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特開2024-39602α-クロロアクリル酸エステル類の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039602
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】α-クロロアクリル酸エステル類の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 67/307 20060101AFI20240314BHJP
   C07C 69/63 20060101ALI20240314BHJP
   C07C 67/317 20060101ALI20240314BHJP
   C07C 69/653 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
C07C67/307
C07C69/63 CSP
C07C67/317
C07C69/653
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106418
(22)【出願日】2023-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2022143607
(32)【優先日】2022-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白井 淳
(72)【発明者】
【氏名】平野 暁久
(72)【発明者】
【氏名】尾形 明俊
(72)【発明者】
【氏名】黒木 克親
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC30
4H006BB21
4H006BC35
4H006BD70
4H006BE53
4H006BJ50
4H006KA31
(57)【要約】
【課題】生産性等に優れたα-クロロアクリル酸エステル類の製造方法等の提供。
【解決手段】下記式(2)で表される化合物を製造する方法であって、極性溶媒の存在下、下記式(1)で表される化合物を塩素と反応させる工程Aを含む方法が開示される。
(式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は有機基であるか、或いは、R及びRは、互いに結合して、隣接する炭素原子と共に環を形成しており、Rは、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基である。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(2):
【化1】
(式中、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は有機基であるか、或いは、
及びRは、互いに結合して、隣接する炭素原子と共に環を形成しており、
は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基である。)で表される化合物を製造する方法であって、
極性溶媒の存在下、下記式(1):
【化2】
(式中、R、R、及びRは、前記と同意義である。)
で表される化合物を塩素と反応させる工程A
を含む方法。
【請求項2】
下記式(3):
【化3】
(式中、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は有機基であるか、或いは、
及びRは、互いに結合して、隣接する炭素原子と共に環を形成しており、
は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基である。)で表される化合物を製造する方法であって、
極性溶媒の存在下、下記式(1):
【化4】
(式中、R、R、及びRは、前記と同意義である。)
で表される化合物を塩素と反応させる工程A、及び
前記工程Aの反応生成物を塩基と反応させる工程B
を含む方法。
【請求項3】
前記極性溶媒が、ニトリル系溶媒、エステル系溶媒、カーボネート系溶媒、及びカルボン酸系溶媒からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記極性溶媒のRohrschneider極性パラメータP’が、4.3以上である(但し、前記極性溶媒はアルコール系溶媒ではない)、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記極性溶媒の使用量が、前記式(1)で表される化合物100質量部に対して、100~10000質量部の範囲内である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記工程Aが遮光下で実施される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
及びRが、それぞれ独立して、水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
が、ハロアルキル基、ハロアリール基、又はハロアラルキル基である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
下記式(3A):
【化5】
で表される化合物。
【請求項10】
下記式(3):
【化6】
(式中、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は有機基であるか、或いは、
及びRは、互いに結合して、隣接する炭素原子と共に環を形成しており、
は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基である。)で表される化合物、及び水を含む組成物であって、
水の含有量が、0.001~0.1質量%の範囲内である組成物。
【請求項11】
下記式(3):
【化7】
(式中、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は有機基であるか、或いは、
及びRは、互いに結合して、隣接する炭素原子と共に環を形成しており、
は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基である。)で表される化合物、並びに
下記式(4A):
31-OH (4A)
(式中、R31は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基である。)
で表される化合物、下記式(4B):
【化8】
(式中、R32は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基である。)
で表される化合物、及び下記式(4C):
【化9】
(式中、R33は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基である。)
で表される化合物
からなる群より選択される少なくとも一種を含む組成物であって、
下記(a)、(b)、及び(c)の少なくとも1つを満たす組成物:
(a)前記式(4A)で表される化合物の含有量が、0.01~5質量%の範囲内である、
(b)前記式(4B)で表される化合物の含有量が、0.01~1.5質量%の範囲内である、
(c)前記式(4C)で表される化合物の含有量が、0.01~1.5質量%の範囲内である。
【請求項12】
下記式(3):
【化10】
(式中、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は有機基であるか、或いは、
及びRは、互いに結合して、隣接する炭素原子と共に環を形成しており、
は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基である。)で表される化合物を含み、及びハーゼン色数が100以下である組成物。
【請求項13】
【化11】
(式中、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は有機基であるか、或いは、
及びRは、互いに結合して、隣接する炭素原子と共に環を形成しており、
は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基である。)で表される化合物を含み、及び塩素イオンが1000ppm以下である組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、α-クロロアクリル酸エステル類の製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
α-クロロアクリル酸エステル類の製造方法として、(1)アクリル酸エステルのジクロロ化、及び(2)脱塩化水素反応を経る製造方法が知られている。
【0003】
特許文献1には、アクリル酸1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-フェニルプロパン-2-イルをクロロホルム中で塩素と反応させてジクロロ化し、次いでピリジンと反応させて脱塩化水素し、α-クロロアクリル酸1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-フェニルプロパン-2-イルを製造したことが記載されている。
【0004】
特許文献2には、光を照射しながら、四塩化炭素の撹拌下、アクリル酸又はそのエステルを一定流量で供給し、同時に塩素ガスを一定流量で吹き込んで塩素化反応を行い、1,2-ジクロロプロピオン酸又はそのエステルを製造したことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭64-26611号公報
【特許文献2】特開昭61-134343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のジクロロ化反応のように、溶媒としてクロロホルムを用いると、CClが副生する。CClは昇華性があるため、蒸留精製時に操作性を低下させるという問題がある。また、特許文献2のジクロロ化反応は、ラジカル機構で反応が進行するため、アクリル酸又はそのエステルの重合(又は二量化)反応が進行し、収率を低下させるという問題がある。また、ラジカル機構で進行することでポリ塩素化反応が進行しやすくなるという問題もある。
【0007】
本開示は、生産性等に優れたα-クロロアクリル酸エステル類の製造方法等を提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、次の態様を包含する。
項1.
下記式(2):
【化1】
(式中、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は有機基であるか、或いは、
及びRは、互いに結合して、隣接する炭素原子と共に環を形成しており、
は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基である。)で表される化合物を製造する方法であって、
極性溶媒の存在下、下記式(1):
【化2】
(式中、R、R、及びRは、前記と同意義である。)
で表される化合物を塩素と反応させる工程A
を含む方法。
項2.
下記式(3):
【化3】
(式中、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は有機基であるか、或いは、
及びRは、互いに結合して、隣接する炭素原子と共に環を形成しており、
は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基である。)で表される化合物を製造する方法であって、
極性溶媒の存在下、下記式(1):
【化4】
(式中、R、R、及びRは、前記と同意義である。)
で表される化合物を塩素と反応させる工程A、及び
前記工程Aの反応生成物を塩基と反応させる工程B
を含む方法。
項3.
前記極性溶媒が、ニトリル系溶媒、エステル系溶媒、カーボネート系溶媒、及びカルボン酸系溶媒からなる群より選択される少なくとも一種である、項1又は2に記載の方法。
項4.
前記極性溶媒のRohrschneider極性パラメータP’が、4.3以上である(但し、前記極性溶媒はアルコール系溶媒ではない)、項1~3のいずれか一項に記載の方法。
項5.
前記極性溶媒の使用量が、前記式(1)で表される化合物100質量部に対して、100~10000質量部の範囲内である、項1~4のいずれか一項に記載の方法。
項6.
前記工程Aが遮光下で実施される、項1~5のいずれか一項に記載の方法。
項7.
及びRが、それぞれ独立して、水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基である、項1~6のいずれか一項に記載の方法。
項8.
が、ハロアルキル基、ハロアリール基、又はハロアラルキル基である、項1~7のいずれか一項に記載の方法。
項9.
下記式(3A):
【化5】
で表される化合物。
項10.
下記式(3):
【化6】
(式中、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は有機基であるか、或いは、
及びRは、互いに結合して、隣接する炭素原子と共に環を形成しており、
は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基である。)で表される化合物、及び水を含む組成物であって、
水の含有量が、0.001~0.1質量%の範囲内である組成物。
項11.
下記式(3):
【化7】
(式中、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は有機基であるか、或いは、
及びRは、互いに結合して、隣接する炭素原子と共に環を形成しており、
は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基である。)で表される化合物、並びに
下記式(4A):
31-OH (4A)
(式中、R31は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基である。)
で表される化合物、下記式(4B):
【化8】
(式中、R32は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基である。)
で表される化合物、及び下記式(4C):
【化9】
(式中、R33は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基である。)
で表される化合物
からなる群より選択される少なくとも一種を含む組成物であって、
下記(a)、(b)、及び(c)の少なくとも1つを満たす組成物:
(a)前記式(4A)で表される化合物の含有量が、0.01~5質量%の範囲内である、
(b)前記式(4B)で表される化合物の含有量が、0.01~1.5質量%の範囲内である、
(c)前記式(4C)で表される化合物の含有量が、0.01~1.5質量%の範囲内である。
項12.
下記式(3):
【化10】
(式中、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は有機基であるか、或いは、
及びRは、互いに結合して、隣接する炭素原子と共に環を形成しており、
は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基である。)で表される化合物を含み、及びハーゼン色数が100以下である組成物。
項13.
【化11】
(式中、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は有機基であるか、或いは、
及びRは、互いに結合して、隣接する炭素原子と共に環を形成しており、
は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基である。)で表される化合物を含み、及び塩素イオンが1000ppm以下である組成物。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、生産性等に優れたα-クロロアクリル酸の製造方法等が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の前記概要は、本開示の各々の開示された実施形態又は全ての実装を記述することを意図するものではない。
【0011】
本開示の後記説明は、実例の実施形態をより具体的に例示する。本開示のいくつかの箇所では、例示を通してガイダンスが提供され、及びこの例示は、様々な組み合わせにおいて使用できる。それぞれの場合において、例示の群は、非排他的な、及び代表的な群として機能できる。
【0012】
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられる。
【0013】
1.用語
本明細書中の記号及び略号は、特に限定のない限り、本明細書の文脈に沿い、本開示が属する技術分野において通常用いられる意味に理解できる。
【0014】
本明細書中、語句「含有する」は、語句「から本質的になる」、及び語句「からなる」を包含することを意図して用いられる。
【0015】
特に限定されない限り、本明細書中に記載されている工程、処理、又は操作は、室温で実施され得る。本明細書中、室温は、10~40℃の範囲内の温度を意味することができる。
【0016】
本明細書中、表記「Cn-m」(ここで、n、及びmは、それぞれ、1以上の整数であり、n<mである。)は、当業者が通常理解する通り、炭素数がn以上、且つm以下であることを表す。
【0017】
本明細書中、「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素が挙げられる。
【0018】
本明細書中、「有機基」とは、有機化合物から1個の水素原子を除去して形成される基を意味する。
当該「有機基」としては、例えば、
1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
シアノ基、
アルデヒド基、
カルボキシル基、
RO-、
RS-、
RCO-、
RSO-、
ROCO-、及び
ROSO
(これらの式中、Rは、独立して、
1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、又は
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基である)
が挙げられる。
【0019】
「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、アルコキシ基、及びアルキルチオ基が挙げられる。なお、2個以上の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0020】
本明細書中、「炭化水素基」としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルカジエニル基、アリール基、及びアラルキル基が挙げられる。
【0021】
本明細書中、「アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル(n-プロピル、イソプロピル)、ブチル(n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル)、ペンチル、及びヘキシル等の、直鎖又は分岐鎖状のC1-20アルキル基が挙げられる。
【0022】
本明細書中、「ハロアルキル基」とは、1個以上のハロゲン原子を置換基として有するアルキル基を意味する。2個以上のハロゲン原子を置換基として有するアルキル基の場合、各々のハロゲン原子は互いに同一であっても異なっていてもよい。当該「ハロアルキル基」は、例えば、フルオロアルキル基(例:パーフルオロアルキル基)であることができる。当該「ハロアルキル基」としては、例えば、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル(例:n-ヘプタフルオロプロピル、ヘプタフルオロイソプロピル)、及びノナフルオロブチル(例:n-ノナフルオロブチル、ノナフルオロt-ブチル)等の、直鎖又は分岐鎖状のハロC1-20アルキル基が挙げられる。
【0023】
本明細書中、「アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(n-プロポキシ、イソプロポキシ)、ブトキシ(n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ)、ペンチルオキシ、及びヘキシルオキシ等の、直鎖状又は分岐鎖状のC1-20アルコキシ基が挙げられる。
【0024】
本明細書中、「アルキルチオ基」としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ(n-プロピルチオ、イソプロピルチオ)、ブチルチオ(n-ブチルチオ、イソブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ)、ペンチルチオ、及びヘキシルチオ等の、直鎖状又は分岐鎖状のC1-20アルキルチオ基が挙げられる。
【0025】
本明細書中、「アルケニル基」としては、例えば、ビニル、1-プロペン-1-イル、2-プロペン-1-イル、イソプロペニル、2-ブテン-1-イル、4-ペンテン-1-イル、及び5-ヘキセン-1-イル等の、直鎖状又は分岐鎖状のC2-20アルケニル基が挙げられる。
【0026】
本明細書中、「アルキニル基」としては、例えば、エチニル、1-プロピン-1-イル、2-プロピン-1-イル、4-ペンチン-1-イル、及び5-ヘキシン-1-イル等の、直鎖状又は分岐鎖状のC2-20アルキニル基が挙げられる。
【0027】
本明細書中、「シクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチル等の、C3-10シクロアルキル基が挙げられる。
【0028】
本明細書中、「シクロアルケニル基」としては、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、及びシクロヘプテニル等の、C3-10シクロアルケニル基が挙げられる。
【0029】
本明細書中、「シクロアルカジエニル基」としては、例えば、シクロブタジエニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタジエニル、シクロオクタジエニル、シクロノナジエニル、及びシクロデカジエニル等の、C4-20シクロアルカジエニル基が挙げられる。
【0030】
本明細書中、「アリール基」は、例えば、単環性、2環性、3環性、又は4環性であることができる。当該「アリール基」としては、例えば、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、2-ビフェニル、3-ビフェニル、4-ビフェニル、及び2-アンスリル等の、C6-20アリール基が挙げられる。
【0031】
本明細書中、「ハロアリール基」とは、1個以上のハロゲン原子を置換基として有するアリール基を意味する。2個以上のハロゲン原子を置換基として有するアリール基の場合、各々のハロゲン原子は互いに同一であっても異なっていてもよい。当該「ハロアリール基」は、例えば、フルオロアリール基であることができる。当該「ハロアリール基」としては、例えば、フルオロフェニル、及びフルオロナフチル等の、ハロC6-20アリール基が挙げられる。
【0032】
本明細書中、「アラルキル基」としては、例えば、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチル、2,2-ジフェニルエチル、3-フェニルプロピル、4-フェニルブチル、5-フェニルペンチル、2-ビフェニルメチル、3-ビフェニルメチル、及び4-ビフェニルメチル等の、C7-19アリール基が挙げられる。
【0033】
本明細書中、「ハロアラルキル基」とは、1個以上のハロゲン原子を置換基として有するアラルキル基を意味する。2個以上のハロゲン原子を置換基として有するアラルキル基の場合、各々のハロゲン原子は互いに同一であっても異なっていてもよい。当該「ハロアラルキル基」は、例えば、フルオロアラルキル基であることができる。当該「ハロアラルキル基」としては、例えば、フルオロベンジル、1,3-ヘキサフルオロ-2-フェニルプロピル、及びフルオロフェネチル等の、ハロC7-19アリール基が挙げられる。
【0034】
本明細書中、「非芳香族複素環基」とは、非芳香族複素環から1個の水素原子を除去して形成される基を意味する。当該「非芳香族複素環基」は、例えば、単環性、2環性、3環性、又は4環性であることができる。当該「非芳香族複素環基」は、飽和、又は不飽和であることができる。当該「非芳香族複素環基」は、例えば、5~18員の非芳香族複素環基であることができる。当該「非芳香族複素環基」は、例えば、環構成原子として、炭素原子に加えて酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子から選ばれる1~4個のヘテロ原子を含有する非芳香族複素環基であることができる。
【0035】
当該「非芳香族複素環基」としては、例えば、テトラヒドロフリル、オキサゾリジニル、イミダゾリニル(例:1-イミダゾリニル、2-イミダゾリニル、4-イミダゾリニル)、アジリジニル(例:1-アジリジニル、2-アジリジニル)、ピロリジニル(例:1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、3-ピロリジニル)、ピペリジニル(例:1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル)、アゼパニル(例:1-アゼパニル、2-アゼパニル、3-アゼパニル、4-アゼパニル)、アゾカニル(例:1-アゾカニル、2-アゾカニル、3-アゾカニル、4-アゾカニル)、ピペラジニル(例:1,4-ピペラジン-1-イル、1,4-ピペラジン-2-イル)、ジアゼピニル(例:1,4-ジアゼピン-1-イル、1,4-ジアゼピン-2-イル、1,4-ジアゼピン-5-イル、1,4-ジアゼピン-6-イル)、ジアゾカニル(例:1,4-ジアゾカン-1-イル、1,4-ジアゾカン-2-イル、1,4-ジアゾカン-5-イル、1,4-ジアゾカン-6-イル、1,5-ジアゾカン-1-イル、1,5-ジアゾカン-2-イル、1,5-ジアゾカン-3-イル)、テトラヒドロピラニル(例:テトラヒドロフラン-4-イル)、モルホリニル(例:4-モルホリニル)、チオモルホリニル(例:4-チオモルホリニル)、2-オキサゾリジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロピラニル、及びジヒドロキノリル等が挙げられる。
【0036】
本明細書中、「ヘテロアリール基」は、例えば、単環性、2環性、3環性、又は4環性であることができる。当該「ヘテロアリール基」は、例えば、5~18員のヘテロアリール基であることができる。当該「ヘテロアリール基」は、例えば、環構成原子として、炭素原子に加えて酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子から選ばれる1~4個のヘテロ原子を含有するヘテロアリール基であることができる。当該「ヘテロアリール基」は、「単環性ヘテロアリール基」、及び「芳香族縮合複素環基」を包含する。
【0037】
当該「単環性へテロアリール基」としては、例えば、ピロリル(例:1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル)、フリル(例:2-フリル、3-フリル)、チエニル(例:2-チエニル、3-チエニル)、ピラゾリル(例:1-ピラゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル)、イミダゾリル(例:1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル)、イソオキサゾリル(例:3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル)、オキサゾリル(例:2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル)、イソチアゾリル(例:3-イソチアゾリル、4-イソチアゾリル、5-イソチアゾリル)、チアゾリル(例:2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル)、トリアゾリル(例:1,2,3-トリアゾール-3-イル、1,2,4-トリアゾール-4-イル)、オキサジアゾリル(例:1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)、チアジアゾリル(例:1,2,4-チアジアゾール-3-イル、1,2,4-5-イル)、テトラゾリル、ピリジル(例:2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル)、ピリダジニル(例:3-ピリダジニル、4-ピリダジニル)、ピリミジニル(例:2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル)、及びピラジニル等が挙げられる。
【0038】
当該「芳香族縮合複素環基」としては、例えば、イソインドリル(例:1-イソインドリル、2-イソインドリル、3-イソインドリル、4-イソインドリル、5-イソインドリル、6-イソインドリル、7-イソインドリル)、インドリル(例:1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル)、ベンゾ[b]フラニル(例:2-ベンゾ[b]フラニル、3-ベンゾ[b]フラニル、4-ベンゾ[b]フラニル、5-ベンゾ[b]フラニル、6-ベンゾ[b]フラニル、7-ベンゾ[b]フラニル)、ベンゾ[c]フラニル(例:1-ベンゾ[c]フラニル、4-ベンゾ[c]フラニル、5-ベンゾ[c]フラニル)、ベンゾ[b]チエニル、(例:2-ベンゾ[b]チエニル、3-ベンゾ[b]チエニル、4-ベンゾ[b]チエニル、5-ベンゾ[b]チエニル、6-ベンゾ[b]チエニル、7-ベンゾ[b]チエニル)、ベンゾ[c]チエニル(例:1-ベンゾ[c]チエニル、4-ベンゾ[c]チエニル、5-ベンゾ[c]チエニル)、インダゾリル(例:1-インダゾリル、2-インダゾリル、3-インダゾリル、4-インダゾリル、5-インダゾリル、6-インダゾリル、7-インダゾリル)、ベンゾイミダゾリル(例:1-ベンゾイミダゾリル、2-ベンゾイミダゾリル、4-ベンゾイミダゾリル、5-ベンゾイミダゾリル)、1,2-ベンゾイソオキサゾリル(例:1,2-ベンゾイソオキサゾール-3-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-4-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-5-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-6-イル、1,2-ベンゾイソオキサゾール-7-イル)、ベンゾオキサゾリル(例:2-ベンゾオキサゾリル、4-ベンゾオキサゾリル、5-ベンゾオキサゾリル、6-ベンゾオキサゾリル、7-ベンゾオキサゾリル)、1,2-ベンゾイソチアゾリル(例:1,2-ベンゾイソチアゾール-3-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-4-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-5-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-6-イル、1,2-ベンゾイソチアゾール-7-イル)、ベンゾチアゾリル(例:2-ベンゾチアゾリル、4-ベンゾチアゾリル、5-ベンゾチアゾリル、6-ベンゾチアゾリル、7-ベンゾチアゾリル)、イソキノリル(例:1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル)、キノリル(例:2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、8-キノリル)、シンノリニル(例:3-シンノリニル、4-シンノリニル、5-シンノリニル、6-シンノリニル、7-シンノリニル、8-シンノリニル)、フタラジニル(例:1-フタラジニル、4-フタラジニル、5-フタラジニル、6-フタラジニル、7-フタラジニル、8-フタラジニル)、キナゾリニル(例:2-キナゾリニル、4-キナゾリニル、5-キナゾリニル、6-キナゾリニル、7-キナゾリニル、8-キナゾリニル)、キノキサリニル(例:2-キノキサリニル、3-キノキサリニル、5-キノキサリニル、6-キノキサリニル、7-キノキサリニル、8-キノキサリニル)、ピラゾロ[1,5-a]ピリジル(例:ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イル、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イル)、イミダゾ[1,2-a]ピリジル(例:イミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-5-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-6-イル、イミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イル、及びイミダゾ[1,2-a]ピリジン-8-イル)等が挙げられる。
【0039】
2.式(2)で表される化合物を製造する方法
一実施形態において、下記式(2):
【化12】
(式中、R、R、及びRは、前記と同意義である。)
で表される化合物を製造する方法は、極性溶媒の存在下、下記式(1):
【化13】
(式中、R、R、及びRは、前記と同意義である。)
で表される化合物を塩素と反応させる工程Aを含む方法である。
【0040】
(式(1)で表される化合物)
及びRは、反応が進行する限り、特に制限されない。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、又は1個以上の置換基を有していてもよい炭化水素基であることが好ましく、水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基であることがより好ましく、水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいC1-20アルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいC5-20シクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいC6-20アリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいC7-20アラルキル基であることがさらに好ましい。前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、アルコキシ基、及びアルキルチオ基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
一実施形態において、R及びRの少なくとも一方が水素原子であることが好ましく、R及びRの両方が水素原子であることがより好ましい。
【0042】
及びRは、互いに結合して、隣接する炭素原子と共に環を形成している場合、当該環としては、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ベンゼン、及びナフタレン等が挙げられる。
【0043】
は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基であり、1個以上の置換基を有していてもよいC1-20アルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいC6-20アリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいC7-20アラルキル基であることがさらに好ましい。前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、アルコキシ基、及びアルキルチオ基等が挙げられるが、これらに限定されない。前記1個以上の置換基は、少なくともハロゲン原子(例:フッ素)であることが好ましい。
【0044】
一実施形態において、Rは、ハロアルキル基、ハロアリール基、又はハロアラルキル基であることが好ましく、ハロC1-20アルキル基、ハロC6-20アリール基、又はハロC7-20アラルキル基であることがさらに好ましい。当該実施形態において、Rは、フルオロアルキル基、フルオロアリール基、又はフルオロアラルキル基であることが好ましく、フルオロC1-20アルキル基、フルオロC6-20アリール基、又はフルオロC7-20アラルキル基であることがさらに好ましい。
【0045】
(塩素)
塩素は、液体塩素等であってもよいが、通常、塩素ガスである。式(1)で表される化合物と塩素との接触方法としては、例えば、式(1)で表される化合物を含む反応系に、塩素ガスを連続的又は断続的(間欠的)に供給する方法等が挙げられる。
【0046】
塩素の使用量は、式(1)で表される化合物1モルに対して、例えば、1モル以上、好ましくは1.5モル以上、さらに好ましくは2.5モル以上である。塩素の使用量は、式(1)で表される化合物1モルに対して、例えば、5モル以下、好ましくは4モル以下、さらに好ましくは3モル以下である。塩素の使用量は、式(1)で表される化合物1モルに対して、例えば、1~5モルの範囲内、好ましくは1.5~4モルの範囲内であり得る。
【0047】
(極性溶媒)
式(1)で表される化合物と塩素との反応は、極性溶媒の存在下で実施される。特定の理論に拘束されるものではないが、極性溶媒を用いることにより、イオン機構による反応が進行し易くなると考えられる。
【0048】
極性溶媒としては、極性を有する限り、特に制限されない。極性溶媒は、プロトン性極性溶媒であっても非プロトン性極性溶媒であってもよい。極性溶媒としては、例えば、ケトン系溶媒、カルボン酸系溶媒、エステル系溶媒、カーボネート系溶媒、ニトリル系溶媒、アミド系溶媒、及びスルホキシド系溶媒等の極性有機溶媒が挙げられる。
【0049】
ケトン系溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、及びアセトン等が挙げられる。
【0050】
カルボン酸系溶媒としては、例えば、ギ酸、酢酸等が挙げられる。
【0051】
エステル系溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。
【0052】
カーボネート系溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、及びブチレンカーボネート等が挙げられる。
【0053】
ニトリル系溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、及びベンゾニトリル等が挙げられる。
【0054】
アミド系溶媒としては、例えば、ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、及びN-メチルピロリドン等が挙げられる。
【0055】
スルホキシド系溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0056】
一実施形態において、極性溶媒は、ニトリル系溶媒、エステル系溶媒、カーボネート系溶媒、及びカルボン酸系溶媒からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。
【0057】
一実施形態において、極性溶媒は、アルコール系溶媒(例:メタノール、エタノール)でないことが好ましい。
【0058】
極性溶媒のRohrschneider極性パラメータP’は、4.3以上であることが好ましく、4.4以上であることがさらに好ましい。前記極性パラメータP’の上限は、特に制限されないが、例えば、10以下であり得る。前記極性パラメータP’は、例えば、4.3~10の範囲内であり得る。
【0059】
極性溶媒の25℃での比誘電率は、5.5以上であることが好ましく、6以上であることがさらに好ましい。前記比誘電率の上限は、特に制限されないが、例えば、50以下である。前記比誘電率は、例えば、5.5~50の範囲内であり得る。
【0060】
極性溶媒の使用量は、式(1)で表される化合物100質量部に対して、例えば、100質量部以上、150質量部以上、200質量部以上、又は250質量部以上であってもよい。極性溶媒の使用量は、式(1)で表される化合物100質量部に対して、例えば、10000質量部以下、7000質量部以下、5000質量部以下、3000質量部以下、又は1000質量部以下であってもよい。極性溶媒の使用量は、式(1)で表される化合物100質量部に対して、例えば、100~10000質量部の範囲内であり得る。
【0061】
(他の成分)
工程Aは、任意に他の成分(例:触媒)の存在下で実施してもよいが、他の成分の非存在下、特に触媒の非存在下で実施することも好ましい。前記触媒には、塩素をヘテロリシスする触媒(例:I、ICl、SbCl、SbCl、AlCl、FeCl等の塩化物)等が含まれる。
【0062】
(反応温度及び反応時間)
工程Aの反応温度及び反応時間は、反応が進行する限り、特に制限されない。
反応温度は、例えば、-80℃以上、好ましくは-20℃以上、さらに好ましくは0℃以上であり、10℃以上であってもよい。反応温度は、例えば、100℃以下、好ましくは80℃以下、さらに好ましくは60℃以下であり、40℃以下であってもよい。反応温度は、例えば、-80~100℃の範囲内、好ましくは-20~80℃の範囲内、さらに好ましくは0~60℃の範囲内であり得る。
反応時間は、例えば、1時間以上、5時間以上、又は10時間以上であり得る。反応時間は、例えば、48時間以下、好ましくは24時間以下、さらに好ましくは12時間以下であり得る。反応時間は、例えば、1~48時間の範囲内、好ましくは1~24時間の範囲内、さらに好ましくは1~12時間の範囲内であり得る。
【0063】
一実施形態において、工程Aは、遮光下で実施することが好ましい。当該実施形態では、重合(又は二量化)反応を抑制し、収率をより一層向上させることができる。また、当該実施形態では、光照射装置が不要であり、簡便性、経済性等の点で優れている。
【0064】
式(2)で表される化合物を製造する方法は、抽出、洗浄、乾燥、ろ過、蒸留、濃縮、クロマトグラフィー、及びこれらの組合せ等によって精製する工程をさらに含んでもよい。
【0065】
3.式(3)で表される化合物を製造する方法
一実施形態において、下記式(3):
【化14】
(式中、R、R、及びRは、前記と同意義である。)
で表される化合物を製造する方法であって、前記工程A、及び前記工程Aの反応生成物を塩基と反応させる工程Bを含む。
【0066】
(塩基)
塩基としては、脱塩化水素反応を進行させる限り、特に制限されない。塩基は有機塩基であっても無機塩基であってもよい。塩基としては、例えば、鎖状アミン(例:トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン等のトリC1-6アルキルアミン)、環状アミン(例:ピリジン、モルホリン、N-メチルモルホリン)、アンモニア、水酸化アンモニウム、金属水酸化物(例:水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物)、金属アルコキシド(例:ナトリウムアルコキシド等のアルカリ金属アルコキシド)等が挙げられる。塩基は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0067】
塩基の使用量は、式(1)又は(2)で表される化合物1モルに対して、例えば、0.9モル以上、1モル以上、1.2モル以上、又は1.5モル以上であり得る。塩基の使用量は、式(1)で表される化合物1モルに対して、例えば、5モル以下、好ましくは3モル以下、さらに好ましくは2モル以下であり得る。塩基の使用量は、式(1)で表される化合物1モルに対して、例えば、0.9~5モルの範囲内、好ましくは0.9~3モルの範囲内、さらに好ましくは0.9~2モルの範囲内であり得る。
【0068】
(反応温度及び反応時間)
工程Bの反応温度及び反応時間は
、反応が進行する限り、特に制限されない。
反応温度は、例えば、-80℃以上、好ましくは-20℃以上、さらに好ましくは0℃以上であり得る。反応温度は、例えば、100℃以下、好ましくは50℃以下、さらに好ましくは20℃以下であり得る。反応温度は、例えば、-80~100℃の範囲内、好ましくは-20~50℃の範囲内、さらに好ましくは0~20℃の範囲内であり得る。
反応時間は、例えば、0.1時間以上、1時間以上、又は3時間以上であり得る。反応時間は、例えば、12時間以下、好ましくは7時間以下、さらに好ましくは5時間以下であり得る。反応時間は、例えば、0.1~12時間の範囲内、好ましくは0.1~7時間の範囲内、さらに好ましくは0.1~5時間の範囲内であり得る。
【0069】
式(3)で表される化合物には、R及びRが水素原子である化合物である化合物等が含まれる。式(3)で表される化合物には、R及びRが水素原子であり、且つ、Rがハロアルキル基、ハロアリール基、又はハロアラルキル基である化合物等が含まれる。式(3)で表されるには、R及びRが水素原子であり、且つ、Rがフルオロアルキル基である化合物等が含まれる。式(3)で表される化合物には、R及びRが水素原子であり、且つ、Rが-C(CF)である化合物、すなわち、下記式(3A):
【化15】
で表される化合物等が含まれる。
【0070】
式(3)で表される化合物を製造する方法は、抽出、洗浄、乾燥、ろ過、蒸留、濃縮、クロマトグラフィー、及びこれらの組合せ等によって精製する工程をさらに含んでもよい。
【0071】
4.組成物
一実施形態において、組成物は、式(3)で表される化合物、及び水を含む組成物(以下、「組成物α」と表記する。)である。
【0072】
組成物αにおいて、水の含有量は、特に制限されないが、例えば、0.001質量%以上、0.005質量%以上、又は0.01質量%以上であってもよい。当該水の含有量は、加水分解の進行を抑制する点から、0.1質量%以下又は0.05質量%以下であることが好ましい。当該水の含有量は、例えば、0.001~0.1質量%の範囲内であり得る。当該水の含有量は、例えば、カールフィッシャー法により測定することができる。
【0073】
組成物αにおいて、式(3)で表される化合物の含有量は、特に制限されないが、例えば、80質量%以上、好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。当該式(3)で表される化合物の含有量は、例えば、99.9質量%以下、99.5質量%以下、又は99質量%以下であってもよい。当該式(3)で表される化合物の含有量は、例えば、80~99.9質量%の範囲内、好ましくは90~99.9質量%の範囲内、さらに好ましくは95~99.9質量%の範囲内であってもよい。当該式(3)で表される化合物の含有量は、例えば、NMR、ガスクロマトグラフィー(GC)、又はガスクロマトグラフィー-質量分析(GC-MS)により測定することができる。
【0074】
組成物αは、さらに他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、工程A及び/又は工程のBの副生物等が挙げられる。一実施形態において、他の成分は、後述の式(4A)で表される化合物、式(4B)で表される化合物、式(4C)で表される化合物、及び塩素イオンから選択される少なくとも一種であってもよい。組成物αは、後述の組成物β、組成物γ、及び/又は組成物δの構成を備えていてもよい。
【0075】
他の実施形態において、組成物は、
式(3)で表される化合物、並びに、
下記式(4A):
31-OH (4A)
(式中、R31は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基である。)
で表される化合物、
下記式(4B):
【化16】
(式中、R32は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基である。)
で表される化合物、及び
下記式(4C):
【化17】
(式中、R33は、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基である。)
で表される化合物
からなる群より選択される少なくとも一種を含む組成物(以下、「組成物β」と表記する。)である。
【0076】
組成物βは、下記(a)、(b)、及び(c)の少なくとも1つを満たすことが好ましい。
(a)式(4A)で表される化合物の含有量が、例えば、0.01質量%以上、0.03質量%以上、又は0.05質量%以上であってもよく、例えば、5質量%以下、3質量%以下、又は1質量%以下であってもよく、例えば、0.01~5質量%の範囲内であってもよい。
(b)式(4B)で表される化合物の含有量が、例えば、0.01質量%以上、0.03質量%以上、又は0.05質量%以上であってもよく、例えば、1.5質量%以下、1質量%以下、又は0.5質量%以下であってもよく、例えば、0.01~1.5質量%の範囲内であってもよい。
(c)式(4C)で表される化合物の含有量が、例えば、0.01質量%以上、0.03質量%以上、又は0.05質量%以上であってもよく、例えば、1.5質量%以下、1質量%以下、又は0.5質量%以下であってもよく、例えば、0.01~1.5質量%の範囲内であってもよい。
【0077】
式(4A)、(4B)、及び(4C)で表される化合物の含有量は、例えば、NMR、ガスクロマトグラフィー(GC)、又はガスクロマトグラフィー-質量分析(GC-MS)により測定することができる。
【0078】
式(4A)のR31、式(4B)のR32、及び式(4C)のR33は、それぞれ独立して、式(3)のRで例示した基の中から選択された基であり得る。一実施形態において、式(4A)のR31、式(4B)のR32、及び式(4C)のR33は、それぞれ、式(3)のRと同じであることが好ましい。
【0079】
組成物βにおいて、式(3)で表される化合物の含有量は、特に制限されないが、例えば、80質量%以上、好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。当該式(3)で表される化合物の含有量は、例えば、99.9質量%以下、99質量%以下、又は98質量%以下であってもよい。当該式(3)で表される化合物の含有量は、例えば、80~99.9質量%の範囲内、好ましくは90~99.9質量%の範囲内、さらに好ましくは95~99.9質量%の範囲内であってもよい。当該式(3)で表される化合物の含有量は、例えば、NMR、ガスクロマトグラフィー(GC)、又はガスクロマトグラフィー-質量分析(GC-MS)により測定することができる。
【0080】
組成物βは、さらに他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、工程A及び/又は工程のBの副生物等が挙げられる。一実施形態において、他の成分は、水及び塩素イオンから選択される少なくとも一種であってもよい。組成物βは、組成物α、後述の組成物γ、及び/又は組成物δの構成を備えていてもよい。
【0081】
さらに他の実施形態において、組成物は、式(3)で表される化合物を含み、ハーゼン色数が100以下である組成物(以下、「組成物γ」と表記する。)である。ハーゼン色数とは、サンプル溶液の着色度を数値化したものを意味する。組成物γのハーゼン色数は、例えば、室温下、日本電色工業株式会社製分光色彩・ヘーズメーターCOH7700により測定することができる。組成物γのハーゼン色数は、例えば、1以上、3以上、又は5以上であってもよく、例えば、80以下又は50以下であってもよく、例えば、1~100の範囲内であってもよい。
【0082】
組成物γにおいて、式(3)で表される化合物の含有量は、特に制限されないが、例えば、80質量%以上、好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。当該式(3)で表される化合物の含有量は、例えば、99.9質量%以下、99.5質量%以下、又は99質量%以下であってもよい。当該式(3)で表される化合物の含有量は、例えば、80~99.9質量%の範囲内、好ましくは90~99.9質量%の範囲内、さらに好ましくは95~99.9質量%の範囲内であってもよい。当該式(3)で表される化合物の含有量は、例えば、NMR、ガスクロマトグラフィー(GC)、又はガスクロマトグラフィー-質量分析(GC-MS)により測定することができる。
【0083】
組成物γは、さらに他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、工程A及び/又は工程のBの副生物等が挙げられる。一実施形態において、他の成分は、水、式(4A)で表される化合物、式(4B)で表される化合物、式(4C)で表される化合物、及び塩素イオンから選択される少なくとも一種であってもよい。組成物γは、組成物α、組成物β、及び/又は後述の組成物δの構成を備えていてもよい。
【0084】
別の実施形態において、組成物は、式(3)で表される化合物を含み、塩素イオンが1000ppm以下である組成物(以下、「組成物δ」と表記する。)である。
【0085】
組成物δにおいて、塩素イオンの含有量は、例えば、0.1ppm以上、0.5ppm以上、又は1ppm以上であってもよく、例えば、100ppm以下又は10ppm以下であってもよく、例えば、0.1~1000ppmの範囲内又は0.1~100ppmの範囲内であってもよい。当該塩素イオンの含有量は、例えば、イオンクロマトグラフィーにより測定することができる。具体的には、当該塩素イオンの含有量は、式(3)で表される化合物に対して約10倍量となるように0.1質量%重曹水を添加し、室温で3分間撹拌した後、水層部分をイオンクロマトグラフィーを用いて塩素イオンを分析し、得られた定量値を式(3)で表される化合物中の塩素イオン量として、濃度を計算することにより求めることができる。
【0086】
組成物δにおいて、式(3)で表される化合物の含有量は、特に制限されないが、例えば、80質量%以上、好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。当該式(3)で表される化合物の含有量は、例えば、99.9質量%以下、99.5質量%以下、又は99質量%以下であってもよい。当該式(3)で表される化合物の含有量は、例えば、80~99.9質量%の範囲内、好ましくは90~99.9質量%の範囲内、さらに好ましくは95~99.9質量%の範囲内であってもよい。当該式(3)で表される化合物の含有量は、例えば、NMR、ガスクロマトグラフィー(GC)、又はガスクロマトグラフィー-質量分析(GC-MS)により測定することができる。
【0087】
組成物δは、さらに他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、工程A及び/又は工程のBの副生物等が挙げられる。一実施形態において、他の成分は、水、式(4A)で表される化合物、式(4B)で表される化合物、及び式(4C)で表される化合物から選択される少なくとも一種であってもよい。組成物δは、組成物α、組成物β、及び/又は組成物γの構成を備えていてもよい。
【実施例0088】
以下、実施例によって本開示の一実施態様を更に詳細に説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。なお、実施例中、Phはフェニルを意味する。
【0089】
実施例1:塩素化反応
【化18】
反応容器へ原料のアクリル酸エステル体(10g、33.6mmol)とアセトニトリル(30g)を添加した。
遮光下、室温で撹拌しながら塩素ガスを断続的にバブリングした(計2.57当量、計6時間)。その後、窒素ガスをバブリングして窒素置換した後、粗液を得た。F-NMRで目的物のジクロロ体の収率を測定すると、81%であった。
【0090】
実施例2:脱塩化水素(HCl)反応
【化19】
実施例1で得られた粗液を撹拌しながら10℃へ冷却した。その粗液へトリエチルアミン(4.12g、40.8mmol)を滴下した。滴下終了30分後に撹拌しながら0.1mol/L HCl水(17.4g)とクロロホルム(50g)を添加した。
分液後、有機層を水洗及び飽和食塩水洗浄を実施し、有機層を得た。F-NMRで目的物の収率を測定すると、91%であった。得られた有機層へフェノチアジン(50mg)を添加後、蒸留精製を行うことで目的物のα-クロロアクリル酸エステル体(7.9g、23.8mmol)を単離した。
【0091】
実施例3:組成物
実施例2で得られたα-クロロアクリル酸エステル体の分析を実施し、下記の結果を得た。
純度(実施例2で得られた化合物の含有量):97.3質量%
水分:157ppm
下記式(4A-1)で表される化合物の含有量:0.81質量%
下記式(4B-1)で表される化合物の含有量:0.08質量%
下記式(4C-1)で表される化合物の含有量:0.08質量%
【化20】
ハーゼン色数:7
塩素イオン:0.9ppm
なお、実施例2で得られた化合物、式(4A-1)で表される化合物、式(4B-1)で表される化合物、及び式(4C-1)で表される化合物の含有量は、GCにより測定した。
水分の含有量は、カールフィッシャー法により測定した。
ハーゼン色数は、実施例2で得られた化合物(液体サンプル)を使用して、室温下、日本電色工業株式会社製分光色彩・ヘーズメーターCOH7700により測定した。
塩素イオンの含有量は、実施例2で得られた化合物に対して約10倍量となるように0.1質量%重曹水を添加し、室温で3分間撹拌した後、水層部分をイオンクロマトグラフィーを用いて塩素イオンを分析し、得られた定量値を実施例2で得られた化合物中の塩素イオン量として、濃度を計算することにより求めた。
【0092】
実施例4:塩素化反応
アセトニトリルを酢酸エチルへ変更した以外は実施例1と同じ方法で実施した。F-NMRで目的物のジクロロ体の収率を測定すると、99%であった。
【0093】
実施例5:脱塩化水素(HCl)反応
実施例4で得られたジクロロ体の酢酸エチル溶液を撹拌しながら10℃へ冷却した。その溶液へトリエチルアミン(4.12g、40.8mmol)を滴下した。滴下終了30分後に撹拌しながら0.1mol/L HCl水(20g)を添加した。
分液後、有機層を水洗及び飽和食塩水洗浄を実施し、有機層を得た。F-NMRで目的物の収率を測定すると、82%であった。得られた有機層へフェノチアジン(50mg)を添加後、蒸留精製を行うことで目的物のα-クロロアクリル酸エステル体(9.2g、27.6mmol)を単離した。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(2):
【化1】
(式中、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基あり
は、ハロアルキル基、ハロアリール基、又はハロアラルキル基である。)で表される化合物を製造する方法であって、
極性溶媒の存在下、下記式(1):
【化2】
(式中、R、R、及びRは、前記と同意義である。)
で表される化合物を塩素と反応させる工程A
を含み、前記極性溶媒が、ニトリル系溶媒、エステル系溶媒、カーボネート系溶媒、及びカルボン酸系溶媒からなる群より選択される少なくとも一種である方法。
【請求項2】
下記式(3):
【化3】
(式中、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基あり
は、ハロアルキル基、ハロアリール基、又はハロアラルキル基である。)で表される化合物を製造する方法であって、
極性溶媒の存在下、下記式(1):
【化4】
(式中、R、R、及びRは、前記と同意義である。)
で表される化合物を塩素と反応させる工程A、及び
前記工程Aの反応生成物を塩基と反応させる工程B
を含み、前記極性溶媒が、ニトリル系溶媒、エステル系溶媒、カーボネート系溶媒、及びカルボン酸系溶媒からなる群より選択される少なくとも一種である方法。
【請求項3】
前記極性溶媒の使用量が、前記式(1)で表される化合物100質量部に対して、100~10000質量部の範囲内である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記工程Aが遮光下で実施される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
下記式(3):
【化5】
(式中、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基あり
は、ハロアルキル基、ハロアリール基、又はハロアラルキル基である。)で表される化合物、並びに
下記式(4A):
31-OH (4A)
(式中、R31は、ハロアルキル基、ハロアリール基、又はハロアラルキル基である。)
で表される化合物、下記式(4B):
【化6】
(式中、R32は、ハロアルキル基、ハロアリール基、又はハロアラルキル基である。)
で表される化合物、及び下記式(4C):
【化7】
(式中、R33は、ハロアルキル基、ハロアリール基、又はハロアラルキル基である。)
で表される化合物
からなる群より選択される少なくとも一種を含む組成物であって、
下記(a)、(b)、及び(c)の少なくとも1つを満たす組成物:
(a)前記式(4A)で表される化合物の含有量が、0.01~5質量%の範囲内である、
(b)前記式(4B)で表される化合物の含有量が、0.01~1.5質量%の範囲内である、
(c)前記式(4C)で表される化合物の含有量が、0.01~1.5質量%の範囲内である。