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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039699
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】レンズ鏡筒
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20210101AFI20240315BHJP
   G03B 17/14 20210101ALI20240315BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20240315BHJP
【FI】
G02B7/04 D
G03B17/14
G02B7/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144260
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】506225949
【氏名又は名称】株式会社ヴイ・エス・テクノロジ-
(74)【代理人】
【識別番号】100167645
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 一弘
(72)【発明者】
【氏名】竹澤 和光
【テーマコード(参考)】
2H044
2H101
【Fターム(参考)】
2H044AE02
2H044AE05
2H044BD02
2H044BD10
2H044BD14
2H101EE08
2H101EE37
(57)【要約】
【課題】 レンズ鏡筒の構造を従来のレンズ鏡筒と大きく変更することなく、迅速かつ微細な合焦操作を提供する。
【解決手段】 合焦レンズを保持する合焦レンズ保持枠1と、合焦レンズ保持枠1を光軸に沿って移動させるリードが異なる中間ヘリコイド部材2と、中間ヘリコイド部材2と一体で、合焦レンズ保持枠1の周面に回転可能に設けられた第1合焦操作環3と、中間ヘリコイド部材2の外周面に設けた雌ネジ部と螺合する雄ネジ部を内周面に設け、合焦レンズ保持枠1の周面に回転可能に設けられた第2合焦操作リング4と、第1合焦操作リング3の回転を係止する第1係止ビス8と、第2合焦操作リング4の回転を係止する第2係止ビス9を備えるカメラ本体に着脱可能なレンズ鏡筒である。直進キー6は、固定筒5に係止されており、第2合焦操作環4を回転しても合焦レンズ群は回転しないため、撮像画面周辺の解像性能の変化を抑止できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ本体に螺合可能な雄ネジ部を有する固定筒と、
合焦レンズを保持する合焦レンズ保持枠と、
前記合焦レンズ保持枠を光軸に沿って移動させる中間ヘリコイド部材であって、内周面に設けた雌ネジ部と外周面に設けた雌ネジ部とのリードが異なる中間ヘリコイド部材と、
前記中間ヘリコイド部材と一体で、前記合焦レンズ保持枠の周面に回転可能に設けられた第1合焦操作環と、
前記中間ヘリコイド部材の外周面に設けた雌ネジ部と螺合する雄ネジ部を内周面に設け、前記合焦レンズ保持枠の周面に回転可能に設けられた第2合焦操作リングと、
前記第1合焦操作リングの回転を係止する第1係止ビスと、
前記第2合焦操作リングの回転を係止する第2係止ビスと、
前記合焦レンズ保持枠に光軸と平行に形成された案内溝と、
前記案内溝に係合され合焦レンズ保持枠の回転を制限する直進キーと、
前記直進キーを固定筒に係止する直進キー係止ビスと、
を備えるカメラ本体に着脱可能なレンズ鏡筒。
【請求項2】
前記第2合焦操作環の回転範囲を制限する回転制御ビスを設けたことを特徴とする請求項1に記載するレンズ鏡筒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、カメラ本体に着脱可能なレンズ鏡筒に関する。特に、ダブルヘリコイド構造を有するレンズ鏡筒に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラ本体に装着されるレンズ鏡筒は、用途により焦点距離や撮影距離が異なる製品が望まれる。
焦点距離の短いレンズにおいては、近距離での撮影の際に、撮影距離の変位に対する合焦点レンズ群の移動量が小さくなる傾向がある。このため、合焦操作環をごくわずか回転させても撮影距離が大きく変位してピントの微調整が困難となる。
特許文献1のように合焦機構としてダブルヘリコイド構造を有するレンズ鏡筒が開示されている。ダブルヘリコイド構造を有するレンズ鏡筒では、固定筒と螺合するヘリコイドと合焦レンズ群を保持するヘリコイドの合成によるリードにより合焦レンズ群の光軸方向の移動をおこなっている。
【0003】
図4は、従来の合焦機構としてダブルヘリコイド構造を有するレンズ鏡筒の縦断面図である。ダブルヘリコイド構造を有するレンズ鏡筒では、合焦操作環3の回転により、合焦レンズ保持枠1と螺合するヘリコイド2aと固定筒5と螺合するヘリコイド2bによる合成リードにより合焦レンズ群の光軸X方向の移動をおこなっている。
しかしながら、合成リードによる合焦レンズの移動では、撮影距離の微小な場合には、合焦操作環の調整が困難となるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-244012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明は、レンズ鏡筒の構造を従来のレンズ鏡筒と大きく変更することなく、迅速かつ微細な合焦操作を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の課題は、以下の態様(1)または(2)により解決できる。具体的には、
【0007】
(態様1) カメラ本体に螺合可能な雄ネジ部を有する固定筒と、合焦レンズを保持する合焦レンズ保持枠と、前記合焦レンズ保持枠を光軸に沿って移動させる中間ヘリコイド部材であって、内周面に設けた雌ネジ部と外周面に設けた雌ネジ部とのリードが異なる中間ヘリコイド部材と、前記中間ヘリコイド部材と一体で、前記合焦レンズ保持枠の周面に回転可能に設けられた第1合焦操作環と、前記中間ヘリコイド部材の外周面に設けた雌ネジ部と螺合する雄ネジ部を内周面に設け、前記合焦レンズ保持枠の周面に回転可能に設けられた第2合焦操作環と、前記第1合焦操作環の回転を係止する第1係止ビスと、前記第2合焦操作環の回転を係止する第2係止ビスと、前記合焦レンズ保持枠に光軸と平行に形成された案内溝と、前記案内溝に係合され合焦レンズ保持枠の回転を制限する直進キーと、前記直進キーを固定筒に係止する直進キー係止ビスと、を備えるカメラ本体に着脱可能なレンズ鏡筒である。
【0008】
焦点調節を独立して作動する第1合焦操作環(粗調整機能)の回転による粗い焦点調節動作及び第2合焦操作環(微調整機能)の回転による細かい焦点調節動作を併用することにより、迅速かつ微細な合焦操作を提供できるからである。
また、直進キーを直進キー制御ビスで固定筒に係止することで、第2合焦操作環(微調整機能)を回転して合焦操作を微調整する場合に、合焦レンズ保持枠が回転することなく合焦レンズ群をそのまま光軸と平行に移動できる。これにより、第2合焦操作環(微調整機能)を回転しても合焦レンズ群は回転しないため、撮像画面周辺の解像性能の変化を抑止できる。
【0009】
(態様2) 前記第2合焦操作環の回転範囲を制限する回転制御ビスを設けたことを特徴とする態様1に記載するレンズ鏡筒である。
回転制御ビスを設けることで、第2合焦操作環(微調整機能)の可動範囲を制限して、第2合焦操作環(微調整機能)が固定筒5から外れることを防ぐとともに、第2合焦操作環(微調整機能)の可動範囲が微調整機能を果たす範囲に制限できるからである。
【発明の効果】
【0010】
本願発明によれば、合焦操作を粗調整用合焦操作環と微調整用合焦操作環に分けることで、レンズ鏡筒の構造を従来のレンズ鏡筒と大きく変更することなく、迅速かつ微細な合焦操作を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本願発明のレンズ鏡筒の構成の一例を示す縦断面図である。
図2】本願発明のレンズ鏡筒の構成の一例を示す外観側面図である。
図3】本願発明のレンズ鏡筒の中間ヘリコイド部材の拡大縦断面図である。
図4】従来のレンズ鏡筒の構成の一例を示す縦断面図である。
図5】本願発明のレンズ鏡筒の固定筒に第2合焦操作環を嵌設した態様の横断面位置を示す縦断面図である。
図6】本願発明のレンズ鏡筒の固定筒に第2合焦操作環を嵌設した態様を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本願発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。ただし、図面は実施形態の一例であり、本願発明は、これに限定されるものではない。
【0013】
1.レンズ鏡筒の基本構造
本願発明のレンズ鏡筒100は、カメラ本体(図示せず)に脱着可能となるように構成したものである。また、合焦機構としてダブルヘリコイド構造を有するレンズ鏡筒である。
図1は、本願発明のレンズ鏡筒100の構成の一例を示す縦断面図であり、図2は、本願発明のレンズ鏡筒の構成の一例を示す外観側面図である。また、図3は、本願発明のレンズ鏡筒100の中間ヘリコイド部材2の一例を拡大して示す縦断面図である。
本願発明のレンズ鏡筒100は、カメラ本体(図示せず)に螺合可能な雄ネジ部5aを有する固定筒5と、合焦レンズ群(L,L,L,L)を保持する合焦レンズ保持枠1と、合焦レンズ保持枠1を光軸Xに沿って移動させる内周面に設けた雌ネジ部2aと外周面に設けた雌ネジ部2bとのリードが異なる中間ヘリコイド部材2と、中間ヘリコイド部材2と一体で、合焦レンズ保持枠1の周面に回転可能に設けられた第1合焦操作環3と、固定筒8と一体で、合焦レンズ保持枠1の周面に回転可能に設けられた第2合焦操作環4と、固定筒5に係止され、合焦レンズ保持枠1の回転を制限する直進キー6を備える。
【0014】
2.焦点調節
本願発明のレンズ鏡筒100の焦点調節動作について説明する。本願発明のレンズ鏡筒100の焦点調節は、第1合焦操作環3(粗調整機能)の回転による粗い焦点調節動作及び第2合焦操作環4(微調整機能)の回転による細かい焦点調節動作を併用することに特徴がある。
本願発明のレンズ鏡筒100は、リードが異なる中間ヘリコイド部材2を採用しており、第1合焦操作環3の回転によるリード及び第2合焦操作環4の回転によるリードの大きさを適切に選択することにより、粗い焦点調節動作(粗調整機能)及び細かい焦点調節動作(微調整機能)を適切に調整することができる。
【0015】
3.合焦粗調整
合焦レンズ保持枠1の周面に回転可能に設けられた第2合焦操作環4(微調整機能)を第2係止ビス9により固定筒5に係止して回転を制限する。
次いで、第1合焦操作環3(粗調整機能)を撮影者が手動で回転すると、固定筒5に係合された直進キー6により回転を制限された合焦レンズ保持枠1は、外周面に設けた雄ネジ部1aと中間ヘリコイド部材2の内周面に設けた雌ネジ部2aとの螺合により合成されたリードに従い光軸方向へ移動する。外周面に設けた雄ネジ部1aと中間ヘリコイド部材2の内周面に設けた雌ネジ部2aとの螺合により合成されたリードは、大きいので粗い焦点調節ができる。
【0016】
4.合焦微調整
第2係止ビス9を緩め、固定筒5に係止された第2合焦操作環4(微調整機能)を回転可能とする。
次いで、第2合焦操作環4(微調整機能)を撮影者が手動で回転すると、固定筒5に係合された直進キー6により回転を制限された合焦レンズ保持枠1は、中間ヘリコイド部材2の外周面に設けた雌ネジ部2bと第2合焦操作環4の内周面に設けた雄ネジ部4aとの螺合により合成されたリードに従い光軸方向へ移動する。中間ヘリコイド部材2の外周面に設けた雌ネジ部2bと第2合焦操作環4の内周面に設けた雄ネジ部4aとの螺合により合成されたリードは、小さいので細かい焦点調節ができる。
【0017】
5.回転制御ビス
図5は、本願発明のレンズ鏡筒の固定筒に第2合焦操作環を嵌設した態様の横断面位置を示す縦断面図である。また、図6は、固定筒5に第2合焦操作環4(微調整機能)を嵌設した態様を示す横断面図であり、それぞれ、(a)嵌設の態様、(b)第2合焦操作環4(微調整機能)を反時計回りに回転して、回転制御ビス10を固定筒5に係止した態様、(c)第2合焦操作環4(微調整機能)をさらに反時計回りに回転した態様である。なお、視点は第2合焦操作環4(微調整機能)側であり、固定筒5に第2合焦操作環4(微調整機能)の重複部分の模様を重複している。
回転制御ビス10は、第2合焦操作環4(微調整機能)の可動範囲を制限して、第2合焦操作環4(微調整機能)が固定筒5から外れることを防ぐとともに、第2合焦操作環4(微調整機能)の可動範囲が微調整機能を果たす範囲に制限する機能を担う。
【0018】
6.直進キー制御ビス
本願発明の直進キー制御ビス11は、直進キー6を固定筒5に固定する機能を担う。直進キー6を直進キー制御ビス11で固定筒5に固定することで、第2合焦操作環4(微調整機能)を回転して合焦操作を微調整する場合に、合焦レンズ保持枠1が回転することがなく合焦レンズ群(L,L,L,L)をそのまま光軸と平行に移動できる。これにより、第2合焦操作環(微調整機能)を回転しても合焦レンズ群は回転しないため、撮像画面周辺の解像性能の変化を抑止できる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本願発明により、迅速かつ微細な合焦操作が可能なレンズ鏡筒を提供できる。
【符号の説明】
【0020】
100 レンズ鏡筒
200 レンズ鏡筒(従来品)
,L,L,L 合焦レンズ群
X 光軸
1 合焦レンズ保持枠
1a 雄ネジ部(合焦レンズ保持枠)
2 中間ヘリコイド部材
2a,2b 雌ネジ部(中間ヘリコイド部材)
3 第1合焦操作環
4 第2合焦操作環
5 固定筒
6 直進キー
8 第1係止ビス
9 第2係止ビス
10 回転制御ビス
11 直進キー制御ビス
図1
図2
図3
図4
図5
図6