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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039704
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】電子制御装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 9/00 20060101AFI20240315BHJP
   H05K 7/14 20060101ALI20240315BHJP
   H01L 25/00 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
H05K9/00 E
H05K9/00 U
H05K7/14 C
H01L25/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144269
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100205682
【弁理士】
【氏名又は名称】高嶋 一彰
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 悠大
(72)【発明者】
【氏名】南雲 善信
【テーマコード(参考)】
5E321
5E348
【Fターム(参考)】
5E321AA05
5E321AA11
5E321AA23
5E321AA41
5E321CC03
5E321CC16
5E321CC22
5E321CC30
5E321GG05
5E321GG07
5E321GH07
5E348AA03
5E348AA05
5E348AA08
5E348AA32
5E348AA40
(57)【要約】
【課題】特殊なシールド部材を用いることなく、基板に実装された電子部品等から発せられる電磁波を遮蔽可能な電子制御装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る電子制御装置E1は、コイル部材61の中心軸線Z上に、カバー部材3と一体化されてなる遮蔽部材7が設けられている。このため、コイル部材61が樹脂製のカバー部材3側に配置されていても、カバー部材3に設けられた遮蔽部材7によって、コイル部材61から発せられた磁束Mを遮蔽することができる。これにより、前記従来のように特殊なシールド部材を用いることなく、コイル部材61の磁束Mを遮蔽することが可能となり、電子制御装置E1の製造コストの増大化を抑制することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板固定部を有する金属製のベース部材と、
電子回路が形成され、前記基板固定部に固定される基板と、
前記ベース部材に被せられ、前記ベース部材に固定された前記基板を覆う樹脂製のカバー部材と、
前記基板の前記カバー部材によって覆われる面に実装されたコイル部材と、
前記コイル部材の中心軸線上に前記カバー部材と一体に設けられた金属製の遮蔽部材と、
を備えたことを特徴とする電子制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子制御装置であって、
前記遮蔽部材は、前記カバー部材の前記コイル部材と対向する側の面に露出するかたちで設けられている、
ことを特徴とする電子制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電子制御装置であって、
前記遮蔽部材は、前記カバー部材の前記コイル部材とは反対側の面に設けられたラベルである、
ことを特徴とする電子制御装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の電子制御装置であって、
前記基板は、前記コイル部材の近傍を挿通する金属製のスクリュによって前記ベース部材に固定されている、
ことを特徴とする電子制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電子制御装置であって、
前記基板は、前記コイル部材の近傍において前記スクリュに隣接して配置され、かつ前記基板の前記カバー部材と対向する面に突出するように設けられた金属製の位置決めピンを介して、前記ベース部材との位置決めがなされている、
ことを特徴とする電子制御装置。
【請求項6】
請求項2又は3に記載の電子制御装置であって、
前記基板の前記カバー部材と対向する面であって、前記コイル部材の近傍に、電解コンデンサが配置されている、
ことを特徴とする電子制御装置。
【請求項7】
請求項2に記載の電子制御装置であって、
前記コイル部材の前記カバー部材と対向する端部に放熱材が塗布され、前記放熱材が前記遮蔽部材に接触するように構成されている、
ことを特徴とする電子制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子制御装置としては、例えば、以下の特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
この特許文献1に記載された電子制御装置では、プリント基板に実装された外部コネクタが光学的に結合する端子部や当該端子部に光学的に結合された光電変換素子を取り囲むように、シールド部材が配置されている。すなわち、シールド部材によって、電磁波ノイズが遮蔽されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-197435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の電子制御装置では、特殊なシールド部材を設ける必要があった。このため、かかる特殊なシールド部材の分、電子制御装置の製造コストの増大を招来するおそれがある点で、改善の余地が残されていた。
【0006】
そこで、本発明は、前記従来の電子制御装置の技術的課題に鑑みて案出されたものであり、特殊なシールド部材を用いることなく、基板に実装された電子部品等から発せられる電磁波を遮蔽可能な電子制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、その一態様として、コイル部材の中心軸線上に、樹脂製のカバー部材と一体化されてなる遮蔽部材が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、特殊なシールド部材を用いることなく、回路基板に実装された電子部品等から発せられる磁束を遮蔽することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る電子制御装置の分解斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態の要部を示す断面図である。
図3】本発明の第2実施形態の要部を示す断面図である。
図4】本発明の第3実施形態の要部を示す断面図である。
図5】本発明の第4実施形態の要部を示す断面図である。
図6】本発明の第5実施形態の要部を示す断面図である。
図7】本発明に係る電子制御装置の他の技術的思想を示す断面図である。
図8】本発明に係る電子制御装置の他の技術的思想を示す断面図である。
図9】本発明に係る電子制御装置の他の技術的思想を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る電子制御装置の実施形態を、図面に基づいて詳述する。なお、下記の実施形態では、本発明に係る電子制御装置を、車載されるトランスミッション用のECUに適用した例について説明する。
【0011】
[第1実施形態]
(電子制御装置の構成)
図1は、本実施形態に係る電子制御装置E1を分解して斜め上方から見た、電子制御装置E1の分解斜視図を示している。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る電子制御装置E1は、金属製のベース部材1と、このベース部材1に載置されて固定される基板2と、ベース部材1に被せられ、ベース部材1に載置された基板2を覆う樹脂製のカバー部材3と、を備える。なお、ベース部材1とカバー部材3の間にはシール部材4が介在し、当該シール部材4によってベース部材1とカバー部材3との間が液密にシールされている。
【0013】
ベース部材1は、金属材料、例えばアルミニウムによって比較的底の浅い矩形皿状に形成されている。具体的には、ベース部材1は、矩形の四隅近傍に設けられ、基板2が載置されて固定される複数(本実施形態では4つ)の基板固定部11と、ベース部材1の四隅近傍に設けられ、当該ベース部材1を図示外の車体に固定するための車体取付部12と、を一体に有する。また、ベース部材1の基板固定部11には、それぞれ基板2をねじ止めするための雌ねじ穴110が形成されている。また、ベース部材1は、基板固定部11の外周側に、シール部材4を充填可能なシール溝13を有する。シール溝13は、断面が概ね矩形凹状となる矩形溝状を呈し、ベース部材1の周方向に沿って環状に形成されている。
【0014】
基板2は、樹脂材料、例えばガラスエポキシ樹脂からなる矩形板状に形成されていて、ベース部材1の雌ねじ穴110に噛み合う複数のスクリュ81を介してベース部材1に固定される。基板2の表面又は表裏面には、図示外のパターン回路が形成されている。また、基板2のカバー部材3と対向する第1表面21には、例えばマイクロコンピュータや、インダクタコイル、電解コンデンサなど、種々の電子部品等が実装されている。また、基板2の長手方向の一端部には、図示外の外部機器との電気的な接続に供するコネクタユニット5が設けられている。コネクタユニット5は、電子制御装置E1の側方へ開口する角筒状のコネクタ本体部51と、コネクタ本体部51の内部を貫通する複数のコネクタ端子52とが、一体にモールド成形されている。
【0015】
カバー部材3は、樹脂材料によって矩形蓋状に形成されたものであり、平坦状に形成された底壁31と、底壁31の外周縁から概ね垂直に立ち上がる側壁32と、を有する。すなわち、カバー部材3は、ベース部材1に対して底壁31が上側となる逆さ状態で被せられることによって、ベース部材1との間に基板2等を収容する収容空間が形成される。なお、カバー部材3は、相手方であるベース部材1に対して、例えばスナップフィットのような係止固定手段や、スクリュ等の締結手段など、任意の固定手段により固定される。また、カバー部材3の側部には、コネクタユニット5を外部へ臨ませる、当該コネクタユニット5のコネクタ本体部51に対応した形状を有する概ね矩形状の開口部33が設けられている。
【0016】
図2は、本実施形態に係る電子制御装置E1の要部を拡大表示した、当該電子制御装置E1の要部断面図を示している。
【0017】
図2に示すように、電子制御装置E1は、基板2の表面(上面)の外周縁の近傍に、コイル部材(本実施形態ではインダクタコイル)61が実装される。一方、カバー部材3の底壁31には、コイル部材61の中心軸線Zと重なる位置に、コイル部材61と対向するように遮蔽部材7が設けられている。すなわち、電子制御装置E1では、コイル部材61から概ね放射状に発せられる磁束Mのうち、下方(ベース部材1側)へ発せられる磁束Mについては金属製のベース部材1により遮蔽可能とし、上方(カバー部材3側)へ発せられる磁束Mについては、カバー部材3に設けられた遮蔽部材7により遮蔽可能となっている。
【0018】
遮蔽部材7は、コイル部材61から概ね放射状に発せられる磁束Mを遮蔽可能な金属材料、例えばアルミニウムにより板状に形成されている。具体的には、本実施形態では、遮蔽部材7は、薄板状の金属板がカバー部材3の底壁31の内側面に露出するかたちでインサート成形されることによって形成されている。ここで、遮蔽部材7は、カバー部材3と一体的に構成される態様であればよく、カバー部材3の製造過程で一体に成形される態様に限定されるものではない。すなわち、遮蔽部材7は、上記インサート成形のほかに、例えば金属箔などの極薄の金属材料が底壁31の内側面に貼り付けられることによって構成されていてもよい。また、遮蔽部材7は、カバー部材3の底壁31において、基板2と対向する内側面31aに露出するかたちで設けられるほか、底壁31に埋設されていてもよい。
【0019】
(本実施形態の作用効果)
前記従来の電子制御装置では、コイル部材61から発せられる磁束Mを遮蔽するために特殊なシールド部材を設ける必要があった。このため、当該特殊なシールド部材の分、電子制御装置の製造コストの増大を招来してしまうおそれがある点で、改善の余地が残されていた。
【0020】
これに対し、本実施形態に係る電子制御装置E1は、基板固定部11を有する金属製のベース部材1と、電子回路が形成され、基板固定部11に固定される基板2と、ベース部材1に被せられ、ベース部材1に固定された基板2を覆う樹脂製のカバー部材3と、基板2のカバー部材3によって覆われる面(第1表面21)に実装されたコイル部材61と、コイル部材61の中心軸線Z上にカバー部材3と一体に設けられた金属製の遮蔽部材7と、を備えている。
【0021】
このように、本実施形態に係る電子制御装置E1は、コイル部材61の中心軸線Z上に、カバー部材3と一体化されてなる遮蔽部材7が設けられている。このため、コイル部材61が樹脂製のカバー部材3側に配置されていても、カバー部材3に設けられた遮蔽部材7により、コイル部材61から発せられた磁束Mを遮蔽することができる。これにより、前記従来のように特殊なシールド部材を用いることなく、コイル部材61の磁束Mを遮蔽することが可能となり、電子制御装置E1の製造コストの増大化を抑制することができる。また、コイル部材61の磁束Mの遮蔽に際して前記従来のように特殊なシールド部材を用いないことで、電子制御装置E1の汎用性を向上させることができる。
【0022】
また、本実施形態では、遮蔽部材7は、カバー部材3のコイル部材61と対向する側の面に露出するかたちで設けられている。
【0023】
このように、遮蔽部材7がカバー部材3のコイル部材61と対向する側の面(内側面31a)に露出するように設けられている。このため、コイル部材61と対向して配置された遮蔽部材7によって、コイル部材61から発せられる磁束Mをより効果的に遮蔽することができる。
【0024】
[第2実施形態]
図3は、本発明に係る電子制御装置の第2実施形態を示している。なお、本実施形態は、前記第1実施形態におけるコイル部材61の周囲に電解コンデンサ62やスクリュ81を追加したものであり、他の構成については、前記第1実施形態と同様である。したがって、前記第1実施形態と同じ構成については、同一の符号を付すことにより、その説明を省略する。
【0025】
(電子制御装置の構成)
図3は、本実施形態に係る電子制御装置E2の要部を拡大表示した、当該電子制御装置E2の要部断面図を示している。
【0026】
図3に示すように、本実施形態に係る電子制御装置E2は、基板2の第1表面21に配置されたコイル部材61の内側近傍に、例えばアルミ電解コンデンサからなる電解コンデンサ62が配置されている。一方、コイル部材61の外側近傍、すなわちコイル部材61を挟んで電解コンデンサ62とは反対側に、ベース部材1に対して基板2を固定するためのスクリュ81が、後述する頭部81aが基板2の第1表面21に露出かたちで、コイル部材61に近接して配置されている。さらに、コイル部材61の外側近傍であり、スクリュ81と隣接する位置には、ベース部材1に対する基板2の位置決めに供する位置決めピン82が、軸方向一端部が基板2の第1表面21に露出するかたちで、コイル部材61に近接して配置されている。
【0027】
スクリュ81は、基板2に形成された第1貫通孔20aよりも大きな外径を有する頭部81aと、第1貫通孔20aよりも小さい外径を有する軸部81bとが、金属材料により一体に形成されてなる。軸部81bの外周側には、雄ねじ部81cが形成されている。すなわち、スクリュ81は、基板2の第1表面21側から挿入され、軸部81bが貫通孔20を貫通して雄ねじ部81cがベース部材1の基板固定部11に設けられた雌ねじ穴11aにねじ込まれることによって、頭部81aと基板固定部11に挟持状態に固定される。
【0028】
位置決めピン82は、金属材料によって円柱状に形成されたもので、基板2に形成された第2貫通孔20bよりも僅かに大きく、かつベース部材1の基板固定部11に設けられた位置決め穴11bよりも僅かに大きい、概ね一定の外径に形成される。すなわち、位置決めピン82は、基板2の第2貫通孔20bに圧入され、かつベース部材1の位置決め穴11bに圧入されることによって、ベース部材1に対して基板2を精度よく位置決め可能となっている。
【0029】
(本実施形態の作用効果)
以上のように、本実施形態に係る電子制御装置E2では、基板2は、コイル部材61の近傍を挿通する金属製のスクリュ81によってベース部材1に固定されている。
【0030】
このように、本実施形態によれば、基板2が、コイル部材61の近傍を挿通する金属製のスクリュ81によってベース部材1に固定されている。このため、遮蔽部材7に加えて、基板2の第1表面21に露出するスクリュ81によっても、コイル部材61から発せられる磁束Mを遮蔽することが可能となる。具体的には、遮蔽部材7により、コイル部材61の上方へ発せられる磁束Mを遮蔽すると共に、スクリュ81により、コイル部材61の側方へ発せられる磁束Mを遮蔽することができる。
【0031】
さらに、本実施形態では、基板2は、コイル部材61の近傍においてスクリュ81に隣接して配置され、かつ基板2のカバー部材3と対向する面(内側面31a)に突出するように設けられた金属製の位置決めピン82を介して、ベース部材1との位置決めがなされている。
【0032】
このように、本実施形態によれば、基板2が、コイル部材61の近傍にスクリュ81に隣接して配置された金属製の位置決めピン82を介して、ベース部材1に位置決めされている。このため、スクリュ81に加えて、基板2の第1表面21に露出する金属製の位置決めピン82によっても、コイル部材61の側方へ発せられる磁束Mをより効果的に遮蔽することができる。
【0033】
また、本実施形態では、基板2のカバー部材3と対向する面であって、コイル部材61の近傍に、電解コンデンサ62が配置されている。
【0034】
このように、本実施形態によれば、基板2のカバー部材3と対向する面(内側面31a)であってコイル部材61の近傍位置に、電解コンデンサ62が配置されている。このため、遮蔽部材7に加え、電解コンデンサ62によっても、コイル部材61の磁束Mを遮蔽することが可能となる。具体的には、遮蔽部材7によってコイル部材61の上方へ発せられる磁束Mを遮蔽すると共に、電解コンデンサ62によってコイル部材61の側方へ発せられる磁束Mを遮蔽することができる。
【0035】
[第3実施形態]
図4は、本発明に係る電子制御装置の第3実施形態を示している。なお、本実施形態は、前記第1実施形態における遮蔽部材7の構成を変更したものであり、他の構成については、前記第1実施形態と同様である。したがって、前記第1実施形態と同じ構成については、同一の符号を付すことにより、その説明を省略する。
【0036】
(電子制御装置の構成)
図4は、本実施形態に係る電子制御装置E3の要部を拡大表示した、当該電子制御装置E3の要部断面図を示している。
【0037】
図4に示すように、本実施形態に係る電子制御装置E3は、カバー部材3の底壁31の外側面31bにおいて、コイル部材61の中心軸線Zと重なる位置に、例えば型番など電子制御装置E3を特定するための情報が印刷されたラベル70が貼り付けられている。ラベル70は、アルミナ(酸化アルミニウム)を含むポリエステルフィルムにより形成され、本発明に係る遮蔽部材を構成する。
【0038】
(本実施形態の作用効果)
以上のように、本実施形態に係る電子制御装置E3では、遮蔽部材7は、カバー部材3のコイル部材61とは反対側の面に設けられたラベル70である。
【0039】
このように、本実施形態では、遮蔽部材7が、カバー部材3のコイル部材61とは反対側の面に設けられた、金属(アルミナ)を含むラベル70によって形成されている。このため、カバー部材3自体の構成には何ら変更を加えることなく、コイル部材61から発せれる磁束Mを遮蔽することができる。換言すれば、電子制御装置E3の製造工程に何ら変更がないため、電子制御装置E3の製造コストの増大化を最大限に抑制することができる。
【0040】
[第4実施形態]
図5は、本発明に係る電子制御装置の第4実施形態を示している。なお、本実施形態は、前記第2実施形態における遮蔽部材7の構成を変更したものであり、他の構成については、前記第2実施形態と同様である。したがって、前記第2実施形態と同じ構成については、同一の符号を付すことにより、その説明を省略する。
【0041】
(電子制御装置の構成)
図5は、本実施形態に係る電子制御装置E4の要部を拡大表示した、当該電子制御装置E4の要部断面図を示している。
【0042】
図5に示すように、本実施形態に係る電子制御装置E4では、基板2の第1表面21に配置されたコイル部材61の内側近傍に、例えばアルミ電解コンデンサからなる電解コンデンサ62が配置されている。一方、コイル部材61の外側近傍、すなわちコイル部材61を挟んで電解コンデンサ62とは反対側に、ベース部材1に対して基板2を固定するためのスクリュ81が、後述する頭部81aが基板2の第1表面21に露出かたちで、コイル部材61に近接して配置されている。
【0043】
なお、図5では図示を省略しているが、前記第2実施形態と同様に、コイル部材61の外側近傍であって、かつスクリュ81と隣接する位置に、ベース部材1に対する基板2の位置決めに供する位置決めピン82が基板2の第1表面21に露出するかたちで設けられていてもよい。
【0044】
(本実施形態の作用効果)
以上のように、本実施形態に係る電子制御装置E4では、ラベル70により、コイル部材61の上方へ発せられる磁束Mを遮蔽すると共に、電解コンデンサ62及びスクリュ81により、コイル部材61の側方へ発せられる磁束Mを遮蔽することができる。
【0045】
[第5実施形態]
図6は、本発明に係る電子制御装置の第5実施形態を示している。なお、本実施形態は、前記第1実施形態における遮蔽部材7の構成を変更したものであり、他の構成については、前記第2実施形態と同様である。したがって、前記第1実施形態と同じ構成については、同一の符号を付すことにより、その説明を省略する。
【0046】
(電子制御装置の構成)
図6は、本実施形態に係る電子制御装置E5の要部を拡大表示した、当該電子制御装置E5の要部断面図を示している。
【0047】
図6に示すように、本実施形態に係る電子制御装置E5では、カバー部材3の底壁31の内側面31aに、例えばアルミテープなど金属製の遮蔽部材7が設けられている。なお、本実施形態に係る遮蔽部材7は、カバー部材3の底壁31の内側面31aに貼り付けられる態様のものに限定されるものではない。換言すれば、本実施形態に係る遮蔽部材7は、前記第2実施形態と同様にカバー部材3の底壁31の内側面31aに露出するかたちでカバー部材3と一体にインサート成形された金属板によって構成されていてもよい。
【0048】
また、本実施形態に係る電子制御装置E5では、コイル部材61の上端部、すなわちカバー部材3の底壁31と対向する端部に、例えばシリコンなど、比較的放熱性に優れた材料からなる放熱材80が塗布されている。この際、放熱材80は、放熱性に加えて、コイル部材61の磁束Mを遮蔽する遮蔽効果を備えていると、なお良い。この放熱材80は、カバー部材3の底壁31の内側面31aに露出した遮蔽部材7と接触可能に設けられている。これにより、コイル部材61の熱が、放熱材80を介して遮蔽部材7に伝達可能となっている。
【0049】
(本実施形態の作用効果)
以上のように、本実施形態に係る電子制御装置E5では、コイル部材61のカバー部材3と対向する端部に放熱材80が塗布され、放熱材80が遮蔽部材7に接触するように構成されている。
【0050】
このように、本実施形態では、コイル部材61のカバー部材3と対向する端部に放熱材80が塗布されていて、当該放熱材80が遮蔽部材7に接触するように構成されている。このため、遮蔽部材7による磁束Mの遮蔽効果(シールド効果)を確保しながら、遮蔽部材7によって、放熱材80を介して伝達されるコイル部材61の熱を分散させることができる。
【0051】
なお、放熱材80に用いる材料によっては、当該放熱材80自体からも磁束Mの遮蔽効果を得ることができる。
【0052】
<その他の技術的思想>
本発明は、前記各実施形態の構成に限定されるものではなく、例えばベース部材1及びカバー部材3の具体的な形状や、基板2に実装される電子部品など、本発明を適用する電子制御装置の仕様等に応じて自由に変更可能である。
【0053】
また、本発明とは別に、コイル部材61から発せられる磁束Mを遮蔽する態様として、以下の技術的思想が考えられる。
【0054】
(第1の技術的思想)
図7は、本技術的思想に係る電子制御装置E6の要部を拡大表示した、当該電子制御装置E6の要部断面図を示している。
【0055】
図7に示すように、本技術的思想に係る電子制御装置E6では、基板2に実装されたコイル部材61を覆う金属製の遮蔽部材7が設けられている。この遮蔽部材7は、断面が逆凹字状となる形態を有していて、コイル部材61の上面を覆う天蓋部71と、コイル部材61の外周面を覆う周壁部72と、周壁部72の下端部に折り曲げ形成され、基板2に対して平行に延びる取付部73と、を有する。すなわち、遮蔽部材7は、天蓋部71と周壁部72とによってコイル部材61の上面及び外周面を覆い、図示外の固定手段により取付部73を介して基板2に取り付けられている。特に、遮蔽部材7の周壁部72については、コイル部材61の全周を覆う態様には限定されず、例えば矩形の金属板を逆凹字状に折り曲げて形成するなど、コイル部材61の外周面の一部を覆う態様であってもよい。
【0056】
以上のように、本技術的思想では、コイル部材61の上面と、外周面の全部又は一部とが、遮蔽部材7によって覆われている。これにより、遮蔽部材7によって、コイル部材61から発せられる磁束Mを遮蔽することができる。なお、本技術的思想に係る遮蔽部材7は、前記実施形態とは異なりカバー部材3とは別体の態様ではあるが、前記従来のような特殊なシールド部材ではなく、単に金属板を折り曲げるのみで形成可能であるため、電子制御装置E5の製造コストの増大化の抑制に供する。
【0057】
(第2の技術的思想)
本発明は、基板2のうち、樹脂製のカバー部材3と対向する第1表面21にコイル部材61が配置されることを前提としたものである。この基板2の第1表面21にコイル部材61を配置する要因として、例えばベース部材1と基板2とのクリアランスが十分でなく、コイル部材61の配置が困難な場合がある。
【0058】
そこで、ベース部材1と基板2とのクリアランスが十分でない場合であっても、以下の実施態様によって、コイル部材61を金属製のベース部材1と対向する第2表面22に配置することができる。
【0059】
図8は、本技術的思想に係る電子制御装置E7の要部を拡大表示した断面図を示している。
【0060】
図8に示すように、本技術的思想に係る電子制御装置E7は、基板2のベース部材1と対向する第2表面22にコイル部材61が配置されていて、ベース部材1の基板2(第2表面22)と対向する内側面10aにおいて、コイル部材61と対向する部分を基板2とは反対側へ凸となるように深さDだけ凹状に窪ませてなる凹部14が設けられている。なお、凹部14は、ベース部材1を製造(例えば鋳造)する際に、一体に形成されることが望ましい。すなわち、凹部14は、ベース部材1を基板2とは反対側へ突出させるかたちで形成されるため、ベース部材1の製造後に機械加工を行うよりも、ベース部材1の製造時に一体に形成することで、当該凹部14を容易に形成することができる。
【0061】
かかる構成とすることで、コイル部材61の配置領域において、凹部14の深さDの分だけ、ベース部材1と基板2とのクリアランスを拡大することが可能となる。これにより、深さDを調整することによって、ベース部材1と基板2とのクリアランスが十分でない場合であっても、基板2の第2表面22にコイル部材61を配置することができる。
【0062】
なお、前記凹部14は、ベース部材1の板厚Tを比較的薄く形成する場合に、特に有効である。すなわち、ベース部材1と基板2とのクリアランスを拡大するためにベース部材1が凹状に切削される場合、コイル部材61が配置されない領域については、ベース部材1が余分な板厚Tを有することとなり、電子制御装置E6の重量の増大を招来してしまう。このような場合に、前記凹部14のように、ベース部材1の一部を基板2と反対側へ突出させるかたちで凹部14が形成されることで、コイル部材61を配置する領域についてベース部材1と基板2との間に必要なクリアランスを確保しつつ、ベース部材1の余分な重量増、ひいては電子制御装置E7の重量の増大を抑制することができる。
【0063】
また、基板2の第2表面22にコイル部材61を配置する場合には、基板2の第2表面22のコイル部材61が配置される領域に、例えば銅箔によって形成されるパターン回路23が配置されることが望ましい。このように、基板2の第2表面22のコイル部材61が配置される領域に銅箔のパターン回路23が配置されていることによって、コイル部材61から放射状に発せられる磁束Mのうち、基板2側へ向かう磁束Mについても遮蔽することが可能となる。これにより、ベース部材1による遮蔽効果に加えて、パターン回路23によって、コイル部材61の磁束Mをさらに効果的に遮蔽することができる。
【0064】
図9は、本技術的思想に係る電子制御装置E8の要部を拡大表示した断面図を示している。なお、本技術的思想に係る電子制御装置E8は、図8に示す凹部14の構成を変更したものであり、他の構成については、前記図8に示す態様と同様である。
【0065】
図9に示すように、本技術的思想に係る電子制御装置E8は、ベース部材1の板厚Tが比較的厚く形成されていて、ベース部材1の基板2と対向する内側面10aにおいて、基板2の第2表面22側に配置されたコイル部材61と対向する一部領域を凹状に窪ませてなる凹部15を有する。この凹部15は、図7に示す凹部14とは異なり、ベース部材1の基板2と反対側を突出させることなく、ベース部材1の基板2と対向する側を深さDだけ凹状に窪ませるのみで形成されている。なお、凹部15は、ベース部材1の製造時(例えば鋳造時)に一体に形成してもよく、ベース部材1の製造後に機械加工によって形成されてもよい。
【0066】
かかる構成とすることで、コイル部材61の配置領域において、凹部15の深さDの分だけ、ベース部材1と基板2とのクリアランスを拡大することが可能となる。これにより、深さDを調整することによって、ベース部材1と基板2とのクリアランスが十分でない場合であっても、基板2の第2表面22にコイル部材61を配置することができる。
【0067】
なお、前記凹部15は、ベース部材1の板厚Tを比較的厚く形成する場合に、特に有効である。すなわち、凹部15は、ベース部材1の内側面10aを凹状に窪ませて形成されるため、少なくとも凹部15の深さDよりも大きな板厚Tを有している必要がある。一方で、ベース部材1が十分な板厚Tを有する場合、凹部15はベース部材1の内側面10aを単に窪ませるのみで形成可能であるため、比較的簡素な金型、或いは機械加工によって、比較的容易に形成できるメリットがある。
【符号の説明】
【0068】
1…ベース部材、11…基板固定部、2…基板、3…カバー部材、61…コイル部材、62…電解コンデンサ、7…遮蔽部材、70…ラベル(遮蔽部材)、81…スクリュ、82…位置決めピン、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9