(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003965
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】農業用ハウスおよびそれに使用するテトラモジュール
(51)【国際特許分類】
A01G 9/14 20060101AFI20240109BHJP
E04B 1/32 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
A01G9/14 A
E04B1/32 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103347
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】523360212
【氏名又は名称】テトラモジュール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078695
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 司
(72)【発明者】
【氏名】梶川 泰司
【テーマコード(参考)】
2B029
【Fターム(参考)】
2B029AA01
2B029BB01
2B029BB13
2B029BB20
(57)【要約】
【課題】テトラモジュールを用いることで工場生産での部材調達が可能であり、モジュール以外の部材を連結部材として用いることなく、モジュールだけの組み合わせで構築することが可能となり、プレハブ化が向上し、施工を簡易かつ迅速に行え、かつ、壁および屋根が厚みのある立体トラス構造なのでハウス全体も強度もあり、安定した建物となる農業用ハウスを提供することにある。
【解決手段】壁10および屋根11を、四面体の稜線部分を細長接合面を有するフレームで形成したテトラモジュール1′の結合で形成する立体トラス構造とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁および屋根を、四面体の稜線部分を細長接合面を有するフレームで形成したテトラモジュールの結合で形成する立体トラス構造としたことを特徴とする農業用ハウス。
【請求項2】
屋根は傾斜を有する両屋根もしくは片屋根であり、屋根の立体トラス構造と壁の立体トラス構造はテトラモジュールの結合で一体的に連結する請求項1記載の
農業用ハウス。
【請求項3】
床も、四面体の稜線部分を細長接合面を有するフレームで形成したテトラモジュールの結合で形成する立体トラス構造とし、床の立体トラス構造と壁の立体トラス構造はテトラモジュールの結合で一体的に連結する請求項1または請求項2記載の農業用ハウス。
【請求項4】
四面体の稜線部分を細長接合面を有するフレームで形成し、これら細長接合面を有するフレームの端部を連結してなる四面体状架構であり、フレームが内接する面により六面体のブロックを仮想できることを特徴とした農業用ハウスに使用するテトラモジュール。
【請求項5】
六面体のブロックが相対向する面のうち1組は平行四辺形、残りの2組は矩形であり、テトラモジュールを構成する6本のフレームのうち4本のフレームは正四面体を形成する場合のフレームと同一の長さであり、他の1本のフレームはそれより短く、残りの1本のフレームはそれより長くした正四面体でない変形四面体である請求項4記載の農業用ハウスに使用するテトラモジュール。
【請求項6】
六面体のブロックが立方体ブロックである請求項4記載の農業用ハウスに使用するテトラモジュール。
【請求項7】
フッ素系フィルムなどの被覆資材を開口を覆うように貼設した請求項4記載の農業用ハウスに使用するテトラモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビニールハウス等の農業用ハウスおよびそれに使用するテトラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
農業用ハウスにはガラスハウスとプラスチックハウスの2種類があり、ガラスハウスはガラス板を被覆資材として利用している。
【0003】
これに対してプラスチックハウスとはポリオレンフィルム(農PO、農ポリ)を被覆資材として利用しているハウスのことを指す。以前は農ビ(農業用塩化ビニルフィルム)が被覆資材の主流だったためビニールハウスと呼んでいたが、農ポリが主流となった現在でもガラスハウス以外のハウスを総称してビニールハウスと呼ぶ。被覆資材には上記以外にもさまざまなものがあり、フッ素系フィルムなどの硬質フィルムや、FRP板FRA板などである。
【0004】
プラスチックハウスの多くはU字型パイプを支柱に利用することからパイプハウスと呼ばれ、一方大規模に建設するハウスの場合、コンクリートの基礎に鉄製の柱など、強固な作りが必要で、このようなハウスを鉄骨ハウスと呼ぶことがある。鉄骨ハウスの被覆資材はガラスの場合もあれば、フッ素系フィルムの場合もある。
【0005】
ハウスが連続して繋がった状態のハウスを連棟、1つだけのものを単棟と呼ぶ。
【0006】
また、大規模ハウスでは「両屋根」、「片屋根」、「スリークォータ」(南側の屋根面積が大きく冬季の採光性に優れたハウス)、「フェンロー」(連棟で骨材が細く、採光性が良いオランダ型)等従来日本になかった形の農業用ハウスも増加している。
【0007】
下記特許文献は建築コストの低減を図るとともに、十分な強度と温室効果を得ることができる両屋根式ビニールハウスとして提案されている。
【特許文献1】実用新案登録第3211045号公報
【0008】
特許文献1は、
図19に示すように両屋根式ビニールハウス本体101は、建築木材の貫材を主な材料として組み立てた両屋根形式のトラス構造であって、所定の、脚部材102と、屋根部材と、連結部材と、補強部材104と、ビニールシート材と、断熱シート材とを備え、脚部材と、屋根部材と、連結部材と、補強部材とを結合して両屋根式ビニールハウス本体の骨組を形成し、屋根面全体に中空ポリカーボネート板を被せて塞ぎ、側面全体をビニールシート材で被覆するとともに、出入り口108及び通風口109を設け、さらに室内の天井及び壁面に断熱シート材を張り巡らして、これらを一体に形成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記特許文献1は、貫材を主な材料として組み立てた両屋根形式のトラス構造によるものであり、一般にトラス構造は、部材同士を三角形につなぎ合わせた構造形式であり、部材の両端がピン接合で三角形のため、外力を加えても軸力しか発生しない。
【0010】
例えば四角形に力を作用させると、四角形は力を受けて曲がってしまうが、一方、三角形は力に対して「曲がる」ではなく、「縮む」又は「伸びる」ような変形をする。「曲がる」という変形が起きる部材には、曲げモーメントが作用しているが、「縮む、伸びる」変形には軸力しか作用していない。
【0011】
同じ大きさの部材でも、曲げモーメントが作用する部材と、軸力のみ作用する部材では、後者が圧倒的に有利である。つまり、軸力のみ作用する部材は効率的な断面が選定できる。
【0012】
このようにして、トラス構造のメリットは、部材間には軸力しか作用しない、
よって、細い部材で構造物を構成することが可能、軽快で細い部材で建築物を創ることができ、意匠的にも魅力があるということが挙げられる。
【0013】
一方、トラス構造のデメリットとしては、施工が面倒なことである。トラス構造は、上弦材、下弦材、束材、斜材という部材が必要で、部材が交錯する点は、どうしても接合部が複雑になりがちになる。
【0014】
本発明の目的前記従来例の不都合を解消し、テトラモジュールを用いることで工場生産での部材調達が可能であり、モジュール以外の部材を連結部材として用いることなく、モジュールだけの組み合わせで構築することが可能となり、プレハブ化が向上し、施工を簡易かつ迅速に行える農業用ハウスおよびそれに使用するテトラモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するため本発明は農業用ハウスとしては、第1に、壁および屋根を、四面体の稜線部分を細長接合面を有するフレームで形成したテトラモジュールの結合で形成する立体トラス構造としたこと、第2に、屋根は傾斜を有する両屋根もしくは片屋根であり、屋根の立体トラス構造と壁の立体トラス構造はテトラモジュールの結合で一体的に連結すること、第3に、床も、四面体の稜線部分を細長接合面を有するフレームで形成したテトラモジュールの結合で形成する立体トラス構造とし、床の立体トラス構造と壁の立体トラス構造はテトラモジュールの結合で一体的に連結することを要旨とするものである。
【0016】
農業用ハウスに使用するテトラモジュールとしては、第1に、四面体の稜線部分を細長接合面を有するフレームで形成し、これら細長接合面を有するフレームの端部を細長接合面を有するフレーム端部を連結してなる四面体状架構であり、フレームが内接する面により六面体のブロックを仮想できること、第2に、六面体のブロックが相対向する面のうち1組は平行四辺形、残りの2組は矩形であり、テトラモジュールを構成する6本のフレームのうち4本のフレームは正四面体を形成する場合のフレームと同一の長さであり、他の1本のフレームはそれより短く、残りの1本のフレームはそれより長くした正四面体でない変形四面体であること、もしくは、六面体のブロックが立方体ブロックであること、第3に、フッ素系フィルムなどの被覆資材を開口を覆うように貼設したことを要旨とするものである。
【0017】
本発明によれば、壁および屋根を、テトラモジュールの結合で形成する立体トラス構造としたとしたもので、厚みのある壁および屋根であり、柱や貫材を用いなくても自立する強度のある農業用ハウスとなる。
【0018】
また、壁および屋根は立体トラス構造としその外面もしくは内面にフッ素系フィルムなどの被覆資材を開口を覆うように貼設することができる。
【0019】
特に、被覆資材を内外両面に貼設した場合はその間のトラス構造で空気断熱層を確保することができる。
【0020】
また、立体トラス構造である壁および屋根は空間を配管、配線等の設置スペースとして利用でき、照明、スプンクラー、送風機等の設備も簡単に設置できる。
【0021】
請求項2記載の本発明によれば、屋根は傾斜を有する両屋根もしくは片屋根であるので、屋根面が傾斜面となり、雨水や雪の処理や光エネルギーを電力に変換する電力機器という太陽電池を多量に繋げて大きなパネルにしたソーラーパネルを設置するのに適したものとなる。
【0022】
また、屋根と壁は梁等がなくても1種のテトラモジュールで一体的に連結するものであり、構造的に強度がある安定したハウスが構築できる。
【0023】
請求項3記載の本発明によれば、床を設けることでこれに床板を貼るなどすれば、居住空間として利用できるものとなり、また、床が接地基礎となり、軟弱な地盤でも杭を打たずともハウスの設置が可能となる。また、床と壁は一体的に連結するものであり、構造的に強度がある安定した居住可能な農業用ハウスが構築できる。
【0024】
本発明によれば、テトラモジュールはトラス構造を形成するものとして、四面体の稜線部分を細長接合面を有するフレームで形成したので、フレームを細長接合面を接合させてテトラモジュール同士を組み合わせることができる。
【0025】
さらに、テトラモジュールを組み合わせるのに、四面体の稜線部分となるフレームは相互に重なり、2重となるので強度が増し、これがトラス構造の斜材の部分としてトラス構造自体が堅牢なものとなる。
【0026】
また、モジュール以外の連結部材を用いることなく、モジュールだけの組み合わせでトラス構造を構築することが可能となり、組立を少ない工数で簡易かつ迅速に行うことができ、プレハブ化が向上する。
【0027】
床の場合は、モジュールを組み合わせるのに、正四面体の稜線部分となるフレームは相互に重なり、2重となるので強度が増し、これが水平材による上弦材と下弦材とこれらを結合する斜材による盤状立体トラス構造の斜材の部分としてトラス構造自体が堅牢なものとなる。
【0028】
一方、テトラモジュールという構成要素は、レゴ(登録商標)ブロック的な積木の技術思想と、トラス構造という構造技術をドッキングさせることで、トラス構造のブロックを生み出したものであり、積木を重ねる感覚でテトラモジュールを組合せて、立体トラス構造の展開を図ることができる。
【発明の効果】
【0029】
以上述べたように本発明の農業用ハウスは、テトラモジュールを用いることで、強度のある大型の農業用ハウスが建築でき、また、屋根・壁の内部空間を利用できる農業用ハウスとなり、構築においては、工場生産での部材調達が可能であり、モジュール以外の部材を連結部材として用いることなく、モジュールだけの組み合わせで構築することが可能となり、プレハブ化が向上し、施工を簡易かつ迅速に行えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の農業用ハウスの第1実施形態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の農業用ハウスの第1実施形態を示す正面図である。
【
図3】本発明の農業用ハウスの第1実施形態を示す平面図である。
【
図4】本発明の農業用ハウスの第1実施形態を示す側面図である。
【
図5】本発明の農業用ハウスの正面と背面に壁を設けた場合の斜視図である。
【
図6】本発明の農業用ハウスの第2実施形態を示す斜視図である。
【
図7】本発明の農業用ハウスの要部の接合を示す説明図である。
【
図8】本発明の農業用ハウスの屋根・壁・床の連結を示す斜視図である。
【
図9】本発明の農業用ハウスに用いるテトラモジュールの説明図である。
【
図10】本発明の農業用ハウスに用いるテトラモジュールの2種の組合せを示す斜視図である。
【
図11】本発明の農業用ハウスに用いるテトラモジュールの第1例を示す斜視図である。
【
図12】本発明の農業用ハウスに用いるテトラモジュールの第1例を示す側面図である。
【
図13】本発明の農業用ハウスに用いるテトラモジュールの第1例を示す他の角度からの斜視図である。
【
図14】本発明の農業用ハウスに用いるテトラモジュールの第2例を示す斜視図である。
【
図15】本発明の農業用ハウスの壁または屋根の正面図である。
【
図16】本発明の農業用ハウスの床部分の斜視図である。
【
図17】本発明の農業用ハウスに用いるテトラモジュールの被覆資材付の斜視図である。
【
図18】本発明の農業用ハウスの被覆資材を設けた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明の建築構造の1実施形態を示す斜視図、
図2は同上正面図で、
図3は同上側面図で、農業用ハウス13は壁10および屋根11からなり、これら壁10および屋根11を、四面体の稜線部分を細長接合面2を有するフレーム3で形成したテトラモジュール1′(
図9,
図10,
図11参照)の結合で形成する盤状の立体トラス構造とした。
【0032】
屋根11は傾斜を有する両屋根もしくは片屋根(
図8参照)であり、屋根11の立体トラス構造と壁10の立体トラス構造はテトラモジュール1′同士のみの結合で一体的に連結する。
【0033】
また、
図5に示すように、壁10および屋根11の他に床12を設けたものと6することもでき、床12を設ける場合、この床12も四面体の稜線部分を細長接合面2を有するフレーム3で形成したテトラモジュール1の結合で形成する盤状の立体トラス構造とした。
【0034】
床12の立体トラス構造と壁10の立体トラス構造もテトラモジュール1、1′の結合で一体的に連結する
【0035】
先にテトラモジュール1、1′について説明する。テトラモジュール1は正四面体のモジュール、テトラモジュール1′は変形四面体のモジュールである。
【0036】
床12を形成するテトラモジュール1は
図14に示すように正確には正四面体を想定し、正四面体の稜線部分となるフレームを細長接合面2を有するフレーム3で形成し、これら細長接合面2を有するフレーム3の端部をジョイント部材4で連結して正四面体状架構に組み立てた。正四面体の正三角形は開口面となる。なお、フレーム3はすべて同一の長さである。
【0037】
前記細長接合面2を有するフレーム3は、正四面体状架構の軸材となるものであり、計6本がジョイント部材4で相互に組まれる。前記、正四面体状架構の「状」とは、テトラモジュール1では細長接合面2が計6面あり、また4つの頂点部分にジョイント部材4の天井部である正三角形の平面7があり、全部で14面体であるが、概正四面体状であることによる。
【0038】
前記細長接合面2を有するフレーム3は図示では帯状角材である長方形細長平板であるが、正四面体状架構として組んだ時に外側に向かう面が細長接合面2であれば、軸材としてその断面が蒲鉾形もしくは三角形その他の角形、もしくは中空のパイプ状など特に形状を問わない。フレーム3は細長接合面2を有するものであれば種々の断面形状のものを用いることができ、平板、中空管材、H形その他の型鋼、アングル材、チャンネル材のいずれかを選択することが可能である。
このようなフレーム3の選択は後述のテトラモジュール1′も同様である。
【0039】
また、細長接合面2を有するフレーム3の材質も完成する立体トラス構造物の用途によって種々選択でき、鋼、アルミニュウムなどの金属、木、合成樹脂等である。木の場合は間伐材を利用することで建築費用の低減が期待できる。
【0040】
ジョイント部材4の材質も同様であり、用途によって種々選択でき、鋼、アルミニュウムなどの金属、木、合成樹脂等である。
【0041】
細長接合面2を有するフレーム3を組み立てるジョイント部材4はこの細長接合面2を有するフレーム3により正四面体架構に組み立てる事ができるものであれば特に形状を問わないが、細長接合面2を有するフレーム3への接合片部5を有し、これら接合片部5は天板7もしくは側板6で相互に連結するものが好適である。図示の例は側板6で相互に連結した。側板6はこれがなくてもよい。
【0042】
前記細長接合面2を有するフレーム3とジョイント部材4との結合に関しては、図示は省略するがジョイント部材4の接合片部5と長方形細長平板2の結合箇所では、双方を重ね合わせてから固定することや、細長接合面2を有するフレーム3にスリットを形成し、接合片部5をこのスリットへ差し込んで挟み込むものであり、接合片部5とフレーム3の双方の固定はボルト・ナットによる締結や溶接などによる。
【0043】
本発明のテトラモジュール1、1′はレゴ(登録商標)ブロック的な積木の技術思想と、トラス構造という構造技術をドッキングさせることで、トラス構造のブロックを生み出したものであり、フレーム3が内接する面により六面体のブロックを仮想できる。
【0044】
図8に示すように前記正四面体のテトラモジュール1はフレーム3が内接する面により六面体のブロックを仮想した場合に、すべての面が正方形面Rである立方体の六面体ブロック(H)となる。
【0045】
一方、壁10および屋根11を形成するテトラモジュール1′はかかる立方体の六面体ブロック(H)を扁平に変形させて、六面体のブロック(I)が相対向する面のうち1組(X,X)は平行四辺形(ひし形)、残りの組(Y,Y、Z,Z)は矩形(正方形)である。平行四辺形(ひし形)は一例として角度120°と60°である。
【0046】
テトラモジュール1′は向かい合う3組6本のフレームのうち2組の4本のフレーム3(a)は正四面体を形成する場合(
図14)のフレーム3と同一長さであり、残る向かい合う1組の2本のフレームのうち1本のフレーム3(c)はそれより短く、残り1本のフレーム3(b)はそれより長くした正四面体でない変形四面体である。
【0047】
一例としてテトラモジュール1′は正四面体のテトラモジュール1と比較した場合に、フレーム3(a)はテトラモジュール1のフレーム3と同一長さの1.0、フレーム3(b)は1.23、フレーム3(c)は0.71とするが、特にこれに限定するものではない。
【0048】
変形四面体であるテトラモジュール1′は長いフレーム3(b)が平行四辺形(ひし形)Xに角度60°のコーナー間に架け渡されるように内接し、短いフレーム3(c)が対向する平行四辺形(ひし形)Xに角度120°のコーナー間に架け渡されるように内接する。これによりフレーム3(a)は傾斜する面を構成するものとなり、これが連続することで上床面および下床面を傾斜面とする傾斜した屋根11が形成できる。
【0049】
また、テトラモジュール1′を組み合わせて横および上下に積上げれば壁10が形成できる。
【0050】
なお、このテトラモジュール1の相互を接合し、かつ固定するには、細長接合面2を有するフレーム3の相互をフレーム3の部分で固定する行う場合と、細長接合面2を有するフレーム3同士は固定せずにジョイント部材4相互を結合して行う場合と、その両方を採用する場合とがある。
【0051】
また、細長接合面2を有するフレーム3を重ね合わせての相互をこのフレーム3の部分で固定するには、ボルト・ナットによる締結、溶接、凹凸結合、バンド等による加締めなどの手段で結合することが可能である。
【0052】
前記農業用ハウス13の壁10、屋根11および床12は、前記テトラモジュール1、1′により盤状の立体トラス構造として組立てる。
【0053】
図15にテトラモジュール1′で組み立てる立体トラス構造としての壁10もしくは屋根11の例を、
図16に床12の例を示すが、テトラモジュール1′やテトラモジュール1同士の細長接合面2を有するフレーム3の相互を細長接合面2を接合させた結合の結果、立体トラス構造物の内部に相補的(補間的)な四角錐状トラス架構領域Bが構成される。
【0054】
この相補的(補間的)な四角錐状トラス架構領域としての四角錐トラスBの相補的(補間的)とは直接四角錐トラスを部材をもって形成するのではなく、テトラモジュール1を組む結果、テトラモジュール1の相互間で自動生成される意味であり、四面体状架構である単位モジュールのテトラモジュール1を2個稜線部分となるフレーム3の部分で細長接合面2を接合させると、この細長接合面2が重なるフレーム3は斜材となり、一方、他のフレーム3は細長接合面2を外側に向けて水平または垂直にかつ直交方向に並ぶ。これが組み合わさると前記相補的な四角錐状トラス架構領域Bの底辺面には正方形枠が形成される。
【0055】
ちなみに、前記相補的な四角錐状トラス架構領域Bの体積はテトラモジュール1を2つ合わせた体積と同一である。
【0056】
このように連結するテトラモジュール1が前後、左右に組まれた場合、単位モジュールの側面間に相補的な四角錐状トラス架構領域Bを形成することができ、テトラモジュールだけで安定したトラス構造を組み立てることができる。
【0057】
さらに、テトラモジュール1を組み合わせるのに、四面体の稜線部分となるフレーム3は相互に重なり、2重となるので強度が増し、これが斜材の部分であれば立体トラス構造物の斜材が堅牢なものとなる。
【0058】
四角錐状トラス架構領域Bの形成は屋根11の場合も同様である。
【0059】
図6において水平方向の盤状立体トラス構造が床12を構成するもの、垂直方向の盤状立体トラス構造を壁10を構成するものとした場合に、水平方向の盤状立体トラス構造の端面はテトラモジュール1のフレーム3がハの字に並ぶ垂直な平坦面であり、垂直方向の盤状立体トラス構造の面も垂直な平坦面で、これら平坦面同士の結合が水平方向の盤状立体トラス構造と垂直方向の盤状立体トラス構造の接合を直角なものとすることができる。
【0060】
さらに、壁10を形成する垂直方向の盤状立体トラス構造同士も直角に結合できる。(
図5参照)
【0061】
屋根11は傾斜を有するものであるが、テトラモジュール1′は前記のように変形四面体であるテトラモジュール1′はこれを六面体ブロックとして見た場合にはひし形側面X、正方形の傾斜上下面Y、正方形の垂直前後面Zの六面体の各面に対角にフレーム3(a)、フレーム3(b)、フレーム3(c)が内接するものであり、このテトラモジュール1′を積上げてなる壁10の盤状立体トラス構造の上端面も傾斜面であり、傾斜する屋根11の接合が可能である。
【0062】
テトラモジュール1、1′はこれをプレハブ品として準備しておけば、それを組み合わせるだけで壁10、屋根11および必要に応じて床12を組み立てるこができ、大掛かりな足場等を設置しなくても農業用ハウス13を構築することができるが、農業用ハウス13は壁10、屋根11の面に被覆資材14を貼する。
【0063】
図17に示すようにはテトラモジュール1′はフッ素系フィルムなどの被覆資材14を開口を覆うように貼設したものとすれば、テトラモジュール1′は被覆資材14付きのものとしてこれを組んで構築した壁10、屋根11は
図18に示すように被覆資材14で覆われたものとなる。
【符号の説明】
【0064】
1、1′…テトラモジュール 2…細長接合面
3…フレーム 4…ジョイント部材
5…接合片部 6…側板
7…天板
10…壁 11…屋根
12…床 13…農業用ハウス
14…被覆資材