(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039686
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
F21V 14/00 20180101AFI20240315BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20240315BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240315BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20240315BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240315BHJP
【FI】
F21V14/00
H05B47/105
F21S2/00 670
F21Y101:00 100
F21Y101:00 300
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144233
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】522361490
【氏名又は名称】伊藤 岳大
(74)【代理人】
【識別番号】100167818
【弁理士】
【氏名又は名称】蓑和田 登
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 岳大
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA09
3K273QA07
3K273SA02
3K273SA21
3K273SA38
3K273SA46
3K273TA03
3K273TA14
3K273TA15
3K273TA23
3K273TA28
3K273TA33
3K273TA35
3K273TA37
3K273TA41
3K273UA22
3K273UA24
3K273UA25
3K273UA27
3K273UA29
(57)【要約】
【課題】花弁を模したランプシェードがよりリアルな開閉動作パターンを呈すると共に、より細かな調光制御をも可能とする照明器具を提供する。
【解決手段】照明器具1は、光源3と、光源3周囲に配置された少なくとも1以上の可動部2と、電力を動力へ変換して可動部2を動かす駆動部4と、駆動部4の動作を制御する制御部5と、を有する。可動部2は、少なくとも2以上の接続部材2aと、隣接する接続部材2aを所定角度範囲内で回動可能に接続するジョイント部2bと、接続部材2a及びジョイント部2bの開閉動作を制御する開閉動作制御機構と、を備える。この構成により、照明器具1では、花弁を模したランプシェード(可動部2及びそのウイング)がよりリアルな開閉動作パターンを呈すると共に、より細かな調光制御をも可能とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、当該光源周囲に配置された少なくとも1以上の可動部と、電力を動力へ変換して前記可動部を動かす駆動部と、前記駆動部の動作を制御する制御部と、を有する照明器具であって、
前記可動部は、
少なくとも2以上の接続部材と、
隣接する前記接続部材を所定角度範囲内で回動可能に接続するジョイント部と、
前記接続部材及び前記ジョイント部の開閉動作を制御する開閉動作制御機構と、を備えることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記開閉動作制御機構は、
ワイヤー通し用の開口を有して前記接続部材に設けられたワイヤーガイドと、
前記ワイヤーガイドの前記開口に挿通され、前記駆動部に接続されるワイヤ材と、を備え、
前記制御部は、前記駆動部に接続された前記ワイヤ材の張力を調整することで、前記可動部の開閉動作を制御する、ことを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記ワイヤーガイドは、夫々の前記接続部材の少なくとも内側と外側とに一つ以上設けられ、
前記ワイヤ材は、前記接続部材の内側に掛け渡された内側ワイヤ材と、外側に掛け渡された外側ワイヤ材と、から成り、
前記制御部は、前記駆動部に接続された前記内側ワイヤ材及び/又は前記外側ワイヤ材の張力を調整することで、前記可動部の開閉動作を制御する、ことを特徴とする請求項2記載の照明器具。
【請求項4】
複数の前記ジョイント部の回転軸ベクトルは平行である、ことを特徴とする請求項1又は2記載の照明器具。
【請求項5】
複数の前記ジョイント部の回転軸ベクトルが同一方向とはならない、ことを特徴とする請求項1又は2記載の照明器具。
【請求項6】
前記ジョイント部には、隣接する前記接続部材を所定角度範囲内で回動可能にする突起部が形成される、ことを特徴とする請求項1又は2記載の照明器具。
【請求項7】
隣接する前記接続部材を所定角度範囲内で回動可能にするため、隣接する前記ワイヤーガイド間の間隔、又は前記接続部材と前記ワイヤーガイドとの距離を調整する、ことを特徴とする請求項2記載の照明器具。
【請求項8】
前記可動部は、前記光源周囲に放射線状に複数で配置される、ことを特徴とする請求項1又は2記載の照明器具。
【請求項9】
隣り合う前記可動部間に紐材が遊架される、ことを特徴とする請求項1又は2記載の照明器具。
【請求項10】
前記接続部材には、花弁状部材、又は樹状部材が一体化される、ことを特徴とする請求項1又は2記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内インテリアなどとして使用可能な照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、光源周囲にランプシェード(笠)を設けて、ランプシェードの素材やデザインを工夫したインテリアとしての照明器具が知られている。また、可動ランプシェードを用いて拡散光や直接光を調整可能とした照明器具も知られている。
【0003】
そして、例えば、花弁を模したランプシェードを有して、手動又は電動でランプシェードを動かす照明器具が提案されている。例えば特許文献1,2には、花弁状の可動シェードが開閉する面状発光体を用いた照明装置が開示されている。また、特許文献3,4には熱によって変形する形状記憶合金を用いて蕾の状態から開花の状態にランプシェードを変形する照明器具が開示されている。
【0004】
さらに、大きな花弁状のランプシェードが光源周囲に複数配置されて、開閉動作をする照明器具も開示されている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-256525号公報
【特許文献2】特開2013-33743号公報
【特許文献3】特開平1-146204号公報
【特許文献4】特開平7-262812号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】“LED電球付クリップランプ スーパールミネX”[令和4年8月10日検索]、インターネット<URL:https://www.monotaro.com/g/04949391/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のような従来の照明器具は、花弁を模したランプシェードを有してはいるが、その開閉動作が非常に単純であって、そのインテリアとしての視覚的効果には未だに改善の余地がある。
【0008】
また、従来の花弁を模したランプシェードを有する照明器具は、ランプシェードが非常に単純な機構であるため、細かな調光制御には向いていないという問題もある。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、花弁を模したランプシェードがよりリアルな開閉動作パターンを呈すると共に、より細かな調光制御をも可能とする照明器具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明に係る照明器具は、光源と、当該光源周囲に配置された少なくとも1以上の可動部と、電力を動力へ変換して前記可動部を動かす駆動部と、前記駆動部の動作を制御する制御部と、を有する照明器具であって、前記可動部は、少なくとも2以上の接続部材と、隣接する前記接続部材を所定角度範囲内で回動可能に接続するジョイント部と、前記接続部材及び前記ジョイント部の開閉動作を制御する開閉動作制御機構と、を備えることを特徴とする。
【0011】
この照明器具において、前記開閉動作制御機構は、ワイヤー通し用の開口を有して前記接続部材に設けられたワイヤーガイドと、前記ワイヤーガイドの前記開口に挿通され、前記駆動部に接続されるワイヤ材と、を備え、前記制御部は、前記駆動部に接続された前記ワイヤ材の張力を調整することで、前記可動部の開閉動作を制御することが好ましい。
【0012】
この照明器具において、前記ワイヤーガイドは、夫々の前記接続部材の少なくとも内側と外側とに一つ以上設けられ、前記ワイヤ材は、前記接続部材の内側に掛け渡された内側ワイヤ材と、外側に掛け渡された外側ワイヤ材と、から成り、前記制御部は、前記駆動部に接続された前記内側ワイヤ材及び/又は前記外側ワイヤ材の張力を調整することで、前記可動部の開閉動作を制御することが好ましい。
【0013】
この照明器具において、複数の前記ジョイント部の回転軸ベクトルは平行であることが好ましい。
【0014】
この照明器具において、複数の前記ジョイント部の回転軸ベクトルが同一方向とはならないことが好ましい。
【0015】
この照明器具において、前記ジョイント部には、隣接する前記接続部材を所定角度範囲内で回動可能にする突起部が形成されることが好ましい。
【0016】
この照明器具において、隣接する前記接続部材を所定角度範囲内で回動可能にするため、隣接する前記ワイヤーガイド間の間隔、又は前記接続部材と前記ワイヤーガイドとの距離を調整することが好ましい。
【0017】
この照明器具において、前記可動部は、前記光源周囲に放射線状に複数で配置されることが好ましい。
【0018】
この照明器具において、隣り合う前記可動部間に紐材が遊架されることが好ましい。
【0019】
この照明器具において、前記接続部材には、花弁状部材、又は樹状部材が一体化されることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る照明器具は、光源と、光源周囲に配置された少なくとも1以上の可動部と、電力を動力へ変換して可動部を動かす駆動部と、駆動部の動作を制御する制御部と、を有する。可動部は、少なくとも2以上の接続部材と、隣接する接続部材を所定角度範囲内で回動可能に接続するジョイント部と、接続部材及びジョイント部の開閉動作を制御する開閉動作制御機構と、を備える。この構成により、本発明では、花弁を模したランプシェードがよりリアルな開閉動作パターンを呈すると共に、より細かな調光制御ができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施の形態に係る照明器具の斜視図である。
【
図3】(a)同上照明器具に備わる可動部の側面図、(b)同上可動部の斜視図、(c)同上照明器具の平面図である。
【
図4】(a)同上可動部の外側/内側への回動制限を説明する図、(b)同上可動部に備わるジョイント部の一例を示す図、(c)同上可動部の備わる接続部材及びジョイント部の一例を示す図である。
【
図5】(a)乃至(c)同上可動部に備わるウイングの一例を示す図である。
【
図7】(a)乃至(d)同上照明器具に備わる制御部から駆動部への出力信号の一例を示す図である。
【
図8】(a)乃至(d)同上照明器具に備わる制御部から駆動部への出力信号の一例を示す図である。
【
図9】(a)同上照明器具の可動部が閉じている状態を示す図、(b)同上可動部が開花途中の状態を示す図、(c)同上可動部が開花した状態を示す図である。
【
図10】同上照明器具の動作手順を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の実施の形態の変形例1に係る照明器具に備わる可動部の斜視図である。
【
図12】(a)乃至(c)本発明の実施の形態の変形例2に係る照明器具に備わる可動部の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施の形態)
本発明の実施の形態に係る照明器具について
図1乃至
図10を参照して説明する。本実施の形態に係る照明器具1は、例えば天面に設けられた照明用電源に吊下げられて、下方や天井面を照射する照明器具である。また、
図1に示すように、花弁を模したランプシェード(笠)としての可動部2を備えており、この可動部2の開閉動作を制御することで、照明器具1の点灯/消灯に併せて花弁(可動部2)が開閉しているかのような動作を呈するものである。
【0023】
最初に、本実施の形態に係る照明器具1の全体構造に関して
図1乃至
図5を参照して説明する。照明器具1は、電球型光源3(以下、光源3と記載)と、光源3の周囲に配置された少なくとも1以上の可動部2と、電力を動力へ変換して可動部2を動かす駆動部4と、駆動部4の動作を制御する制御部5と、人検知センサ6と、筐体7とを備える。
【0024】
なお、駆動部4及び制御部5は、円筒形状などの筐体7の内部に収容されている。筐体7の底側にはソケット(図示せず)が形成されており、ソケットは光源3に設けられる口金を支持する。なお、ソケットには、光源3の着脱操作を回転式で行うものや、押し込み式で行うものなどが適用される。また、筐体7の天面側には電源となる天面備え付けの引掛けシーリングに回しながら差し込み可能なプラグ7aが形成される。
【0025】
光源3は、例えばLED電球、白熱電球や電球型蛍光灯であって、ネジ式の口金部を有して、筐体7の下面に形成されたソケットに交換可能に取り付けられる。LED電球の場合、面状発光素子(即ち、RGB全ての発光層が形成)を有する。
【0026】
可動部2は、
図2及び
図3に示すように、少なくとも2以上の接続部材2aと、隣接する接続部材2aを所定角度範囲内で回動可能に接続するジョイント部2bと、接続部材2a及びジョイント部2bの開閉動作を制御する開閉動作制御機構と、を備える。
【0027】
開閉動作制御機構は、
図3(a)に示すように、ワイヤー通し用の開口を有して接続部材2aに設けられたワイヤーガイド2cと、ワイヤーガイド2cの開口に挿通されて一端側は可動部2を構成する接続部材2aの最先端側のワイヤーガイド2cに固定される一方、他端側が駆動部4に接続されるワイヤ材2dと、を備える。そして、制御部5は、駆動部4に接続されたワイヤ材2dの張力を調整することで可動部2の開閉動作を制御する。なお、ワイヤ材2dは、例えば針金や糸であるが、その他の線材でも良い。また、
図3に示す方法は一形態であって、他の実現方法としては例えば一本のワイヤ材2dを先端(花弁の先側)で反対側のワイヤ材2dと接続し、ワイヤーガイド2cを通らない様な結び目やビーズなどを付けたり、ワイヤ材2dの先端側に指サックの様な着脱可能な部品をつけておき、それに接続しても良い。
【0028】
より具体的には、ワイヤーガイド2cは、
図3(a)に示すように、夫々の接続部材2aの先端側及び後端側の内側及び外側に対となって設けられたワイヤーガイド2ca,2cbとなる。ワイヤ材2dは、接続部材2aの内側に掛け渡された内側ワイヤ材2daと、外側に掛け渡された外側ワイヤ材2dbと、から成る。なお、ワイヤーガイド2cは
図3に示すような必ずしも対になっている必要はなく、夫々の接続部材2aの少なくとも内側と外側とに一つ以上設けられれば良い。そして、実際の構成としては内側のワイヤ材2dを複数、外側のワイヤー材2dを複数とすることがある。夫々のワイヤ材2dが夫々の速度で巻き取られることで、より複雑な動作が可能となる。なお、本実施の形態の説明において、可動部2の外側から光源3側への動作を内側(内向き、閉じる向き)、光源3から離れる動作を外側(外向き、開く向き)として説明する。そして、制御部5は、例えば2つのモータを用いて駆動部4に接続された内側ワイヤ材2da及び/又は外側ワイヤ材2dbの張力を調整することで、可動部2全体の開閉動作パターンを制御する。なお、接続部材2aの内部をワイヤ材2dが通るなど、ワイヤーガイド2cが接続部材2aと一体になっても良い。
【0029】
また、
図3(b)に示すように、接続部材2aは板状部材又は棒状部材であって、複数のジョイント部2bの回転軸ベクトルZ1~Z3は平行である。なお、開閉動作制御機構は、各ジョイント部2bに設けたモータやサーボなどによって回動動力を伝えてもよい。この構成では、より細分化した各ジョイント部2bの回動制御が可能となり、より実際の花弁の開花状態に近い動きを実現できる。
【0030】
可動部2は、
図3(c)に示すように、光源3を中心として、放射線状に複数(本図においては8本)が配置される。このように可動部2を放射線状に配置することで、花弁の動きをよりリアルに模倣できる。
【0031】
ここで、
図4に示すように、ジョイント部2bは、隣接する接続部材2aを所定角度範囲内で回動可能にする機構を有する。
図4(a)は可動部2の内側への回動制限、及び外側への回動制限を示す。このように、可動部2の回動角度に制限を設けることで、開き方を調整でき、ユリの様な反った開花などを実現できる。
【0032】
このため、例えば、
図4(b)に示すように、隣接する接続部材2aを所定角度範囲内で回動可能に接続するため、ジョイント部2bに突起部2ea,2ebが形成される。又は、
図4(c)に示すように、隣接するワイヤーガイド2c間の間隔、又は接続部材2aとワイヤーガイド2cとの距離を調整する。この場合、ワイヤーガイド2c間の間隔が近いと回動角度が小さくなり、遠いと回動角度が大きくなる。なお、ワイヤーガイド2c間だけでなく、接続部材2aをジョイントが曲がった時に干渉が起こる形状にすることで、回転角度に制限を設けても良い。
【0033】
図5に示すように、可動部2の周囲には、ウイングとしての花弁状部材、又は樹状部材が一体化されている。これらの部材の素材はビニールやプラスチック、ワイヤと布など様々であり、色も花弁に併せて透明、半透明、カラーなど様々に工夫でき、可動部2への付け方は様々である。例えば、
図4(a)に示すように各接続部材2aに2枚のプラスチック製の花弁状シェード2faを付けたり、
図4(b)に示すように布材やビニール製の幕材2fbを針金などの線材で支持したり、
図4(c)に示すようにプラスチックなど(LEDを埋め込んでもよい)で樹状材2fcの形状にする。
【0034】
駆動部4は、電源からの電力を動力に変更する機能を有するものであり、例えばモータやサーボなどであり、可動部2の有するワイヤ材2dを巻き取る/緩める機構(プーリー)を有する。なお、駆動部4は、複数の可動部2と接続されても良い。なお、リニアアクチエータ(リニアモータ・リニアサーボなど)、線形に動くアクチエータなどでワイヤ材2dを引っ張っても良い。
【0035】
制御部5は、光源3への通電を検出する機能を有すると共に、駆動部4を駆動・停止する機能を有する。制御部5は駆動部4への出力及び当該出力の時間を制御することで、駆動部4の回転動作を制御して、可動部2の微妙な開閉動作を制御する。その他、例えば、1/fのゆらぎによって駆動部4を制御してもよく、駆動部4の制御によって開花パターンが変わってくる。
【0036】
人検知センサ6は、例えば人から発せられる赤外放射を受光部で感知して、電気信号を出力する赤外線センサや、カメラからの入力画像を処理して人間を検出する画像センサ等が用いられる。そして、制御部5は、人検知センサ6から所定の電気信号が入力される場合、人が検知されていると判断して、光源3や駆動部4への電力供給を開始する。
【0037】
次に、本実施の形態に係る照明器具1の機能構成に関して
図6を用いて説明する。なお、
図5において交流電源8からの入力を描いているが、バッテリーなど直流電源とする場合にはAC/DC変換部5aの構成は必須ではない。
【0038】
交流電源8は、例えば100Vの商用電源である。AC/DC変換部5aは、交流電源8からの交流の商用電源を定電圧の直流電圧に変換する回路である。
【0039】
電流制御部5bは、図示していないが例えばDC-DCコンバータ(例えばシリーズレギュレータやスイッチングレギュレータ)、抵抗、定電流ダイオード等の回路で構成される。また、電流制御部5bは、交流電源8を介して光源3に対して所定の電流を流す。この電流制御部5bは、光源3に流れる電流の平均値を調整することで光源3の発光量を調光する。なお、制御部5は集積回路、プログラマブルロジック回路、マイクロコンピュータ、小型汎用コンピュータ、などで構成されても良い。
【0040】
また、電流制御部5bは、駆動部4に対しても制御した電流を流す。駆動部4の回転速度(光源3の輝度)は電流の平均値に比例するので、回転速度の変化を抑制するために、電流制御部5bは、例えば電流値を時分割、すなわち周期Tごとに幅ΔTのパルスを出力するようPWM(Pulse With Moduration)信号による調整を行う。なお、電流の振幅を調整する振幅変調でも制御は可能である。
【0041】
次に、照明器具1の開花時における電流制御部5bからの出力を、
図7を用いて説明する。なお、本図においては可動部2が4つの場合を用いて説明するが、その他の数の場合においても応用できる。
【0042】
図7(a)~(d)に示す場合、第一可動部21、第二可動部22、第三可動部23、第四可動部24は同時に、等方的に開花動作を行う。この制御は、例えば百合系のような等方的に開花して、反る開花動作パターンに応用できる。
【0043】
図8(a)~(d)は、PWM信号を用いて電流値を時分割して調整させた場合の電流制御部5bからの第一可動部21、第二可動部22、第三可動部23、第四可動部24への出力信号のパルスを示し、具体的には電流制御部5bからの電源出力を示す。この場合、第一可動部21、第二可動部22、第三可動部23、第四可動部24が順番に開いてゆくような開花動作パターンを呈する。なお、
図7及び
図8の電流制御は例示であって、複数の可動部2に対する電流制御部5bの出力制御はこれに限定されるものではなく、その他、一部の可動部2のみの開花するような制御も考え得る。
【0044】
次に、照明器具1の開花パターンの一例を、
図9を参照して説明する。
図9(a)は、花弁が閉じている状態、
図9(b)は、可動部2が動作を開始して開花途中の状態、
図9(c)は完全に開花した状態を示す。このように、照明器具1は、光源3の点灯に伴って、ランプシェード(すなわち可動部2)が開花動作を呈し、且つ細かな調光制御を可能とする。
【0045】
次に、本実施の形態に係る照明器具1の開花時の動作手順を
図10のフローチャートを参照して説明する。最初に、人検知センサ6において人の存在が検知されると(S101でYes)、制御部5は、光源3への通電を開始する(S102)。なお、実際の使用時には、センサ情報以外に、使用者が光源3の電源を入れても良い。
【0046】
次に、制御部5は、予め定められた可動部5に対する出力パターンに基づいて、駆動部4に制御信号を送出する(S103)。すると、制御部5から電力供給を受けた駆動部4は、その出力パターンに基づいて、電磁開閉器などを用いてモータを正回転又は逆回転させ、動力が可動部2のワイヤ材2dに伝えらえる(S104)。最後に、ワイヤ材2dの動作に伴い、可動部2が外側に展開し、照明器具1が開花動作を開始する(S105)。
【0047】
以上の説明のように、本実施の形態に係る照明器具1は、光源3と、光源3周囲に配置された少なくとも1以上の可動部2と、電力を動力へ変換して可動部2を動かす駆動部4と、駆動部4の動作を制御する制御部5と、を有する。可動部2は、少なくとも2以上の接続部材2aと、隣接する接続部材2aを所定角度範囲内で回動可能に接続するジョイント部2bと、接続部材2a及びジョイント部2bの開閉動作を制御する開閉動作制御機構と、を備える。この構成により、照明器具1では、花弁を模したランプシェード(すなわち可動部2及びウイング)がよりリアルな開閉動作パターンを呈すると共に、可動部2の開閉動作パターンを制御することで、より細かな調光制御をも可能とする。また、照明器具1のランプシェードが動的にゆっくり開閉動作をするためリラックス効果が期待できる。さらに、照明器具1が人検知センサ6を備えているため、人検知に応じて光源3の点灯及び可動部2の開花動作を展開できる。
(変形例1)
【0048】
本実施の形態に係る照明器具の変形例1について、
図11を参照して説明する。本変形例1では、ハイビスカス、朝顔系(すなわち捻転しながらの開花)動作を実現するため、接続部材2aは(可撓性)樹脂、金属、木材・竹材やガラスなどで形成され、2以上のジョイント部2bの回転軸ベクトルZ4~Z6が同一方向とはならない。なお、接続部材2aを実際に捻転する必要は特になく、ワイヤーガイド2cの位置とジョイント部2bの配置をずらす(部材の長軸方向を中心に回転して配置)することで、回転軸ベクトルを並行で無くすことができる。より具体的には、マニピュレータ(ロボットアーム)を表現する手法として知られているDH(Denavit-Hartenberg)パラメータ(修正DHパラメータ)で言うと、DHパラメータのαが0でない値をもち、ジョイントの回転軸が少しずつズレた接続を持つことである。なお、
図3ではジョイントの回転軸が全て並行な場合を示したものである。この構成により、可動部2は、捻転を伴う開花動作パターンを実現することが可能となる。
(変形例2)
【0049】
本実施の形態に係る照明器具の変形例2について、
図12を参照して説明する。本変形例2では、可動部2が複数(本図では3つ)左右に配置され、隣り合う可動部2間に紐材2gが遊架され、例えば隣り合うジョイント部2b間を紐で遊架する。なお、実際の使用状態では光源を取り囲む様に可動部2が配置される。そして、
図12(a)~(c)に示すように、最も外側の可動部2が駆動部4によって動作して外側に向かう開花動作を開始すると、緩んでいた紐材2gが外側から徐々に張った状態となり、その結果、内側の2つの可動部2は、最も外側の可動部2に引っ張られるように外側に向かう開花動作を開始する。この制御は、例えばダリヤ、バラ系(多重の花弁が迫り出すように順番に咲き始める)動作に応用できる。
【0050】
また、本変形例2を応用し、その他、多重の花弁が迫り出す様な動作は、例えば
図12に示すような3重の花弁になっている場合、一番内側の輪に当たる花弁が開きながら垂直方向(
図12で言うと上向き)に迫り出す動作をし、その外側の輪も少し遅れて追従すると再現できる。
(変形例3)
【0051】
本実施の形態に係る照明器具の変形例3について説明する。本変形例3では、内側の駆動部4はモータなどではなくバネ(弾性体)などの付勢手段であって、常に一定の張力をワイヤ材2daに付与している。一方、外側の駆動部4は上記実施の形態と同様に電気で作動するモータなどである。この構成によって、外側の駆動部4のみを用いて開花制御できる。
【0052】
なお、本発明は、上記実施の形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、各実施の形態の説明においては、光源3の周囲に可動部2を設けているが、光源3の代わりにカメラ、スピーカなどを配置しても良い。また、スピーカからの音楽に合わせて開花制御をしても良い。また、可動部2にLEDなどを付して、可動部2を点灯/点滅することも考え得る。さらに、上述の照明器具1は天面に吊下げる形態を説明しているが、例えばスタンド型のライトにも本発明の機構を適用できる。
【符号の説明】
【0053】
1 照明器具
2 可動部
2a 接続部材
2b ジョイント部
2c,2ca,2cb ワイヤーガイド
2d,2da,2db ワイヤ材
2e,2ea,2eb 突起部
2g 紐材
3 光源
4 駆動部
5 制御部
6 人検知センサ
7 筐体
Z1~Z6 回転軸ベクトル