(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039650
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】仮想空間生成装置、仮想空間生成プログラム、および、仮想空間生成方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/00 20240101AFI20240314BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240314BHJP
【FI】
G06Q50/00 300
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023166002
(22)【出願日】2023-09-27
(62)【分割の表示】P 2022143958の分割
【原出願日】2022-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】名塚 一郎
(72)【発明者】
【氏名】稲地 隆志
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC12
(57)【要約】
【課題】仮想空間でのグループでの活動を円滑に進めやすくすることの可能な仮想空間生成装置、仮想空間生成プログラム、および、仮想空間生成方法を提供する。
【解決手段】仮想空間生成装置は、1以上の施設を含む仮想空間である仮想施設空間SVを生成する仮想空間生成部と、施設の利用者となるユーザPgが操作するユーザ端末からの要求を受けて、ユーザPgをアバターとして仮想施設空間SVに入場させる入退場管理部と、ユーザ端末からの要求を受けて、複数のユーザPgを含むグループGpを設定するグループ管理部とを備える。仮想空間生成部は、グループGpに含まれるユーザPgを入場させる仮想施設空間SVを、グループGpごとに生成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の施設を含む仮想空間である仮想施設空間を生成する仮想空間生成部と、
前記施設の利用者となるユーザが操作するユーザ端末からの要求を受けて、前記ユーザをアバターとして前記仮想施設空間に入場させる入退場管理部と、
前記ユーザ端末からの要求を受けて、複数の前記ユーザを含むグループを設定するグループ管理部と、を備え、
前記仮想空間生成部は、前記グループに含まれる前記ユーザを入場させる前記仮想施設空間を、前記グループごとに生成し、
前記入退場管理部は、前記グループに含まれる1人のユーザの前記ユーザ端末から、前記仮想施設空間への入場の要求を受けたとき、当該グループに含まれる他のユーザの前記ユーザ端末から前記仮想施設空間への入場の要求を受けていない状態で、当該グループに含まれるすべてのユーザをアバターとして前記仮想施設空間に入場させる
仮想空間生成装置。
【請求項2】
前記グループごとの仮想施設空間が第1仮想空間であり、
前記仮想空間生成部は、前記第1仮想空間に加えて、入場可能な前記ユーザが規定されていない前記仮想施設空間である第2仮想空間を生成する
請求項1に記載の仮想空間生成装置。
【請求項3】
前記仮想空間生成部は、前記グループに含まれる前記ユーザのアバターが前記仮想施設空間への入場前に待機する仮想空間である待機空間を生成する
請求項1に記載の仮想空間生成装置。
【請求項4】
前記仮想施設空間は複数の前記施設を含み、
前記グループ管理部は、前記ユーザのアバターが前記待機空間に位置する状態で、当該ユーザの前記ユーザ端末からの前記グループの編成の要求を受け付け、
前記入退場管理部は、前記グループの各ユーザのアバターが前記待機空間に位置する状態で、前記グループに含まれるユーザの前記ユーザ端末から当該グループが入る前記施設の指定とともに前記入場の要求を受けたとき、前記グループに含まれるユーザをアバターとして前記仮想施設空間に入場させる
請求項3に記載の仮想空間生成装置。
【請求項5】
前記グループ管理部は、前記グループに含まれる前記ユーザの1人を、他のユーザとは異なる権限を有する管理者として設定し、
前記管理者のユーザの前記ユーザ端末から、当該ユーザの前記グループからの脱退の指示を受けたとき、前記グループに含まれる他のユーザを新たに前記管理者に設定する
請求項1に記載の仮想空間生成装置。
【請求項6】
前記グループに含まれる前記ユーザのうち、前記管理者のみが有する権限には、前記グループへの前記ユーザの招待、前記グループからの前記ユーザの除名、および、前記仮想施設空間にて前記グループが入る前記施設の選択の少なくとも1つが含まれる
請求項5に記載の仮想空間生成装置。
【請求項7】
前記ユーザは第1ユーザであり、前記ユーザ端末は第1ユーザ端末であり、
前記施設で利用者に応対するユーザが第2ユーザであり、
前記入退場管理部は、
前記第2ユーザが操作する第2ユーザ端末から、前記グループごとの仮想施設空間であるグループ空間への入場の要求を受けたとき、対象の前記グループに含まれる前記第1ユーザの前記第1ユーザ端末に、前記第2ユーザの入場の承認を要求し、
前記第1ユーザ端末から前記第2ユーザの入場の承認を受けたとき、前記第2ユーザをアバターとして前記グループ空間に入場させる
請求項1に記載の仮想空間生成装置。
【請求項8】
前記ユーザは第1ユーザであり、前記ユーザ端末は第1ユーザ端末であり、
前記施設で利用者に応対するユーザが第2ユーザであり、
前記仮想空間生成装置は、
前記第2ユーザが操作する第2ユーザ端末に、前記第2ユーザが入場する空間として選択可能な前記仮想施設空間を前記グループごとの仮想施設空間を含めて表示させるためのデータを送信する通信部をさらに備える
請求項1に記載の仮想空間生成装置。
【請求項9】
1または複数のコンピュータに、
1以上の施設を含む仮想空間である仮想施設空間を生成することと、
前記施設の利用者となるユーザが操作するユーザ端末からの要求を受けて、前記ユーザをアバターとして前記仮想施設空間に入場させることと、
前記ユーザ端末からの要求を受けて、複数の前記ユーザを含むグループを設定することと、を実行させるプログラムであって、
前記グループに含まれる前記ユーザを入場させる前記仮想施設空間を、前記グループごとに生成させ、前記グループに含まれる1人のユーザの前記ユーザ端末から、前記仮想施設空間への入場の要求を受けたとき、当該グループに含まれる他のユーザの前記ユーザ端末から前記仮想施設空間への入場の要求を受けていない状態で、当該グループに含まれるすべてのユーザをアバターとして前記仮想施設空間に入場させる
仮想空間生成プログラム。
【請求項10】
1または複数のコンピュータが、
1以上の施設を含む仮想空間である仮想施設空間を生成することと、
前記施設の利用者となるユーザが操作するユーザ端末からの要求を受けて、前記ユーザをアバターとして前記仮想施設空間に入場させることと、
前記ユーザ端末からの要求を受けて、複数の前記ユーザを含むグループを設定することと、を実行する方法であって、
前記グループに含まれる前記ユーザを入場させる前記仮想施設空間を、前記グループごとに生成し、前記グループに含まれる1人のユーザの前記ユーザ端末から、前記仮想施設空間への入場の要求を受けたとき、当該グループに含まれる他のユーザの前記ユーザ端末から前記仮想施設空間への入場の要求を受けていない状態で、当該グループに含まれるすべてのユーザをアバターとして前記仮想施設空間に入場させる
仮想空間生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想空間生成装置、仮想空間生成プログラム、および、仮想空間生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、仮想空間を利用した様々なサービスが提案されている。こうしたサービスを提供するためのシステムの一種では、現実空間で実施されているサービスに近しいサービスを仮想空間で実現することが試みられている。例えば、特許文献1のシステムでは、仮想空間内の店舗において、商品を購入しようとするユーザのアバターを仮想店員が接客する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、現実空間では、友人や家族等からなる複数人のグループで、サービスが提供される施設を訪れることが多くある。そして、仮想空間においても、グループで活動したいというユーザの要請が高まっている。それゆえ、仮想空間を提供するシステムとして、グループでの活動に適した機能を有するシステムの開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための仮想空間生成装置、仮想空間生成プログラム、および、仮想空間生成方法の各態様を記載する。
[態様1]1以上の施設を含む仮想空間である仮想施設空間を生成する仮想空間生成部と、前記施設の利用者となるユーザが操作するユーザ端末からの要求を受けて、前記ユーザをアバターとして前記仮想施設空間に入場させる入退場管理部と、前記ユーザ端末からの要求を受けて、複数の前記ユーザを含むグループを設定するグループ管理部と、を備え、前記仮想空間生成部は、前記グループに含まれる前記ユーザを入場させる前記仮想施設空間を、前記グループごとに生成する、仮想空間生成装置。
【0006】
上記構成によれば、グループごとに入場先の仮想施設空間が生成されることから、1つの仮想空間に不特定多数のユーザと共にグループが入場する場合と比較して、グループのメンバーのアバターの位置が把握しやすく、アバターを介したコミュニケーションも取りやすい。そのため、仮想空間でのグループでの活動を円滑に進めやすくなる。
【0007】
[態様2]前記グループごとの仮想施設空間が第1仮想空間であり、前記仮想空間生成部は、前記第1仮想空間に加えて、入場可能な前記ユーザが規定されていない前記仮想施設空間である第2仮想空間を生成する、[態様1]に記載の仮想空間生成装置。
【0008】
上記構成によれば、グループに所属していないユーザは第2仮想空間に入場させればよいため、すべてのユーザの入場先が規定されるように仮想施設空間が生成される場合と比較して、仮想空間生成装置の処理の負荷が軽減される。
【0009】
[態様3]前記仮想空間生成部は、前記グループに含まれる前記ユーザのアバターが前記仮想施設空間への入場前に待機する仮想空間である待機空間を生成する、[態様1]または[態様2]に記載の仮想空間生成装置。
【0010】
上記構成によれば、仮想施設空間への入場前に、グループのメンバーのアバターが待機空間に集まるため、グループのメンバーの確認やグループの編成状況の把握が容易である。
【0011】
[態様4]前記仮想施設空間は複数の前記施設を含み、前記グループ管理部は、前記ユーザのアバターが前記待機空間に位置する状態で、前記ユーザ端末からの前記グループの編成の要求を受け付け、前記入退場管理部は、前記ユーザのアバターが前記待機空間に位置する状態で、前記グループに含まれるユーザの前記ユーザ端末から当該グループが入る前記施設の指定を受けたとき、前記グループに含まれるユーザをアバターとして前記仮想施設空間に入場させる、[態様3]に記載の仮想空間生成装置。
【0012】
上記構成によれば、待機空間でグループが編成された後、施設の指定に基づきユーザが仮想施設空間に入場する。したがって、グループの編成から施設に入るまでが円滑に進められる。
【0013】
[態様5]前記入退場管理部は、前記グループに含まれる1人のユーザの前記ユーザ端末から、前記仮想施設空間への入場の要求を受けたとき、当該グループに含まれるすべてのユーザをアバターとして前記仮想施設空間に入場させる、[態様1]~[態様4]のいずれか1つに記載の仮想空間生成装置。
【0014】
上記構成によれば、1人のユーザの操作に基づきグループのメンバーがまとめて仮想施設空間へ入場するため、各メンバーがそれぞれ入場のための操作を端末にて行う場合と比較して、操作の煩雑さが低減され、また、メンバーが別々に入場する場合と比較して、グループでの活動も進めやすくなる。
【0015】
[態様6]前記グループ管理部は、前記グループに含まれる前記ユーザの1人を、他のユーザとは異なる権限を有する管理者として設定し、前記管理者のユーザの前記ユーザ端末から、当該ユーザの前記グループからの脱退の指示を受けたとき、前記グループに含まれる他のユーザを新たに前記管理者に設定する、[態様1]~[態様5]のいずれか1つに記載の仮想空間生成装置。
上記構成によれば、管理者であるユーザがグループから脱退した場合に、別途グループを作成せずともグループでの活動が続けられるため、ユーザの利便性が高められる。
【0016】
[態様7]前記グループに含まれる前記ユーザのうち、前記管理者のみが有する権限には、前記グループへの前記ユーザの招待、前記グループからの前記ユーザの除名、および、前記仮想施設空間にて前記グループが入る前記施設の選択の少なくとも1つが含まれる、[態様6]に記載の仮想空間生成装置。
上記構成によれば、管理者のみに権限を与えることで、グループの編成や仮想施設空間へのグループの入場が円滑に進めやすくなる。
【0017】
[態様8]前記ユーザは第1ユーザであり、前記ユーザ端末は第1ユーザ端末であり、前記施設で利用者に応対するユーザが第2ユーザであり、前記入退場管理部は、前記第2ユーザが操作する第2ユーザ端末から、前記グループごとの仮想施設空間であるグループ空間への入場の要求を受けたとき、対象の前記グループに含まれる前記第1ユーザの前記第1ユーザ端末に、前記第2ユーザの入場の承認を要求し、前記第1ユーザ端末から前記第2ユーザの入場の承認を受けたとき、前記第2ユーザをアバターとして前記グループ空間に入場させる、[態様1]~[態様7]のいずれか1つに記載の仮想空間生成装置。
上記構成によれば、グループによる仮想施設空間の独占という優位性を保ちつつ、第1ユーザは、必要に応じて第2ユーザからの接客等の対応を受けることができる。
【0018】
[態様9]前記ユーザは第1ユーザであり、前記ユーザ端末は第1ユーザ端末であり、前記施設で利用者に応対するユーザが第2ユーザであり、前記仮想空間生成装置は、前記第2ユーザが操作する第2ユーザ端末に、前記第2ユーザが入場する空間として選択可能な前記仮想施設空間を前記グループごとの仮想施設空間を含めて表示させるためのデータを送信する通信部をさらに備える、[態様1]~[態様8]のいずれか1つに記載の仮想空間生成装置。
上記構成によれば、第2ユーザが、入場する仮想施設空間を選択できるため、第1ユーザに対する柔軟な応対が可能である。
【0019】
[態様10]1または複数のコンピュータに、1以上の施設を含む仮想空間である仮想施設空間を生成することと、前記施設の利用者となるユーザが操作するユーザ端末からの要求を受けて、前記ユーザをアバターとして前記仮想施設空間に入場させることと、前記ユーザ端末からの要求を受けて、複数の前記ユーザを含むグループを設定することと、を実行させるプログラムであって、前記グループに含まれる前記ユーザを入場させる前記仮想施設空間を、前記グループごとに生成させる、仮想空間生成プログラム。
【0020】
上記構成によれば、グループごとに入場先の仮想施設空間が生成されることから、1つの仮想空間に不特定多数のユーザと共にグループが入場する場合と比較して、グループのメンバーのアバターの位置が把握しやすく、アバターを介したコミュニケーションも取りやすい。そのため、仮想空間でのグループでの活動を円滑に進めやすくなる。
【0021】
[態様11]1または複数のコンピュータが、1以上の施設を含む仮想空間である仮想施設空間を生成することと、前記施設の利用者となるユーザが操作するユーザ端末からの要求を受けて、前記ユーザをアバターとして前記仮想施設空間に入場させることと、前記ユーザ端末からの要求を受けて、複数の前記ユーザを含むグループを設定することと、を実行する方法であって、前記グループに含まれる前記ユーザを入場させる前記仮想施設空間を、前記グループごとに生成する、仮想空間生成方法。
【0022】
上記構成によれば、グループごとに入場先の仮想施設空間が生成されることから、1つの仮想空間に不特定多数のユーザと共にグループが入場する場合と比較して、グループのメンバーのアバターの位置が把握しやすく、アバターを介したコミュニケーションも取りやすい。そのため、仮想空間でのグループでの活動を円滑に進めやすくなる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、仮想空間でのグループでの活動を円滑に進めやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】一実施形態の仮想空間提供システムの概略構成を示す図。
【
図2】一実施形態の仮想空間提供システムにおける仮想空間とユーザとの関係を模式的に示す図。
【
図3】一実施形態の仮想空間生成サーバの機能的構成を示す図。
【
図4】一実施形態の来場者端末の機能的構成を示す図。
【
図5】一実施形態のスタッフ端末の機能的構成を示す図。
【
図6】一実施形態の来場者端末に表示されるロビー画面の一例を示す図。
【
図7】一実施形態におけるグループの編成およびプライベート空間の作成について、仮想空間提供システムの処理の手順を示す図。
【
図8】一実施形態の来場者端末に表示されるロビー画面の一例を示す図。
【
図9】一実施形態の仮想空間提供システムにおいて、管理者がグループから脱退するときの仮想空間生成サーバの処理の手順を示す図。
【
図10】一実施形態における来場者ユーザのショップ空間への入場について、仮想空間提供システムの処理の手順を示す図。
【
図11】一実施形態の来場者端末に表示されるショップ画面の一例を示す図。
【
図12】一実施形態のスタッフ端末に表示される入場管理画面の一例を示す図。
【
図13】一実施形態におけるスタッフユーザのプライベート空間への入場について、仮想空間提供システムの処理の手順を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面を参照して、仮想空間生成装置、仮想空間生成プログラム、および、仮想空間生成方法の一実施形態を説明する。
[仮想空間提供システムの全体構成]
図1を参照して、仮想空間提供システム100の全体構成を説明する。本実施形態では、一例として、仮想空間提供システム100が、種々の商品を取り扱う店舗での接客サービスに用いられる場合を説明する。
【0026】
図1に示すように、仮想空間提供システム100は、仮想空間生成装置の一例である仮想空間生成サーバ10と、複数の来場者端末20と、1以上のスタッフ端末30とを備える。仮想空間生成サーバ10と、来場者端末20およびスタッフ端末30の各々とは、インターネット等のネットワークNWを介して接続されている。
【0027】
仮想空間生成サーバ10は、複数の店舗を含む仮想空間を生成する。来場者端末20は、仮想空間の店舗を訪れるユーザである来場者ユーザPgに操作される端末である。来場者ユーザPgは、すなわち上記接客サービスの利用者である。来場者ユーザPgは、来場者端末20を操作することにより、アバターを用いて仮想空間の店舗を利用する。来場者ユーザPgは第1ユーザの一例であり、来場者端末20は第1ユーザ端末の一例である。
【0028】
スタッフ端末30は、仮想空間の店舗で店員を務めるユーザであるスタッフユーザPsに操作される端末である。スタッフユーザPsは、すなわち、仮想空間の店舗での接客担当者である。スタッフユーザPsは、スタッフ端末30を操作することにより、アバターを用いて仮想空間の店舗で接客を行う。スタッフユーザPsは第2ユーザの一例であり、スタッフ端末30は第2ユーザ端末の一例である。
なお、アバターは、仮想空間にてユーザの分身として動作するキャラクターである。
【0029】
[仮想空間の構成]
図2を参照して、仮想空間提供システム100が提供する仮想空間の構成を説明する。仮想空間生成サーバ10が生成する仮想空間には、仮想施設空間の一例であるショップ空間SVと、待機空間の一例であるロビー空間LVとが含まれる。ショップ空間SVは、店舗が配置されている空間である。ロビー空間LVは、ショップ空間SVへ出入りする来場者ユーザPgのアバターが待機する空間であり、また、複数の来場者ユーザPgからなるグループであるユーザグループGpを編成するための空間である。
【0030】
ユーザグループGpは、管理者となる来場者ユーザPgが、グループのメンバーとなる他の来場者ユーザPgを招待することに基づき形成される。管理者と、ユーザグループGpに所属する管理者以外のメンバーである一般メンバーとは、ユーザグループGpの管理およびショップ空間SVへの入退場について、異なる権限を有する。
【0031】
仮想空間生成サーバ10が生成するショップ空間SVには、入場可能な来場者ユーザPgが規定されているプライベート空間SV1と、入場可能な来場者ユーザPgが規定されていないパブリック空間SV2との2種類がある。プライベート空間SV1は第1仮想空間の一例であり、パブリック空間SV2は第2仮想空間の一例である。
【0032】
プライベート空間SV1は、ユーザグループGpごとに生成され、1つのプライベート空間SV1に1つのユーザグループGpの来場者ユーザPgのみが入場できる。パブリック空間SV2には、来場者ユーザPgであれば誰でも入場できる。スタッフユーザPsは、プライベート空間SV1における自分の担当店舗、および、パブリック空間SV2における自分の担当店舗に入ることができる。
【0033】
なお、プライベート空間SV1およびパブリック空間SV2のいずれについても、仮想空間の広さや仮想空間生成サーバ10の処理負荷に応じて、入場できるユーザの人数は制限されてもよい。また、プライベート空間SV1とパブリック空間SV2とで、配置されている店舗の種類や、各店舗における内装や展示されている商品等の店舗構成は、基本的に同一である。ただし、プライベート空間SV1およびパブリック空間SV2のいずれかのみに配置される店舗があってもよいし、プライベート空間SV1とパブリック空間SV2とで店舗構成の異なる店舗があってもよい。
【0034】
[仮想空間提供システムの装置構成]
図3~
図5を参照して、仮想空間提供システム100を構成する各装置の構成を説明する。
【0035】
図3を参照して、仮想空間生成サーバ10の機能的な構成を説明する。仮想空間生成サーバ10は、通信部11、制御部12、および、記憶部13を備えている。
通信部11は、ネットワークへの接続およびデータの送受信等、仮想空間生成サーバ10と来場者端末20およびスタッフ端末30の各々との通信処理を行う。
【0036】
制御部12は、記憶部13に格納された仮想空間生成プログラムを実行することにより、仮想空間生成部12a、グループ管理部12b、および、入退場管理部12cとして機能する。
【0037】
仮想空間生成部12aは、ショップ空間SVおよびロビー空間LVを生成する。また、仮想空間生成部12aは、ショップ空間SVおよびロビー空間LVにおける来場者ユーザPgやスタッフユーザPsのアバターの移動を管理する。
【0038】
グループ管理部12bは、ユーザグループGpを設定してその編成を管理する。具体的には、グループ管理部12bは、ユーザグループGpの作成、ユーザグループGpへのメンバーの追加および削除、ユーザグループGpの解体を行う。また、グループ管理部12bは、ユーザグループGpにおける管理者の権限の移動を管理する。
【0039】
入退場管理部12cは、ショップ空間SVへの来場者ユーザPgおよびスタッフユーザPsの入退場を管理する。来場者ユーザPgおよびスタッフユーザPsは、アバターとしてショップ空間SVへ入場する。
【0040】
具体的には、入退場管理部12cは、ユーザグループGpに所属している来場者ユーザPgを、当該ユーザグループGpに対して作成されているプライベート空間SV1に入場させ、このプライベート空間SV1には、当該ユーザグループGp以外の来場者ユーザPgを入場させない。また、入退場管理部12cは、ユーザグループGpに所属していない来場者ユーザPgを、パブリック空間SV2に入場させる。
【0041】
また、入退場管理部12cは、スタッフユーザPsからプライベート空間SV1への入場の要求があったとき、当該プライベート空間SV1に対応するユーザグループGpの管理者の来場者ユーザPgに、スタッフユーザPsの入場の承認を要求する。承認が得られた場合に、入退場管理部12cは、プライベート空間SV1にスタッフユーザPsを入場させる。
【0042】
上記仮想空間生成部12a、グループ管理部12b、および、入退場管理部12cの協働によって、仮想空間提供システム100の利用のための各種の画面を来場者端末20およびスタッフ端末30に表示させるためのデータが生成され、このデータが通信部11によって各端末20,30に送信される。来場者端末20に表示される画面には、ロビー画面およびショップ画面が含まれ、スタッフ端末30に表示される画面には、入場管理画面およびショップ画面が含まれる。
【0043】
なお、これらの画面を表示するためのデータの一部は各端末20,30に記憶されていてもよく、仮想空間生成サーバ10から送信されるデータは、例えばアバターの位置情報等、上記画面の表示内容の少なくとも一部を規定する情報を含んでいればよい。
【0044】
記憶部13は、制御部12による処理の実行に必要な各種のプログラムやデータを記憶している。記憶部13は、こうしたプログラムの一例として、仮想空間生成プログラムを記憶している。また、記憶部13は、こうしたデータの一例として、仮想空間データ13a、ユーザ管理データ13b、および、入退場管理データ13cを記憶している。
【0045】
仮想空間データ13aは、ショップ空間SVおよびロビー空間LVの生成に必要なデータ、例えば、空間に対して設定される三次元直交座標系の情報、空間に配置されるオブジェクトの位置情報や描画のための情報を含む。また、仮想空間データ13aは、来場者ユーザPgおよびスタッフユーザPsのアバターの描画のための情報を含む。
【0046】
ユーザ管理データ13bは、来場者ユーザPgおよびスタッフユーザPsに関する情報を含む。例えば、ユーザ管理データ13bは、来場者ユーザPgについて、ユーザ名、ユーザグループGpへの所属の記録、管理者あるいは一般メンバーであるユーザ種別等を含む。また例えば、ユーザ管理データ13bは、スタッフユーザPsについて、ユーザ名、所属店舗等を含む。これらのユーザに関する情報は、ユーザの識別情報と対応付けて管理されればよい。
【0047】
入退場管理データ13cは、ショップ空間SVへの来場者ユーザPgおよびスタッフユーザPs入退場の記録を含む。ショップ空間SVへの入退場の記録には、プライベート空間SV1へのユーザグループGpの入退場の記録も含まれる。
【0048】
上記機能を有する仮想空間生成サーバ10の物理的な構成、すなわちハードウェア構成を説明する。仮想空間生成サーバ10は、CPU、MPU、GPU等の演算装置である電子回路、ROM、RAM、レジスタードメモリ、アンバッファードメモリ等のメモリ、および、SSD、HDD等のストレージを備える。演算装置は、ストレージからオペレーティングシステムや各種プログラムをメモリにロードし、メモリから取り出した命令を実行する。仮想空間生成サーバ10は、ASIC、FPGA等の集積回路を備えてもよい。
【0049】
また、仮想空間生成サーバ10は、ネットワークを介して接続先の装置との間でデータを送受信する通信インターフェースを備えている。通信インターフェースは、ハードウェア、ソフトウェア、または、これらの組み合わせとして実装されている。
【0050】
仮想空間生成サーバ10が実行する各処理は、仮想空間生成サーバ10が備えるソフトウェアによって実行されてもよいし、仮想空間生成サーバ10が備える集積回路とソフトウェアとの組み合わせによって実現されてもよい。
【0051】
図4を参照して、来場者端末20の機能的な構成を説明する。来場者端末20は、通信部21、制御部22、記憶部23、入力部24、および、出力部25を備えている。
通信部21は、ネットワークへの接続やデータの送受信等、来場者端末20と仮想空間生成サーバ10との通信処理を行う。入力部24は、来場者端末20に対する操作や音声の入力を受け付けて、入力に応じたデータや信号を制御部22に送る。出力部25は、制御部22からのデータや信号を受けて、画像や音声を出力する。
【0052】
記憶部23は、制御部22による処理の実行に必要な各種のプログラムやデータを記憶している。記憶部23は、こうしたプログラムの一例として、来場者管理プログラムを記憶している。
【0053】
制御部22は、記憶部23に格納された来場者管理プログラムを実行することにより、来場者画面管理部22aとして機能する。来場者画面管理部22aは、ロビー画面やショップ画面を出力部25が含む表示部に表示させる。また、来場者画面管理部22aは、表示されている画面に対するユーザの操作に応じた情報を、通信部21を介して仮想空間生成サーバ10に送信する。
【0054】
仮想空間提供システム100における来場者端末20の機能は、仮想空間提供システム100の利用のためのアプリケーションソフトウェアによって具体化される。上記来場者管理プログラムは、当該アプリケーションソフトウェアに含まれる。
【0055】
図5を参照して、スタッフ端末30の機能的な構成を説明する。スタッフ端末30は、通信部31、制御部32、記憶部33、入力部34、および、出力部35を備えている。
通信部31は、ネットワークへの接続およびデータの送受信等、スタッフ端末30と仮想空間生成サーバ10との通信処理を行う。入力部34は、スタッフ端末30に対する操作や音声の入力を受け付けて、入力に応じたデータや信号を制御部32に送る。出力部35は、制御部32からのデータや信号を受けて、画像や音声を出力する。
【0056】
記憶部33は、制御部32による処理の実行に必要な各種のプログラムやデータを記憶している。記憶部33は、こうしたプログラムの一例として、スタッフ管理プログラムを記憶している。
【0057】
制御部32は、記憶部33に格納されたスタッフ管理プログラムを実行することにより、スタッフ画面管理部32aとして機能する。スタッフ画面管理部32aは、入場管理画面やショップ画面を出力部35が含む表示部に表示させる。また、スタッフ画面管理部32aは、表示されている画面に対するユーザの操作に応じた情報を、通信部31を介して仮想空間生成サーバ10に送信する。
【0058】
仮想空間提供システム100におけるスタッフ端末30の機能は、仮想空間提供システム100の利用のためのアプリケーションソフトウェアによって具体化される。上記スタッフ管理プログラムは、当該アプリケーションソフトウェアに含まれる。
【0059】
来場者端末20およびスタッフ端末30の物理的な構成、すなわちハードウェア構成を説明する。来場者端末20およびスタッフ端末30の各々は、スマートフォン、タブレット装置、パーソナルコンピュータ、ウェアラブルコンピュータ、または、これらの装置以外の画像を表示可能な情報処理装置である。
【0060】
来場者端末20およびスタッフ端末30の各々は、CPU等の回路である演算装置が、ストレージからオペレーティングシステムや各種プログラムをメモリにロードし、メモリから取り出した命令を実行するように構成されており、通信インターフェースによって仮想空間生成サーバ10と通信を行う。また、来場者端末20およびスタッフ端末30の各々は、タッチパネル、操作ボタン、キーボード、マウス、コントローラ等の入力装置と、ディスプレイおよびスピーカを含む出力装置とを備えている。
【0061】
[グループ作成]
ユーザグループGpの作成と、それに伴うプライベート空間SV1の作成について、仮想空間提供システム100の動作を説明する。
【0062】
図6は、来場者端末20に表示されるロビー画面ILの一例を示す。ロビー画面ILは、来場者ユーザPgのアバターAgが配置されたロビー空間LVを表示する画面である。なお、ロビー空間LVの構造や内装は特に限定されない。
【0063】
例えば、仮想空間提供システム100の利用のためのアプリケーションソフトウェアを来場者端末20にて起動してログイン処理を経ることで、仮想空間生成サーバ10では、来場者ユーザPgのアバターAgが配置されたロビー空間LVが生成される。こうした処理は、仮想空間生成部12aとしての処理である。そして、ロビー画面ILの表示内容を示すデータが仮想空間生成サーバ10から来場者端末20に送信される。これにより、来場者端末20にロビー画面ILが表示される。
【0064】
ロビー画面ILは、ユーザグループGpの作成を指示するための領域であるグループ作成領域R1を含む。グループ作成領域R1は、例えば、一人での活動とグループでの活動とのうち、グループでの活動を選択するための領域として示されていてもよい。ユーザグループGpの作成は、来場者ユーザPgであれば誰でも可能であり、ユーザグループGpを作成した来場者ユーザPgが管理者となる。
【0065】
グループ作成領域R1が選択された状態において、ロビー画面ILは、ユーザグループGpへのメンバーの招待を指示するための領域である招待領域R2を含む。招待領域R2が選択されることにより、ユーザグループGpへ招待するユーザが選択可能に示される。例えば、来場者端末20の操作者である来場者ユーザPgが作成したグループに過去に参加したユーザや、当該来場者ユーザPgによってフレンド等として登録されたユーザが示される。なお、招待領域R2は、管理者の来場者ユーザPgのロビー画面ILでのみ表示あるいは選択可能とされる。
【0066】
図7を参照して、ユーザグループGpの編成およびプライベート空間SV1の作成について、仮想空間提供システム100の処理の流れを説明する。
図7に示すように、ロビー画面ILにてグループ作成領域R1が選択されると、この操作を示す情報、言い換えれば、ユーザグループGpの作成を指示する情報が、来場者端末20から仮想空間生成サーバ10に送信される(ステップS10)。
【0067】
ユーザグループGpの作成の指示を受けると、仮想空間生成サーバ10は、ユーザグループGpの作成を指示した来場者ユーザPgを管理者として、このユーザグループGpをユーザ管理データ13bに記録する(ステップS11)。これにより、ユーザグループGpが作成されて来場者ユーザPgが管理者に設定される。
【0068】
ユーザグループGpが作成されると、仮想空間生成サーバ10は、当該ユーザグループGpを入場させるショップ空間SVであるプライベート空間SV1を生成する(ステップS12)。すなわち、仮想空間生成サーバ10は、稼働中のショップ空間SV、言い換えればユーザの出入りが管理されるショップ空間SVを新たに1つ加え、このショップ空間SVを入場先とする来場者ユーザPgを、作成されたユーザグループGpのみに設定する。
【0069】
続いて、管理者の来場者ユーザPgの来場者端末20である来場者端末20Aのロビー画面ILにて、招待領域R2の選択に基づきユーザグループGpに招待するユーザが選択されると、この操作を示す情報、言い換えれば、招待対象を示す情報が、来場者端末20Aから仮想空間生成サーバ10に送信される(ステップS13)。
【0070】
招待対象を示す情報を受けると、仮想空間生成サーバ10は、招待対象に対応する来場者ユーザPgの来場者端末20である来場者端末20Bに、招待通知を送信する(ステップS14)。
【0071】
招待通知を受信した来場者端末20Bにて、来場者ユーザPgの操作に基づき、ユーザグループGpへの参加が承認されると、この操作を示す情報、言い換えれば、参加の承認を示す情報が、来場者端末20Bから仮想空間生成サーバ10に送信される(ステップS15)。
【0072】
参加の承認を示す情報を受けると、仮想空間生成サーバ10は、参加を承認した来場者ユーザPgを、対象のユーザグループGpの一般メンバーとしてユーザ管理データ13bに記録する(ステップS16)。これにより、ユーザグループGpに一般メンバーの来場者ユーザPgが追加される。
【0073】
ユーザグループGpに一般メンバーが追加されると、仮想空間生成サーバ10は、管理者の来場者端末20Aと、一般メンバーの来場者端末20Bとの各々に、ロビー画面ILの表示内容を示すデータを送信する(ステップS17)。
【0074】
これにより、管理者の来場者端末20Aにてロビー画面ILが更新され(ステップS18)、一般メンバーの来場者端末20Bにてロビー画面ILが表示される(ステップS19)。
【0075】
ステップS13~ステップS19の処理が繰り返されることにより、ユーザグループGpに一般メンバーが順に追加される。上記において、ステップS11,ステップS14,ステップS16の処理は、グループ管理部12bとしての処理であり、ステップS12の処理は、仮想空間生成部12aとしての処理である。
【0076】
なお、上記の一般メンバーの追加の処理の流れは、一般メンバーの招待および参加の承認が仮想空間提供システム100を用いて行われる場合の処理の流れである。一般メンバーの招待は、例えば、管理者の来場者ユーザPgが、招待用のURLをメール等で招待対象のユーザに知らせることによって行われてもよい。招待用のURLは、ユーザグループGpの作成時に仮想空間生成サーバ10によって発行される。来場者端末20が招待用のURLにアクセスすることを通じてユーザグループGpへの参加が承認され、上記ステップS16以降と同様の処理が行われる。この過程において、来場者端末20に対し、仮想空間提供システム100の利用のためのアカウントの取得やログインが誘導されてもよい。これにより、アカウントを有していないユーザに対しても、ユーザグループGpへの参加を容易に呼びかけることができる。
【0077】
図8は、一般メンバーの追加後に表示されるロビー画面ILの一例を示す。ロビー画面ILでは、ユーザグループGpを構成する来場者ユーザPgのアバターAgが配置されたロビー空間LVが表示される。例えば、来場者端末20の操作者である来場者ユーザPg自身のアバターAgが中央に、かつ、ユーザ名と共に表示され、このアバターAgの周囲に、他のメンバーのアバターAgが表示される。
図8は、ユーザグループGpのメンバーが3人である場合の例を示している。
【0078】
また、ロビー画面ILは、例えばユーザ名の頭文字のように、アバターAgとは異なる形態で、ユーザグループGpのメンバーを示す領域を含んでいてもよい。また、ロビー画面ILあるいはロビー画面ILから呼び出される画面において、ユーザグループGpのメンバーの一覧がユーザ名等によって確認可能であってもよい。
また、ユーザグループGpのメンバーによって、文章や音声によるチャットが可能であって、ロビー画面ILは、こうしたチャットを実施するための領域を含んでいてもよい。
【0079】
[グループ管理権限]
グループ管理についての管理者と一般メンバーとの権限の違いについて説明する。グループの編成操作である、ユーザグループGpへのメンバーの招待、ユーザグループGpからのメンバーの除名、ユーザグループGpからの脱退のうち、管理者はすべての権限を有し、一般メンバーはユーザグループGpからの脱退のみの権限を有する。なお、ユーザグループGpからのメンバーの除名は、自分以外のメンバーをユーザグループGpから削除することを意味し、ユーザグループGpからの脱退は、自分がユーザグループGpから抜けることを意味する。
【0080】
例えば、管理者の来場者ユーザPgのロビー画面ILでは、上記グループの編成操作の各々を指示するための領域が表示される。一方で、一般メンバーの来場者ユーザPgのロビー画面ILでは、ユーザグループGpからの脱退を指示するための領域が表示される一方で、メンバーの招待およびメンバーの除名を指示するための領域は表示されない。
【0081】
このように、仮想空間生成サーバ10は、管理者と一般メンバーとでロビー画面ILの表示内容を異ならせることにより、管理者と一般メンバーとの権限を異ならせる。来場者ユーザPgが管理者であるか一般メンバーであるかは、ユーザ管理データ13bにて管理される。
【0082】
仮想空間生成サーバ10は、来場者端末20から、グループの編成操作の指示を受けたとき、指示に従って、ユーザグループGpのメンバーを変更するようにユーザ管理データ13bを更新し、また、変更内容に応じたロビー画面ILの表示内容を示すデータを各来場者端末20に送信する。
【0083】
なお、管理者と一般メンバーとでロビー画面ILの表示内容は共通であって、仮想空間生成サーバ10が、ユーザ管理データ13bを参照して来場者ユーザPgが管理者であるか一般メンバーであるかを識別することに基づいて、ロビー画面ILを通じたグループの編成操作の指示を受け付けるか否かを判断してもよい。
【0084】
図9は、ユーザグループGpからの脱退の指示を、管理者の来場者ユーザPgの来場者端末20から受けた場合の仮想空間生成サーバ10の処理を示す。
まず、仮想空間生成サーバ10は、脱退を指示した来場者ユーザPgのユーザグループGpに、他のメンバーが所属しているかを判断する(ステップS20)。他のメンバーが所属している場合(ステップS20で肯定判定)、仮想空間生成サーバ10は、他のメンバーを新たに管理者に設定し、管理者であった来場者ユーザPgをユーザグループGpから削除するように、ユーザ管理データ13bを更新する(ステップS21)。言い換えれば、仮想空間生成サーバ10は、管理者の権限を他のメンバーに移動させる。
【0085】
新たに管理者に設定するメンバーは、例えば、ユーザグループGpに参加した順番に基づき、当該順番が最も早いメンバーとされてもよいし、前の管理者から指定可能であってもよい。
【0086】
管理者およびメンバーの変更に伴って、仮想空間生成サーバ10は、ロビー画面ILの新たな表示内容を示すデータを各来場者端末20に送信する(ステップS22)。これにより、各来場者端末20でロビー画面ILが更新される。
【0087】
ユーザグループGpに他のメンバーが所属していない場合(ステップS20で否定判定)、仮想空間生成サーバ10は、ユーザグループGpを解体する(ステップS23)。すなわち、仮想空間生成サーバ10は、ユーザ管理データ13bにて管理者の設定を解除し、ユーザグループGpを削除する。
【0088】
そして、仮想空間生成サーバ10は、当該ユーザグループGpの入場先に設定されていたプライベート空間SV1を削除する(ステップS24)。言い換えれば、仮想空間生成サーバ10は、ユーザの出入りが管理されるショップ空間SVから、当該プライベート空間SV1を削除する。
【0089】
ユーザグループGpの解体に伴って、仮想空間生成サーバ10は、ロビー画面ILの新たな表示内容を示すデータを来場者端末20に送信する(ステップS25)。これにより、管理者であった来場者ユーザPgの来場者端末20でロビー画面ILが更新される。
ユーザグループGpを脱退した場合、および、ユーザグループGpが解体された場合、ロビー画面ILとしては、一人での活動が選択されている状態の画面が表示される。
【0090】
以上のように、一般メンバーを残してユーザグループGpから管理者が脱退する場合には、他のメンバーに管理者の権限が移動するため、他のメンバーは、別途ユーザグループGpを作成せずとも、グループでの活動を継続することができる。したがって、ユーザの利便性が高められる。
【0091】
[プライベート空間へのグループの入退場]
ユーザグループGpのプライベート空間SV1への入退場について、仮想空間提供システム100の動作を説明する。
【0092】
図10に示すように、管理者の来場者ユーザPgの来場者端末20Aにて入店する店舗が選択されると、この操作を示す情報、言い換えれば、店舗の指定および入店の要求を示す情報が、来場者端末20Aから仮想空間生成サーバ10に送信される(ステップS30)。例えば、ロビー画面ILあるいはロビー画面ILから呼び出される画面において、プライベート空間SV1内の店舗の一覧が表示され、管理者の来場者ユーザPgは、この店舗の一覧から入店する店舗を選択する。なお、ロビー空間LVは、ショップ空間SVに位置する複数の店舗に対応する店舗のオブジェクトが配置された空間、言い換えれば、ショップ空間SVの各店舗を簡易的に示す店舗オブジェクトが集合した広場であってもよい。そして、管理者の来場者ユーザPgが、ロビー画面ILを通じて、この店舗オブジェクトのなかから入店する店舗を選択することに基づき、入店先の店舗が指定されてもよい。
【0093】
入店の要求を受けると、仮想空間生成サーバ10は、当該ユーザグループGpの入場先として設定されているプライベート空間SV1を対象として、入場処理を行う(ステップS31)。具体的には、仮想空間生成サーバ10は、ユーザグループGpのメンバー全員を上記プライベート空間SV1に入場させるよう、プライベート空間SV1に各メンバーのアバターAgの位置を設定し、入退場管理データ13cを更新する。アバターAgの位置は、来場者端末20Aにて選択された店舗の例えば入口付近とされる。なお、入退場管理データ13cには、ユーザグループGpが入店した店舗も記録されればよい。これにより、プライベート空間SV1に来場者ユーザPgがアバターAgとして入場する。ステップS31の処理は、入退場管理部12cとしての処理である。
【0094】
そして、仮想空間生成サーバ10は、管理者の来場者端末20Aと、一般メンバーの来場者端末20Bとの各々に、プライベート空間SV1内を表示する画面であるショップ画面の表示内容を示すデータを送信する(ステップS32)。これにより、管理者の来場者端末20Aにてショップ画面が表示され(ステップS33)、一般メンバーの来場者端末20Bにもショップ画面が表示される(ステップS34)。
【0095】
図11は、来場者端末20に表示されるショップ画面ISの一例を示す。ショップ画面ISでは、入店先の店舗として管理者によって選択された店舗と、来場者端末20の操作者である来場者ユーザPgのアバターAgとが表示される。例えば、選択された店舗の入口付近にアバターAgが配置された状態のショップ画面ISが最初に表示され、来場者端末20に対する操作を通じてアバターAgを移動させることで、店内をアバターAgが移動し、これに伴ってショップ画面ISが含む店舗内の範囲も移動する。これにより、店内に配置されている商品等の展示物を見る等、プライベート空間SV1での来場者ユーザPgの活動が可能である。
【0096】
ユーザグループGpのすべてのメンバーのアバターAgは、同一のプライベート空間SV1に配置される。ショップ画面ISが含む範囲に他のメンバーのアバターAgが位置する場合には、この他のメンバーのアバターAgも表示される。ショップ画面ISまたはショップ画面ISから呼び出される画面では、プライベート空間SV1の店舗に入店しているユーザの一覧がユーザ名等によって確認可能であってもよい。また、ショップ画面ISは、ユーザグループGpのメンバーによって、文章や音声によるチャットを実施するための領域を含んでいてもよい。
【0097】
このように、ユーザグループGpごとにプライベート空間SV1が作成され、ユーザグループGp以外の来場者ユーザPgが当該プライベート空間SV1に入場しないことから、グループのメンバーのアバターAgの位置が把握しやすく、アバターAgを介したコミュニケーションも取りやすい。また、店舗内のアバターAgの数が多くなることも抑えられるため、店舗内を見て回ることや、接客を受けることがスムーズに可能である。このように、仮想空間提供システム100によれば、グループでの活動に適した仮想空間が提供される。
【0098】
プライベート空間SV1からの退場に際しては、入場時に準じた処理が行われる。具体的には、ショップ画面ISあるいはショップ画面ISから呼び出される画面に、店舗からの退店を指示するための領域が含まれ、管理者がこの領域を選択することで、退店の要求を示す情報が、来場者端末20Aから仮想空間生成サーバ10に送信される。
【0099】
退店の要求を受けると、仮想空間生成サーバ10は、ユーザグループGpのメンバー全員をプライベート空間SV1から退場させるよう、アバターAgの位置および入退場管理データ13cを更新する。こうした処理は、入退場管理部12cとしての処理である。
【0100】
そして、仮想空間生成サーバ10は、各メンバーの来場者端末20に、ロビー画面ILの表示内容を示すデータを送信する。これにより、ユーザグループGpのすべての来場者ユーザPgがプライベート空間SV1から退場し、各メンバーの来場者端末20に、ロビー画面ILが表示される。
【0101】
ロビー画面ILにて管理者が再び店舗を選択することで、ユーザグループGpのメンバー全員が再びプライベート空間SV1に入場する。こうしてプライベート空間SV1の種々の店舗をグループで訪れることができる。
【0102】
このように、仮想空間提供システム100では、管理者の来場者端末20での指示に基づいて、ユーザグループGpのメンバー全員のプライベート空間SV1への入場および退場が実行される。言い換えれば、管理者のみが、店舗への入店および退店の決定の権限を有しており、一般メンバーは、当該権限を有していない。ユーザグループGp全体で入退場が行われることから、メンバーの各々が入退場のための操作をする場合と比較して、操作が煩雑になることを抑えられる。そして、管理者のみが入退店の決定の権限を有していることで、グループ全体での活動を円滑に進めることができる。
【0103】
例えば、管理者の来場者ユーザPgのロビー画面ILやショップ画面ISでは、入店および退店を指示するための領域が表示される。一方で、一般メンバーのロビー画面ILやショップ画面ISでは、入店および退店を指示するための領域は表示されない。このように、仮想空間生成サーバ10は、管理者と一般メンバーとでロビー画面ILやショップ画面ISの表示内容を異ならせることにより、管理者と一般メンバーとの権限を異ならせる。
【0104】
あるいは、管理者と一般メンバーとでロビー画面ILやショップ画面ISの表示内容は共通であって、仮想空間生成サーバ10が、ユーザ管理データ13bを参照して来場者ユーザPgが管理者であるか一般メンバーであるかを識別することに基づいて、各画面を通じた入店や退店の指示を受け付けるか否かを判断してもよい。
【0105】
なお、一般メンバーも退店の権限を有し、一般メンバーが来場者端末20にて退店を指示した場合には、仮想空間生成サーバ10は、指示をした一般メンバーである来場者ユーザPgのみをプライベート空間SV1から退場させてもよい。こうした構成によれば、メンバーの都合に合わせてメンバーが別々に退店することができるため、グループでの活動の自由度が高められる。
【0106】
また、ユーザグループGpへの招待の通知が、招待を受けたユーザによって即時に確認されない場合には、ユーザグループGpがプライベート空間SV1に入場した後に、ユーザグループGpへの参加が承認されることがある。
【0107】
この場合、来場者端末20から参加の承認を示す情報を受けると、仮想空間生成サーバ10は、参加を承認した来場者ユーザPgを、対象のユーザグループGpの一般メンバーとしてユーザ管理データ13bに記録するとともに、対象のユーザグループGpが入場しているプライベート空間SV1に入場させる。そして、仮想空間生成サーバ10は、ショップ画面ISの表示内容を示すデータを、追加されたメンバーの来場者端末20に送信する。
【0108】
このように、プライベート空間SV1へのユーザグループGpの入場後に当該グループに追加された来場者ユーザPgは、プライベート空間SV1の店舗にて他のメンバーと合流される。これにより、グループでの活動を円滑に進めることができる。
【0109】
[プライベート空間へのスタッフの入退場]
スタッフユーザPsのプライベート空間SV1への入退場について、仮想空間提供システム100の動作を説明する。
【0110】
図12は、スタッフ端末30に表示される入場管理画面IAの一例を示す。入場管理画面IAは、稼働中のショップ空間SV、言い換えれば、スタッフユーザPsが入場可能なショップ空間SVの一覧を含む。
図12に示す例では、1つのパブリック空間SV2と、2つのプライベート空間SV1とが一覧に含まれている。
【0111】
ショップ空間SVの一覧にて、稼働中のショップ空間SVは、スタッフユーザPsの担当店舗に入店している来場者ユーザPgと他のスタッフユーザPsの数、および、当該他のスタッフユーザPsの名前と共に示されることが好ましい。これらが表示されることで、スタッフユーザPsは、どのショップ空間SVに入場するかを判断しやすくなる。また、ショップ空間SVに入場可能なユーザの人数制限がある場合には、入場可能な人数の上限も表示されることが好ましい。
【0112】
また、入場管理画面IAでは、スタッフユーザPsが最近入場したショップ空間SVの履歴が表示可能であってもよい。こうした表示も、スタッフユーザPsが、入場しようとするショップ空間SVを探す際に役立つ。
【0113】
入場管理画面IAは、スタッフ端末30からの要求に応じて、仮想空間生成サーバ10が、入場管理画面IAの表示内容を示すデータをスタッフ端末30に送信することに基づき、スタッフ端末30に表示される。仮想空間生成サーバ10は、入退場管理データ13cおよびユーザ管理データ13bを参照することで、入場管理画面IAとして表示する情報を取得し、上記データを生成する。
【0114】
図13を参照して、プライベート空間SV1へのスタッフユーザPsの入場について、仮想空間提供システム100の処理の流れを説明する。
図13に示すように、スタッフ端末30の入場管理画面IAにて、入場するプライベート空間SV1が選択されると、この操作を示す情報、言い換えれば、プライベート空間SV1への入場の要求を示す情報が、スタッフ端末30から仮想空間生成サーバ10に送信される(ステップS40)。
【0115】
プライベート空間SV1への入場の要求を受けると、仮想空間生成サーバ10は、指定されたプライベート空間SV1を入場先とするユーザグループGpの管理者の来場者端末20Aに、プライベート空間SV1へのスタッフユーザPsの入場の承認の要求を送信する(ステップS41)。
【0116】
入場の承認の要求を受けた来場者端末20Aにて、管理者の来場者ユーザPgの操作に基づき、プライベート空間SV1へのスタッフユーザPsの入場が承認されると、この操作を示す情報、言い換えれば、入場の承認を示す情報が、来場者端末20Aから仮想空間生成サーバ10に送信される(ステップS42)。
【0117】
入場の承認を示す情報を受けると、仮想空間生成サーバ10は、入場が承認されたスタッフユーザPsについて、指定されたプライベート空間SV1を対象として、入場処理を行う(ステップS43)。具体的には、仮想空間生成サーバ10は、スタッフユーザPsを上記プライベート空間SV1に入場させるよう、プライベート空間SV1にスタッフユーザPsのアバターAgの位置を設定し、入退場管理データ13cを更新する。スタッフユーザPsが入る店舗は、スタッフユーザPsの担当店舗として予め規定されている。これにより、プライベート空間SV1にスタッフユーザPsがアバターAgとして入場する。ステップS41およびステップS43の処理は、入退場管理部12cとしての処理である。
【0118】
そして、仮想空間生成サーバ10は、当該プライベート空間SV1に入場しているすべての来場者ユーザPgの来場者端末20と、入場させたスタッフユーザPsのスタッフ端末30との各々に、ショップ画面ISの表示内容を示すデータを送信する(ステップS44)。これにより、各来場者端末20にてショップ画面ISが更新され(ステップS45)、スタッフ端末30にはショップ画面ISが表示される(ステップS46)。
【0119】
すなわち、各ショップ画面ISでは、スタッフユーザPsのアバターが表示されて、スタッフユーザPsの入店が通知される。その後、必要に応じてチャット等を利用し、スタッフユーザPsは、アバターを介して商品の説明等の接客を来場者ユーザPgに対して行う。
【0120】
このように、管理者の来場者ユーザPgの承認を得てからスタッフユーザPsがプライベート空間SV1に入場するため、ユーザグループGp以外のユーザが入らないというプライベート空間SV1の特性を保ちつつ、来場者ユーザPgは、必要に応じてスタッフユーザPsによる接客を受けることができる。
【0121】
管理者の来場者ユーザPgの承認が得られない場合、すなわち、管理者の来場者ユーザPgがスタッフユーザPsの入場を拒否した場合には、仮想空間生成サーバ10は、スタッフユーザPsをプライベート空間SV1に入場させず、入場が拒否された旨の通知をスタッフ端末30に送信する。
【0122】
なお、管理者の来場者端末20にて退店が指示された場合には、仮想空間生成サーバ10は、ユーザグループGpのメンバー全員に加えてスタッフユーザPsもプライベート空間SV1から退場させる。また、スタッフユーザPsは、単独での退店の権限を有していればよく、スタッフユーザPsがスタッフ端末30にて退店を指示した場合には、仮想空間生成サーバ10は、スタッフユーザPsのみをプライベート空間SV1から退場させればよい。また、来場者ユーザPgは、来場者端末20での操作を通じて、スタッフユーザPsの入店を依頼することが可能であってもよい。
【0123】
また、スタッフユーザPsが、入場先としてパブリック空間SV2を選択した場合には、仮想空間生成サーバ10は、来場者ユーザPgへの承認の要求を行うことなく、スタッフユーザPsをパブリック空間SV2に入場させる。また、ユーザグループGpに所属していない来場者ユーザPgから、店舗への入店の要求を受けた場合には、仮想空間生成サーバ10は、来場者ユーザPgをパブリック空間SV2に入場させる。
【0124】
プライベート空間SV1およびパブリック空間SV2の各々において、来場者ユーザPgが、入店する店舗を選択可能であること、言い換えれば、複数の店舗のそれぞれに入ることが可能であることに対し、スタッフユーザPsは、予め規定された担当店舗以外には入ることができない。
【0125】
以上説明したように、上記実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)ユーザグループGpごとに入場先のショップ空間SVであるプライベート空間SV1が生成されることから、1つのショップ空間SVに不特定多数の来場者ユーザPgと共にグループが入場する場合と比較して、ユーザグループGpのメンバーのアバターAgの位置が把握しやすく、アバターAgを介したコミュニケーションも取りやすい。そのため、仮想空間でのグループでの活動を円滑に進めやすくなる。
【0126】
(2)入場可能な来場者ユーザPgが規定されていないパブリック空間SV2が生成される。これにより、グループに所属していない来場者ユーザPgはパブリック空間SV2に入場させればよいため、すべての来場者ユーザPgの入場先が規定されるように仮想空間が生成される場合と比較して、仮想空間生成サーバ10の処理の負荷が軽減される。
【0127】
(3)ユーザグループGpのメンバーのアバターAgがプライベート空間SV1への入場前に待機するロビー空間LVが生成される。こうした構成によれば、プライベート空間SV1への入場前に、ユーザグループGpのメンバーのアバターAgがロビー空間LVに集まるため、ユーザグループGpのメンバーの確認が容易であり、グループの編成状況を把握しやすい。
【0128】
(4)仮想空間生成サーバ10は、来場者ユーザPgのアバターAgがロビー空間LVに位置する状態で、ユーザグループGpの編成の要求を受け付け、ユーザグループGpが入る店舗の指定を受けたとき、ユーザグループGpに含まれる来場者ユーザPgをアバターAgとしてプライベート空間SV1に入場させる。こうした構成によれば、グループの編成から店舗に入るまでが円滑に進められる。
【0129】
(5)仮想空間生成サーバ10は、管理者の来場者端末20から、プライベート空間SV1への入場の要求を受けたとき、ユーザグループGpに含まれるすべての来場者ユーザPgをアバターAgとしてプライベート空間SV1に入場させる。こうした構成によれば、1人の来場者ユーザPgの操作に基づきユーザグループGpのメンバーがまとめてプライベート空間SV1へ入場するため、各メンバーがそれぞれ入場のための操作を来場者端末20にて行う場合と比較して、操作の煩雑さが低減される。また、メンバーが別々に入場する場合と比較して、グループでの活動も進めやすくなる。
【0130】
(6)仮想空間生成サーバ10は、管理者の来場者端末20から、管理者である来場者ユーザPgのユーザグループGpからの脱退の指示を受けたとき、ユーザグループGpに含まれる他のユーザを新たに管理者に設定する。こうした構成によれば、管理者がユーザグループGpから脱退した場合に、別途グループを作成せずともグループでの活動が続けられるため、ユーザの利便性が高められる。
【0131】
(7)ユーザグループGpにて管理者のみが有する権限には、ユーザグループGpへの来場者ユーザPgの招待、ユーザグループGpからの来場者ユーザPgの除名、および、プライベートSV1空間にてユーザグループGpが入る店舗の選択の少なくとも1つが含まれる。こうした構成によれば、管理者のみに権限を与えることで、ユーザグループGpの編成やプライベート空間SV1へのグループの入場が円滑に進めやすくなる。
【0132】
(8)仮想空間生成サーバ10は、スタッフ端末30からプライベート空間SV1への入場の要求を受けたとき、対象のユーザグループGpの来場者端末20に、スタッフユーザPsの入場の承認を要求し、当該入場の承認を受けたとき、スタッフユーザPsをアバターAgとしてプライベート空間SV1に入場させる。こうした構成によれば、ユーザグループGpによる仮想空間の独占という優位性を保ちつつ、来場者ユーザPgは、必要に応じてスタッフユーザPsから接客を受けることができる。
【0133】
(9)スタッフ端末30に、スタッフユーザPsが入場する空間として選択可能なショップ空間SVの一覧が表示される。こうした構成によれば、スタッフユーザPsが、入場するショップ空間SVを選択できるため、複数のショップ空間SVに分散した来場者ユーザPgに対する柔軟な接客が可能である。
【0134】
[変形例]
上記実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。
・ユーザグループGpごとに、入場先の仮想空間が生成される形態であれば、仮想空間の構成、ユーザの権限、ユーザの入退場の手順等の他の構成は、上記実施形態と異なっていてもよい。例えば、ロビー空間LVが生成されず、グループの作成と共に管理者の来場者ユーザPgがプライベート空間SV1に入場し、プライベート空間SV1に入場している状態でグループの編成が行われてもよい。また、パブリック空間SV2が生成されず、グループに所属していない来場者ユーザPgに対して1人に1つずつのプライベート空間SV1が生成されて入場先として設定されてもよい。また、ロビー空間LVに加えてプライベート空間SV1でもグループの編成が可能であってもよいし、管理者の来場者ユーザPgがグループから脱退した場合にはグループが解体されてもよい。また、管理者の権限は、上記実施形態とは異なっていてもよいし、グループのメンバーそれぞれが入退場の操作を行うことで、メンバーが別々にプライベート空間SV1に入場してもよい。また、来場者ユーザPgがプライベート空間SV1に入場した後に、入店する店舗が選択されてもよい。また、スタッフユーザPsがプライベート空間SV1に入るときに来場者ユーザPgの承認が不要であってもよい。
【0135】
・仮想空間でのグループでの活動を円滑に進めやすくするという課題を解決する観点では、ユーザグループGpごとに入場先の仮想空間が生成されることは必須ではない。例えば、ロビー空間LVでユーザグループGpが編成されて、店舗の指定によりショップ空間SVに入場する形態、管理者の来場者ユーザPgによる入店および退店の指示に基づいて、ユーザグループGpのメンバー全員が入店および退店する形態、管理者の来場者ユーザPgがユーザグループGpから脱退したとき、管理者の権限が移動する形態、これらは、それぞれが単独で上記課題を解決可能である。
【0136】
また、スタッフユーザPsが、複数のショップ空間SVのなかから入場するショップ空間SVを選択する形態は、複数のショップ空間SVに来場者ユーザPgが分けられることで混雑が抑制され、そのなかで、例えば来場者ユーザPgの多いショップ空間SVを選んでスタッフユーザPsが接客をする等のように、来場者ユーザPgに対するスタッフユーザPsの柔軟な応対を可能とする。このように、仮想空間が含む施設の利用者に対する応対者の柔軟な応対を可能とするという課題を解決する観点では、ユーザグループGpの形成およびユーザグループGpごとの仮想空間の生成は必須ではない。例えば、複数のショップ空間SVのすべてがパブリック空間SV2であってもよい。
【0137】
・仮想空間提供システム100の用途は、商品を取り扱う店舗での接客サービスに限られない。例えば、仮想空間提供システム100が接客サービスに用いられる場合、仮想空間生成サーバ10が生成する仮想施設空間が含む施設は、店舗に限らず、展示会等のイベントの会場や、モデルルームであってもよい。接客サービスには、例えば、商品の販売や説明、展示物や施設内の説明、観光案内等が含まれる。また、商品には、物品に限らず金融商品等も含まれる。
【0138】
また、仮想空間提供システム100の用途は、接客サービスでなくともよく、カウンセリング等の医療サービスや、教育サービス、行政サービス等に用いられてもよい。要は、仮想施設空間を訪れて施設を利用する第1ユーザと、当該施設で第1ユーザに応対する第2ユーザとがアバターとして仮想施設空間に入場すればよい。例えば、第2ユーザは講師であって、第1ユーザは受講生であってもよい。さらには、少なくとも第1ユーザがアバターとして仮想施設空間に入場して施設を利用すれば、第2ユーザは仮想施設空間に入場しなくてもよい。仮想施設空間が含む施設は、所定の目的のために設けられた構造物や建物であればよく、例えば、商業施設、金融施設、公共施設、医療施設、福祉施設、観光施設、工場等であり得る。また、仮想施設空間が含む施設は1つであってもよい。
【0139】
・仮想空間提供システム100は、来場者端末20およびスタッフ端末30に入出力される文章や音声について、多言語による翻訳や同時通訳を実施してもよい。こうした構成によれば、来場者ユーザPgやスタッフユーザPs、取り扱われる商品等について、グローバルな対応が可能である。
【0140】
・仮想空間生成サーバ10の機能は、複数の情報処理装置によって実現されてもよい。1つの情報処理装置は単体のコンピュータ装置である。すなわち、仮想空間生成装置は、1または複数の情報処理装置から構成されていればよい。
【符号の説明】
【0141】
LV…ロビー空間
SV…ショップ空間
SV1…プライベート空間
SV2…パブリック空間
Pg…来場者ユーザ
Ps…スタッフユーザ
10…仮想空間生成サーバ
20…来場者端末
30…スタッフ端末
100…仮想空間提供システム