(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039589
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】梱包構造
(51)【国際特許分類】
B65D 5/50 20060101AFI20240314BHJP
B65D 85/00 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
B65D5/50 101B
B65D85/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071182
(22)【出願日】2023-04-25
(31)【優先権主張番号】P 2022143547
(32)【優先日】2022-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000113791
【氏名又は名称】マブチモーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 邦雄
(72)【発明者】
【氏名】奥山 諒
(72)【発明者】
【氏名】小畑 瑛久
(72)【発明者】
【氏名】河野 洋樹
【テーマコード(参考)】
3E060
3E068
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060BC02
3E060BC04
3E060CC12
3E060CC14
3E060CC17
3E060CC18
3E060CC19
3E060CC34
3E060CC43
3E060CC52
3E060DA25
3E060DA30
3E060EA16
3E068AA40
3E068AB04
3E068BB08
3E068BB11
3E068CC12
3E068CC15
3E068CD01
3E068CE01
3E068CE02
3E068DD03
3E068DD04
3E068DD08
3E068DD11
3E068EE01
3E068EE16
3E068EE37
(57)【要約】
【課題】梱包構造に関し、部品に対する保護性を確保しつつ梱包に係る作業性を高められるようにする。
【解決手段】開示の梱包構造8は、部品4が収容される箱5と、段ボールシートから形成された下層トレイ1及び中層トレイ2とを備える。下層トレイ1は、箱5の内部に設けられる。中層トレイ2は、箱5の内部にて下層トレイ1よりも上方に設けられる。また、下層トレイ1は、部品4が差し込まれて固定される下層開口部11と、下層開口部11の縁に設けられ下方に折り込まれる下層第一タブ13とを有する。中層トレイ2は、部品4が差し込まれて固定される中層開口部21と、中層開口部21の縁に設けられ下方に折り込まれて下層第一タブ13に重なった状態で下層開口部11に係合する中層第一タブ23とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品が収容される箱と、
段ボールシートから形成され、前記箱の内部に設けられる下層トレイと、
段ボールシートから形成され、前記箱の内部にて前記下層トレイよりも上方に設けられる中層トレイとを備え、
前記下層トレイは、前記部品が差し込まれて固定される下層開口部と、前記下層開口部の縁に設けられ下方に折り込まれる下層第一タブとを有し、
前記中層トレイは、前記部品が差し込まれて固定される中層開口部と、前記中層開口部の縁に設けられ下方に折り込まれて前記下層第一タブに重なった状態で前記下層開口部に係合する中層第一タブとを有する
ことを特徴とする、梱包構造。
【請求項2】
前記下層トレイが、当該下層トレイの外周縁を下方に折り込んでなり前記箱の底面に接触する下層脚部を有し、
前記中層トレイが、当該中層トレイの外周縁を下方に折り込んでなり前記下層トレイに接触する中層脚部を有する
ことを特徴とする、請求項1記載の梱包構造。
【請求項3】
前記部品が、突出部を有するモータであって、
前記下層トレイが、下方に向かって折り込まれて前記箱の底面に接触する下層第二タブと、前記下層第二タブの表面に穿孔されて前記突出部が挿入される下層保持孔とを有する
ことを特徴とする、請求項1記載の梱包構造。
【請求項4】
前記部品が、突出部を有するモータであって、
前記下層トレイが、下方に向かって折り込まれて前記底面に接触する下層第二タブと、前記下層第二タブの表面に穿孔されて前記突出部が挿入される下層保持孔とを有する
ことを特徴とする、請求項2記載の梱包構造。
【請求項5】
前記下層第二タブが、下方に向かってクランク状に折り込まれる
ことを特徴とする、請求項3記載の梱包構造。
【請求項6】
前記下層第二タブが、下方に向かってクランク状に折り込まれる
ことを特徴とする、請求項4記載の梱包構造。
【請求項7】
前記部品が、出力軸を有するモータであって、
段ボールシートから形成され、前記箱の内部にて前記中層トレイの上面に敷設される上層トレイをさらに備え、
前記上層トレイが、前記部品が差し込まれて固定される上層開口部と、前記上層開口部の縁に設けられ前記出力軸の先端に当接する上層当接部とを有する
ことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の梱包構造。
【請求項8】
段ボールシートから形成され、前記箱の内部にて前記中層トレイの上面に設けられる上層トレイをさらに備え、
前記上層トレイが、前記部品が差し込まれて固定される上層開口部と、前記上層開口部の縁においてくさび形に形成される上層係止部を有し、
前記中層トレイが、前記中層開口部の縁に設けられ上方に折り込まれて前記上層係止部に係合する中層第二タブを有する
ことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の梱包構造。
【請求項9】
前記上層トレイが、前記上層開口部の縁においてくさび形に形成される上層係止部を有し、
前記中層トレイが、前記中層開口部の縁に設けられ上方に折り込まれて前記上層係止部に係合する中層第二タブを有する
ことを特徴とする、請求項7記載の梱包構造。
【請求項10】
前記上層開口部及び前記中層開口部が、上面視で複数列に並ぶように配置され、
前記上層係止部及び前記中層第二タブが、上面視で前記複数列の間に設けられる
ことを特徴とする、請求項8記載の梱包構造。
【請求項11】
前記上層開口部及び前記中層開口部が、上面視で複数列に並ぶように配置され、
前記上層係止部及び前記中層第二タブが、上面視で前記複数列の間に設けられる
ことを特徴とする、請求項9記載の梱包構造。
【請求項12】
前記中層トレイ及び前記下層トレイの紙巾方向が平行になるように、前記中層トレイと前記下層トレイとが前記箱の内部に敷設されるとともに、
前記上層トレイの紙巾方向が前記中層トレイ及び前記下層トレイの紙巾方向に対して直交するように、前記上層トレイが前記箱の内部に敷設される
ことを特徴とする、請求項7記載の梱包構造。
【請求項13】
前記中層トレイ及び前記下層トレイの紙巾方向が平行になるように、前記中層トレイと前記下層トレイとが前記箱の内部に敷設されるとともに、
前記上層トレイの紙巾方向が前記中層トレイ及び前記下層トレイの紙巾方向に対して直交するように、前記上層トレイが前記箱の内部に敷設される
ことを特徴とする、請求項8記載の梱包構造。
【請求項14】
前記中層トレイ及び前記下層トレイの紙巾方向が平行になるように、前記中層トレイと前記下層トレイとが前記箱の内部に敷設されるとともに、
前記上層トレイの紙巾方向が前記中層トレイ及び前記下層トレイの紙巾方向に対して直交するように、前記上層トレイが前記箱の内部に敷設される
ことを特徴とする、請求項9記載の梱包構造。
【請求項15】
前記中層トレイ及び前記下層トレイの紙巾方向が平行になるように、前記中層トレイと前記下層トレイとが前記箱の内部に敷設されるとともに、
前記上層トレイの紙巾方向が前記中層トレイ及び前記下層トレイの紙巾方向に対して直交するように、前記上層トレイが前記箱の内部に敷設される
ことを特徴とする、請求項10記載の梱包構造。
【請求項16】
前記中層トレイ及び前記下層トレイの紙巾方向が平行になるように、前記中層トレイと前記下層トレイとが前記箱の内部に敷設されるとともに、
前記上層トレイの紙巾方向が前記中層トレイ及び前記下層トレイの紙巾方向に対して直交するように、前記上層トレイが前記箱の内部に敷設される
ことを特徴とする、請求項11記載の梱包構造。
【請求項17】
前記下層トレイが、前記箱の底面を兼ねるように設けられる
ことを特徴とする、請求項1記載の梱包構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品の梱包構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場や製作所で製造された部品を倉庫や場外等へ搬送する際には、部品を収納するための梱包箱が用いられている。一般的な梱包箱の内部には、部品を安定的に保持しつつ搬送時の振動や衝撃から部品を保護するための保護構造が設けられる。保護構造の具体例としては、複数の段ボール板を井桁状に組み合わせた縦仕切り構造や、一枚の段ボールを筒状に折り曲げた角筒構造などが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2913259号公報
【特許文献2】特開2015-187007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の縦仕切り構造では、複数の段ボール板の切り込みを互いに係合させて井桁状に組み合わせなければならず、梱包作業の段取りにかかる労力や時間が増加しやすい。また、従来の角筒構造においても同様であり、筒状に折り曲げた段ボールの一部分をスリット状の隙間に差し込んで貫通させなければならず、作業性を改善する余地がある。一方、縦仕切り構造を構成する段ボール板の枚数を削減し、あるいは、角筒構造における差し込み箇所を削減するなど、作業性を改善するために保護構造を不用意に簡素化してしまうと、部品の保護性が低下するおそれがある。
【0005】
本件の目的の一つは、上記のような課題に照らして創案されたものであり、部品に対する保護性を確保しつつ梱包に係る作業性を高められるようにした梱包構造を提供することである。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用効果であって、従来の技術では得られない作用効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の梱包構造は、部品が収容される箱と、段ボールシートから形成され、前記箱の内部に設けられる下層トレイと、段ボールシートから形成され、前記箱の内部にて前記下層トレイよりも上方に設けられる中層トレイとを備える。前記下層トレイは、前記部品が差し込まれて固定される下層開口部と、前記下層開口部の縁に設けられ下方に折り込まれる下層第一タブとを有する。前記中層トレイは、前記部品が差し込まれて固定される中層開口部と、前記中層開口部の縁に設けられ下方に折り込まれて前記下層第一タブに重なった状態で前記下層開口部に係合する中層第一タブとを有する。
【発明の効果】
【0007】
開示の梱包構造によれば、簡素な構成で下層トレイと中層トレイとを強固に係合させることができ、部品に対する保護性を確保しつつ梱包作業の作業性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例としての梱包構造を説明するための分解斜視図である。
【
図5】一つの部品(モータ)を支えるための構造を拡大して示す分解斜視図である。
【
図6】(A)は部品(モータ)がない状態の梱包構造を説明するための断面図、(B)は部品(モータ)が支えられた状態の梱包構造を説明するための断面図である。
【
図7】部品(モータ)が支えられた状態の梱包構造を説明するための上面図である。
【
図8】変形例としての梱包構造を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
開示の梱包構造は、以下の実施例によって実施されうる。この梱包構造は、部品の梱包構造である。ここでいう部品の種類は不問であり、例えば各種のモータが含まれる。以下の実施例では、部品の具体例が減速機付きのモータ4である場合を想定して説明する。
【実施例0010】
[1.構成]
図1は、実施例としての梱包構造8及びモータ4(梱包構造8に係る部品の一例)とを示す分解斜視図である。モータ4は、例えば、車載電装品,産業用機械,精密機器,事務機器,家電機器,工具,玩具,模型などの駆動源として使用される減速機付きの直流小型モータである。このモータ4は、モータ部41と減速機部45とを備える。
【0011】
モータ部41は、図示しないロータ及びステータをモータハウジング42に内蔵させた構造を持つ。モータ部41の近傍には、ワイヤハーネスを接続するためのコネクタ部43が設けられる。ロータを回転駆動するための電力や制御信号は、ワイヤハーネスを介してモータ部41に入力される。また、モータハウジング42には、突出部44が突設される。突出部44とは、ロータのシャフト端部やベアリング(シャフトをモータハウジング42に対して回動可能に支承するベアリング)が内蔵される部分であって、モータハウジング42の外側に向かって円柱状に突出した部分である。
【0012】
減速機部45は、図示しない減速機構を減速機ケース46に内蔵させた構造を持つ。モータ部41で生成されたロータの回転運動は、減速機構を介して減速された後に、減速機構に接続された出力軸47からモータ4の外部へと出力される。なお、減速機構がウォーム及びヘリカルギヤ(ウォームホイール)の組み合わせで構成される場合には、ヘリカルギヤの回転軸と同軸になるように出力軸47がヘリカルギヤに対して固定される。
【0013】
図1に示す例では、出力軸47が、中空円筒状をなす減速機ケース46の頂面と筒軸とが交わる箇所に穿孔された丸孔の中心を通るように設けられている。そして、出力軸47のまわりを囲むように、減速機ケース46の頂面にパッキン49が取り付けられている。パッキン49は、モータ4とその取付対象との隙間を封止するための部材である。また、中空円筒状の減速機ケース46の筒面には、取付足48が膨設されるとともにカバー部50が突設される。取付足48は、モータ4をその取付対象に固定するための固定具(ボルト,ナット,ビス,リベット,クリップなど)が取り付けられるボス状の部位である。また、カバー部50は、減速機ケース46の蓋部材と容器本体との接合箇所に相当し、減速機ケース46の筒面の一部であるリング状の領域を半径方向外側に突出させたような形状に形成される。
【0014】
図1に示す梱包構造8は、モータ4が収容される中箱5(箱)と、下層トレイ1と、中層トレイ2と、上層トレイ3とを備える。下層トレイ1,中層トレイ2,上層トレイ3は、モータ4が収容された中箱5の搬送時におけるモータ4のガタつきや移動を抑えるとともに、モータ4へ作用しうる外力を緩和するための緩衝部材であり、段ボールシートから形成される。ここでいう段ボールシートには、シート状に形成された紙段ボールやプラスチック段ボールなどが含まれる。また、中箱5は、モータ4を搬送する上で梱包全体の重量や形状安定性が良好となる材料で形成すればよく、例えば段ボールシートから形成してもよいし、他の材料から形成してもよい。
【0015】
中箱5は、上面が開放された扁平な直方体状の容器(引き出し状の内装箱,カートン)である。中箱5は、底面6と底面6を囲む四つの外周辺の各々から上方に立設される四つの側面7とを有する。一つの中箱5の内部には、複数のモータ4が収容されうる。
図1に示す中箱5は、二十個のモータ4を収容可能である。モータ4が収容された中箱5は、例えば中箱5よりもサイズの大きい外箱(不図示)の中に整然と詰め込まれた状態で搬送される。なお、手作業による中箱5の運びやすさを考慮して、対向する一対の側面7に手掛け穴を形成してもよい。
【0016】
[A.下層トレイ]
下層トレイ1は、中箱5の内部に設けられる盆状(あるいは、面状,トレイ状)の部材である。本実施例の下層トレイ1は、中箱5の内部において、ほぼ水平な状態(底面6に対してほぼ平行な状態)になるように敷設される。ここで、下層トレイ1の展開図を
図2に例示する。
図2中の実線は切断線を表す。また、
図2中の破線は下層トレイ1を上から見たときの山折り線を表し、
図2中の二点鎖線は下層トレイ1を上から見たときの谷折り線を表す。下層トレイ1を構成する段ボールシートの紙巾方向(フルート目方向,中芯の中空部分が延在する方向)は、
図2中における左右方向である。また、山折り線や谷折り線を折り込んだ状態の拡大斜視図を、
図5中に例示する。
【0017】
図1,
図2,
図5に示すように、下層トレイ1には、下層上面部10,下層開口部11,下層脚部12,下層第一タブ13,下層第二タブ14,下層保持孔15が設けられる。
図2に示す下層トレイ1には、横に二列,縦に十行の配列で、モータ4の長手方向が段ボールシートの紙巾方向と平行になるように各モータ4が収容される。一つのモータ4が収容される場所には、二つの下層開口部11と一つの下層第一タブ13と一つの下層第二タブ14とが設けられる。また、下層第二タブ14には、下層縦部16と下層横部17とが設けられ、下層開口部11のうち下層第一タブ13を折り込んだ部分には、下層係止部18が設けられる。なお、モータ4の配列レイアウトにおける列数は、二列以上の複数列(例えば三列や五列や十列など)として設定されうる。行数についても同様であり、二行以上の複数行(例えば二行や三行や五行など)として設定されうる。
【0018】
図2に示す横に二列,縦に十行の配列を示す切断線,山折り線,谷折り線のレイアウトについて、左から数えて一列目のレイアウト形状は、二列目のレイアウト形状をそのまま
図2中の左右方向に平行移動させた合同形状である。また、上から数えて奇数行目のレイアウト形状は、偶数行目のレイアウト形状を
図2の紙面内で180°回転させた回転対称形状である。このようなレイアウト形状により、中箱5内の限られたスペースに対してモータ4が効率よく収容される。
【0019】
下層上面部10は、下層トレイ1が中箱5に敷設された状態において、下層トレイ1の上面をなす部位である。下層上面部10は、中箱5の底面6とほぼ同じ大きさの矩形に形成され、中箱5の底面6に対してほぼ平行な状態とされる。また、下層開口部11は、モータ4が差し込まれて固定される孔である。
図5,
図6(A)及び(B)に示すように、本実施例の下層開口部11には、取付足48が差し込まれる下層開口部11Aと、モータ部41が差し込まれる下層開口部11Bとが含まれる。
【0020】
一つのモータ4に対応する下層開口部11Aと下層開口部11Bとの位置関係について、
図2中において上から数えて奇数行目では下層開口部11Aが左側に位置し、下層開口部11Bが右側に位置する。一方、偶数行目では下層開口部11Aが右側に位置し、下層開口部11Bが左側に位置する。下層開口部11A及び下層開口部11Bの各々の形状は、モータ4の形状に応じて設定されるものであり、一体に形成されてもよい。
【0021】
下層脚部12は、下層上面部10を囲む四つの外周辺の各々から下方に向かって垂設される四つの平面状の部位である。下層脚部12は、下層トレイ1の外周縁を下方に折り込んで形成される。各々の下層脚部12の高さはほぼ同一とされる。また、下層脚部12の下端の全体が、底面6に接触(当接)している。これにより、下層上面部10が底面6に対してほぼ平行となる。なお、下層脚部12の高さは、下層上面部10と底面6との上下方向の離隔距離に相当する。
【0022】
下層第一タブ13は、下層開口部11Aの縁に設けられ、下方に折り込まれる部位である。下層第一タブ13は、例えば中箱5の底面6に接触するように設けられる。下層第一タブ13は、好ましくは下層上面部10に対してほぼ垂直に設けられる。
図2に示すように、下層第一タブ13が下方に折り込まれる前の下層開口部11Aの開口面積は、下層第一タブ13の大きさの分だけ狭くなっている。一方、
図5に示すように、下層第一タブ13を下方に折り込むことで、下層開口部11Aの開口面積が拡大され、取付足48を差し込むのに十分な広さが確保される。このとき、折り込まれた下層第一タブ13によって形成される下層開口部11Aの端辺は、後述する中層第一タブ23が係止される下層係止部18となる。ここで、下層係止部18の幅寸法(
図2中における上下方向の寸法)をW
1とする。
【0023】
下層第二タブ14は、下層開口部11Bの縁に設けられ、下方に向かって折り込まれて中箱5の底面6に接触する部位である。
図2に示すように、下層第二タブ14が下方に折り込まれる前は、下層開口部11Bが形成されていない。一方、
図5に示すように、下層第二タブ14を下方に折り込むことで、下層開口部11Bの全体が現れ、モータ部41を差し込むのに十分な広さが確保される。なお、
図5に示す下層第二タブ14は、下方に向かってクランク状に折り込まれた形状に形成されている。
【0024】
本実施例の下層第二タブ14は、下層縦部16と下層横部17とを有する。下層縦部16は、下層上面部10から下方に向かって延設される平面状の部位であり、下層横部17は、底面6に接触するとともに底面6に沿ってほぼ水平に延設される平面状の部位である。下層縦部16及び下層横部17を設けることで、モータ部41の下方と側方とが同時に下層第二タブ14によってカバー(被覆)される。なお、下層縦部16は下層上面部10に対して垂直であってもよいし、下層上面部10に対して傾斜していてもよい。下層縦部16の面勾配は、下層縦部16に接触するモータハウジング42の形状に応じて適宜設定すればよい。
【0025】
下層保持孔15は、少なくとも下層第二タブ14の下層縦部16に穿孔される孔であり、下層開口部11Bにモータ部41が差し込まれたときに、突出部44が挿入される部位である。これにより、下層第二タブ14に対して突出部44がしっかりと支承され、モータ4の全体が安定的に固定されるようになっている。また、本実施例の下層保持孔15は、
図5に示すように、下層上面部10と下層縦部16との境界よりも下層上面部10側へとはみ出した形状に形成されている。これにより、モータ4を上方から下方へと差し込もうとする際に、突出部44を下層保持孔15へと挿入しやすくなっている。
【0026】
[B.中層トレイ]
中層トレイ2は、中箱5の内部において、下層トレイ1よりも上方に設けられる盆状の部材である。本実施例の中層トレイ2は、下層トレイ1と同様に、中箱5の内部において、ほぼ水平な状態になるように敷設される。ここで、中層トレイ2の展開図を
図3に例示する。
図3中の実線は切断線を表す。また、
図3中の破線は中層トレイ2を上から見たときの山折り線を表し、
図3中の二点鎖線は中層トレイ2を上から見たときの谷折り線を表す。中層トレイ2を構成する段ボールシートの紙巾方向は、
図3中における左右方向である。中層トレイ2の紙巾方向は、下層トレイ1の紙巾方向と同一方向である。また、山折り線や谷折り線を折り込んだ状態の拡大斜視図を、
図5中に例示する。
【0027】
図1,
図3,
図5に示すように、中層トレイ2には、中層上面部20,中層開口部21,中層脚部22,中層第一タブ23,中層第二タブ24が設けられる。
図3に示す中層トレイ2には、横に二列で縦に十行の配列でモータ4が収容されるようになっており、各々のモータ4が収容される位置に、一つの中層開口部21と一つの中層第一タブ23と一つの中層第二タブ24とが設けられている。言い換えれば、中層開口部21は、上面視で二列に並ぶように配置されている。中層開口部21のうち、中層第一タブ23を折り込んだ部分には、カバー部逃がし孔25が穿孔される。また、中層第一タブ23には、中層壁部26と中層差し込み部27とが設けられる。
【0028】
中層上面部20は、中層トレイ2が中箱5に敷設された状態において、中層トレイ2の上面をなす部位である。中層上面部20は、中箱5の底面6や下層上面部10とほぼ同じ大きさの矩形に形成され、下層上面部10に対してほぼ平行な状態とされる。また、中層開口部21は、モータ4が差し込まれて固定される孔である。中層開口部21の形状は、モータ4の形状に応じて設定される。本実施例の中層開口部21には、モータハウジング42及び減速機ケース46が差し込まれる。ただし、中層開口部21は、モータ4のパッキン49に対しては非接触とされる。これにより、パッキン49の摩耗や変形が抑制され、モータ4の保全状態が向上する。
【0029】
中層脚部22は、中層上面部20を囲む四つの外周辺の各々から下方に向かって垂設される四つの平面状の部位である。中層脚部22は、中層トレイ2の外周縁を下方に折り込んで形成される。各々の中層脚部22の高さはほぼ同一とされる。また、中層脚部22の下端辺の全体が、下層上面部10に接触(当接)している。これにより、中層上面部20が下層上面部10に対してほぼ平行となる。なお、中層脚部22の高さは、中層上面部20と下層上面部10との上下方向の離隔距離に相当する。
【0030】
中層第一タブ23は、中層開口部21の縁に設けられ、下方に折り込まれるとともに、下層第一タブ13に重なった状態で下層開口部11に係合する部位である。中層第一タブ23は、下層第一タブ13と同様に、好ましくは中層上面部20に対してほぼ垂直に設けられる。
図3に示す中層トレイ2において、中層第一タブ23は、すべての中層開口部21に一つずつ(合計二十箇所に)設けられる。中層第一タブ23は、中層開口部21の一端側(
図3中において上から数えて奇数行目については各々の中層開口部21の左端部であり、偶数行目については各々の中層開口部21の右端部)に設けられる。
【0031】
中層第二タブ24は、中層開口部21の縁のうち中層第一タブ23とは異なる位置に設けられ、上方に折り込まれる部位である。中層第二タブ24は、好ましくは中層上面部20に対して垂直な状態、あるいは、垂直よりもさらに回動させた状態まで折り込まれる。中層第二タブ24は、後述する上層係止部33に係合する部位となる。
【0032】
図3に示す中層トレイ2において、中層第二タブ24は、すべての中層開口部21に設けられるわけではなく、複数列に並んだ中層開口部21の間に設けられる。例えば、二列に並んだ中層開口部21のうちの中央側のみに設けられる。つまり、各々の中層開口部21における他端側(
図3中において上から数えて奇数行目については中層開口部21の右端部であり、偶数行目については中層開口部21の左端部)のうち、二列の中央側となる位置のみに中層第二タブ24が設けられる。言い換えれば、中層第二タブ24が設けられるのは、
図3中において上から数えて奇数行目については二列の中層開口部21のうち左側の中層開口部21の右端部のみであり、偶数行目については二列の中層開口部21のうち右側の中層開口部21の左端部のみである。したがって、中層第二タブ24は、合計十箇所に設けられる。
【0033】
図3に示すように、中層第一タブ23及び中層第二タブ24が折り込まれる前の中層開口部21の開口面積は、中層第一タブ23及び中層第二タブ24の大きさの分だけ狭くなっている。一方、
図5に示すように、中層第一タブ23を下方に折り込むとともに中層第二タブ24を上方に折り込むことで、中層開口部21の開口面積が拡大され、モータハウジング42及び減速機ケース46を差し込むのに十分な広さが確保される。
【0034】
本実施例の中層第一タブ23は、中層壁部26と中層差し込み部27とを有する。中層壁部26は、中層第一タブ23のうち、折り込みの基端部側(すなわち上側)の部位であり、中層差し込み部27は、折り込みの先端部側(すなわち下側)の部位である。ここで、中層差し込み部27の幅寸法(
図3中における上下方向の寸法)をW
2とし、中層壁部26の幅寸法(
図3中における上下方向の寸法)をW
3とする。また、中層第二タブ24の幅寸法(
図3中における上下方向の寸法)をW
4とする。
【0035】
中層差し込み部27の幅寸法W2は、下層係止部18の幅寸法W1とほぼ同一であり、中層差し込み部27を下層係止部18の内側に差し込んで係止できるようになっている。また、中層壁部26の幅寸法W3は、中層差し込み部27の幅寸法W2よりも大きく設定される(W1≒W2<W3)。これにより、中層壁部26と中層差し込み部27との段差を形成する中層壁部26の下端面を、下層上面部10に面接触させられるようになっている。
【0036】
なお、中層差し込み部27の下端部(先端)は、中箱5の底面6に接触させてもよい。これにより、下層第一タブ13だけでなく中層第一タブ23も底面6に接触することになり、中層トレイ2の形状安定性が向上する。一方、中層差し込み部27の下端部(先端)を中箱5の底面6から僅かに離間させてもよい。これにより、中層第一タブ23の座屈変形を抑制できる。なおこの場合、中層第一タブ23が底面6に対して非接触となるが、中層トレイ2に作用する荷重は中層壁部26の下端面から下層トレイ1に伝達され、下層第一タブ13を介して底面6に伝達される。したがって、中層第一タブ23が底面6に対して非接触であっても、中層トレイ2の面剛性は維持される。
【0037】
カバー部逃がし孔25は、少なくとも中層第一タブ23の中層壁部26に穿孔される孔であり、中層開口部21にモータ4が差し込まれたときに、減速機ケース46の外表面のカバー部50が挿入される部位である。カバー部逃がし孔25には、カバー部50が非接触状態で挿入(遊挿)される。これにより、カバー部逃がし孔25とカバー部50との間に、ある程度の隙間寸法が確保される。また、本実施例のカバー部逃がし孔25は、
図5に示すように、中層上面部20と中層壁部26との境界よりも中層上面部20側へとはみ出した形状に形成されている。これにより、モータ4を上方から下方へと差し込もうとする際に、減速機ケース46のカバー部50をカバー部逃がし孔25へと挿入しやすくなっている。
【0038】
[C.上層トレイ]
上層トレイ3は、中箱5の内部において、中層トレイ2の上面に設けられる平面状の部材である。上層トレイ3は、中層上面部20に対してほぼ面接触した状態になるように、中層トレイ2の上に直接的に載置される。本実施例の上層トレイ3は、下層トレイ1や中層トレイ2と同様に、中箱5の内部において、ほぼ水平な状態になるように敷設される。ここで、上層トレイ3の展開図を
図4に例示する。
図4中の実線は切断線を表す。上層トレイ3を構成する段ボールシートの紙巾方向は、
図4中における上下方向である。上層トレイ3の紙巾方向は、下層トレイ1及び中層トレイ2の紙巾方向に対して直交している。また、上層トレイ3の要部を拡大した斜視図を、
図5中に例示する。
【0039】
図1,
図4,
図5に示すように、上層トレイ3には、上層上面部30,上層開口部31,上層当接部32,上層係止部33が設けられる。
図4に示す上層トレイ3には、横に二列で縦に十行の配列でモータ4が収容されるようになっており、各々のモータ4が収容される位置に、一つの上層開口部31が設けられている。言い換えれば、上層開口部31は、上面視で二列に並ぶように配置されている。
【0040】
上層上面部30は、上層トレイ3が中箱5に敷設された状態において、上層トレイ3の上面をなす部位である。上層上面部30は、下層上面部10や中層上面部20とほぼ同じ大きさの矩形に形成される。また、上層開口部31は、モータ4が差し込まれて固定される孔である。上層開口部31の形状は、モータ4の形状に応じて設定される。本実施例の上層開口部31には、モータハウジング42及び減速機ケース46が差し込まれる。ただし、上層開口部31は、モータ4のパッキン49に対しては非接触とされる。これにより、パッキン49の摩耗や変形が抑制され、モータ4の保全状態が向上する。
【0041】
上層当接部32は、上層開口部31にモータ4が差し込まれたときに、出力軸47の先端に当接する部位であり、上層開口部31の縁に設けられる。これにより、搬送時の振動による出力軸47の移動や隣り合うモータ4の接触が抑制され、モータ4の保全状態が向上する。
上層係止部33は、上層開口部31の縁において、くさび形に形成される部位である。
図4,
図5に示すように、上層係止部33は、上層開口部31を外側に向かって拡大するような台形形状(逆テーパ形状)に形成される。ここで、上層開口部31と上層係止部33との境界部分の幅寸法(
図4中における上下方向の寸法)をW
5とし、上層係止部33における最大の幅寸法(
図4中における上下方向の寸法)をW
6とする。
【0042】
上層係止部33は、上層開口部31と上層係止部33との境界部分の幅寸法W5が上層係止部33の他の部分の幅寸法(例えば、上層係止部33における最大の幅寸法W6)よりも狭くなる形状に形成される。また、上層開口部31と上層係止部33との境界部分の幅寸法W5は、中層第二タブ24の幅寸法W4よりも狭い寸法に設定され、上層係止部33における最大の幅寸法W6は、中層第二タブ24の幅寸法W4よりも広い寸法に設定される(W5<W4<W6)。これにより、上層係止部33に中層第二タブ24を差し込んで係止できるようになっている。
【0043】
図4に示す上層トレイ3において、上層係止部33は、すべての上層開口部31に設けられるわけではなく、二列に並んだ上層開口部31のうちの中央側のみに設けられる。言い換えれば、上層係止部33が設けられるのは、
図4中において上から数えて奇数行目については二列の上層開口部31のうち左側の上層開口部31の右端部のみであり、偶数行目については二列の上層開口部31のうち右側の上層開口部31の左端部のみである。したがって、上層係止部33は、合計十箇所に設けられる。
【0044】
[2.収容状態]
図6(A)は、モータ4が収容されていない状態の梱包構造8を説明するための断面図である。下層トレイ1では、下層脚部12の下端(下層トレイ1の全周)と下層第一タブ13の下端と下層第二タブ14の下層横部17とが、中箱5の底面6に接する。中層トレイ2では、中層脚部22の下端(中層トレイ2の全周)が下層上面部10に接するとともに、中層第一タブ23が下層係止部18に係止され、かつ、中層第二タブ24が上層係止部33に係止される。上層トレイ3は、中層トレイ2の上面に敷設されるため、全体的に中層上面部20に接する。
【0045】
図6(B)は、モータ4が収容された状態の梱包構造8を説明するための断面図である。減速機部45は、上方から下層開口部11Aに差し込まれ、下層第一タブ13及び中層第一タブ23によって安定的に保持される。このとき、下層第一タブ13及び中層第一タブ23は、
図6(B)中に示す右側のモータ4の収容空間と左側のモータ4の収容空間とを区画するように機能する。これにより、左右のモータ4の接触(例えば、左側のモータ4の減速機部45と右側のモータ4のモータ部41との接触)が阻止される。
【0046】
モータ部41は、上方から下層開口部11Bに差し込まれ、下層第二タブ14によって支持される。このとき、モータ4の突出部44は、下層保持孔15に挿入されて下層第二タブ14の下層縦部16によって安定的に保持される。また、減速機部45のカバー部50は、カバー部逃がし孔25に対して非接触状態となるように挿入され、カバー部逃がし孔25とカバー部50との間に、ある程度の隙間寸法が確保される。また、中層第二タブ24は、下層第一タブ13及び中層第一タブ23と同じように、左右の収容空間を区画するように機能する。これにより、左右のモータ4の接触(例えば、左側のモータ4の減速機部45と右側のモータ4のコネクタ部43との接触)が阻止される。
【0047】
図7は、モータ4が収容された状態の梱包構造8を説明するための上面図である。モータ4の出力軸47の先端は、上層開口部31の縁に設けられた上層当接部32に当接する。これにより、出力軸47の延在方向(
図7中の上下方向)へのモータ4のガタつきや移動が抑制され、モータ4の保持状態が安定化される。一方、出力軸47の周囲に存在するパッキン49に対しては、中層開口部21や上層開口部31が非接触とされ、ある程度の隙間寸法が確保される。これにより、パッキン49の摩耗や変形が抑制され、モータ4の保全状態が向上する。
【0048】
[3.効果]
(1)上記の実施例に係る梱包構造8は、モータ4が収容される中箱5と、段ボールシートから形成されて中箱5の内部に設けられる下層トレイ1と、段ボールシートから形成されて中箱5の内部にて下層トレイ1よりも上方に設けられる中層トレイ2とを備える。下層トレイ1は、モータ4が差し込まれて固定される下層開口部11と、下層開口部11の縁に設けられ下方に折り込まれる下層第一タブ13とを有する。中層トレイ2は、モータ4が差し込まれて固定される中層開口部21と、中層開口部21の縁に設けられ下方に折り込まれて下層第一タブ13に重なった状態で下層開口部11に係合する中層第一タブ23とを有する。
【0049】
このような構成により、下層トレイ1と中層トレイ2とを強固に結合することができ、簡素な構成で梱包構造8の剛性及び強度を向上させることができ、中箱5に収容されるモータ4に対する保護性を確保できる。また、下層トレイ1と中層トレイ2とを結合させるための作業が容易であり、梱包に係る作業性を高めることができる。特に、例えば特許文献1に記載されたような従来の縦仕切り構造と比較して、複数の段ボール板の切り込みを互いに係合させて井桁状に組み合わせる必要がなく、モータ4の梱包や梱包構造8の組み立てに係る作業性を大幅に改善できる。また、従来の縦仕切り構造と比較して、段ボールシートの使用量を削減することができ、良好なコストダウン効果を獲得できる。
【0050】
また、中層第一タブ23と下層第一タブ13とを重ねることで、モータ4の取付足48を支える頑丈な壁としてこれらを機能させることができる。したがって、例えば
図6(B)中においてモータ4が左右方向に揺れたり移動したりすることを確実に抑制でき、モータ4を安定的に固定することができる。また、下層第一タブ13及び中層第一タブ23は、
図6(B)中に示す右側のモータ4の収容空間と左側のモータ4の収容空間とを区画するように機能する。これにより、左右のモータ4の接触(例えば、左側のモータ4の減速機部45と右側のモータ4のモータ部41との接触)を阻止でき、変形や傷の発生を防止できる。
【0051】
さらに、例えば下層第一タブ13や中層第一タブ23を中箱5の底面6に接触させることで、底面6に対して下層トレイ1及び中層トレイ2を下層第一タブ13に支えさせることができる。これにより、下層トレイ1及び中層トレイ2の面剛性を向上させることができ、下方へのたわみ変形を抑制できる。例えば、
図6(A),(B)に示す下層トレイ1及び中層トレイ2において、左右方向の中央部付近が下方に弛むことを防止できる。したがって、モータ4の安定保持性や保護性を向上させることができる。
【0052】
(2)上記の梱包構造8では、下層トレイ1が、下層トレイ1の外周縁を下方に折り込んでなり底面6に接触する下層脚部12を有し、中層トレイ2が、中層トレイ2の外周縁を下方に折り込んでなり下層トレイ1に接触する中層脚部22を有する。
【0053】
このような構成により、底面6と下層トレイ1との離隔距離を確保できるとともに、下層トレイ1と中層トレイ2との離隔距離を確保できる。つまり、
図6(A)に示すように、高さ方向に異なる二位置でモータ4を固定でき、モータ4の安定保持性や保護性を向上させることができる。
【0054】
(3)上記のモータ4は、突出部44を有するモータ4である。また、上記の梱包構造8では、下層トレイ1が、下方に向かって折り込まれて中箱5の底面6に接触する下層第二タブ14と、下層第二タブ14の表面に穿孔されて突出部44が挿入される下層保持孔15とを有する。
【0055】
このような構成により、例えば
図5,
図6(B)に示すように、比較的重量が大きいモータ部41を四方から(上面視でモータ4の前後左右から)支持することができ、モータ4の安定保持性や保護性を向上させることができる。また、下層第二タブ14に対して突出部44を堅固に支承させることができ、モータ部41のガタつきや移動を抑制できる。さらに、下層第二タブ14を中箱5の底面6に接触させることで、下層トレイ1の面剛性をさらに向上させることができる。したがって、モータ4の安定保持性や保護性を向上させることができる。
【0056】
(4)上記の下層第二タブ14は、例えば
図5,
図6(A)に示すように、下方に向かってクランク状に折り込まれた形状に形成される。これにより、モータハウジング42の保持高さを調節することができ、モータ4の安定保持性や保護性を向上させることができる。
【0057】
(5)上記のモータ4は、出力軸47を有するモータ4である。また、上記の梱包構造8は、段ボールシートから形成されて中箱5の内部にて中層トレイ2の上面に設けられる上層トレイ3をさらに備える。上層トレイ3は、モータ4が差し込まれて固定される上層開口部31と、上層開口部31の縁に設けられ出力軸47の先端に当接する上層当接部32とを有する。
【0058】
このように、下層トレイ1と中層トレイ2と上層トレイ3とを相互に結合させることで、モータ4を上下方向,左右方向,前後方向に支承する立体的な梱包構造8を実現でき、モータ4の安定保持性や保護性を向上させることができる。また、モータ4を搬送する際に、振動による出力軸47の移動や隣り合うモータ4の接触を抑制できるとともに、出力軸47の延在方向へのモータ4のガタつきを抑制でき、モータ4の保全状態を向上させることができる。また、上層トレイ3で中層トレイ2を補強することができる。したがって、モータ4の安定保持性や保護性を向上させることができる。
【0059】
(6)上記の梱包構造8では、上層トレイ3が、上層開口部31の縁においてくさび形に形成される上層係止部33を有し、中層トレイ2が、中層開口部21の縁に設けられ上方に折り込まれて上層係止部33に係合する中層第二タブ24を有する。
【0060】
このような構成により、上層トレイ3と中層トレイ2とを強固に結合することができ、簡素な構成で梱包構造8の剛性及び強度を向上させることができ、中箱5に収容されるモータ4に対する保護性を確保できる。また、
図6(B)に示すように、中層第二タブ24は、下層第一タブ13及び中層第一タブ23と同じように、左右の収容空間を区画するように機能する。これにより、左右のモータ4の接触(例えば、左側のモータ4の減速機部45と右側のモータ4のコネクタ部43との接触)を阻止でき、変形や傷の発生を防止できる。
【0061】
(7)上記の梱包構造8では、
図3,
図4に示すように、上層開口部31及び中層開口部21が、上面視で複数列(例えば二列)に並ぶように配置される。また、上層係止部33及び中層第二タブ24は、上面視で複数列の間(例えば二列の中央側)に設けられる。例えば、
図3中において上から数えて奇数行目については、二列の中層開口部21のうち左側の中層開口部21の右端部のみに中層第二タブ24が設けられ、偶数行目については、二列の中層開口部21のうち右側の中層開口部21の左端部のみに中層第二タブ24が設けられる。
【0062】
同様に、
図4中において上から数えて奇数行目については、二列の上層開口部31のうち左側の上層開口部31の右端部のみに上層係止部33が設けられ、偶数行目については、二列の上層開口部31のうち右側の上層開口部31の左端部のみに上層係止部33が設けられる。
【0063】
このような構成により、すべての上層開口部31や中層開口部21に上層係止部33や中層第二タブ24を設けた場合と比較して構成を簡素化しつつ、上面視で複数列に並んだモータ4同士の干渉を確実に防止できる。したがって、簡素な構成で、モータ4に対する保護性を確保しつつ梱包作業の作業性を高めることができる。
【0064】
(8)上記の梱包構造8では、中層トレイ2及び下層トレイ1の紙巾方向が平行になるように、中層トレイ2と下層トレイ1とが中箱5の内部に敷設される。これに対し、上層トレイ3の紙巾方向が中層トレイ2及び下層トレイ1の紙巾方向に対して直交するように、上層トレイ3が中箱5の内部に敷設される。
【0065】
このように、中層トレイ2及び下層トレイ1の紙巾方向を揃えることで、外力に対する中層トレイ2及び下層トレイ1の変形量を揃えることができ、その変形に対するモータ4の追従性を改善できる。したがって、モータ4の保護性を向上させることができる。また、上層トレイ3の紙巾方向に対して中層トレイ2及び下層トレイ1の紙巾方向を直交させることで、中層トレイ2及び下層トレイ1の全体の剛性を高めることができ、モータ4の安定保持性や保護性を向上させることができる。
【0066】
[4.その他]
上記の実施例はあくまでも例示に過ぎず、本実施例で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施例の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。また、本実施例の各構成は必要に応じて取捨選択でき、あるいは、公知技術に含まれる各種構成と適宜組み合わせることができる。
【0067】
上記の実施例では下層トレイ1,中層トレイ2,上層トレイ3,中箱5を備えた梱包構造8を例示したが、上層トレイ3は省略可能である。また、下層トレイ1の下層脚部12,下層第二タブ14,中層トレイ2の中層脚部22,中層第二タブ24なども省略可能である。少なくとも、下層トレイ1に下層開口部11と下層第一タブ13とを形成するとともに、中層トレイ2に中層開口部21と中層第一タブ23とを形成し、下層第一タブ13に重なった状態で中層第一タブ23を下層開口部11と係合させることで、上述の実施形態と同様の効果を奏する梱包構造8を実現できる。
【0068】
図8は、変形例としての梱包構造8′を説明するための断面図である。
図8中において上記の実施例に対応する要素には同一符号を付している。この梱包構造8′において下層トレイ1の下層開口部11の縁には、下層第一タブ13′が設けられる。下層第一タブ13′は、下方に折り込まれて中箱5の底面6に接触する部位である。下層第一タブ13′の下端部(先端側)は、下層第二タブ14の下層横部17と同様に、底面6に沿ってほぼ水平に延設されるように屈曲している。
【0069】
このような構成により、下層第一タブ13′と底面6との接触面積を増大させることができる。したがって、下層トレイ1に作用する荷重が下層第一タブ13′を介して確実に底面6に伝達されるようになり、下層トレイ1の形状安定性や面剛性を高めることができる。これに加えて、中層差し込み部27の下端部(先端)を下層第一タブ13′の屈曲部分に接触させれば、中層トレイ2の形状安定性や面剛性をも高めることができる。
【0070】
なお、上記の実施例や変形例の各トレイ1~3に開口部やタブを追加することも可能である。例えば、上層開口部31の縁に上層タブを追加してもよい。この上層タブは、下方に折り込まれて中層開口部21や下層開口部11に係合するように形成される。このような構成により、梱包構造8の堅牢性を向上させることができ、簡素な構成でモータ4の安定保持性や保護性をさらに高めることができる。
【0071】
上記の下層トレイ1は、中箱5の底面6を兼ねるように設けられていてもよい。すなわち、中箱5とは別体の下層トレイ1を用意する代わりに、中箱5の底面6に下層開口部11,下層保持孔15等を設けてもよい。このように、中箱5の底面6に下層トレイ1としての機能を付与することで、梱包全体の重量や段ボールシートの使用量を削減することができ、運搬作業の効率を改善できるとともに、さらなるコストダウンを図ることができる。