(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039594
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】自然空冷放熱器
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
H05K7/20 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090765
(22)【出願日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】P 2022143521
(32)【優先日】2022-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592264101
【氏名又は名称】下西技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 英治
(72)【発明者】
【氏名】久保 敬司
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322EA11
5E322FA09
(57)【要約】
【課題】耐久性に優れた自然空冷放熱器を提供する。
【解決手段】自然空冷放熱器1Bは、ベース部材2と、複数の立設部材3と、を備える。ベース部材2は、発熱源に接触可能な第1面F1及び前記第1面に対向する第2面F2を有する。複数の立設部材3は、第2面F2に立設される。ベース部材2の主成分と複数の立設部材3の主成分とが同一の金属である。第2面F2に複数の穴が設けられ、複数の立設部材F2の端部が前記複数の穴に収まる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱源に接触可能な第1面及び前記第1面に対向する第2面を有するベース部材と、
前記第2面に立設される複数の立設部材と、
を備え、
前記ベース部材の主成分と前記複数の立設部材の主成分とが同一の金属であり、
前記第2面に複数の穴が設けられ、前記複数の立設部材の端部が前記複数の穴に収まる、自然空冷放熱器。
【請求項2】
前記複数の立設部材の端部が前記複数の穴に圧入されている、請求項1に記載の自然空冷放熱器。
【請求項3】
前記複数の立設部材は、立設方向から見てC形状である細長部材を複数含む、請求項1に記載の自然空冷放熱器。
【請求項4】
前記複数の立設部材は、平板フィンを複数含む、請求項1に記載の自然空冷放熱器。
【請求項5】
前記平板フィンの変形を抑制する補強フレームを含む、請求項4に記載の自然空冷放熱器。
【請求項6】
前記複数の立設部材は、立設方向から見てC形状である細長部材と平板フィンとをそれぞれ複数含み、
前記立設方向から見て、前記平板フィンが前記細長部材よりも前記ベース部材の中心側に設けられる、請求項1に記載の自然空冷放熱器。
【請求項7】
前記平板フィンの厚みに対する隣接する二つの前記平板フィンの間隔の比が3.2以上4.4以下である、請求項4~6のいずれか一項に記載の自然空冷放熱器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファン(送風機)を用いない自然空冷放熱器に関する。
【背景技術】
【0002】
放熱器は、ファンによる強制空冷を行う強制空冷放熱器と、ファンを用いない自然空冷放熱器(例えば特許文献1参照)と、に大別される。
【0003】
強制空冷放熱器は、屋外に設置される場合に昆虫などの侵入によりファンが機能しなくなるおそれがあるため、屋外の使用には不向きである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
屋外で使用される自然空冷放熱器は風雨に曝される。そのため、屋外で使用される自然空冷放熱器は、屋外使用に耐え得る耐食性、耐振動性、及び耐強風性を有し、耐久性に優れることが望まれる。
【0006】
なお、屋内で使用される自然空冷放熱器の使用環境は、屋外で使用される自然空冷放熱器の使用環境に比べて通常厳しくない。しかしながら、屋内で使用される自然空冷放熱器であっても、耐久性に優れることに越したことはない。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑み、耐久性に優れた自然空冷放熱器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する自然空冷放熱器は、発熱源に接触可能な第1面及び前記第1面に対向する第2面を有するベース部材と、前記第2面に立設される複数の立設部材と、を備える。前記ベース部材の主成分と前記複数の立設部材の主成分とが同一の金属である。前記第2面に複数の穴が設けられ、前記複数の立設部材の端部が前記複数の穴に収まる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、耐久性に優れた自然空冷放熱器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る自然空冷放熱器を示す斜視図
【
図2】第1実施形態に係る自然空冷放熱器が備えるベース部材を示す斜視図
【
図3】第1実施形態に係る自然空冷放熱器を示す側面図
【
図4】第1実施形態に係る自然空冷放熱器の性能を示す図
【
図5】第2実施形態に係る自然空冷放熱器を示す斜視図
【
図6】第2実施形態に係る自然空冷放熱器が備えるベース部材を示す斜視図
【
図7】第2実施形態に係る自然空冷放熱器を示す上面図
【
図8】第3実施形態に係る自然空冷放熱器を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る自然空冷放熱器1A(以下、自然空冷放熱器1Aと略す)を示す斜視図である。
図2は、自然空冷放熱器1Aが備えるベース部材2を示す斜視図である。
図3は、自然空冷放熱器1Aの側面図である。
図1~
図3中のX方向、Y方向、及びZ方向は互いに直交する。
【0012】
X軸線方向は、ベース部材2が有する第2面F2の法線方向に垂直な軸線方向である。X軸線方向は、X方向と、X方向と反対に向かう方向である-X方向と、を含む。
【0013】
Y軸線方向も、ベース部材2が有する第2面F2の法線方向に垂直な軸線方向である。Y軸線方向は、Y方向と、Y方向と反対に向かう方向である-Y方向と、を含む。
【0014】
Z軸線方向は、ベース部材2が有する第2面F2の法線方向に平行な軸線方向である。Z軸線方向の一方であるZ方向は、ベース部材2が有する第1面F1から第2面F2に向かう方向である。Z軸線方向の他方である-Z方向は、Z方向と反対に向かう方向である。
【0015】
以下、説明の便宜上、X方向を右方向、-X方向を左方向、Y方向を前方向、-Y方向を後方向、Z方向を上方向、-Z方向を下方向とするが、この例示は自然空冷放熱器1Aの実際の配置を限定するものではない。
【0016】
自然空冷放熱器1Aは、ベース部材2と、複数の立設部材3と、を備える。
【0017】
ベース部材2は、発熱源に接触可能な第1面F1と、第1面F1に対向する第2面F2と、を有する。本実施形態では、ベース部材2は板形状であるが、ベース部材2の形状は板形状に限定されない。発熱源は、特に限定されないが、例えば、イベント施設、スポーツ施設、産業施設等の屋外照明装置、船舶に設置される屋外照明装置、イベント施設、スポーツ施設、産業施設等の屋内照明装置、鉄道車両に設置される屋内照明装置を挙げることができる。
【0018】
第2面F2に複数の穴H1が設けられる。複数の穴H1は、前後方向に沿って並ぶように配置される。本実施形態では、各々の穴H1は左右方向に延びる溝形状であるが、各々の穴H1の形状は溝形状に限定されず立設部材3の形状に対応する形状であればよい。また、本実施形態では、各々の穴H1はベース部材2の厚さ方向(上下方向)を貫く貫通穴でないが、各々の穴H1は貫通穴であっても構わない。ただし、各々の穴H1が貫通穴でない構成の方が、各々の穴H1が貫通穴である構成と比較して、立設部材3の上下方向の位置決めが容易になる。また、各々の穴H1が貫通穴でない構成は、立設部材3がベース部材2から発熱源側に突き出して発熱源に干渉することがないという利点も有する。したがって、各々の穴H1が貫通穴でない構成の方が、各々の穴H1が貫通穴である構成と比較して、自然空冷放熱器1Aの組立作業における管理項目を減少させることができる。
【0019】
ベース部材2は、複数の貫通穴H2を有する。各々の貫通穴H2は、ベース部材2の厚さ方向(上下方向)を貫く貫通穴であって、自然空冷放熱器1Aを発熱源に取り付けるために用いられる。
【0020】
複数の立設部材3は、ベース部材2が発熱源から吸収した熱を受け取り、熱を外気に放出する役割を担う。複数の立設部材3は、第2面F2に立設される。本実施形態では、複数の立設部材3の立設方向は上下方向に沿っているが、複数の立設部材3の立設方向は上下方向に対して傾いていてもよい。
【0021】
本実施形態では、複数の立設部材3それぞれは、平板フィンである。自然空冷放熱器1Aは、42枚の平板フィンを有する。複数の立設部材3の端部(下端部)が複数の穴H1に収まる。より具体的には、各々の穴H1に3枚の平板フィンの端部(下端部)が収まる。
【0022】
複数の立設部材3の端部(下端部)は複数の穴H1に圧入されていることが望ましい。これにより、ベース部材2と複数の立設部材3との熱的な接続が強固になり、ベース部材2から複数の立設部材3への熱輸送効率が向上する。なお、複数の立設部材3の端部(下端部)は複数の穴H1に圧入されている構成において、熱伝導性の接着剤を併用してもよい。また、複数の立設部材3の端部(下端部)は複数の穴H1に圧入されている構成では、複数の立設部材3の各端部(下端部)と複数の穴H1の各上端部の少なくとも一方に、C面取り、R面取り、テーパ部等の形状(立設部材3の穴H1への挿入を容易にする形状)が設けられていることが好ましい。
【0023】
立設部材3の配置、表面積、個数等は、自然空冷放熱器1Aが目標の放熱性能を達成できる限り、自由に設計することができる。なお、本実施形態では、複数の立設部材3の高さ(上下方向の長さ)は一様であるが、複数の立設部材3において高さ(上下方向の長さ)は一様でなくてもよい。
【0024】
ベース部材2の主成分と複数の立設部材3の主成分とは同一の金属である。ここで、部材の主成分とは、部材の材料を構成する元素のうち物質量(mоl)が最も大きい元素のことをいう。また、後述する補強フレーム4の主成分もベース部材2の主成分及び複数の立設部材3の主成分と同一の金属である。
【0025】
本実施形態では、ベース部材2の主成分と複数の立設部材3の主成分とはアルミニウムである。ベース部材2の材料としては、例えばA5052、A5056等のアルミ合金が用いられる。また、複数の立設部材3の材料としては、例えばA1070、A6063等のアルミ合金が用いられる。部材の材料は、部材の形状、部材の製造方法、材料の加工性、材料のコスト等を考慮して決定すればよい。
【0026】
上述したように、自然空冷放熱器1Aを構成する全ての部材の主成分が同一の金属であるため、自然空冷放熱器1Aにおいて異種金属接合部が存在しなくなる。これにより、自然空冷放熱器1Aが雨水に曝されても電界腐食が発生しないので、自然空冷放熱器1Aの耐食性ひいては耐久性が向上する。
【0027】
また、自然空冷放熱器1Aを構成する全ての部材の主成分が同一の金属であるため、自然空冷放熱器1Aを構成する全ての部材において表面処理を統一することが可能になる。表面処理を統一することでコストの削減を図ることができる。本実施形態では、表面処理としてアルマイト処理が実施される。なお、表面処理は、自然空冷放熱器1Aを組み立てる前に実施されてもよく、自然空冷放熱器1Aを組み立てた後に実施されてもよい。
【0028】
自然空冷放熱器1Aは、補強フレーム4をさらに備える。補強フレーム4は、強風等による平板フィンの変形を抑制する。補強フレーム4は、4本の支柱4Aと、2本の第1バー4Bと、4本の第2バー4Cと、8本のねじ4Dと、を有する。
【0029】
支柱4Aは、上下方向に沿って延びる。第1バー4Bは、左右方向に沿って延びる。第2バー4Cは、前後方向に沿って延びる。2本の第1バー4Bの一方は、一対の支柱4Aの上端部同士を連結するために用いられる。2本の第1バー4Bの他方は、残りの一対の支柱4Aの上端部同士を連結するために用いられる。第2バー4Cの下面には、上方向に向かって凹む凹部が設けられ、平板フィンの上端部が第2バー4Cの凹部に収まる。第2バー4Cは、ねじ4Dによって支柱4A及び第1バー4Bに固定される。
【0030】
自然空冷放熱器1Aは補強フレーム4を備えるので、自然空冷放熱器1Aでは耐振動性及び耐強風性が向上する。この効果は、一般的な構造の自然空冷放熱器と比較してみると分かる。一般的な構造の自然空冷放熱器としては、特開2017-45619号公報に開示されている放熱器(放熱ブロック)が挙げられる。一般的な構造の自然空冷放熱器の固有振動数は約60Hzであり、当該一般的な構造の自然空冷放熱器の剛性は約9N/mmである。対して、自然空冷放熱器1Aの固有振動数は約86Hzであり、自然空冷放熱器1Aの剛性は約133N/mmである。
【0031】
また、発熱源の発熱量が200Wであって外気温が35℃であるとき、上記の一般的な構造の自然空冷放熱器が用いられた場合には発熱源近傍温度が96℃前後になる。対して、発熱源の発熱量が200Wであって外気温が35℃であるとき、自然空冷放熱器1Aが用いられた場合には発熱源近傍温度が79℃前後になる。
【0032】
図4は、自然空冷放熱器1Aの性能を示す図である。より詳細には、
図4は、自然空冷放熱器1Aが用いられた場合の「平板フィンの厚みt1に対する隣接する二つの平板フィンの間隔L1の比」と「発熱源近傍温度」との関係を示すグラフである。なお、
図4中の各データにおいて、平板フィンの厚みt1は全て2.5mmである。
【0033】
図4から明らかな通り、「平板フィンの厚みt1に対する隣接する二つの平板フィンの間隔L1の比」は、3.2以上4.4以下であることが好ましい。「平板フィンの厚みt1に対する隣接する二つの平板フィンの間隔L1の比」は、3.4以上4.2以下であることがより好ましい。
【0034】
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態に係る自然空冷放熱器1B(以下、自然空冷放熱器1Bと略す)を示す斜視図である。
図6は、自然空冷放熱器1Bが備えるベース部材2を示す斜視図である。
図7は、自然空冷放熱器1Bを示す上面図である。
【0035】
本実施形態では、第1実施形態と同様の部分については適宜説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を主として説明する。
【0036】
自然空冷放熱器1Bは、自然空冷放熱器1Aと同様に、ベース部材2と、複数の立設部材3と、を備える。
【0037】
ベース部材2は、発熱源に接触可能な第1面F1と、第1面F1に対向する第2面F2と、を有する。本実施形態では、ベース部材2は板形状であるが、ベース部材2の形状は板形状に限定されない。発熱源は、特に限定されないが、例えば、イベント施設、スポーツ施設、産業施設等の屋外照明装置、船舶に設置される屋外照明装置、イベント施設、スポーツ施設、産業施設等の屋内照明装置、鉄道車両に設置される屋内照明装置を挙げることができる。
【0038】
第2面F2に複数の穴H1が設けられる。複数の穴H1は、前後方向及び左右方向に沿って格子状に配置される。立設部材3の配置、表面積、個数等は自然空冷放熱器1Bが目標の放熱性能を達成できる限り自由に設計することができるため、複数の穴H1は、例えば同心円状に配置されてもよく、不規則に配置されてもよい。本実施形態では、各々の穴H1は上下方向から見て円形状である。
【0039】
本実施形態では、複数の立設部材3それぞれは、立設方向から見てC形状である細長部材である。立設方向に沿った細長部材の長さ(細長部材の高さ)は、立設方向に垂直な方向に沿った細長部材の長さ(C形状の直径)よりも長い。複数の立設部材3の端部(下端部)が複数の穴H1に収まる。より具体的には、各々の穴H1に1個の細長部材の端部(下端部)が収まる。
【0040】
細長部材は、C形状の径方向に弾性変形が可能である。細長部材がC形状の径方向に弾性変形することで、C形状の開口度合いが変化する。これにより、穴H1による細長部材の大きな締め代が許容される。したがって、細長部材の外径公差を緩和することができ、細長部材の加工に要するコストを低減することができる。
【0041】
細長部材の内径部分に雨水等が入ってもC形状の開口部分から流れ出るため、細長部材の内径部分に雨水等が溜まらない。これにより、細長部材の内径部分からの錆の発生が抑制されるため、自然空冷放熱器1Bの耐久性が向上する。なお、細長部材の圧入のみが実施された場合、穴H1の深さ部分に雨水等が若干溜まることになる。したがって、例えば、細長部材の圧入の際に熱伝導性の接着剤を併用して穴H1の深さ部分を熱伝導性の接着剤で埋めることが好ましい。また、熱伝導性の接着剤に代えて、空間充填部材によって穴H1の深さ部分を埋めてもよい。
【0042】
本実施形態では、C形状の開口部分が右方向を向いている。したがって、ベース部材2の右端側をベース部材2の左端側よりも下方向に位置するように自然空冷放熱器1Bが設定されることでC形状の開口部分から雨水等を円滑に排出することができる。なお、本実施形態では、複数の立設部材3においてC形状の開口部分が一様に右方向を向いているが、複数の立設部材3においてC形状の開口部分が向く方向は一様でなくてもよい。
【0043】
複数の立設部材3として立設方向から見てC形状である細長部材が用いられることで、自然空冷放熱器1Bの耐振動性及び耐強風性が向上する。第1実施形態で述べた一般的な構造の自然空冷放熱器の固有振動数が約60Hzであり、当該一般的な構造の自然空冷放熱器の剛性が約9N/mmである。対して、自然空冷放熱器1Bの固有振動数は約203Hzであり、自然空冷放熱器1Bの剛性は約38N/mmである。
【0044】
また、発熱源の発熱量が200Wであって外気温が35℃であるとき、上記の一般的な構造の自然空冷放熱器が用いられた場合には発熱源近傍温度が96℃前後になる。対して、発熱源の発熱量が200Wであって外気温が35℃であるとき、自然空冷放熱器1Bが用いられた場合には発熱源近傍温度が83℃前後になる。
【0045】
<第3実施形態>
図8は、第3実施形態に係る自然空冷放熱器1C(以下、自然空冷放熱器1Cと略す)を示す斜視図である。
【0046】
本実施形態では、第1実施形態及び第2実施形態と同様の部分については適宜説明を省略し、第1実施形態及び第2実施形態と異なるの部分を主として説明する。
【0047】
自然空冷放熱器1Cは、自然空冷放熱器1A及び1Bと同様に、ベース部材2と、複数の立設部材3と、を備える。
【0048】
本実施形態では、複数の立設部材3は、立設方向から見てC形状である細長部材と平板フィンとをそれぞれ複数含む。
【0049】
また、立設方向から見て、平板フィンが細長部材よりもベース部材2の中心側に設けられる。これにより、細長部材が平板フィンにとって風除けとなり、第1実施形態で用いられていた補強フレーム4が省くことが可能となる。
【0050】
発熱源の発熱量が200Wであって外気温が35℃であるとき、自然空冷放熱器1Cが用いられた場合には発熱源近傍温度が82℃前後になる。つまり、自然空冷放熱器1Cの放熱性能は、自然空冷放熱器1Aの放熱性能と自然空冷放熱器1Bの放熱性能との間になる。
【0051】
自然空冷放熱器1Cの固有振動数は、例えば、自然空冷放熱器1Aの固有振動数と自然空冷放熱器1Bの固有振動数との間にできるが、設計次第であって当該例示に限定されることはない。また、自然空冷放熱器1Cの剛性は、例えば、自然空冷放熱器1Aの剛性と自然空冷放熱器1Bの剛性との間にできるが、設計次第であって当該例示に限定されることはない。
【0052】
<総括>
以下では、上記で説明した種々の実施形態について総括的に述べる。
【0053】
例えば、本明細書中に開示される自然空冷放熱器は、発熱源に接触可能な第1面及び前記第1面に対向する第2面を有するベース部材と、前記第2面に立設される複数の立設部材と、を備え、前記ベース部材の主成分と前記複数の立設部材の主成分とが同一の金属であり、前記第2面に複数の穴が設けられ、前記複数の立設部材の端部が前記複数の穴に収まる構成(第1の構成)である。
【0054】
上記第1の構成である自然空冷放熱器において、前記複数の立設部材の端部が前記複数の穴に圧入されている構成(第2の構成)であってもよい。
【0055】
上記第1又は第2の構成である自然空冷放熱器において、前記複数の立設部材は、立設方向から見てC形状である細長部材を複数含む構成(第3の構成)であってもよい。
【0056】
上記第1~第3いずれかの構成である自然空冷放熱器において、前記複数の立設部材は、平板フィンを複数含む構成(第4の構成)であってもよい。
【0057】
上記第4の構成である自然空冷放熱器において、前記平板フィンの変形を抑制する補強フレームを含む構成(第5の構成)であってもよい。
【0058】
上記第1又は第2の構成である自然空冷放熱器において、前記複数の立設部材は、立設方向から見てC形状である細長部材と平板フィンとをそれぞれ複数含み、前記立設方向から見て、前記平板フィンが前記細長部材よりも前記ベース部材の中心側に設けられる構成(第6の構成)であってもよい。
【0059】
上記第4~第6いずれかの構成である自然空冷放熱器において、前記平板フィンの厚みに対する隣接する二つの前記平板フィンの間隔の比が3.2以上4.4以下である構成(第7の構成)であってもよい。
【0060】
<その他の変形例>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲により規定されるものであって、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0061】
例えば、立設部材として用いられる細長部材の立設方向から見た形状を多角星形状(
図9に示す8角星形状)であってもよい。細長部材の立設方向から見た形状が多角星型形状である場合、C形状と同じように細長部材に雨水等が溜まらないという利点がある。また、細長部材の立設方向から見た形状が多角星型形状である場合、細長部材の表面積を大きくできるという利点もある。ただし、細長部材の立設方向から見た形状がC形状である場合は、細長部材の立設方向から見た形状が多角星型形状である場合に比べて、組み立てが容易であり、自然空冷放熱器の剛性も高くなる。
【0062】
本明細書において、自然空冷放熱器はファン(送風機)を用いない放熱器のことをいう。したがって、例えば、2つの部材を連結し一方の部材から他方の部材への熱伝導を促進させるヒートパイプを備える放熱器であっても、ファン(送風機)を用いない構成であれば、自然空冷放熱器に該当する。
【0063】
なお、自然空冷放熱器は、例えば放熱能力の向上を図るために、ファン(送風機)とともに使用されてもよい。つまり、自然空冷放熱器とファン(送風機)とをセットにした放熱システムを実施する場合、自然空冷放熱器を利用していることになり、自然空冷放熱器も実施することになる。
【0064】
自然空冷放熱器とファン(送風機)とをセットにした放熱システムは、自然空冷放熱器とファン(送風機)とを容易に分離できる構造であってもよく、自然空冷放熱器とファン(送風機)とを容易には分離できない構造であってもよい。自然空冷放熱器とファン(送風機)とをセットにした放熱システムは、例えば、強制放熱システム、強制空冷放熱器、強制空冷放熱装置などと呼ばれてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1A 第1実施形態に係る自然空冷放熱器
1B 第2実施形態に係る自然空冷放熱器
1C 第3実施形態に係る自然空冷放熱器
2 ベース部材
3 立設部材
4 補強フレーム
4A 支柱
4B 第1バー
4C 第2バー
4D ねじ
F1 第1面
F2 第2面
H1 穴
H2 貫通穴