IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-表示装置 図1
  • 特開-表示装置 図2
  • 特開-表示装置 図3
  • 特開-表示装置 図4
  • 特開-表示装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039724
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20240315BHJP
   B60K 37/00 20240101ALI20240315BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G09F9/00 304B
G09F9/00 302
B60K37/00 Z
B60R11/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144305
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】馬場 智樹
(72)【発明者】
【氏名】山下 雄介
【テーマコード(参考)】
3D020
3D344
5G435
【Fターム(参考)】
3D020BA04
3D020BB03
3D020BC03
3D020BC13
3D344AA27
3D344AB01
3D344AC04
5G435AA13
5G435BB12
5G435EE02
5G435GG43
5G435GG44
5G435HH02
5G435HH05
5G435HH18
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】 防水性を向上させることが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】 所定情報を表示する表示手段10と、この表示手段10を収容するケース部材60と、第2のケース62(ケース部材60)に設けられた開口部62eを塞ぐように配設される放熱部材70と、第2のケース62(ケース部材60)と放熱部材70との間の空所に配設される緩衝部材80とを備えるものである。また空所は第2のケース62に形成された窪み部62gとして構成され、窪み部62gに緩衝部材80が配設されているものである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定情報を表示する表示手段と、
前記表示手段を収容するケース部材と、
前記ケース部材に設けられた開口部を塞ぐように配設される放熱部材と、
前記ケース部材と前記放熱部材との間の空所に配設される緩衝部材とを備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記ケース部材は、前記表示手段の側方に設けられる第1のケースと、前記開口部を有する第2のケースとを備え、
前記空所は、前記第2のケースに設けられた窪み部として構成され、
前記窪み部に前記緩衝部材が配設されていることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記空所は、前記放熱部材に形成された窪み部として構成され、
前記窪み部に前記緩衝部材が配設されていることを特徴とする請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記放熱部材は、前記第2のケースと重なり合う第1重合部を有し、
前記第1重合部に前記窪み部に向けて突出形成される突出部を設けたことを特徴とする請求項2記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2のケースは、前記放熱部材と重なり合う第2重合部を有し、
前記第2重合部に前記窪み部に向けて突出形成される突出部を設けたことを特徴とする請求項3記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示手段を覆うように設けられる保護部材を備え、
前記保護部材は、透光性の接合部材を介して前記表示手段に接合されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の表示装置にあっては、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。この特許文献1に記載の表示装置は、車両に搭載された車両用計器であり、車両情報(所定情報)を表示する液晶表示パネル(表示手段)と、この液晶表示パネルを収容する上ケース(第1のケース)と下ケース(第2のケース)とからなる樹脂製のケース部材と、下ケースの底部に設けられた開口部を塞ぐように配設される金属製の放熱部材とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-124320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に記載の表示装置を自動2輪車のハンドル中央付近に搭載される車両用計器に適用した場合、当該車両用計器は、自動2輪車に搭乗する搭乗者によって運転操作されている際に、常に外気に晒されることになる。
【0005】
一方で、上述した特許文献1に記載の表示装置のように下ケースの底部に設けられた開口部を塞ぐように放熱部材を配設する構成を採用した場合、下ケースや放熱部材の寸法公差によって、下ケースと放熱部材との間の境界部分に微小なクリアランスが生じてしまう場合があり、この場合、当該クリアランスから装置内部に水分が侵入することが考えられ、防水性の低下を招く虞がある。
そこで本発明は、前述の課題に対して対処するため、防水性を向上させることが可能な表示装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、所定情報を表示する表示手段と、前記表示手段を収容するケース部材と、前記ケース部材に設けられた開口部を塞ぐように配設される放熱部材と、前記ケース部材と前記放熱部材との間の空所に配設される緩衝部材とを備えることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、前記ケース部材は、前記表示手段の側方に設けられる第1のケースと、前記開口部を有する第2のケースとを備え、前記空所は、前記第2のケースに設けられた窪み部として構成され、前記窪み部に前記緩衝部材が配設されていることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記空所は、前記放熱部材に形成された窪み部として構成され、前記窪み部に前記緩衝部材が配設されていることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記放熱部材は、前記第2のケースと重なり合う第1重合部を有し、前記第1重合部に前記窪み部に向けて突出形成される突出部を設けたことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記第2のケースは、前記放熱部材と重なり合う第2重合部を有し、前記第2重合部に前記窪み部に向けて突出形成される突出部を設けたことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記表示手段を覆うように設けられる保護部材を備え、前記保護部材は、透光性の接合部材を介して前記表示手段に接合されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所期の目的を達成でき、防水性を向上させることが可能な表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態による表示装置の正面図。
図2図1のA-A断面図。
図3図2中、ケース部材の一部と放熱部材とを拡大して示す要部拡大断面図。
図4】本実施形態の変形例による表示装置の要部拡大断面図。
図5】本実施形態の他の変形例による表示装置の要部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を用いて本発明の一実施形態を説明する。なお、以下の説明では、表示装置Mを視認する視認者側を前方側とし、視認者側とは反対側となる反視認者側を背後側として各部の説明を行うことがある。
【0015】
表示装置Mは、例えば自動2輪車や自動車に搭載された車両用計器であり、図1図2に示すように所定情報を表示する表示手段10と、この表示手段10を覆うように設けられ、前記所定情報を透視可能に構成された保護部材20と、表示手段10の背後側に位置し、表示手段10の表示制御を行う制御部31が実装された回路基板30と、制御部31を覆うように回路基板30に装着されたシールドケース40と、シールドケース40の本体部41の表裏に配置された一対の熱伝導部材50と、表示装置Mの外装ケースを構成するケース部材60と、ケース部材60に備えられる後述する開口部を塞ぐように配設される放熱部材70と、ケース部材60に備えられる後述する窪み部に埋設(配設)される略枠状の緩衝部材80とを備えている。
【0016】
表示手段10は、例えば矩形状のディスプレイであり、保護部材20と回路基板30との間に設けられる。表示手段10は、例えば所定情報(例えば車速情報や燃費情報等の各種車両情報)を表示する略矩形状の液晶表示パネル11と、この液晶表示パネル11に光を供給するための図示省略したバックライトユニットと、液晶表示パネル11及びバックライトユニットを収容する金属製のフレーム部材12とを備える。フレーム部材12には液晶表示パネル11の表示面に対応する位置に開口部分12aが開口形成されている。
【0017】
保護部材20は、例えば透光性の合成樹脂材料または無機ガラスによって形成され、表示手段10の前方側を覆うように設けられた略平板状の透光性保護パネル部材である。また、この場合、保護部材20は、透光性の接着剤(接合部材)21を介して表示手段10に接合されている。
【0018】
回路基板30は、例えばガラスエポキシ系基材に配線パターンが施された硬質配線基板であり、マイクロコンピュータとしての上述した制御部31と、抵抗、コンデンサ等の各種回路部品とが前記配線パターンに導通接続されている。
【0019】
シールドケース40は、金属製の電磁遮蔽板として構成されるものであり、制御部31の駆動時に制御部31から発せられる電磁波がシールドケース40外部に漏洩するのを抑制するものである。シールドケース40は、断面略凹部形状に形成され、略矩形平板状の本体部41と、この本体部41の周縁部分から屹立するように設けられる4つの側壁42とを備えている。
【0020】
熱伝導部材50は、本体部41の表裏にそれぞれ接触するように設けられた第1の熱伝導部51と第2の熱伝導部52とで構成される。第1の熱伝導部51及び第2の熱伝導部52は、例えば所定の厚さを有するシリコーンゴムによって形成される。
【0021】
第1の熱伝導部51はその前方側が制御部31と接触するように本体部41の前方側略中央部に配置され、第2の熱伝導部52は前方側から表示装置Mを見たときに第1の熱伝導部51と概ね重なった状態で本体部41の背後側略中央部に配置される。また、第2の熱伝導部52は、その背後側において、放熱部材70に備えられる後述する凸部と接触している。そして、この場合、発熱電子部品である制御部31の駆動時に制御部31から発せられる熱は、第1の熱伝導部51、本体部41、第2の熱伝導部52、及び放熱部材70の前記凸部を経て装置外部へと放散される構成となる。
【0022】
ケース部材60は、表示手段10や回路基板30、シールドケース40等を収容する樹脂ケースであり、主要部分が表示手段10の側方に設けられる上ケースとしての第1のケース61と、この第1のケース61に接着剤ADにより固定される下ケースとしての第2のケース62とを備えている。
【0023】
第1のケース61は、例えば黒色の合成樹脂材料によって形成され、保護部材20の外縁部分を囲むように設けられる外周壁部61aと、外周壁部61aの内側に延出するように設けられた延出部61bと、この延出部61bの略中間部分から背後側に向けて垂下形成された内周壁部61cと、外周壁部61aと延出部61bと内周壁部61cとで囲まれた部位となる溝部61dと、回路基板30と平行状態をなすように表示手段10と回路基板30との間に位置している底壁部61eと、延出部61bと底壁部61eとを繋ぐ立壁形状の側壁部61fと、底壁部61eから背後側に向けて突出形成されたネジ固定用の複数のボス部61gとを備えている。
【0024】
延出部61bは、保護部材20の外縁部分を載置するための載置部としての機能を有している。内周壁部61cは、その背後側への突き出し量が外周壁部61aよりも短いリブ形状となっている。溝部61dは、接着剤ADを入れるための窪み部分となっている。側壁部61fは表示手段10の側方を包囲するように設けられる。ボス部61gは回路基板30に設けた孔32を貫通して回路基板30の背後側に延出している。なお、必要に応じて保護部材20と延出部61b(第1のケース61)とを接着剤にて接合してもよい。
【0025】
第2のケース62は、例えば黒色の合成樹脂材料によって形成され、回路基板30の背後側に位置する底部62aと、この底部62aの外縁部分から屹立するように設けられた屹立部62bと、この屹立部62bの上端部から外側に向けて張り出すように設けられた張出部62cと、この張出部62cの略中間部分から溝部61dに向けて突出形成された突出部分62dとを備えている。
【0026】
第2のケース62の底部62aには、開口部62eと、孔62fと、窪み部62gとが設けられている(図2図3参照)。開口部62eは、底部62aの略中央部分を刳り貫くことで得られる貫通孔部として構成される。孔62fは、ボス部61gに対応する位置に形成された貫通孔である。窪み部62gは、開口部62eを有する第2のケース62(ケース部材60)と放熱部材70との間に形成される空所に相当する部位である。より具体的には、窪み部62gとして構成される前記空所は、略枠状の緩衝部材80を埋設するための略枠状の溝部からなる。
【0027】
放熱部材70は、アルミニウム等の熱伝導率の高い金属材料によって形成され、開口部62eを塞ぐように設けられる基部71と、この基部71から前方側に向けて凸状に延在する凸部72と、基部71の周囲に張り出す鍔部73とを備える。
【0028】
基部71は、その周縁部分が第2のケース62(窪み部62g)と重なり合う第1重合部71aを有している。そして、この第1重合部71aに窪み部62gに向けて突出形成されるリブ形状の突出部71bを設けた構成としている。鍔部73は、その前後方向に沿った厚さが基部71の厚さよりも若干、薄くなっているフランジとして構成される部位である。また、鍔部73は、ボス部61g及び孔62fに対応する位置に孔73aが設けられている。なお、ここでの詳細図示は省略するが、基部71の背後側には放熱効率を高めるための複数のフィンが形成されていてもよい。
【0029】
緩衝部材80は、例えば弾性を有する略枠状の合成ゴムによって形成され、第2のケース62(ケース部材60)と放熱部材70との間の前記空所に埋設(配設)される。より具体的には、ここでの緩衝部材80は、窪み部62gと突出部71bとの間に(適度に)圧縮された状態で前記空所(窪み部62g)に配設される。
【0030】
以上の各部により表示装置Mが構成される。なお、このように構成された表示装置Mにおいて、第1のケース61と第2のケース62とを接着固定するにあたっては、上下を反転した第1のケース61の溝部61dに接着剤ADを充填した後、上下を反転した第2のケース62の突出部分62dを溝部61dに挿入すればよい。そして、ネジTを用いて第1のケース61と第2のケース62と放熱部材70とを共締め固定する(つまり孔73a、孔62fを貫通したネジTのネジ部をボス部61gに螺合する)ことで、緩衝部材80は、窪み部62gと突出部71bとの間に(適度に)圧縮された状態で前記空所に配設されることになる。
【0031】
以上のように本実施形態によれば、所定情報を表示する表示手段10と、この表示手段10を収容するケース部材60と、第2のケース62(ケース部材60)に設けられた開口部62eを塞ぐように配設される放熱部材70と、第2のケース62(ケース部材60)と放熱部材70との間の前記空所に配設される緩衝部材80とを備えるものである。また、前記空所は第2のケース62に形成された窪み部62gとして構成され、この窪み部62gに緩衝部材80が配設されているものである。
【0032】
従って、第2のケース62や放熱部材70の寸法公差によって、第2のケース62と放熱部材70との間の境界部分に微小なクリアランスが生じた場合であっても、窪み部62gに緩衝部材80を設けたことにより当該クリアランスから装置内部へと侵入する水分は緩衝部材80によってブロックされる。このため、水分が装置内部へと侵入する虞がなくなり、防水性を向上させることができる。
【0033】
また本実施形態では、放熱部材70は、第2のケース62と重なり合う第1重合部71aを備え、第1重合部71aに窪み部62gに向けて突出形成される突出部71bが設けられていることにより、緩衝部材80は窪み部62gと突出部71bとの間に適度に圧縮された状態で窪み部62gに配設されることから、防水性をより高めることができるという利点がある。
【0034】
また本実施形態では、表示手段10を覆うように設けられる保護部材20を備え、保護部材20は透光性の接着剤21を介して表示手段10に接合されていることにより、結露による(前記水分に起因した)保護部材20の曇り現象が生じにくくなり、商品性を高めることができるという利点がある。
【0035】
なお、本発明は、上述の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、実施形態及び図面に変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【0036】
例えば、上述した実施形態では、緩衝部材80が窪み部62gと突出部71bとの間に圧縮固定されるものであったが、本実施形態の変形例として図4に示すように突出部71bを廃止して基部71と窪み部62gとの間に緩衝部材80を圧縮固定する構成としてもよい。
【0037】
また、上述した実施形態では、前記空所が第2のケース62に形成された窪み部62gとして構成され、窪み部62gに緩衝部材80が埋設(配設)されているものであったが、例えば本実施形態の他の変形例として図5に示すように前記空所を第2のケース62側ではなく放熱部材70側に形成してもよい。つまり、この場合、前記空所が基部71(放熱部材70)に形成された窪み部74として構成され、当該窪み部74に緩衝部材80が埋設(配設)されることになる。
【0038】
また、上述した実施形態では、基部71(放熱部材70)が底部62a(第2のケース62)と重なり合うように設けられる第1重合部71aを備え、第1重合部71aに窪み部62gに向けて突出形成される突出部71bを設けたものであったが、例えば上述の図5(他の変形例)に示すように底部62a(第2のケース62)が基部71(放熱部材70)と重なり合う第2重合部62hを備え、第2重合部62hに窪み部74に向けて突出形成される突出部62jを設けた構成としてもよい。なお、この他の変形例においても、突出部62jを廃止して底部62aと窪み部74との間に緩衝部材80を圧縮固定してもよいことは言うまでもない。さらには、緩衝部材80は、第2のケース62(ケース部材60)と放熱部材70との間の空所に配設されればよく、例えば第2のケース62に設けた窪み部と放熱部材70に設けた窪み部との双方に跨がるように配設されてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10 表示手段
11 液晶表示パネル
20 保護部材
21 接着剤(接合部材)
30 回路基板
40 シールドケース
50 熱伝導部材
51 第1の熱伝導部
52 第2の熱伝導部
61 第1のケース
62 第2のケース
62a 底部
62e 開口部
62f 孔
62g、74 窪み部(空所)
62h 第2重合部
62j、71b 突出部
70 放熱部材
71 基部
71a 第1重合部
72 凸部
73 鍔部
80 緩衝部材
AD 接着剤
図1
図2
図3
図4
図5