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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039566
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】半導体駆動回路及び電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20240314BHJP
   H02M 1/08 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
H02M3/28 C
H02M1/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144218
(22)【出願日】2022-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082876
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 一幸
(74)【代理人】
【氏名又は名称】柿本 恭成
(74)【代理人】
【識別番号】100178906
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 充和
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健一
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 俊之
【テーマコード(参考)】
5H730
5H740
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AS02
5H730BB26
5H730BB57
5H730BB61
5H730DD03
5H730DD04
5H730DD12
5H730DD17
5H730EE04
5H730EE07
5H730EE59
5H730FD41
5H730FF17
5H730FG05
5H740BA12
5H740BA15
5H740BB01
5H740BB08
5H740BB10
5H740BC01
5H740BC02
5H740JA01
5H740JB01
5H740KK03
(57)【要約】
【課題】ノイズ等によりスイッチング素子が誤点弧する恐れが低い場合に、そのスイッチング素子のソースからドレインへの逆電流導通時の逆導通電圧降下を減少させ、逆導通損失を低減する。
【解決手段】電力変換装置は、半導体駆動回路を有している。半導体駆動回路は、ノーマリオン型スイッチング素子32a、常時オン状態のスイッチ32b、ノーマリオン型スイッチング素子33a、及び常時オン状態のスイッチ33bの直列回路と、スイッチング素子32a及びスイッチ32bを駆動する駆動回路34と、スイッチング素子33a及びスイッチ33bを駆動する駆動回路35と、を備えている。各駆動回路34,35は、スイッチング素子32a,33aの誤点弧が発生し易くなる情報を基に、スイッチング素子32a,33aをオフ状態にするための負バイアスのバイアス量を変化させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノーマリオン型の第1スイッチング素子、ノーマリオフ型の第1スイッチ、ノーマリオン型の第2スイッチング素子、及びノーマリオフ型の第2スイッチを有し、前記第1スイッチング素子、前記第1スイッチ、前記第2スイッチング素子、及び前記第2スイッチが、正電源側と負電源側との間に直列に接続されたアームと、
前記第1スイッチング素子を、動作時にオン/オフ駆動し、前記第1スイッチを、動作時にオン状態、電源停止時にオフ状態にする第1駆動回路と、
前記第2スイッチング素子を、動作時に、前記第1スイッチング素子に対しデッドタイムをおいて相補的にオン/オフ駆動し、前記第2スイッチを、動作時にオン状態、電源停止時にオフ状態にする第2駆動回路と、
を備える半導体駆動回路において、
前記第1駆動回路及び前記第2駆動回路は、
前記第1スイッチング素子又は前記第2スイッチング素子の誤点弧が発生し易くなる情報を基に、前記第1スイッチング素子又は前記第2スイッチング素子をオフ状態にするための負バイアスのバイアス量を変化させる、
ことを特徴とする半導体駆動回路。
【請求項2】
前記第1スイッチング素子又は前記第2スイッチング素子の前記誤点弧が発生し易くなる情報は、
負荷の状態が軽負荷の情報である、
ことを特徴とする請求項1記載の半導体駆動回路。
【請求項3】
前記負荷の状態が前記軽負荷か否かは、
前記負荷に流れる負荷電流を検出し、この検出結果が閾値電流を超えなければ前記軽負荷と判定する、
ことを特徴とする請求項2記載の半導体駆動回路。
【請求項4】
前記負荷の状態が前記軽負荷か否かは、
前記第1スイッチング素子又は前記第2スイッチング素子に流れるスイッチング電流を検出し、この検出結果が閾値電流を超えなければ前記軽負荷と判定する、
ことを特徴とする請求項2記載の半導体駆動回路。
【請求項5】
前記負荷の状態が重負荷の時には、前記第1スイッチング素子又は前記第2スイッチング素子をオフ状態にするための前記負バイアスのバイアス量を減少させる、
ことを特徴とする請求項2~4のいずれか1項記載の半導体駆動回路。
【請求項6】
前記負荷の状態が前記軽負荷の時には、前記第1スイッチング素子又は前記第2スイッチング素子をオフ状態にするための前記負バイアスのバイアス量を増加させる、
ことを特徴とする請求項2~4のいずれか1項記載の半導体駆動回路。
【請求項7】
前記負バイアスのバイアス量は、リニアに変化させる、
ことを特徴とする請求項5又は6記載の半導体駆動回路。
【請求項8】
前記アームは、
並列接続された複数のアームを有し、
前記各アームは、
前記第1駆動回路及び前記第2駆動回路によりオン/オフ駆動される前記第1スイッチング素子、前記第1スイッチ、前記第2スイッチング素子、及び前記第2スイッチを有する、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項記載の半導体駆動回路。
【請求項9】
前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子は、
化合物半導体を用いた素子である、
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項記載の半導体駆動回路。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項記載の半導体駆動回路を用いた、
ことを特徴とする電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング素子を駆動する半導体駆動回路と、その半導体駆動回路を用いた電力変換装置と、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力変換装置は、交流(AC)から直流(DC)、直流から交流、或いは交流の周波数変換、直流の電力変換等、電気エネルギーを変換する装置であり、例えば、AC/DCコンバータ、DC/ACインバータ、DC/DCコンバータ、LLC形DC/DCコンバータ(以下「LLC回路」という。)、位相シフトをするフルブリッジ回路(以下「位相シフト回路」という。)等の種々の装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1~4において、特許文献1には、ゲートが無電圧の時にオン状態となるノーマリオン型のスイッチング素子(スイッチングの高速性や耐電圧に優れ、オン抵抗が低いGaNトランジスタやSiCトランジスタ)を有するインバータにおけるスイッチング素子の駆動方式が記載されている。
特許文献2には、電力変換装置(例えば、位相シフト回路)について記載されている。位相シフト回路を構成するスイッチング素子として、化合物半導体を用いたノーマリオフ型のGaNトランジスタ、SiCトランジスタの例が記載されている。特に、GaNトランジスタは、Siトランジスタよりも電気的、物理的特性に優れ、大電力、小型、低損失のパワー半導体素子として注目されている。
【0004】
特許文献3には、ノーマリオン型の第1スイッチング素子を有するハイサイド(高レベル側)のスイッチ部と、カスコード(縦続)接続されたノーマリオン型の第2スイッチング素子及びノーマリオフ型の第3スイッチング素子を有するローサイド(低レベル側)のスイッチ部と、が直列接続されたインバータ回路を備えたスイッチング電源装置が記載されている。
又、特許文献4には、半導体スイッチング素子の駆動回路を備え、交流系統及び直流系統の間を連系して、交流系統と直流系統の間における電力潮流の制御を行う電力変換装置が記載されている。半導体スイッチング素子としては、ゲート電圧が閾値電圧よりも高い時にオン、低い時にオフする電界効果トランジスタ(以下「FET」という。)や、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)等が開示されている。
【0005】
図3(a),(b),(c)は、特許文献2に記載された位相シフト回路と類似の回路構成である従来の単相のハーフブリッジ形LLC回路を示す図である。この図3(a)~(c)において、(a)はLLC回路の全体の回路図、(b)は(a)中の駆動回路の回路図、及び、(c)は(b)の出力電圧波形図である。
【0006】
図3(a)の単相のハーフブリッジ形LLC回路は、直流電源1の正極(正電源側)と負極(負電源側)との間に直列に接続された第1及び第2スイッチング素子2,3からなるアームと、そのスイッチング素子2,3をオン/オフ駆動する2つの駆動回路4,5と、を有する矩形波発生用の半導体駆動回路を備えている。スイッチング素子2,3は、例えば、ノーマリオフ型のGaNトランジスタで構成され、それらのゲート(G)が駆動回路4,5にて、同時にオフ状態になるデッドタイムtdをおいて相補的にオン/オフ駆動される。ノーマリオフ型のGaNトランジスタは、ゲートが低レベル(以下「Lレベル」という。)の例えば0V以下でドレイン(D)及びソース(S)間がオフ状態、高レベル(以下「Hレベル」という。)でドレイン・ソース間がオン状態になる。スイッチング素子2,3の出力側には、共振コンデンサ6、変圧器7の漏れインダクタンス7a、及び励磁インダクタンス7bからなる直列共振回路が接続されている。変圧器7の出力側には、4つのダイオード8a,8b,8c,8dからなる全波整流回路8が接続され、更に、その出力側に、平滑用の出力コンデンサ9が接続され、負荷10に対して直流電力を供給するようになっている。
【0007】
図3(b)の駆動回路4及び5は、同一の回路構成であり、直流電源21、抵抗22、ツェナーダイオード23、及びコンデンサ24を有するツェナー回路と、パルス信号源25と、により構成されている。ツェナー回路は、0Vよりも高いツェナー電圧Vzを生成し、スイッチング素子2,3のソース(S)に供給する。パルス信号源25は、例えば、目標電圧と出力電圧との電圧誤差を零にするような周波数信号を入力し、その周波数信号を、搬送波によりパルス幅変調(以下「PWM」という。)して0Vよりも高い波高値Vhの駆動パルスGPを生成し、スイッチング素子2,3のゲート(G)に供給する。図3(c)に示すように、駆動回路4,5の出力電圧波形において、ツェナー電圧Vz分がスイッチング素子2,3のオフ時の負バイアス量に相当する。このような駆動回路4,5の出力電圧により、スイッチング素子2,3を、一定のデッドタイムtdをおいて相補的にオン/オフさせている。
【0008】
図4は、図3(a)のLLC回路の動作波形図である。Icは共振コンデンサ6を流れる共振電流、Vgs1はGaNトランジスタで構成されたスイッチング素子2のゲート・ソース間電圧、Vgs2はGaNトランジスタで構成されたスイッチング素子3のゲート・ソース間電圧、Id1はスイッチング素子2のドレイン電流、及び、Vds1はスイッチング素子2のドレイン・ソース間電圧である。
【0009】
図3のLLC回路は、図4に示す期間(1)~(4)において、以下のように動作する。
期間(1):スイッチング素子2がオン、スイッチング素子3がオフの場合
スイッチング素子2がオンしており、直流電源1の正極→スイッチング素子2→共振コンデンサ6→漏れインダクタンス7a→励磁インダクタンス7b及び変圧器7の1次巻線→直流電源1の負極の経路で、スイッチング素子2に正方向のドレイン電流Id1が流れると共に、共振コンデンサ6に正方向の共振電流Icが流れる。
期間(2):スイッチング素子2がオフ、スイッチング素子3の還流動作の場合
スイッチング素子2がオフすると、共振コンデンサ6→漏れインダクタンス7a→励磁インダクタンス7b→スイッチング素子3→共振コンデンサ6の経路で、共振電流Icが流れる。共振電流Icがスイッチング素子3のソースからドレインに流れ、ドレイン・ソース間の寄生容量が放電された後に、Hレベルに立ち上げたゲート・ソース間電圧Vgs2によりスイッチング素子3をオンさせる。
【0010】
期間(3):スイッチング素子2がオフ、スイッチング素子3がオンの場合
共振電流IcがLC共振により正から負方向に変わると、スイッチング素子3→励磁インダクタンス7b及び変圧器7の1次巻線→漏れインダクタンス7a→共振コンデンサ6→スイッチング素子3の経路で、そのスイッチング素子3に正方向のドレイン電流が流れる。
期間(4):スイッチング素子2の還流動作、スイッチング素子3がオフの場合
スイッチング素子3のドレイン電流が正方向の状態で、Lレベルに立ち下げたゲート・ソース間電圧Vgs2によりスイッチング素子3をオフさせると、直流電源1の負極→励磁インダクタンス7b→漏れインダクタンス7a→共振コンデンサ6→スイッチング素子2→直流電源1の正極の経路で、そのスイッチング素子2のドレイン電流Id1が逆方向に流れる。そのため、スイッチング素子2のドレイン・ソース間電圧Vds1に、逆導通電圧降下ΔVが生じる。スイッチング素子2を通して電流が流れている期間の経過後に、スイッチング素子2をオンさせる。
【0011】
以上の動作において、期間(2)では、最初にスイッチング素子3のソースからドレインに電流が流れてドレイン・ソース間の寄生容量の電荷が放電され、その期間(2)の経過後、スイッチング素子3のドレイン・ソース間電圧が略0Vになった状態で、スイッチング素子3をオンにするゼロボルトスイッチング(以下「ZVS」という。)動作を行っている。期間(4)の経過後でも、同様のZVS動作を行っている。
スイッチング素子2,3を構成するGaNトランスジスタは、高速スイッチングが可能な素子として利用されているが、ゲート閾値が低く、ノイズ等により誤点弧する恐れがある。誤点弧の具体例としては、ZVS動作ではないハードスイッチングによるスイッチドレイン電圧の急激な変化により、GaNトランジスタ内のドレイン・ゲート間寄生容量を介してゲート電圧が持ち上がり、これがゲート閾値を超えると誤点弧となる。この対策として、スイッチオフ時のゲート電圧を負バイアスすると、誤点弧を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004-242475号公報
【特許文献2】国際公開第2012/153676号公報
【特許文献3】特開2018-088754公報
【特許文献4】国際公開第2020/017506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図3(a)のスイッチング素子2,3を構成するGaNトランジスタは、ソースからドレインに電流が流れる(逆導通する)場合、もともとのソース・ドレイン間の電圧降下に更にゲートの負バイアス分が加算されてしまう特性がある。そのため、LLC回路や位相シフト回路のように、デッドタイムtd期間中にスイッチング素子2,3のソースからドレインに電流が流れる(逆導通する)場合では、図4のドレイン・ソース間電圧Vds1の逆導通電圧降下ΔVに示すように、導通損失が増加してしまう弊害がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の半導体駆動回路は、ノーマリオン型の第1スイッチング素子、ノーマリオフ型の第1スイッチ、ノーマリオン型の第2スイッチング素子、及びノーマリオフ型の第2スイッチを有し、前記第1スイッチング素子、前記第1スイッチ、前記第2スイッチング素子、及び前記第2スイッチが、正電源側と負電源側との間に直列に接続されたアームと、前記第1スイッチング素子を、動作時にオン/オフ駆動し、前記第1スイッチを、動作時にオン状態、電源停止時にオフ状態にする第1駆動回路と、前記第2スイッチング素子を、動作時に、前記第1スイッチング素子に対しデッドタイムをおいて相補的にオン/オフ駆動し、前記第2スイッチを、動作時にオン状態、電源停止時にオフ状態にする第2駆動回路と、を備えている。そして、前記第1駆動回路及び前記第2駆動回路は、前記第1スイッチング素子又は前記第2スイッチング素子の誤点弧が発生し易くなる情報を基に、前記第1スイッチング素子又は前記第2スイッチング素子をオフ状態にするための負バイアスのバイアス量を変化させる、ことを特徴としている。
【0015】
上記構成において、例えば、前記第1スイッチング素子又は前記第2スイッチング素子の前記誤点弧が発生し易くなる情報は、負荷の状態が軽負荷の情報である。
前記負荷の状態が前記軽負荷か否かは、前記負荷に流れる負荷電流を検出し、この検出結果が閾値電流を超えなければ前記軽負荷と判定する、構成にしても良い。
前記負荷の状態が前記軽負荷か否かは、前記第1スイッチング素子又は前記第2スイッチング素子に流れるスイッチング電流を検出し、この検出結果が閾値電流を超えなければ前記軽負荷と判定する、構成にしても良い。
前記負荷の状態が重負荷の時には、前記第1スイッチング素子又は前記第2スイッチング素子をオフ状態にするための前記負バイアスのバイアス量を減少させる、構成にしても良い。
【0016】
前記負荷の状態が前記軽負荷の時には、前記第1スイッチング素子又は前記第2スイッチング素子をオフ状態にするための前記負バイアスのバイアス量を増加させる、構成にしても良い。
前記負バイアスのバイアス量は、リニアに変化させる、構成にしても良い。
前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子は、GaNトランジスタ等の化合物半導体を用いた素子である。
又、前記アームは、並列接続された複数のアームを有し、前記各アームは、前記第1駆動回路及び前記第2駆動回路によりオン/オフ駆動される前記第1スイッチング素子、前記第1スイッチ、前記第2スイッチング素子、及び前記第2スイッチを有する、構成であっても良い。
【0017】
更に、本発明の電力変換装置は、前記半導体駆動回路を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、LLC回路や位相シフト回路等の従来の電力変換装置において、軽負荷時にZVSが困難となり、ハードスイッチングによるノイズ発生により、ゲートの誤点弧が発生し易く、逆に重負荷時はZVSによりノイズが発生しにくい点に着目し、第1スイッチング素子又は第2スイッチング素子の誤点弧が発生し易くなる情報(例えば、負荷の状態が軽負荷の情報)を基に、第1スイッチング素子又は第2スイッチング素子をオフ状態にするための負バイアスのバイアス量を変化させている。
このように、ノイズ等により誤点弧する恐れが低い場合に、第1又は第2スイッチング素子のオフ時の負バイアス量を変化させることで、LLC回路や位相シフト回路等のデッドタイム期間中に生じるような、ソースからドレインへの逆電流導通時の電圧降下を減少させ、逆導通損失を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施例1における電力変換装置(例えば、ハーフブリッジ形LLC回路)を示す図
図2図1(a)のLLC回路の動作波形図
図3】従来のハーフブリッジ形LLC回路を示す図
図4図3(a)のLLC回路の動作波形図
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例0021】
(実施例1の構成)
図1(a),(b)は、本発明の実施例1における電力変換装置(例えば、単相のハーフブリッジ形LLC回路)を示す図であり、同図(a)は全体の回路図、及び同図(b)は(a)中の駆動回路の回路図である。
図1(a)の単相のハーフブリッジ形LLC回路は、従来の図3(a)に示す単相のハーフブリッジ形LLC回路と同様に、直流電源31の正極(正電源側)と負極(負電源側)との間に直列に接続された第1スイッチ回路32及び第2スイッチ回路33からなるアームと、その第1スイッチ回路32をオン/オフ駆動する第1駆動回路34と、その第2スイッチ回路33をオン/オフ駆動する第2駆動回路35と、を有する矩形波発生用の半導体駆動回路を備えている。
【0022】
第1スイッチ回路32は、直列に接続されたノーマリオン型の第1スイッチング素子32a及びノーマリオフ型の第1スイッチ32bと、その第1スイッチ32bをオン状態にするための電圧を印加する2つの直列接続された分圧抵抗32c,32dと、を有している。第1スイッチング素子32aは、化合物半導体を用いた素子(例えば、ノーマリオン型のGaNトランジスタ)で構成され、そのゲート(G)が第1駆動回路34によりオン/オフ駆動される。ノーマリオン型のGaNトランジスタは、ゲートがHレベル(例えば、0V付近の負電圧)でドレイン(D)及びソース(S)間がオン状態、Hレベルよりも低いLレベル(例えば、0V付近よりも低い負電圧)でドレイン・ソース間がオフ状態になる。第1スイッチ32bは、ノーマリオフ型のFET等の半導体素子で構成され、そのゲート(G)がHレベル(例えば、数ボルトの正電圧)でドレイン(D)・ソース(S)間がオン状態、Hレベルよりも低いLレベル(例えば、0V付近)でドレイン・ソース間がオフ状態になる。第1駆動回路34は、第1スイッチング素子32aを、動作時にオン/オフ駆動し、第1スイッチ32bを、動作時にオン状態、電源停止時にオフ状態にする回路である。
【0023】
第2スイッチ回路33は、第1スイッチ回路32と同様に、直列に接続されたノーマリオン型の第2スイッチング素子33a及びノーマリオフ型の第2スイッチ33bと、その第2スイッチ33bをオン状態にするための電圧を印加する2つの直列接続された分圧抵抗33c,33dと、を有している。第2スイッチング素子33aは、化合物半導体を用いた素子(例えば、ノーマリオン型のGaNトランジスタ)で構成され、第2スイッチ33bは、ノーマリオフ型のFET等の半導体素子で構成されている。第2駆動回路35は、第2スイッチング素子33aを、動作時に、第1スイッチング素子32aに対しデッドタイムtdをおいて相補的にオン/オフ駆動し、第2スイッチ33bを、動作時にオン状態、電源停止時にオフ状態にする回路である。
【0024】
第1スイッチ回路32及び第2スイッチ回路33の接続点と、直流電源31の負極と、の間には、共振コンデンサ36、変圧器37の漏れインダクタンス37a、及び励磁インダクタンス37bからなる直列共振回路が接続されている。なお、漏れインダクタンス37aに代えて、共振インダクタを設けても良い。共振コンデンサ36には、交流の共振電流Icが流れる。
変圧器37は、1次巻線及び2次巻線を有している。その変圧器37の2次巻線には、4つのダイオード38a,38b,38c,38dからなる全波整流回路38が接続され、更に、その出力側に、平滑用の出力コンデンサ39が接続され、負荷40に対して直流の負荷電流Irを供給するようになっている。
【0025】
負荷40に対して直列に、シャント抵抗の電流検出回路41が接続されている。電流検出回路41は、負荷40に流れる負荷電流Irを検出する回路である。なお、電流検出回路41は、他の回路構成として、ロゴスキーコイル及び積分器等により構成しても良い。ロゴスキーコイルを使用した場合、接続線に非接触で電流の検出ができ、磁気損失による発熱やヒステリシスがなく、磁気飽和しないため、大電流の測定が可能である。
電流検出回路41の出力側には、比較器42が接続されている。比較器42は、検出された負荷電流Irと閾値電流Ithとの大小を比較し、負荷電流Irが閾値電流Ithを超えると、負荷40を「重負荷」であると判定して負荷判定信号S42を出力する回路であり、その出力側に、2つの絶縁回路43,44が接続されている。各絶縁回路43,44は、負荷判定信号S42を絶縁して各制御信号S43,S44の形で第1、第2駆動回路34,35へそれぞれ帰還する回路であり、パルス変圧器、絶縁増幅器、ハイサイドドライバ等により構成されている。
【0026】
図1(b)の駆動回路34及び35は、同一の回路構成であり、直流電源51、抵抗52、ツェナー電圧Vz1を有するツェナーダイオード53、ツェナー電圧Vz2(但し、Vz2=Vz1又はVz2≠Vz1)を有するツェナーダイオード54、制御信号S43(S44)によりオンするノーマリオフ型のスイッチ55、NPN型トランジスタ56、コンデンサ57、及びそのコンデンサ57の放電抵抗58を有する降圧回路であるドロッパ回路と、トランジスタ56のエミッタ(E)に接続された直流電源59と、ノーマリオフ型のスイッチ60と、パルス信号源61と、により構成されている。
【0027】
ドロッパ回路において、直流電源51には、抵抗52及びツェナーダイオード53,54の直列回路と、トランジスタ56のコレクタ(C)・エミッタ(E)及びコンデンサ57の直列回路と、が並列に接続されている。ツェナーダイオード54には、短絡用のスイッチ55が並列に接続されている。トランジスタ56のエミッタと直流電源51の負極との間に接続されたコンデンサ57には、抵抗58が並列に接続されている。トランジスタ56のエミッタとコンデンサ57及び抵抗58との接続点は、スイッチ32b(33b)のソース(S)に接続されている。更に、トランジスタ56のエミッタとコンデンサ57及び抵抗58との接続点には、直流電源59の負極・正極及びスイッチ60が直列に接続され、そのスイッチ60が、図1(a)の分圧抵抗32c(33c)を介してスイッチ32b(33b)のゲート(G)に接続されている。抵抗58の負極側には、パルス信号源61を介して、スイッチング素子32a(33a)のゲート(G)が接続されている。パルス信号源61は、例えば、目標電圧と出力電圧との電圧誤差を零にするような周波数信号を入力し、その周波数信号を、三角波等の搬送波によりPWMして0Vよりも高い波高値Vhの駆動パルスGPを生成し、スイッチング素子32a(33a)のゲートに供給する機能を有している。
【0028】
このように構成される駆動回路34(35)において、動作時にスイッチ60がオンし、直流電源59により、分圧抵抗32c(33c)を介してスイッチ32b(33b)のゲートがHレベルになり、そのスイッチ32b(33b)がオン状態になる。絶縁回路43(44)から制御信号S43(S44)が出力されていないオフ時には、スイッチ55がオフ状態になっている。トランジスタ56のベースには、ツェナーダイオード53のツェナー電圧Vz1とツェナーダイオード54のツェナー電圧Vz2とが掛かり、そのトランジスタ56のエミッタに、ドロッパ回路の直流の出力電圧(Vz1+Vz2-Vbe)が生じる(但し、Vbe;トランジスタ56のベース・エミッタ間電圧)。
絶縁回路43(44)から制御信号S43(S44)が出力されるオン時には、スイッチ55がオン状態になり、ツェナーダイオード54が短絡されて、ツェナーダイオード53のツェナー電圧Vz1が、トランジスタ56のベースに掛かり、このトランジスタ56がオフする。トランジスタ56のエミッタ側の出力電圧(Vz1+Vz2-Vbe)は、コンデンサ57と抵抗58の放電時定数で放電した後、そのエミッタ側の出力電圧が(Vz1-Vbe)に変化し、スイッチング素子32a(33a)のオフ時のゲートの負バイアス(Vz1+Vz2-Vbe)量が減少する構成になっている。
【0029】
(実施例1の動作)
図2は、図1(a)のLLC回路の動作波形図である。図2において、Irは負荷電流、Vgs1はGaNトランジスタで構成された第1スイッチング素子32aのゲート・ソース間電圧、Vgs2はGaNトランジスタで構成された第2スイッチング素子33aのゲート・ソース間電圧、Id1は第1スイッチング素子32aのドレイン電流、及び、Vds1は第1スイッチング素子32aのドレイン・ソース間電圧である。
【0030】
図1のLLC回路は、図2に示す期間(1)~(4)において、以下のように動作する。
期間(1):スイッチング素子32aがオン、スイッチング素子33aがオフ、負荷電流Irが閾値電流Ithよりも小さい軽負荷の場合
駆動回路34,35が動作すると、この駆動回路34,35内のスイッチ60がオン状態になり、直流電源59により、そのスイッチ60及び分圧抵抗32c,33cを介してスイッチ32b,33bがオン状態になる。
負荷電流Irが閾値電流Ithよりも小さい軽負荷の場合、電流検出回路41及び比較器42を介して、絶縁回路43(44)から制御信号S43(S44)が出力されないので、駆動回路34(35)内のスイッチ55がオフ状態である。そのため、駆動回路34(35)内のドロッパ回路の出力電圧が(Vz1+Vz2-Vbe)となる。
スイッチング素子32aのゲート・ソース間電圧Vgs1は、0Vよりも高いHレベルであるので、そのスイッチング素子32aがオンしている。スイッチング素子33aのゲート・ソース間電圧Vgs2は、0Vよりも低いLレベルであるので、そのスイッチング素子33aがオフしている。そのため、直流電源31の正極→オン状態のスイッチング素子32a→オン状態のスイッチ32b→共振コンデンサ36→漏れインダクタンス37a→励磁インダクタンス37b及び変圧器37の1次巻線→直流電源31の負極の経路で、スイッチング素子32aに正方向のドレイン電流Id1が流れると共に、共振コンデンサ36に正方向の共振電流Icが流れる。そのため、スイッチング素子32aのドレイン・ソース間電圧Vds1は、略0V(正確には、Id1×Ron、但し、Ron;スイッチング素子32aのオン抵抗)となる。変圧器37の1次巻線に電流が流れると、その変圧器37の2次巻線に誘導電流が流れ、その誘導電流が、全波整流回路38で全波整流されて出力コンデンサ39で平滑される。平滑された直流の負荷電流Irは、負荷40へ供給される。負荷40が軽負荷であるので、共振電流Ic、及びスイッチング素子32aに流れるドレイン電流Id1は、振幅が小さい。
【0031】
期間(2):スイッチング素子32aがオフ、スイッチング素子33aの還流動作、負荷電流Irが閾値電流Ithよりも小さい軽負荷の場合
負荷電流Irが閾値電流Ithよりも小さい軽負荷の場合、駆動回路34(35)内のスイッチ55がオフしている。そのため、駆動回路34(35)内のドロッパ回路の出力電圧(Vz1+Vz2-Vbe)が、スイッチング素子32a(33a)のソースに供給され、Lレベルの電圧-(Vz1+Vz2-Vbe)が、スイッチング素子32a(33a)のゲートに供給される。
スイッチング素子32aのゲート・ソース間電圧Vgs1が0Vよりも低いLレベルになるので、そのスイッチング素子32aがオフする。スイッチング素子33aのゲート・ソース間電圧Vgs2は、0Vよりも低いLレベルのままであるので、オフしている。スイッチング素子32aがオフすると、共振コンデンサ36→漏れインダクタンス37a→励磁インダクタンス37b→オン状態のスイッチ33b→スイッチング素子33a→共振コンデンサ36の経路で、共振電流Icが流れる。共振電流Icがスイッチング素子33aのソースからドレインに流れるが、軽負荷で電流値が小さいため、ドレイン・ソース間の寄生容量が十分放電されない状態で、Hレベルに立ち上げたゲート・ソース間電圧Vgs2により、スイッチング素子33aがオンする。この時、スイッチング素子33aのドレイン・ソース間電圧Vgs2が急激に0V以上のHレベルに立ち上がるため、直流電源31に直列に接続されているスイッチング素子32aのドレイン・ソース間電圧Vds1も同時に急激に直流電源31の電圧まで上昇する。すると、スイッチング素子32aのドレイン・ゲート間寄生容量を介して、そのスイッチング素子32aのゲート・ソース間電圧Vgs1に、正方向のスパイク状のノイズNSが発生する。しかし、スイッチング素子32aのゲート・ソース間電圧Vgs1は(Vz1+Vz2-Vbe)と大きく負バイアスされているため、ゲート閾値を超え誤点弧することは無い。
【0032】
期間(3):スイッチング素子32aがオフ、スイッチング素子33aがオン、負荷電流Irが閾値電流Ithよりも小さい軽負荷から閾値電流Ithよりも大きい重負荷へ変化する場合
共振電流IcがLC共振により正から負方向に変わると、スイッチング素子33a→オン状態のスイッチ33b→励磁インダクタンス37b及び変圧器37の1次巻線→漏れインダクタンス37a→共振コンデンサ36→スイッチング素子33a→オン状態のスイッチ33bの経路で、そのスイッチング素子33aに正方向のドレイン電流が流れる。負荷電流Irが重負荷に変化すると、これが電流検出回路41及び比較器42で検出及び判定され、絶縁回路43(44)から制御信号S43(S44)が出力される。すると、駆動回路34内のスイッチ55がオンし、ツェナーダイオード54が短絡されて、トランジスタ56のベースにツェナー電圧Vz1が印加され、そのトランジスタ56がオフする。そのため、スイッチング素子32aのゲートの負バイアス(Vz1+Vz2-Vbe)量が(Vz1-Vbe)へ減少していく。
【0033】
期間(4):スイッチング素子32aの還流動作、スイッチング素子33aがオフ、負荷電流Irが重負荷の場合
スイッチング素子33aのドレイン電流が正方向の状態で、0V以下のLレベルに立ち下げたゲート・ソース間電圧Vgs2によりスイッチング素子33aをオフさせると、直流電源31の負極→励磁インダクタンス37b→漏れインダクタンス37a→共振コンデンサ36→オン状態のスイッチ32b→スイッチング素子32a→直流電源31の正極の経路で、スイッチング素子32aのドレイン電流Id1が逆方向に流れる。重負荷で電流値が大きいため、スイッチング素子32aのドレイン・ソース間の寄生容量が十分放電されるので、スイッチング素子32aのドレイン・ソース間電圧Vds1に、逆導通電圧降下ΔVが生じる。しかし、スイッチング素子32aのゲート・ソース間電圧Vgs1が上昇して0V付近の負電圧になっているので、スイッチング素子32aのドレイン・ソース間電圧Vds1に生じる逆導通電圧降下ΔVが、従来よりも減少する。そして、スイッチング素子32aを通して電流が流れている期間の経過後に、スイッチング素子32aをオンさせる。この時、スイッチング素子32aのドレイン・ソース間電圧Vds1は略0Vになっているため、スイッチング素子33aのドレイン・ソース間電圧の急激な変化が生じず、そのスイッチング素子33aのゲート・ソース間電圧Vgs2に、正方向のスパイク状のノイズNSが発生するのが抑制される。
【0034】
以降の期間では、スイッチング素子32aのゲート・ソース間電圧Vgs1は、0Vよりも高いHレベルと、0Vよりも低いLレベルの間で遷移し、同様に、スイッチング素子33aのゲート・ソース間電圧Vgs2も、0Vよりも低いLレベルと、0Vよりも高いHレベルとの間で遷移し、重負荷でのDC/DC変換動作を行う。
【0035】
(実施例1の効果)
本実施例1によれば、LLC回路等の従来の電力変換装置において、軽負荷時にZVSが困難となり、ハードスイッチングによるノイズ発生により、ゲートの誤点弧が発生し易く、逆に重負荷時はZVSによりノイズが発生しにくい点に着目し、スイッチング素子32a又は33aの誤点弧が発生し易くなる情報(例えば、負荷40の状態が軽負荷か否かの情報)を基に、スイッチング素子32a又は33aをオフ状態にするための負バイアス(Vz1+Vz2-Vbe)のバイアス量を変化させている。このように、ノイズ等により誤点弧する恐れが低い場合に、スイッチング素子32a又は33aのオフ時の負バイアス量を変化(例えば、減少)させることで、LLC回路のデッドタイムtd期間中に生じるような、ソースからドレインへの逆導通電圧降下ΔVを減少させ、逆導通損失を低減することができる。
【0036】
(実施例1の変形例)
本発明は、上記実施例1に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)~(h)のようなものがある。
(a) 本発明は、スイッチング素子32a,33aとして、GaNトランジスタ以外のSiトランジスタ等にも適用が可能である。
(b) 実施例1において、例えば、負荷40の状態が軽負荷の時には、第1スイッチング素子32a又は第2スイッチング素子33aをオフ状態にするための負バイアスのバイアス量を増加させるような構成に変形しても良い。このように変形しても、実施例1と略同様の作用効果を奏することができる。
(c) 実施例1の半導体駆動回路において、負荷40の状態が軽負荷か否かは、スイッチング素子32a又は33aに流れるスイッチング電流を検出し、この検出結果が閾値を超えなければ軽負荷と判定する構成に変形しても良い。この場合、スイッチング周波数に対応した速度でスイッチング素子32a又は33aをオフ状態にするための負バイアスのバイアス量を変化させることが可能となり、制御の応答性の面で有利な効果を奏する半導体駆動回路を提供できる。
(d) 実施例1の半導体駆動回路において、ダイオード38a~38dに代えて、FET等の双方向スイッチを用いて全波整流回路38を構成しても良い。又、全波整流回路38に代えて、変圧器37の2次巻線数を増やして半波整流回路に変更しても良い。
【0037】
(e) 実施例1の駆動回路34,35では、負荷40の状態が軽負荷か否かの情報(例えば、負荷電流Ir)を基に、スイッチング素子32a又は33aをオフ状態にするための負バイアスのバイアス量を変化させているが、これに限定されない。負荷40の状態が軽負荷か否かの情報は、負荷電流Ir以外の入力電圧、周波数、負荷電圧、垂下条件等から検出しても良い。
(f) 図1(b)の駆動回路34,35は、他の回路構成に変形しても良い。例えば、抵抗52、ツェナーダイオード53,54、及びスイッチ55に代えて、演算増幅器(以下「オペアンプ」という。)を設ける。そして、そのオペアンプにより、絶縁回路43(44)から出力される制御信号S43(S44)に基づき、ドロッパ回路を構成するトランジスタ56のベース電圧Vicを変化させ、このドロッパ回路の出力電圧(Vic-Vbe)を変化させる。このような構成に変形すれば、スイッチング素子32a,33aのオフ時のゲートの負バイアス(Vic-Vbe)量をリニアに調整できる。これにより、例えば、ノイズ等の大きさに応じて、ゲートが誤点弧しない程度の負バイアス量を調整できる。
(g) 図1(b)の駆動回路34,35は、更に、他の回路構成に変形しても良い。例えば、ツェナーダイオード53,54に代えて、電圧源を設けても良い。又、NPN型トランジスタ56に代えて、FET等の他のトランジスタを使用しても良い。
(h) 本発明は、フルブリッジ形LLC回路、三相等の多相のLLC回路、単相又は多相の位相シフト回路等の他の電力変換装置にも適用が可能である。
【符号の説明】
【0038】
31 直流電源
32,33 スイッチ回路
32a,33a スイッチング素子
32b,33b スイッチ
34,35 駆動回路
36 共振コンデンサ
37 変圧器
37a 漏れインダクタンス
37b 励磁インダクタンス
38 全波整流回路
38a~38d ダイオード
39 出力コンデンサ
40 負荷
41 電流検出回路
42 比較器
43,44 絶縁回路
図1
図2
図3
図4