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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039713
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】セロハン積層体
(51)【国際特許分類】
   B32B 23/08 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
B32B23/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144286
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】397070325
【氏名又は名称】日泉ポリテック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】717000414
【氏名又は名称】株式会社プレジール
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】梅村 俊和
(72)【発明者】
【氏名】北野 勝久
(72)【発明者】
【氏名】長野 亮二
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AA01A
4F100AA01C
4F100AJ05B
4F100AK03A
4F100AK03C
4F100AK41A
4F100BA03
4F100BA06
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100EH23
4F100GB15
4F100JC00A
4F100JC00C
4F100JD02
4F100JK06
4F100YY00A
4F100YY00C
(57)【要約】
【課題】ガスバリア性が高く、分解性があり、セロハン基材に対する樹脂層の密着性が高いセロハン積層体を提供する。
【解決手段】セロハン基材の両面に樹脂層を有する積層体であって、該樹脂層が生分解性ポリエステル樹脂と、ポリオレフィン樹脂と、遷移金属化合物および/または希土類金属化合物を含有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セロハン基材の両面に樹脂層を有するセロハン積層体であって、該樹脂層が生分解性ポリエステル樹脂と、ポリオレフィン樹脂と、遷移金属化合物および/または希土類金属化合物を含有することを特徴とするセロハン積層体。
【請求項2】
生分解性ポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂の含有量の比率が90:10~40:60である前記請求項1記載のセロハン積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装材料に好適に使用できるセロハン積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ごみ処理やマイクロプラスチックの問題などの環境対策の面で、水中、土中などで分解する生分解性樹脂が注目を集めている。中でもセロハンは生分解性に優れていることに加えて、透明性、光沢性、帯電防止性、易引裂き性などの優れた物性を備えているために注目されている材料である。セロハンはその優れた物性ゆえに、各種物品の包装材料としてこれまでにも広く利用されてきた。
【0003】
また、セロハンは優れたガスバリア性を有する素材で、そのガスバリア性はポリ塩化ビニリデンに匹敵することが知られている。しかし、セロハンは防湿性が劣るため、高湿下ではガスバリア性が低下するという問題があった。従って、セロハンに防湿性を有する層を積層することで、セロハンのガスバリア性を有効に使うことができ、酸素吸収剤の包材など高い性能を要求される包材への応用ができるようになる。
【0004】
特開2009-154527号公報(特許文献1)には、セロハンフィルムを基材とし、高いヒートシール性および防湿性を有するヒートシール性フィルムとして、セロハンフィルムの少なくとも一方の面に塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体、硬化剤、および低分子量の可塑剤を含むヒートシール層を有するヒートシール性フィルムが開示されている。しかし、フィルム全体としては分解性を有しておらず、前述したごみ処理やマイクロプラスチックの問題などの環境対策として更なる改善が望まれていた。
【0005】
特開平5-38784号公報(特許文献2)には、十分な強度を有し、透明性や防湿性等に優れるラミネート組成物として、生分解性のポリ乳酸を主成分とするフィルムとセロハンを積層した分解性ラミネート組成物が開示されている。しかし、セロハンは各種樹脂との密着性が悪いことが知られており、使用条件によってセロハンに積層したフィルムが剥離する場合があり改善が求められていた。
【0006】
他方、特開2020-125470号公報(特許文献3)にはバイオプラスチック複合材として、ポリ乳酸と、ポリエチレンやポリプロピレン等のプラスチックとの混合複合材が提案され、特開2003-73505号公報(特許文献4)には生分解性を有するフィルムとしてポリオレフィン樹脂、熱可塑性ポリマー成分、直接的生分解性成分、酸化可能な成分、遷移金属成分および非金属性安定化成分を含有する組成物を成形してなる生分解性フィルムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009-154527号公報
【特許文献2】特開平5-38784号公報
【特許文献3】特開2020-125470号公報
【特許文献4】特開2003-73505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ガスバリア性が高く、分解性があり、セロハン基材に対する樹脂層の密着性が高いセロハン積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、下記の発明により達成される。
(1)セロハン基材の両面に樹脂層を有するセロハン積層体であって、該樹脂層が生分解性ポリエステル樹脂と、ポリオレフィン樹脂と、遷移金属化合物および/または希土類金属化合物を含有することを特徴とするセロハン積層体。
(2)生分解性ポリエステル樹脂と前記ポリオレフィン樹脂の含有量の比率が90:10~40:60である上記(1)または(2)記載のセロハン積層体。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、ガスバリア性が高く、分解性があり、セロハン基材に対する樹脂層の密着性が高いセロハン積層体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明のセロハン積層体は、セロハン基材の両面に樹脂層を有し、該樹脂層が生分解性ポリエステル樹脂と、ポリオレフィン樹脂と、遷移金属化合物および/または希土類金属化合物を含有する。
【0012】
生分解性ポリエステル樹脂としては、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリエチレンサクシネート、ポリアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシヘキサノエート、ポリグリコール酸、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリブチレンサクシネートアジペートなどを挙げることができる。この中でも加工のし易さ、強靭性の観点からPBSあるいはPBATであることが好ましい。
【0013】
本発明に係る生分解性ポリエステル樹脂のメルトフローレート(MFR)は、疲労特性等の耐久性、剛性や衝撃強度等の機械的強度の観点から、通常0.1~500g/10分であることが好ましく、より好ましくは0.5~300g/10分であり、特に好ましくは1~100g/10分である。なお、該MFRは、JIS K7210-1995に規定された方法に従い、荷重21.18N、温度190℃の条件で、A法により測定される。
【0014】
本発明に係る生分解性ポリエステル樹脂の密度は、得られるセロハン積層体の剛性と衝撃強度のバランスを良好にする観点から、好ましくは1.0~1.5g/cm、より好ましくは1.1g/cm~1.4g/cmであり、特に好ましくは1.2g/cm~1.3g/cmである。なお、該密度は、JIS K6760-1995に記載のアニーリングを行った試料を用いて、JIS K7112-1980のうち、A法に規定された方法に従って測定される。
【0015】
本発明に係る生分解性ポリエステル樹脂の融点(Tm)は、セロハン積層体の外観を良好にするという観点や、剛性や衝撃強度等の機械的強度を高めるという観点から、好ましくは60~200℃であり、より好ましくは80~180℃であり、更に好ましくは80~130℃である。なお、融点(Tm)は、上記記載の方法に従って測定された融解吸熱カーブにおいて、吸熱量が最大となるピークのピーク温度である。
【0016】
樹脂層が含有するポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレンおよびポリプロピレン等のポリオレフィンや、酸変性ポリエチレンおよび酸変性ポリプロピレン等の酸変性ポリオレフィンなどの変性ポリオレフィン樹脂を挙げることができる。安価なセロハン積層体とするためには未変性のポリオレフィンを用いることが好ましいが、種々目的に応じて変性ポリオレフィンを混合して用いることもできる。
【0017】
本発明に係るポリオレフィン樹脂のメルトフローレート(MFR)は、押出成形性を高める観点から、好ましくは0.03g/10分以上であり、より好ましくは0.1g/10分以上である。また、得られるセロハン積層体の強度を高める観点から、好ましくは20g/10分以下であり、より好ましくは10g/10分以下であり、さらに好ましくは5g/10分以下である。
【0018】
本発明に係るポリオレフィン樹脂の密度は、得られるセロハン積層体の剛性と衝撃強度のバランスを良好にする観点から、好ましくは0.885~0.950g/cm、より好ましくは0.890~0.940g/cmであり、特に好ましくは0.895~0.930g/cmである。
【0019】
本発明に係るポリオレフィン樹脂の融点(Tm)は、セロハン積層体の外観を良好にするという観点や、剛性や衝撃強度等の機械的強度を高めるという観点から、好ましくは60~200℃であり、より好ましくは80~180℃であり、更に好ましくは100~170℃である。
【0020】
本発明のセロハン積層体が有する樹脂層が含有する生分解性ポリエステル樹脂とポリオレフィン樹脂の含有量の比率は90:10~40:60であることが好ましく、さらに好ましくは75:25~55:45である。この範囲より生分解性ポリエステル樹脂が多いと十分な防湿性が得られない場合があり、ポリオレフィン樹脂が多いと、セロハン基材に対する十分な密着性が得られない場合がある。また、この範囲より生分解性ポリエステルが少ないと十分な分解性および密着性が得られない場合があり、ポリオレフィン樹脂が少ないと十分な水蒸気バリア性が得られない場合がある。
【0021】
本発明のセロハン積層体が有する樹脂層が含有する遷移金属化合物および/または希土類金属化合物を構成する遷移金属としては、例えば、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、ニオブ、モリブテン、テクネチウム、ルテニウム、パラジウム、銀、カドミウム等が挙げられ、希土類金属としては例えば、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム等が挙げられる。中でも遷移金属としてマンガン、希土類金属としてセリウムを併用することで、良好な分解性を得ることができ、好ましい。またこれらの金属の化合物としては脂肪酸金属塩や金属錯体の形で用いることができ、特に脂肪酸金属塩の形で用いることが樹脂と均一に混合できる点でより好ましい。脂肪酸金属塩の脂肪酸としては、例えば炭素数が12個以上の飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸である、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸等が挙げられる。これら遷移金属化合物および/または希土類金属化合物の含有量は樹脂層全体の固形分量に対して0.01~3質量%の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.05~1質量%である。遷移金属化合物および/または希土類金属化合物の含有量が0.01質量%未満の場合、分解性が低下する場合があり、3質量%を超える場合、樹脂層から析出する場合がある。
【0022】
遷移金属化合物および希土類金属化合物の市販品としては、ノボン・ジャパン(株)製デグラノボン(登録商標)やピーライフ・ジャパン・インク(株)製のP-Life(登録商標)、(株)ウエストワンのサイクルプラス(登録商標)などが挙げられる。
【0023】
本発明のセロハン積層体が有する樹脂層の厚みとしては、1~50μmであることが好ましく、さらに好ましくは3~20μmである。厚みが1μm未満では十分なガスバリア性を得ることができない場合があり、50μmを超えるとセロハン積層体の分解速度が遅くなる場合がある。
【0024】
本発明のセロハン積層体が有する樹脂層が含有する成分は、両面の樹脂層で同じであってもよいし、異なっていてもよいが、両面の樹脂層が生分解性ポリエステル樹脂と、ポリオレフィン樹脂と、遷移金属および/または希土類金属化合物を含有することで、より優れたガスバリア性を有するセロハン積層体が得られるため、好ましい。また、樹脂層の厚みは、両面で同じであってもよいし、異なっていてもよく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0025】
本発明のセロハン積層体はセロハン基材の両面に易接着層を有することが好ましく、該易接着層上に上述した樹脂層をそれぞれ有することが好ましい。易接着層としては例えばポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体等の公知の樹脂を含有する易接着層を用いることができる。
【0026】
また、易接着層は架橋剤を含有することが好ましい。該架橋剤としては公知の架橋剤を用いることができ、例えばイソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、カルボジイミド架橋剤、アルデヒド架橋剤などが挙げられる。
【0027】
易接着層はさらに界面活性剤、難燃剤、マット剤、顔料や色素などの色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、可塑剤など公知の加剤を含有することができる。
【0028】
本発明のセロハン積層体が有することができる易接着層が含有する成分は、それぞれ(両面)の易接着層で同じであってもよいし、異なっていてもよいが、生産性の観点から同じ成分であることが好ましい。
【0029】
本発明のセロハン積層体はセロハンを基材とする。セロハン基材の厚みは用途に応じて適した厚みとすることができるが、一般的には10~50μmのセロハンが用いられる。セロハン上に易接着層を設ける方法としては、バーコート、スロットコート、スピンコート、ディップコートなど公知の塗布方法で塗布し、乾燥する方法が挙げられる。易接着層の乾燥膜厚は0.05~1μmが好ましい。易接着層の厚みは、両面の易接着層で同じであってもよいし、異なっていてもよく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0030】
また、本発明のセロハン積層体は易接着層や樹脂層の他、アルミニウムのような金属層を有することもできる。金属層は、金属箔を貼り合わせる、もしくは蒸着やスパッタ等の方法によってセロハン基材に積層することができる。また本発明のセロハン積層体は、金属層以外にもハードコート層や粘着層等の各種機能層を有することもできる。
【実施例0031】
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、無論この記述により本発明が限定されるものではない。
【0032】
<セロハン積層体1>
セロハン基材(フタムラ化学(株)製PL-DG#300、厚み21μm)の両面に下記樹脂層構成1からなる樹脂を、樹脂層の厚みが10μmとなるよう押出ラミネート機で押し出して樹脂層を形成し、セロハン積層体1を作製した。
【0033】
<樹脂層構成1>
ノバテック(登録商標)LD F405(日本ポリエチレン(株)製ポリエチレン、MFR2.0g/10分、密度0.919g/cm、融点108℃) 27.0質量%
PBAT KHB21(浙江華峰環保材料有限公司製PBAT、MFR3.84g/10分、密度1.21g/cm、融点121℃) 70.0質量%
P-Life Green20(ピーライフ・ジャパン・インク(株)製オレイン酸マンガンおよびオレイン酸セリウム含有物、オレイン酸マンガンとオレイン酸セリウムの合計含有量が16質量%) 3.0質量%
【0034】
<セロハン積層体2>
下記樹脂層構成2を用いる以外はセロハン積層体1と同様にして、セロハン積層体2を作製した。
【0035】
<樹脂層構成2>
PBAT KHB21 100.0質量%
【0036】
<セロハン積層体3>
下記樹脂層構成3を用いる以外はセロハン積層体1と同様にして、セロハン積層体3を作製した。
【0037】
<樹脂層構成3>
ノバテックLD F405 80.0質量%
P-Life Green20 20.0質量%
【0038】
<セロハン積層体4>
下記樹脂層構成4を用いる以外はセロハン積層体1と同様にして、セロハン積層体4を作製した。
【0039】
<樹脂層構成4>
ノバテックLD F405 30.0質量%
PBAT KHB21 70.0質量%
【0040】
<セロハン積層体5>
下記樹脂層構成5を用いる以外はセロハン積層体1と同様にして、セロハン積層体5を作製した。
【0041】
<樹脂層構成5>
ノバテックLD F405 63.0質量%
PBAT KHB21 30.0質量%
P-Life Green20 7.0質量%
【0042】
<セロハン積層体6>
下記樹脂層構成6を用いる以外はセロハン積層体1と同様にして、セロハン積層体6を作製した。
【0043】
<樹脂層構成6>
ノバテックLD F405 45.0質量%
PBAT KHB21 50.0質量%
P-Life Green20 5.0質量%
【0044】
<セロハン積層体7>
下記樹脂層構成7を用いる以外はセロハン積層体1と同様にして、セロハン積層体7を作製した。
【0045】
<樹脂層構成7>
ノバテックLD F405 36.0質量%
PBAT KHB21 60.0質量%
P-Life Green20 4.0質量%
【0046】
<セロハン積層体8>
下記樹脂層構成8を用いる以外はセロハン積層体1と同様にして、セロハン積層体8を作製した。
【0047】
<樹脂層構成8>
ノバテックLD F405 18.4質量%
PBAT KHB21 80.0質量%
P-Life Green20 1.6質量%
【0048】
<セロハン積層体9>
下記樹脂層構成9を用いる以外はセロハン積層体1と同様にして、セロハン積層体9を作製した。
【0049】
<樹脂層構成9>
ノバテックLD F405 27.0質量%
BioPBS(登録商標) FZ71(三菱ケミカル(株)製PBS樹脂、MFR22g/10分、密度1.26g/cm、融点115℃) 70.0質量%
P-Life Green20 3.0質量%
【0050】
<セロハン積層体10>
下記樹脂層構成10を用いる以外はセロハン積層体1と同様にして、セロハン積層体10を作製した。
【0051】
<樹脂層構成10>
ノバテックLD F405 27.0質量%
テラマック(登録商標) TP-4000(ユニチカ(株)製ポリ乳酸)70.0質量%
P-Life Green20 3.0質量%
【0052】
<セロハン積層体11>
下記樹脂層構成11を用いる以外はセロハン積層体1と同様にして、セロハン積層体11を作製した。
【0053】
<樹脂層構成11>
ノバテックLD F405 29.5質量%
PBAT KHB21 70.0質量%
オクチル酸マンガン 0.50質量%
【0054】
得られたセロハン積層体1~11について、下記試験方法に従い酸素バリア性、密着性、防湿性、分解性、およびブロッキング性について評価した。結果を表1に示す。
【0055】
<酸素ガスバリア性>
酸素透過率測定装置OX-TRAN(登録商標)2/22(L)(MOCON社製)を用い、測定面積5.64cmで酸素ガスバリア性を測定した。測定時の温湿度は23℃50%RHと23℃80%RHの二通りで行った。透過した酸素量の測定値が10cc/m/日未満の場合を○、10~30cc/m/日の場合を△、30cc/m/日を超える場合を×とした。
【0056】
<密着性>
得られたセロハン積層体を幅25mm長さ150mmに裁断し、2層の樹脂層の一部を剥がし、樹脂層2層間のピール強度を、90°剥離法で測定した。
【0057】
<防湿性>
セロハン積層体の防湿性を示す指標として、高湿下に保管した場合の樹脂層の密着性を評価した。セロハン積層体を60℃90%RHの環境下で10日間保管し、樹脂層全体がセロハン基材から自然に剥離している場合を×、樹脂層の一部がセロハン基材から自然に剥離している場合を△、樹脂層の剥離が全く認められない場合を○とした。
【0058】
<分解性>
825μm(30メッシュ)の篩を通過し、かつ425μm(20メッシュ)の篩を通過しなかった海砂を105℃で3時間乾燥させた。得られた海砂320g、105℃で3時間乾燥させた牛糞堆肥60g、および純水166g混合し、コンポストAを作製した。得られたコンポストA中にセロハン積層体を埋め、58℃100%RHの雰囲気下で保管した。10週間後に穴が開くなどの分解の進行と黄変が観察される場合を○、穴が開くなどの分解の進行は認められるが、黄変は観察されない場合を△、穴が開くなどの分解の進行も黄変も観察されない場合を×とした。
【0059】
<ブロッキング性>
セロハン積層体を10cm×10cmの大きさに2枚切り取り、切り取った2枚のセロハン積層体を重ね合わせた。重ね合わせたセロハン積層体を同じ大きさのアルミ板(厚み300μm)2枚で挟み、上から1kgの錘を載せ、50℃環境下で24時間放置した。放置後、セロハン積層体同士が全体にブロッキングした場合を×、部分的にブロッキングした場合を△、ブロッキングしなかった場合を○とした。
【0060】
【表1】
【0061】
表1より、本発明の効果が判る。