(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039648
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】関心エリア内の物体を特定すること
(51)【国際特許分類】
G08G 5/00 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
G08G5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023146325
(22)【出願日】2023-09-08
(31)【優先権主張番号】17/931,006
(32)【優先日】2022-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】レバク, スティーブン マイケル
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA25
5H181AA26
5H181BB04
5H181FF05
5H181MB04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】関心エリア内の物体を特定するためのコンピュータに実装された方法及びシステムを提供する。
【解決手段】関心エリア106は、頂点間で延在する複数の線分を含む境界によって囲まれている。関心エリア106に対する基準点と基準点からの基準方向とが決定され、各頂点の頂角を決定するために使用される。基準点と基準方向はまた、物体の位置を特定する位置情報から物体の物体角を決定するためにも使用される。物体角と頂角とは、複数の線分内の線分交差の数を決定するために使用される。線分交差の数に基づいて、物体が関心エリア106内にあるかどうかを示すための指標が生成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
関心エリア(208)内の物体(202)を特定するコンピュータに実装された方法であって、
コンピュータシステム(244)によって、前記関心エリア(208)に対する基準点(322)と前記基準点(322)からの基準方向(324)とを決定することであって、前記関心エリア(208)は、複数の頂点(234)の間で延在する複数の線分(236)を含む境界(232)によって囲まれている、基準点(322)と前記基準点(322)からの基準方向(324)とを決定すること、
前記コンピュータシステム(244)によって、複数の頂角(328)を提供するために、各頂点(234)の頂角(328)を決定することであって、前記頂点(234)の頂角(328)は、前記基準方向(324)と前記基準点(322)から前記頂点(234)へ延在する線との間の角度である、各頂点(234)の頂角(328)を決定すること、
前記コンピュータシステム(244)によって、前記物体(202)の位置(260)を特定する位置情報(258)から、前記物体(202)の物体角(336)を決定することであって、前記物体(202)の前記物体角(336)は、前記基準方向(324)と前記基準点(322)から前記物体の位置(260)へ延在する線との間の角度である、前記物体(202)の物体角(336)を決定すること、
前記コンピュータシステム(244)によって、前記複数の線分(236)内の線分交差の数(338)を特定するために、前記物体角(336)と前記複数の頂角(328)とを使用すること、及び
前記コンピュータシステム(244)によって、前記線分交差の数(338)に基づいて、前記物体(202)が前記関心エリア(208)内にあるかどうかを示すための指標(264)を生成することを含む、方法。
【請求項2】
前記物体(202)は、航空機(218)、地上車両(220)、船舶(222)、潜水艦(224)、宇宙船(226)、動物(212)、及び人間(214)のうちの1つから選択された物理的物体(210)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記関心エリア(208)は、空域関心エリア(228)であり、前記方法は、前記コンピュータシステム(244)によって、前記頂点(234)の各々を規定する緯度及び経度(318)を受け取ることによって、前記関心エリア(208)を画定することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記基準点(322)は、前記関心エリア(208)内の中心点(326)である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記線分交差の数(338)における線分交差が、前記複数の線分(236)の線分(238)を含み、前記物理的物体(210)の前記位置(260)において開始する線であって、前記基準点(322)から前記物理的物体(210)の前記位置(260)への方向において前記基準点(322)から離れるように延在する線が、前記関心エリア(208)の前記境界(232)と交差する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の線分(236)の線分(238)の各端部における頂点(234)が、隣接する頂点(240)であり、前記線分交差の数(336)を特定するために、前記物体角(336)と前記複数の頂角(328)とを使用することは、
前記コンピュータシステム(244)によって、前記物理的物体(210)の前記物体角(336)が、前記複数の線分(236)の前記線分(238)の各端部における前記隣接する頂点(240)の前記頂角(328)の間にある、前記線分(238)を潜在的に交差する線分(238)として特定すること、
前記コンピュータシステム(244)によって、前記物体(202)の前記位置(260)と前記基準点(232)とが、前記潜在的に交差する線分(238)の同じ側にあるかどうかを判定すること、及び
前記コンピュータシステム(244)によって、前記物体(202)の前記位置(260)と前記基準点(322)とが、前記潜在的に交差する線分(238)の前記同じ側にあるとの判定に応じて、前記潜在的に交差する線分を線分交差(338)として特定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記コンピュータシステム(244)によって、前記物体(202)の前記物体角(336)足す180度が、前記複数の線分(236)の前記線分(238)の各端部における前記隣接する頂点(240)の前記頂角(328)の間にある、前記線分(238)を別の1つの潜在的に交差する線分(238)として特定すること、
前記コンピュータシステム(244)によって、前記物体(202)の前記位置(260)と前記基準点(322)とが、前記別の1つの潜在的に交差する線分(238)の同じ側にあるかどうかを判定すること、及び
前記コンピュータシステム(244)によって、前記物体(202)の前記位置(260)と前記基準点(322)とが、前記別の1つの潜在的に交差する線分(238)の前記同じ側にあるとの判定に応じて、前記別の1つの潜在的に交差する線分(238)を線分交差(338)として特定することを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記コンピュータシステム(244)によって、前記複数の頂点(234)についての前記複数の頂角(328)を二分探索木(330)として記憶すること、及び
前記コンピュータシステム(244)によって、前記物体(202)の前記物体角(336)が、前記複数の線分(236)の前記線分(238)の各端部における前記隣接する頂点(240)の前記頂角(328)の間にある、前記線分(238)を前記潜在的に交差する線分(238)として特定するために、前記二分探索木(330)を検索することを更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記物体(202)が前記関心エリア(208)内にあるかどうかを示すための前記指標(264)を生成することは、
前記コンピュータシステム(244)によって、前記関心エリア(208)を含むエリアのマップ(314)を表示すること、及び
前記コンピュータシステム(244)によって、前記マップ(314)上の前記物体(202)の前記位置(260)と、前記物体(202)が前記関心エリア(208)内にあるかどうかと、を示すための前記指標(264)を表示することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記指標(264)は、グラフィカルインジケータ、メッセージ、及びオーディオインジケータのうちの1つから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
関心エリア(208)内の物体(202)を特定するコンピュータに実装された方法であって、
コンピュータシステム(244)によって、前記関心エリア(208)を画定することであって、前記関心エリア(208)は、複数の頂点(234)の間で延在する複数の線分(236)を含む境界(232)によって囲まれ、前記複数の線分(236)の線分(238)の各端部における頂点(234)が、隣接する頂点(240)である、前記関心エリア(208)を画定すること、
前記コンピュータシステム(244)によって、前記関心エリア(208)に対する基準点(322)と前記基準点(322)からの基準方向(324)とを決定すること、
前記コンピュータシステム(244)によって、複数の頂角(328)を提供するために、各頂点(234)の頂角(328)を決定することであって、前記頂点(234)の頂角(328)は、前記基準方向(324)と前記基準点(322)から前記頂点(234)へ延在する線との間の角度である、各頂点(234)の頂角(328)を決定すること、
前記コンピュータシステム(244)によって、前記複数の頂点(234)についての前記複数の頂角(328)を二分探索木(330)として記憶すること、
前記コンピュータシステム(244)によって、前記物体(202)の位置(260)を特定する位置情報(258)を受け取ること、
前記コンピュータシステム(244)によって、前記位置情報(258)から、前記物体(202)の物体角(336)を決定することであって、前記物体(202)の前記物体角(336)は、前記基準方向(324)と前記基準点(322)から前記物体の位置(260)へ延在する線との間の角度である、前記物体(202)の物体角(336)を決定すること、
前記コンピュータシステム(244)によって、前記複数の線分(236)内の線分交差の数(338)を特定するために、前記物体角(336)と前記二分探索木(330)として記憶された前記複数の頂角(328)とを使用すること、
前記コンピュータシステム(244)によって、前記線分交差の数(338)に基づいて、前記物体(202)が前記関心エリア(208)内にあるかどうかを判定すること、及び
前記コンピュータシステム(244)によって、前記物体(202)が前記関心エリア(208)内にあるかどうかを示すための指標(264)を生成することを含む、方法。
【請求項12】
前記複数の頂点(234)についての前記複数の頂角(328)を前記二分探索木(330)として記憶することは、
前記コンピュータシステム(244)によって、前記二分探索木(330)の範囲が360度以上になるまで、前記複数の頂点(234)についての前記複数の頂角(328)を前記二分探索木(330)として記憶すること、及び
前記コンピュータシステム(244)によって、前記複数の頂点(234)の全てについての前記複数の頂角(328)が、一連の二分探索木(330)を形成する二分探索木(330)として記憶されるまで、前記複数の頂点(234)についての前記複数の頂角(328)を前記二分探索木(330)として記憶するステップを繰り返すことを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の線分(236)内の前記線分交差の数(338)を特定するために、前記物体角(336)と前記二分探索木(330)として記憶された前記複数の頂角(328)を使用することは、
前記コンピュータシステム(244)によって、前記物体(202)の前記物体角(336)が、前記複数の線分(236)の各端部における前記隣接する頂点(240)の前記頂角(328)の間にある、前記複数の線分(236)の潜在的に交差する線分を特定するために、前記二分探索木(330)を検索すること、
前記コンピュータシステム(244)によって、前記潜在的に交差する線分の各々について、前記物体(202)の前記位置(260)と前記基準点(322)とが、前記潜在的に交差する線分の同じ側にあるかどうかを判定すること、及び
前記コンピュータシステム(244)によって、前記潜在的に交差する線分の各々について、前記物体(202)の前記位置(260)と前記基準点(322)とが、前記潜在的に交差する線分の前記同じ側にあるとの判定に応じて、前記潜在的に交差する線分を線分交差(338)として特定することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
関心エリア(208)内の物体(202)を特定するための物体位置特定システム(300)であって、
コンピュータシステム(244)と、
前記コンピュータシステム(244)内に位置付けられた関心エリアプロセッサ(306)と、
前記コンピュータシステム(244)内に位置付けられた物体位置プロセッサ(310)とを備え、
前記関心エリアプロセッサ(306)は、
前記関心エリア(208)に対する基準点(322)と前記基準点(322)からの基準方向(324)とを決定することであって、前記関心エリア(208)は、複数の頂点(234)の間で延在する複数の線分(236)を含む境界(232)によって囲まれている、基準点(322)と前記基準点(322)からの基準方向(324)とを決定すること、及び
複数の頂角(328)を提供するために、各頂点(234)の頂角(328)を決定することであって、前記頂点(234)の頂角(328)は、前記基準方向(324)と前記基準点(322)から前記頂点(234)へ延在する線との間の角度である、各頂点(234)の頂角(328)を決定すること、を行うように構成され、
前記物体位置プロセッサ(310)は、
前記物体(202)の位置(260)を特定する位置情報(258)から、前記物体(202)の物体角(336)を決定することであって、前記物体(202)の前記物体角(336)は、前記基準方向(324)と前記基準点(322)から前記物体の位置(260)へ延在する線との間の角度である、前記物体(202)の物体角(336)を決定すること、
前記複数の線分(236)内の線分交差の数(338)を特定するために、前記物体角(336)と前記複数の頂角(328)とを使用すること、及び
前記線分交差の数(338)に基づいて、前記物体(202)が前記関心エリア(208)内にあるかどうかを示すための指標(264)を生成すること、を行うように構成されている、物体位置特定システム(300)。
【請求項15】
前記物体(202)は、航空機(218)、地上車両(220)、船舶(222)、潜水艦(224)、宇宙船(226)、動物(212)、及び人間(214)のうちの1つから選択された物理的物体(210)である、請求項14に記載の物体位置特定システム(300)。
【請求項16】
前記関心エリア(208)は、空域関心エリア(228)であり、前記関心エリアプロセッサ(306)は、前記複数の頂点(234)の各々を規定する緯度及び経度(318)を受け取るように構成されている、請求項14に記載の物体位置特定システム(300)。
【請求項17】
前記関心エリアプロセッサ(306)は、前記基準点(322)を前記関心エリア(208)内の中心点(326)として決定するように構成されている、請求項14に記載の物体位置特定システム(300)。
【請求項18】
前記複数の線分(236)の線分(238)の各端部における頂点(234)は、隣接する頂点(240)であり、前記物体位置プロセッサ(310)は、
前記物体(202)の前記物体角(336)が、前記複数の線分(236)の前記線分(238)の各端部における前記隣接する頂点(240)の前記頂角(328)の間にある、前記線分(238)を潜在的に交差する線分として特定すること、
前記物体(202)の前記位置(260)と前記基準点(322)とが、前記潜在的に交差する線分の同じ側にあるかどうかを判定すること、及び
前記物体(202)の前記位置(260)と前記基準点(322)とが、前記潜在的に交差する線分の前記同じ側にあるとの判定に応じて、前記潜在的に交差する線分を線分交差(338)として特定すること、を行うように構成されている、請求項14に記載の物体位置特定システム(300)。
【請求項19】
前記関心エリアプロセッサ(306)は、前記複数の頂点(234)についての前記複数の頂角(328)を二分探索木(330)として記憶するように構成され、
前記物体位置プロセッサ(310)は、前記物理的物体(202)の前記物体角(336)が、前記複数の線分(236)の前記線分(238)の各端部における前記隣接する頂点(240)の前記頂角(328)の間にある、前記線分(238)を前記潜在的に交差する線分(238)として特定するために、前記二分探索木(330)を検索するように構成されている、請求項18に記載の物体位置特定システム(300)。
【請求項20】
前記指標(264)は、グラフィカルインジケータ、メッセージ、及びオーディオインジケータのうちの1つから選択される、請求項14に記載の物体位置特定システム(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は、広くは、物体が画定された関心エリアの内側にあるかどうかを判定するためのシステム及び方法に関し、特に、航空機が空域関心エリアの内側で動作しているかどうかなどの、物理的物体が地理的又は他の関心エリアの内側にあるかどうかを判定することに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 特別用途空域は、空域関心エリアの一例である。特別用途空域は、オペレーションに参加していない航空機に制限が課され得るような性質のそれらのオペレーション用に指定されたエリアである。しばしば、これらのオペレーションは軍事的な性質を持つ。特別用途空域の例には、制限空域、禁止空域、軍事オペレーショエリア、警戒エリア、監視エリア、臨時飛行制限エリア、国家保安エリア、及び統制射撃エリアが含まれる。
【0003】
[0003] 空域関心エリアの別の一例は、飛行禁止ゾーンである。飛行禁止ゾーンは、特定の航空機が飛行することを許容されない、軍又は他の権力によって規定された領域又はエリアである。飛行禁止ゾーンはまた、フライト禁止ゾーン又は航空排除ゾーンとしても知られていることがある。
【0004】
[0004] 航空機関心エリアは、航空機の動作が制限され、禁止され、又は危険である可能性がある地表上のエリアによって特定される場合がある。空域関心エリア内での航空機の動作を監視又は制御することに責任を有する航空機のオペレータ及びエンティティは、航空機が空域関心エリア内にあるか否かの正確且つタイムリーな判断をすることに関心がある。
【0005】
[0005] したがって、少なくとも上述の問題点のうちの幾つかと、起こり得る他の問題点とを考慮した方法及び装置が必要とされ得る。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 例示的な複数の実施形態は、関心エリア内の物体を特定するコンピュータに実装された方法を提供する。関心エリアは、頂点間で延在する複数の線分を含む境界によって囲まれている。コンピュータシステムは、関心エリアに対する基準点、及び基準点からの基準方向を決定する。コンピュータシステムは、複数の頂角を提供するために、各頂点の頂角を決定する。頂点の頂角は、基準方向と基準点から頂点へ延在する線との間の角度である。コンピュータシステムは、物体の位置を特定する位置情報から、物体の物体角を決定する。物体の物体角は、基準方向と基準点から物体位置へ延在する線との間の角度である。コンピュータシステムは、複数の線分内の線分交差の数を特定するために、物体角と複数の頂角とを使用し、線分交差の数に基づいて、物体が関心エリア内にあるかどうかを示すための指標を生成する。
【0007】
[0007] 例示的な複数の実施形態はまた、関心エリア内の物体を特定するコンピュータに実装された方法も提供する。その場合、コンピュータシステムが、関心エリアを画定する。関心エリアは、頂点間で延在する複数の線分を含む境界によって囲まれている。複数の線分のうちの1つの線分の各端部における頂点は、隣接する頂点である。コンピュータシステムは、関心エリアに対する基準点、及び基準点からの基準方向を決定する。コンピュータシステムは、複数の頂角を提供するために、各頂点の頂角を決定し、頂点についての複数の頂角を二分探索木として記憶する。頂点の頂角は、基準方向と基準点から頂点へ延在する線との間の角度である。コンピュータシステムは、物体の位置を特定する位置情報を受け取り、位置情報から、基準方向に対する基準点からの物体の物体角を決定する。物体の物体角は、基準方向と基準点から物体位置へ延在する線との間の角度である。コンピュータシステムは、複数の線分内の線分交差の数を特定するために、物体角と二分探索木として記憶された複数の頂角とを使用し、線分交差の数に基づいて、物体が関心エリア内にあるかどうかを判定し、物体が関心エリア内にあるかどうかを示すための指標を生成する。
【0008】
[0008] 例示的な複数の実施形態はまた、関心エリア内の物体を特定するための物体位置特定システムも提供する。関心エリアは、頂点間で延在する複数の線分を含む境界によって囲まれている。物体位置特定システムは、コンピュータシステム、コンピュータシステム内に位置付けられた関心エリアプロセッサ、及びコンピュータシステム内に位置付けられた物体位置プロセッサを含む。関心エリアプロセッサは、関心エリアに対する基準点と、基準点からの基準方向とを決定し、複数の頂角を提供するために、各頂点の頂角を決定するように構成されている。頂点の頂角は、基準方向と基準点から頂点へ延在する線との間の角度である。物体位置プロセッサは、物体の位置を特定する位置情報から、物体の物体角を決定し、複数の線分内の線分交差の数を特定するために、物体角と複数の頂角とを使用し、線分交差の数に基づいて、物体が関心エリア内にあるかどうかを示すための指標を生成するように構成されている。物体の物体角は、基準方向と基準点から物体位置へ延在する線との間の角度である。
【0009】
[0009] 特徴及び機能は、本開示の様々な実施形態において個別に実現可能であるか、又は、下記の説明及び図面を参照して更なる詳細事項が理解され得る、更に別の実施形態において組み合わされ得る。
【0010】
[0010] 実施例の特性と考えられる新規の特徴は、添付の特許請求の範囲に規定される。しかし、例示的な実施例、並びに好ましい使用モード、更なる目的、及びそれらの特徴は、添付図面を参照して、本開示の例示的な実施例についての以下の詳細な説明を読むことにより、最もよく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】[0011] 例示的な複数の実施形態による、空域関心エリアを含む航空機動作エリア内で動作している航空機の図である。
【
図2】[0012] 例示的な複数の実施形態による、物体位置特定環境のブロック図を示す。
【
図3】[0013] 例示的な複数の実施形態による、物体位置特定システムのブロック図を示す。
【
図4】[0014] 例示的な複数の実施形態による、空域関心エリアを画定するためのユーザインターフェースの図である。
【
図5】[0015] 例示的な複数の実施形態による、航空機が空域関心エリアの内側にあるか又は外側にあるかを示すための指標を含むユーザインターフェースの図である。
【
図6】[0016] 例示的な複数の実施形態による、空域関心エリアの内側にある航空機用の警告指標を含むユーザインターフェースの図である。
【
図7】[0017] 例示的な複数の実施形態による、関心エリア及び関心エリア用の二分探索木の図である。
【
図8】[0018] 例示的な複数の実施形態による、関心エリアの内側の物体の位置を決定する一実施例の図である。
【
図9】[0019] 例示的な複数の実施形態による、関心エリアの外側の物体の位置を決定する一実施例の図である。
【
図10】[0020] 例示的な複数の実施形態による、物体が関心エリア内にあるかどうかを判定する方法を示すフローチャートである。
【
図11】[0021] 例示的な複数の実施形態による、物体が関心エリア内にあるかどうかを判定する方法をより詳細に示すフローチャートである。
【
図12】[0022] 例示的な複数の実施形態による、関心エリア用の頂角を一連の二分探索木として記憶する方法を示すフローチャートである。
【
図13】[0023] 例示的な複数の実施形態による、物体が関心エリア内にあるかどうかを判定するために、物体についての物体角と関心エリア用の頂角とを使用する方法を示すフローチャートである。
【
図14】[0024] 例示的な複数の実施形態による、データ処理システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0026] 例示的な複数の実施例は、種々の考慮事項を認識し、考慮する。例えば、例示的な複数の実施例は、物体が関心エリアの内側にあるか又は外側にあるかを正確且つ迅速に判定することが望ましいことを認識し、考慮する。例えば、制限空域エリアなどの空域関心エリアの内側で動作している航空機を特定できることが望ましい。
【0013】
[0027] 例示的な複数の実施形態はまた、ポイントが多角形内に位置付けられているかどうかを判定するための様々な数学的解法が開発されていることを認識し、考慮する。1つのそのような解法は、多角形の辺とポイントから延在する線との間の交差点の数を数える。別の1つの解法は、ポイント用の巻き数(winding number)を計算する。これらのような解法は、航空機が空域関心エリアの内側にあるかどうかを判定する問題及び同様な問題に適用されてよい。しかし、この問題を解くための現在のシステムは、様々な限界を有する可能性がある。
【0014】
[0028] 例えば、現在のシステムは、空域関心エリアの内側の航空機をタイムリーなやり方で特定することができない場合がある。特に、空域関心エリアの内側の航空機を特定するために、現在のシステムによって必要とされる計算時間は、考慮されている比較的多数の航空機が存在するとき、又は空域関心エリアの形状が不規則であるときに望ましくないことがある。例えば、空域関心エリア内の航空機を特定するために、現在のシステムによって必要とされる処理時間は、空域関心エリアが比較的多数の縁部によって画定されているときに望ましくないことがある。
【0015】
[0029] 例示的な複数の実施形態は、関心エリア内の物体を正確且つ迅速に特定するための方法及びシステムを提供する。例示的な複数の実施形態によれば、関心エリアの境界を画定する頂点は、関心エリアを基準として規定される極座標系の頂角に変換される。物体の位置は、同じ極座標系において物体角に変換される。関心エリアの辺と物体の位置から延在する線との間の交差点の数は、関心エリアの頂角と物体の物体角とを使用することによって、より迅速に特定される。
【0016】
[0030] 例示的な複数の実施形態の処理速度は、関心エリア用の頂角をより容易に検索可能なデータ構造内に記憶することによって更に改良されてよい。例示的な一実施形態によれば、関心エリア用の頂角は、一連の二分探索木として記憶されてよい。
【0017】
[0031] 例示的な複数の実施形態は、物体の数が比較的多いときに、関心エリア内の物体を特定する速度を向上させてよい。更に、例示的な複数の実施形態は、比較的多数の縁部によって画定される不規則に形作られた関心エリアであっても、関心エリア内の物体を特定する速度を向上させてよい。
【0018】
[0032] 物体が関心エリアの内側にあるかどうかを特定するための現在のシステム及び方法のための処理時間は、典型的には、Nのオーダーにあってよい。ここで、Nは、関心エリアを画定する頂点の数である。本明細書で説明される例示的な複数の実施形態による、物体が関心エリアの内側にあるかどうかを特定するためのシステム及び方法のための処理時間は、log(N)のオーダーにまで改善されてよい。
【0019】
[0033] 次に図面を参照すると、
図1は、例示的な複数の実施形態による、空域関心エリアを含む航空機動作エリア内で動作している航空機の図である。航空機動作エリア100は、航空機が動作してよい任意の適切なエリアを含んでよい。この実施例では、航空機102と航空機104が、航空機動作エリア100内で動作している。
【0020】
[0034] 空域関心エリア106は、航空機動作エリア100内で画定されるエリアである。空域関心エリア106は、境界108内のエリアを含む。空域関心エリア106の境界108は、任意の適切なサイズ及び形状であってよい。この実施例では、空域関心エリア106の境界108が、頂点110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、及び130、並びに、頂点の間で延在する線分132、134、136、138、140、142、144、146、148、及び150によって画定される。
【0021】
[0035] 境界108における1つの線分の各端部の頂点は、隣接する頂点である。例えば、頂点110と112は、境界108における線分132の端部における隣接する頂点である。
【0022】
[0036]
図1で示されている一実施例に適用されるように、本明細書で説明される例示的な複数の実施形態は、正確且つ迅速なやり方で、航空機102を空域関心エリア106の内側で動作していると特定し、航空機104を空域関心エリア106の外側で動作していると特定してよい。
【0023】
[0037]
図2を参照すると、例示的な複数の実施形態による、物体位置特定環境のブロック図が示されている。物体位置特定環境200は、物体202が関心エリア208の内側204又は外側206に位置付けられてよい、任意の適切な環境を含んでよい。
【0024】
[0038] 物体202は、任意の適切な種類の物理的物体210又は仮想物体211を含んでよい。物理的物体210は、1以上の物理的物体を含んでよく、任意の適切な組み合わせにおける様々な異なる種類の物理的物体を含んでよい。例えば、限定するものではないが、物理的物体210は、航空機218、地上車両220、船舶222、潜水艦224、又は宇宙船226のうちの1以上などの、ビークルの1以上を含んでよい。代替的に又は更に、物理的物体210は、動物212、人間214、又は他の物理的物体216のうちの1以上を含んでよい。
【0025】
[0039] 仮想物体211は、仮想環境内の任意の適切な物理的物体の任意の適切な仮想実施態様を含んでよい。仮想物体211はまた、デジタル物体とも呼ばれてよい。
【0026】
[0040] 関心エリア208は、任意の適切な物体202が位置付けられてよい任意の適切なエリアを含んでよい。例えば、物理的物体210用の関心エリア208は、空域関心エリア228又は他の関心エリア230を含んでよい。例えば、限定するものではないが、航空機218は、空域関心エリア228の内側204又は外側206に位置付けられてよい。
図1の空域関心エリア106は、空域関心エリア228の一実施例である。
【0027】
[0041] 仮想物体211用の関心エリア208は、仮想物体211が位置付けられてよい仮想環境内の任意の適切なエリアを含んでよい。例えば、限定はしないが、仮想物体211用の関心エリアは、仮想ゲーム又はシミュレーション環境内のエリアであってよい。
【0028】
[0042] 関心エリア208は、境界232内に囲まれたエリアである。例示的な複数の実施形態によれば、境界232は、頂点234と頂点234間で延在する線分236とによって画定される。線分236の各線分238の端部における頂点234は、隣接する頂点240である。
【0029】
[0043] 例示的な実施形態よれば、物体位置特定システム242は、物体202が関心エリア208の内側204に位置付けられているか又は外側206に位置付けられているかを判定するように構成されている。物体位置特定システム242は、ハードウェア内に実装されてよく、又はコンピュータシステム244内のソフトウェアと組み合わされたハードウェア内に実装されてもよい。
【0030】
[0044] コンピュータシステム244は、物理的ハードウェアシステムであり、1以上のデータ処理システムを含む。2以上のデータ処理システムがコンピュータシステム244内に存在するときに、それらのデータ処理システムは、通信媒体を使用して互いに通信する。通信媒体は、ネットワークであり得る。データ処理システムは、コンピュータ、サーバコンピュータ、タブレットコンピュータ、又は何らかの他の適切なデータ処理システムのうちの少なくとも1つから選択され得る。
【0031】
[0045] 図示されているように、コンピュータシステム244は、例示的な複数の実施例においてプロセスを実施するプログラム指示命令248を実行することができる幾つかのプロセッサユニット246を含む。本明細書で使用されるときに、幾つかのプロセッサユニット246のうちの1つのプロセッサユニットは、ハードウェアデバイスであり、ハードウェア回路(コンピュータを動作させる指示命令及びプログラムコードに応答し、処理する集積回路上の回路など)からなる。幾つかのプロセッサユニット246が、処理のためプログラム指示命令248を実行するときに、幾つかのプロセッサユニット246は、同一のコンピュータ上又は異なるコンピュータ上にあり得る1以上のプロセッサユニットである。言い換えるならば、処理は、コンピュータシステムの同一のコンピュータ、又は異なるコンピュータ上のプロセッサユニット間で分散可能である。更に、幾つかのプロセッサユニット246は、同じ種類のプロセッサユニット又は異なる種類のプロセッサユニットになり得る。例えば、幾つかのプロセッサユニットは、シングルコアプロセッサ、デュアルコアプロセッサ、マルチプロセッサコア、汎用中央処理装置(CPU)、グラフィックプロセッサユニット(GPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又はその他のタイプのプロセッサユニットのうちの少なくとも1つから選択され得る。
【0032】
[0046] 物体位置特定システム242は、ユーザインターフェース250を含んでよい。例えば、ユーザインターフェース250は、グラフィカルユーザインターフェース252であってよい。例示的な一実施形態によれば、オペレータ254は、関心エリア208を画定するために、適切なユーザインターフェースデバイス256を介して、ユーザインターフェース250と相互作用してよい。
【0033】
[0047] 物体位置特定システム242は、物体202についての位置情報258を受け取るように構成されている。位置情報258は、物体202の位置260を特定する任意の適切な情報を含んでよい。
【0034】
[0048] 物体位置特定システム242は、本明細書でより詳細に説明されるように、物体202が関心エリア208の内側204にあるか又は外側206にあるかを判定するために、位置情報258を使用するように構成されている。物体位置特定システム242は、物体202が関心エリア208の内側204にあるかどうかを示すための任意の適切な指標264を生成してよい。例えば、指標264は、ユーザインターフェース250を介して適切なやり方でオペレータ254に提示されてよい。指標264は、適切な形態を採るメッセージとして物理的物体202に提供されてよい。別の一実施例として、指標264は、内側関心空間判定266に対する入力として提供されてよい。
【0035】
[0049]
図3を参照すると、例示的な複数の実施形態による、物体位置特定システムのブロック図が示されている。物体位置特定システム300は、
図2の物体位置特定システム242の一実施態様の一実施例である。物体位置特定システム300は、ユーザインターフェース生成器304、関心エリアプロセッサ306、位置情報受信器308、物体位置プロセッサ310、及び指標生成器312を含んでよい。
【0036】
[0050] ユーザインターフェース生成器304は、マップ314が表示される
図2のユーザインターフェース250などのユーザインターフェースを生成するように構成されてよい。マップ314は、ユーザにより選択可能であってよい。ユーザは、マップ314上の関心エリア用の頂点316を示すことによって関心エリアを画定してよい。緯度及び経度318が、ユーザによって表示された頂点316の各々について自動的に生成されてよい。
【0037】
[0051] 関心エリアプロセッサ306が、関心エリア内の基準点322と基準方向324とを規定することによって、画定された関心エリアに対する極座標系320を規定するように構成されている。例えば、限定するものではないが、基準点322は、関心エリアの中心又は中心の近傍における中心点326であってよい。
【0038】
[0052] 関心エリアプロセッサ306は、頂点316を極座標系320に変換する。それは、頂点316の各々について頂角328を決定することを含む。次いで、頂角328は、二分探索木330として記憶されてよい。
【0039】
[0053] 位置情報受信器308は、物体の位置を特定する位置情報332を受け取るように構成されている。例えば、限定するものではないが、位置情報332は、緯度及び経度334によって物体の位置を特定してよい。
【0040】
[0054] 物体位置プロセッサ310は、物体の位置を極座標系320に変換するように構成されている。それは、物体について物体角336を決定することを含む。次いで、物体角336と二分探索木330として記憶された頂角328とは、線分交差の数338を特定するために使用されてよい。
【0041】
[0055] 指標生成器312は、線分交差の数338に基づいて、物体が関心エリアの内側にあるかどうかを示すための指標340を生成するように構成されている。
【0042】
[0056]
図4を参照すると、例示的な複数の実施形態による、空域関心エリアを画定するためのユーザインターフェースの図が示されている。ユーザインターフェース400は、
図2のユーザインターフェース250の一実施態様の一実施例である。
【0043】
[0057] ユーザインターフェース400は、表示された背景マップ402を含む。マップ402は、ユーザにより選択可能であってよい。ユーザは、マップ404上の関心エリア用の頂点を選択することによって、関心エリア404を画定する。選択された頂点の緯度及び経度座標が、ユーザインターフェース400上のウインドウ406内に適切な形態で又は別の適切なやり方で表示されてよい。
【0044】
[0058]
図5を参照すると、例示的な複数の実施形態による、航空機が空域関心エリアの内側にあるか又は外側にあるかを示すための指標を含むユーザインターフェースの図が示されている。ユーザインターフェース500は、
図4のマップ402の一部分の拡大図である。
【0045】
[0059] ユーザインターフェース500は、関心エリアの内側502のエリアと関心エリアの外側508のエリアを示している。指標506は、関心エリアの内側の航空機を特定する。指標504は、関心エリアの外側の航空機を特定する。
【0046】
[0060] 次に
図6を参照すると、例示的な複数の実施形態による、空域関心エリアの内側にある航空機用の警告指標を含むユーザインターフェースの図が示されている。ユーザインターフェース600は、
図2のユーザインターフェース250の別の一実施態様の一実施例である。ユーザインターフェース600では、指標602が、空域関心エリアの内側にある航空機用の警告指標である。
【0047】
[0061]
図7を参照すると、例示的な複数の実施形態による、関心エリアと関心エリア用の二分探索木との図が示されている。関心エリア700は、
図2の関心エリア208の一実施例である。
【0048】
[0062] この実施例では、関心エリア700が、頂点702、704、及び706、並びに、線分708、710、及び712によって画定されている。基準点714及び基準角度716が、関心エリア700の極座標系を規定する。
【0049】
[0063] 極座標系における頂点702、704、及び706の座標が、
図7で示されている。これらの座標は、基準点714からの頂点の距離と頂点についての頂角とを含む。例示的な一実施形態によれば、これらの座標は、二分探索木718として記憶される。
【0050】
[0064]
図8を参照すると、例示的な複数の実施形態による、関心エリアの内側の物体の位置を決定する一実施例の図が示されている。この実施例では、星印800が、関心エリア700の内側の物体の位置を示している。
【0051】
[0065] 二分探索木718を検索することよって、線分710が、潜在的に交差する線分として特定される。基準点714と物体位置800とは、線分710の同じ側にあると判定される。したがって、線分710は、交差する線として確認される。
【0052】
[0066]
図9を参照すると、例示的な複数の実施形態による、関心エリアの外側の物体の位置を特定する一実施例の図が示されている。この実施例では、星印900が、関心エリア700の外側の物体の位置を示している。
【0053】
[0067] 二分探索木718を検索することよって、線分708が、潜在的に交差する線分として特定される。この場合では、基準点714と物体位置900とは、線分708の同じ側にないと判定される。したがって、線分708は、交差する線でないと判定される。
【0054】
[0068]
図10を参照すると、例示的な複数の実施形態による、物体が関心エリア内にあるかどうかを判定する方法を示すフローチャートが示されている。方法1000は、
図3の物体位置特定システム300内に実装されてよい。
【0055】
[0069] 方法1000は、関心エリアに対する基準点と基準点からの基準方向とを決定すること(ステップ1002)で開始してよい。ステップ1002は、関心エリアに関する極座標系を規定する。複数の頂角を提供するために、各頂点の頂角が決定される(ステップ1004)。頂点の頂角は、基準方向と基準点から頂点へ延在する線との間の角度である。
【0056】
[0070] 次いで、物体の位置を特定する位置情報から、物体の物体角が決定されてよい(ステップ1006)。物体の物体角は、基準方向と基準点から物体位置へ延在する線との間の角度である。
【0057】
[0071] 次いで、物体角と複数の頂角とは、複数の線分内の線分交差の数を特定するために使用されてよい(ステップ1008)。次いで、線分交差の数に基づいて、物体が関心エリア内にあるかどうかを示すための指標が生成されてよく(ステップ1010)、その後、方法は終了する。
【0058】
[0072] 次に
図11を参照すると、例示的な複数の実施形態による、物体が関心エリア内にあるかどうかを判定する方法をより詳細に示すフローチャートが示されている。方法1100は、
図3の物体位置特定システム300内に実装されてよい。
【0059】
[0073] 方法1100は、頂点間で延在する線分を含む境界によって囲まれた関心エリアを画定すること(ステップ1102)で開始する。基準点と基準点からの基準方向とが、関心エリアに対して決定される(ステップ1104)。ステップ1104は、関心エリアに関する極座標系を規定する。次いで、複数の頂角を提供するために、各頂点の頂角が極座標系において決定される(ステップ1106)。各頂点の頂角は、基準方向と基準点から頂点へ延在する線との間の角度である。頂点についての複数の頂角が、二分探索木として記憶される(ステップ1108)。
【0060】
[0074] 物体の位置を特定する位置情報が受け取られる(ステップ1110)。位置情報から、物体の物体角が極座標系において決定される(ステップ1112)。物体の物体角は、基準方向と基準点から物体の位置へ延在する線との間の角度である。
【0061】
[0075] 物体角と二分探索木として記憶された複数の頂角とが、線分交差の数を特定するために使用される(ステップ1114)。特定された線分交差の数に基づいて、物体が関心エリアの内側にあるかどうかが判定される(ステップ1116)。次いで、物体が関心エリアの内側にあるかどうかを示すための指標が生成され(ステップ1118)、その後、方法は終了する。
【0062】
[0076]
図12を参照すると、例示的な複数の実施形態による、関心エリア用の頂角を一連の二分探索木として記憶する方法が示されている。方法1200は、
図11の方法1100におけるステップ1108の1つの可能な実施態様の一実施例である。
【0063】
[0077] 方法1200は、第1の頂点についての第1の頂角を二分探索木に追加すること(ステップ1202)によって開始する。次いで、関心エリアの境界に沿った次の頂点についての次の頂角が、二分探索木に追加される(ステップ1204)。次いで、関心エリアを画定する頂点の全てについての頂角の全てが、二分探索木として記憶されたかどうかが判定される(ステップ1206)。該方法は、頂角の全てが二分探索木として記憶されたとのステップ1206における判定に応じて終了する。
【0064】
[0078] 頂角の全てが二分探索木として記憶されていないとのステップ1206における判定に応じて、頂角が追加されている二分探索木の範囲が、360度以上であるかどうかが判定される(ステップ1208)。頂角が追加されている二分探索木の範囲が、360度以上でないとのステップ1208における判定に応じて、方法はステップ1204にもどり、次の頂角が二分探索木に追加される。頂角が追加されている二分探索木の範囲が、360度以上であるとのステップ1208における判定に応じて、新しい二分探索木が開始され(ステップ1210)、方法はステップ1204に戻り、次の頂角が新しい二分探索木に追加される。
【0065】
[0079]
図13を参照すると、例示的な複数の実施形態による、物体が関心エリア内にあるかどうかを判定するために、物体についての物体角と関心エリア用の頂角とを使用する方法を示すフローチャートが示されている。方法1300は、
図11の方法1100におけるステップ1114及び1116の1つの可能な実施態様の一実施例である。方法1300は、線分交差の数がゼロに設定された状態で開始する。
【0066】
[0080] 方法1300は、1つの潜在的に交差する線分を見つけるために、二分探索木を検索すること(ステップ1302)で開始する。1つの潜在的に交差する線分は、物体の物体角が線分の各端部における隣接する頂点の頂角の間にある関心エリアの境界の線分である。1つの潜在的に交差する線分がステップ1302の二分探索木の検索において見つかったどうかが判定される(ステップ1304)。
【0067】
[0081] 1つの潜在的に交差する線分が見つかったとのステップ1304における判定に応じて、物体の位置と基準点とが、潜在的に交差する線分の同じ側にあるかどうかが判定される(ステップ1306)。物体の位置と基準点とが潜在的に交差する線分の同じ側にあるとのステップ1306における判定に応じて、線分交差の数がインクリメントされる(ステップ1308)。物体の位置と基準点とが潜在的に交差する線分の同じ側にないとのステップ1306における判定に応じて、ステップ1308はスキップされ、線分交差の数は増加しない。
【0068】
[0082] 次いで、物体の物体角が、180度だけ増加する(ステップ1310)。次いで、増加した物体角が、関心エリア用の最大の頂角より大きいかどうかが判定される(ステップ1312)。増加した物体角が、関心エリア用の最大の頂角より大きくないとのステップ1312における判定に応じて、方法はステップ1302に戻り、増加した物体角を使用して潜在的に交差する線分を見つけるために、二分探索木が検索される。
【0069】
[0083] 1つの潜在的に交差する線分が、二分探索木の検索において見つからないとのステップ1304における判定、又は、増加した物体角が、関心エリア用の最大の頂角よりも大きいとのステップ1312における判定に応じて、線分交差の数が奇数であるかどうかが判定される(ステップ1314)。線分交差の数が奇数であるとのステップ1314における判定に応じて、物体は関心エリアの内側にあると判定され(ステップ1316)、その後、方法は終了する。線分交差の数が奇数でないとのステップ1314における判定に応じて、物体は関心エリアの内側にないと判定され(ステップ1318)、その後、方法は終了する。
【0070】
[0084] 次いで
図14を参照すると、例示的な一実施形態による、データ処理システムのブロック図が示されている。データ処理システム1400は、
図2のコンピュータシステム244を実装するために使用され得る。この例示的な実施例では、データ処理システム1400が、通信フレームワーク1402を含み、これにより、プロセッサユニット1404、メモリ1406、固定記憶装置1408、通信ユニット1410、入/出力(I/O)ユニット1412、及びディスプレイ1414の間で通信が行われる。この実施例では、通信フレームワーク1402が、バスシステムの形態を採る。
【0071】
[0085] プロセッサユニット1404は、メモリ1406にロードされ得るソフトウェア用の指示命令を実行する役割を果たす。プロセッサユニット1404は、1以上のプロセッサを含む。例えば、プロセッサユニット1404は、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)、物理演算ユニット(PPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサ又は他の好適な種類のプロセッサのうちの少なくとも1つから選択され得る。更に、プロセッサユニット1404は、メインプロセッサが単一のチップ上にセカンダリプロセッサと共に存在する1以上の異種プロセッサシステムを使用して実装されることもある。別の例示的な一実施例として、プロセッサユニット1404は、単一のチップ上に同じ種類の幾つかのプロセッサが包含される、対称型マルチプロセッサシステムであり得る。
【0072】
[0086] メモリ1406及び固定記憶装置1408は、記憶デバイス1416の例である。記憶デバイスは、例えば、限定するものではないが、データ、機能的な形態を採るプログラム指示命令、又は、一時的であるか、永続的であるかのいずれか、若しくは一時的及び永続的の両方である、他の適切な情報のうちの少なくとも1つなどの、情報を記憶することができる任意のハードウェアのピースである。記憶デバイス1416は、これらの例示的な実施例では、コンピュータ可読記憶デバイスとも呼ばれてよい。これらの実施例では、メモリ1406が、例えば、ランダムアクセスメモリ、又は任意の他の適切な揮発性若しくは不揮発性の記憶デバイスであり得る。固定記憶装置1408は、特定の実施態様に応じて、様々な形態を採ってよい。
【0073】
[0087] 例えば、固定記憶装置1408は、1以上の構成要素又はデバイスを包含してよい。例えば、固定記憶装置1408は、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ(SSD)、フラッシュメモリ、書換可能な光ディスク、書換可能な磁気テープ、又は上記の何らかの組み合わせであり得る。固定記憶装置1408によって使用される媒体は、着脱式のものであってもよい。例えば、固定記憶装置1408には、着脱式ハードドライブを使用してよい。
【0074】
[0088] これらの例示的な複数の実施例では、通信ユニット1410により、他のデータ処理システム又はデバイスとの通信が実現する。これらの実施例では、通信ユニット1410が、ネットワークインタフェースカードである。
【0075】
[0089] 入/出力ユニット1412は、データ処理システム1400に接続され得る他のデバイスとの間で、データの入出力を可能にする。例えば、入/出力ユニット1412は、キーボード、マウス、又は他の何らかの適切な入力デバイスのうちの少なくとも1つを通じて、ユーザ入力のための接続を提供してよい。更に、入/出力ユニット1412は、プリンタに出力を送ってよい。ディスプレイ1414は、ユーザに情報を表示する機構を提供する。
【0076】
[0090] オペレーティングシステム、アプリケーション、又はプログラムのうちの少なくとも1つに対する指示命令が、通信フレームワーク1402を通じてプロセッサユニット1404と通信する記憶デバイス1416内に位置付けられ得る。種々の実施形態のプロセスは、メモリ1406などのメモリ内に位置付けられてよい、コンピュータに実装された指示命令を使用して、プロセッサユニット1404によって実行され得る。
【0077】
[0091] これらの指示命令は、プロセッサユニット1404内のプロセッサによって読まれ実行され得る、プログラム指示命令、コンピュータ使用可能プログラム指示命令、又はコンピュータ可読プログラム指示命令と呼ばれる。種々の実施形態におけるプログラム指示命令は、メモリ1406や固定記憶装置1408などの、種々の物理的な媒体又はコンピュータ可読記憶媒体上に具現化され得る。
【0078】
[0092] プログラム指示命令1418は、選択的に着脱可能であるコンピュータ可読媒体1420上に機能的な形態で位置付けられ、プロセッサユニット1404による実行のためにデータ処理システム1400にロードしたり転送したりされ得る。プログラム指示命令1418とコンピュータ可読媒体1420は、これらの例示的な複数の実施例では、コンピュータプログラム製品1422を生成する。例示的な一実施例では、コンピュータ可読媒体1420が、コンピュータ可読記憶媒体1424である。
【0079】
[0093] コンピュータ可読記憶媒体1424は、プログラム指示命令1418を伝播又は伝送する媒体というよりはむしろ、プログラム指示命令1418を記憶するために使用される、物理的な又は有形の記憶デバイスである。本明細書で使用される場合、コンピュータ可読記憶媒体1424は、それ自体、電波若しくはその他の自由に伝播する電磁波、導波路若しくは別の伝送媒体を介して伝播する電磁波(例えば、光ファイバーケーブルを通過する光パルス)などの一時的信号であるとも、ワイヤを介して伝送される電気信号であるとも、解釈すべきではない。
【0080】
[0094] 代替的に、プログラム指示命令1418は、コンピュータ可読信号媒体を使用して、データ処理システム1400に伝送され得る。コンピュータ可読信号媒体は、例えば、指示命令1418を含む伝播されるデータ信号であり得る。例えば、コンピュータ可読信号媒体は、電磁信号、光信号、又は他の任意の適切な種類の信号のうちの少なくとも1つであってよい。これらの信号は、無線接続、光ファイバーケーブル、同軸ケーブル、電線、又は任意の他の適切な種類の接続などの、接続を経由して送信されてよい。
【0081】
[0095] 更に、本明細書で使用される場合、「コンピュータ可読媒体1420」は単数であり得るか又は複数であり得る。例えば、プログラム指示命令1418は、単一の記憶デバイス又はシステムの形態を採るコンピュータ可読媒体1420内に位置付けられ得る。別の一実施例では、プログラム指示命令1418が、複数のデータ処理システム内に分散されたコンピュータ可読媒体1420内に位置付けられ得る。言い換えるならば、プログラム指示命令1418内の幾つかの指示命令は、1つのデータ処理システム内に位置付けられ得る一方、プログラム指示命令1418内の他の指示命令は1つのデータ処理システム内に位置付けられ得る。例えば、プログラム指示命令1418の一部分が、サーバコンピュータ内のコンピュータ可読媒体1420に位置付けられ得る一方、プログラム指示命令1418の別の一部分は、一組のクライアントコンピュータ内に位置付けられたコンピュータ可読媒体1420に位置付けられ得る。
【0082】
[0096] データ処理システム1400用の図示されている種々の構成要素は、種々の実施形態が実施され得るやり方に対して構造的制限を設けることを意図していない。幾つの例示的な実施例では、構成要素の1以上が、別の構成要素内に組み込まれてよく、又はさもなければ別の構成要素の一部分を形成してよい。例えば、メモリ1406又はその部分は、幾つかの例示的な実施例では、プロセッサユニット1404内に組み込まれてよい。種々の例示的な実施形態は、データ処理システム1400用の図示されている構成要素に対する追加的又は代替的な構成要素を含む、データ処理システム内に実装され得る。
図14で示されている他の構成要素は、示されている例示的な実施例と異なり得る。種々の実施形態は、プログラム指示命令1418を実行することができる任意のハードウェアデバイス又はシステムを使用して実装され得る。
【0083】
[0097] 本明細書で使用されるときに、「幾つかの」というフレーズは、1以上を意味する。列挙されたアイテムと共に使用されるときに、「~のうちの少なくとも1つ(at least one of)」という表現は、列挙されたアイテムのうちの1以上の組み合わせが使用され得ること、及び、列挙された各アイテムのうちの1つだけが必要とされ得ることを意味している。言い換えると、「~のうちの少なくとも1つ」とは、アイテムの任意の組み合わせ、及び、幾つかのアイテムが、列挙された中から使用され得ることを意味するが、列挙されたアイテムの全てが必ずしも必要とされるわけではない。アイテムは、特定の対象物、物品、又はカテゴリであってよい。本明細書で使用されるときに、「実質的に」又は「約」という用語は、測定値に関して使用されるときに、当業者によって決定され、連邦航空局連邦航空規則(Federal Aviation Administration Federal Aviation Regulations)のような(ただし、これらに限定されない)所与の管轄区域の規制スキームにおける許容可能な工学的許容範囲内にある。
【0084】
[0098] 図示した種々の実施形態におけるフローチャート及びブロック図は、例示的な一実施形態における、装置及び方法の幾つかの可能な実施態様の構造、機能、及び動作を示している。これに関し、フローチャート又はブロック図内の各ブロックは、モジュール、セグメント、機能、又は動作若しくはステップの一部分のうちの少なくとも1つを表わし得る。フローチャート内で図示されているステップは、図示されているブロックの特定の順序とは異なる順序で行われる可能性がある。
【0085】
[0099] 種々の実施例の説明は、例示及び説明を目的として提示されており、網羅的な説明であること、又は開示された形態の実施例に限定することを、意図しているわけではない。当業者には、多くの修正例及び変形例が明らかであろう。更に、異なる実施例によって、他の実施例とは異なる特徴が提供され得る。選択された1以上の実施例は、それらの例の原理と実践的応用を最もよく解説するため、及び、他の当業者が様々な例の開示内容と共に想定される特定の用途に適した様々な修正例について理解することを可能にするために、選ばれ、説明されている。
【外国語明細書】