(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039646
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20240314BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20240314BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20240314BHJP
F21V 13/12 20060101ALI20240314BHJP
F21V 29/502 20150101ALI20240314BHJP
F21V 9/35 20180101ALI20240314BHJP
F21V 7/26 20180101ALI20240314BHJP
F21V 3/08 20180101ALI20240314BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240314BHJP
G02B 5/26 20060101ALI20240314BHJP
G02B 5/28 20060101ALI20240314BHJP
G02B 1/11 20150101ALI20240314BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20240314BHJP
【FI】
F21S2/00 311
F21V5/04 100
F21V5/04 500
F21V8/00 310
F21V8/00 355
F21V13/12 300
F21V29/502 100
F21V9/35
F21V7/26
F21V3/08
G02B5/20
G02B5/26
G02B5/28
G02B1/11
F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023146190
(22)【出願日】2023-09-08
(31)【優先権主張番号】10 2022 123 050.3
(32)【優先日】2022-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr. 10, 55122 Mainz, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー ハーゲマン
(72)【発明者】
【氏名】ウルリケ シュテーア
【テーマコード(参考)】
2H148
2K009
3K244
【Fターム(参考)】
2H148AA07
2H148AA09
2H148AA19
2H148AA24
2H148AA25
2H148FA05
2H148FA09
2H148FA22
2H148FA24
2H148GA04
2H148GA24
2H148GA32
2H148GA61
2K009AA02
3K244AA05
3K244BA01
3K244BA48
3K244CA02
3K244DA02
3K244DA13
3K244EA08
3K244FA03
3K244FA06
3K244LA01
3K244LA03
3K244LA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】達成可能な輝度を増大する。
【解決手段】1次光を放出する光源と、光変換素子と、光変換素子との間に第1の光学界面が形成されて当該第1の光学界面において光変換素子からの2次光が内部へ入力可能となるように光変換素子に被着された光学素子(500)と、を備え、光学素子は、周囲媒体に対する第2の光学界面を形成する外表面を有し、(a)外表面は、光変換素子の前面に対して斜めに延在する少なくとも1つの表面領域を有し、2次光は、第2の光学界面において、表面領域が光変換素子の前面に対して平行に延在する場合よりも光変換素子の前面の法線に対して小さい角度を有する方向で、光学素子から周囲媒体へと出力可能となる。
【選択図】
図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明装置(100)であって、前記照明装置(100)は、
特にレーザーとして構成された、1次光(250)を放出する少なくとも1つの光源(200)と、
前面(310)を有し、前記光源(200)から放出された1次光(250)で照明されて別の波長を有する2次光(350)を前記前面(310)で放出するように構成された光変換素子(300)と、
前記光変換素子(300)との間に第1の光学界面(G1)が形成されて前記第1の光学界面(G1)において前記光変換素子(300)からの2次光(350)が内部へ入力可能となるように前記光変換素子(300)の前面(310)に被着された光学素子(500)と、
を備え、
前記光学素子(500)は、周囲媒体に対する第2の光学界面(G2)を形成する外表面(510)を有し、
(a)前記外表面(510)は、前記光変換素子(300)の前面(310)に対して斜めに延在する少なくとも1つの表面領域(B)を有し、これにより、2次光(350)は、前記第2の光学界面(G2)において、前記表面領域(B)が前記光変換素子(300)の前面(310)に対して平行に延在する場合よりも前記光変換素子(300)の前面(310)の法線(N)に対して小さい角度を有する方向で、前記光学素子(500)から周囲媒体へと出力可能となり、かつ/または
(b)前記外表面(510)は、前記光変換素子(300)の前面(310)に対して斜めに延在する少なくとも1つの表面領域(B’)を有し、これにより、2次光(350)は、前記第2の光学界面(G2)において、前記光変換素子(300)の前面(310)の法線(N)へ向かう方向で、特に全反射にて、前記光学素子(500)内に反射可能となる、
照明装置(100)。
【請求項2】
前記光変換素子(300)は、特に前記照明装置が緩和ジオメトリを有するよう、その前面(310)が前記光源(200)から放出された1次光(250)で照明されるように構成されており、かつ/または
前記光学素子(500)は、1次光および2次光の双方が前記光学素子(500)を通過するように構成されており、かつ/または
前記光学素子(500)の外表面(510)は、1次光(250)を整形する表面領域(B’’)を有し、前記1次光(250)を整形する表面領域(B’’)は、特に前記表面領域(BまたはB’)の一部であり、かつ/または
前記照明装置、特に前記光変換素子(300)および/または前記光学素子(500)、特に前記第1の光学界面(G1)は、前記光変換素子(300)の前面(310)へ配向された1次光の一部が散乱1次光として前記光学素子の外表面(510)の方向へ走行するように、特に前記表面領域(B)で散乱1次光も前記光学素子(500)から周囲媒体へと出力可能となりかつ/または前記表面領域(B’)で散乱1次光も全反射にて反射可能となるように構成されており、かつ/または
前記照明装置は、1次光のビーム路および2次光のビーム路の双方に配置されて、複数の前記ビーム路のうちの1つのビーム路を反射により偏向するように構成されたビームスプリッタ(700)、特にダイクロイックビームスプリッタ(700)を含み、かつ/または
前記照明装置は、前記光学素子(500)から出力された2次光(350)をフォーカシングするかつ/またはコリメートするように構成された別の光学素子(600)を含む、
請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
2次光を前記光学素子から出力することのできる前記表面領域(B)は、前記光学素子(500)の外表面(510)の少なくとも1つの面状のセクション(A)、例えば凸状に湾曲した面状のセクションによって形成されており、前記セクションは、好適には前記法線に対して0°~20°の角度範囲にわたって、殊に好ましくは前記法線に対して0°~40°の角度範囲にわたって、さらに好ましくは前記法線に対して0°~70°の角度範囲にわたってもしくは前記法線に対して0°~90°の角度範囲にわたって延在しており、かつ/または
2次光を前記光学素子から出力することのできる前記表面領域(B)は、前記光学素子(500)の外表面(510)の少なくとも1つの面状のセクション(A)、例えば凸状に湾曲した面状のセクションによって形成されており、前記セクションは、好適には少なくとも0.45πの空間角度にわたって、殊に好ましくは少なくとも1πの空間角度にわたって、さらに好ましくは少なくとも2πの空間角度にわたって延在しており、かつ/または
2次光を全反射にて前記光学素子内で反射させることのできる前記表面領域(B’)は、前記光学素子(500)の外表面(510)の少なくとも1つの面状のセクション(A’)、例えば凸状に湾曲した面状のセクションによって形成されており、前記セクションは、好適には前記法線に対して1°~90°の角度範囲にわたって、殊に好ましくは前記法線に対して10°~90°の角度範囲にわたって、さらに好ましくは前記法線に対して40°~90°の角度範囲にわたってもしくは前記法線に対して60°~90°の角度範囲にわたって延在しており、かつ/または
2次光を全反射にて前記光学素子内で反射させることのできる前記表面領域(B’)は、前記光学素子(500)の外表面(510)の少なくとも1つの面状のセクション(A’)、例えば凸状に湾曲した面状のセクションによって形成されており、前記セクションは、好適には少なくとも1πの空間角度にわたって、殊に好ましくは少なくとも1.5πの空間角度にわたって、さらに好ましくは少なくとも1.95πの空間角度にわたって延在している、
請求項1または2記載の照明装置。
【請求項4】
前記光学素子の外表面(510)および/または前記光学素子の外表面(510)の面状のセクション(A)は、好適には前記法線に対して0°~20°の角度範囲にわたって、殊に好ましくは前記法線に対して0°~40°の角度範囲にわたって、さらに好ましくは前記法線に対して0°~70°の角度範囲にわたってもしくは前記法線に対して0°~90°の角度範囲にわたって、少なくとも部分的に、特には完全に、球面状に成形されており、かつ/または
前記光学素子の外表面(510)および/または前記光学素子の外表面(510)の面状のセクション(A)は、好適には少なくとも0.45πの空間角度にわたって、殊に好ましくは少なくとも1πの空間角度にわたって、さらに好ましくは少なくとも2πの空間角度にわたって、少なくとも部分的に、特には完全に、球面状に成形されており、かつ/または
前記光学素子の外表面(510)および/または前記光学素子の外表面(510)の面状のセクション(A’)は、好適には前記法線に対して1°~90°の角度範囲にわたって、殊に好ましくは前記法線に対して10°~90°の角度範囲にわたって、さらに好ましくは前記法線に対して40°~90°の角度範囲にわたってもしくは前記法線に対して60°~90°の角度範囲にわたって、少なくとも部分的に放物面状に成形されており、かつ/または
前記光学素子の外表面(510)および/または前記光学素子の外表面(510)の面状のセクション(A’)は、好適には少なくとも1πの空間角度にわたって、殊に好ましくは少なくとも1.5πの空間角度にわたって、さらに好ましくは少なくとも1.95πの空間角度にわたって、少なくとも部分的に放物面状に成形されている、
請求項1から3までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項5】
前記表面領域(B)で前記光学素子から出力することのできる2次光は、前記光変換素子(300)の前面(310)の法線(N)へ向かう方向で出力可能であり、かつ/または
前記光学素子の外表面(510)、特に前記光学素子の外表面(510)の面状のセクション(AまたはA’)は、2次光をフォーカシングするかつ/またはコリメートするように構成されており、かつ/または
2次光を前記光学素子から出力させることのできる前記表面領域(B)、好適には前記面状のセクション(A)は、前記第1の光学界面(G1)の中央で前記光学素子(500)内へ入力可能な2次光を出力できるように構成されており、かつ/または
2次光を全反射にて前記光学素子内で反射させることのできる前記表面領域(B’)、好適には前記面状のセクション(A’)は、前記第1の光学界面(G1)の中央で前記光学素子(500)内へ入力可能な2次光を反射できるように構成されている、
請求項1から4までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項6】
前記光学素子に、特に前記光変換素子に面する前記光学素子の側に、少なくとも部分的に、特には完全に、コーティング、特に誘電体反射コーティングもしくは金属反射コーティングが設けられており、
前記光学素子(500)の外表面(510)に、特に前記光学素子(500)の外表面(510)のみに、少なくとも部分的に、特には完全に、コーティング、特に誘電体コーティング、反射防止コーティング、ダイクロイックコーティングおよび/またはカラーシフトコーティングが設けられている、
請求項1から5までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項7】
前記光変換素子(300)は、セラミック変換素子材料すなわちCe:YAG、Ce:GYAG、特に、Y位置にGdを有するYAG、Ce:LuAG、Ce:GaLuAGの材料のうち1つもしくは複数を含み、かつ/または
前記光変換素子(300)は、多結晶材料、特に均質な多結晶材料を含み、かつ/または
前記光変換素子(300)は、特にマトリクス材料として構成された無機材料を含み、かつ/または
前記光変換素子(300)は、単結晶材料を含み、特に単結晶材料から成り、かつ/または
前記光変換素子は、1.5超または1.6超または1.7超または1.8超の屈折率を有する、
請求項1から6までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項8】
前記光学素子(500)は、ガラス、特にLaSF、N-LaSF9、LASF35、P-LASF51、SFガラスまたは同等のガラスの材料のうち1つもしくは複数を含み、かつ/または
前記光学素子(500)は、1.5超または1.6超または1.7超または1.8超の屈折率、特に前記光変換素子(300)の屈折率よりも大きい屈折率を有し、かつ/または
前記光学素子(500)の屈折率は、前記光変換素子(300)の屈折率よりも最大で0.3小さく、好ましくは前記光変換素子(300)の屈折率よりも最大で0.1小さく、さらに好ましくは前記光変換素子(300)の屈折率よりも最大で0.05小さく、殊に好ましくは前記光変換素子(300)の屈折率よりも大きく、かつ/または
前記光学素子は、440nm~780nmの範囲において厚さ10mmの試料で測定された少なくとも90%の純透過率を有し、かつ500nm~780nmの範囲において厚さ10mmの試料で測定された少なくとも97%の純透過率を有するガラスから成り、かつ/または
前記光学素子は、7~9.5×10-6 1/Kの範囲、好適には7~8.5×10-6 1/Kの範囲にある熱膨張係数(CTEα+20/+300℃)を有し、かつ/または
前記光学素子は、前記光学素子と前記光変換素子(300)との間の熱膨張係数(CTE)の差を有し、前記熱膨張係数(CTE)の差は、25℃~300℃の温度範囲で2×10-6 1/K未満、好適には1×10-6 1/K未満であり、かつ/または
前記光学素子は、800℃未満、好ましくは700℃未満のガラス転移温度(TG)を有し、かつ/または
前記光学素子は、粘度が1010dPasとなる温度を有し、前記温度は900℃未満であり、好ましくは850℃未満であり、殊に好ましくは800℃未満である、
請求項1から7までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項9】
前記光変換素子(300)および前記光学素子(500)、特にその材料および/またはその屈折率および/またはそのジオメトリは、前記第1の光学界面(G1)での全反射が50°超の角度、好適には70°超の角度、殊に好ましくは80°超の角度からはじめて発生するように構成されており、かつ/または
前記光変換素子(300)および前記光学素子(500)、特にその材料および/またはその屈折率および/またはそのジオメトリは、全反射が全く発生しないかもしくは実質的に発生しないように構成されている、
請求項1から8までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項10】
前記光学素子(500)、特にその材料、その屈折率および/またはその外表面(510)は、2次光のうち30%超の割合、好適には60%超の割合、殊に好ましくは90%超の割合が前記光学素子(500)から周囲媒体へ出力可能となるように構成されており、かつ/または
前記光学素子(500)、特にその材料、その屈折率および/またはその外表面(510)は、すべての2次光もしくは実質的にすべての2次光が前記光学素子(500)から周囲媒体へ出力可能となるように構成されている、
請求項1から9までのいずれか1項記載の照明装置。
【請求項11】
光変換デバイスを製造する方法であって、前記方法は、
前面(310)を有し、1次光(250)で照明されて別の波長を有する2次光(350)を前記前面(310)で放出するように構成された光変換素子(300)を用意するステップと、
光学素子(500)を形成するための原材料を、前記光変換素子(300)との間に第1の光学界面(G1)が生じるように前記光変換素子(300)の前面(310)上で溶融させるステップと、
を含む、光変換デバイスを製造する方法。
【請求項12】
前記溶融させるステップの間、前記原材料は、溶融した光学素子(500)が前記原材料の外表面(510)に少なくとも実質的に対応する外表面を得るように、その形状を少なくとも実質的に保持し、かつ/または
前記溶融させるステップの間、温度上昇は、前記原材料が105dPas超1010dPas未満の粘度、好適には106dPas超108dPas未満の粘度に達するように行われる、
請求項11記載の光変換デバイスを製造する方法。
【請求項13】
前記溶融させるステップの間、前記原材料は、溶融した光学素子(500)が前記原材料の外表面(510)とは異なる外表面(510)を得るように、その形状を変化させ、かつ/または
前記溶融させるステップの間、温度上昇は、前記原材料が106dPas未満の粘度、好適には105dPas未満の粘度、殊に好ましくは104dPas未満の粘度に達するように行われる、
請求項11記載の光変換デバイスを製造する方法。
【請求項14】
前記光学素子の外表面(510)は、好適には少なくとも1/2πの空間角度にわたって、殊に好ましくは少なくともπの空間角度にわたって、さらに好ましくは少なくとも2πの空間角度にわたって、少なくとも部分的に、特には完全に、球面状に成形されており、かつ/または
前記光学素子の外表面(510)は、光軸に対して90°~60°の角度範囲での好適には放物面の頂点から出るビームに対して、さらに好ましくは光軸に対して90°~30°の角度範囲でのビームに対して、少なくとも部分的に放物面状に成形されている、
請求項11から13までのいずれか1項記載の光変換デバイスを製造する方法。
【請求項15】
光変換デバイス(10)であって、前記光変換デバイス(10)は、
前面(310)を有し、1次光(250)で照明されて別の波長を有する2次光(350)を前記前面(310)で放出するように構成された、光変換素子(300)と、
前記光変換素子(300)との間に第1の光学界面(G1)が形成されて前記第1の光学界面(G1)において前記光変換素子(300)からの2次光(350)が内部へ入力可能となるように前記光変換素子(300)の前面(310)に被着された光学素子(500)と、
を備え、
前記光学素子(500)は、周囲媒体に対する第2の光学界面(G2)を形成する外表面(510)を有し、
(a)前記外表面(510)は、前記光変換素子(300)の前面(310)に対して斜めに延在する少なくとも1つの表面領域(B)を有し、これにより、2次光(350)は、前記第2の光学界面(G2)において、前記表面領域(B)が前記光変換素子(300)の前面(310)に対して平行に延在する場合よりも前記光変換素子(300)の前面(310)の法線(N)に対して小さい角度を有する方向で、前記光学素子(500)から周囲媒体へと出力可能となり、かつ/または
(b)前記外表面(510)は、前記光変換素子(300)の前面(310)に対して斜めに延在する少なくとも1つの表面領域(B’)を有し、これにより、2次光(350)は、前記第2の光学界面(G2)において、前記光変換素子(300)の前面(310)の法線(N)へ向かう方向で、特に全反射にて、前記光学素子(500)内に反射可能となる、
光変換デバイス(10)。
【請求項16】
2次光を前記光学素子から出力することのできる前記表面領域(B)は、前記光学素子(500)の外表面(510)の少なくとも1つの面状のセクション(A)、例えば凸状に湾曲した面状のセクションによって形成されており、前記セクションは、好適には前記法線に対して0°~20°の角度範囲にわたって、殊に好ましくは前記法線に対して0°~40°の角度範囲にわたって、さらに好ましくは前記法線に対して0°~70°の角度範囲にわたってもしくは前記法線に対して0°~90°の角度範囲にわたって延在しており、かつ/または
2次光を前記光学素子から出力することのできる前記表面領域(B)は、前記光学素子(500)の外表面(510)の少なくとも1つの面状のセクション(A)、例えば凸状に湾曲した面状のセクションによって形成されており、前記セクションは、好適には少なくとも0.45πの空間角度にわたって、殊に好ましくは少なくとも1πの空間角度にわたって、さらに好ましくは少なくとも2πの空間角度にわたって延在しており、かつ/または
2次光を全反射にて前記光学素子内で反射させることのできる前記表面領域(B’)は、前記光学素子(500)の外表面(510)の少なくとも1つの面状のセクション(A’)、例えば凸状に湾曲した面状のセクションによって形成されており、前記セクションは、好適には前記法線に対して1°~90°の角度範囲にわたって、殊に好ましくは前記法線に対して10°~90°の角度範囲にわたって、さらに好ましくは前記法線に対して40°~90°の角度範囲にわたってもしくは前記法線に対して60°~90°の角度範囲にわたって延在しており、かつ/または
2次光を全反射にて前記光学素子内で反射させることのできる前記表面領域(B’)は、前記光学素子(500)の外表面(510)の少なくとも1つの面状のセクション(A’)、例えば凸状に湾曲した面状のセクションによって形成されており、前記セクションは、好適には少なくとも1πの空間角度にわたって、殊に好ましくは少なくとも1.5πの空間角度にわたって、さらに好ましくは少なくとも1.95πの空間角度にわたって延在している、
請求項15記載の光変換デバイス(10)。
【請求項17】
前記光学素子の外表面(510)および/または前記光学素子の外表面(510)の面状のセクション(A)は、好適には前記法線に対して0°~20°の角度範囲にわたって、殊に好ましくは前記法線に対して0°~40°の角度範囲にわたって、さらに好ましくは前記法線に対して0°~70°の角度範囲にわたってもしくは前記法線に対して0°~90°の角度範囲にわたって、少なくとも部分的に、特には完全に、球面状に成形されており、かつ/または
前記光学素子の外表面(510)および/または前記光学素子の外表面(510)の面状のセクション(A)は、好適には少なくとも0.45πの空間角度にわたって、殊に好ましくは少なくとも1πの空間角度にわたって、さらに好ましくは少なくとも2πの空間角度にわたって、少なくとも部分的に、特には完全に、球面状に成形されており、かつ/または
前記光学素子の外表面(510)および/または前記光学素子の外表面(510)の面状のセクション(A’)は、好適には前記法線に対して1°~90°の角度範囲にわたって、殊に好ましくは前記法線に対して10°~90°の角度範囲にわたって、さらに好ましくは前記法線に対して40°~90°の角度範囲にわたってもしくは前記法線に対して60°~90°の角度範囲にわたって、少なくとも部分的に放物面状に成形されており、かつ/または
前記光学素子の外表面(510)および/または前記光学素子の外表面(510)の面状のセクション(A’)は、好適には少なくとも1πの空間角度にわたって、殊に好ましくは少なくとも1.5πの空間角度にわたって、さらに好ましくは少なくとも1.95πの空間角度にわたって、少なくとも部分的に放物面状に成形されている、
請求項15または16記載の光変換デバイス(10)。
【請求項18】
前記表面領域(B)で前記光学素子から出力することのできる2次光は、前記光変換素子(300)の前面(310)の法線(N)へ向かう方向で出力可能であり、かつ/または
前記光学素子の外表面(510)、特に前記光学素子の外表面(510)の面状のセクション(AまたはA’)は、2次光をフォーカシングするかつ/またはコリメートするように構成されており、かつ/または
2次光を前記光学素子から出力させることのできる前記表面領域(B)、好適には前記面状のセクション(A)は、前記第1の光学界面(G1)の中央で前記光学素子(500)内へ入力可能な2次光を出力できるように構成されており、かつ/または
2次光を全反射にて前記光学素子内で反射させることのできる前記表面領域(B’)、好適には前記面状のセクション(A’)は、前記第1の光学界面(G1)の中央で前記光学素子(500)内へ入力可能な2次光を反射できるように構成されている、
請求項15から17までのいずれか1項記載の光変換デバイス(10)。
【請求項19】
前記光学素子に、特に前記光変換素子に面する前記光学素子の側に、少なくとも部分的に、特には完全に、コーティング、特に誘電体反射コーティングもしくは金属反射コーティングが設けられており、
前記光学素子(500)の外表面(510)に、特に前記光学素子(500)の外表面(510)のみに、少なくとも部分的に、特には完全に、コーティング、特に誘電体コーティング、反射防止コーティング、ダイクロイックコーティングおよび/またはカラーシフトコーティングが設けられている、
請求項15から18までのいずれか1項記載の光変換デバイス(10)。
【請求項20】
前記光変換素子(300)は、セラミック変換素子材料、すなわちCe:YAG、Ce:GYAG、特にY位置にGdを有するYAG、Ce:LuAG、Ce:GaLuAGの材料のうち1つもしくは複数を含み、かつ/または
前記光変換素子(300)は、多結晶材料、特に均質な多結晶材料を含み、かつ/または
前記光変換素子(300)は、特にマトリクス材料として構成された無機材料を含み、かつ/または
前記光変換素子(300)は、単結晶材料を含み、特に単結晶材料から成り、かつ/または
光変換素子は、1.5超または1.6超または1.7超または1.8超の屈折率を有する、
請求項15から19までのいずれか1項記載の光変換デバイス(10)。
【請求項21】
前記光学素子(500)は、ガラス、特にLaSF、N-LaSF9、LASF35、P-LASF51、SFガラスまたは同等のガラスの材料のうち1つもしくは複数を含み、かつ/または
前記光学素子(500)は、1.5超または1.6超または1.7超または1.8超の屈折率、特に前記光変換素子(300)の屈折率よりも大きい屈折率を有し、かつ/または
前記光学素子(500)の屈折率は、前記光変換素子(300)の屈折率よりも最大で0.3小さく、好ましくは前記光変換素子(300)の屈折率よりも最大で0.1小さく、さらに好ましくは前記光変換素子(300)の屈折率よりも最大で0.05小さく、殊に好ましくは前記光変換素子(300)の屈折率よりも大きく、かつ/または
前記光学素子は、440nm~780nmの範囲において厚さ10mmの試料で測定された少なくとも90%の純透過率を有し、かつ500nm~780nmの範囲において厚さ10mmの試料で測定された少なくとも97%の純透過率を有する、ガラスから成り、かつ/または
前記光学素子は、7~9.5×10-6 1/Kの範囲、好適には7~8.5×10-6 1/Kの範囲にある熱膨張係数(CTEα+20/+300℃)を有し、かつ/または
前記光学素子は、前記光学素子と前記光変換素子(300)との間の熱膨張係数(CTE)の差を有し、前記熱膨張係数(CTE)の差は、25℃~300℃の温度範囲で2×10-6 1/K未満、好適には1×10-6 1/K未満であり、かつ/または
前記光学素子は、800℃未満、好ましくは700℃未満のガラス転移温度(TG)を有し、かつ/または
前記光学素子は、粘度が1010dPasとなる温度を有し、前記温度は900℃未満であり、好ましくは850℃未満であり、殊に好ましくは800℃未満である、
請求項15から20までのいずれか1項記載の光変換デバイス(10)。
【請求項22】
前記光変換素子(300)および前記光学素子(500)、特にその材料および/またはその屈折率および/またはそのジオメトリは、前記第1の光学界面(G1)での全反射が50°超の角度、好適には70°超の角度、殊に好ましくは80°超の角度からはじめて発生するように構成されており、かつ/または
前記光変換素子(300)および前記光学素子(500)、特にその材料および/またはその屈折率および/またはそのジオメトリは、全反射が全く発生しないかもしくは実質的に発生しないように構成されている、
請求項15から21までのいずれか1項記載の光変換デバイス(10)。
【請求項23】
前記光学素子(500)、特にその材料、その屈折率および/またはその外表面(510)は、2次光のうち30%超の割合、好適には60%超の割合、殊に好ましくは90%超の割合が前記光学素子(500)から周囲媒体へ出力可能となるように構成されており、かつ/または
前記光学素子(500)、特にその材料、その屈折率および/またはその外表面(510)は、すべての2次光もしくは実質的にすべての2次光が前記光学素子(500)から周囲媒体へ出力可能となるように構成されている、
請求項15から22までのいずれか1項記載の光変換デバイス(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1次光を放出する少なくとも1つの光源と、光源から放出された1次光で照明されて別の波長を有する2次光を前面で放出するように構成された光変換素子と、を備えた、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザーポンピングされる光変換素子では、励起光(1次放射)がルミネセンス変換素子内へ入力される。フォトルミネセンスによって生成された有効光(2次放射)が再び出力され、これにより光源が与えられる。
【0003】
一例として、活性元素としてのセリウムを含むガーネットベースの変換素子(例えばCe:YAG、Ce:LuAG)が挙げられ、これは、緩和ジオメトリの静的変換素子としてレーザー励起によって駆動可能である。こうした変換装置は、時に応じて、生成可能な特に高い輝度を有する。このために、変換素子は、例えば高い照明強度(例えば>50W/mm2)を有する青色レーザービーム(~450nm)で照明可能であり、これにより、光の一部が黄色光として放出される。レーザービームスポットの典型的な直径は0.1mm~数mmの範囲でありうる。このようにすることで黄色光の高い輝度を形成することができる。理論的には、300lm/Wの発光効率を有する変換素子の場合、例えば15000lm/mm2の比光放出が得られ、これは、ランベルト放射特性における変換素子での約5000cd/mm2の輝度に相当する。
【0004】
しかし、実際にはこうした輝度は達成されない。その理由は、1つには高い照明強度のもとでの温度に起因する発光効率の低下であり、もう1つには特にレーザービームスポットの直径が小さい場合に放出光のスポットの拡大を生じさせる光拡散である。後者は特に変換素子材料の屈折率によって生じる。変換素子材料の高い屈折率は問題となる。なぜなら、高い屈折率は、一方では全反射の大きな臨界角によって光出力コーンを減少させ、他方では大きなフレネル反射によって青色光の入力および黄色光の出力を付加的に困難にするからである。
【0005】
変換素子上の誘電体コーティングによって大きなフレネル反射を低減することは確かに可能であるが、その場合、波長領域の拡がりおよび角度領域の拡がりの双方にわたって界面反射が低減されてしまうことが問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の基礎を成す課題は、特に達成可能な輝度を増大するために、変換素子表面での内部全反射に起因する2次光の光拡散を最小化し、さらに、特に後続の照明ビーム路への光の入力効率を高められるよう、放出光のランベルト放射特性を狭めることである。本発明の課題の一側面として、本発明が既存の製造プロセスに対して互換性を有し、かつ構成部材を使用する光学システムへの最適な適応化を達成できるようにすることが挙げられる。本発明の課題のさらなる側面として、高い温度安定性ひいては性能安定性、光学システムへの放射特性の適応化、特に青色光の入力および黄色光の出力の改善、光の放出スペクトルの適応化手段も挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、照明装置であって、特にレーザーとして構成された、1次光を放出する少なくとも1つの光源と、前面を有し、光源から放出された1次光で照明されて別の波長の2次を前面で放出するように構成された、光変換素子と、光変換素子との間に第1の光学界面が形成されて当該第1の光学界面において光変換素子からの2次光が内部へ入力可能となるように光変換素子の前面に被着された光学素子と、を備え、光学素子は、周囲媒体に対する第2の光学界面を形成する外表面を有し、(a)外表面が、光変換素子の前面に対して斜めに延在する少なくとも1つの表面領域を有し、これにより、2次光は、第2の光学界面において、表面領域が光変換素子の前面に対して平行に延在する場合よりも光変換素子の前面の法線に対して小さい角度を有する方向で、光学素子から周囲媒体へと出力可能となり、かつ/または(b)外表面が、光変換素子の前面に対して斜めに延在する少なくとも1つの表面領域を有し、これにより、2次光は、第2の光学界面において、光変換素子の前面の法線へ向かう方向で特に全反射にて光学素子内に反射可能となる、照明装置に関する。
【0008】
表面領域Bは、特に光変換素子の前面とは反対側の面にあり、特に屈折表面領域として用いられる。表面領域B’は、特に光変換素子の前面に面する面であり、特に反射表面領域として用いられる。1つの光学素子が2つの表面領域B,B’の双方を有する必要はない。しかし、1つの光学素子が特定の実施形態において双方の表面領域B,B’を同時に有してもよい。
【0009】
光変換素子は、好適には、特に照明装置が緩和ジオメトリを有するよう、その前面が光源から放出される1次光で照明されるように構成される。
【0010】
光学素子は、好適には、1次光および2次光の双方が光学素子を通過するように構成される。
【0011】
光学素子の外表面は、さらに、1次光を整形する表面領域B’’を有することができ、当該1次光を整形する表面領域B’’は、例えば表面領域B(または面状のセクションA)の一部または表面領域B’(または面状のセクションA’)の一部であってよい。
【0012】
照明装置、特に光変換素子および/または光学素子、特に第1の光学界面は、特別なケースでは、光変換素子の前面へ配向された1次光の一部が散乱1次光として光学素子の外表面の方向へ走行するように、特に表面領域Bで散乱1次光も光学素子から周囲媒体へと出力可能となり、かつ/または表面領域B’で散乱1次光も全反射にて反射可能となるように構成可能である。
【0013】
照明装置は、1次光のビーム路および2次光のビーム路の双方に配置可能であって、複数のビーム路のうちの1つのビーム路を反射により偏向するように構成可能なビームスプリッタ、特にダイクロイックビームスプリッタを含むことができる。
【0014】
照明装置は、多くの実施形態において、特にビーム路内の下流に配置され、上記の光学素子から出力された2次光をフォーカシングするかつ/またはコリメートするように構成された別の光学素子を含むことができる。
【0015】
2次光を光学素子から出力することのできる表面領域Bは、光学素子の外表面の少なくとも1つの面状のセクションA、例えば凸状に湾曲した面状のセクションによって形成可能であり、当該セクションは、法線に対して0°~20°の角度範囲にわたって、殊に好ましくは法線に対して0°~40°の角度範囲にわたって、さらに好ましくは法線に対して0°~70°の角度範囲にわたってもしくは法線に対して0°~90°の角度範囲にわたって延在する。
【0016】
2次光を光学素子から出力することのできる表面領域Bは、光学素子の外表面の少なくとも1つの面状のセクションA、例えば凸状に湾曲した面状のセクションによって形成可能であり、当該セクションは、少なくとも0.45πの空間角度にわたって、殊に好ましくは少なくとも1πの空間角度にわたって、さらに好ましくは少なくとも2πの空間角度にわたって延在する。空間角度とは、ここでは特に、セクションAにつき、光変換素子からの2次光のビーム出射が現れる角度範囲を記述する。
【0017】
2次光を全反射にて光学素子内で反射させることのできる表面領域B’は、光学素子の外表面の少なくとも1つの面状のセクションA’、例えば凸状に湾曲した面状のセクションによって形成可能であり、当該セクションは、好適には法線に対して1°~90°の角度範囲にわたって、殊に好ましくは法線に対して10°~90°の角度範囲にわたって、さらに好ましくは法線に対して40°~90°の角度範囲にわたってもしくは法線に対して60°~90°の角度範囲にわたって延在する。
【0018】
2次光を全反射にて光学素子内で反射させることのできる表面領域B’は、光学素子の外表面の少なくとも1つの面状のセクションA’、例えば凸状に湾曲した面状のセクションによって形成可能であり、当該セクションは、好適には少なくとも1πの空間角度にわたって、殊に好ましくは少なくとも1.5πの空間角度にわたって、さらに好ましくは少なくとも1,95πの空間角度にわたって延在する。
【0019】
光学素子の外表面および/または光学素子の外表面の面状のセクションAは、好適には法線に対して0°~20°の角度範囲にわたって、殊に好ましくは法線に対して0°~40°の角度範囲にわたって、さらに好ましくは法線に対して0°~70°の角度範囲にわたってもしくは0°~90°の法線に対する角度範囲にわたって、少なくとも部分的に、特には完全に、球面状に成形可能である。
【0020】
光学素子の外表面および/または光学素子の外表面の面状のセクションAは、好適には少なくとも0.45πの空間角度にわたって、殊に好ましくは少なくとも1πの空間角度にわたって、さらに好ましくは少なくとも2πの空間角度にわたって、少なくとも部分的に、特には完全に、球面状に成形可能である。
【0021】
光学素子の外表面および/または光学素子の外表面の面状のセクションA’は、好適には法線に対して1°~90°の角度範囲にわたって、殊に好ましくは法線に対して10°~90°の角度範囲にわたって、さらに好ましくは法線に対して40°~90°の角度範囲にわたってもしくは法線に対して60°~90°の角度範囲にわたって、少なくとも部分的に放物面状に成形可能である。
【0022】
光学素子の外表面および/または光学素子の外表面の面状のセクションA’は、好適には少なくとも1πの空間角度にわたって、殊に好ましくは少なくとも1.5πの空間角度にわたって、さらに好ましくは少なくとも1.95πの空間角度にわたって、少なくとも部分的に放物面状に成形可能である。
【0023】
表面領域Bで光学素子から出力することのできる2次光は、好適には、光変換素子の前面の法線へ向かう方向で出力可能であってよい。
【0024】
光学素子の外表面、特に光学素子の外表面の面状のセクションAまたはA’は、2次光をフォーカシングするかつ/またはコリメートするように、かつ/または光放出の角度範囲を制限するように構成可能である。
【0025】
2次光を光学素子から出力させることのできる表面領域B、好適には面状のセクションAは、第1の光学界面の中央で光学素子内へ入力可能な2次光を出力できるように構成可能である。
【0026】
2次光を全反射にて光学素子内で反射させることのできる表面領域B’、好適には面状のセクションA’は、第1の光学界面の中央で光学素子内へ入力可能な2次光を反射できるように構成可能である。
【0027】
光学素子に、特に光変換素子に面する光学素子の側に、少なくとも部分的に、特には完全に、コーティング、特に誘電体反射コーティングもしくは金属反射コーティングが設けられ、光学素子の外表面に、特に光学素子の外表面のみに、少なくとも部分的に、特には完全に、コーティング、特に誘電体コーティング、反射防止コーティング、ダイクロイックコーティングおよび/またはカラーシフトコーティングが設けられるように構成可能である。任意選択手段としてさらに、光学素子、特に表面領域B’、好ましくは面状のセクションA’が反射コーティングを有するように構成されてもよい。
【0028】
光変換素子は、セラミック変換素子材料、すなわちCe:YAG、Ce:GYAG、特に、Y位置にGdを有するYAG、Ce:LuAG、Ce:GaLuAGの材料のうちの1つもしくは複数を含むことができる。
【0029】
光変換素子は、多結晶材料、特に均質な多結晶材料を含むことができる。
【0030】
光変換素子は、光変換粒子が埋め込まれた無機材料、特にマトリクス材料として形成されていてよい無機材料を含むことができる。
【0031】
光変換素子は、単結晶材料を含むことができ、特に単結晶材料から成っていてよい。
【0032】
光変換素子は、好適には、1.5超または1.6超または1.7超または1.8超の屈折率を有する。
【0033】
光学素子は、ガラス、特にLaSF、N-LaSF9、LASF35、P-LASF51、SFガラスまたは同等のガラスのうちの1つもしくは複数を含むことができる。
【0034】
光学素子は、好適には、1.5超または1.6超または1.7超または1.8超の屈折率、特に光変換素子の屈折率よりも大きい屈折率を有する。
【0035】
光学素子の屈折率は、好適には、光変換素子の屈折率よりも最大で0.3小さく、好ましくは光変換素子の屈折率よりも最大で0.1小さく、さらに好ましくは光変換素子の屈折率よりも最大で0.05小さく、殊に好ましくは光変換素子の屈折率よりも大きい。
【0036】
光学素子は、440nm~780nmの範囲において厚さ10mmの試料で測定された少なくとも90%の純透過率を有し、かつ/または500nm~780nmの範囲において厚さ10mmの試料において測定された少なくとも97%の純透過率を有するガラスから成っていてよいかまたはこのガラスを含んでいてよい。
【0037】
光学素子は、7~9.5×10-6 1/Kの範囲、好ましくは7~8.5×10-6 1/Kの範囲にある熱膨張係数CTEα+20/+300℃を有しうる。
【0038】
光学素子は、光学素子と光変換素子との間の熱膨張係数CTEの差を有することができ、当該熱膨張係数CTEの差は、25℃~300℃の温度範囲で2×10-6 1/K未満、好ましくは1×10-6 1/K未満である。
【0039】
光学素子は、好適には、800℃未満、好ましくは700℃未満のガラス転移温度TGを有する。
【0040】
光学素子の融着は<1010dPasの粘度で可能となるため、ガラスが1010dPasの粘度を有する温度は多くの場合に光学素子に使用されるガラスのさらなる重要な特性値である。当該温度は、好適には900℃未満、好ましくは850℃未満、特に好ましくは800℃未満である。
【0041】
光変換素子および光学素子、特にその材料および/またはその屈折率は、好適には、第1の界面での全反射が50°超の角度、好適には70°超の角度、殊に好ましくは80°超の角度からはじめて発生するように構成されている。
【0042】
光変換素子および光学素子、特にその材料および/またはその屈折率は、好適には、全反射が全く発生しないかもしくは実質的に発生しないように構成されている。
【0043】
光学素子、特にその材料、その屈折率および/またはその外表面は、好適には、特に光変換素子から光学素子内へ入射する光束に関して、2次光のうち30%超の割合、好適には60%超の割合、殊に好ましくは90%超の割合が光学素子から周囲媒体へ出力可能となるように構成されている。
【0044】
光学素子、特にその材料、その屈折率および/またはその外表面は、好適には、すべての2次光もしくは実質的にすべての2次光が光学素子から周囲媒体へ出力可能となるように構成されている。
【0045】
本発明はさらに、光変換デバイスを製造する方法であって、前面を有し、1次光で照明されて別の波長を有する2次光を当該前面で放出するように構成された光変換素子を用意することと、光学素子を形成するための原材料を、光変換素子との間に第1の光学界面が生じるように光変換素子の前面上で溶融させることと、を含む方法に関する。
【0046】
溶融/融着中、原材料は、溶融した光学素子が原材料の外表面に少なくとも実質的に対応する外表面を得るように、その形状を少なくとも実質的に保持することができる。
【0047】
溶融/融着中、温度上昇は、原材料が105dPas超1010dPas未満の粘度、好適には106dPas超108dPas未満の粘度に達するように行われうる。
【0048】
溶融/融着中、原材料は、溶融した光学素子が原材料の外表面とは異なる外表面を得るように、その形状を変化させることもできる。
【0049】
溶融/融着中、温度上昇は、原材料が106dPas未満の粘度、好適には105dPas未満の粘度、殊に好ましくは104dPas未満の粘度に達するように行われうる。
【0050】
光学素子の外表面は、好適には少なくとも1/2πの空間角度にわたって、殊に好ましくは少なくともπの空間角度にわたって、さらに好ましくは少なくとも2πの空間角度にわたって、少なくとも部分的に、特には完全に、球面状に成形されていてよい。
【0051】
光学素子の外表面は、光軸に対して90°~60°の角度範囲での好適には放物面の頂点から出るビームに対して、さらに好ましくは光軸に対して90°~30°の角度範囲でのビームに対して、少なくとも部分的に放物面状に成形されていてよい。
【0052】
本発明はさらに、光変換デバイスであって、前面を有し、1次光で照明されて別の波長を有する2次光を前面で放出するように構成された光変換素子と、光変換素子との間に第1の光学界面が形成されて当該光学界面において光変換素子からの2次光が光学素子内へ入力可能となるように光変換素子の前面に被着された光学素子と、を備え、光学素子は、周囲媒体に対する第2の光学界面を形成する外表面を有し、(a)外表面は、第2の光学素子の前面に対して斜めに延在する少なくとも1つの表面領域Bを有し、これにより、2次光は、第2の光学界面において、表面領域Bが光変換素子の前面に対して平行に延在する場合よりも光変換素子の前面の法線に対して小さい角度を有する方向で、光学素子から周囲媒体へと出力可能となり、かつ/または(b)外表面は、光変換素子の前面に対して斜めに延在する少なくとも1つの表面領域B’を有し、これにより、2次光は、第2の光学界面において、光変換素子の前面の法線へ向かう方向で特に全反射にて光学素子内で反射可能となる、光変換デバイスに関する。
【0053】
2次光を光学素子から出力することのできる表面領域Bは、光学素子の外表面の少なくとも1つの面状のセクションA、例えば凸状に湾曲した面状のセクションによって形成されていてよく、当該セクションは、好適には法線に対して0°~20°の角度範囲にわたって、殊に好ましくは法線に対して0°~40°の角度範囲にわたって、さらに好ましくは法線に対して0°~70°の角度範囲にわたってもしくは法線に対して0°~90°の角度範囲にわたって延在する。
【0054】
2次光を光学素子から出力することのできる表面領域Bは、光学素子の外表面の少なくとも1つの面状のセクションA、例えば凸状に湾曲した面状のセクションによって形成されていてよく、当該セクションは、好適には少なくとも0.45πの空間角度にわたって、殊に好ましくは少なくとも1πの空間角度にわたって、さらに好ましくは少なくとも2πの空間角度にわたって延在する。
【0055】
2次光を全反射にて光学素子内で反射させることのできる表面領域B’は、光学素子の外表面の少なくとも1つの面状のセクションA’、例えば凸状に湾曲した面状のセクションによって形成されていてよく、当該セクションは、好適には法線に対して1°~90°の角度範囲にわたって、殊に好ましくは法線に対して10°~90°の角度範囲にわたって、さらに好ましくは法線に対して40°~90°の角度範囲にわたってもしくは法線に対して60°~90°の角度範囲にわたって延在する。
【0056】
2次光を全反射にて光学素子内で反射させることのできる表面領域B’は、光学素子の外表面の少なくとも1つの面状のセクションA’、例えば凸状に湾曲した面状のセクションによって形成されていてよく、当該セクションは、好適には少なくとも1πの空間角度にわたって、殊に好ましくは少なくとも1.5πの空間角度にわたって、さらに好ましくは少なくとも1.95πの空間角度にわたって延在する。
【0057】
光学素子の外表面および/または光学素子の外表面の面状のセクションAは、好ましくは法線に対して0°~20°の角度範囲にわたって、殊に好ましくは法線に対して0°~40°の角度範囲にわたって、さらに好ましくは法線に対して0°~70°の角度範囲にわたってもしくは0°~90°の法線に対する角度範囲にわたって、少なくとも部分的に、特には完全に、球面状に成形されていてよい。
【0058】
光学素子の外表面および/または光学素子の外表面の面状のセクションAは、好適には少なくとも0.45πの空間角度にわたって、殊に好ましくは少なくとも1πの空間角度にわたって、さらに好ましくは少なくとも2πの空間角度にわたって、少なくとも部分的に、特には完全に、球面状に成形されていてよい。
【0059】
光学素子の外表面および/または光学素子の外表面の面状のセクションA’は、好適には法線に対して1°~90°の角度範囲にわたって、殊に好ましくは法線に対して10°~90°の角度範囲にわたって、さらに好ましくは法線に対して40°~90°の角度範囲にわたってもしくは法線に対して60°~90°の角度範囲にわたって、少なくとも部分的に放物面状に成形されていてよい。
【0060】
光学素子の外表面および/または光学素子の外表面の面状のセクションA’は、好適には少なくとも1πの空間角度にわたって、殊に好ましくは少なくとも1.5πの空間角度にわたって、さらに好ましくは少なくとも1.95πの空間角度にわたって、少なくとも部分的に放物面状に成形されていてよい。
【0061】
表面領域Bで光学素子から出力することのできる2次光は、好適には、光変換素子の表面の法線へ向かう方向で出力可能であってよい。
【0062】
光学素子の外表面、特に光学素子の外表面の面状のセクションAまたはA’は、2次光をフォーカシングするかつ/またはコリメートするように、かつ/または光放出の角度範囲を制限するように構成されていてよい。
【0063】
2次光を光学素子から出力させることのできる表面領域B、好適には面状のセクションAは、第1の光学界面の中央で光学素子内へ入力可能な2次光を出力できるように構成されていてよい。
【0064】
2次光を全反射にて光学素子内で反射させることのできる表面領域B’、好ましくは面状のセクションA’は、第1の光学界面の中央で光学素子内へ入力可能な2次光を反射できるように構成されていてよい。
【0065】
光学素子に、特に光変換素子に面する光学素子の側に、少なくとも部分的に、特には完全に、コーティング、特に誘電体反射コーティングもしくは金属反射コーティングが設けられ、光学素子の外表面に、特に光学素子の外表面のみに、少なくとも部分的に、特には完全に、コーティング、特に誘電体コーティング、反射防止コーティング、ダイクロイックコーティングおよび/またはカラーシフトコーティングが設けられるように構成可能である。任意選択手段としてさらに、光学素子、特に表面領域B’、好適には面状のセクションA’が反射コーティングを有するように構成されていてもよい。
【0066】
光変換素子は、セラミック変換素子材料、すなわちCe:YAG、Ce:GYAG、特にY位置にGdを有するYAG、Ce:LuAG、Ce:GaLuAGのうちの1つもしくは複数を含むことができる。
【0067】
光変換素子は、多結晶材料、特に均質な多結晶材料を含むことができる。
【0068】
光変換素子は、光変換粒子が埋め込まれた無機材料として、特にマトリクス材料として構成されていてよい無機材料を含むことができる。
【0069】
光変換素子は、単結晶材料を含み、特に単結晶材料から成っていてよい。
【0070】
光変換素子は好適には、1.5超または1.6超または1.7超または1.8超の屈折率を有する。
【0071】
光学素子は、ガラス、特にLaSF、N-LaSF9、LASF35、P-LASF51、SFガラスまたは同等のガラスの材料うちの1つもしくは複数を含むことができる。
【0072】
光学素子は、好適には、1.5超または1.6超または1.7超または1.8町の屈折率、特に光変換素子の屈折率よりも大きい屈折率を有する。
【0073】
光学素子の屈折率は、好適には光変換素子の屈折率よりも最大で0.3小さく、好適には光変換素子の屈折率よりも最大で0.1小さく、さらに好ましくは光変換素子の屈折率よりも最大で0.05小さく、殊に好ましくは光変換素子の屈折率よりも大きい。
【0074】
光学素子は、440nm~780nmの範囲において厚さ10mmの試料で測定された少なくとも90%の純透過率を有し、かつ/または500nm~780nmの範囲において厚さ10mmの試料で測定された少なくとも97%の純透過率を有するガラスから成っていてよい。
【0075】
光学素子は、7~9.5×10-6 1/Kの範囲、好適には7~8.5×10-6 1/Kの範囲にある熱膨張係数CTEα+20/+300℃を有することができる。
【0076】
光学素子は、光学素子と光変換素子との間の熱膨張係数CTEの差を有することができ、当該熱膨張係数CTEの差は、25℃~300℃の温度範囲で2×10-6 1/K未満、好ましくは1×10-6 1/K未満である。
【0077】
光学素子は、好ましくは800℃未満、好ましくは700℃未満のガラス転移温度TGを有する。
【0078】
光学素子の融着は<1010dPasの粘度で可能となるため、ガラスが1010dPasの粘度を有する温度は、多くの場合に、光学素子に使用されるガラスのさらなる重要な特性値である。当該温度は、好適には900℃未満、好ましくは850℃未満、殊に好ましくは800℃未満である。
【0079】
光変換素子および光学素子、特にその材料および/またはその屈折率は、第1の界面での全反射が50°超の角度、好適には70°超の角度、殊に好ましくは80°超の角度からはじめて発生するように構成されている。
【0080】
光変換素子および光学素子、特にその材料および/またはその屈折率は、好適には全反射が全く発生しないかもしくは実質的に発生しないように構成されている。
【0081】
光学素子、特にその材料、その屈折率および/またはその外表面は、好適には、特に光変換素子から光学素子内へ入射する光束に関して、2次光のうち30%超の割合、好適には60%超の割合、殊に好ましくは90%超の割合が光学素子から周囲媒体へ出力可能となるように構成されている。
【0082】
光学素子、特にその材料、その屈折率および/またはその外表面は、好適には、すべての2次光もしくは実質的にすべての2次光が光学素子から周囲媒体へ出力可能となるように構成されている。
【0083】
本発明を以下に図に即して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【
図1】セラミック変換素子の屈折率を示すグラフである。
【
図2】変換素子と他の光学媒体との界面における反射を示すグラフである。
【
図3】エスケープコーン(Escape Cone)を示す概略図である。
【
図4】内部全反射を受ける放出の割合を示すグラフである。
【
図5】N-LASF9ガラスと比較したセラミック変換素子の屈折率を示すグラフである。
【
図6】光変換デバイスまたは照明装置の一実施例を示す概略図である。
【
図7】光変換デバイスまたは照明装置の一実施例を示す概略図である。
【
図8】光変換デバイスまたは照明装置の一実施例を示す概略図である。
【
図9】光変換デバイスまたは照明装置の一実施例を示す概略図である。
【
図10】光変換デバイスまたは照明装置の一実施例を示す概略図である。
【
図11】光変換デバイスまたは照明装置の一実施例を示す概略図である。
【
図12】光変換デバイスまたは照明装置の一実施例を示す概略図である。
【
図13】光変換デバイスまたは照明装置の一実施例を示す概略図である。
【
図14】光変換デバイスまたは照明装置の一実施例を示す概略図である。
【
図15】光変換デバイスまたは照明装置の一実施例を示す概略図である。
【
図16】光変換デバイスまたは照明装置の一実施例を示す概略図である。
【
図17】光変換デバイスまたは照明装置の一実施例を示す概略図である。
【
図18】光変換デバイスまたは照明装置の一実施例を示す概略図である。
【
図19】光変換デバイスまたは照明装置の一実施例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0085】
図1には、典型的なセラミック変換素子の屈折率の一例が示されている。ここには、YAGから成る黄色発光変換素子の波長とLuAGから成る緑色発光変換素子の波長に依存した屈折率特性が示されている。どちらの場合も、屈折率は、可視スペクトル領域においてn=1.8を上回っている。ヒトの目の最大感度の波長である555nmでは、屈折率は約n=1.82である。
【0086】
変換素子と所定の屈折率を有する別の光学媒体との界面における光の反射は、フレネルの式により記述される。
図2aに、フレネルの式から計算された、屈折率n
c=1.82を有する変換素子から所定の角度αで空気との界面へ出射される光の反射率が示されている。ここでの角度(α)は、光ビームと面法線との成す角度を記述している。垂直入射時(α=0°)には、光の8.5%が変換素子内へ反射されて戻り、大部分(91.5%)が透過する。角度が大きいと(α>33.3°)光は内部全反射(TIR)を受け、すなわち反射率が100%となる。屈折率n
cを有する変換素子の光学的に密な媒体と隣接する屈折率n
gを有する光学的に疎な媒体との界面における全反射の臨界角γは、γ=α
TIR=arcsin(n
g/n
c)によって与えられる。
【0087】
反射率は、垂直入射(α=0°)と全反射の臨界角(α=γ)との間で、光が入射面(s)に対して平行に偏光されているかまたは垂直に偏光されているかに依存して定められる。ルミネセンス変換素子において生成された光が無偏光である場合、すなわち2つの偏光方向が同じ分量で含まれている場合、
図2aにおいて太線で記されているs偏光およびp偏光からの平均反射が重要であり、この平均反射は、TIR臨界角の近傍においてはじめて顕著な角度依存性を有する。
【0088】
図2bには、変換素子と他の光学媒体との界面での無偏光の光のここでの反射率が示されている。典型的な光学ガラス(n=1.52)の場合、垂直入射のときのフレネル反射はわずか0.8%のみに著しく低下し、全反射の臨界角は56.6°まで増大する。媒体が同一の屈折率を有する場合にはフレネル反射はすべての角度に対して0%であり、媒体が幾らか高い屈折率を有する場合には70°を越える角度ではじめて無視されえないフレネル反射が生じる。ただし全反射は発生しない。
【0089】
図3には、エスケープコーン(英語“escape cone”)が示されている。全反射の臨界角が、変換素子媒体における仮想の光点に対して当該エスケープコーンを定義している。当該コーン内の光ビームは全反射を受けず、当該コーン外の光ビームは、全反射を受け、材料を離脱できないか、または変換素子プレート内でさらなる散乱事象もしくは反射事象を経た後にしか離脱できない。
【0090】
エスケープコーンがカバーしている空間角度は、
Ω=2π(1-cos(γ))
である。
【0091】
これにより、変換素子の半空間(Ω=2π)へ放出される光の割合は、この場合、エスケープコーン内で、
FEC=1-cos(γ)
にある。
【0092】
ただし、フレネルの式によって与えられる界面反射をさらに考慮しなければならないので、エスケープコーンにおけるすべての光が変換素子を離脱するわけではない。これは、垂直入射の際の界面反射によって良好に推定できるため、その割合は、近似的に、
FAuskopplung=[1-cos(γ)][1-RF(0)]
となる。
【0093】
内部全反射を受ける割合は、FECに対して相補的であって、
FTIR=cos(γ)=cos(arcsin(ng/nc))
によって与えられる。
【0094】
図4には、変換素子屈折率1.82についての当該関数が示されており、内部全反射によって遮断される光の割合が出力媒体の屈折率にきわめて敏感に依存することが示されている。出力媒体の屈折率が変換素子材料の屈折率よりも大きければ、内部全反射は起こらない。
【0095】
選択された界面状況についての、垂直入射時のフレネル反射RF(0°)の値、全反射の臨界角γTIRの値、エスケープコーンFECにおける光の割合、および直接に出射される光の割合の推定FAuskopplungを、次の表にまとめる。
【0096】
【0097】
図5には、セラミック変換素子と比較した、高屈折率ガラスの波長依存性の屈折率特性の一例が示されている。ここでは、可視スペクトル全体において図示のセラミック変換素子よりも高い屈折率を有するガラスN-LASF9が示されている。
【0098】
図6aには、光変換素子300が示されている。ルミネセンス変換素子内では、励起波長の入射光(例えば450nmの青色光)が吸収され、変換中心(例えばYAG中またはLuAG中のセリウム)から、より低いエネルギの光もしくはより長い波長の光が放出される。完全に透明なルミネセンス変換素子では、ここでの光の大部分F
TIRが内部全反射によって変換素子内を導波され、これにより変換素子内に捕捉されることになる。
【0099】
このことを阻止するために、ルミネセンス変換素子内には、典型的に、光伝搬方向を変化させることで出射される光の割合を高める散乱中心が設けられる。しかし、ここでの出射は散乱事象後にはじめて生じるので、出射光スポットは入射光スポットに対して拡大される。このため、達成可能な輝度が低下する。
【0100】
ここでの散乱は、体積散乱であってもよいし、表面散乱であってもよい。体積散乱は、例えば、多結晶セラミック変換素子の体積中の不均質性によって生じる。表面散乱は、粗表面または構造化された表面によって生じる。透明な単結晶変換素子材料では、典型的には、これらが散乱によって横方向の光の伝搬を制限する唯一の手段である。
【0101】
図6bには、光変換素子300に被着された球面レンズ500を有する光変換デバイス10が示されている。変換素子上の球面レンズにおいて内部全反射が低減されるかまたは完全に消去される。これにより、光は、損失なしにまたはわずかな損失のみを伴って、変換素子から球面レンズへ入射することができる。球面状の球面レンズへの入射角は低減されているので、ここでの光は内部全反射を生じないかまたは光ビームの著しくわずかな割合しか内部全反射を生じない。これにより、直接に出力される光の割合を高めることができ、このことにより特に達成可能な輝度が高められる。界面における屈折率の跳躍的変化が直接に行われることを指摘しておく。特には、空隙が存在しない。
【0102】
図7には、それぞれレーザーとして構成された光源200を有する照明装置100の一実施例が示されており、当該光源200は、1次光250を光変換素子300の前面310へ放出するように構成されており、ここで、光変換素子300は、続いて前面310で別の波長を有する2次光350を放出するように構成されている。
【0103】
光変換素子300の前面310にはこの場合にも光学素子500が被着されており、ここでは、光変換素子300と光学素子500との間に光学接触部が形成されており、すなわち、光変換素子300と光学素子500との間に第1の光学界面G1が形成されている。当該第1の光学界面G1において、2次光350を、光変換素子300から光学素子500内へ入力させることができる。
【0104】
光学素子500は、さらに、周囲媒体に対する第2の光学界面G2を形成する外表面510を有する。外表面510は、それぞれ異なるセクションA,A’および領域B,B’を有している。
【0105】
湾曲して延在する面状のセクションAの内部には、光変換素子300の前面310に対して斜めに延在する表面領域Bが存在し、この表面領域Bは前面310の反対側にある。このため、当該表面領域Bは、当該表面領域Bが光変換素子300の前面310に対して平行に延在する場合よりも前面310の法線Nに対して小さな角度を有する方向で、2次光350が第2の光学界面G2において光学素子500から周囲媒体へと出力可能であることを特徴とする。特に、当該例では、2次光350は、表面領域Bにおいて法線Nの方向へ屈折する。
【0106】
湾曲して延在する別の面状のセクションA’の内部には、光変換素子300の前面310に対して斜めに延在する別の表面領域B’が存在し、この別の表面領域B’は前面310に近い側にある。表面領域B’は、2次光350が、第2の光学界面G2において、光変換素子300の前面310の法線Nへ向かう方向で全反射にて光学素子500内に反射されることを特徴とする。任意選択手段として、表面領域B’は反射コーティングを有していてもよい。
【0107】
光学素子500の外表面510は、さらに、1次光250が光学素子500内へ入力される表面領域B’’を有する。当該表面領域B’’は、特に、1次ビームのビーム形状またはビーム方向を例えば光変換素子300のより適切な照明に関して変化させるためのビーム整形領域として構成されてもよい。
【0108】
図8には、いくつかの態様において
図1の実施例に類似した、照明装置100の別の実施例が示されている。当該例では、付加的にビームスプリッタ700が含まれており、このビームスプリッタ700は、入射する1次光が光変換素子300の前面310へ配向されるようにこの光を偏向する。さらに、当該例には、光学素子500から出力された2次光350をフォーカシングするもしくはコリメートするように構成された別の光学素子600も含まれている。
【0109】
図9には、半球面レンズとして構成された光学素子500を有する実施例が示されている。ここでは、頂部高さhは球面半径rに等しい。理想的な屈折率の適応化が行われている場合、変換素子とガラスとの界面における内部全反射が抑制され、半球面の中心からの光ビームが方向変化なしにレンズを離脱できる。図示されているように、光変換素子300すなわち変換素子は、好適にはヒートスプレッダ800上に配置されている。
【0110】
図10には、頂部高さhが球面半径rよりも大きい球面レンズとして形成された光学素子500を有する実施例が示されている。このため、変換素子から出る光は光軸へ向かって屈折し、これにより光束はそれほど発散せず、より強くコリメートされる。球面レンズの極端なケース、すなわち球面レンズが直径に相当する頂部高さの屈折率n=2を有するケースでは、ビーム軸近傍での完全なコリメーションも行われる。しかし、この場合、球面レンズにおいて内部全反射を受ける光成分も存在し、したがって出力効率は制限されている。
【0111】
図11には、球面状とは異なる光学素子500を有する実施例が示されている。このような形状偏差は、例えば機械的な要求もしくは光学的な要求によって設けられる可能性があり、場合によっては製造方法および/または製造欠陥から生じる可能性もある。しかし、光学素子の外表面はこの場合も部分的には球面状であるので、この場合にも上述した球面レンズの作用方式が当てはまる。
【0112】
図12には、非球面状に構成された光学素子500を有する実施例が示されている。非球面は、高開口数が必要とされる場合に、光源からの光を高開口数による大きな放出角度で入力させ、レンズの開口誤差を制限するために、時に応じて照明光学系において使用される。
【0113】
図13には、光変換素子300の前面310を完全に覆う光学素子500を有する実施例が示されている。また、光学素子500については、例えば光変換素子300が光学素子500およびヒートスプレッダ800によって完全に包囲されるよう、光学素子500が光変換素子300の側面をも包含するように構成することもできる。当然のことながら、当該手段は、光学素子500の形状から独立に、光学素子500によって包囲される光変換素子300に当てはまる。
【0114】
図14には、光変換素子300に被着された、フリーフォーム光学系として構成された光学素子500を有する実施例が示されている。ここでは、大きな角度で放出される光ビームについては、当該ビームもコリメートすることで出力効率を高め、光学素子における(領域B’における)内部全反射を利用する一方、領域Bでは、より小さい角度で光ビームを屈折によって出力する。
【0115】
図15には、放物面状の導光ロッドとして構成された光学素子500を有する実施例が示されており、ここでは、導光ロッドが上述した場合と同様に変換素子に直接に被着されている。当該導光ロッドは、TIRによって、例えば変換された光に対する放物面状の反射器として作用するので、これにより、上述した場合と同様に、変換素子から放出された光のコリメートが可能となる。
【0116】
図16には、頂部高さhが半径rよりも小さい平面状のレンズとして構成された光学素子500を有する実施例が示されている。ガラス屈折率が変換素子屈折率よりも小さい場合、こうしたレンズ形状は理論的な出力効率<1を有しうる。ただし、球面レンズを有さない面状の界面と比べて、なお利点が得られる。
【0117】
図17には、光学素子500、例えば半球面状の球面レンズを有する実施例が示されており、ここでは、光学素子500がコーティング505、例えば被着された光学積層体(コーティング)を有する。特に、高屈折性ガラスと空気との間のフレネル反射を最小化するためには、反射防止コーティング(ARコーティング)が有利である。有利には、ここでの出射光の角度スペクトルは、変換素子から光が直接に出射される場合よりも小さい。こうして、特に効率的なコーティングを被着させることができる。半球面状の場合、光ビームは例えばコーティングにほぼ垂直に当たるので、ここでは例えばARコーティングを大きなスペクトル帯域幅でかつ低い反射率で被着させることができる。しかし、変換素子の放出スペクトルに影響を与える特定のスペクトル特性を有するコーティングも考えられる。つまり例えば、誘電体のロングパスフィルタは、黄色変換素子の放出スペクトルを赤色の放出へとシフトさせることができる。すなわち、放出の短波長成分は再び反射されて放出スポットへと戻り、そこで吸収され、あらためて変換された後により長波長となって再放出される。当然のことながら、別のすべての実施例においてコーティングが同様に設けられてもよい。
【0118】
図18には、この例では後続の高開口数を有するレンズである別の後続の光学素子600と組み合わせた球面レンズの形態の光学素子500を有する実施例が示されている。特に、コリメート作用を有さないが潜在的に高い入出力効率を有する半球面状の球面レンズの場合、コリメーションを達成するために当該組み合わせが有利である。ただし、光学素子における屈折率分散のために、青色光および黄色光の双方に対して光路を最適化することが困難となることに留意すべきである。このことには、光路を分割することによって対処することができる。
【0119】
図19には、青色レーザー光のビーム路と黄色有効光のビーム路とがダイクロイックビームスプリッタ700によって分離された照明装置100の実施例が示されている。この場合、球面レンズ500および場合によりこの球面レンズ500と組み合わされるコリメーションレンズ600が2つのビーム路の双方によって利用される。しかし、青色励起レーザー200の下流のコリメーションレンズ201と照明すべきシステム400(例えば均質化ロッド)の入力部の上流のコリメーションレンズ401とはそれぞれ一方のビーム路のみを透過させ、これにより別個に最適化を行うことができる。このような実施例は例えば投影用途において使用することができる。
【0120】
図20~
図25は、特に、光変換デバイスを製造する方法の態様に関する。
【0121】
被着された光学素子500を有する光変換素子300は、例えば、
(1.)変換素子材料上でガラスを溶融させ、これにより溶融したガラスの表面張力のみによってレンズ形状を生じさせること;
(2.)部分的に一方側を研削された球面レンズを溶融させること;
(3.)特に光学的接触を検出して最適な溶融条件を算定するために、プリズムを溶融させること;
(4.)後面側に銀メタライゼーションを有する変換素子上で球面レンズを溶融させること、特に球面レンズを事後的に溶融させることで銀メタライゼーションを破壊しないようにすること
により、実験的に使用される。
【0122】
光変換デバイスは、例えば、ガラスと変換素子材料との直接の結合を可能にする溶融プロセスを介して製造することができる。この場合、溶融すべきガラス部材が変換素子上に配置されて熱処理される。基本的に、双方の部品(ガラスおよび変換素子材料)に対して付加的な表面調整は不要であるが、先行して洗浄されることが好ましい。
【0123】
温度プログラムの選択は、ガラスの物理化学特性、特に粘度-温度経過、界面の応力、結晶化特性、および熱膨張率(またはガラスと変換素子材料との間のCTE不整合)を考慮して行われる。
【0124】
所望の配置のために使用される高屈折性ガラスは、急峻な粘度曲線を有することが多く、結晶化(特に表面結晶化)しやすいため、溶融プロセスに特別の課題を課す。このため、利用可能なプロセスウィンドウが小さくなる。
【0125】
ガラスと変換素子材料との間の緊密な結合を得るために、所定の限界温度は、例えば1010dPasのオーダーで下方超過される(または限界温度が上方超過される)。この結合、好適には機械的な安定性だけではなく、面全体にわたる「光学的に均一な」結合も生じ、すなわち、好適には、ガラスと変換素子との界面に局所的な空気封入箇所などは存在しない。
【0126】
さらに、好適には(例えばバルクおよび/または表面における)結晶化が回避される。なぜなら、結晶化は例えば光学素子の透過率を低下させる可能性があり、または出射光もしくは入射光の望ましくない散乱を引き起こしうるからである。
【0127】
光学ガラス素子の形状または輪郭は、所望の形状または輪郭を得るための様々な形式で調整することができる。すなわち、
(a)輪郭が「プリフォーム」(溶融前の低温のガラス部分)によって設定可能であり、溶融過程では(少なくとも光学的な関心領域においては)変更されない。同時に、プリフォームの表面品質は溶融時にも(少なくとも)維持されたままであり、特に溶融プロセスにおける粗面では表面品質の改善が可能である。
(b)プリフォームの輪郭は光学素子の輪郭とは異なる。最終的な輪郭は、溶融プロセスの進行中にはじめて生じる。
【0128】
ケース(a)では、プリフォームは、例えば一方側が平坦化されたまたは半割されたガラス球である。ケース(b)では、プリフォームは、例えば立方体状の部材であってよい。なお、別の形状も考えられる。この場合、プリフォームの表面品質は、成形すべき光学素子の表面品質とは異なっていてよく、または悪化していてもよい。ここでの悪化とは、表面品質の特徴付けのために通常用いられる指数、例えば粗面特性値Ra,RqもしくはSa,Sqなどがより大きくなることであると理解されたい。任意選択手段としてのいずれが選択されるかは、光学素子の達成すべき輪郭に依存するだけでなく、ガラス材料の選択によっても影響される。これら2つの変形形態のための温度形成は、典型的には異なって行われる。
【0129】
ケース(a)では、溶融プロセスは、好適には1010dPas~107dPasの粘度に対応する領域において行われる。ケース(b)では、溶融は、好適には107dPasの粘度を下回る温度で行われる。この場合、光学素子の形状はガラスの表面張力によって形成される。しかし、このことは、低い結晶化温度または高い結晶成長速度によって困難となる。融着プロセスにおける最大温度は、好適には、当該融着プロセスのための臨界的な温度閾値を下回ったままであるか、または所定の温度閾値を短時間だけ上回るものである。ガラス表面での結晶化の開始は、散乱中心の発生を、一方では結晶自体によって直接に生じさせ、他方では冷却プロセスにおいて形成される、結晶の膨張係数とガラスの膨張係数とが異なることによるしわ状の粗い表面皮膜によって間接的に生じさせる。
【0130】
任意選択手段(a)の溶融方法のための実施例1:
ガラスの種類:N-LaSF9;屈折率nD1.85;817℃で107.6dPas、700℃で1013dPas
結晶化:勾配降下法を用いて測定したUEG失透下方限界は、約105.5dPasに対応する約900℃である
変換素子基材:AgコーティングCe/YAG
輪郭プリフォーム:半球面、表面品質プリフォーム(白色光干渉法WLIによる測定領域336*336μm2:Sg5nm、Sa4nmでの測定データ)。
【0131】
方法ステップ:プリフォームを洗浄するステップ;変換素子を洗浄するステップ;プリフォームを変換素子基材上に載置するステップ
有利なクリーンな炉スペース:清浄性のためかつ温度均質性の改善のために、有利にはレンズおよびセラミック容器を有する変換素子から成る装置を別個にカバーするためのインナスリーブを炉内で使用する。
【0132】
温度プログラム:825℃まで3K/minとし、15分間保持し、700℃まで1K/minとする冷却を行い、次いで「自由」冷却を行う。
【0133】
融着素子の輪郭については、
図20(右方)を参照されたい。
【0134】
融着された半レンズの表面の特性値:WLI測定(測定領域336*336μm2)からは、融着後のガラス表面Sq=2nm、Sa=1nmである。溶融前のガラス表面(プリフォームの初期状態、上記を参照)は、Sg=5nm、Sa=4nmである。
【0135】
任意選択手段(b)の溶融方法のための実施例1:
ガラスの種類:N-LaSF9
変換素子基材:AgコーティングCe/YAG
輪郭プリフォーム:立方体、辺長さ(4mm)。
【0136】
ステップ:プリフォームを洗浄するステップ;変換素子を洗浄するステップ;プリフォームを変換素子基材上に載置するステップ
有利なクリーンな炉スペース:清浄性のためかつ温度均質性の改善のために、有利にはレンズおよびセラミック容器を有する変換素子から成る装置を別個にカバーするためのインナスリーブを炉内で使用する。
【0137】
融着素子の輪郭については、
図24(右方)を参照されたい。
【0138】
要約すると、本発明により、例えば(i)屈折率の点で適応化された出力素子をセラミック変換素子上に被着させることができ、これにより、当該セラミック変換素子との間に光学的接触が生じる。さらに、光学素子(出力素子)は、好適には(ii)放出光のうち内部全反射によって出力が阻止される割合が最小化されるように成形可能である。特に、これにより、ランベルト放射の欠点に対処可能である。光源のランベルト放射特性は、多くの場合に光源から放出された放射全体を後続の照明ビーム路に入力させることができないため、欠点となる。
【0139】
好適には、2つのアプローチ(i)および(ii)が組み合わされる。というのは、変換素子上に被着されている屈折率の点で適応化されたガラス板では、例えば、変換素子とガラスとの界面における光拡散は低減されるが、全反射の問題はガラスと空気との界面へと移行するからである。内部全反射を受ける光の割合は同じままである。これはあらゆる屈折率のガラス板に当てはまる。例えば、BK-7ガラスプレートは、ガラスと空気との界面における全反射の臨界角を低減させるものの、その代わりに、光のある程度の割合は既に変換素子とガラスとの界面において反射しているはずである。他方で、BK-7半球面レンズは光出力に関して最適なジオメトリを有しているが、この場合にも光のかなりの部分が既に変換素子とガラスとの界面において反射しているはずである。
【0140】
無機材料(ガラス)の使用により、有利には、装置の高い温度安定性、ひいては性能安定性を達成することができる。問題点に関して適応化された出力素子(例えば半球面レンズ、3/4球面レンズ、ほぼ球面状の球面レンズ、放物面状の導光素子、フリーフォーム光学系)によって有利な方式で光学システムに合わせた出力特性の適応化を行うことができる。光学素子のコーティングにより、有利には、青色光の改善された入力と黄色光の出力とを行うことができる。さらに、コーティングにより、光の放出スペクトルの適応化を行うことができる。励起光および有効光に対して最適化された光路により、さらに光学素子の光学分散の補償を行うことができる。
【0141】
被着される出力素子は、例えば半球面レンズ、球面レンズ、非球面レンズまたはいわゆる「放物面状の集光器」、すなわち内部全反射に基づいて放物面鏡のように機能する放物面状に成形された導光ロッドであってよい。出力素子のジオメトリに関しては、以下のことが認められる。
【0142】
半球面レンズ(頂部高さ=半径)は、変換素子から出射される光の全角度スペクトルを出力させることができるので、最適な光出力を有している。ただし、こうしたジオメトリは、後続の光学系に高い要求を課す。光がガラスと空気との界面を垂直に通るため、当該ジオメトリは、誘電体コーティング(例えば広帯域のARコーティングまたは出射光の光色を変化させるコーティングに特に適している。なお、緑色反射コーティングを有する狭帯域のコーティングでは、赤色シフトが、緑色光の再吸収および続く再放出によって達成可能である)。
【0143】
放物面状の導光ロッドも同様に全角度スペクトルを出力させることができ、ガラスと空気との界面においてほぼ垂直な光出射を有する。
【0144】
頂部半径よりも大きい頂部高さを有する球面レンズ(例えば3/4レンズ)は、角度依存性の強度分布を狭め、これにより光学システムへの各部品の組み込みが容易となる。ただし、すべての光ビームがレンズを離脱できるわけではない。というのも、いくつかの光ビームが全反射の臨界角よりも大きい角度でガラスと空気との界面に当たるからである。
【0145】
すなわち、際立ったh>rを有するレンズ形状は、頂部高さhに関して関係h=r(n’)/(n’-n)が当てはまる球面レンズである。球面の焦点距離につきf’=r(n’)/(n’-n)が当てはまるので、ビーム点はここでは対物側の焦点に位置し、軸近傍のビームがコリメートされる。この場合、nは対物側の屈折率であり、n’は像側の屈折率であり、rは面の曲率半径であり、f’は像側の焦点距離である。頂部高さh>rの場合、レンズの変換素子側の部分で球面形状からの逸脱が必ず生じる。変換素子から放出される光束の一部、特に光束のうち高開口数を有する部分については出力コーンを制限する全反射が発生しうる。
【0146】
非球面は、出射光が頂部の近傍においてのみならず、軸から離れたビームもコリメートされるように構成可能である。
【0147】
フリーフォーム光学系は、全反射の臨界角を上回る光ビームが放物面状の導光構造体によってコリメートされるように構成可能である。
【0148】
面状のレンズ(頂部高さ<頂部半径)も、同様に角度スペクトル全体を出力させることはできないが、平面状の変換素子に比べた改善を提供する。
【0149】
最良の解決手段を評価する際には、常に、変換素子材料と装置と光学システムとの全体システムを考察する必要がある。したがって、黄色発光光源の単純な光学システムに対して、3/4レンズのみを選択するか、またはほとんどもしくはまったく散乱を生じさせずきわめて薄い変換素子材料から成るものよりも高い屈折率を有するガラスから成る放物面状の導光ロッドを選択することが有意でありうる。
【0150】
他方で、いずれにせよ散乱性変換素子が必要とされる白色光用途においては、変換素子材料の内在的な光閉じ込めを利用し、さらにこの場合に比較的低い結晶化傾向を有する「素直な」ガラスから作製されて複雑に成形された出力素子に対する屈折率の跳躍的変化を許容することが有意であり、これは例えば、複雑なフリーフォーム光学系との組み合わせにおいて最適な1次光の光入力および2次光の光出力を可能にする、非球面の1次レンズである。
【0151】
本発明は、好ましくは、緩和装置内でレーザー光により照明される、屈折率n>1.8を有するセラミックルミネセンス変換素子に関し、このセラミックルミネセンス変換素子により好ましくは高い輝度が生成される。本発明は、透過時の変換装置、非セラミック変換素子、および/またはレーザーに代わる別の光源、例えばLEDに代わる別の光源による励起にも関する。
【0152】
このため、本発明では特に高い輝度が重要であり、場合によっては既にレーザー励起されているフォトルミネセンス光源が使用される適用分野にとって有用である。これは、例えば、デジタル投影、ヘッドライト、例えば自動車ハイビーム、自動車ヘッドライト、サーチライト、顕微鏡照明、ファイバ光学系、例えば内視鏡検査またはマシンビジョンである。
【外国語明細書】