(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039597
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】仮想空間生成装置、仮想空間生成プログラム、および、仮想空間生成方法
(51)【国際特許分類】
H04L 51/04 20220101AFI20240314BHJP
H04L 67/131 20220101ALI20240314BHJP
【FI】
H04L51/04
H04L67/131
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094051
(22)【出願日】2023-06-07
(62)【分割の表示】P 2022143959の分割
【原出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】名塚 一郎
(72)【発明者】
【氏名】稲地 隆志
(57)【要約】
【課題】仮想空間における会話の秘匿性を制御可能な仮想空間生成装置、仮想空間生成プログラム、および、仮想空間生成方法を提供する。
【解決手段】仮想空間生成装置は、仮想空間でのサービスの利用者となる第1ユーザのアバターと、仮想空間での第1ユーザの応対者となる第2ユーザのアバターとを仮想空間に配置する仮想空間生成部と、第2ユーザが操作する端末からの要求を受けて、当該第2ユーザと、当該第2ユーザによって指定された第1ユーザとを含むグループを設定するグループ管理部と、グループ内の端末から、当該端末に入力されたメッセージを示すグループ内会話情報を受けたとき、グループ内の端末のみにグループ内会話情報を送信し、グループ外の端末から、当該端末に入力されたメッセージを示すグループ外会話情報を受けたとき、グループ外の各端末にグループ外会話情報を送信する通信部と、を備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間でのサービスの利用者となる第1ユーザのアバターと、前記仮想空間での前記第1ユーザの応対者となる第2ユーザのアバターとを前記仮想空間に配置する仮想空間生成部と、
前記第2ユーザが操作する端末からの要求を受けて、当該第2ユーザと、当該第2ユーザによって指定された前記第1ユーザとを含むグループを設定するグループ管理部と、
前記グループに所属する前記第1ユーザまたは前記第2ユーザが操作する端末がグループ内端末であって、前記グループ内端末から、当該端末に入力されたメッセージを示す情報であるグループ内会話情報を受けたとき、当該グループの各グループ内端末のみに前記グループ内会話情報を送信し、かつ、
いずれの前記グループにも所属していない前記第1ユーザまたは前記第2ユーザが操作する端末がグループ外端末であって、前記グループ外端末から、当該端末に入力されたメッセージを示す情報であるグループ外会話情報を受けたとき、各グループ外端末に前記グループ外会話情報を送信する通信部と、を備え、
前記第1ユーザが前記アバターとして前記仮想空間に入場したとき、当該第1ユーザが操作する端末は、前記グループ外端末とされる
仮想空間生成装置。
【請求項2】
前記仮想空間は施設を含み、前記施設にて前記サービスが提供される
請求項1に記載の仮想空間生成装置。
【請求項3】
前記通信部は、前記グループに所属する前記第1ユーザのアバターが、前記グループに所属しない前記第1ユーザのアバターと、前記施設内の同一の空間に位置する状態で、前記グループ内会話情報を前記グループ内端末に送信する
請求項2に記載の仮想空間生成装置。
【請求項4】
前記通信部は、前記グループ外会話情報を、前記グループ内端末には送信しない
請求項1に記載の仮想空間生成装置。
【請求項5】
前記第1ユーザが操作する端末が第1端末であり、
前記第2ユーザが操作する端末が第2端末であり、
前記グループ管理部は、前記第1端末と前記第2端末とのうち、前記第2端末のみから、前記グループの設定の要求を受け付ける
請求項1に記載の仮想空間生成装置。
【請求項6】
前記グループ管理部は、前記グループ内端末のうち、前記グループの設定を要求した前記第2端末のみから当該グループへのユーザの追加および当該グループの解散の要求を受け付け、前記第1端末からは、前記第1ユーザの前記グループからの脱退の要求を受け付ける
請求項5に記載の仮想空間生成装置。
【請求項7】
1または複数のコンピュータに、
仮想空間でのサービスの利用者となる第1ユーザのアバターと、前記仮想空間での前記第1ユーザの応対者となる第2ユーザのアバターとを前記仮想空間に配置することと、
前記第2ユーザが操作する端末からの要求を受けて、当該第2ユーザと、当該第2ユーザによって指定された前記第1ユーザとを含むグループを設定することと、
前記グループに所属する前記第1ユーザまたは前記第2ユーザが操作する端末がグループ内端末であって、前記グループ内端末から、当該端末に入力されたメッセージを示す情報であるグループ内会話情報を受けたとき、当該グループの各グループ内端末のみに前記グループ内会話情報を送信することと、
いずれの前記グループにも所属していない前記第1ユーザまたは前記第2ユーザが操作する端末がグループ外端末であって、前記グループ外端末から、当該端末に入力されたメッセージを示す情報であるグループ外会話情報を受けたとき、各グループ外端末に前記グループ外会話情報を送信することと、
前記第1ユーザが前記アバターとして前記仮想空間に入場したとき、当該第1ユーザが操作する端末を、前記グループ外端末とすることと、を実行させる
仮想空間生成プログラム。
【請求項8】
1または複数のコンピュータが、
仮想空間でのサービスの利用者となる第1ユーザのアバターと、前記仮想空間での前記第1ユーザの応対者となる第2ユーザのアバターとを前記仮想空間に配置することと、
前記第2ユーザが操作する端末からの要求を受けて、当該第2ユーザと、当該第2ユーザによって指定された前記第1ユーザとを含むグループを設定することと、
前記グループに所属する前記第1ユーザまたは前記第2ユーザが操作する端末がグループ内端末であって、前記グループ内端末から、当該端末に入力されたメッセージを示す情報であるグループ内会話情報を受けたとき、当該グループの各グループ内端末のみに前記グループ内会話情報を送信することと、
いずれの前記グループにも所属していない前記第1ユーザまたは前記第2ユーザが操作する端末がグループ外端末であって、前記グループ外端末から、当該端末に入力されたメッセージを示す情報であるグループ外会話情報を受けたとき、各グループ外端末に前記グループ外会話情報を送信することと、
前記第1ユーザが前記アバターとして前記仮想空間に入場したとき、当該第1ユーザが操作する端末を、前記グループ外端末とすることと、を実行する
仮想空間生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想空間生成装置、仮想空間生成プログラム、および、仮想空間生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、仮想空間を利用した様々なサービスが提案されている。こうしたサービスを提供するためのシステムの一種では、現実空間で実施されているサービスに近しいサービスを仮想空間で実現することが試みられている。例えば、特許文献1のシステムでは、仮想空間内の店舗において、商品を購入しようとするユーザのアバターを仮想店員が接客する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
仮想空間において、サービスの利用者であるユーザ同士や、ユーザと仮想店員等の応対者とは、文字や音声によるチャットを用いて会話する。こうした会話の内容は、雑談から個人情報を含む話まで様々であり、他者に会話が漏れることを抑えるべき程度は区々である。それゆえ、仮想空間を提供するシステムとして、会話の秘匿性を制御可能なシステムの開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための仮想空間生成装置、仮想空間生成プログラム、および、仮想空間生成方法の各態様を記載する。
[態様1]仮想空間でのサービスの利用者となる第1ユーザのアバターと、前記仮想空間での前記第1ユーザの応対者となる第2ユーザのアバターとを前記仮想空間に配置する仮想空間生成部と、前記第2ユーザが操作する端末からの要求を受けて、当該第2ユーザと、当該第2ユーザによって指定された前記第1ユーザとを含むグループを設定するグループ管理部と、前記グループに所属する前記第1ユーザまたは前記第2ユーザが操作する端末がグループ内端末であって、前記グループ内端末から、当該端末に入力されたメッセージを示す情報であるグループ内会話情報を受けたとき、当該グループの各グループ内端末のみに前記グループ内会話情報を送信し、かつ、前記グループに所属していない前記第1ユーザまたは前記第2ユーザが操作する端末がグループ外端末であって、前記グループ外端末から、当該端末に入力されたメッセージを示す情報であるグループ外会話情報を受けたとき、各グループ外端末に前記グループ外会話情報を送信する通信部と、を備える仮想空間生成装置。
【0006】
上記構成によれば、グループに所属していないユーザに広く公開される会話が可能である一方、グループを設定することにより、グループ内のみに公開される会話が可能である。したがって、仮想空間での会話の秘匿性を制御することができる。
【0007】
[態様2]前記仮想空間は施設を含み、前記施設にて前記サービスが提供される、[態様1]に記載の仮想空間生成装置。
上記構成によれば、現実空間で提供される種々のサービスと同様の多様なサービスの提供が可能である。
【0008】
[態様3]前記通信部は、前記グループに所属する前記第1ユーザのアバターが、前記グループに所属しない前記第1ユーザのアバターと、前記施設内の同一の空間に位置する状態で、前記グループ内会話情報を前記グループ内端末に送信する、[態様2]に記載の仮想空間生成装置。
【0009】
上記構成によれば、個別のブース等に移動せずとも、例えば商品が展示されている空間のように話題に適した場所にアバターがいる状態で、第1ユーザと第2ユーザとの秘匿性の高い会話が可能である。
【0010】
[態様4]前記通信部は、前記グループ外会話情報を、前記グループ内端末には送信しない、[態様1]~[態様3]のいずれか1つに記載の仮想空間生成装置。
上記構成によれば、グループ内のユーザの会話にグループ外のユーザの発言が差し込まれることがないため、グループ内の会話が円滑に進行する。
【0011】
[態様5]前記第1ユーザが操作する端末が第1端末であり、前記第2ユーザが操作する端末が第2端末であり、前記グループ管理部は、前記第1端末と前記第2端末とのうち、前記第2端末のみから、前記グループの設定の要求を受け付ける、[態様1]~[態様4]のいずれか1つに記載の仮想空間生成装置。
【0012】
上記構成によれば、グループの乱立が抑えられるため、仮想空間生成装置の処理の負荷が抑えられる。また、秘匿性を高めるべき会話内容は、仮想空間でのサービス内容との関連がより大きい場合が多いため、第2ユーザがグループの設定の判断を行うことで、他に漏れることが好ましくない会話内容の秘匿性が的確に高められる。
【0013】
[態様6]前記グループ管理部は、前記グループ内端末のうち、前記グループの設定を要求した前記第2端末のみから当該グループへのユーザの追加および当該グループの解散の要求を受け付け、前記第1端末からは、前記第1ユーザの前記グループからの脱退の要求を受け付ける、[態様5]に記載の仮想空間生成装置。
【0014】
上記構成によれば、グループの編成が第2ユーザの主導で行われるため、サービス内容との関連がより大きい、秘匿性を高めるべき会話を行うグループが、的確に編成される。一方で、第1ユーザの意思によるグループからの脱退も可能であるため、グループへの参加状況について第1ユーザの自由度が確保される。
【0015】
[態様7]1または複数のコンピュータに、仮想空間でのサービスの利用者となる第1ユーザのアバターと、前記仮想空間での前記第1ユーザの応対者となる第2ユーザのアバターとを前記仮想空間に配置することと、前記第2ユーザが操作する端末からの要求を受けて、当該第2ユーザと、当該第2ユーザによって指定された前記第1ユーザとを含むグループを設定することと、前記グループに所属する前記第1ユーザまたは前記第2ユーザが操作する端末がグループ内端末であって、前記グループ内端末から、当該端末に入力されたメッセージを示す情報であるグループ内会話情報を受けたとき、当該グループの各グループ内端末のみに前記グループ内会話情報を送信することと、前記グループに所属していない前記第1ユーザまたは前記第2ユーザが操作する端末がグループ外端末であって、前記グループ外端末から、当該端末に入力されたメッセージを示す情報であるグループ外会話情報を受けたとき、各グループ外端末に前記グループ外会話情報を送信することと、を実行させる仮想空間生成プログラム。
【0016】
上記構成によれば、グループに所属していないユーザに広く公開される会話が可能である一方、グループを設定することにより、グループ内のみに公開される会話が可能である。したがって、仮想空間での会話の秘匿性を制御することができる。
【0017】
[態様8]1または複数のコンピュータが、仮想空間でのサービスの利用者となる第1ユーザのアバターと、前記仮想空間での前記第1ユーザの応対者となる第2ユーザのアバターとを前記仮想空間に配置することと、前記第2ユーザが操作する端末からの要求を受けて、当該第2ユーザと、当該第2ユーザによって指定された前記第1ユーザとを含むグループを設定することと、前記グループに所属する前記第1ユーザまたは前記第2ユーザが操作する端末がグループ内端末であって、前記グループ内端末から、当該端末に入力されたメッセージを示す情報であるグループ内会話情報を受けたとき、当該グループの各グループ内端末のみに前記グループ内会話情報を送信することと、前記グループに所属していない前記第1ユーザまたは前記第2ユーザが操作する端末がグループ外端末であって、前記グループ外端末から、当該端末に入力されたメッセージを示す情報であるグループ外会話情報を受けたとき、各グループ外端末に前記グループ外会話情報を送信することと、を実行する仮想空間生成方法。
【0018】
上記構成によれば、グループに所属していないユーザに広く公開される会話が可能である一方、グループを設定することにより、グループ内のみに公開される会話が可能である。したがって、仮想空間での会話の秘匿性を制御することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、仮想空間における会話の秘匿性を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】一実施形態の仮想空間提供システムの概略構成を示す図。
【
図2】一実施形態の仮想空間生成サーバの機能的構成を示す図。
【
図3】一実施形態の来場者端末の機能的構成を示す図。
【
図4】一実施形態のスタッフ端末の機能的構成を示す図。
【
図5】一実施形態のスタッフ端末に表示されるグループ管理画面の一例を示す図。
【
図6】一実施形態の仮想空間提供システムにおけるグループの編成について、仮想空間提供システムの処理の手順を示す図。
【
図7】一実施形態のスタッフ端末に表示されるグループ管理画面の一例を示す図。
【
図8】一実施形態の来場者端末に表示されるショップ画面の一例を示す図。
【
図9】一実施形態の仮想空間提供システムにおけるメッセージの送信について、仮想空間生成サーバの処理の手順を示す図。
【
図10】一実施形態のショップ画面が含むチャット領域の一例を示す図。
【
図11】一実施形態のショップ画面が含むチャット領域の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を参照して、仮想空間生成装置、仮想空間生成プログラム、および、仮想空間生成方法の一実施形態を説明する。
[仮想空間提供システムの全体構成]
図1を参照して、仮想空間提供システム100の全体構成を説明する。本実施形態では、一例として、仮想空間提供システム100が、種々の商品を取り扱う店舗での接客サービスに用いられる場合を説明する。
【0022】
図1に示すように、仮想空間提供システム100は、仮想空間生成装置の一例である仮想空間生成サーバ10と、1以上の来場者端末20と、1以上のスタッフ端末30とを備える。仮想空間生成サーバ10と、来場者端末20およびスタッフ端末30の各々とは、インターネット等のネットワークNWを介して接続されている。
【0023】
仮想空間生成サーバ10は、店舗を含む仮想空間VSを生成する。来場者端末20は、仮想空間VSの店舗を訪れるユーザである来場者ユーザPgに操作される端末である。来場者ユーザPgは、すなわち上記接客サービスの利用者である。来場者ユーザPgは、来場者端末20を操作することにより、アバターを用いて仮想空間VSの店舗を利用する。来場者ユーザPgは第1ユーザの一例であり、来場者端末20は第1端末の一例である。
【0024】
スタッフ端末30は、仮想空間VSの店舗で店員を務めるユーザであるスタッフユーザPsに操作される端末である。スタッフユーザPsは、すなわち、仮想空間VSの店舗での接客担当者である。スタッフユーザPsは、スタッフ端末30を操作することにより、アバターを用いて仮想空間VSの店舗で接客を行う。スタッフユーザPsは第2ユーザの一例であり、スタッフ端末30は第2端末の一例である。
なお、アバターは、仮想空間VSにてユーザの分身として動作するキャラクターである。
【0025】
本実施形態では、仮想空間VSに入場しているユーザに広く会話内容が公開されるパブリックチャットと、設定されたグループ内のユーザのみに会話内容が公開されるプライベートチャットとが可能である。プライベートチャットが利用されるグループは、スタッフユーザPsからの招待に基づき設定される。
【0026】
[仮想空間提供システムの装置構成]
図2~
図4を参照して、仮想空間提供システム100を構成する各装置の構成を説明する。
【0027】
図2を参照して、仮想空間生成サーバ10の機能的な構成を説明する。仮想空間生成サーバ10は、通信部11、制御部12、および、記憶部13を備えている。
通信部11は、ネットワークへの接続およびデータの送受信等、仮想空間生成サーバ10と来場者端末20およびスタッフ端末30の各々との通信処理を行う。
【0028】
制御部12は、記憶部13に格納された仮想空間生成プログラムを実行することにより、仮想空間生成部12a、グループ管理部12b、および、チャット制御部12cとして機能する。
【0029】
仮想空間生成部12aは、仮想空間VSを生成し、仮想空間VSにおける来場者ユーザPgやスタッフユーザPsのアバターの移動を管理する。
グループ管理部12bは、プライベートチャットが利用されるグループであるユーザグループGpを設定してその編成を管理する。具体的には、グループ管理部12bは、ユーザグループGpの作成、ユーザグループGpへのメンバーの追加および削除、ユーザグループGpの解散を行う。
【0030】
チャット制御部12cは、来場者端末20やスタッフ端末30から、チャットでの発言を示す会話情報を受けて、会話情報の送信先となる端末20,30を決定し、当該端末20,30に会話情報を通信部11を介して送信する。
【0031】
具体的には、チャット制御部12cは、ユーザグループGpに所属するユーザが操作する端末20,30であるグループ内端末から、当該端末に入力されたメッセージを示すグループ内会話情報を受けたとき、当該グループの各グループ内端末のみを、グループ内会話情報の送信先に設定する。
【0032】
また、チャット制御部12cは、ユーザグループGpに所属しないユーザが操作する端末20,30であるグループ外端末から、当該端末に入力されたメッセージを示すグループ外会話情報を受けたとき、各グループ外端末を、グループ外会話情報の送信先に設定する。
【0033】
上記仮想空間生成部12a、グループ管理部12b、および、チャット制御部12cの協働によって、仮想空間提供システム100の利用のための各種の画面を来場者端末20およびスタッフ端末30に表示させるためのデータが生成され、このデータが通信部11によって各端末20,30に送信される。来場者端末20に表示される画面には、ショップ画面が含まれ、スタッフ端末30に表示される画面には、グループ管理画面およびショップ画面が含まれる。
【0034】
なお、これらの画面を表示するためのデータの一部は各端末20,30に記憶されていてもよく、仮想空間生成サーバ10から送信されるデータは、例えばアバターの位置情報等、上記画面の表示内容の少なくとも一部を規定する情報を含んでいればよい。文字によるチャットが利用される場合、画面の表示内容を規定する情報には、上記会話情報も含まれる。
【0035】
記憶部13は、制御部12による処理の実行に必要な各種のプログラムやデータを記憶している。記憶部13は、こうしたプログラムの一例として、仮想空間生成プログラムを記憶している。また、記憶部13は、こうしたデータの一例として、仮想空間データ13a、および、ユーザ管理データ13bを記憶している。
【0036】
仮想空間データ13aは、仮想空間VSの生成に必要なデータ、例えば、空間に対して設定される三次元直交座標系の情報、空間に配置されるオブジェクトの位置情報や描画のための情報を含む。また、仮想空間データ13aは、来場者ユーザPgおよびスタッフユーザPsのアバターの描画のための情報を含む。
【0037】
ユーザ管理データ13bは、来場者ユーザPgおよびスタッフユーザPsに関する情報を含む。例えば、ユーザ管理データ13bは、来場者ユーザPgおよびスタッフユーザPsの各々について、ユーザ名や、ユーザグループGpへの所属の記録等を含む。これらのユーザに関する情報は、ユーザの識別情報と対応付けて管理されればよい。
【0038】
上記機能を有する仮想空間生成サーバ10の物理的な構成、すなわちハードウェア構成を説明する。仮想空間生成サーバ10は、CPU、MPU、GPU等の演算装置である電子回路、ROM、RAM、レジスタードメモリ、アンバッファードメモリ等のメモリ、および、SSD、HDD等のストレージを備える。演算装置は、ストレージからオペレーティングシステムや各種プログラムをメモリにロードし、メモリから取り出した命令を実行する。仮想空間生成サーバ10は、ASIC、FPGA等の集積回路を備えてもよい。
【0039】
また、仮想空間生成サーバ10は、ネットワークを介して接続先の装置との間でデータを送受信する通信インターフェースを備えている。通信インターフェースは、ハードウェア、ソフトウェア、または、これらの組み合わせとして実装されている。
【0040】
仮想空間生成サーバ10が実行する各処理は、仮想空間生成サーバ10が備えるソフトウェアによって実行されてもよいし、仮想空間生成サーバ10が備える集積回路とソフトウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0041】
図3を参照して、来場者端末20の機能的な構成を説明する。来場者端末20は、通信部21、制御部22、記憶部23、入力部24、および、出力部25を備えている。
通信部21は、ネットワークへの接続やデータの送受信等、来場者端末20と仮想空間生成サーバ10との通信処理を行う。入力部24は、来場者端末20に対する操作や音声の入力を受け付けて、入力に応じたデータや信号を制御部22に送る。出力部25は、制御部22からのデータや信号を受けて、画像や音声を出力する。
【0042】
記憶部23は、制御部22による処理の実行に必要な各種のプログラムやデータを記憶している。記憶部23は、こうしたプログラムの一例として、来場者管理プログラムを記憶している。
【0043】
制御部22は、記憶部23に格納された来場者管理プログラムを実行することにより、来場者画面管理部22aとして機能する。来場者画面管理部22aは、ショップ画面等の画面を出力部25が含む表示部に表示させる。また、来場者画面管理部22aは、表示されている画面に対するユーザの操作に応じた情報を、通信部21を介して仮想空間生成サーバ10に送信する。
【0044】
仮想空間提供システム100における来場者端末20の機能は、仮想空間提供システム100の利用のためのアプリケーションソフトウェアによって具体化される。上記来場者管理プログラムは、当該アプリケーションソフトウェアに含まれる。
【0045】
図4を参照して、スタッフ端末30の機能的な構成を説明する。スタッフ端末30は、通信部31、制御部32、記憶部33、入力部34、および、出力部35を備えている。
通信部31は、ネットワークへの接続およびデータの送受信等、スタッフ端末30と仮想空間生成サーバ10との通信処理を行う。入力部34は、スタッフ端末30に対する操作や音声の入力を受け付けて、入力に応じたデータや信号を制御部32に送る。出力部35は、制御部32からのデータや信号を受けて、画像や音声を出力する。
【0046】
記憶部33は、制御部32による処理の実行に必要な各種のプログラムやデータを記憶している。記憶部33は、こうしたプログラムの一例として、スタッフ管理プログラムを記憶している。
【0047】
制御部32は、記憶部33に格納されたスタッフ管理プログラムを実行することにより、スタッフ画面管理部32aとして機能する。スタッフ画面管理部32aは、グループ管理画面やショップ画面を出力部35が含む表示部に表示させる。また、スタッフ画面管理部32aは、表示されている画面に対するユーザの操作に応じた情報を、通信部31を介して仮想空間生成サーバ10に送信する。
【0048】
仮想空間提供システム100におけるスタッフ端末30の機能は、仮想空間提供システム100の利用のためのアプリケーションソフトウェアによって具体化される。上記スタッフ管理プログラムは、当該アプリケーションソフトウェアに含まれる。
【0049】
来場者端末20およびスタッフ端末30の物理的な構成、すなわちハードウェア構成を説明する。来場者端末20およびスタッフ端末30の各々は、スマートフォン、タブレット装置、パーソナルコンピュータ、ウェアラブルコンピュータ、または、これらの装置以外の画像を表示可能な情報処理装置である。
【0050】
来場者端末20およびスタッフ端末30の各々は、CPU等の回路である演算装置が、ストレージからオペレーティングシステムや各種プログラムをメモリにロードし、メモリから取り出した命令を実行するように構成されており、通信インターフェースによって仮想空間生成サーバ10と通信を行う。また、来場者端末20およびスタッフ端末30の各々は、タッチパネル、操作ボタン、キーボード、マウス、コントローラ、カメラ、マイク等の入力装置と、ディスプレイおよびスピーカを含む出力装置とを備えている。
【0051】
[グループの編成]
ユーザグループGpの編成について、仮想空間提供システム100の動作を説明する。
図5は、スタッフ端末30に表示されるグループ管理画面IGの一例を示す。グループ管理画面IGでは、仮想空間VSの店舗に入場している来場者ユーザPgおよびスタッフユーザPsの一覧が、ユーザ名やアバターによって表示される。このユーザの一覧では、ユーザグループGpに招待可能なユーザが選択可能に示される。ユーザグループGpに招待可能なユーザとは、他のユーザグループGpに参加していないユーザである。
【0052】
図5に示す例では、鍵アイコンC1が付されているユーザは、他のユーザグループGpに参加中のユーザであり、ユーザグループGpに招待することができない。電話アイコンC2が付されているユーザは、スタッフ端末30の操作者であるスタッフユーザPs自身である。なお、ユーザの一覧には来場者ユーザPgのみが表示されて、来場者ユーザPgのみがユーザグループGpに招待可能であってもよい。
さらに、グループ管理画面IGは、ユーザグループGpのへのユーザの招待を指示するための領域である招待指示領域R1を含む。
【0053】
なお、来場者ユーザPgは、来場者端末20にて、仮想空間提供システム100の利用のためのアプリケーションソフトウェアを起動し、ログイン処理や入店する店舗の選択等の所定の操作を行うことで、仮想空間VSの店舗にアバターとして入場する。すなわち、来場者端末20にて上記所定の操作が行われたとき、仮想空間生成サーバ10は、仮想空間VSに来場者ユーザPgのアバターの位置を設定し、仮想空間VS内を表示する画面であるショップ画面の表示内容を示すデータを来場者端末20に送信する。
【0054】
同様に、スタッフユーザPsは、スタッフ端末30にて所定の操作を行うことで、仮想空間VSの店舗にアバターとして入場する。すなわち、スタッフ端末30にて上記所定の操作が行われたとき、仮想空間生成サーバ10は、仮想空間VSにスタッフユーザPsのアバターの位置を設定し、仮想空間VS内を表示する画面であるショップ画面の表示内容を示すデータをスタッフ端末30に送信する。
こうした仮想空間VSへの来場者ユーザPgおよびスタッフユーザPsのアバターの配置は、仮想空間生成部12aとしての処理である。
【0055】
グループ管理画面IGは、例えば、ショップ画面に対する所定の操作に基づいたスタッフ端末30からのグループ管理画面IGの情報の要求に応じて、仮想空間生成サーバ10がスタッフ端末30へグループ管理画面IGの表示内容を示すデータを送信することによって、スタッフ端末30に表示される。
【0056】
図6を参照して、ユーザグループGpの編成について、仮想空間提供システム100の処理の流れを説明する。
図6に示すように、スタッフ端末30のグループ管理画面IGにて、ユーザグループGpに招待するユーザが指定されるとともに招待指示領域R1が選択されると、この操作を示す情報、言い換えれば、招待対象および招待の指示を示す情報が、スタッフ端末30から仮想空間生成サーバ10に送信される(ステップS10)。
【0057】
招待対象および招待の指示を示す情報を受けると、仮想空間生成サーバ10は、スタッフ端末30の操作者であるスタッフユーザPsを管理者としたユーザグループGpを、ユーザ管理データ13bに記録する(ステップS11)。これにより、ユーザグループGpが作成されてスタッフユーザPsが管理者に設定される。
そして、仮想空間生成サーバ10は、指定された招待対象に対応する来場者ユーザPgの来場者端末20に、招待通知を送信する(ステップS12)。
【0058】
招待通知を受信した来場者端末20にて、来場者ユーザPgの操作に基づき、ユーザグループGpへの参加が承認されると、この操作を示す情報、言い換えれば、参加の承認を示す情報が、来場者端末20から仮想空間生成サーバ10に送信される(ステップS13)。
【0059】
参加の承認を示す情報を受けると、仮想空間生成サーバ10は、参加を承認した来場者ユーザPgを、ユーザグループGpのメンバーとしてユーザ管理データ13bに記録する(ステップS14)。これにより、ユーザグループGpに来場者ユーザPgが追加され、2人以上のユーザを含むユーザグループGpが設定される。
【0060】
なお、グループ管理画面IGでは、ユーザグループGpに招待する複数のユーザを一括して選択可能であってもよい。また、グループ管理画面IGを通じたユーザの招待が繰り返されることにより、ユーザグループGpにユーザが順に追加されてもよい。上記において、ステップS11,ステップS12,ステップS14の処理は、グループ管理部12bとしての処理である。
【0061】
図7は、ユーザグループGpの設定後のグループ管理画面IGの一例を示す。グループ管理画面IGでは、仮想空間VSの店舗に入場しているユーザの一覧において、スタッフ端末30の操作者であるスタッフユーザPsが所属するユーザグループGpのメンバーが、他のユーザと分けて示されている。
【0062】
また、グループ管理画面IGは、ユーザグループGpの解散を指示するための領域である解散指示領域R2を含む。解散指示領域R2が選択されることに基づき、スタッフ端末30からグループの解散の指示を受けたとき、仮想空間生成サーバ10は、ユーザグループGpを解散するようにユーザ管理データ13bを更新する。すなわち、仮想空間生成サーバ10は、ユーザグループGpに所属するすべてのユーザを当該ユーザグループGpから削除して、ユーザグループGpを削除する。
【0063】
以上のように、管理者であるスタッフユーザPsは、グループの編成操作として、ユーザグループGpへのユーザの招待、および、ユーザグループGpの解散の権限を有する。一方、ユーザグループGpに参加中の来場者ユーザPgは、上記ユーザの招待およびグループの解散の権限を有していない一方で、ユーザグループGpからの脱退の権限を有している。ユーザグループGpからの脱退は、自分のみがユーザグループGpから抜けることを意味する。
【0064】
例えば、来場者端末20のショップ画面から呼び出される画面にて、グループに参加中のユーザの一覧と共に、ユーザグループGpからの脱退を指示するための領域である脱退指示領域が表示される。脱退指示領域が選択されることに基づき、来場者端末20から、グループからの脱退の指示を受けたとき、仮想空間生成サーバ10は、ユーザグループGpから来場者端末20の操作者である来場者ユーザPgを削除するように、ユーザ管理データ13bを更新する。
【0065】
なお、来場者端末20に表示されるユーザの一覧の画面は、スタッフ端末30のグループ管理画面IGと同様にユーザの一覧を表示する画面であってもよく、スタッフ端末30では招待指示領域R1および解散指示領域R2が表示されることに対して、来場者端末20では、脱退指示領域が表示されればよい。
【0066】
[チャットの利用]
チャットを利用した会話が行われる場合について、仮想空間提供システム100の動作を説明する。まず、パブリックチャットおよびプライベートチャットとして、文字によるチャットが行われる場合を説明する。
【0067】
図8は、来場者端末20に表示されるショップ画面ISの一例を示す。ショップ画面ISは、来場者端末20の操作者である来場者ユーザPgのアバターAaが配置された仮想空間VS内を表示する領域であるショップ領域R3を含む。来場者端末20に対する操作を通じてアバターAaを移動させることで、仮想空間VSの店舗内をアバターAaが移動し、これに伴ってショップ領域R3が含む店舗内の範囲も移動する。これにより、店内に配置されている商品等の展示物を見る等、仮想空間VSでの来場者ユーザPgの活動が可能である。ショップ領域R3が含む範囲に他の来場者ユーザPgやスタッフユーザPsのアバターAbが位置する場合には、これらのアバターAbも表示される。
【0068】
また、ショップ画面ISは、チャットにて送受信されたメッセージを表示するチャット領域R4と、メッセージを入力してチャットにて送信するための領域である入力領域R5とを含む。入力領域R5にメッセージが入力されて送信が指示されると、当該メッセージを示す情報である会話情報が、来場者端末20から仮想空間生成サーバ10に送信される。
スタッフ端末30に表示されるショップ画面も、上記来場者端末20のショップ画面ISと同様の構成を有し、ショップ領域R3とチャット領域R4と入力領域R5とを含む。
【0069】
図9は、来場者端末20またはスタッフ端末30から会話情報を受けたときの仮想空間生成サーバ10の処理を示す。
【0070】
まず、仮想空間生成サーバ10は、会話情報の送信者であるユーザが、ユーザグループGpに参加中であるかを判断する(ステップS20)。ユーザがユーザグループGpに参加中である場合(ステップS20で肯定判定)、仮想空間生成サーバ10は、会話情報を、ユーザが参加しているユーザグループGpのメンバーの端末20,30、すなわちグループ内端末に送信する(ステップS21)。この場合の会話情報が、グループ内会話情報である。
【0071】
ユーザがユーザグループGpに参加中でない場合(ステップS20で否定判定)、仮想空間生成サーバ10は、会話情報を、ユーザグループGpに参加していない端末20,30、すなわちグループ外端末に送信する(ステップS22)。この場合の会話情報が、グループ外会話情報である。
会話情報を受信した端末20,30は、会話情報に基づくメッセージをチャット領域R4に表示する。
【0072】
以上のように、ユーザグループGpに参加中のユーザが送信したメッセージは、当該ユーザグループGpのユーザの端末20,30のみに表示され、他のユーザの端末20,30には表示されない。これにより、ユーザグループGp内でのプライベートチャットが可能とされる。
【0073】
一方、ユーザグループGpに参加していないユーザが送信したメッセージは、ユーザグループGpに参加していないすべてのユーザの端末20,30に表示される。これにより、パブリックチャットが可能とされる。
【0074】
なお、パブリックチャットによるメッセージは、ユーザグループGpに参加中のユーザの端末20,30には表示されない。すなわち、来場者端末20およびスタッフ端末30には、パブリックチャットとプライベートチャットとのいずれかのメッセージのみが表示される。また、ユーザグループGpに参加中のユーザは、パブリックチャットでのメッセージの送信はできない。すなわち、ユーザグループGpに参加中のユーザの端末20,30から送信される会話情報は、すべてグループ内会話情報である。
【0075】
図10は、ユーザグループGpに参加中のユーザの端末20,30に表示されるショップ画面ISについて、チャット領域R4を抜粋してその一例を示す。また、
図11は、ユーザグループGpに参加していないユーザの端末20,30に表示されるショップ画面ISについて、チャット領域R4を抜粋してその一例を示す。
【0076】
図10に示す例において、「佐藤」というユーザ名の来場者ユーザPgの「スタッフさん、質問があるのですが」というメッセージはパブリックチャットによるメッセージである。このメッセージを見た「スタッフA」というユーザ名のスタッフユーザPsが、「佐藤」という来場者ユーザPgを招待してユーザグループGpを設定することにより、これら2人のユーザを含むユーザグループGpが設定されて、プライベートチャットが開始されたとする。その結果、ユーザグループGpに参加中の「佐藤」および「スタッフA」のユーザの端末20,30には、
図10に示すように、「佐藤」および「スタッフA」によるプライベートチャットでのメッセージが表示される。プライベートチャットでのメッセージは、パブリックチャットでのメッセージと識別可能に表示されることが好ましい。
【0077】
一方、
図11に示す例において、ユーザグループGpに参加していないユーザの端末20,30では、
図10と同様の「佐藤」というユーザ名の来場者ユーザPgの「スタッフさん、質問があるのですが」というメッセージの後も、パブリックチャットによるメッセージが表示され、プライベートチャットによるメッセージは表示されない。そして、
図10に示すように、プライベートチャットが開始されてからは、ユーザグループGpに参加中のユーザの端末20,30には、パブリックチャットによるメッセージは表示されない。
【0078】
以上のように、本実施形態では、パブリックチャットとして、仮想空間VSに入場しているユーザに広く公開される会話が可能である一方で、ユーザグループGpを設定することにより、プライベートチャットとして、グループ内のみに公開される会話が可能である。したがって、他者に会話が漏れることを抑えたい場合には、ユーザグループGpを設定することで会話の秘匿性を高めることが可能であり、仮想空間VSでの会話の秘匿性を制御することができる。
【0079】
また、スタッフユーザPsのみが、ユーザグループGpの設定の権限を有していることから、グループの乱立が抑えられるため、仮想空間生成サーバ10の処理の負荷が抑えられる。さらに、秘匿性を高めるべき会話内容は、仮想空間VSでのサービス内容との関連がより大きい場合が多いため、スタッフユーザPsがユーザグループGpの設定の判断を行うことで、他に漏れることが好ましくない会話内容の秘匿性が的確に高められる。
なお、ユーザグループGpの設定とは、ユーザグループGpが作成されてスタッフユーザPsの他に少なくとも1人の来場者ユーザPgがグループに追加されることを意味する。
【0080】
また、プライベートチャットでの会話は、ユーザグループGpに所属するユーザのアバターが、グループ外のユーザのアバターと同一の空間にいる状態で可能である。すなわち、ユーザグループGpに参加中のユーザは、店舗内の個別のブース等に移動せずとも、グループ内のみの会話が可能である。例えば、仮想空間VSの店舗内において、商品等の展示物が展示されている空間にて、グループ外のユーザのアバターが同一の空間にいる場合であっても、展示物を見ながらスタッフユーザPsと来場者ユーザPgとがグループ内のみの会話を行うことができる。このように、会話の場所についての自由度が高いため、話題に適した場所にアバターがいる状態で、スタッフユーザPsと来場者ユーザPgとの秘匿性の高い会話が可能である。
【0081】
また、ユーザグループGpへの参加中には、プライベートチャットでのメッセージのみが端末20,30に表示されることにより、グループ内の会話にグループ外のユーザの発言が差し込まれることがないため、グループ内の会話が円滑に進行する。こうした構成は、特に、パブリックチャットによるメッセージとプライベートチャットによるメッセージとが同一のチャット領域R4に表示される形態や、来場者端末20やスタッフ端末30が、スマートフォンのように小さい表示領域を有する装置であってチャット領域R4を大きくすることが困難である場合に有用である。
【0082】
なお、パブリックチャットおよびプライベートチャットは、音声や映像によっても可能である。すなわち、端末20,30に入力されるメッセージは、文字に限らず、音声や、画像と音声とを含む映像であってもよい。言い換えれば、会話情報は、文字のデータに限らず、音声や映像のデータを含んでいてもよい。チャットが音声や映像で行われる場合であっても、グループ内会話情報は、グループ内端末のみに送信され、グループ外会話情報は、グループ外端末のみに送信される。
【0083】
メッセージが音声を含む場合、パブリックチャットでは、ユーザ間の距離に応じて、メッセージの出力の音量が変更され、プライベートチャットでは、ユーザ間の距離に関わらず、メッセージの出力の音量が一定とされることが好ましい。
【0084】
具体的には、会話情報が音声のデータを含む場合、グループ外会話情報は、メッセージを入力したユーザのアバターと、メッセージの送信先のユーザのアバターとの仮想空間VS内での距離が遠いほど、送信先の端末にてメッセージが小さい音量で出力されるように、仮想空間生成サーバ10からグループ外端末に送信される。これにより、仮想空間VS内にて発言者のアバターが自身のアバターから離れているほど、発言者の発言がユーザには小さく聞こえるため、仮想空間VS内での活動の臨場感が高められる。
【0085】
一方、会話情報が音声のデータを含む場合、グループ内会話情報は、メッセージを入力したユーザのアバターと、メッセージの送信先のユーザのアバターとの仮想空間VS内での距離に関わらず、送信先の端末にてメッセージが一定の音量で出力されるように、仮想空間生成サーバ10からグループ内端末に送信される。プライベートチャットでの会話内容の重要性は、パブリックチャットと比較して高いことが多いため、プライベートチャットでの会話が一定の音量で出力されることにより、会話内容の把握が円滑に可能である。
【0086】
以上説明したように、上記実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)ユーザグループGpに所属していないユーザに広く公開される会話が可能である一方、ユーザグループGpを設定することにより、グループ内のみに公開される会話が可能である。したがって、仮想空間VSでの会話の秘匿性を制御することができる。
【0087】
(2)グループ外会話情報がグループ内端末には送信されないため、ユーザグループGpへの参加中のユーザの端末20,30には、プライベートチャットでのメッセージのみが表示される。そのため、グループ内の会話にグループ外のユーザの発言が差し込まれることがないため、グループ内の会話が円滑に進行する。
【0088】
(3)仮想空間生成サーバ10は、来場者端末20とスタッフ端末30とのうち、スタッフ端末30のみから、グループの設定の要求を受け付ける。すなわち、スタッフユーザPsのみが、ユーザグループGpの設定の権限を有している。それゆえ、グループの乱立が抑えられて仮想空間生成サーバ10の処理の負荷が抑えられる。さらに、スタッフユーザPsがユーザグループGpの設定の判断を行うことで、サービスの内容に関連して他に漏れることが好ましくない会話内容の秘匿性が、的確に高められる。
【0089】
(4)仮想空間生成サーバ10は、グループ内の来場者端末20とスタッフ端末30とのうち、グループの設定を要求したスタッフ端末30のみから当該グループへのユーザの追加および当該グループの解散の要求を受け付け、来場者端末20からは、来場者ユーザPgのグループからの脱退の要求を受け付ける。このように、ユーザグループGpの編成がスタッフユーザPsの主導で行われるため、サービス内容との関連がより大きい、秘匿性を高めるべき会話を行うグループが、的確に編成される。一方で、来場者ユーザPgの意思によるグループからの脱退も可能であるため、グループへの参加状況について来場者ユーザPgの自由度が確保される。
【0090】
(5)ユーザグループGpに所属する来場者ユーザPgのアバターが、ユーザグループGpに所属しない来場者ユーザPgのアバターと、仮想空間VSにおける店舗等の施設内の同一の空間に位置する状態で、グループ内会話情報がグループ内端末に送信される。これにより、個別のブース等に移動せずとも、話題に適した場所にアバターがいる状態で、スタッフユーザPsと来場者ユーザPgとの秘匿性の高い会話が可能である。
【0091】
[変形例]
上記実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。
・パブリックチャットでの会話内容は、仮想空間VSの店舗内のユーザすべてに公開されてもよい。すなわち、グループ外会話情報は、グループ外端末に加えて、グループ内端末にも送信されてもよい。
【0092】
・ユーザグループGpの編成についての権限は、上記実施形態とは異なっていてもよい。例えば、来場者ユーザPgによってユーザグループGpへのメンバーの追加が可能であってもよいし、管理者であるスタッフユーザPsの脱退が可能であって、管理者の権限が他のユーザに移動してもよい。
【0093】
・仮想空間提供システム100の用途は、商品を取り扱う店舗での接客サービスに限られない。例えば、仮想空間提供システム100が接客サービスに用いられる場合、仮想空間VSが含む施設は、店舗に限らず、展示会等のイベントの会場や、モデルルームであってもよい。接客サービスには、例えば、商品の販売や説明、展示物や施設内の説明、観光案内等が含まれる。また、商品には、物品に限らず金融商品等も含まれる。
【0094】
また、仮想空間提供システム100は、カウンセリング等の医療サービスや、教育サービス、行政サービス等に用いられてもよい。要は、仮想空間VSでのサービスの利用者である第1ユーザと、仮想空間VSでの第1ユーザの応対者となる第2ユーザとが、アバターとして仮想空間VSに入場すればよい。第2ユーザは、言い換えれば、サービスの提供者である。
【0095】
仮想空間VSが含む施設は、所定の目的のために設けられた構造物や建物であればよく、例えば、商業施設、金融施設、公共施設、医療施設、福祉施設、観光施設、工場等であり得る。また、仮想空間提供システム100が観光案内に用いられる場合等には、仮想空間VSは、施設を含まず、木や岩等の自然物のオブジェクトが配置された空間であってもよい。
【0096】
・仮想空間提供システム100は、来場者端末20およびスタッフ端末30に入出力される文章や音声について、多言語による翻訳や同時通訳を実施してもよい。こうした構成によれば、来場者ユーザPgやスタッフユーザPs、取り扱われる商品等について、グローバルな対応が可能である。
【0097】
・仮想空間生成サーバ10の機能は、複数の情報処理装置によって実現されてもよい。1つの情報処理装置は単体のコンピュータ装置である。すなわち、仮想空間生成装置は、1または複数の情報処理装置から構成されていればよい。
【符号の説明】
【0098】
Pg…来場者ユーザ
Ps…スタッフユーザ
VS…仮想空間
10…仮想空間生成サーバ
20…来場者端末
30…スタッフ端末
100…仮想空間提供システム