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特開2024-39695締結紐切断装置、処理装置及び処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039695
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】締結紐切断装置、処理装置及び処理方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 69/00 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
B65B69/00 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144254
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青山 玄太
【テーマコード(参考)】
3E058
【Fターム(参考)】
3E058AA08
3E058BA11
3E058CA01
3E058CB03
3E058DA01
3E058EA05
3E058FA06
3E058GA02
3E058GA03
3E058GA05
(57)【要約】
【課題】切断不良の発生を抑制することが可能な締結紐切断装置、処理装置及び処理方法に関する。
【解決手段】締結紐切断装置は、被締結物を締結する締結紐を切断位置において切断する。締結紐切断装置は、ベース部、切断刃、固定用部材及び段差部を具備する。ベース部は、挿入先端部と、第1配置エリア及び第2配置エリアを有する。第1配置エリア及び第2配置エリアは、切断位置を挟んで第1方向と直交する第2方向に沿って離間して配される。締結紐は第1配置エリア及び第2配置エリアに配置される。切断刃は、切断位置を挟んで第1方向に離間して配される始点位置と終点位置との間を移動する。固定用部材は、締結紐が第1配置エリアに配置された状態で第1配置エリアに対して締結紐を固定する固定位置と、第1配置エリアに対する締結紐の固定を解除する解除位置との間を移動する。段差部は、第2配置エリアに設けられ、第2配置エリアに締結紐が配置された状態で締結紐の第1方向に沿った一方の向きへの移動を制限する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被締結物を締結する締結紐を、切断位置において切断可能な締結紐切断装置であって、
第1方向に沿った一方の向きの端部である一端部に設けられる挿入先端部と、
前記第1方向に沿った他方の向きの端部である他端部の上面に設けられ前記切断位置を挟んで前記第1方向と直交する第2方向に沿って離間して配される第1配置エリア及び第2配置エリアと
を有し、
前記被締結物と前記締結紐との間に、前記挿入先端部から挿入されて前記締結紐が前記第1配置エリア及び前記第2配置エリアに配置されるように挿入される
ベース部と、
前記第1方向に沿った一方の向きに向けられ、前記切断位置を挟んで前記第1方向に離間して配される始点位置と終点位置との間を移動可能な切断刃と、
前記締結紐が前記第1配置エリアに配置された状態で前記第1配置エリアに対して前記締結紐を固定する固定位置と、前記第1配置エリアに対する前記締結紐の固定を解除する解除位置と、の間を移動可能な固定用部材と、
前記ベース部に設けられ、前記第2配置エリアに前記締結紐が配置された状態で前記締結紐の前記第1方向に沿った一方の向きへの移動を制限する段差部と
を具備する締結紐切断装置。
【請求項2】
前記ベース部は、
前記挿入先端部と、
前記第1配置エリア及び前記第2配置エリアを有する配置台と、
前記配置台を間に介して前記第1方向に沿って前記挿入先端部の反対側に設けられ、前記配置台から上方に向かって延在する側壁部と
を有し、
前記側壁部は、前記第1配置エリア及び前記第2配置エリアに隣接する
請求項1に記載の締結紐切断装置。
【請求項3】
前記配置台は、前記第1配置エリアを有する第1腕部と、前記第2配置エリアを有する第2腕部を含み、
前記第1腕部と前記第2腕部は第2方向に沿って離間する
請求項1又は2に記載の締結紐切断装置。
【請求項4】
前記配置台は、前記第1腕部の前記第1方向に沿った一端部と前記第2腕部の前記第1方向に沿った一端部とを連結する連結部を更に含み、
前記連結部は、前記挿入先端部と連接する
請求項3に記載の締結紐切断装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の締結紐切断装置と、
前記締結紐切断装置の動きを制御する制御ユニットと
を具備する処理装置。
【請求項6】
ロボットアームを更に具備し、
前記締結紐切断装置は、前記ロボットアームの先端に装着される
請求項5に記載の処理装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の処理装置を用いた、締結紐で締結された被締結物の処理方法であって、
前記締結紐切断装置を、前記挿入先端部から前記被締結物と前記締結紐との間に挿入し、移動して前記締結紐を前記第1配置エリア及び前記第2配置エリアに配置する、前記締結紐切断装置を挿入する挿入工程と、
前記固定用部材を前記固定位置に移動し、前記第1配置エリアに対して前記締結紐を前記固定用部材で固定して前記締結紐を把持する把持工程と、
前記固定用部材により前記締結紐を把持した状態で、前記締結紐切断装置により、前記締結紐で締結された被締結物をその位置姿勢が変更するように移載する移載工程と、
前記締結紐で締結された被締結物の位置姿勢の変更後、前記固定用部材により前記締結紐を把持した状態で前記切断刃を移動して前記締結紐を切断する切断工程
を備える締結紐で締結された被締結物の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締結紐で締結された被締結物の締結紐の切断に用いられる締結紐切断装置、処理装置及び処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、人手に拠らずパレット上の結束たばを把持して荷解きして後段のラッピング装置等へ自動供給可能な結束たば荷解き供給装置が記載されている。該結束たば荷解き供給装置では、結束たばの把持及び移載を行う移載工程と、切断を行う切断工程とは、別々の装置で行われる。切断工程では、紐すくい部が円弧状に移動して締結紐の十字交差部をすくい、同様に円弧状に移動する回転刃によって十字紐の縦紐及び横紐が切断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-104033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
引用文献1に記載される結束たば荷解き供給装置では、紐切断工程で、紐すくい部が円弧動作により締結紐の十字交差部をすくうように構成されているが、十字交差部をすくえない場合がある。この場合、確実に紐を切断することができず、紐の切断不良が生じることがある。
【0005】
本発明の課題は、切断不良の発生を抑制することが可能な締結紐切断装置、処理装置及び処理方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係わる締結紐切断装置は、被締結物を締結する締結紐を、切断位置において切断可能である。
上記締結紐切断装置は、ベース部と、切断刃と、固定用部材と、段差部とを具備する。
上記ベース部は、挿入先端部と、第1配置エリア及び第2配置エリアを有する。
上記挿入先端部は、第1方向に沿った一方の向きの端部である一端部に設けられる。
上記第1配置エリア及び上記第2配置エリアは、上記ベース部の上面に位置している。より詳細には、上記第1配置エリア及び上記第2配置エリアは、上記第1方向に沿った他方の向きの端部である他端部に設けられる。上記第1配置エリア及び上記第2配置エリアは、上記切断位置を挟んで上記第1方向と直交する第2方向に沿って離間して配される。
上記ベース部は、上記被締結物と上記締結紐との間に、上記挿入先端部から挿入されて上記締結紐が上記第1配置エリア及び上記第2配置エリアに配置されるように挿入される。
上記切断刃は、上記第1方向に沿った一方の向きに向けられ、上記切断位置を挟んで上記第1方向に離間して配される始点位置と終点位置との間を移動可能である。
上記固定用部材は、上記締結紐が上記第1配置エリアに配置された状態で上記第1配置エリアに対して上記締結紐を固定する固定位置と、上記第1配置エリアに対する上記締結紐の固定を解除する解除位置と、の間を移動可能である。
上記段差部は、上記ベース部に設けられ、上記第2配置エリアに上記締結紐が配置された状態で上記締結紐の上記第1方向に沿った一方の向きへの移動を制限する。
【0007】
本発明の一形態に係る処理装置は、上記締結紐切断装置と、上記締結紐切断装置の動きを制御する制御ユニットとを具備する。
【0008】
本発明の一形態に係る締結紐で締結された被締結物の処理方法は、上記処理装置を用いた処理方法である。
上記締結紐で締結された被締結物の処理方法は、挿入工程と、把持工程と、移載工程と、切断工程を備える。
上記挿入工程は、上記締結紐切断装置を、上記挿入先端部から上記被締結物と上記締結紐との間に挿入し、移動して上記締結紐を上記第1配置エリア及び上記第2配置エリアに配置する、上記締結紐切断装置を挿入する工程である。
上記把持工程は、上記固定用部材を上記固定位置に移動し、上記第1配置エリアに対して上記締結紐を上記固定用部材で固定して上記締結紐を把持する工程である。
上記移載工程は、上記固定用部材により上記締結紐を把持した状態で、上記締結紐切断装置により、上記締結紐で締結された上記被締結物をその位置姿勢が変更するように移載する工程である。
上記切断工程は、上記締結紐で締結された上記被締結物の位置姿勢の変更後、上記固定用部材により上記締結紐を把持した状態で上記切断刃を移動して上記締結紐を切断する工程である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、締結紐の切断不良の発生を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係わる締結紐切断装置の斜視図である。
図2】上記締結紐切断装置の使用形態例を説明する図である。
図3】上記締結紐切断装置による挿入工程を説明する図であって、締結紐がすくい上げられ第1及び第2配置エリアへ移動するまでの締結紐切断装置の挿入の様子を説明する図である。
図4】(A)は締結紐が配置された上記締結紐切断装置の一部を拡大した概略斜視図であり、(B)は概略平面図であり、(C)は上記締結紐切断装置の一部を構成するベース部の挿入先端部を含む部分斜視図である。
図5】上記締結紐切断装置による締結紐の切断の様子を説明する図である。
図6】上記締結紐切断装置を有する処理装置を備えた処理システムの図である。
図7】上記処理装置の部分機能構成ブロック図である。
図8】上記処理装置における処理工程図である。
図9】上記処理装置による挿入工程を説明する図であって、2本の締結紐で締結された処理対象物の締結紐がすくい上げられ第1及び第2配置エリアへ移動するまでの締結紐切断装置の挿入の様子を説明する図である。
図10】(A)は図9(C)を平面視した概略平面図であり、(B)は図10(A)のXB-XB線で切断した概略断面図である。
図11】上記処理装置による移載工程の様子を説明する図である。
図12】上記処理装置による締結紐引き離し工程及び締結紐回収工程の様子を説明する図である。
図13】(A)は上記処理装置による締結紐の切断の様子の概略平面図であり、(B)は締結紐切断後の様子を説明する概略平面図である。
図14】上記処理装置に搭載された光学式カメラによる締結紐の位置検出の様子を説明する概略平面図である。
図15】上記処理装置による締結紐すくい上げ開始時の処理対象物に対する締結紐切断装置の位置決めを説明する図である。
図16】処理対象物が斜めに配置される場合の上記処理装置による締結紐すくい上げ開始時の処理対象物に対する締結紐切断装置の位置決めを説明する図である。
図17】上記締結紐切断装置が有する爪部の変形例である。
図18】本発明の他の一実施形態に係わる締結紐切断装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を、図面を用いてその好ましい実施形態に基づき説明する。尚、図面において、図面を見やすくするために、装置構成を適宜簡略化して図示している場合がある。
【0012】
<締結紐切断装置>
図1に示すように、本発明の一実施形態に係わる締結紐切断装置1は、互いに直交する第1方向、第2方向及び第3方向を有する。第1方向は締結紐切断装置1の延在方向に対応する。第2方向は、締結紐切断装置1の幅方向に対応する。第3方向は、締結紐切断装置1の高さ方向に対応する。
【0013】
図2に示すように、締結紐切断装置1は、処理対象物4の締結紐2を切断することが可能に構成される。処理対象物4は、例えば平らにした段ボールシート等の被締結物3が複数積層されてなる積層物が締結紐2によって締結されてなる。
締結紐切断装置1は、処理対象物4の締結紐2と被締結物3との間に挿入された状態で、締結紐2を切断する。
【0014】
本明細書において、処理対象物4の、締結紐切断装置1が挿入される側の面を第1の面4aと称する。図2に示す例では、第1の面4aは、積層された複数の被締結物3のうち最も上に配される被締結物3の一面であり、複数の被締結物3の積層方向に略垂直な面である。また、処理対象物4の第1の面4aに略垂直な面を側面4bと称する。側面4bは、積層方向に略平行な面であり、図2に示す例では、処理対象物4は、4つの側面4bを有する。
また、平面視略矩形の処理対象物4の第1の面4aにおける、締結紐2に平行又は略平行な一対の対向する側部をそれぞれ第1の側部4cという。第1の側部4cと締結紐2が完全に平行に位置せず、締結紐2が斜めに位置する場合があり、この場合、第1の側部4cと締結紐2とは略平行に位置することになる。
【0015】
典型的には、締結紐切断装置1は、第1方向に沿って移動されて、締結紐2と被締結物3との間に挿入される。本明細書において、第1方向において、締結紐2と被締結物3との間へ挿入する際の締結紐切断装置1の移動の向きを「一方の向き」と称し、これとは反対の向きを「他方の向き」と称する。
また、本明細書において、締結紐切断装置1を処理対象物4の第1の面4a上に締結紐2の切断時の姿勢で配置した際に、締結紐切断装置1からみて第1の面4aに向かう側を「下」と称し、第1の面4aから遠ざかる側を「上」と称する。
また、本明細書において、上から第3方向(高さ方向)に沿ってみることを平面視という。
また、本明細書において、「第1方向(第2方向又は第3方向)に沿って」とは、第1方向(第2方向又は第3方向)に平行な方向だけでなく、第1方向(第2方向又は第3方向)成分を含む方向も含む。
【0016】
本明細書において、締結紐2の短手方向(締結紐における幅方向に対応)における一対の側縁のうち、締結紐2からみて締結紐切断装置1が挿入される側の側縁を第1側縁2aと称し、他方の側縁を第2側縁2bと称する。
【0017】
図1及び図2に示すように、締結紐切断装置1は、ベース部5と、押さえ機構75と、段差部としての切り欠き溝6と、切断機構92と、爪部8と、を有する。締結紐切断装置1では、処理対象物4の締結紐2と被締結物3との間に挿入された状態で、処理対象物4の締結紐2を切断位置20において切断可能となっている。
以下、各構成について説明する。
【0018】
[ベース部]
図1に示すように、ベース部5は、挿入先端部51と、配置台50と、側壁部52と、を有する。挿入先端部51、配置台50及び側壁部52は、例えば一体的に形成される。挿入先端部51は、配置台50を間に介して第1方向に沿って側壁部52とは反対側に設けられる。ベース部5は、第1方向に沿った一方の向きの端部である一端部5aと第1方向に沿った他方の向きの端部である他端部5bとを有し、一端部5aに挿入先端部51が設けられ、他端部5bに側壁部52が設けられる。ベース部5は、例えばアルミ、ステンレス鋼、樹脂材から構成される。
【0019】
図1及び図2に示すように、ベース部5は、第3方向に沿って対向する一対の面を有し、このうち一方の面は、締結紐切断時に処理対象物4の第1の面4aにより近い面であり、ここでは下面5cと称する。また、第3方向に沿って下面5cと対向する面を上面5dと称する。
本実施形態の締結紐切断装置1において、上面5dは、後述する挿入先端部51の傾斜面51a(例えば図4(C)参照)と、配置台50の上面50aと、側壁部52の上面とを含む。
一方、下面5cは、挿入先端部51の下面、配置台50の下面及び側壁部52の下面が同一平面上で連なって構成される。
【0020】
(挿入先端部)
図1に示すように、挿入先端部51は、ベース部5の一端部5aに設けられる。図2及び図3(A)~(D)に示すように、締結紐切断装置1は、処理対象物4の締結紐2と被締結物3との間に、締結紐2の長手方向に対して締結紐切断装置1の第1方向が略直交する向きに、挿入先端部51側から挿入され、第1方向に沿って一方の向きに移動することで、締結紐2をすくう。
締結紐2と被締結物3との間への挿入時における、第1の面4aに締結紐切断装置1を投影したときの締結紐2の長手方向と締結紐切断装置1の第1方向との角度は70°から90°程度に設定される。
【0021】
図1及び図3に示すように、挿入先端部51は、第1方向に沿った一方の向き(他端部5bから一端部5aに向かう向き)に向かってその厚さ(第3方向における寸法)が減少する、傾斜面51aを有する形状を有する。傾斜面51aは、配置台50の上面50aに対して傾斜する面である。このように挿入先端部51を一方の向きに向かって厚さが減少する形状とすることで、締結紐2をより確実にすくうことができ、締結紐2のすくい不良の発生を抑制することができる。
【0022】
更に、締結紐2のすくい不良の発生をより確実に抑制する観点から、挿入先端部51の傾斜面51aに、一部が該傾斜面51aから突出する爪部8(詳細については後述する)が設けられることが好ましい。
この形態では、挿入先端部51は、爪部8とともに締結紐2と被締結物3との間に挿入される。このため、挿入先端部51の厚みが厚すぎると、挿入先端部51を挿入できない場合がある。また、爪部8は挿入先端部51に対して、例えば皿ネジ等によって挿入(すくい)に影響がないように固定される。
図4(C)を参照して、挿入先端部51の強度を確保しつつ、締結紐2と被締結物3との間により確実に挿入先端部51を挿入させる観点から、挿入先端部51の最先端(最も厚みが薄い部分)の厚みdは1mm以上5mm以下程度とすることが好ましい。
図4(C)を参照して、ネジ止めによる爪部8の固定を可能とする観点から、挿入先端部51のネジ加工を施す部分ではある程度の厚みが必要であり、挿入先端部51の最も厚みが厚くなる部分の厚みeを5mm以上10mm以下程度とすることが好ましい。尚、爪部8は粘着テープ等で固定してもよく、この場合、ネジ止めの場合と比較して、厚みeをより薄くしてもよい。
【0023】
図3及び図4(C)を参照する。図3(A)~(D)に示すように、挿入先端部51ですくわれた締結紐2は、締結紐切断装置1が第1方向に沿って一方の向きに移動することで、挿入先端部51の傾斜面51aを通って配置台50の上面50aへと移動する。この際、締結紐2は、挿入先端部51の傾斜面51aと配置台50の上面50aとの境界部分であるベース部5の角部5eを通過し、また、ベース部5の上面50aの幅を規定する一対の辺に対応する角部5f(図4(C)参照)を通過する。これら角部5e及び角部5fで締結紐2が引きちぎれないように、角部5e及び角部5fにC面取り処理やR面取り処理を施すことが好ましい。
【0024】
(配置台)
図1図4(A)及び(B)に示すように、配置台50は、挿入先端部51と連接する。配置台50の上面50aには、第1配置エリア21と第2配置エリア22が設けられる。締結紐切断時の状態の締結紐切断装置1において、締結紐2は第1配置エリア21及び第2配置エリア22に配置される。第1配置エリア21及び第2配置エリア22は、締結紐切断装置1を平面視したときに、締結紐2と重なるベース部5上の領域にほぼ相当する。第1配置エリア21及び第2配置エリア22は、切断位置20を挟んで、第2方向に沿って離間して配される。第1配置エリア21及び第2配置エリア22は、ベース部5の他端部5bに設けられる。本実施形態では、第1配置エリア21及び第2配置エリア22は、側壁部52に隣接してその挿入先端部51側に設けられ、挿入先端部51からみると切断位置20を挟んでベース部5の左右に振り分けられるように配置されている。
【0025】
図3(A)~(E)に示すように、配置台50では、締結紐2は、第1配置エリア21及び第2配置エリア22に配置される。詳細には、締結紐切断装置1を第1方向に沿って移動させることで、締結紐2は、挿入先端部51の傾斜面51aを通って配置台50の上面50aへと移動する。続いて、締結紐2は、上面50a上を滑るように第1方向に沿った他方の向きに移動して、ベース部5の第1方向における他端部5bに設けられる第1配置エリア21及び第2配置エリア22へ到達する。締結紐2は、第1配置エリア21及び第2配置エリア22に配置された状態で切断される。
【0026】
図1図4(A)及び(B)に示すように、配置台50は、第1腕部11と、第2腕部12と、連結部13と、を有する。
第1腕部11及び第2腕部12は、それぞれ、第1方向に延在する。第1腕部11と第2腕部12は、第2方向に沿って離間して配される。
図4(B)に示すように、連結部13は、第1腕部11の第1方向に沿った一端部11aと第2腕部12の第1方向に沿った一端部12aを連結する。連結部13は、第2方向に延在する。連結部13は、挿入先端部51と連接する。
第1腕部11、第2腕部12及び連結部13から構成される配置台50は、平面視でコの字状を有する。
第1腕部11、第2腕部12及び連結部13により囲まれた空間は、後述する切断刃9及び切断刃9を支持する切断刃支持ベース17が、移動する移動領域95の一部を構成する。尚、本実施形態では、第1腕部11、第2腕部12及び連結部13により囲まれた空間は、ベース部5の部材がない第3方向に沿って貫通した孔状として形成されるが、底部があってもよく、該底部、第1腕部11、第2腕部12及び連結部13により囲まれた領域を移動領域としてもよい。
【0027】
第1腕部11には、第1配置エリア21が設けられる。第2腕部12には、第2配置エリア22が設けられる。つまり、締結紐2は、その長手方向に沿った離間する2点で、ベース部5上に保持され得る。
【0028】
締結紐2を、引っ掛からないように上面50a上を滑らかに移動させ第1配置エリア21及び第2配置エリア22に確実に到達させる観点から、締結紐2が接して移動する領域となる上面50aの第1配置エリア21及び第2配置エリア22以外の領域は、フラット面であることが好ましい。尚、フラット面には、例えば、締結紐2の移動が阻害されない程度の微細な凹凸を有する面も含まれる。
【0029】
本実施形態の締結紐切断装置1では、第1配置エリア21は、上面50aの第2配置エリア22以外の領域と同一平面上にある。第1配置エリア21も上記観点からフラットな面であることが好ましい。
本実施形態の締結紐切断装置1では、第2配置エリア22に、上面50aの第2配置エリア22以外の領域よりも第3方向下方に向かって陥没した切り欠き溝6が設けられる形態となっている。
【0030】
(側壁部)
図1に示すように、側壁部52は、ベース部5の他端部5bに設けられる。側壁部52は、配置台50を間に介して第1方向に沿って挿入先端部51の反対側に設けられる。側壁部52は、配置台50から上方に向かって突出して延在する。
【0031】
側壁部52は、上面50aに垂直な側面52aを有する。なお、側面52aは、上面50aに対して斜めの面であってもよい。第1配置エリア21及び第2配置エリア22は、側面52aに隣接する。
【0032】
図3(A)~(E)に示すように、挿入時、締結紐切断装置1のベース部5は、締結紐2の第1側縁2aが、側面52aに接するまで、締結紐2と被締結物3との間に差し込まれる。これにより、締結紐2は、第1配置エリア21及び第2配置エリア22へと誘導され、第1配置エリア21及び第2配置エリア22に配置される。より詳細には、第2配置エリア22においては、締結紐2は、第2配置エリア22に設けられる後述する切り欠き溝6内に配置されるように誘導される。このように、側壁部52は、ベース部5上での締結紐2の位置決めに用いられ得る。
【0033】
[押さえ機構]
図1に示すように、押さえ機構75は、固定用部材としての押さえ板7と、第1駆動ユニット72と、を有する。
【0034】
固定用部材としての押さえ板7は、ベース部5の第1配置エリア21に配置される締結紐2を、ベース部5とともに挟み、締結紐2を締結紐切断装置1に対して固定することが可能に構成される。押さえ板7は、締結紐2を固定して、第1配置エリア21での締結紐2の配置位置を保持する保持手段といえる。
【0035】
押さえ板7は、固定位置71と解除位置70との間を移動可能である。
固定位置71は、締結紐2を第1配置エリア21に配置した状態で第1配置エリア21に対して締結紐2を固定する位置である。押さえ板7により締結紐2を固定することで、締結紐切断装置1により締結紐2が把持される。
解除位置70は、第1配置エリア21に対する締結紐2の固定が解除される位置である。図1に示す例では、固定位置71は解除位置70の下方に位置し、押さえ板7は第3方向に沿って上下に移動可能に構成される。尚、押さえ板7が上下方向に移動する形態に限定されず、例えば解除位置が、固定位置の斜め上方にあってもよい。
また、固定用部材の形状は、押さえ板7のような板状に限定されず、例えば箱状であってもよく、締結紐2を押さえる面を有していればよい。
【0036】
第1駆動ユニット72は、押さえ板7の、解除位置70と固定位置71との間の移動を制御する。
第1駆動ユニット72は、例えば、エアシリンダ、油圧シリンダ、リニアモータ等のリニアアクチュエータである。本実施形態では、例えば第1駆動ユニット72として、ピストンロッド73を有するエアシリンダを用いる例をあげている(図5参照)。押さえ板7は、エアシリンダ(第1駆動ユニット72)のピストンロッド73又はロッド先端に設けられるプレートに固定される。押さえ板7は、第1駆動ユニット72の駆動により、解除位置70と固定位置71との間の移動(本実施形態では上下方向の移動)が可能となる。
【0037】
図1及び図4(A)に示すように、押さえ板7は、締結紐2が挿入される側の端部に、上方に向かって反ったガイド部7aを有している。ガイド部7aは、押さえ板7の端部をテーパ状に切削加工や曲げ加工することで形成することができる。
ガイド部7aは、第1方向に沿った他方の向きに向かって第1腕部11の上面50aとの距離が徐々に短くなる傾斜を有している。このような形状とすることで、締結紐2をベース部5の上面50a上で移動させる際に、締結紐2が押さえ板7にひっかかりにくく、締結紐2をベース部5と押さえ板7との間に誘導することができる。
【0038】
図4(A)及び図5(A)に示すように、固定位置71において、押さえ板7の下面7bは、締結紐2と接する面となる。締結紐2を位置ずれしにくくし、第1配置エリア21に対してより確実に締結紐2を固定する観点から、下面7bは、締結紐2との摩擦係数が大きくなるように構成されることが好ましい。例えば、摩擦係数を大きくするために、押さえ板7の下面7bにエンボス加工、ローレット加工、又はサンドブラスト加工等を施して凹凸を形成してもよい。或いは、摩擦係数を大きくするために、押さえ板7の下面7bにゴム材等の部材を貼り付けてもよい。
【0039】
ベース部5において、第1配置エリア21は、締結紐切断時に、固定位置71に位置する押さえ板7が締結紐2を介して接する部位である。上述したように、第1配置エリア21は、フラットな面となっている。
【0040】
[切り欠き溝(段差部)]
図1図4(A)及び(B)に示すように、締結紐切断装置1は、段差部としての切り欠き溝6を有する。切り欠き溝6は、ベース部5に設けられる。切り欠き溝6は、第2腕部12の第2配置エリア22に配置される締結紐2の第1方向に沿った移動を制限する。本実施形態では、切り欠き溝6は、第2配置エリア22の領域に対応して設けられる。切り欠き溝6は、配置台50の上面50aに、上面50aの他の領域よりも陥没して形成され、段差を形成する。切り欠き溝6は、その内部に締結紐2を配置させて、第2配置エリア22での締結紐2の配置位置を、第1方向に沿った移動を若干許容しつつ保持する保持手段といえる。
【0041】
図3(D)、図4(A)及び(B)に示すように、切り欠き溝6は、第1方向に沿って対向する一対の内側面と、底面6bを有する。本実施形態では、底面6bは例えばフラットな面であり、配置台50の上面50aに平行な面である。一対の内側面のうち一方の内側面6aは、図に示す例では、上面50a及び底面6bと垂直な面となっているが、上面50a及び底面6bに対して斜めの面であってもよい。一対の内側面のうち他方の内側面は、側壁部52の側面52aにより構成され、切り欠き溝6は側壁部52に隣接する。尚、締結紐2との摩擦係数を大きくすることを目的に、底面6bにエンボス加工、ローレット加工、又はサンドブラスト加工等を施して、凹凸面の底面6bとしてもよい。或いは、摩擦係数を大きくするために、底面6bにゴム材等の部材を貼り付けてもよい。
【0042】
図3(E)、図4(A)及び(B)に示すように、切り欠き溝6内に配置される締結紐2は、底面6b上に配置され、第1側縁2aが側壁部52の側面52aに当接可能であり、また、第2側縁2bが他方の内側面6aに当接可能である。切り欠き溝6は、その内部に締結紐2を配置した状態で、第1方向における締結紐2の移動を制限する。より詳細には、切り欠き溝6は、一方の内側面6aによって切り欠き溝6内に配置される締結紐2の第1方向に沿った一方の向きへの移動を制限し、側面52aによって切り欠き溝6内に配置される締結紐2の第1方向に沿った他方の向きへの移動を制限する。
【0043】
切り欠き溝6は、平面視で矩形状を有する。平面視において、切り欠き溝6は、第2腕部12の第2方向における全長に設けられ、切り欠き溝6の第2方向の長さは、第2腕部12の第2方向の長さと同じである。また、切り欠き溝6の第1方向の長さは、処理対象物4の締結紐2の短手方向の長さと同じか、やや長くなっている。
【0044】
図4(A)を参照する。
切り欠き溝6内に締結紐2を確実に配置するとともに、締結紐切断時に締結紐2がその短手方向に過度に移動しないように制限して締結紐2を確実に切断する観点から、切り欠き溝6の底面6bの第1方向における長さmは、締結紐2の短手方向寸法より5mm程度大きい寸法であることが好ましい。
切り欠き溝6内に締結紐2を確実に配置して締結紐2が切り欠き溝6内から離脱しにくくする観点から、切り欠き溝6の第3方向における溝深さnは、配置台50の第3方向における寸法pの半分程度、又は5mm程度であることが好ましい。
【0045】
また、切り欠き溝6は、一方の内側面6aと底面6bとの角度が、90°±10°の範囲内であることが好ましく、90°±5°であることが更に好ましい。これにより、上面50a上を第1方向に沿った他方の向きに移動する締結紐2を確実に切り欠き溝6内へと誘導することができる。尚、切り欠き溝6内に誘導された締結紐2が、切り欠き溝6からより一層離脱しにくくする観点から、90°とすることが特に好ましく、より確実に締結紐2を切断することができる。
【0046】
[切断機構]
図1に示すように、切断機構92は、切断刃9と、切断刃9を支持する切断刃支持ベース17と、第2駆動ユニット93(後述する図7参照)と、を有する。
【0047】
切断刃9は、その刃先が第1方向に沿った一方の向きに向けられ、刃をたてた状態(刃の幅方向が第3方向と一致する状態)で切断刃支持ベース17に支持される。切断刃9は、これを支持する切断刃支持ベース17に対して交換可能となっている。なお、本実施形態では、刃先はその下方が先に切断位置20に到達するように若干斜めになっている。
【0048】
締結紐切断装置1において、図4(A)及び(B)に示すように第1配置エリア21及び第2配置エリア22に締結紐2が配置された状態で、図5(A)~(C)に示すように切断刃9を始点位置90から終点位置91に移動させることで、締結紐2は切断位置20で切断される。尚、図5(C)の側面図において、実際には締結紐2の切断端部は側部からは視認し難いが、締結紐2の切断の様子がわかりやすいように、便宜的に切断端部を図示している。
【0049】
図1に示すように、切断刃支持ベース17は、第1方向の一方の向きに向かってその厚さが減少する形状を有する。このような構成とすることで、切断刃9を支持する切断刃支持ベース17を移動させて締結紐2を切断する際に、切断刃支持ベース17が締結紐2に引っ掛かりにくくなり、より確実に締結紐2を切断することができる。
【0050】
第2駆動ユニット93は、切断刃9が支持された切断刃支持ベース17を第1方向に進退させる。第2駆動ユニット93は、例えば、エアシリンダ、油圧シリンダ、リニアモータ等のリニアアクチュエータである。
図1図5(A)~(C)に示すように、切断刃9及びこれを支持する切断刃支持ベース17は、第2駆動ユニット93の駆動により、切断位置20を挟んで第1方向に離間して配される始点位置90と終点位置91との間を移動可能となっている。切断刃9を、始点位置90から終点位置91に移動させることで、切断位置20に位置する締結紐2を切断することができる。
切断刃9が支持された切断刃支持ベース17は、ベース部5の一部を構成する第1腕部11、第2腕部12及び連結部13により囲まれた領域を含む移動領域95内で移動する。
図1に示すように、締結紐切断装置1は、カバー部53を有する。該カバー部53は、切断刃9が始点位置90に位置する状態で、切断刃9が支持された切断刃支持ベース17を2つの側方及び上方の三方で覆うように設けられる。カバー部53は、第3方向に沿った断面がコの字状を有する。図1及び図2に示すように、締結紐切断装置1は、カバー部53の側方から第2方向に突出して延在する規制板54を有している。規制板54の下面は、ベース部5の下面5c及びカバー部53の下面と同一平面上にある。規制板54は、締結紐切断装置1で締結紐2を把持して移載する際の処理対象物4の姿勢を規制する。
【0051】
切断位置20は、第1配置エリア21と第2配置エリア22との間に位置する。切断位置20は、切断刃9が通り、締結紐2を切断するところである。
図1及び図4(B)に示すように、切断位置20は、押さえ板7による締結紐2の固定がなされる第1配置エリア21に近接した位置に設けられるのが好ましい。「切断位置が第1配置エリアに近接する」とは、切断位置20が、第1配置エリア21と第2配置エリア22との間(移動領域95)の第2方向に沿った長さの半分の位置よりも第2方向に沿ってより第1配置エリア21に近い領域に位置する状態をいう。
【0052】
[爪部]
図1に示すように、爪部8は、挿入先端部51の傾斜面51aに設けられる。爪部8は、挿入先端部51に対し、例えばネジ止めされる。
【0053】
爪部8は、ベース部5の挿入先端部51から下方に突出する突出部位8aと、挿入先端部51の傾斜面51aに固定される固定部位8bとを有する。爪部8において、突出部位8aと固定部位8bとは連なって一体化した構造となっており、全体的に平坦な薄板形状を有する。突出部位8aは、傾斜面51aの傾斜に沿って、挿入先端部51から下方に向かって突出する。
【0054】
ベース部5の挿入先端部51から突出する突出部位8aを有する爪部8を設けることで、締結紐2をより確実にすくうことができ、締結紐2のすくい不良の発生をより抑制することができ、ひいては締結紐の切断不良の発生を抑制することができる。
【0055】
爪部8の突出部位8aにて締結紐2をより確実にすくう観点から、爪部8の突出部位8aは、薄く、撓むように構成されることが好ましく、爪部8は、弾性部材又は弾性変形可能な形状、より具体的には薄板状であることが好ましい。爪部8として、例えばPP(ポリプロピレン、曲げ弾性率1350MPa)、PE-HDPE(高密度ポリエチレン、曲げ弾性率880MPa)、SUS(弾性係数193000MPa)、ばね鋼(弾性係数206000MPa)等を用いることができる。爪部8に、弾性部材又は弾性変形可能な形状のものを用いることで、締結紐2と被締結物3との間に爪部8を挿入させる際に、爪部8の突出部位8aを撓ませることができ、より確実に締結紐2をすくうことができる。
【0056】
締結紐2をより確実にすくう観点から、爪部8の厚みは0.5mm以下程度が好ましい。同様の観点から、爪部8の、最初に締結紐2と被締結物3との間に挿入される部位(突出部位8aの先端部分)の幅(第2方向の寸法)は10mm以下程度が好ましい。また、爪部8の突出部位8aの根元部分(突出部位8aと固定部位8bとの境界部分)の幅(第2方向の寸法)はベース部5の幅f(図4(C)参照)と同じであることが好ましい。
【0057】
爪部8に用いる材料は、被締結物3の材質によって適宜設定してもよい。例えば、被締結物3が金属、紙のシート、透明樹脂、ガラス等の傷つき易い材質の場合には、爪部8にプラスチック系の材料を用いることが好ましい。また、被締結物3が段ボールである場合には、爪部8にステンレス板(SUS)を用いることが好ましい。
【0058】
更に、爪部8の突出部位8aにて締結紐2をより確実にすくう観点から、爪部8の突出部位8aは、平面視で第1方向の一方の向きに向かって第2方向における寸法(幅方向寸法)が減少する形状を有することが好ましい。
図1に示す例では、爪部8は、平面視で三角形状の突出部位8aと矩形状の固定部位8bとが連なった、第1方向の一方の向きに向かって先細る形状を有する。
尚、爪部8の形状はこの形状に限定されない。例えば図17(A)に示す三角形状の爪部8A、図17(B)に示す矩形状の爪部8B、図17(C)に示す楕円状の爪部8C、図17(D)に示す、上記爪部8よりも細長い形状の爪部8D、図17(E)に示す矩形と半楕円とが連なった形状の爪部8E、図17(F)に示す台形と矩形が連なった形状の爪部8F等であってもよい。
【0059】
<締結紐切断装置を用いた締結紐切断方法>
次に、図3図5を用いて、上記締結紐切断装置1の動作について説明する。
【0060】
図2及び図3(A)に示すように、処理対象物4の締結紐2の第1側縁2aに、爪部8の先端を挿入開始位置43にあわせ、かつ、第1の面4aに締結紐切断装置1を投影したときに締結紐2の長手方向に対して締結紐切断装置1の第1方向がほぼ垂直となるように、締結紐切断装置1を移動させる。
【0061】
次に図3(B)に示すように、締結紐切断装置1を第1方向に沿って一方の向きに向かって移動させる。これにより、爪部8の突出部位8aが締結紐2と被締結物3との間に挿入され、突出部位8aは撓む。
【0062】
更に、締結紐切断装置1が第1方向に沿って一方の向きに移動することで、締結紐2と被締結物3との間に爪部8の突出部位8aが挿入され、続いて図3(C)に示すように、ベース部5の挿入先端部51が爪部8とともに締結紐2と被締結物3との間に挿入される。ベース部5の下面5cは処理対象物4の第1の面4aと接する。
【0063】
更に、締結紐切断装置1が第1方向に沿って一方の向きに移動することで、締結紐2は、爪部8を間に介して傾斜面51aに沿って移動し、続いて図3(D)に示すように、上面50a上を移動する。この際、解除位置70に位置する押さえ板7のガイド部7aが上方に反った形状を有しているため、締結紐2が押さえ板7にひっかかりにくく、締結紐2はベース部5と押さえ板7との間に誘導される。
【0064】
更に、締結紐切断装置1が第1方向に沿って一方の向きに移動することで、締結紐2は、図3(E)、図4(A)及び図4(B)に示すように、側壁部52の側面52aに第1側縁2aが接するまで移動し、第1配置エリア21及び第2配置エリア22まで到達する。これにより、第2配置エリア22では、切り欠き溝6内に締結紐2が配置される。
【0065】
図4(A)及び(B)に示すように、締結紐2は、側壁部52の側面52aによって締結紐挿入時の配置台50上での締結紐2の移動が制限される。締結紐2の第1側縁2aは、側面52aに接し得る。
【0066】
第1腕部11の第1配置エリア21に配置される締結紐2は、ベース部5と押さえ板7との間に位置する。締結紐2が第1配置エリア21及び第2配置エリア22に到達するまでは、押さえ板7は解除位置70に位置する。
【0067】
締結紐2が第1配置エリア21及び第2配置エリア22に配置されると、図5(A)に示すように、押さえ板7は第1駆動ユニット72による駆動によって解除位置70から固定位置71へと移動する。これにより、第1配置エリア21において、締結紐2は、押さえ板7とベース部5とに挟まれ、その位置がベース部5に対して固定され、把持される。
第2腕部12の第2配置エリア22では、締結紐2は切り欠き溝6内に配置されることで、第1方向の動き、言い換えると締結紐2の短手方向(幅方向)の動きが制限される。
このように、締結紐2は、第1配置エリア21及び第2配置エリア22の2点で、締結紐2の短手方向の動きが制限される構成となっている。
【0068】
押さえ板7による締結紐2の固定がなされ、切断刃9の移動が開始される前までは、図5(A)に示すように、切断刃9は始点位置90に位置する。
押さえ板7により締結紐2が固定されると、図5(B)及び(C)に示すように、切断刃9は第2駆動ユニット93(図示せず)の駆動によって始点位置90から終点位置91へと移動する。これにより、始点位置90と終点位置91との間にある切断位置20にて、締結紐2が切断される。
【0069】
切断刃9による締結紐2の切断時、締結紐2には、切断刃9によって第1側縁2aから第2側縁2bに向かう方向(第1方向に沿った一方の向き)に力が加わりやすくなっている。そのため、締結紐2は、切断時、第1方向に沿った一方の向きに移動しやすくなっている。これに対し、本実施形態では、第1配置エリア21においては、締結紐2は押さえ板7によって固定されてその移動が制限され、第2配置エリア22においては、締結紐2は切り欠き溝6の一方の内側面6aによって第1方向に沿った一方の向きへの移動が制限される。
【0070】
<作用効果>
締結紐切断装置1を上記構成とすることによる作用効果について説明する。
【0071】
上述のように、本発明の締結紐切断装置1では、締結紐2の切断時に、締結紐2の短手方向の移動が、長手方向に沿って離間する第1配置エリア21及び第2配置エリア22の2点で制限され、更に、第1配置エリア21では締結紐2は押さえ板7によって固定され、その厚み方向への移動をも制限される形態となっている。そして、このような形態で、第1配置エリア21に配置される締結紐2の部位と第2配置エリア22に配置される締結紐2の部位との間を切断位置20として、締結紐2が切断される。このような構成とすることにより、切断時の締結紐2の位置ずれが抑制され、締結紐2を確実に切断することができ、締結紐2の切断不良の発生を効果的に抑制することができる。
【0072】
締結紐切断装置1において、ベース部5が第1配置エリア21及び第2配置エリア22と隣接する側壁部52を有する構成となっていることが好ましい。
このような構成によれば、締結紐2と被締結物3との間への締結紐切断装置1の挿入時に、側壁部52の存在によって、締結紐2を、第1配置エリア21及び第2配置エリア22に、より確実に配置させるように誘導することができる。これにより、締結紐2の長手方向が切断刃9の切断時の移動方向(第1方向)とほぼ垂直となるように締結紐2の位置決めを行うことができる。従って、締結紐2をより確実に切断することが可能となり、切断不良の発生がより抑制される。
【0073】
締結紐切断装置1において、ベース部5の一部を構成する配置台50が、第1腕部11と第2腕部12を含んで構成されることが好ましい。
このような構成によれば、平面視で、締結紐切断時の締結紐2の固定を担う第1配置エリア21及び押さえ板7と、第2配置エリア22に設けられる切り欠き溝6、切断刃9の移動領域95が第2方向に沿って配置される構成とすることができ、締結紐切断装置1全体をコンパクトにすることができる。これにより、締結紐切断装置1を汎用性の高いものとすることができる。
【0074】
締結紐切断装置1において、ベース部5の一部を構成する配置台50が、第1腕部11、第2腕部12及び連結部13を含んで構成され、連結部13が挿入先端部51と連接していることが好ましい。配置台50は、平面視でコの字状を形成する。
このような構成によれば、締結紐切断装置1は、1つの挿入先端部51に対して2つの腕部(第1腕部11及び第2腕部12)が設けられる形態となり、1つの挿入先端部51ですくった締結紐2を、確実に2つの腕部11及び12上に配置させることが可能となる。これにより、締結紐2をより確実に切断することができ、締結紐2の切断不良の発生をより抑制することができる。
尚、ベース部5は、2つの腕部それぞれに挿入先端部が設けられる、つまり2つの挿入先端部を有する形態であってもよい。しかしながら、このような形態の場合、一方の挿入先端部で締結紐2のすくい不良が生じた場合、締結紐2の切断不良が発生する場合がある。このため、締結紐2の切断不良の発生をより確実に抑制する観点から、締結紐切断装置1のように、1つの挿入先端部51に対して2つの腕部(第1腕部11及び第2腕部12)が設けられる形態とすることがより好ましい。
【0075】
締結紐切断装置1において、第2配置エリア22に切り欠き溝(段差部)6を設け、該切り欠き溝6内に締結紐2が配置されることで、締結紐2の第1方向に沿った一方の向きへの移動を制限することができ、切断時の締結紐2の位置ずれを抑制し、締結紐2をより確実に切断することができる。
【0076】
段差部の他の例として、図18に示す締結紐切断装置1Aのように、切り欠き溝を設ける代わりに係止爪26を設けてもよい。図18において、上記締結紐切断装置1と同様の構成には同様の符号を付している。締結紐切断装置1Aは、上記締結紐切断装置1と比較して、段差部の構成のみが異なる。
係止爪26は、ベース部5に設けられる。係止爪26は、一部が第2腕部12の上面に固定され、他の部分が上面から離間し、斜度を有する板状の面となっている。第2腕部12の上面において、係止爪26の付け根部分から側壁部52の側面52aまでの領域が第2配置エリア22となる。係止爪26は、段差を形成し、第2配置エリア22に配置された締結紐2の第1方向に沿った一方の向きへの移動を制限する。切り欠き溝6を設ける場合と同様に、係止爪26は、切断時の締結紐2の位置ずれを抑制し、締結紐2の切断不良の発生を抑制することができる。尚、図18に示す締結紐切断装置1Aでは、第2配置エリア22は、切り欠き溝6のような陥没した凹部形状を有するものではなく、配置台50の上面50aの第2配置エリア22以外の領域と同一平面上にある。
また、切り欠き溝6と係止爪26を組み合わせて段差部を構成してもよい。
【0077】
締結紐切断装置1において、ベース部5の挿入先端部51から下方に突出する突出部位8aを含む爪部8を有することが好ましく、締結紐2をより確実にすくいやすくなり、締結紐2のすくい不良の発生を抑制することができる。
【0078】
更に、爪部8は、弾性部材又は弾性変形可能な薄板状であることが好ましい。
これにより、爪部8の突出部位8aを撓みやすくさせることができる。その結果、締結紐2と被締結物3との間への締結紐切断装置1の挿入時に、図3(B)に示すように、爪部8の突出部位8aが撓み、爪部8の突出部位8aが、被締結物3の表面に沿って移動して被締結物3と締結紐2との間により確実に潜り込むことができ、締結紐2をより一層すくいやすくすることができ、締結紐2のすくい不良の発生を抑制することができる。また、爪部8の突出部位8aが撓みやすいことで、締結紐2と被締結物3との間への締結紐切断装置1の挿入時に、被締結物3の表面に局所的に過度な力がかかりにくく、爪部8の突出部位8aによる被締結物3の傷つきの発生を抑制することができる。
【0079】
締結紐切断装置1において、挿入先端部51が、第1方向に沿った一方の向きに向かってその厚さが減少する、上面50aに対して傾斜する傾斜面51aを有する形状を有し、爪部8が、突出部位8aと、傾斜面51aに固定される固定部位8bと、を有し、突出部位8aは、傾斜面51aの傾斜に沿って挿入先端部51から下方に突出することが好ましい。
このように、挿入先端部51をその厚さが減少する形状とすることで、締結紐2をより確実にすくいやすくすることができ、更に、爪部8の突出部位8aの傾斜角度と固定部位8bの傾斜角度を同じくすることで、突出部位8aで締結紐2をより確実にすくいやすくなる。
【0080】
締結紐切断装置1において、切断位置20が第1配置エリア21に近接した位置に配されることが好ましい。
第1配置エリア21では、押さえ板7によって第3方向に沿って下方に向かって締結紐2が抑えられて固定され、締結紐2は、第1方向、第2方向及び第3方向への移動が制限される形態となる。一方、第2配置エリア22では、締結紐2は、第1方向への移動が制限されるが、第3方向への移動は制限されない形態となっている。このように、第3方向への移動をも制限される第1配置エリア21により近い位置に切断位置20を設けることで、締結紐2をより確実に切断することができる。
【0081】
<処理システム>
次に、図6を用いて、処理システム100について説明する。処理システム100は、上記締結紐切断装置1が先端に設けられたロボットアーム15を有する処理装置(以下、処理ロボットということがある。)10を備える。以下では、処理ロボット(処理装置)10の構成及び動きを中心に説明し、上記締結紐切断装置1の動きをより詳細に説明する。
【0082】
上記締結紐切断装置1はロボットアームのハンド(エンドエフェクタ)として用いることができ、ロボットアームの動きを制御することで、その先端に設けられる締結紐切断装置1の位置姿勢を制御することができる。上記締結紐切断装置1を有する処理ロボット10では、ハンドを変更することなく、1つの締結紐切断装置1で、上述で説明した締結紐の切断の他、処理対象物の把持、移載、締結紐の回収を行うことが可能となっており、汎用性の高いものとなっている。以下、詳細に説明する。
【0083】
図6に示すように、処理システム100は、複数の被締結物3が締結紐2によって締結されてなる処理対象物4を処理するシステムである。処理システム100では、平らにたたまれていた被締結物(例えば段ボールシート)が複数積み重なってなる処理対象物4の締結紐2が切断されて締結が解除された後、個々の被締結物3が立体的な箱へと加工される。
【0084】
処理システム100は、処理対象物4の締結紐2の切断処理と、被締結物3を立体的な箱へと加工する製函処理と、を行う。更に、処理システム100は、切断後の締結紐2の引き離し及び回収処理を行ってもよく、また、製函処理に適した位置姿勢となるように被締結物3を移載する移載処理を行ってもよい。
【0085】
処理システム100は、上記締結紐切断装置1を含む処理ロボット10と、被締結物3を立体的な箱へと加工する製函ロボット142と、を含んで構成される。
処理ロボット10は、上記切断処理を行う。更に、処理ロボット10は、上記引き離し及び回収処理並びに上記移載処理を行ってもよい。
製函ロボット142は、製函処理を行う。
【0086】
処理システム100の説明において、2本の締結紐2が平行に位置する処理対象物4を例に挙げて説明する。尚、処理対象物4において、締結紐2は1本であってもよいし、3本以上あってもよく、被締結物3の大きさや形状等に応じて適宜決定される。また、処理対象物4において、複数の締結紐2が平行に位置する形態に限られず、締結紐2が十字結びされる形態であってもよい。
【0087】
処理システム100は、材料搬送工程エリア110と、移載工程エリア120と、切断、引き離し及び回収工程エリア130と、製函工程エリア140と、各エリアでのロボット等の動きを統括的に制御する制御装置101と、を有する。制御装置101は、例えば、ユーザによるシステムの動作に係わる入力操作が可能となるように、操作ボタンや入力用ディスプレイ等を有していてもよい。
【0088】
材料搬送工程エリア110では、搬入された処理対象物4が、搬送ローラ111によって、搬送目的地112に搬送され、載置される。搬送目的地112に搬送された処理対象物4の第1の面4aは、処理対象物4の最上面に位置し、典型的には水平面に平行である。
【0089】
移載工程エリア120では、処理対象物4は、処理ロボット10によって、搬送目的地112で把持された後、搬送目的地112から仮置き台141へと移載され、位置が変更される。この移載の際、処理対象物4は、位置に加え、姿勢が、製函工程に適した姿勢へと変更されて、仮置き台141に載置される。処理対象物4は、1つの側面4bが下方にくるように、そして該1つの側面4bが水平方向に対して斜めになるように、仮置き台141に立てて載置される。これにより、平らにたたまれて全体的に板状となっている被締結物3は、それぞれ、立てられた姿勢で仮置き台141に載置されることになる。
このように、移載工程エリア120では、処理対象物4が後工程の製函工程に適した位置姿勢に変更される。
処理ロボット10は、上記締結紐切断装置1を有する。処理ロボット10の詳細については後述する。
【0090】
切断、引き離し及び回収工程エリア130では、処理ロボット10によって、仮置き台141に載置された、立てられた姿勢の処理対象物4の締結紐2が切断される。更に、処理ロボット10によって、被締結物3から締結紐2が引き離される。続いて、切断され被締結物3から引き離された締結紐2が回収される。
【0091】
このように、上記締結紐切断装置1を用いることで、該締結紐切断装置1を有する処理ロボット10のみで、締結紐の切断処理に加えて、締結紐の引き離し及び回収処理をも連続して行うことが可能となっている。更に、処理ロボット10のみで、移載処理、切断処理、引き離し及び回収処理を連続して行うことも可能となっている。詳細については後述する。
【0092】
製函工程エリア140では、製函ロボット142によって、仮置き台141に載置された、締結紐2が取り除かれ、互いの締結が解除された被締結物3それぞれの製函が行われる。
【0093】
[処理ロボット(処理装置)]
【0094】
(処理ロボットの外観構成)
図6に示すように、処理ロボット10は、2つのロボットアーム15R及び15Lを有する双腕型ロボットである。尚、処理ロボットにおけるロボットアームの数は2つに限定されない。
【0095】
処理ロボット10は、頭部16と、胴体部18と、右ロボットアーム15Rと、左ロボットアーム15Lと、右締結紐切断装置1Rと、左締結紐切断装置1Lと、を有する。
【0096】
右締結紐切断装置1Rは、右ロボットアーム15Rの先端に設けられる。左締結紐切断装置1Lは、左ロボットアーム15Lの先端に設けられる。
右締結紐切断装置1R及び左締結紐切断装置1Lは、いずれも上記締結紐切断装置1と基本的な構造は同じであり、締結紐2と被締結物3との間に挿入された状態で締結紐2を切断することが可能である。
以下、特に左右を区別する必要がない場合は、ロボットアーム15、締結紐切断装置1という。
【0097】
処理ロボット10において、右締結紐切断装置1Rは、処理対象物4の2本の締結紐2のうち一方の締結紐2を把持、切断することができる。左締結紐切断装置1Lは、他方の締結紐2を把持、切断することができる。以下、右締結紐切断装置1Rにより配置される締結紐2を締結紐2R、左締結紐切断装置1Lにより配置される締結紐2を締結紐2Lといい、特に区別する必要がない場合は締結紐2という。また、締結紐2Rの右締結紐切断装置1Rが挿入される側の側縁を第1側縁2Raといい、締結紐2Lの左締結紐切断装置1Lが挿入される側の側縁を第1側縁2Laといい、特に区別する必要がない場合は第1側縁2aという。
【0098】
図9及び図10(A)に示すように、右締結紐切断装置1Rは、締結紐2Rの第1側縁2Raから挿入される。左締結紐切断装置1Lは、締結紐2Lの第1側縁2Laから挿入される。
図10(A)に示すように、右締結紐切断装置1Rと左締結紐切断装置1Lは、互いの爪部8を向かい合わせた状態で、それぞれ、図上、上側に押さえ板7が位置し、下側に切り欠き溝6が位置する形態となっている。
図10(B)に示すように、処理対象物4は、例えば各締結紐切断装置1が挿入され把持された状態で立てて移載される。移載時、処理対象物4は、各締結紐切断装置1の押さえ板7による固定の一点で把持されて持ち上げられるため、この一点を支点として被締結物3の積層方向に揺れやすくなっている。これに対し、本発明の締結紐切断装置1では、規制板54が設けられることで、移載時の揺れが抑制され、移載時の処理対象物4の姿勢が規制され得る。
【0099】
図6図11及び図12に示すように、処理ロボット10は、基台19上に設けられ、基台19に支持される。基台19は、搬送目的地112に搬送された処理対象物4の高さに応じて昇降可能に構成されていてもよく、基台19の昇降に伴って処理ロボット10全体が上下方向にその高さが変化してもよい。このような構成とすることで、搬送される複数の処理対象物4の高さが異なっても、処理対象物4の高さに応じて、搬送目的地112に載置された処理対象物4の締結紐2を把持するのに適切な高さとなるように、処理ロボット10を移動させることができる。
尚、基台19を昇降させるほか、処理対象物4が載置される搬送目的地112が昇降するように構成してもよい。
【0100】
頭部16は、胴体部18の上端に結合されて設けられる。
胴体部18の左右両側には、右ロボットアーム15R及び左ロボットアーム15Lが設けられる。胴体部18は、基台19に対して水平方向に回転可能に構成される。ロボットアーム15は、アーム駆動ユニット35(図7参照)の駆動により動作し、その先端に設けられる締結紐切断装置1の位置姿勢を三次元的に変更することができる。
【0101】
また、右締結紐切断装置1R及び左締結紐切断装置1Lそれぞれの切断刃9を進退させる第2駆動ユニット93又はベース部5の先端側(挿入先端部51付近)に、右ハンド用高さ検出センサ42R及び左ハンド用高さ検出センサ42Lがそれぞれ搭載されていてもよい(図7図16(A)及び(B)参照)。尚、特に左右を区別する必要がない場合は、高さ検出センサ42という。
【0102】
(処理ロボットの機能構成)
次に、図7の締結紐切断装置1を有する処理ロボット10の機能構成ブロック図を用いて、処理ロボット10の一部の機能構成について説明する。
図7に示すように、処理ロボット10は、センサユニット40と、制御ユニット30と、右ロボットアーム15Rと、左ロボットアーム15Lと、第1駆動ユニット72と、第2駆動ユニット93と、を有する。
【0103】
((センサユニット))
センサユニット40は、処理対象物4の位置情報等をセンシングする。
センサユニット40は、光学式カメラ41と、右ハンド用高さ検出センサ42Rと、左ハンド用高さ検出センサ42Lと、を有する。
【0104】
図14に示すように、光学式カメラ41は、例えば処理ロボット10の頭部16に搭載される。光学式カメラ41は、搬送目的地112に載置された処理対象物4の第1の面4aにある締結紐2の位置を検出する。
光学式カメラ41で撮像された画像データが、制御ユニット30にて画像認識処理されることで、第1の面4aにおける締結紐2の二次元の位置を検出することが可能となっている。また、該画像データを用いた画像認識処理により、締結紐2と被締結物3との間に爪部8が挿入されているか否かを確認することができる。また、画像データを用いた画像認識処理により、処理対象物4の第1の面4aの輪郭を検出することができ、平面視で略矩形状の第1の面4aにおける、2本の締結紐2と平行又は略平行に位置する、一対の第1の側部4cの位置を検出することができる。
【0105】
右ハンド用高さ検出センサ42R及び左ハンド用高さ検出センサ42Lを用いて、処理対象物4の第1の面4aにおける一対の第1の側部4cそれぞれの高さ方向の位置情報を得ることができる。高さ検出センサ42として、近接センサや距離センサを用いることができる。
【0106】
このような構成とすることで、例えば、処理対象物4の第1の面4aが水平面に対して斜めに傾いている場合であっても、高さ検出センサ42のセンシング結果を用いて第1の面4aの傾きを算出することができる。そして、該第1の面4aの傾き情報と、光学式カメラ41の画像データを用いた画像認識処理結果とを用いることで、2本の締結紐2それぞれの三次元の位置情報を得ることができる。
【0107】
2本の締結紐2それぞれの三次元の位置情報を用いて、締結紐切断装置1の挿入開始位置及び第1の面4aに対するベース部5の姿勢を制御することができる。これにより、締結紐のすくい不良の発生を抑制し、確実に締結紐を切断することができる。
【0108】
高さ検出センサ42を用いた、高さ検出は、例えば次のように行うことができる。
図16(A)に示すように、ベース部5の高さ検出センサ42を先端に備えた締結紐切断装置1を、高さ検出センサ42が一対の第1の側部4cそれぞれを検出するまで下降させる。
次に、図16(B)に示すように、各高さ検出センサ42が第1の側部4cを検出したときの、各締結紐切断装置1の高さ方向の位置情報を得る。該位置情報から、処理対象物4の一対の第1の側部4cの高さ方向の位置情報を得ることができる。
【0109】
このように得られた一対の第1の側部4cの高さ方向の位置情報と、被締結物3の横方向寸法(一対の第1の側部4c間距離に対応する)とを用い、三角測量の原理を利用して、制御ユニット30によって、処理対象物4の第1の面4aの傾き情報を得ることができる。
【0110】
そして、第1の面4aの傾き情報と光学式カメラ41のセンシング結果(画像データ)を用いて検出される処理対象物4の第1の面4aに係わる位置情報とを用いて、各締結紐切断装置1の爪部8の先端が挿入される際の挿入開始位置43及び挿入時の締結紐切断装置1の姿勢を算出することができる。
挿入時の締結紐切断装置1の姿勢とは、例えば、第1の面4aに締結紐切断装置1を投影したときに締結紐2の長手方向に対して締結紐切断装置1の第1方向がほぼ垂直となり、かつ、爪部8と第1の面4aとが所定の角度(例えば5°~30°)となる姿勢である。
【0111】
締結紐切断装置1が、算出された挿入開始位置に爪部8の先端をあわせ、かつ、算出された姿勢となるように、各ロボットアーム15の動きが制御される。ロボットアーム15は、制御ユニット30により生成された制御信号に基づいてアーム駆動ユニット35が駆動することで作動する。
【0112】
本実施形態では、光学式カメラ41、右ハンド用高さ検出センサ42R、左ハンド用高さ検出センサ42Lそれぞれのセンシング結果を用いて、締結紐2及び一対の第1の側部4cの三次元位置を検出しているが、これに限定されない。
【0113】
例えば、光学式カメラ41としてステレオカメラを用い、該カメラで取得される画像データを用いて、カメラと第1の面4aとの距離情報をも含む第1の面4aに係わる三次元位置情報を取得してもよい。この場合、右ハンド用高さ検出センサ42R及び左ハンド用高さ検出センサ42Lを設置しなくてもよい。これにより、締結紐切断装置の構造を簡素化することができるとともに、締結紐切断装置の移動時に、例えば処理対象物4と高さ検出センサ42が衝突することで生じる処理対象物4の傷付きや高さ検出センサ42の破損といった問題の発生を回避することができる。
【0114】
また、第1の面4aが水平方向となるように処理対象物4が搬送目的地112に載置される場合、処理対象物4の寸法は事前に測定すればわかるため、必ずしも高さ検出センサ42を設ける必要はない。この場合、光学式カメラ41の画像データのみを用いて処理対象物4に係わる各種位置情報を検出してもよい。
【0115】
((制御ユニット))
図7に示すように、制御ユニット30は、ロボットアーム制御部31と、押さえ機構制御部32と、切断機構制御部33と、を有する。
【0116】
ロボットアーム制御部31は、各ロボットアーム15の動きを制御する。これにより、ロボットアーム15の先端にハンドとして設けられる締結紐切断装置1の位置姿勢とその動きを制御することができる。
ロボットアーム制御部31は、センサユニット40でのセンシング結果を用いて、右ロボットアーム15Rの右アーム駆動ユニット35Rを制御する制御信号及び左ロボットアーム15Lの左アーム駆動ユニット35Lを制御する制御信号を生成し、右アーム駆動ユニット35R及び左アーム駆ユニット35Lへ出力する。
【0117】
ロボットアーム制御部31は、センシング結果取得部310と、位置検出部311と、制御信号生成部312と、を有する。
【0118】
センシング結果取得部310は、センサユニット40で取得されたセンシング結果を取得する。具体的には、センシング結果取得部310は、センシング結果として、光学式カメラ41で撮像された画像データと、右ハンド用高さ検出センサ42R及び左ハンド用高さ検出センサ42Lによって第1の側部4cが検出されたときの各締結紐切断装置1の高さ方向の位置情報を取得する。締結紐切断装置1の高さ方向の位置情報は、言い換えると、処理対象物4の一対の第1の側部4cの高さ方向の位置情報である。
【0119】
位置検出部311は、光学式カメラ41で撮像された画像データを画像認識処理することで、第1の面4aにおける締結紐2の二次元の位置を検出する。また、位置検出部311は、画像データを画像認識処理することにより、処理対象物4の一対の第1の側部4cの二次元の位置を検出する。また、位置検出部311は、画像データを画像認識処理することで、締結紐2の第1側縁2aと爪部8の先端との位置関係を認識することができる。該認識結果に基づいて、締結紐2と被締結物3との間に爪部8が挿入されているか否かを確認することができる。
【0120】
位置検出部311は、右ハンド用高さ検出センサ42R及び左ハンド用高さ検出センサ42Lそれぞれで検出された処理対象物4の一対の第1の側部4cそれぞれの高さ方向の位置情報と、被締結物3の横方向寸法(一対の第1の側部4c間距離に対応する)とを用い、三角測量の原理を利用して、処理対象物4の第1の面4aの傾きを算出する。
【0121】
位置検出部311は、光学式カメラ41の画像データに基づく締結紐2及び一対の第1の側部4cの二次元の位置情報と、高さ検出センサ42のセンシング結果に基づく第1の面4aの傾き情報を用いて、締結紐2の第1側縁2aの三次元位置情報を得る。
位置検出部311により得られた締結紐2の第1側縁2aの三次元位置情報及び一対の第1の側部4cの位置情報は、制御信号生成部312に出力される。
【0122】
制御信号生成部312は、胴体部18及び各ロボットアーム15の動きを制御する制御信号を生成する。生成された制御信号は、各ロボットアーム15のアーム駆動ユニット35、胴体部18を駆動する胴体駆動ユニット(図示せず)へ出力される。処理ロボット10の胴体部18及びロボットアーム15は、該制御信号に基づいて作動する。
【0123】
制御信号生成部312は、位置検出部311により得られた締結紐2の第1側縁2aの三次元位置情報及び一対の第1の側部4cの位置情報を用いて、各ロボットアーム15、胴体部18の動きを制御する制御信号を生成する。
【0124】
制御信号生成部312は、上記位置情報を用いて、締結紐切断装置1の被締結物3と締結紐2との間への挿入時の各締結紐切断装置1の動きを制御するための各ロボットアーム15のアーム駆動ユニット35の制御信号を生成する。
具体的には、各締結紐切断装置1の、被締結物3と締結紐2の間への挿入開始位置43と、挿入時の締結紐切断装置1の姿勢が算出され、算出された位置姿勢となるよう各締結紐切断装置1が移動するように、制御信号が生成される。
更に、各締結紐切断装置1の爪部8の先端が挿入開始位置43に位置した後、爪部8ですくった締結紐2がベース部5の第1配置エリア21及び第2配置エリア22に移動するように、各締結紐切断装置1を移動させる制御信号が生成される。
【0125】
図15(A)に示すように、制御信号生成部312は、締結紐切断装置1の爪部8の先端が、まず接触開始位置44に位置し、その後、第1の面4aへの接触を維持しながら第1の面4a上を移動し挿入開始位置43まで到達するように、各ロボットアーム15のアーム駆動ユニット35の制御信号を生成してもよく、締結紐2のすくい不良の発生をより確実に抑制することができる。
【0126】
更に、制御信号生成部312は、各締結紐切断装置1が、締結紐2を把持した状態で、処理対象物4を、その姿勢を変えて搬送目的地112から仮置き台141へと移載するように、胴体部18及び各ロボットアーム15の動きを制御する制御信号を生成する。
具体的には、図11(A)~(D)に示すように、締結紐2を把持した締結紐切断装置1が、処理対象物4の姿勢を第1の面4aが水平方向である状態から立てられた状態へと変更し、処理対象物4の位置を搬送目的地112から仮置き台141へと変更するように、胴体部18及び各ロボットアーム15の制御信号が生成される。
【0127】
更に、制御信号生成部312は、仮置き台141へ移載され処理対象物4の締結紐2が切断された後の締結紐2の引き離し及び回収を行うように、各ロボットアーム15の動きを制御する制御信号を生成する。
具体的には、図12(A)~(D)に示すように、締結紐2を把持した締結紐切断装置1を、上方に移動させて切断された締結紐2を被締結物3から引き離して取り去り、更に、引き離した締結紐2を紐回収部38に受け渡す受け渡し位置23に移動させるように、各ロボットアーム15の制御信号が生成される。
【0128】
押さえ機構制御部32は、押さえ機構75の第1駆動ユニット72を制御する制御信号を生成する。制御信号に基づく第1駆動ユニット72の駆動により、押さえ機構75の押さえ板7の固定位置71と解除位置70との間の移動が制御される。
【0129】
押さえ機構制御部32は、第1配置エリア21及び第2配置エリア22に締結紐2が配置されると、押さえ板7が解除位置70から固定位置71に移動するように、押さえ機構75を制御する。
更に、第1配置エリア21にて押さえ板7により締結紐2が把持された後、処理対象物4の移載、締結紐2の切断、締結紐2の被締結物3からの引き離し、受け渡し位置23への移動が終わるまで、押さえ機構制御部32は、押さえ板7が固定位置71に位置するように、押さえ機構75を制御する。
そして、締結紐2の回収では、押さえ機構制御部32は、押さえ板7が固定位置71から解除位置70に移動するように、押さえ機構75を制御する。
【0130】
押さえ板7の解除位置70から固定位置71への移動、固定位置71から解除位置70への移動は、例えばユーザによる制御装置101からの入力操作指示に基づいて行われてもよい。
或いは、光学式カメラ41の画像データや締結紐切断装置1の移動情報等を用いて、押さえ機構75の制御信号が生成されてもよい。
【0131】
切断機構制御部33は、切断機構92の第2駆動ユニット93を制御する制御信号を生成する。制御信号に基づく第2駆動ユニット93の駆動により、切断機構92の切断刃の始点位置90と終点位置91との間の移動が制御される。切断刃9は、締結紐切断時以外は、始点位置90に位置する。切断刃9は、締結紐切断時に、始点位置90から終点位置91まで移動する。締結紐切断後は、終点位置91から始点位置90へと戻る。
【0132】
切断刃9の始点位置90から終点位置91への移動、終点位置91から始点位置90への移動は、例えばユーザによる制御装置101からの入力操作指示に基づいて行われてもよい。
或いは、光学式カメラ41の画像データや押さえ板7の移動情報等を用いて、切断機構92の制御信号が生成されてもよい。
【0133】
<処理ロボット(処理装置)を用いた締結紐で締結された被締結物の処理方法>
処理ロボット10を用いた締結紐で締結された被締結物である処理対象物の処理方法について、図8の処理工程に沿って説明する。図8では、処理ロボット10に係わる処理を中心に説明する。
【0134】
処理ロボット10は、図14に示すように搬送目的地112に対して正対する。搬送目的地112に処理対象物4が搬送されると、光学式カメラ41による撮像及び高さ検出センサ42によるセンシングが開始され、そのセンシング結果は、処理ロボット10の制御ユニット30により取得される(S1)。
【0135】
次に、制御ユニット30により、センシング結果を用いて、処理対象物4(締結紐2及び被締結物3)に係わる位置情報が検出され(S2)、該位置情報を用いて各ロボットアーム15の制御信号及び胴体部18の制御信号が生成される(S3)。
【0136】
生成された制御信号は、各ロボットアーム15のアーム駆動ユニット35、胴体部18の胴体駆動ユニットに出力され、制御信号に基づいて各ロボットアーム15、胴体部18が作動する。これにより、後述するS4~S9の各工程が行われる。
【0137】
図9(A)及び(B)に示す流れに従って、締結紐切断装置1が移動して締結紐2と被締結物3との間に挿入され、締結紐2は第1配置エリア21及び第2配置エリア22に配置される(S4、挿入工程)。この際、押さえ機構75の押さえ板7は解除位置70に位置する。
【0138】
締結紐2が第1配置エリア21及び第2配置エリア22に配置されると、図9(C)に示すように、押さえ機構75の押さえ板7が固定位置71に移動し、第1配置エリア21において、押さえ板7とベース部5とによって締結紐2が挟まれ固定され、締結紐2は把持される(S5、把持工程)。
【0139】
次に、処理ロボット10は、図11(A)に示すように、2本の締結紐2それぞれを、右締結紐切断装置1R及び左締結紐切断装置1Lそれぞれの押さえ板7で把持した状態で、処理対象物4を持ち上げ、図11(B)に示すように、水平方向にあった第1の面4aが立てられるように処理対象物4の姿勢を変更する。姿勢を変更した処理対象物4を把持した状態で、胴体部18が水平方向に90°回転することで、図11(C)に示すように、処理ロボット10は仮置き台141に正対する。次に、処理ロボット10は、図11(D)に示すように、立てられた姿勢の処理対象物4を、その姿勢をほぼ維持した状態で、仮置き台141に載置する。このように、処理ロボット10による処理対象物4の移載が行われる(S6、移載工程)。
【0140】
次に、処理ロボット10は、図12(A)及び図13(A)に示すように、切断刃9を移動させることで、締結紐2を切断する(S7、切断工程)。尚、この切断は、上述で図5(B)及び(C)を用いた締結紐切断装置1の切断時の動作の流れと同様である。図13(B)に示すように、締結紐2が切断されると、第1配置エリア21では、押さえ板7による締結紐2の把持は維持される一方で、第2配置エリア22では、締結紐2が第2配置エリア22から離間される。
【0141】
次に、図12(B)に示すように、締結紐切断装置1は、第1配置エリア21での押さえ板7による締結紐2の把持を維持した状態で上方に移動し、被締結物3から締結紐2を引き離す(S8、引き離し工程)。
【0142】
次に、締結紐切断装置1は、第1配置エリア21での押さえ板7による締結紐2の把持を維持した状態で、図12(C)に示すように受け渡し位置23上方へ移動する。続いて、図12(D)に示すように、受け渡し位置23に移動し、受け渡し位置23にて、第1配置エリア21での押さえ板7による締結紐2の把持を解除することで、紐回収機構39により締結紐2が回収される(S9、回収工程)。紐回収機構39は、切断された締結紐を収容する紐回収部38と、切断された締結紐2を吸引し紐回収部38内へと収容するバキューム装置(図示せず)と、を備える。尚、バキューム装置を設けなくてもよく、例えば箱状や袋状の、締結紐を収容する紐回収部のみを設け、該紐回収部の上方で締結紐の把持を解除し、自由落下で締結紐を回収してもよい。しかしながら、より確実に紐回収部38内に締結紐2を回収する観点からは、バキューム装置を用いて吸引回収することが好ましい。
【0143】
<作用効果>
処理ロボット10を上記構成とすることによる作用効果について説明する。
【0144】
処理ロボット10に上記締結紐切断装置1を用いることで、該締結紐切断装置1を有する処理ロボット10のみで、切断処理に加えて、引き離し及び回収処理をも連続して行うことが可能となっている。
【0145】
すなわち、締結紐切断時では、締結紐2の、第1配置エリア21での押さえ板7による固定及び第2配置エリア22での切り欠き溝6による第1方向への移動制限によって、切断時の締結紐2の位置ずれの発生が抑制され、第1配置エリア21と第2配置エリア22の間の切断位置20で切断が行われることで、締結紐2をより確実に切断することができ、締結紐2の切断不良の発生を抑制することができる。
締結紐2の切断後は、切り欠き溝6による締結紐2の移動制限が解除されるため、締結紐2は押さえ板7によって一点で固定される状態となる。そして、締結紐2の切断後、締結紐2の固定を維持した状態で、締結紐2を被締結物3から引き離し、更に、引き離した締結紐2を受け渡し位置23まで移動させるまでの一連の動きを連続して行うことができる。更に、受け渡し位置23にて押さえ板7による固定を解除することで締結紐を回収することができる。このように、処理ロボット10では、締結紐2の切断処理、引き離し及び回収処理を連続して行うことが可能となる。
【0146】
ここで、例えば、2つの押さえ板を用いて締結紐を固定する形態も考えらえるが、この形態では、締結紐切断後、2つの押さえ板それぞれによる固定は維持された状態となる。このため、被締結物3から締結紐2を引き離す際、一方の押さえ板による固定を解除する必要が生じる。この場合、例えば、2つの押さえ板を別々に駆動できるように2つの押さえ機構を設ける必要が生じ、装置構成が複雑化するとともに、切断処理、引き離し及び回収処理を連続して速やかに行うことが難しい。
【0147】
これに対し、本実施形態では、切断時の締結紐を固定する2箇所(第1配置エリア及び第2配置エリア)のうち一方を、切り欠き溝(段差部)としている。このような構成とすることで、上述の2つの押さえ板を用いる場合のように締結紐の引き離し時に一方の押さえ板の固定を解除するといった工程が不要となり、切断処理、引き離し及び回収処理を連続して速やかに行うことができ、作業効率が向上する。
【0148】
また、上記処理システム100では、処理対象物4が、製函工程に適した位置姿勢に変更された状態で締結紐2が切断される。このため、仮置き台141に載置される締結紐2が取り除かれた被締結物3は、次の工程である製函工程に適した状態で製函工程エリア140に搬入される形となる。これにより、締結紐2の切断処理、引き離し及び回収処理、製函処理が連続して速やかに行われることになり、作業効率を向上させることができる。
また、仮置き台141への移載処理も、切断処理、引き離し及び回収処理を行う処理ロボット10によって行うことができ、1つの処理ロボット10で、移載処理、切断処理、引き離し及び回収処理を連続して行うことができ、作業効率が向上する。
【0149】
<その他>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0150】
例えば、上述の処理システム100において、2本の締結紐2が平行に位置する処理対象物4を例にあげて説明したが、これに限定されない。処理対象物の大きさによっては締結紐が1本である場合がある。この場合、締結紐切断装置1による処理対象物の移載処理を、1本の締結紐に対して1つの締結紐切断装置1で1箇所把持した状態で行ってもよい。
【0151】
また、処理対象物において、2本の締結紐2が十字結びされる場合がある。
この場合、締結紐切断装置1による処理対象物の移載処理は、縦紐又は横紐のうち一方の締結紐に対して1つの締結紐切断装置1で1箇所把持した状態で行ってもよい。この場合、移載後、一方の締結紐の把持を維持した状態で、一方の締結紐の切断、引き離し及び回収を連続して行ってもよい。その後、同じ締結紐切断装置1を用いて、他方の締結紐を把持し、切断、引き離し及び回収を連続して行ってもよい。
或いは、縦紐及び横紐それぞれを2つの締結紐切断装置1それぞれで把持してもよい。上述の処理ロボット10では、締結紐切断装置1の位置姿勢を自由に変更することが可能であるので、2つの締結紐切断装置1それぞれの位置姿勢を、すくい対象の締結紐2の長手方向に対して締結紐切断装置1における第1方向が直交するように設定することができる。この場合、移載後、各締結紐切断装置1において、締結紐の把持を維持した状態で、締結紐の切断、引き離し及び回収を連続して行ってもよい。
【0152】
上述の処理システム100では、処理対象物4の移載先が仮置き台141である例をあげたが、次工程設備やコンベア等の搬送装置であってもよい。また、切断後の工程は製函工程に限定されない。
【符号の説明】
【0153】
1、1A…締結紐切断装置
2…締結紐
3…被締結物
4…処理対象物(締結紐で締結された被締結物)
5…ベース部
5a…一端部
5b…他端部
5d…ベース部の上面
6…切り欠き溝(段差部)
7…押さえ板(固定用部材)
9…切断刃
10…処理ロボット(処理装置)
20…切断位置
21…第1配置エリア
22…第2配置エリア
30…制御ユニット
51…挿入先端部
70…解除位置
71…固定位置
90…始点位置
91…終点位置
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