検出がある場合、ステップS115へ移行し、一方、深夜時間帯の行動検出がない場合、ステップS105へ移行する。
【0075】
ステップS105において、サーバ120は、当該対象家電における24時間の利用回数実績が正常範囲内か否かを判定する。サーバ120は、当該対象家電における24時間の利用回数実績が正常範囲内である場合、ステップS106へ移行する。またサーバ120は、当該対象家電における24時間の利用回数実績が正常範囲内ではない(正常範囲外である)場合において、当該対象家電における全ての対象時間帯についてステップS102からの処理が終了した場合はステップS120へ移行し、一方、当該対象家電における全ての対象時間帯についてステップS102からの処理が終了していない場合はステップS102へ移行する。
【0076】
こうして、サーバ120は、当該対象家電における当該対象時間帯の利用回数実績が正常範囲外であって、かつ、当該対象家電における24時間の利用回数実績が正常範囲外である場合には、最終的な評価結果(行動評価結果)として、当該対象時間帯における生活パターンが「異常」であると判定する。
【0077】
ステップS106において、サーバ120は、当該対象家電における当該対象時間帯の補正回数(同一の曜日の同一の時間帯において補正が連続した回数)が所定閾値Y以上か否かを判定する。サーバ120は、当該対象家電における当該対象時間帯の補正回数が所定閾値Y以上である場合、ステップS109へ移行し、一方、当該対象家電における当該対象時間帯の補正回数が所定閾値Y以上ではない場合、ステップS107へ移行する。なお本実施形態においては、所定閾値Yとして例えば「3」が採用される。
【0078】
ステップS107において、サーバ120は、行動評価結果として、当該対象時間帯における生活パターンが「正常(補正)」であると判定する。すなわち、サーバ120は、当該対象家電における当該対象時間帯の利用回数実績が正常範囲外であって、かつ、当該対象家電における24時間の利用回数実績が正常範囲内である場合であって、かつ、補正回数が所定閾値Yより少ない場合には、最終的な評価結果(行動評価結果)として、当該対象時間帯における生活パターンが「正常(補正)」であると判定する。サーバ120は、ステップS107の処理の後、ステップS108へ移行する。
【0079】
ステップS108において、サーバ120は、補正回数のカウントを行う。具体的には、サーバ120は、現在取得している補正回数に、1を加算する。サーバ120は、当該対象家電における全ての対象時間帯についてステップS102からの処理が終了した場合はステップS120へ移行し、一方、当該対象家電における全ての対象時間帯についてステップS102からの処理が終了していない場合はステップS102へ移行する。
【0080】
ステップS109において、サーバ120は、行動評価結果として、当該対象時間帯における生活パターンが「注意(補正)」であると判定する。すなわち、サーバ120は、当該対象家電における当該対象時間帯の利用回数実績が正常範囲外であって、かつ、当該対象家電における24時間の利用回数実績が正常範囲内である場合であって、かつ、補正回数が所定閾値Y以上である場合には、最終的な評価結果(行動評価結果)として、当該対象時間帯における生活パターンが「注意(補正)」であると判定する。サーバ120は、ステップS109の処理の後、ステップS110へ移行する。
【0081】
ステップS110において、サーバ120は、補正回数リセットをONに設定する。サーバ120は、当該対象家電における全ての対象時間帯についてステップS102からの処理が終了した場合はステップS120へ移行し、一方、当該対象家電における全ての対象時間帯についてステップS102からの処理が終了していない場合はステップS102へ移行する。
【0082】
ステップS115において、サーバ120は、補正可否を「否」に設定する。こうして、サーバ120は、補正可否が「否」に設定されている場合、例えば当該4つの時間帯を通して補正を不可とすることができる。サーバ120は、ステップS115の処理の後、ステップS116へ移行する。
【0083】
ステップS116において、サーバ120は、当該対象家電における補正回数が0よりも多いか否かを判定する。サーバ120は、当該対象家電における補正回数が0よりも多い場合、ステップS117へ移行する。またサーバ120は、当該対象家電における補正回数が0である場合において、当該対象家電における全ての対象時間帯についてステップS102からの処理が終了した場合はステップS120へ移行し、一方、当該対象家電における全ての対象時間帯についてステップS102からの処理が終了していない場合はステップS102へ移行する。
【0084】
ステップS117において、サーバ120は、補正回数リセットをONに設定する。サーバ120は、当該対象家電における全ての対象時間帯についてステップS102からの処理が終了した場合はステップS120へ移行し、一方、当該対象家電における全ての対象時間帯についてステップS102からの処理が終了していない場合はステップS102へ移行する。
【0085】
ステップS120において、サーバ120は、当該対象家電における今回の利用回数実績(行動データ)を全て未学習データに追加する。サーバ120は、ステップS120の処理の後、ステップS121へ移行する。
【0086】
ステップS121において、サーバ120は、学習データ処理を行う。学習データ処理とは、生活パターンの評価が行われた後、学習データへの反映可否を判定する処理である。なお学習データ処理についての詳細な説明は後述する。サーバ120は、ステップS121の処理の後、ステップS122へ移行する。
【0087】
ステップS122において、サーバ120は、補正回数リセットがONであるか否かを判定する。サーバ120は、補正回数リセットがONである場合、ステップS123へ移行する。またサーバ120は、補正回数リセットがONではない場合において、全ての対象家電についてステップS101からの処理が終了していない場合はステップS101へ移行し、一方、全ての対象家電についてステップS101からの処理が終了している場合は生活パターン評価処理を終了する。
【0088】
ステップS123において、サーバ120は、当該対象家電の全ての補正回数のリセットを行う。またサーバ120は、全ての対象家電についてステップS101からの処理が終了していない場合はステップS101へ移行し、一方、全ての対象家電についてステップS101からの処理が終了している場合は生活パターン評価処理を終了する。
【0089】
なお、生活パターン評価処理を終了する場合には、補正可否や補正回数リセットは初期化される(すなわち、補正可否は「可」に設定され、補正回数リセットはOFFに設定される)。
【0090】
以下では、
図8のフローチャートを用いて、サーバ120により実行される学習データ処理(ステップS121)について説明する。
【0091】
サーバ120は、学習データ処理が開始されると、以下の処理を対象家電毎に繰り返し実行する。
【0092】
ステップS201において、サーバ120は、前回又は今回の判定において補正を行ったか否かを判定する。サーバ120は、前回又は今回の判定において補正を行った場合、ステップS202へ移行する。一方、サーバ120は、前回及び今回の判定において補正を行っていない場合、ステップS203へ移行する。
【0093】
ステップS202において、サーバ120は、補正用学習データ処理を行う。なお補正用学習データ処理についての詳細な説明は後述する。サーバ120は、ステップS202の処理の後、全ての対象家電についてステップS201からの処理が終了していない場合はステップS201へ移行し、一方、全ての対象家電についてステップS201からの処理が終了している場合は学習データ処理を終了する。
【0094】
ステップS203において、サーバ120は、通常用学習データ処理を行う。なお通常用学習データ処理についての詳細な説明は後述する。サーバ120は、ステップS203の処理の後、全ての対象家電についてステップS201からの処理が終了していない場合はステップS201へ移行し、一方、全ての対象家電についてステップS201からの処理が終了している場合は学習データ処理を終了する。
【0095】
以下では、
図9のフローチャートを用いて、サーバ120により実行される補正用学習データ処理(ステップS202)について説明する。
【0096】
ステップS301において、サーバ120は、評価結果に「正常(補正)」があるか否かを判定する。サーバ120は、評価結果に「正常(補正)」がある場合、ステップS302へ移行する。一方、サーバ120は、評価結果に「正常(補正)」がない場合、ステップS303へ移行する。
【0097】
ステップS302において、サーバ120は、未学習データを全て保留データに追加する。サーバ120は、ステップS302の処理の後、補正用学習データ処理を終了する。
【0098】
ステップS303において、サーバ120は、評価結果に「異常」があるか否かを判定する。サーバ120は、評価結果に「異常」がある場合、ステップS304へ移行する。一方、サーバ120は、評価結果に「異常」がない場合、ステップS307へ移行する。
【0099】
ステップS304において、サーバ120は、保留データを保管している場合、各対象時間帯(4つの時間帯)の保留データを破棄する。サーバ120は、ステップS304の処理の後、ステップS305へ移行する。
【0100】
ステップS305において、サーバ120は、各対象時間帯の未学習データを保留データに追加する。サーバ120は、ステップS305の処理の後、ステップS306へ移行する。
【0101】
ステップS306において、サーバ120は、フィードバック要求を通知する。すなわち、対象者P1や家族P2にフィードバックを行って、フィードバックの結果を受け付ける。サーバ120は、ステップS306の処理の後、補正用学習データ処理を終了する。
【0102】
ステップS307において、サーバ120は、評価結果に「注意(補正)」があるか否かを判定する。サーバ120は、評価結果に「注意(補正)」がある場合、ステップS308へ移行する。一方、サーバ120は、評価結果に「注意(補正)」がない場合、ステップS309へ移行する。
【0103】
ステップS308において、サーバ120は、各対象時間帯の未学習データ及び保留データを学習データに反映させる。サーバ120は、ステップS308の処理の後、補正用学習データ処理を終了する。
【0104】
ステップS309において、サーバ120は、保留データを保管している場合、各対象時間帯の保留データを破棄する。サーバ120は、ステップS309の処理の後、ステップS310へ移行する。
【0105】
ステップS310において、サーバ120は、各対象時間帯の未学習データを学習データに反映させる。サーバ120は、ステップS310の処理の後、補正用学習データ処理を終了する。
【0106】
以下では、
図10のフローチャートを用いて、サーバ120により実行される通常用学習データ処理(ステップS203)について説明する。
【0107】
サーバ120は、通常用学習データ処理が開始されると、以下の処理を対象時間帯毎に繰り返し実行する。
【0108】
ステップS401において、サーバ120は、評価結果が「正常」か否かを判定する。サーバ120は、評価結果が「正常」である場合、ステップS402へ移行する。一方、サーバ120は、評価結果が「正常」ではない(すなわち、評価結果が「異常」である)場合、ステップS403へ移行する。
【0109】
ステップS402において、サーバ120は、当該対象時間帯の未学習データを学習データに反映させる。サーバ120は、ステップS402の処理の後、全ての対象時間帯(4つの時間帯)についてステップS401からの処理が終了していない場合はステップS401へ移行し、一方、全ての対象時間帯についてステップS401からの処理が終了している場合は通常用学習データ処理を終了する。
【0110】
ステップS403において、サーバ120は、当該対象時間帯の未学習データを保留データに追加する。サーバ120は、ステップS403の処理の後、ステップS404へ移行する。
【0111】
ステップS404において、サーバ120は、フィードバック要求を通知する。すなわち、対象者P1や家族P2にフィードバックを行って、フィードバックの結果を受け付ける。サーバ120は、ステップS404の処理の後、通常用学習データ処理を終了する。
【0112】
以上の如く、本実施形態に係る生活パターン評価システム100においては、
対象者P1が利用する住宅1に設けられた設備の使用状況を検出可能することで、前記対象者P1の行動を検出可能なサーバ120(行動検出部)と、
前記サーバ120(行動検出部)により検出された前記対象者P1の行動に関する行動データ(実行動データ)と、予め学習した前記対象者P1の行動に関する学習データ(学習行動データ)と、を比較して、所定の対象時間帯(第一の時間帯)及び前記対象時間帯(第一の時間帯)を含む24時間(第二の時間帯)の前記対象者P1の生活パターンを評価するサーバ120(生活パターン評価部)と、
前記24時間(第二の時間帯)の評価結果に応じて、前記対象時間帯(第一の時間帯)の評価結果の補正を行うサーバ120(評価結果補正部)と、
を具備するものである。
【0113】
このような構成により、4つの時間帯における対象者P1の生活パターンの評価においては、比較的短期間(例えば6時間)の利用回数実績を基準として「異常」と判定される場合でも、比較的長時間(例えば24時間)の利用回数実績を基準として評価結果の補正を行うことができる。こうして、対象者の生活パターンを好適に評価できる。
【0114】
また、本実施形態に係る生活パターン評価システム100においては、
前記サーバ120(評価結果補正部)は、
前記補正が予め設定された条件を満たすように複数回行われるか(本実施形態においては、同一の曜日の同一の時間帯において補正の連続した回数が、所定の上限値に到達したか)に応じて、評価結果を異ならせるものである。
【0115】
このような構成により、対象家電の利用タイミングが僅かにズレた場合だけでなく、対象者P1の生活パターン自体が変わった場合も踏まえて生活パターンの評価を行うことができるため、対象者の生活パターンを好適に評価できる。
【0116】
また、本実施形態に係る生活パターン評価システム100においては、
報知対象者(家族P2)に対する報知を行うことが可能な端末130(報知部)をさらに具備し、
前記サーバ120(評価結果補正部)は、
前記補正が予め設定された条件を満たすように複数回行われた場合、前記端末130(報知部)により報知を行うものである。
【0117】
このような構成により、評価結果に応じて注意を促すことができる。
【0118】
また、本実施形態に係る生活パターン評価システム100においては、
前記生活パターンの評価に用いられた前記行動データ(実行動データ)を学習し、前記学習データ(学習行動データ)に反映させるサーバ120(学習部)をさらに具備し、
前記サーバ120(学習部)は、
前記サーバ120(生活パターン評価部)による評価結果に応じて、前記行動データ(実行動データ)の学習可否を判定するものである。
【0119】
このような構成により、評価結果によっては行動データを学習すべきでない場合があるため、学習可否を判定することにより、対象者P1の生活パターンを好適に評価できる。
【0120】
また、本実施形態に係る生活パターン評価システム100においては、
前記サーバ120(学習部)は、
前記補正が予め設定された条件を満たすように複数回行われる場合、前記生活パターンの評価に用いられた前記行動データ(実行動データ)を学習し、前記学習データ(学習行動データ)に反映させ、
前記補正が予め設定された条件を満たすように複数回行われていない場合、前記生活パターンの評価に用いられた前記行動データ(実行動データ)の学習を保留するものである。
【0121】
このような構成により、対象者P1の行動変化の状況が継続しているのか判断が困難となるのを抑制し、対象者P1の生活パターンを好適に評価できる。
【0122】
また、本実施形態に係る生活パターン評価システム100においては、
前記学習データ(学習行動データ)は、所定の確率分布を用いて算出された、前記対象者P1の行動回数の発生確率を含むものである。
【0123】
このような構成により、実情に沿って適切に対象者P1の生活パターンの評価を行うことができる。
【0124】
また、本実施形態に係る生活パターン評価システム100においては、
前記所定の確率分布は、ポアソン分布であるものである。
【0125】
このような構成により、実情に沿って、より適切に対象者P1の生活パターンの評価を行うことができる。
【0126】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0127】
例えば、本実施形態に係る生活パターン評価システム100は、高齢者を対象者P1とした例を示したが、本発明は高齢者に限るものではなく、様々な人を対象者P1とすることができる。
【0128】
また本実施形態では、電力センサ110(行動検出部)は住宅1に設けられるものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、対象者P1が利用する種々の建物に設けることも可能である。すなわち、住宅1に限らず、その他種々の建物、施設等において、生活パターンの評価を行うことが可能である。また行動検出部は、電力センサに限定されず、人の行動を検出することができる種々のセンサを採用することができる。具体的には、行動検出部としては、人感センサや、撮像した画像から人の行動を認識可能な認識手段等を採用することができる。
【0129】
また本実施形態では、サーバ120(クラウド上に設けられた仮想サーバ等)が各種処理を行う例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、各種処理を実行する主体は任意に変更することが可能である。例えば、住宅1に設けられたホームサーバ、パソコン、携帯型端末等により実行することも可能である。
【0130】
また本実施形態で例示した各処理(日毎処理、週毎処理、月毎処理、週間結果通知及び月間結果通知)の対象となる期間は、任意に変更することも可能である。
【0131】
また本実施形態では、認知機能の異常の有無を検出するものとしたが、これに限らず生活パターンの異常の有無を検出することができる。例えば単身赴任や学生の一人暮らしなど、家族と離れて過ごす人の住宅に導入した場合には、離れた家族の生活パターンの異常の有無を検出することができる。
【0132】
また、エアコンや暖房器具は必要な季節(夏や冬)にしか使われないなど、対象者P1の行動は季節に応じて変化するため、サーバ120は、季節ごとに対象者P1の行動の傾向を学習し、その時点での季節に応じた学習結果を評価基準値に反映させることができる。
【0133】
また本実施形態では、日毎処理における生活パターン評価処理の内容について説明したが、週毎処理及び月毎処理において生活パターン評価処理を実行することができる。その場合、第一の時間帯及び第二の時間帯は、任意の時間帯として設定することができる。また、本実施形態においては、24時間を6時間毎に分類した4つの時間帯を対象時間帯(第一の時間帯)としたが、これに限定するものではない。また第二の時間帯も、1日に限定するものではない。
【0134】
また
図6から
図10に示すフローチャートは、本実施形態に係るサーバ120が実行する処理の一例であり、サーバ120が実行する処理はこれに限定されない。すなわち、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で、処理の順序を変更したり、処理の一部を削除したり、別の処理を追加することができる。
【符号の説明】
【0135】
1 住宅
100 生活パターン評価システム
110 電力センサ
120 サーバ
130 端末
P1 対象者