(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039606
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】爪矯正具
(51)【国際特許分類】
A61F 5/11 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
A61F5/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023121628
(22)【出願日】2023-07-26
(62)【分割の表示】P 2022143723の分割
【原出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】522359844
【氏名又は名称】株式会社MiRiTa
(74)【代理人】
【識別番号】110000464
【氏名又は名称】弁理士法人いしい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 美也子
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA01
4C098AA02
4C098BB12
4C098BC08
4C098BC17
(57)【要約】
【課題】爪矯正具の製造コストを低減する。
【解決手段】爪矯正具1は、爪幅方向に沿って爪表面に貼り付けられる板状部11,21と、板状部11,21の端部に設けられて爪側部に固定される係止部13,23とを備えている。爪矯正具1は、第1板状部11の一端部11aに設けた第1係止部13を有する第1矯正具領域10と、第2板状部21の一端部21aに設けた第2係止部23を有する第2矯正具領域20とを有している。第1板状部11と第2板状部21の他端部11b,21b同士が連続して一体に形成されている。爪矯正具1は、第1矯正具領域10及び第2矯正具領域20の一方の領域10又は20を爪に取り付けた後、他方の領域20又は10を切り離すことで爪矯正具として使用可能に構成している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
爪幅方向に沿って爪表面に貼り付けられる板状部と、前記板状部の端部に設けられて爪側部に固定される係止部とを備えた爪矯正具であって、
第1板状部の一端部に設けた第1係止部を有する第1矯正具領域と、第2板状部の一端部に設けた第2係止部を有する第2矯正具領域とを有し、前記第1板状部と前記第2板状部の他端部同士が連続して一体に形成されており、
前記第1矯正具領域及び前記第2矯正具領域の一方の領域を爪に取り付けた後、他方の領域を切り離すことで爪矯正具として使用可能に構成している、
爪矯正具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、爪矯正具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、巻き爪や嵌入爪などの爪の変形を矯正するために爪矯正具が使用されることがある。そのような爪矯正具として、爪表面に貼り付けられる固着部と、固着部に一体に形成された操作部とを有するものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の爪矯正具の操作部は、ピンセットのような形態を有し、爪を挟持可能になっている。そして、特許文献1の爪矯正具は、固着部を爪に貼り付ける際に、操作部で爪を皮膚から離間させるように操作される。固着部が爪に貼り付けられた後は、操作部が固着部から除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の爪矯正具は1枚の爪ごとに1つの爪矯正具を用意する必要があり、爪矯正具が使用されるたびに操作部が除去及び廃棄されるので、無駄が多く、製造コストが高いという問題があった。
【0006】
本発明は、このような現状を改善すべく成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の爪矯正具は、爪幅方向に沿って爪表面に貼り付けられる板状部と、前記板状部の端部に設けられて爪側部に固定される係止部とを備えた爪矯正具であって、第1板状部の一端部に設けた第1係止部を有する第1矯正具領域と、第2板状部の一端部に設けた第2係止部を有する第2矯正具領域とを有し、前記第1板状部と前記第2板状部の他端部同士が連続して一体に形成されており、前記第1矯正具領域及び前記第2矯正具領域の一方の領域を爪に取り付けた後、他方の領域を切り離すことで爪矯正具として使用可能に構成しているものである。
【0008】
本発明の爪矯正具において、前記第1矯正具領域と前記第2矯正具領域は、前記板状部の形状及び大きさと、前記係止部の形状及び大きさのうち少なくともいずれかが互いに異なっているようにしても構わない。ただし、第1矯正具領域と第2矯正具領域は、形状及び大きさが同じであっても構わない。
【0009】
本発明の爪矯正具において、前記第1板状部の他端部と前記第2板状部の他端部の間に、上面に上向き凸状の持ち手部を有する持ち手領域が介在しているようにしても構わない。ただし、第1板状部の他端部と第2板状部の他端部が隣接していても構わない。
【発明の効果】
【0010】
本発明の爪矯正具は、一体に形成された第1矯正具領域と第2矯正具領域のうち一方を爪に取り付けた後、他方を切り離すことでそれぞれ爪矯正具として使用できるので、無駄を少なくでき、爪矯正具として使用できる部分の1つ当たりの製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】同実施形態の正面図とともに係止部を拡大して示す図である。
【
図9】同実施形態を装着する前後の爪を示す概略的な平面図である。
【
図10】同実施形態の装着手順を説明するための概略図である。
【
図11】爪矯正具の他の実施形態を示す平面図である。
【
図13】爪矯正具のさらに他の実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1~
図5は、爪矯正具の一実施形態を示す図であり、順番に、平面図、正面図、左側面図、右側面図、底面図を示す。なお、同実施形態の背面図は正面図と対称に表れる。
図6は同実施形態を斜め上から見た斜視図である。
図7は同実施形態を斜め下から見た斜視図である。
図8は
図1のA-A位置に沿った縦断面図である。
図9は、同実施形態を装着する前の爪と装着後の爪を示す概略的な平面図である。
【0013】
爪矯正具1は、第1矯正具領域10と第2矯正具領域20と持ち手部領域30を備えている。第1矯正具領域10と第2矯正具領域20は、爪幅方向に沿って爪100の爪表面101に貼り付けられる板状部11,21と、板状部11,21の一端部11a,21aに設けられて爪100の爪側部102に固定される係止部13,23とを備えている。持ち手部領域30は、その上面に上向き凸状の持ち手部31を備えている。
【0014】
第1矯正具領域10の第1板状部11の一端部11aに第1係止部13が設けられている。第2矯正具領域20の第2板状部21の一端部21aに第2係止部23が設けられている。第1板状部11の他端部11bと第2板状部21の他端部21b同士が連続して一体に形成されている。本実施形態では、第1板状部11の他端部11bと第2板状部21の他端部21bとの間に持ち手部領域30が介在している。第1矯正具領域10と第2矯正具領域20と持ち手部領域30は一体に形成されている。
【0015】
第1矯正具領域10及び第2矯正具領域20は、それぞれ爪矯正具として使用可能なものである。爪矯正具1は、矯正具領域10,20の一方の領域10又は20を爪100に取り付けた後、他方の領域20又は10を切り離すことが可能になっている。そして、切り離された矯正具領域10又は20は爪矯正具として使用可能になっている。
【0016】
爪矯正具1は、一体に形成された第1矯正具領域10と第2矯正具領域20とを切り離すことでそれぞれ爪矯正具として使用できる。したがって、爪矯正具1は無駄な部分を少なくでき、爪矯正具として使用できる部分の1つ当たりの製造コストを低減できる。
【0017】
爪矯正具1は、例えば弾性を有する材料で形成される。このような材料としては、例えば、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合体)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、フルオロカーボン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂などの合成樹脂を挙げることができる。爪矯正具1の材料は、合成樹脂である場合、無色透明のものであることが好ましい。これにより、爪矯正具1を爪100に取り付けた後の見栄えを良くしたり、取付け作業中の状況を把握しやすくなったりする。なお、爪矯正具1の材料は合成樹脂に限定されず、例えば金属であっても構わない。本実施形態では、爪矯正具1は無色透明のABS樹脂で形成される。合成樹脂製の爪矯正具1は、例えば射出成形技術で一体形成され得る。
【0018】
本実施形態では、第1矯正具領域10と第2矯正具領域20は持ち手部領域30を挟んで配置されている。つまり、矯正具領域10,20は、平面視で持ち手部領域30を通る同一直線上に配置されている。
【0019】
矯正具領域10と20は、板状部11,21の形状が互いに異なっている。板状部11,21はそれぞれ平面視で略矩形の形態を有している。第1板状部11は、爪100の長手方向に沿う長さL1が、第2板状部21の長さL2よりも長くなっている。また、例えば、長さL1は20mm(ミリメートル)程度、L2は5mm程度である。また、第1板状部11の幅W1は13mm程度、第2板状部21の幅W2は11mm程度である。また、板状部11,21の厚みはほぼ同じであり、0.4mm程度である。なお、爪矯正具1の各寸法は一例であり、本実施形態のものに限定されず適宜変更可能である。
【0020】
また、矯正具領域10と20は、第1係止部13と第2係止部23の形状が互いに異なっている。
図8に示すように、係止部13,23は、持ち手部領域30側に向けて開口する略C字形の形態を有する。係止部13,23は、板状部11,21の一端部11a,21aから下向きに延出した折返し部13a,23aと、折返し部13a,23aの先端部から持ち手部領域30側に向けて延出した爪挟持部13b,23bとを有する。本実施形態では、爪挟持部13bは、延出長さが爪挟持部23bよりも長くなっている。
【0021】
本実施形態では、係止部13,23は板状部11,21の裏面11d,21d側に設けられている。ただし、係止部13,23の一方もしくは両方が、板状部11,21の上面11c,21c側に設けられていても構わない。
【0022】
折返し部13a,23aは内向き(持ち手部領域30側)に湾曲した形状を有している。また、爪挟持部13b,23bは上向きに湾曲した形状を有している。このように、係止部13,23の外周面は丸みを帯びている。これにより、係止部13,23は、爪側部102に取り付けられたときに指110の皮膚を傷つけることを防止できる。なお、本実施形態では、折返し部13a,23aの外周面は、一部分が正面視で直線状であるが、全体が湾曲した形状であっても構わない。
【0023】
また、爪挟持部13b,23bは、係止部13,23の開口部13d,23d(爪挟持先端部13c,23cと板状部11,21の裏面11d,21dとの間の隙間)側が爪挟持部13b,23b側の隙間よりも狭くなるようにして配置されている。開口部13d,23dの隙間は例えば0.9mm程度である。
【0024】
開口部13d,23dの隙間よりも厚みが大きい爪側部102に係止部13,23を取り付けたとき、係止部13,23が弾性変形して開口部13d,23dが広がる。そして、爪挟持先端部13c,23cと板状部11,21の裏面11d,21dとで爪側部102を挟持する。これにより、係止部13,23が爪100に保持されやすくなり、作業性が向上する。
【0025】
図3等から分かるように、第1係止部13は、第1板状部11の長さL1(
図1参照)よりも短く形成されている。第1係止部13の折返し部13aは第1板状部11の一端部11aの長さ方向中央部に連設している。折返し部13aは、長さ方向の両端部それぞれに切欠き部13eが形成されて、爪挟持部13bよりも短くなっている。
【0026】
爪矯正具1の第1矯正具領域10を爪100に装着する際、まず、接着剤を塗布した第1係止部13の爪挟持部13bを爪側部102の爪先104(フリーエッジとも呼ばれる)の裏面側に差し込んで、第1係止部13を爪側部102に接着する。同時に、第1板状部11の一端部11a寄りの部分を爪表面101に接着する。第1板状部11は長さL1が第1係止部13の長さよりも長いので、爪挟持部13bを爪先104の奥まで差し込んだ状態で、第1板状部11を爪挟持部13bよりも爪根側で爪表面101に接着できる。
【0027】
また、第1板状部11をより爪根側に配置したいときには、第1係止部13の一部分を切り取ることで対応可能である。第1係止部13の折返し部13aには切欠き部13eが形成されているので、切欠き部13eに対峙する爪挟持部13b部分をニッパー等で切り取ることで、第1係止部13の長さを短くできる。このように、第1係止部13に切欠き部13eを設けることで、第1係止部13の長さを短くするときの作業性が向上する。
【0028】
また、折返し部13aの長さを爪挟持部13bよりも短くすることで、第1板状部11と爪挟持部13bとが対峙する領域長さを確保しながら、折返し部13aを弾性変形しやすくできる。これにより、第1係止部13を爪100の爪側部102に接着する際に爪裏面103と爪挟持部13bとの接合面積を確保できるとともに、第1係止部13(折返し部13a)の破損を防止できる。
【0029】
なお、折返し部13aの長さは爪挟持部13bの長さと同じであっても構わない。また、折返し部13a及び爪挟持部13bの長さは第1板状部11の長さL1と同じであっても構わない。また、爪挟持部13bの長さは、折返し部13aよりも短くても構わない。
【0030】
図2からわかるように、本実施形態では、第1係止部13の折返し部13aは第1板状部11及び爪挟持部13bよりも薄く形成されている。これにより、第1係止部13を爪側部102に取り付けたときに、爪側部102の側端面に取り付く折返し部13aが指の皮膚を圧迫する力を小さくできる。したがって、第1矯正具領域10を爪100に取り付けた後の違和感や痛みを抑制できる。また、折返し部13aを薄くすることで弾性変形しやすくなるので、第1係止部13を弾性変形させて爪側部102に取り付けるときの作業性が向上する。
【0031】
なお、折返し部13aの厚みは、爪挟持部13bと同じであっても構わないし、爪挟持部13bよりも厚くても構わない。また、折返し部13a及び爪挟持部13bの厚みは、第1板状部11と同じであっても構わないし、第1板状部11よりも薄くても厚くても構わない。
【0032】
図4等から分かるように、第2係止部23は、第2板状部21の長さL2(
図1参照)と同じ長さに形成されている。第2矯正具領域20は、第2板状部21及び第2係止部23の長さが、第1矯正具領域10の第1板状部11及び第1係止部13に比べて短いので、例えば爪先104の巻き爪状態を局所的に解消したいときに使用できる。
【0033】
このように、本実施形態の爪矯正具1は目的に応じて第1矯正具領域10と第2矯正具領域20とを使い分けできるので汎用性が高い。なお、第1係止部13と第2係止部23は、形状や大きさが同じであっても構わない。また、第1板状部11と第2板状部21は形状や大きさが同じであっても構わない。
【0034】
図1~
図8に示すように、持ち手部領域30は、その上面に上向き凸状の持ち手部31を備えている。これにより、爪矯正具1を装着作業する者(以下、使用者という)が矯正具領域10又は20を爪100に取り付ける際に、持ち手部領域30を指で挟んで持つことで爪矯正具1を保持しやすくなるとともに矯正具領域10,20に力を伝えやすくなり、作業性が向上する。なお、持ち手部領域30の一部分を第1矯正具領域10及び第2矯正具領域20の一部分として使用することも可能である。
【0035】
本実施形態では、持ち手部領域30は、板状部11,21の他端部11b,21bから持ち手部31の中央部位31aに向けて上向き凸状になるように上面が湾曲している。持ち手部領域30の最も厚い部分の寸法は例えば0.9mm程度である。持ち手部領域30の平面形状は、第1板状部11に連続する端部から第2板状部21に連続する端部にかけて湾曲しながら窄まったロート状の形態を有している。
【0036】
持ち手部31の第1板状部11側の部分は、長さ方向(長さL1,L2に沿った方向)の中央部位31aが上向きに盛り上がって肉厚に形成され、長さ方向の端寄り部位31bは中央部位31aよりも薄く形成されている。端寄り部位31bは平面視で略三角形の形態を有する。持ち手部31の第2矯正具寄り部位31cは中央部位31aに向けてゆるやかに盛り上がっている。
【0037】
爪矯正具1を保持する際に、例えば親指の腹を持ち手部31の上面に当てるとともに人差し指の腹又は中節部を持ち手部領域30の裏面に当てて持ち手部領域30を挟持できる。持ち手部31は、爪100への爪矯正具1の接着作業、爪100に矯正力を与える作業などにおける操作性を向上できる。
【0038】
なお、持ち手部領域30や持ち手部31の形状や寸法は、持ち手部31が上面に上向き凸状の形態を有する構成であれば、特に限定されない。また、持ち手部領域30は、板状部11,21よりも肉厚に形成されている構成に限定されない。例えば、持ち手部領域30は、板状部11,21と同じ厚み又はそれらよりも薄い厚みで、上向きに凸状に折れ曲がった又は膨出した持ち手部31を備えている構成であっても構わない。
【0039】
また、爪矯正具1の第1矯正具領域10は、爪100に取り付ける前に余剰部分をニッパーやカッターなどの切断工具で切断及び除去可能である。そして第1矯正具領域10の一部分を切断する際に、持ち手部領域30の一部分を除去しても構わない。この場合、中央部位31aよりも薄い端寄り部位31bを切断するようにすれば、切断作業が容易になる。
【0040】
図2等からわかるように、爪矯正具1は、正面視で上向き凸状に湾曲している。本実施形態では、正面視で板状部11,21の一端部11a,21aが持ち手部領域30の裏面よりも下側に位置する程度に、板状部11,21がゆるやかに下向きに湾曲している。これにより、係止部13又は23を固定した爪側部102を持ち上げる際に、爪矯正具1を爪表面101側へ巻き込み操作しやすくなり、作業性が向上する。なお、爪矯正具1は、下面が正面視で直線状であっても構わないし、下向き凸状に湾曲していても構わない。
【0041】
次に、
図9及び
図10も参照しながら、爪矯正具1を使用して被装着者の爪100を矯正する工程例について説明する。ここでは、被装着者の足の爪100(例えば親指)に第1矯正具領域10を取り付ける例を説明する。
【0042】
まず、使用者は、爪表面101に爪矯正具1を当てて取付位置を確認し、第1矯正具領域10の爪挟持部13bを切断除去する範囲を決める。例えば、使用者からみて左側(被装着者から見て右側)の爪側部102に第1係止部13を取り付けるあたり、必要に応じて爪100の爪根側に位置する爪挟持部13bを切断除去する(
図10(1)の背面図のカット位置参照)。爪100の爪根側の爪挟持部13bを除去することで、第1係止部13を爪先104の奥まで差し込むことができ、第1板状部11と爪100とが重なる面積を増加できる。
【0043】
第1係止部13では、折返し部13aの端部に切欠き部13eが形成されているので、折返し部13aを切断することなく爪挟持部13bをニッパー等で切断でき、切断作業性を向上できるともに切断作業時間を短縮できる。
図1~
図7等に示すように、爪矯正具1は、折返し部13aの前後両端部それぞれに切欠き部13eを備えている。そして、使用者は、使用者からみて右側の爪側部102に第1係止部13を取り付ける際に、
図10(1)のカット位置とは反対の爪挟持部13b端部の切断作業を容易かつ迅速に行える。このように、第1矯正具領域10は左右を問わずに使用でき、汎用性が高い。
【0044】
なお、爪挟持部13bを切断するにあたり、爪挟持部13bのうち、切欠き部13eと幅方向で重なる部分の全部を切断除去しても構わないし、切欠き部13eと幅方向で重なる部分を残すように長さ方向の端部側を切断除去しても構わない。また、折返し部13aの部位うち爪100の爪根側に位置する端部寄り部位を第1板状部11から切断除去して、第1板状部11と爪100とが重なる面積を増加させるようにしても構わない。
【0045】
次に、第1係止部13の内部と第1板状部11の裏面11dの一端部11a寄り部位に接着剤121を塗布する。そして、第1係止部13を爪側部102に嵌め込んで接着固定するとともに、第1板状部11の一端部11a寄り部位を爪表面101に接着固定する(
図10(2)参照)。接着剤121としては、1液タイプや2液タイプ、紫外線硬化タイプなど、種々のものを使用でき、例えば付け爪用の接着剤を使用できる。
【0046】
次に、使用者は、持ち手部31を挟持し、爪矯正具1を引っ張り上げて爪側部102を指110から離間させ、爪100を矯正する(
図10(3)を参照)。このとき、第1係止部13が爪側部102に固着しているだけでなく、第1板状部11の一端部11a寄り部位が爪表面101に固着している、特に第1係止部13よりも爪根側で一端部11a寄り部位が爪表面101に固着しているので、爪側部102に加わる応力を分散できる。これにより、指110の痛みや爪100の破損を抑制できる。
【0047】
使用者は、爪100の形状をある程度整えた後、第1板状部11の裏面11dと爪表面101との少なくとも一方に接着剤122を塗布する。接着剤122としては、例えば接着剤121と同じものを使用できる。そして、爪矯正具1を湾曲させる方向へ操作して、爪100の形状を整えながら、爪表面101に第1板状部11を貼り付ける(
図2(d)参照)。このとき、持ち手部領域30の裏面を爪表面101に接着して、持ち手部領域30を矯正具領域の一部として使用しても構わない。
【0048】
その後、爪100に取り付けた第1矯正具領域10の形状を整えるように爪矯正具1を切断する(
図9参照)。第1矯正具領域10から切り離された第2矯正具領域20は爪矯正具として使用できる。このとき、第2矯正具領域20に持ち手部31(少なくとも第2矯正具寄り部位31c)が連続しているように爪矯正具1を切断することが好ましい。なお、
図9に示した切断位置(カット位置)は一例であり、爪100に取り付けた第1矯正具領域10の位置や傾きなどに応じて適宜変更可能である。
【0049】
そして、爪100に取り付けた第1矯正具領域10(及び持ち手部領域30)の端縁部を削ったり厚みを調整したりして、爪100に沿った形に整えるとともに、引っ掛かりや違和感が無いように整える。必要に応じて、爪表面101にジェルを塗布する等の仕上げを行う。これにより、取付作業が完了する。
【0050】
上記取付け工程例のように、爪矯正具1は、一体に形成された第1矯正具領域10と第2矯正具領域20のうち第1矯正具領域10を爪100に取り付けた後、第2矯正具領域20を切り離すことで、矯正具領域10,20それぞれを爪矯正具として使用できる。したがって、爪矯正具1は、無駄を少なくでき、爪矯正具として使用できる部分の1つ当たりの製造コストを低減できる。
【0051】
なお、第2矯正具領域20の爪100への取付け工程は、上記第1矯正具領域10の取付け工程例と同様に行える。また、爪矯正具1の第2矯正具領域20を爪100へ取り付けた後、爪矯正具1から第1矯正具領域10を切り離すようにしても構わない。
【0052】
爪矯正具1は、係止部13,23の外周面が丸みを帯びているので、爪100への矯正具領域10,20の取付け作業中及び取付け後に、係止部13,23が指110に接触しても痛くない。また、係止部13,23の爪挟持先端部13c,23cは板状部11,21の裏面11d,21dに向かって延びている。これにより、係止部13,23を爪裏面103に取り付けた状態で、爪挟持先端部13c,23cは、爪裏面103に接触する、又は少なくとも爪裏面103側に向く。したがって、爪挟持先端部13c,23cが指110に刺さるのを防止でき、安全性を向上できる。
【0053】
なお、係止部13,23の形状及び大きさは適宜変更可能である。例えば、係止部13,23は、外周面が角部を有する構成であっても構わない。また、係止部13,23は、爪側部102に固定し得る形状であればよい。
【0054】
例えば、
図11及び
図12に示すように、爪矯正具1Aの係止部13A,23Aは、板状部11,21の一端部11a,21aから下向き(上向きでも良い)に延出した形態であっても構わない。この実施形態の爪矯正具1Aの係止部13A,23A以外の各部の構成は、
図1~
図8を参照して説明した上記実施形態の爪矯正具1と同様である。
【0055】
この係止部13A,23Aは、正面視で爪矯正具1の中央部(持ち手部領域30側)に向けて凹状に湾曲した形態を有し、その湾曲形状の内側に爪側部102の端部を位置合わせしやすい形状になっている。なお、係止部13A,23Aは、正面視で直線状であっても構わない。
【0056】
また、上記実施形態の爪矯正具1は、第1矯正具領域10、持ち手部領域30及び第2矯正具領域20が平面視で直線状に配列されているが、例えば、平面視でL字状、くの字状又はV字状に配置されていても構わない。また、爪矯正具1は、第1矯正具領域10と第2矯正具領域20との間に持ち手部領域30が介在しているが、第1板状部11の他端部11bと第2板状部21の他端部21bとが隣接していても構わない。また、爪矯正具1に、3つ以上の矯正具領域が設けられていても構わない。
【0057】
例えば
図13に示すように、爪矯正具1Bは、持ち手部領域30に対して第1矯正具領域10とは反対側に2つの第2矯正具領域20が設けられていても構わない。本実施形態では、持ち手部31の第2矯正具寄り部位31cが爪矯正具1Bの長さ方向(紙面上下方向)に間隔をあけて二股状に分かれている。そして、第2矯正具寄り部位31cそれぞれに、爪矯正具1Bの幅方向(紙面左右方向)に延びる第2矯正具領域20が連結されている。
【0058】
爪矯正具1Bにおける矯正具領域10,20及び持ち手部領域30の各部の形態は、上記実施形態の爪矯正具1と同様である。このように、一体形成された1つの爪矯正具1Bに3つ以上の矯正具領域10,20が設けられていることで、無駄をさらに少なくでき、爪矯正具として使用できる部分の1つ当たりの製造コストを低減できる。
【0059】
なお、爪矯正具1Bは、矯正具領域10,20を爪100に取り付ける前に、2つの第2矯正具領域20を分割するように持ち手部領域30(持ち手部31の中央部位31a)及び第1矯正具領域10を幅方向に沿って切断されても構わない。これにより、第1矯正具領域10の前後方向半部と第2矯正具領域20とを有する2つの爪矯正具を形成できる。つまり、1つの爪矯正具1Bから4つの矯正具領域を形成でき、爪矯正具として使用できる部分の1つ当たりの製造コストをさらに低減できる。
【0060】
なお、3つの矯正具領域10,20の配置は
図13に示したものに限定されず、例えば、平面視でT字状やY字状であっても構わない。また、2つの第2矯正具領域20は、板状部21の形状及び大きさと、第2係止部23の形状及び大きさのうち少なくともいずれかが互いに異なっていても構わない。つまり、3つ以上の矯正具領域は、互いに形状及び大きさが異なっていても構わない。これにより、目的に応じた矯正具領域を選択的に使用でき、汎用性がさらに向上する。
【0061】
次に、
図14~
図16を参考しながら、参考例の爪矯正具200を説明する。爪矯正具200は、
図1~
図8を参照して説明した爪矯正具1から、持ち手部領域30の第2矯正具寄り部位31c及び第2矯正具領域20が除去された構成を有する。すなわち、爪矯正具200は、第1矯正具領域10と持ち手部領域30とを備えている。持ち手部領域30は中央部位31aと一対の端寄り部位31bを備えている。第1矯正具領域10は第1板状部11及び第1係止部13を備えている。
【0062】
本参考例の爪矯正具200は、上記実施形態の爪矯正具1の第1矯正具領域10と同じ機能及び作用を有する。したがって、爪矯正具200は、爪矯正具1の第1矯正具領域10と同じ作用及び効果を発揮できる。例えば、第1係止部13の折返し部13aの前後方向両端部に切欠き部13eが形成されているので、爪挟持部13bの端部位を切断除去する際の容易性が向上する。
【0063】
以上、実施形態及び参考例を説明したが、本発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。例えば、前述した実施形態及び変形例(尚書き等)で説明した各構成を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1,1A,1B 爪矯正具
10 第1矯正具領域
11 第1板状部
11a 第1板状部の一端部
11b 第1板状部の他端部
11c 第1板状部の上面
11d 第1板状部の裏面
13,13A 第1係止部
13a 第1係止部の折返し部
13b 第1係止部の爪挟持部
13c 第1係止部の爪挟持先端部
13d 第1係止部の開口部
13e 切欠き部
20 第2矯正具領域
21 第2板状部
21a 第2板状部の一端部
21b 第2板状部の他端部
23,23A 第2係止部
23a 第2係止部の折返し部
23b 第2係止部の爪挟持部
23c 第2係止部の爪挟持先端部
23d 第2係止部の開口部
30 持ち手部領域
31 持ち手部
31a 中央部位
31b 端寄り部位
31c 第2矯正具寄り部位
100 爪
101 爪表面
102 爪側部
103 爪裏面
104 爪先
110 指