(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039562
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】練習用自転車および自転車フレーム
(51)【国際特許分類】
B62K 9/00 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
B62K9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144213
(22)【出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】505429832
【氏名又は名称】株式会社 ビタミンアイファクトリー
(74)【代理人】
【識別番号】100148127
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 耕太
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 未来雄
(57)【要約】 (修正有)
【課題】チェーンおよびペダルユニットの脱着を容易に行うことのできる練習用自転車および自転車フレームを提供する。
【解決手段】練習用自転車(1)は、ペダルユニット(200)を接続する受部(110)がシートチューブ(120)の下部に設けられた自転車フレーム(100)と、ペダルユニットと後輪(300)との間に架設されるチェーンと、ペダルユニットは、チェーンホイールが軸着されたペダルクランク(220)を回転自在に保持するとともに受部に接続するための接続部(230)を有するとともに、チェーンは、チェーンホイールと後輪に設置されるリアスプロケット(310)とに架設されることで、ペダルユニットとチェーンとが自転車フレームに着脱自在に接続される構成であり、自転車フレームは、チェーンホイールを接続する側のシートステー(150)を備え、シートステーが、シートステーから取り外し可能な取外部を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペダルユニットを接続する受部がシートチューブの下部に設けられた自転車フレームと、前記受部に着脱可能に接続されるペダルユニットと、前記ペダルユニットと後輪との間に架設されるチェーンと、を含むペダルユニット着脱可能な練習用自転車において、
前記ペダルユニットは、チェーンホイールが軸着されたペダルクランクを回転自在に保持するとともに前記受部に接続するための接続部を有するとともに、前記チェーンは、前記チェーンホイールと前記後輪に設置されるリアスプロケットとに架設されることで、前記ペダルユニットと前記チェーンとが自転車フレームに着脱自在に接続される構成であり、
前記自転車フレームは、前記チェーンホイールを接続する側のシートステーを備え、
前記シートステーが、前記シートステーから取り外し可能な取外部を有することを特徴とする練習用自転車。
【請求項2】
前記取外部を取り外した部分の前記シートステーの間隔が、前記チェーンの上下方向の幅よりも広いことを特徴とする請求項1に記載の練習用自転車。
【請求項3】
前記取外部は、上方視が前記後輪側に向かって凸形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の練習用自転車。
【請求項4】
前記自転車フレームは、少なくとも前記ペダルユニット側の側面に、前記後輪を回転自在に固定するチェーンステーを備えることを特徴とする請求項1記載の練習用自転車。
【請求項5】
前記チェーンステーの後輪側には、前方斜め上に伸びる分岐部が設けられ、当該分岐部に前記シートステーの後端側が固定されることを特徴とする請求項4記載の練習用自転車。
【請求項6】
前記ペダルユニットは、前記チェーンを覆うチェーンカバーを備え、
前記分岐部は、前記チェーンカバーの外側に、前記自転車フレームの側面から見て前記チェーンカバーと重なるように設けられていることを特徴とする請求項5記載の練習用自転車。
【請求項7】
前記ペダルユニットは、前記チェーンを覆うチェーンカバーを備え、
前記チェーンカバーには、前記チェーンステーが貫通する貫通孔が設けられ、当該貫通孔に前記チェーンステーが前記チェーンカバーの外側後方から内側前方に向かって挿入されていることを特徴とする請求項4記載の練習用自転車。
【請求項8】
前記チェーンカバーは、前後方向に分離可能であり、
前記貫通孔は、前記チェーンカバーにおける分離部分に跨って形成されていることを特徴とする請求項7記載の練習用自転車。
【請求項9】
前記シートステーの後端は、前記後輪の車軸上に固定されていることを特徴とする請求項4から8のいずれか1項記載の練習用自転車。
【請求項10】
前記シートステーの後端には、後方に開放した長孔が設けられ、当該長孔に設けられた固定用部材により、前記シートステーの後端が前記後輪の車軸上に固定されていることを特徴とする請求項9記載の練習用自転車。
【請求項11】
前記ペダルユニットは、前記チェーンを覆うチェーンカバーを備え、
前記シートステーは、前記チェーンカバーの外側に取り付けられることを特徴とする請求項1記載の練習用自転車。
【請求項12】
前記シートステーが、前記チェーンホイールの直径に応じて交換可能であることを特徴とする請求項1に記載の練習用自転車。
【請求項13】
ペダルユニットおよびチェーンが着脱自在に装着される自転車フレームにおいて、
前記自転車フレームは、チェーンホイールを接続する側のシートステーが、前記シートステーから取り外し可能な取外部を有することを特徴とする自転車フレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェーンおよびペダルユニットの脱着が可能な練習用自転車および自転車フレームに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ペダルユニットが着脱可能となるように構成された自転車が開発され、使用されている。自転車からペダルユニットを取り外すことを可能とする目的は、主に、自転車に乗る練習のためである。具体的には、チェーンホイールやペダルクランクを含むユニット本体部分を自転車本体にボルト等で着脱可能とし、ボルトとナットによるペダルユニットの固定接続/解除を可能としている(特許文献1参照)。
【0003】
この構成とすることにより、特に、子供が自転車に初めて乗る場合には、ユニット本体部分を取り外した状態で、脚で地面を蹴ってハンドル操作技術とバランス感覚を習得し、ある程度乗れるようになったらユニット本体部分を自転車本体に取り付けて、ペダルクランクに接続されたペダルをこいで自転車を前に進める練習をすることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、シートステーがない自転車であれば、ペダルユニットとチェーンの着脱が簡単にできるが、シートステーが存在する自転車の場合には、本体から後輪を取り外してチェーンを装着する必要があり、ペダルユニットとチェーンの着脱が困難であるという課題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するため、シートステーが存在する練習用自転車においても、チェーンおよびペダルユニットの脱着を容易に行うことのできる練習用自転車および自転車フレームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の形態は、ペダルユニットを接続する受部がシートチューブの下部に設けられた自転車フレームと、前記受部に着脱可能に接続されるペダルユニットと、前記ペダルユニットと後輪との間に架設されるチェーンと、を含むペダルユニット着脱可能な練習用自転車において、前記ペダルユニットは、チェーンホイールが軸着されたペダルクランクを回転自在に保持するとともに前記受部に接続するための接続部を有するとともに、前記チェーンは、前記チェーンホイールと前記後輪に設置されるリアスプロケットとに架設されることで、前記ペダルユニットと前記チェーンとが自転車フレームに着脱自在に接続される構成であり、前記自転車フレームは、前記チェーンホイールを接続する側のシートステーを備え、前記シートステーが、前記シートステーから取り外し可能な取外部を有することを特徴とする練習用自転車である。本構成によれば、チェーンホイールを接続する側のシートステーが、そのシートステーから取り外し可能な取外部を有するため、シートステーが存在する練習用自転車においても、チェーンおよびペダルユニットの脱着を容易に行うことができる。
【0008】
上記構成において、前記取外部を取り外した部分の前記シートステーの間隔が、前記チェーンの上下方向の幅よりも広い構成としてもよい。また、前記取外部は、上方視が前記後輪側に向かって凸形状に形成されている構成としてもよい。
【0009】
上記構成において、前記自転車フレームは、少なくとも前記ペダルユニット側の側面に、前記後輪を回転自在に固定するチェーンステーを備える構成としてもよい。また、前記チェーンステーの後輪側には、前方斜め上に伸びる分岐部が設けられ、当該分岐部に前記シートステーの後端側が固定される構成としてもよい。本構成によれば、着脱作業のしやすい位置・形状に分岐部を設定することで、シートステーの着脱作業が容易になる。
【0010】
上記構成において、前記ペダルユニットは、前記チェーンを覆うチェーンカバーを備え、前記分岐部は、前記チェーンカバーの外側に、前記自転車フレームの側面から見て前記チェーンカバーと重なるように設けられている構成としてもよい。本構成によれば、チェーンカバーを分岐部で挟み込むことで、強度向上の効果が期待できる。
【0011】
上記構成において、前記ペダルユニットは、前記チェーンを覆うチェーンカバーを備え、前記チェーンカバーには、前記チェーンステーが貫通する貫通孔が設けられ、当該貫通孔に前記チェーンステーが前記チェーンカバーの外側後方から内側前方に向かって挿入されている構成としてもよい。本構成によれば、貫通孔を介してチェーンステーを取り付けることにより、チェーンカバーの取り付けが容易になる。
【0012】
上記構成において、前記チェーンカバーは、前後方向に分離可能であり、前記貫通孔は、前記チェーンカバーにおける分離部分に跨って形成されている構成としてもよい。本構成によれば、チェーンカバーが前後に分離可能であることから、チェーンカバーの取り付けが更に容易になる。
【0013】
上記構成において、前記シートステーの後端は、前記後輪の車軸上に固定されている構成としてもよい。本構成によれば、車軸をシートステーの固定に利用することで、部品点数を削減することができる。
【0014】
上記構成において、前記シートステーの後端には、後方に開放した長孔が設けられ、当該長孔に設けられた固定用部材により、前記シートステーの後端が前記後輪の車軸上に固定されている構成としてもよい。本構成によれば、後方に開放した長孔により、シートステー取付時の調整を容易にすることができる。
【0015】
上記構成において、前記ペダルユニットは、前記チェーンを覆うチェーンカバーを備え、前記シートステーは、前記チェーンカバーの外側に取り付けられる構成としてもよい。本構成によれば、チェーンカバーをシートステーで挟み込むことで安定させることができる。
【0016】
上記構成において、チェーンホイールの直径が、リアスプロケットの直径よりも大きい構成としてもよい。また、前記シートステーが、前記チェーンホイールの直径に応じて交換可能である構成としてもよい。
【0017】
本発明の別の形態は、ペダルユニットおよびチェーンが着脱自在に装着される自転車フレームにおいて、前記自転車フレームは、チェーンホイールを接続する側のシートステーが、前記シートステーから取り外し可能な取外部を有することを特徴とする自転車フレームである。本構成によれば、チェーンホイールを接続する側のシートステーが、そのシートステーから取り外し可能な取外部を有するため、シートステーが存在する練習用自転車においても、チェーンおよびペダルユニットの脱着を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る練習用自転車および自転車フレームによれば、シートステーが存在する練習用自転車においても、チェーンおよびペダルユニットの脱着を容易に行うことができる。なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る練習用自転車の側面斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る練習用自転車の分解図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る練習用自転車のペダルユニットとチェーンを取り外した側面斜視図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る練習用自転車のシートステーの接続部を示す後方斜視図である。
【
図5】本発明の第1実施形態の変形例に係る練習用自転車のシートステーの接続構造を示す側面斜視図である。
【
図6】本発明の第1実施形態の変形例に係る練習用自転車のシートステーを外した側面斜視図である。
【
図7】本発明の第1実施形態の変形例に係る練習用自転車のシートステーの接続部を示す後方斜視図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る練習用自転車のペダルユニットの内部を示す側面斜視図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る練習用自転車のシートステーの接続部を示す後方斜視図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る練習用自転車のペダルユニットの内部を示す側面斜視図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る練習用自転車のペダルユニットの接続部を示す側面図である。
【
図12】本発明の第3実施形態に係る練習用自転車の側面斜視図である。
【
図13】本発明の第3実施形態に係る練習用自転車のシートステーの一部を外した側面斜視図である。
【
図14】本発明の第3実施形態に係る練習用自転車のシートステーの接続部を示す拡大図である。
【
図15】本発明の第3実施形態に係る練習用自転車のシートステーの一部を外したシートステーの接続部を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が限定されることはなく、その要旨の範囲内で種々の組合せ、変形、および変更が可能である。
【0021】
<第1実施形態>
図1から
図8を参照して、本発明の第1実施形態係る練習用自転車1について説明する。
【0022】
本発明に係る練習用自転車1は、
図1、
図2および
図8に示すように、自転車フレーム100と、ペダルユニット200と、後輪300と、前輪420を備えるハンドル部400と、チェーン500と、からなり、シートステー150を着脱自在にすることにより、チェーン500およびペダルユニット200を自転車フレーム100から容易に脱着可能とした自転車である。
【0023】
自転車フレーム100は、本発明に係る練習用自転車1の本体を構成する部材であり、
図1、
図2および
図8に示すように、ペダルユニット200と、後輪300と、前輪420を備えるハンドル部400と、チェーン500とが設置される。自転車用フレーム100は、シートチューブ120と、チェーンステー130と、ダウンチューブ140と、シートステー150と、を備えており、本実施形態では、ダウンチューブ140の前部に設置されるヘッドチューブ160にハンドル部400が左右に回転自在に設置される。また、シートチューブ120の上部とダウンチューブ140の前部とを接続するトップチューブ170を設置する構成としてもよい。
【0024】
自転車フレーム100は、本実施形態では鉄で構成しているが、これに限定されることはなく、軽量化を図るためにアルミ製、クロモリ製、カーボン製、チタン製、樹脂製としたり、その他十分な強度を有する材質を適宜選択して使用することが可能である。
【0025】
自転車フレーム100には、受部110が設置される。受部110は、ペダルユニット200を接続するための部材であり、
図1に示すように、シートチューブ120の下部に固定設置され、ペダルユニット200を自転車フレーム100にボルトで着脱自在に接続する構成である。
【0026】
受部110は、シートチューブ120の他、ダウンチューブ140下部のシートチューブ120と交差する部分などに固定設置される構成とすることが可能である。また、受部110は、ユーザが自転車に搭乗してペダルを漕ぐ際にペダルを踏む力が集中する部材となるため、頑丈な部材であるとともに自転車フレーム100に強固に接続されることが望ましい。本実施形態では、受部110を自転車フレーム100と同じ鉄で構成しているが、これに限定されることはなく、軽量化を図るためにアルミ製、クロモリ製、カーボン製、チタン製、樹脂製としたり、その他十分な強度を有する材質を適宜選択して使用することが可能である。受部の具体的構成のバリエーションとして、受部110をサドル下方に伸びる略円柱の中空部材とし、当該中空部材に挿入されるユニット側接続部を設けたペダルユニットを取り付けてもよい(特開2013-147199号公報、〔0017〕~〔0020〕段落及び〔
図3〕参照)。また、受部にクランクと凹凸に係合可能なギア部を設け、当該ギア部にクランクを差し込みペダルを回せる構成としてもよい(国際公開2018-216676号公報、〔0050〕~〔0054〕段落及び〔
図1〕~〔
図2〕〔
図8〕~〔
図9〕参照)。
【0027】
チェーンステー130の後端部には、後輪300が装着される。後輪300には、ペダルクランク220の回転動力を伝達するチェーン500を架設するリアスプロケット310が装着される。また、ダウンチューブ140の前部には、ヘッドチューブ160を介して、ハンドル410および前輪420が装着されたフロントフォーク430を含むハンドル部400が装着される。
【0028】
ペダルユニット200は、自転車フレーム100に着脱自在に装着されるペダル240とペダルクランク220とチェーンホイール210とチェーンカバー250を含むユニットであり、本実施形態では、受部110に着脱可能に接続される。また、チェーン500は、ペダルユニット200のチェーンホイール210と後輪300のリアスプロケット310との間に架設される。チェーン500を覆うチェーンカバー250は、ペダルユニット200において必須の構成ではないが、チェーン500を保護し、操縦者とチェーンの接触事故を防ぐためには望ましい。
【0029】
本発明に係る練習用自転車1のペダルユニット200は、チェーンホイール210が軸着されたペダルクランク220を回転自在に保持するとともに、自転車フレーム100に固定接続される受部110に着脱自在に接続するための接続部230を有する構成である。
【0030】
ペダルユニット200の本体は、チェーンホイール210が軸着されたペダルクランク220を回転自在に保持するとともに自転車フレーム100に接続される。ペダルユニット200の本体には、接続部230が装備される。接続部230は、ペダルユニット200を自転車フレーム100に接続して固定するための部材であり、本実施形態では、自転車フレーム100に設けられる受部110に接続される構成である。
【0031】
接続部230は、本実施形態では、ペダルユニット200に溶接する構成であるが、これに限定されることはなく、一体形成によって装備する構成としてもよい。また、接続部230は、強度を保つために自転車フレーム100と同じ鉄で構成されるが、これに限定されることはなく、軽量化を図るためにアルミ製、クロモリ製、カーボン製、チタン製、樹脂製としたり、その他十分な強度を有する材質を適宜選択して構成することが可能である。
【0032】
受部110と接続部230とは、本実施形態では、ボルトで固定される構成である。具体的には、受部110および接続部230に穿設された孔(図示せず)にボルトを挿入してナットとともに締結する構成である。なお、受部110または接続部230に穿設された孔は、いずれかを長孔とすることが可能である。これにより、チェーンホイール210とリアスプロケット310との間に架設されるチェーン500のテンションを強めたり弱めたり調整することが可能となる。
【0033】
上記構成とすることにより、ペダルユニット200とチェーン500とを、自転車フレーム100に着脱自在に装着することが可能となる。
【0034】
自転車フレーム100は、本実施形態では、
図1乃至
図4に示すように、左右一対のチェーンステー130を装備している。このチェーンステー130が後輪300を左右から挟持し、チェーンステー130の先端部分において車輪500を回転自在に固定する構成である。チェーンステー130の後輪側には、前方斜め上に伸びる分岐部132が設けられ、当該分岐部132に後述するシートステー150の後輪300側が固定される(
図4参照)。着脱作業のしやすい位置・形状に分岐部132を設定することで、シートステー150の着脱作業が容易になる。なお、チェーンステー130は、片側のみで固定する片腕タイプを選択する構成とすることも可能である。チェーンステー130を片側のみとする場合、当該チェーンステー130はチェーンホイール210側に設けることが好ましい。
【0035】
本実施形態では、自転車フレーム100は、チェーンステー130とシートチューブ120の上部との間に渡設されるシートステー150を備えている。本発明に係る練習用自転車1が備えるシートステー150は、左右のうち一方のステーが着脱自在に接続される構成である。本実施形態では、チェーンホイール210を接続する側のシートステー150が自転車フレーム100に着脱自在に接続され、反対側のシートステー150は、チェーンステー130とシートチューブ120に溶接等によって固定される構成である。この構成とすることにより、以下に述べるように容易にペダルユニットとチェーンの脱着を行うことが可能となった。なお、本実施形態では、上記のとおりシートステー150が後輪300の両側に設けられているが、シートステー150は少なくともチェーンホイール210側に設けられていればよい(以下の説明において「シートステー150」という場合、チェーンホイール210側に設けられた着脱可能なシートステー150を指すものとする。)。
【0036】
従来、子供用の自転車にあっては、練習用自転車としてペダルユニットが着脱可能に構成された製品が存在する。この子供向けの練習用自転車は、シートステーは装着されていない場合には、ペダルユニットとチェーンの脱着は比較的容易であった。ところが、デザイン等の都合によりシートステーが存在する場合には、着脱自在なペダルユニットを装着したとしても、シートステーが邪魔でチェーンを取り外すことが困難という問題が生じていた。
【0037】
本発明の構成とすることにより、シートステーが存在する自転車であっても、シートステー150を取り外すことによって、容易にペダルユニットとチェーンの脱着を行うことが可能となった。
【0038】
シートステー150は、本実施形態では、
図1乃至
図4に示すように、チェーンステー130の後輪300側とシートチューブ120の上部との間に、その両端が着脱自在に接続されることで、シートステー150全体が着脱自在な構成となっている。具体的には、チェーンステー130の後輪300側の分岐部132に穿設された接続孔およびシートチューブ120の上部側に設けられた接続孔と、シートステー150の両端に設けられた接続孔をボルトおよびナットで固定する構成となっている。このとき、分岐部132は、チェーンカバー250の外側に、自転車フレーム100の側面から見てチェーンカバー250と重なるように設けられ、チェーンカバー250を分岐部132で挟み込むことで、強度向上の効果が期待できる。また、シートステー150をチェーンカバー250の外側に取り付け、チェーンカバー250をシートステー150で挟み込む構成とすることで、全体を安定させることができる。更に、シートステー150全体を着脱可能とし、途中に切れ目を設けないことから、シートステー150取付時の自転車フレーム100の強度を向上させることができる。
【0039】
ここで、チェーンカバー250には、チェーンステー130が貫通する貫通孔252が設けられ、当該貫通孔252にチェーンステー130がチェーンカバー250の外側後方から内側前方に向かって挿入されている構成となっている。貫通孔252を介してチェーンステー130を取り付けることにより、チェーンカバー250の取り付けが容易になる。更に、本実施形態では、チェーンカバー250は前後方向に分離可能であり貫通孔252はチェーンカバー250における分離部分に跨って形成されている。チェーンカバー250が前後に分離可能であることから、チェーンカバーの取り付け(貫通孔252へのチェーンステー130の挿入)が更に容易となっている。
【0040】
本実施形態の変形例として、
図5乃至
図7に示すように、チェーンステー130の先端部側(後輪側)は、後輪300の車軸302を利用して、シートステー150とともにナットで固定する構成とすることも可能である。具体的に、チェーンステー130の後端には、後方に開放した長孔134が設けられ、当該長孔134に設けられた固定用部材(本実施形態ではナット136)により、チェーンステー130の後端が後輪300の車軸302上に固定されている(車軸302に溝部が形成され、ナット136と係合可能となっている)。同様に、シートステー150の後端には、後方に開放した長孔152が設けられ、当該長孔152に設けられた固定用部材(本実施形態ではナット136)により、シートステー150の後端が後輪300の車軸302上に固定されている。つまり、車軸302は、チェーンステー130の長孔134とシートステー150の長孔152を共に貫通して、ナット136の締め付けによりチェーンステー130及びシートステー150をまとめて固定している。このとき、チェーンステー130及びシートステー150の後輪300側は、ナットにより固定がしやすいよう、平坦な板状形状となっている。また、後方に開放した長孔により、チェーンステー130及びシートステー150の取付時の位置調整が容易となっている。なお、シートステー150は、本実施形態のように両端で取り付ることで全体を着脱自在としてもよいが、シートステー150の一部のみを着脱可能な構成としてもよい。
【0041】
シートステー150は、本実施形態では、自転車フレーム100と同じ鉄で構成しているが、これに限定されることはなく、軽量化を図るためにアルミ製、クロモリ製、カーボン製、チタン製、樹脂製としたり、その他十分な強度を有する材質を適宜選択して使用することが可能である。
【0042】
本発明に係る自転車及び自転車フレームを用いることにより、強度と軽量化のバランスに優れたダイヤモンドフレームの他、デザインの幅を狭めることなく、様々な形状の自転車フレームでペダルの脱着を用意に行うことができることとなった。また、子ども用から大人用まで、大小様々な大きさの自転車フレームでも練習用自転車として使用することができ、幅広い人々に愛用してもらうことができる自転車及び自転車フレームを提供することが可能となった。
【0043】
<第2実施形態>
図9および
図10を参照して、本発明の第2実施形態に係る練習用自転車について説明する。
図9は、本実施形態に係る練習用自転車のシートステーの接続部を示す後方斜視図である。
図10は、本実施形態に係る練習用自転車のペダルユニットの内部を示す側面斜視図である。
【0044】
本実施形態に係る練習用自転車が第1実施形態に係る練習用自転車1と相違する点は、チェーンホイールの直径が大きめで、シートステーが、チェーンホイールの直径に応じて干渉を避けるために交換可能な点である。本実施形態に係る練習用自転車のその他の構成は、第1実施形態に係る練習用自転車1と同一である。
【0045】
図9および
図10に示すように、本実施形態に係る練習用自転車には、大きめの直径のチェーンホイール351が取り付けられている。本実施形態に係る練習用自転車は、第1実施形態に係る練習用自転車1のように、初めは小さめの直径のチェーンホイールを取り付け、子供の体の大きさに応じて徐々に大きな直径のチェーンホイール351に交換することができる。
【0046】
さらに、本実施形態に係る練習用自転車は、一例として、側方視がくの字形状で練習用自転車の上方向きに凸となるシートステー350が取り付けられている。本実施形態に係る練習用自転車は、第1実施形態に係る練習用自転車1のように、初めは直線形状のシートステー150を取り付け、交換するチェーンホイール351の直径に応じて、干渉を避けるために適切な長さのシートステー350に交換することが可能である。なお、シートステー350は、小さめの直径のチェーンホイールを取り付けた場合にも使用することができ、側方視が弓型形状であってもよい。
【0047】
以上のような本実施形態に係る練習用自転車によれば、第1実施形態に係る練習用自転車1の効果に加えて、練習用自転車を使用する子供の体の成長に合わせてチェーンホイールを交換することができる。従来、子供の成長に合わせて短期間で自転車を買い換えることが多かったが、このようにチェーンホイールを交換可能とすることで、同じ自転車に長く乗ることができ、サスティナブルである。
特に、子供の力が弱い場合には乗りやすい小さめのチェーンホイールが望ましいが、成長するとスピードが出しやすい大きめのチェーンホイールに交換することが望ましい。ホイールの大きな自転車に乗り換える場合にはバランスが取りにくくなるという問題が生じるが、チェーンホイールのみ交換することで、小径車のように取り回しがよく重心が低くバランスが取りやすい小さい自転車でありながら、長距離移動しやすい自転車を実現することができる。
【0048】
このようにチェーンホイールを交換することができる自転車においては、交換後、チェーンの長さに合わせてリアスプロケットとチェーンホイールとの間隔を微調整することが望ましい。そのため、
図11に示すようにスライド調整機構を有することが望ましい。
図11に示すように、受部側接続孔140aが略水平方向にスライド調整可能なように長孔(楕円形)に形成され、接続部側接合孔140bが円形に形成される構成である。
【0049】
フレームに接続されたユニット受部110およびチェーンホイールに接続されたユニット接続部120は、上記のように形成された一対の接合孔を介して、ボルトによって螺設される。これにより、ボルトが緩められた状態で、ユニット本体130を長孔に沿って前後にスライドさせ、任意の位置でボルトを締めることによってユニット本体130を固定することにより、スライド調整が可能となる。さらに、ユニット接続部120の先端部に螺子162を回転自在に螺設する構成である。螺子162を回転させて進入させると、螺子162の先端部がユニット受部140と当接し押圧する。
これにより、ユニット本体110をスライド移動させることが可能となり、自転車本体10に対するユニット本体110の前後位置を、回転移動する螺子162の押圧によって微調整することが可能となる。
【0050】
<第3実施形態>
図12から
図15を参照して、本発明の第3実施形態に係る練習用自転車501について説明する。
図12は、本実施形態に係る練習用自転車の側面斜視図である。
図13は、本実施形態に係る練習用自転車のシートステーの一部を外した側面斜視図である。
図14は、本実施形態に係る練習用自転車のシートステーの接続部を示す拡大図である。
図15は、本実施形態に係る練習用自転車のシートステーの一部を外したシートステーの接続部を示す拡大図である。
【0051】
練習用自転車501が第1実施形態に係る練習用自転車1と相違する点は、シートステー自体を練習用自転車501から着脱するのではなく、シートステーから取り外し可能な取外部を有し、その取外部がシートステーから着脱可能な点である。練習用自転車501のその他の構成は、第1実施形態に係る練習用自転車1と同一である。
【0052】
図12から
図15に示すように、シートステー550は、チェーンステー130の後輪300側とシートチューブ120の上部との間に配置されている。シートステー550は、一端がチェーンステー130の後輪300側と着脱自在に接続され、他端がシートチューブ120の上部と一体形成または溶接等により接続されている。シートステー550は、チェーンステー130の後輪300側とシートチューブ120の上部との間の一部に、シートステー550から取り外し可能な取外部551を有する。
【0053】
図14に示すように、取外部551は、上方視が後輪300側に向かって凸形状に形成されている。また、
図15に示すように、シートステー550の取外部551と接触する面には、らせん状のねじ切り溝を有するボルト挿入孔553が形成されている。これにより、取外部551の接続にナットが不要となり、部品点数を削減することができる。
【0054】
取外部551は、一例として、2つのボルト552でシートステー550に接続されている。具体的には、取外部551は、その両側の凹んだ部分に形成された孔にそれぞれボルト552を差し込み、差し込まれたボルト552をそれぞれボルト挿入孔553にねじ込んで、シートステー550に接続される。
【0055】
図13および
図15に示すように、取外部551を取り外した部分のシートステー550の間隔が、チェーン500の上下方向の幅よりも広く形成されている。これにより、シートステー550の取外部551を取り外した部分から、チェーン500の一部を切り離さずにチェーン500の着脱を行うことができる。
【0056】
以上のような本実施形態に係る練習用自転車501によれば、第1実施形態に係る練習用自転車1の効果に加えて、シートステー550の一部の取外部551を取り外すだけで、チェーン500の着脱を容易に行うことができる。
【0057】
また、練習用自転車501によれば、シートステー550がシートチューブ120の上部と一体形成または溶接等により接続されてボルト等による接続部がないため、サドルの高さを調整する場合の上下移動の機能を妨げることがない。
【符号の説明】
【0058】
1、501 練習用自転車
100 自転車フレーム
110 受部
120 シートチューブ
130 チェーンステー
132 分岐部
134 長孔(チェーンステー)
136 固定用部材(ナット)
140 ダウンチューブ
150、350、550 シートステー
152 長孔(シートステー)
160 ヘッドチューブ
170 トップチューブ
200 ペダルユニット
210 チェーンホイール
220 ペダルクランク
230 接続部
240 ペダル
250 チェーンカバー
252 貫通孔
300 後輪
302 車軸(後輪)
310 リアスプロケット
351 チェーンホイール
400 ハンドル部
410 ハンドル
420 前輪
430 フロントフォーク
500 チェーン
551 取外部
552 ボルト
553 ボルト挿入孔