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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039725
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】ワーク回転搬送設備
(51)【国際特許分類】
   B62D 65/18 20060101AFI20240315BHJP
   B62D 65/14 20060101ALI20240315BHJP
   B65G 47/248 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
B62D65/18 Z
B62D65/14 B
B65G47/248 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144306
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三輪 将大
(72)【発明者】
【氏名】西尾 明芳
【テーマコード(参考)】
3D114
3F081
【Fターム(参考)】
3D114AA20
3D114BA20
3D114CA07
3D114DA05
3D114DA07
3F081AA10
3F081BE03
3F081BE09
3F081CA06
3F081DA02
(57)【要約】
【課題】ワーク回転搬送設備の構成を簡素化することである。
【解決手段】ワーク回転搬送設備10は、一定方向に往復移動可能な台車20と、ワークWを支持可能で、台車20の移動方向と平行な軸心回りに回転可能な状態で、台車20に装着されたワーク支持フレーム25と、台車20が移動する際の移動力を利用してワーク支持フレーム25を軸心回りに回転させるワーク回転機構50とを有している。このように、台車が移動する際の移動力を利用してワークを回転させることができるため、ワークを回転させるための専用の駆動源が不要になり、設備を簡素化できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定方向に往復移動可能な台車と、
ワークを支持可能で、前記台車の移動方向と平行な軸心回りに回転可能な状態で、前記台車に装着されたワーク支持部材と、
前記台車が移動する際の移動力を利用して前記ワーク支持部材を軸心回りに回転させるワーク回転機構と、
を有するワーク回転搬送設備。
【請求項2】
請求項1に記載されたワーク回転搬送設備であって、
前記ワーク回転機構は、前記ワーク支持部材の回転自由端側が前記台車の移動方向と直角な平面上において円弧運動をするように、そのワーク支持部材の回転自由端側をガイドすることで、前記ワーク支持部材を軸心回りに回転させる回転ガイドレールを備えているワーク回転搬送設備。
【請求項3】
請求項2に記載されたワーク回転搬送設備であって、
前記ワーク支持部材の回転自由端側には、前記回転ガイドレールに沿ってスライド可能な状態でその回転ガイドレールと係合する係合部が設けられているワーク回転搬送設備。
【請求項4】
請求項2又は請求項3のいずれかに記載されたワーク回転搬送設備であって、
前記回転ガイドレールは、前記台車の移動方向と平行になるように設置された左側レール部と右側レール部と、前記左側レール部の後端と前記右側レール部の前端、あるいは、前記右側レール部の後端と前記左側レール部の前端とをつなぎ、前記台車を幅方向に跨げるように形成された半円ラセン状の湾曲レール部とを有しているワーク回転搬送設備。
【請求項5】
請求項3に記載されたワーク回転搬送設備であって、
前記ワーク支持部材は、角枠状に形成されて、前記角枠の対向する二辺の中央に回転中心軸が設けられており、前記角枠の回転自由端側の一辺に前記係合部が設けられており、前記角枠の回転自由端側の他辺に前記ワークを把持するワーク把持機構が設けられているワーク回転搬送設備。
【請求項6】
請求項1に記載のワーク回転搬送設備であって、
前記台車を一定方向にガイドする台車走行用レールと、
前記台車を前記台車走行用レールに沿って移動させる駆動機構と、
を有しており、
前記駆動機構は、前記台車走行用レールに沿って設置された駆動用レールと、前記駆動用レールを幅方向両側から挟んだ状態で水平回転する一対の駆動ローラとから構成されているワーク回転搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを一定方向に移動させる際に、そのワークを移動方向と平行な軸心回りに回転させるワーク回転搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
上記したワーク回転搬送設備に関する技術が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載のワーク回転搬送設備100は、図5に示すように、ワークWである二輪車の車体を塗装する設備である。ワーク回転搬送設備100は、図6に示すように、ワークWを支持するワーク支持部材103と、ワーク支持部材103を搬送するコンベヤ102と、コンベヤ102の所定位置に設けられて、ワーク支持部材103をコンベヤ102の搬送方向Fと平行な軸心回りに回転させる回転機構105とを備えている。
【0003】
ワーク回転搬送設備100では、図5に示すように、ワークWは起立状態でワーク支持部材103に支持されている。この状態で、コンベヤ102によりワーク支持部材103が塗料槽107の位置まで搬送されると、ワーク支持部材103は、図6に示すように、コンベヤ102の回転機構105と連結される。次に、回転機構105の駆動によりワーク支持部材103がコンベヤ102に対して180°(下方)に回転し(図5参照)、ワークWが塗料槽107の塗料に浸漬される。そして、所定時間後、回転機構105によりワーク支持部材103が180°(上方)に回動してワークWが起立状態に戻される。この状態で、ワーク支持部材103はコンベヤ102により次工程に搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-199536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したワーク回転搬送設備100では、塗料槽107の位置でワーク支持部材103をコンベヤ102の回転機構105と連結させ、その回転機構105を駆動させることでワークWを支持するワーク支持部材103を上下方向に180°回転させる構成である。このように、ワーク支持部材103を回転させるための専用の回転機構105が必要となる。即ち、回転機構105を駆動させるための駆動源(モータ等)が必要となり、さらに回転機構105とワーク支持部材103とを連結させる機構も必要となる。このため、設備が複雑化する。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、ワーク回転搬送設備の構成を簡素化することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題は、各発明によって解決される。第1の発明のワーク回転搬送設備は、一定方向に往復移動可能な台車と、ワークを支持可能で、前記台車の移動方向と平行な軸心回りに回転可能な状態で、前記台車に装着されたワーク支持部材と、前記台車が移動する際の移動力を利用して前記ワーク支持部材を軸心回りに回転させるワーク回転機構とを有している。
【0008】
本発明によると、台車が移動する際の移動力を利用してワークを回転させることができる。このため、ワークを回転させるための専用の駆動源が不要になり、設備を簡素化できる。
【0009】
第2の発明のワーク回転搬送設備によると、ワーク回転機構は、ワーク支持部材の回転自由端側が台車の移動方向と直角な平面上において円弧運動をするように、そのワーク支持部材の回転自由端側をガイドすることで、前記ワーク支持部材を軸心回りに回転させる回転ガイドレールを備えている。即ち、回転ガイドレールによって台車の移動中にワーク支持部材の回転自由端側が円弧運動するように、そのワーク支持部材の回転自由端側がガイドされる構成のため、ワーク回転機構の構成を簡素化できる。
【0010】
第3の発明のワーク回転搬送設備によると、ワーク支持部材の回転自由端側には、回転ガイドレールに沿ってスライド可能な状態でその回転ガイドレールと係合する係合部が設けられている。このため、ワーク支持部材の回転自由端側が確実に回転ガイドレールによってガイドされるようになる。
【0011】
第4の発明のワーク回転搬送設備によると、回転ガイドレールは、台車の移動方向と平行になるように設置された左側レール部と右側レール部と、前記左側レール部の後端と前記右側レール部の前端、あるいは、前記右側レール部の後端と前記左側レール部の前端とをつなぎ、前記台車を幅方向に跨げるように形成された半円ラセン状の湾曲レール部とを有している。
【0012】
第5の発明のワーク回転搬送設備によると、ワーク支持部材は、角枠状に形成されて、角枠の対向する二辺の中央に回転中心軸が設けられており、前記角枠の回転自由端側の一辺に前記係合部が設けられており、前記角枠の回転自由端側の他辺に前記ワークを把持するワーク把持機構が設けられている。
【0013】
第6の発明のワーク回転搬送設備によると、台車を一定方向にガイドする台車走行用レールと、前記台車を前記台車走行用レールに沿って移動させる駆動機構とを有し、前記駆動機構は、前記台車走行用レールに沿って設置された駆動用レールと、前記駆動用レールを幅方向両側から挟んだ状態で水平回転する一対の駆動ローラとから構成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、ワーク回転搬送設備の構成を簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態1に係るワーク回転搬送設備の全体を表す模式斜視図である。
図2】前記ワーク回転搬送設備において台車が原位置にある状態を表す斜視図である。
図3】前記台車の移動途中を表す斜視図である。
図4】前記台車が製品搬出位置にある状態を表す斜視図である。
図5】従来のワーク回転搬送設備の動作を表す模式図である。
図6】従来のワーク回転搬送設備の構成を表す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施形態1]
以下、図1から図4に基づいて本発明の実施形態1に係るワーク回転搬送設備について説明する。本実施形態に係るワーク回転搬送設備10は、自動車のインストルメントパネル(以下、ワークWという)の裏面側に部品を組み付ける部品組付ラインにおいて使用されている。前記部品組付ラインでは、図1等に示すように、搬送コンベヤ70(後記する)上にワークWが裏側を上向きにした状態でセットされており、作業者は搬送コンベヤ70のサイドでワークWに対して部品の組付け作業を行う。そして、部品の組付けが完了したワークW(完成品)が搬送コンベヤ70により、その搬送コンベヤ70のコンベヤ端位置まで搬送される。ワーク回転搬送設備10は、搬送コンベヤ70のコンベヤ端位置にあるワークWを受け取り、そのワークWをコンベヤ端位置(原位置S)から製品搬出位置Tまで搬送する過程で表裏反転(180°回転)させる設備である。ここで、図中に示す前後は、ワーク回転搬送設備10で使用される台車20の移動方向を表しており、図中に示す左右及び上下は、前記台車20の左右及び上下に対応している。
【0017】
<ワーク回転搬送設備10の概要について>
ワーク回転搬送設備10は、図1に示すように、ワークWを搬送する台車20と、台車20を原位置Sから製品搬出位置Tまでガイドする台車走行用レール30と、台車20を台車走行用レール30に沿って移動させる駆動機構40とを備えている。さらに、ワーク回転搬送設備10は、台車20が移動する際の移動力を利用してワークWを上下方向に180°回転(表裏反転)させるワーク回転機構50を備えている。
【0018】
<台車走行用レール30について>
台車走行用レール30は、図1等に示すように、床面上に設定されており、台車20の左右の車輪22が載せられる左右一対の直線状レール32を備えている。左右一対の直線状レール32は、搬送コンベヤ70のコンベヤ端位置を左右両側から挟む位置(原位置S(後端位置))からその搬送コンベヤ70の延長線上(前方)に延びて、製品搬出位置T(前端位置)まで設けられている。直線状レール32の前端部と後端部とには、台車20の車輪22の脱落防止を図るストッパ(図示省略)が取り付けられている。即ち、台車20は、台車走行用レール30に沿って前後方向(一定方向)に往復移動が可能となる。
【0019】
<台車20について>
台車20は、図2図4に示すように、台車本体フレーム200と、台車本体フレーム200の下面の前後左右に設けられた車輪22と、台車本体フレーム200に回転可能な状態で支持されたワーク支持フレーム25とを備えている。台車本体フレーム200は、図3図4等に示すように、門形の前フレーム部201と、同じく門形の後フレーム部202と、前フレーム部201と後フレーム部202とを下端位置でつなぐ下端角形フレーム部203とを備えている。そして、下端角形フレーム部203の下面に車輪22が取り付けられている。また、前フレーム部201と後フレーム部202との高さ方向中央部は、左右の連結フレーム204により連結されている。
【0020】
<台車20のワーク支持フレーム25について>
台車20の前フレーム部201の上辺部201uと後フレーム部202の上辺部202uとの間には、図3等に示すように、ワーク支持フレーム25が設けられている。ワーク支持フレーム25は、ワークWを支持する枠形のフレームであり、ワークWを周囲から囲んだ状態で支持できるように構成されている。ワーク支持フレーム25は、対向する一対の短辺部25f,25bと、同じく対向する一対の長辺部25x,25yとから長方形枠状に形成されている。
【0021】
そして、図3に示すように、ワーク支持フレーム25の前側の短辺部25fの中央が前フレーム部201の上辺部201uの中央に対して回転中心軸J(一点鎖線参照)により回転自在に連結されている。同様に、ワーク支持フレーム25の後側の短辺部25bの中央が後フレーム部202の上辺部202uの中央に対して回転中心軸J(一点鎖線参照)により回転自在に連結されている。前後の回転中心軸Jは同軸であり、台車走行用レール30と平行になるように位置決めされている。これにより、ワーク支持フレーム25は、台車20の前フレーム部201の上辺部201uと後フレーム部202の上辺部202uとの間で回転中心軸Jの軸心回りに左回転、あるいは右回転が可能となる。
【0022】
即ち、ワーク支持フレーム25の対向する一対の長辺部25x,25yがそのワーク支持フレーム25の回転自由端側となる。図3等に示すように、ワーク支持フレーム25の一方の長辺部25y(図3では下側の長辺部25y)には、前後に棒状のブラケット25sが突出形成されており、それらのブラケット25sにワークWを把持するワーク把持機構26が取り付けられている。ワーク把持機構26は、ワークWを表裏から挟んで把持することで、ワークWをワーク支持フレーム25の枠内の所定位置に保持する機構である。
【0023】
ワーク把持機構26は、図2図4に示すように、ワークWを表裏から挟んで把持する一対の把持アーム26aと、それらの把持アーム26aを把持動作させるエアシリンダ26cとから構成されている。なお、図3図4等では、ワーク把持機構26の構成を分かり易くするため、一対の把持アーム26aを開いた状態で記載している。しかし、ワーク支持フレーム25にワークWがセットされる際は、一対の把持アーム26aは閉じた状態でワークWを把持している。また、図3等に示すように、ワーク支持フレーム25の他方の長辺部25x(図3では上側の長辺部25x)の中央には、ワーク回転機構50(後記する)の回転ガイドレール53に対してスライド可能な状態で係合する係合部27が設けられている。
【0024】
<台車20の駆動機構40について>
台車20の下端角形フレーム部203の後辺部中央には、駆動機構40の駆動部43が設けられている。駆動機構40は、上記したように、台車20を台車走行用レール30に沿って前後方向に移動させる機構であり、台車20に設けられた前記駆動部43と、台車走行用レール30に沿って設置された塀状の駆動用レール45とを備えている。前記駆動部43は、駆動用レール45を左右両側から挟んだ状態で水平回転し、その駆動用レール45に沿って前後方向に転動する一対の駆動ローラ43rと、それらの駆動ローラ43rを回転させるモータ43mとを備えている。これにより、モータ43mが駆動されると一対の駆動ローラ43rが回転し、それらの駆動ローラ43rが駆動用レール45に沿って転動する力によって、台車20が台車走行用レール30に沿って前後方向に移動するようになる。
【0025】
<ワーク回転機構50について>
ワーク回転機構50は、上記したように、台車20が前後移動する際の移動力を利用してワークWを反転させる機構である。ワーク回転機構50は、回転ガイドレール53を備えている。回転ガイドレール53は、ワーク支持フレーム25の係合部27が台車20の移動方向に対して直角な平面上において円弧運動をするように、その係合部27をガイドすることで、ワーク支持フレーム25を軸心回りに回転させる。回転ガイドレール53は、ワーク支持フレーム25の係合部27がスライド可能な状態で係合するパイプ状のレールである。回転ガイドレール53は、直線状の左側レール部53fと、同じく直線状の右側レール部53rと、半円ラセン状の湾曲レール部53wとから構成されている。ここで、図面には、回転ガイドレール53を支持する機構は省略されている。
【0026】
回転ガイドレール53の左側レール部53fは、図1図2に示すように、台車走行用レール30の左側でその台車走行用レール30と平行な状態で、台車20の上端面とほぼ等しい高さ位置に設置されている。左側レール部53fは、搬送コンベヤ70のコンベヤ端位置(原位置S(後端位置))から台車走行用レール30の長さ方向における途中位置まで前方に延びている。ここで、台車20のワーク支持フレーム25の回転中心軸Jから左側レール部53fまでの寸法は、前記回転中心軸Jからワーク支持フレーム25の係合部27までの寸法と等しい値に設定されている。
【0027】
回転ガイドレール53の右側レール部53rは、図1図4に示すように、台車走行用レール30の右側でその台車走行用レール30と平行な状態で、台車20の上端面とほぼ等しい高さ位置に設置されている。右側レール部53rは、台車走行用レール30の長さ方向における途中位置から製品搬出位置T(前端位置)まで前方に延びている。ここで、台車20のワーク支持フレーム25の回転中心軸Jから右側レール部53rまでの寸法は、前記回転中心軸Jからワーク支持フレーム25の係合部27までの寸法と等しい値に設定されている。
【0028】
回転ガイドレール53の湾曲レール部53wは、図1図3に示すように、左側レール部53fの前端と右側レール部53rの後端とをつなぐ半円ラセン状のレールであり、台車20を幅方向に跨げるように形成されている。ここで、台車20の移動方向に対して直角な平面における回転ガイドレール53の湾曲レール部53wの形状は半円形に形成されている。そして、半円形に形成された湾曲レール部53wの半径寸法は、台車20のワーク支持フレーム25の回転中心軸Jから係合部27までの寸法と等しい値に設定されている。
【0029】
台車20のワーク支持フレーム25の係合部27は、図3等に示すように、一対の円筒状ローラにより回転ガイドレール53を幅方向両側から挟んでいる。これにより、ワーク支持フレーム25の係合部27は、回転ガイドレール53に沿ってスライド可能な状態で、その回転ガイドレール53と係合できるようになる。さらに、係合部27は、図3に示すように、ワーク支持フレーム25の長辺部25xの中央に形成された突出部25pに対して軸心回りに回転可能な状態で、その突出部25pに連結されている。
【0030】
<搬送コンベヤ70のコンベヤ端位置の構成概要について>
搬送コンベヤ70は、図1図2に示すように、間隔をあけて左右に設けられた水平コンベヤ72,73を備えている。そして、左右の水平コンベヤ72,73が同時に同速度で駆動されることにより、ワークWが搬送される。搬送コンベヤ70のコンベヤ端位置には、ワークW(完成品)を台車20のワーク支持フレーム25に移載するための移載装置74が設けられている。移載装置74は、左水平コンベヤ72と右水平コンベヤ73との間に設置されており、搬送コンベヤ70上のワークWを表裏(上下)から挟んだ状態で把持し、台車20のワーク支持フレーム25に移載できるように構成されている。
【0031】
<ワーク回転搬送設備10の動作について>
ワーク回転搬送設備10の台車20は、図1(二点鎖線)、図2に示すように、その台車20が搬送コンベヤ70のコンベヤ端位置と上下方向おいて重なる原位置Sで待機している。台車20が原位置Sにある状態では、ワーク支持フレーム25はほぼ水平に保持されており、ワーク支持フレーム25の係合部27は回転ガイドレール53の左側レール部53fと係合している。この状態で、ワークWが搬送コンベヤ70によりコンベヤ端位置まで搬送されてくると、搬送コンベヤ70の移載装置74が動作してワークWが台車20のワーク支持フレーム25の位置まで持ち上げられる。このとき、ワークWは、裏側が上向きの状態に保持されている。この状態で、ワーク支持フレーム25のワーク把持機構26が動作し、ワークWがワーク支持フレーム25の枠内の所定位置で把持される。この状態で、搬送コンベヤ70からワーク回転搬送設備10の台車20へのワークWの移載が完了する。
【0032】
次に、台車20の駆動機構40の駆動部43が動作することで、台車20が台車走行用レール30に沿って前進する。これにより、ワーク支持フレーム25の係合部27が回転ガイドレール53の左側レール部53fに沿って前方にスライドする。ここで、回転ガイドレール53の左側レール部53fは、図1図2に示すように、台車20の上端面とほぼ等しい高さで台車走行用レール30に平行に位置決めされている。このため、ワーク支持フレーム25の係合部27が回転ガイドレール53の左側レール部53fと係合している状態では、台車20が前進してもワーク支持フレーム25の係合部27は上下方向に変位せず、ワーク支持フレーム25はほぼ水平な状態に保持される。
【0033】
この状態から台車20が台車走行用レール30のほぼ中央位置まで前進すると、ワーク支持フレーム25の係合部27は回転ガイドレール53の左側レール部53fと湾曲レール部53wとの境界部分に到達する。そして、ワーク支持フレーム25の係合部27は、図1図3に示すように、台車20の前進により湾曲レール部53wに沿って前方にスライドするようになる。ここで、湾曲レール部53wは、半円ラセン状のレールであり、台車20の移動方向に対して直角な平面における形状が半円形となっている。このため、台車20の前進によりワーク支持フレーム25の係合部27が湾曲レール部53wに沿って前方にスライドすると、図3等に示すように、ワーク支持フレーム25は回転中心軸Jの軸心回りに右回転するようになる。そして、ワーク支持フレーム25の係合部27が湾曲レール部53wの中央に到達した段階では、ワーク支持フレーム25が90°右回転して起立した状態となる。
【0034】
さらに、台車20の前進によりワーク支持フレーム25の係合部27が湾曲レール部53wの中央から後端位置(右側レール部53rとの境界位置)までスライドする過程で、図4に示すように、ワーク支持フレーム25はさらに90°右回転する。即ち、ワーク支持フレーム25の係合部27が湾曲レール部53wの前端位置から後端位置まで前方にスライドすることで、ワーク支持フレーム25が回転中心軸Jの軸心回りに180°回転し、ワークWが反転して表側が上方を向く状態になる。
【0035】
この状態から台車20がさらに前進すると、図1(二点鎖線)、図4に示すように、ワーク支持フレーム25の係合部27は右側レール部53rに沿って前方にスライドする。ここで、右側レール部53rは、図1図4に示すように、台車20の上端面とほぼ等しい高さで台車走行用レール30と平行に位置決めされている。このため、ワーク支持フレーム25の係合部27が右側レール部53rと係合している状態では、台車20が前進してもワーク支持フレーム25の係合部27は上下方向に変位せず、ワーク支持フレーム25はほぼ水平な状態に保持される。即ち、ワークWは表側が上向きの状態に保持される。
【0036】
台車20が、図4に示すように、製品搬出位置Tに到達すると、表側を上向きにしたワークWは、吸着式のワーク搬送機(図示省略)に保持された状態で次工程に搬送される。そして、空の台車20は原位置Sに戻される。台車20が製品搬出位置Tから原位置Sまで後進する過程では、ワーク支持フレーム25の係合部27は回転ガイドレール53の右側レール部53rから湾曲レール部53w、左側レール部53fに沿って後方にスライドする。この結果、ワーク支持フレーム25は、180°左回転して、図2に示す状態に戻される。
【0037】
<本実施形態における用語と本発明の用語との対応>
本実施形態におけるワーク支持フレーム25が本発明におけるワーク支持部材に相当する。また、ワーク支持フレーム25の長辺部25x,25yが本発明におけるワーク支持部材の回転自由端側に相当する。
【0038】
<本実施形態に係るワーク回転搬送設備10の長所について>
本実施形態に係るワーク回転搬送設備10によると、台車20が移動する際の移動力を利用してワークWを回転させることができるため、ワークWを回転させるための専用の駆動源が不要になり、設備を簡素化できる。また、回転ガイドレール53によって台車20の移動中にワーク支持フレーム25(ワーク支持部材)の係合部27(回転自由端側)が円弧運動するように、そのワーク支持フレーム25の係合部27をガイドする構成のため、ワーク回転機構50の構成を簡素化できる。
【0039】
<変更例>
ここで、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本実施形態では、回転ガイドレール53の左側レール部53fを搬送コンベヤ70のコンベヤ端位置側に形成し、右側レール部53rを製品搬出位置T側に形成する例を示した。しかし、回転ガイドレール53を本実施形態の形状に対して左右対称に形成することも可能である。また、本実施形態では、回転ガイドレール53の湾曲レール部53wを台車走行用レール30の長さ方向においてほぼ中央位置に設ける例を示した。しかし、回転ガイドレール53の湾曲レール部53wを台車走行用レール30の後寄り位置、あるいは前寄り位置に設けることも可能である。
【符号の説明】
【0040】
10・・・・ワーク回転搬送設備
20・・・・台車
25・・・・ワーク支持フレーム(ワーク支持部材)
25y・・・長辺部(回転自由端側)
25x・・・長辺部(回転自由端側)
26・・・・ワーク把持機構
27・・・・係合部
30・・・・台車走行用レール
40・・・・駆動機構
43r・・・駆動ローラ
45・・・・駆動用レール
50・・・・ワーク回転機構
53・・・・回転ガイドレール
53f・・・左側レール部
53r・・・右側レール部
53w・・・湾曲レール部
J・・・・・回転中心軸
S・・・・・原位置
T・・・・・製品搬出位置
W・・・・・ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6