(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039726
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】仕切り構造体及びパネル上端カバー用具
(51)【国際特許分類】
E04B 2/74 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
E04B2/74 561J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144307
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】511144398
【氏名又は名称】松田 知史
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】松田 知史
(57)【要約】
【課題】会場のフロアーが傾いているとか凹んでいるなど、水平面でない条件であっても、複数並べられる仕切りパネルの上端部の高さ位置を揃えることができて見た目が改善されるように、より工夫された仕切り構造体、並びにそれに用いられるパネル上端カバー用具を提供する。
【解決手段】仕切りパネル1の上端部に着脱可能に装着される支持具12と、支持具12に着脱可能に装着されるカバー体3Aとが設けられ、仕切りパネル1の上端部に装着された支持具12にカバー体3Aを装着させて、仕切りパネル1のパネル面1pに交差する方向視で仕切りパネル1の上端部がカバー体3Aで隠される状態に構成されている仕切り構造体。カバー体3Aを支持具12に着脱可能に装着させる支持機構13は、支持具12に対するカバー体3Aの高さ位置が調節可能に構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切りパネルの上端部に着脱可能に装着される支持具と、前記支持具に着脱可能に装着されるカバー体とが設けられ、
前記仕切りパネルの上端部に装着された前記支持具に前記カバー体を装着させて、前記仕切りパネルのパネル面に交差する方向視で前記仕切りパネルの上端部が前記カバー体で隠される状態に構成されている仕切り構造体。
【請求項2】
前記支持具は、前記仕切りパネルの上面に載置される支持本体と、前記支持本体の両端から下方に延ばされる一対の脚部とを有して、前記仕切りパネルの上端部を跨いで載せ付けられるように構成されている請求項1に記載の仕切り構造体。
【請求項3】
前記カバー体を前記支持具に着脱可能に装着させる支持機構が設けられ、前記支持機構は、前記支持具に対する前記カバー体の高さ位置が調節可能に構成されている請求項1又は2に記載の仕切り構造体。
【請求項4】
前記支持機構は、磁力を有する有磁体と前記有磁体に磁着される被磁着体とを、前記支持具と前記カバー体とに振り分けて設けることにより構成ざれている請求項3に記載の仕切り構造体。
【請求項5】
前記有磁体はマグネットシートであり、前記被磁着体は金属板である請求項4に記載の仕切り構造体。
【請求項6】
前記仕切りパネルにおける前記カバー体が装着されている側のパネル面と前記カバー体との間に隙間が設けられている請求項4又は5に記載の仕切り構造体。
【請求項7】
仕切りパネルの上端部に跨いで載せ付けられ可能な支持具と、
前記仕切りパネルのパネル面に交差する方向視で前記仕切りパネルの上端部を隠し可能なカバー体を、前記支持具に係止させる支持機構とが備えられ、
前記カバー体で前記仕切りパネルの上端部を隠せるように、前記仕切りパネルの上端部に載せ付けられている前記支持具に前記支持機構により前記カバー体を係止させることが可能に構成されているパネル上端カバー用具。
【請求項8】
前記支持機構は、磁力を用いて前記カバー体を前記支持具に係止する構成とされている請求項7に記載のパネル上端カバー用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、催物フロアーや展覧場などの会場で使用される仕切りパネルの敷設に関するものであって、仕切り壁を作るために複数並べて用いられる仕切り構造体、並びにそれに用いられるパネル上端カバー用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
展示会や催し物などの期日が限定された何らかの会を行うにあたり、デパートやホテル、或いは公営施設などの会場を借りて設営されることが多い。例えば、複数の業者が集う展示会を行う場合のブース(展示スペース)を区切る壁としては、多数の仕切りパネルを並べてなる仕切り壁が用いられる。
【0003】
仕切りパネルを並べて空間を仕切る手段、即ち仕切り壁を構築する手段の例としては、特許文献1で開示される内壁パネル(特に、
図7,8を参照)や、特許文献2で開示される間仕切りユニット(特に、
図7を参照)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3151596号公報
【特許文献2】実用新案登録第3230260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、仕切りパネルは会場のフロアー(床)に置いて並べて用いることが多いが、古い建物や床が柔らかい(強度が不足気味など)場合にはうまく敷設できないことがある。
即ち、会場となる場所の床は必ずしも水平面でなく若干傾斜しているとか、室の中央部が少し低くなっている(床の中央部が窪んでいる)ことがあると、隣合う仕切りパネルどうしに段差(高さ位置のズレ)ができてしまい、見栄えが芳しくないことが生じる。
【0006】
例えば、
図1に示されるように、フロアー(床)Fの
図1における右側部位が左側部位に比べて若干低くなっている場合に、複数の仕切りパネル1を前後に並べて仕切り壁を敷設すると、各仕切りパネル1の高さ、即ちパネルの上面1fの高さ位置が右に行くに従って低くなるように配置されることになってしまう。
【0007】
隣合う仕切りパネルの下端どうしの高さのズレは、足元の低い位置(ほぼ床面高さ)であまり目立たないが、仕切りパネルの上端どうしの高さの位置ズレは目立ち易くて見た目の印象がよろしくない。従って、仕切りパネルを複数並べてなる仕切り壁としては、改善の余地が残されているものであった。
【0008】
本発明の目的は、会場のフロアーが傾いているとか凹んでいるなど、水平面でない条件であっても、複数並べられる仕切りパネルの上端部の高さ位置を揃えることができて見た目が改善されるように、より工夫された仕切り構造体、並びにそれに用いられるパネル上端カバー用具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、仕切り構造体において、
仕切りパネル1の上端部に着脱可能に装着される支持具12と、前記支持具12に着脱可能に装着されるカバー体3Aとが設けられ、
前記仕切りパネル1の上端部に装着された前記支持具12に前記カバー体3Aを装着させて、前記仕切りパネル1のパネル面1pに交差する方向視で前記仕切りパネル1の上端部が前記カバー体3Aで隠される状態に構成されていることを特徴とする。
【0010】
第2の本発明は、パネル上端カバー用具において、
仕切りパネル1の上端部に跨いで載せ付けられ可能な支持具12と、
前記仕切りパネル1のパネル面1pに交差する方向視で前記仕切りパネル1の上端部を隠し可能なカバー体3Aを、前記支持具12に係止させる支持機構13とが備えられ、
前記カバー体3Aで前記仕切りパネル1の上端部を隠せるように、前記仕切りパネル1の上端部に載せ付けられている前記支持具12に前記支持機構13により前記カバー体3Aを係止させることが可能に構成されている
ことを特徴とする。
【0011】
第3~第7の本発明、及び第8の本発明については、特許請求の範囲を参照のこと。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、仕切りパネルの上端部に装着される支持具にカバー体が装着される構成としてあるので、カバー体で仕切りパネルの上端部を隠して(カバーして)見えないようにすることができる。
【0013】
従って、フロアーが傾いているなどによって、隣合う仕切りパネルどうしの互いの上端(上面)の位置が異なって段違い状態になっていても、仕切りパネルの上端部を隠せるカバー体どうしを、互いの上端の高さ位置が互いに同じになるように設けることにより、仕切り構造体としての高さ位置を揃えることが可能になる。
【0014】
その結果、仕切りパネルに載せる支持具と、支持具に係止されるカバー体とを設けるだけの比較的簡単で廉価な手段により、会場のフロアーが傾いているとか凹んでいるなど、水平面でない条件であっても、複数並べられる仕切りパネルの上端部の高さ位置を実質的に揃えることができて見た目が改善されるように、より工夫された仕切り構造体、並びにそれに用いられるパネル上端カバー用具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】パネル上端カバー用具を示し、(A)は正面図、(B)は側面図
【
図3】仕切りパネルを示し、(A)は平面図、(B)は正面図
【
図4】(A)は
図3(B)のZ-Z線断面図、(B)は仕切りパネルの側面図
【
図5】(A)は仕切りパネル左右端部の構造を示す要部の底面図、(B)は(A)のY-Y線断面図
【
図6】(A)は上端連結具を示す斜め下方から見た斜視図、(B)は吊り具を示す斜め上方から見た斜視図
【
図7】(A)は角用の上端連結具を示す斜め下方から見た斜視図、(B)は吊り具の使用例を示す要部の側面図
【
図8】(A)上連結具に使用例を示す要部の一部切欠きの正面図、(B)直交用の上連結具の使用例を示す要部の平面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明による仕切り構造体及びパネル上端カバー用具の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。説明の都合上、仕切りパネル1の第1面1aに向かって左右、前後及び上下を定義するものとする。
【0017】
図1に、本発明による仕切り構造体A及び仕切り構造体Aによる仕切り壁Wが示されている。仕切り構造体Aは、仕切りパネル1と、仕切りパネル1の上端部に装着されるパネル上端カバー用具2と、パネル上端カバー用具2に装着される上端カバー3とから構成されている。そして、複数の仕切りパネル1を並べて連結することにより、複数の仕切り構造体Aによる仕切り壁WがフロアーF上に構成されている。
【0018】
図3、
図4に示されるように、仕切りパネル1は、第1面(表面)1a、第2面(裏面)1b、左側面1c、右側面1d、底面1e、及び上面1fを有して、左右及び上下に長く前後は短い(薄い)厚肉板状のパネルであり、上下長さは左右幅よりも長い正面視で矩形を呈している。上面1fの左右の端部それぞれに、上連結具4〔
図6(A)参照:後述〕差込み用の下向き丸穴1hが形成されている。また、
図4(A)及び
図5に示されるように、底面1eの左右の端部それぞれに、下連結具5〔
図3(A)参照:後述〕込み用の上向き角穴1iが形成されている。
【0019】
仕切りパネル1は、図示は省略するが、フレーム材の外表面に板材を敷設してなる構造のものや、木材などによる単板でなる構造のものなど、種々の構造の者が可能である。第1面1aや第2面1bは、共にパネル面1pである。また、
図3(B)や
図4(B)に示されるように、仕切りパネル1は、上端に薄肉の別部材(仕上げ材、など)22を一体化したものでも良い。
【0020】
図3(B)及び
図8(A)に示されるように、上連結具4は、左右に隣合う仕切りパネル1,1どうしの上面1fの端部に嵌め込んで、互いに前後左右に離れないように相対係止可能なものである。なお、
図3(B)は、上連結具4が仕切りパネル1に組付けられる前の状態(分解状態)として描いてある。
図6(A)に示されるように、上連結具4は、平坦な平面部4a、及び、平面部4aの前後それぞれから折り曲げられて下方に延出される一対の垂下片部4b,4bを備える下向き開放コ字状の連結本体部4Aと、平面部4aの左右それぞれの側から下方に突設される丸棒状のピン部4c,4cとを備えて構成されている。
【0021】
図8(A)を参照して説明すると、上連結具4を落し込んで隣合う仕切りパネル1,1に跨って組付けられた状態では、一対のピン部4c,4cが対応する下向き丸穴1hに差し込まれて平面部4aが上面1fに載せ付けられ、各垂下片部4bが対応する第1,2面1a,1bの上端部に近接対向配置されている。なお、
図3(B)に示されるように、平面部4aと一対のピン部4c,4cとからなる構造(垂下片部4b,4bを持たない構造)の上連結具4としても良い。
【0022】
つまり、基本的にはピン部4c,4cの各下向き丸穴1h,1hへの嵌り込みにより、隣合う仕切りパネル1,1の上端部どうしが連結されており、一対の垂下片部4b,4bにより、隣合う第1面どうし1a,1a及び第2面どうし1b,1bの前後方向の位置を揃える前後ガイド機能も発揮可能に構成されている。
【0023】
図3、
図4に示されるように、下連結具5は、仕切り壁Wとしての端に配置される単連結具5Aと、隣り合う仕切りパネル1,1どうしに跨って配置される複連結具5Bとの総称である。単連結具5Aは、
図3(B)及び
図4(A)に示されるように、前後に長い矩形状の基板6と、基板6の前後中央部に起立形成される突起7とが一体化された部品に構成されている。
【0024】
例えば、金属板製の基板6と角パイプ製の突起7とを溶接で一体化して単連結具5Aが形成されている。つまり、基板6の長手方向が前後に向く姿勢〔
図3(A)参照〕で、仕切りパネル1の右端部の上向き角穴1iに突起7を挿入させて基板6に底面1eを載せ付けることにより、左右向きの仕切りパネル1を、フロアーFに前後に倒れることなく安定した起立状態に維持することができる。
【0025】
図3、
図4に示されるように、複連結具5Bは、隣合う仕切りパネル1,1どうしの下端部の連結かつ起立用(前後の倒れ止め)に用いられものである。
図3(B)及び
図4(A)に示されるように、複連結具5Bは、前後に長い略菱形の底板8と、底板8の前後中央部に互いに近接して左右一対で起立形成される連結凸起9,9とが一体化された部品に構成されている。
【0026】
例えば、金属板製の底板8と角パイプ製の連結凸起9,9とを溶接一体化して複連結具5Bが形成されている。従って、底板8の長手方向が前後に向く姿勢〔
図3(A)参照〕で、仕切りパネル1の左端部の上向き角穴1iに一方の(右側の)連結凸起9を挿入させて底板8に底面1eを載せ付けることにより、左右向きの仕切りパネル1を、フロアーFに前後に倒れることなく安定した起立状態に維持することができる。
【0027】
図5(A),(B)に示されるように、仕切りパネル1の底面1eの上向き角穴1iは、仕切りパネル1に埋設された穴具10により構成されている。即ち、穴具10は、下端金具10Aと角筒材10Bとの溶着などによる一体化でなる部品であり、下端金具10Aが仕切りパネル1の底部にビス11,11によって螺着され、仕切りパネル1の上向き穴部1gに挿入される角筒材10Bが底面1eから起立する状態で組付けられている。
【0028】
図2に示されるように、パネル上端カバー用具2は、仕切りパネル1の上端部に跨いで載せ付けられ可能な支持具12と、支持具12の前面及び後面のそれぞれに設けられた支持機構13,13とにより構成されている。支持具12は、例えば、上下長さが前後長さよりも大きい角パイプ製の支持本体12Aの下側に、下向き開放コ字状の型材でなる跨ぎ体12Bを取付けることで構成されている。
【0029】
図2(B)に示されるように、跨ぎ体12Bの中間部14の下面14aが上面1fに載せ付けられ、かつ、前後一対の脚部15,15が第1面1a及び第2面1bに近接対向配置されて、支持具12が仕切りパネル1の上端に載置支持されるように構成されている。支持具12の長さ(左右方向の長さ)は、仕切りパネル1の左右幅の1/3強の長さに設定されている(
図1を参照)が、この限りではない。つまり、支持具12は、仕切りパネル1の上面1fに載置される支持本体12Aと、支持本体12Aの前後から下方に延ばされる前後一対の脚部15,15とを有して、仕切りパネル1の上端部を前後に跨いで載せ付けられるように構成されている
【0030】
図1、
図2に示されるように、支持機構13は、支持本体12Aの前面12fと後面12rのそれぞれに貼着されたマグネットシート(有磁体の一例)13Aを有してなり、マグネットシート13Aは、パネル面1pに直交する方向視、即ち前後方向視で前面12f(後面12r)よりわずかに小さい矩形で厚みt〔
図2(B)参照〕を有するシートに形成されている。なお、支持本体12Aや跨ぎ体12Bはアルミ材、金属材などが好ましいが、合成樹脂やその他の材料製でも良い。
【0031】
図1、
図2に示されるように、上端カバー3は、前後方向視で左右方向の長い矩形を呈する合成樹脂製のカバー体3Aと、カバー体3Aの裏面に取付けられるシート状の被磁着体13Bとから構成されている。カバー体3Aの左右長さは、仕切りパネル1の左右長さに等しく設定され、上下幅はある程度の長さ(例:左右長さの1/6~1/3)を有するものとされている。被磁着体13Bは、薄い金属板など、マグネットシート13Aに磁着されるものであれば良く、これらマグネットシート13Aと被磁着体13Bとによって支持機構13が構成されている。
【0032】
上端カバー3は、被磁着体13Bとマグネットシート13Aとの磁着により、パネル上端カバー用具2の前面や後面に係止可能である。被磁着体である金属板13Bは、カバー体3Aの上下幅に等しい上下幅を有しており、パネル上端カバー用具2に対する上下位置が調節設定可能(
図1参照)である。つまり、支持機構13は、上端カバー3の支持具12に対する位置の上下調節が可能であり、また、左右の相対位置調節も可能に構成されている。カバー体3Aにマグネットシート(有磁体)13Aを取付け、かつ、支持具12に金属板(被磁着体)13Bを取付けて支持機構13としても良い。
【0033】
次に、上述のように構成された仕切り構造体Aを用いた仕切り壁Wの例を説明する。
図1は、7つの仕切り構造体Aを左右一列に連結させてなる仕切り壁Wを示しており、この
図1では、簡単のため、フロアーF、仕切りパネル1、パネル上端カバー用具2、及び上端カバー3のみを示してある。
【0034】
仕切り構造体Aは、仕切りパネル1の上端部に着脱可能に装着される支持具12と、支持具12に着脱可能に装着されるカバー体3Aとが設けられ、仕切りパネル1の上端部に装着された支持具12にカバー体3Aを装着させて、仕切りパネル1の前後方向視(パネル面1pに交差する方向視)で仕切りパネル1の上端部がカバー体3Aで隠される状態に構成されている。パネル面1pは上下左右に拡がる面であり、前後方向及び斜め前後方向から見た場合、仕切りパネル1としての上端の位置がカバー体3Aで隠されて(覆われて)見えないように構成されている。
【0035】
フロアーFは、
図1の紙面に向かって左側に比べて右側の高さが次第に低くなっており、その右側が低くなる傾斜床面16に置かれる左から2~5番目の各仕切りパネル1は、左端部分以外は傾斜床面16から浮いた状態になっている。従って、左から1,2番目の仕切りパネル1,1の上面1fの高さ位置は同じで、3~6番目の各仕切りパネル1の上面1fの高さ位置は右に行くに従って次第に低くなり、6番目と7番目の仕切りパネル1,1の各上面1fの高さ位置は同じとなっている。
【0036】
各パネル上端カバー用具2は、各仕切りパネル1の左右中央に置いて上面1fに載置されており、各上端カバー3は、対応するパネル上端カバー用具2に対する高さ位置の調節により、7個の上端カバー3の高さ位置は全て互いに同じ高さ位置に揃えられている。つまり、上端カバー3は、左から1,2番目の仕切りパネル1,1においてはパネル上端カバー用具2に対して低い位置に係止され、3~6番目の仕切りパネル1においてはパネル上端カバー用具2に対する高さ位置が次第に高くなり、6,7番目の仕切りパネル1ではパネル上端カバー用具2に対する高さ位置が最も高くなっている。
【0037】
図8(A)に示されるように、互いに上面1fの高さが異なるって隣合う仕切りパネル1,1に跨る上連結具4は、高さの高い方の上面1fに平面部4aが載置され、かつ、高さの低い方の上面1fと平面部4aとは上下に隙間eができた状態でピン部4cが下向き丸穴1hに差し込まれる。同様に、複連結具5Bは、高さの低い方の仕切りパネル1の底面1eが底板8に載置され、高さの高い方の仕切りパネル1の底面1eは底板8から若干浮いた状態となっている。
【0038】
つまり、カバー体3A(上端カバー3)は支持具12(パネル上端カバー用具2)に対して高さ調節可能であるから、複数の仕切りパネル1の上面1fの高さ位置が互いに異なっていても、
図1に示されるように、各仕切り構造体Aとしてのカバー体3Aの高さ位置を均一に揃えることができる。従って、設営会場となるフロアーFの高さレベルが、床の傾斜や起伏によって均一な水平面でない場合であっても、仕切り壁Wとしての高さ位置は水平な位置に揃えることができ、構造簡単で廉価な手段でありながら見栄えに優れる仕切り構造体A並びにパネル上端カバー用具2が実現されている。
【0039】
カバー体3Aの上下長さは、支持具12に装着された状態において仕切りパネル1の上面1fを基準としてその上下にある程度の距離を持った値に設定されているので、フロアーFの高さ変化が少ない場合には、上下長さの短いカバー体3Aで良く、フロアーFの高さ変化が大きい場合には、上下長さの長いカバー体3Aで対応することが可能である。
【0040】
(別実施例1)上連結具4は、
図7(A)に示されるように、隣合う仕切りパネルが直交する状態の場合に用いるものでも良い。この直交用の上連結具4Tは、
図6(A)に示される並列用の上連結具4における一対の垂下片部4b,4bの長さが約半分になった押え片部4d,4dと、平面部4aの左右端のうちの押え片部4dの無い側の端部に設けられた前後向きの規制片部4eとを備えている点以外は、並列用の上連結具4と同じである。
【0041】
つまり、
図8(B)に示されるように、一方の仕切りパネル1の右側面1dに他方の仕切りパネル1の第1面1aが当接するように直交配置された場合がある。この場合では、一方の仕切りパネル1の第1,2面1a,1bに各押え片部4d,4dが対向され、他方の仕切りパネル1の第2面1bに規制片部4eが対向する状態で上連結具4Tが装着される。各ピン部4c、4cは、対応する下向き丸穴1hに挿入されている。
【0042】
(別実施例2)
図7(B)に示されるように、吊り下げ具17を仕切りパネル1の上面1fに載せ付けて設けることができる。本発明により仕切り構造体Aにおいては、仕切りパネル1におけるカバー体3Aが装着されている側のパネル面1pとカバー体3Aとの前後間に隙間dが設けられている。正確には、隙間dは、被磁着体13Bとパネル面1pとが前後には離されていて、前後方向の隙間dが設けられている。
【0043】
図6(B)に示されるように、吊り下げ具17は、左右方向視で下向き開放コ字状の吊り本体18と、吊り本体18の一方の脚片18Aに固定された引掛けフック(例:L字状の棒材)19とを有して構成されている。上面1fにおけるパネル上端カバー用具2が載置されていない箇所に吊り本体18を跨いで載せることにより、吊り下げ具17を仕切りパネル1の上端部に装着させることができる〔
図7(B)参照〕。
【0044】
(別実施例3)
図7(B)に示されるように、例えば、展示物やパンフレットが入った袋などの被吊下げ対象20を、紐21で吊り下げ具17の引掛けフック19に吊り下げてパネル面1pに配置することができる。この場合、吊り下げ具17や紐21の殆ど(又は紐の上部)は上端カバー3の裏側に位置して隠されている。つまり、上端カバー3(カバー体3A)によって、ほぼ被吊下げ対象20だけが見えるようになり、この点でも見栄えが良くなるという効果がある。
【0045】
〔別実施形態〕
図示は省略するが、パネル上端カバー用具2は、支持具12が、上面1fに下向き形成された複数の穴(下向き丸穴1hのような穴)に挿入される下向突起を備えて、仕切りパネル1の上端部に跨ることなく上面1fに載置支持される構造のもので良い。また、上面1fに左右貫通状態で形成された凹入溝に嵌る下向きの条突起を備えた支持具12を有するパネル上端カバー用具2も可能である。
【0046】
図示は省略するが、支持機構13は、支持具12とカバー体3Aに雄ファスナ材と雌ファスナ材とが振り分け配置されてなる面ファスナーで構成されたものでも良い。また、上端カバー3を金属板製のカバー体3Aのみで構成した場合には、マグネットシートなどの有磁体13Aのみで支持機構13が構成されることとなる。
図1では、支持具12は、1つの仕切りパネル1に対して1個用いられているが、2個以上設ける構成でも良い。
【0047】
図1に示される仕切り壁W(7つの仕切り構造体A)の場合において、上端カバー3を左右に長い1枚のものや2~3枚のもの、或いは8枚以上とする構成も可能である。つまり、上端カバー3の左右長さを、仕切りパネル1の左右長さより長くしたり短くしたりすることも可能である。
【0048】
また、図示は省略するが、カバー体3Aの左右長さや上下幅を種々に変えたものを多数用意しておき、支持具12に対する高さ位置が一定とされた支持機構(例:嵌め込み、螺着など)13と組み合わせて複数並ぶ仕切りパネル1の各上端部を隠す意匠手段とすることも可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 仕切りパネル
1f 上面
1p パネル面
2 パネル上端カバー用具
3A カバー体
12 支持具
12A 支持本体
13 支持機構
13A 有磁体(マグネットシート)
13B 被磁着体(金属板)
15 脚部
A 仕切り構造体
d 隙間