(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039730
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理方法および情報処理装置
(51)【国際特許分類】
A63F 13/52 20140101AFI20240315BHJP
A63F 13/45 20140101ALI20240315BHJP
A63F 13/53 20140101ALI20240315BHJP
A63F 13/55 20140101ALI20240315BHJP
【FI】
A63F13/52
A63F13/45
A63F13/53
A63F13/55
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144315
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100207619
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 知晴
(72)【発明者】
【氏名】馬目 脩平
(72)【発明者】
【氏名】左海 孝浩
(72)【発明者】
【氏名】原田 空
(72)【発明者】
【氏名】麻野 友美
(57)【要約】
【課題】ゲームへの没入感を維持しつつ、プレイヤの画面酔いを抑制する技術を提供する。
【解決手段】演出実行決定手段64は、ゲームにおいて実行される処理に関する所定の条件が満たされた場合に、ゲームにかかるユーザの酔いを防止するための演出を実行することを決定する。イベント管理手段80は、ゲームの進行状況において、瞬き演出を実行する所定のイベントに到達しているか否かを判定する。仮想カメラ管理手段82は、仮想カメラの移動量または遷移角度が所定の閾値を超えているか否かを判定する。演出実行手段66は、演出の実行が決定された場合、人の視覚の動作を模した前記演出を実行する。表示制御手段68は、ゲーム処理実行手段60で生成された各種ゲーム画像などを、HMD2の図示せぬ表示部に表示させる制御を実行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置を、
所定のコンテンツに関する処理を実行するコンテンツ処理実行手段と、
前記コンテンツで実行される処理に関する所定の条件が満たされた場合に、前記コンテンツにかかるユーザの酔いを防止するための演出を実行することを決定する演出実行決定手段と、
前記演出の実行が決定された場合、人の視覚の動作を模した前記演出を実行する演出実行手段と、
として機能させるプログラム。
【請求項2】
前記演出実行決定手段は、前記コンテンツにおいて、予め設定された所定のイベントが再生された場合に、前記演出を実行することを決定する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記演出実行決定手段は、前記ユーザに提示される画像又は画角の変化に関する前記条件を満たした場合に、前記演出を実行することを決定する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記コンテンツは、ゲームキャラクタの視点をゲーム画像として表示するゲームであり、
前記演出実行手段は、前記ゲーム画像の全て、又は一部を暗転して表示する前記演出を実行する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記コンテンツは、前記ユーザが仮想現実を体感するための所定のハードウェアデバイスを利用して、仮想空間内に表示されたオブジェクト又はオブジェクトの一部を操作しながら進行するゲームである、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
前記演出実行手段は、人の瞬きを模した前記演出を実行する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
前記演出実行手段は、満たされている前記条件の内容に応じて、前記演出の態様を変化させる、
請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記演出実行手段は、前記コンテンツにかかる画像に前記演出を付与することで、前記演出を実行する、
請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
所定のコンテンツに関する処理を実行するコンテンツ処理実行手段と、
前記コンテンツで実行される処理に関する所定の条件が満たされた場合に、前記コンテンツにかかるユーザの酔いを防止するための演出を実行することを決定する演出実行決定手段と、
前記演出の実行が決定された場合、人の視覚の動作を模した前記演出を実行する演出実行手段と、
を含む情報処理方法。
【請求項10】
所定のコンテンツに関する処理を実行するコンテンツ処理実行手段と、
前記コンテンツで実行される処理に関する所定の条件が満たされた場合に、前記コンテンツにかかるユーザの酔いを防止するための演出を実行することを決定する演出実行決定手段と、
前記演出の実行が決定された場合、人の視覚の動作を模した前記演出を実行する演出実行手段と、
を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、情報処理方法および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画面上に表示される情報量の増加などを背景として、ユーザの画面酔い(3D酔い)が問題となることがある。ゲームへの没入感の高いVRゲームなどは、特に画面酔いの問題が生じやすい。
この点、例えば、仮想カメラの上下の動きを制限することで、仮想カメラの上下動に起因する酔いを抑制する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1は、仮想カメラの上下動に起因する画面酔いを抑制できるに過ぎず効果の範囲が限定的である。また、その他の従来技術についても、ある程度画面酔いを抑制できたとしても、ゲームへの没入感が大きく低下してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ゲームへの没入感を維持しつつ、プレイヤの画面酔いを抑制する技術を提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の側面は、
情報処理装置を、
所定のコンテンツに関する処理を実行するコンテンツ処理実行手段と、
前記コンテンツで実行される処理に関する所定の条件が満たされた場合に、前記コンテンツにかかるユーザの酔いを防止するための演出を実行することを決定する演出実行決定手段と、
前記演出の実行が決定された場合、人の視覚の動作を模した前記演出を実行する演出実行手段と、
として機能させるプログラムである。
【0007】
また第1の側面において、前記演出実行決定手段は、前記コンテンツにおいて、予め設定された所定のイベントが再生された場合に、前記演出を実行することを決定することができる。
【0008】
また第1の側面において、前記演出実行決定手段は、前記ユーザに提示される画像又は画角の変化に関する前記条件を満たした場合に、前記演出を実行することを決定することができる。
【0009】
また第1の側面において、前記コンテンツは、ゲームキャラクタの視点をゲーム画像として表示するゲームであり、前記演出実行手段は、前記ゲーム画像の全て、又は一部を暗転して表示する前記演出を実行することができる。
【0010】
また第1の側面において、前記コンテンツは、前記ユーザが仮想現実を体感するための所定のハードウェアデバイスを利用して、仮想空間内に表示されたオブジェクト又はオブジェクトの一部を操作しながら進行するゲームであってもよい。
【0011】
また第1の側面において、前記演出実行手段は、人の瞬きを模した前記演出を実行することができる。
【0012】
また第1の側面において、前記演出実行手段は、満たされている前記条件の内容に応じて、前記演出の態様を変化させることができる。
【0013】
また第1の側面において、前記演出実行手段は、前記コンテンツにかかる画像に前記演出を付与することで、前記演出を実行することができる。
【0014】
また本発明の第2の側面は、
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
所定のコンテンツに関する処理を実行するコンテンツ処理実行手段と、
前記コンテンツで実行される処理に関する所定の条件が満たされた場合に、前記コンテンツにかかるユーザの酔いを防止するための演出を実行することを決定する演出実行決定手段と、
前記演出の実行が決定された場合、人の視覚の動作を模した前記演出を実行する演出実行手段と、
を含む情報処理方法である。
【0015】
また本発明の第3の側面は、
所定のコンテンツに関する処理を実行するコンテンツ処理実行手段と、
前記コンテンツで実行される処理に関する所定の条件が満たされた場合に、前記コンテンツにかかるユーザの酔いを防止するための演出を実行することを決定する演出実行決定手段と、
前記演出の実行が決定された場合、人の視覚の動作を模した前記演出を実行する演出実行手段と、
を備える情報処理装置である。
【0016】
本発明の一態様の情報処理方法および情報処理装置も、本発明の一態様のプログラムに対応する情報処理方法又は情報処理装置として提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ゲームへの没入感を維持しつつ、プレイヤの画面酔いを抑制する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図1の情報処理システムにかかるゲームの操作方法の一例を説明する図である。
【
図3】本発明の一実施形態にかかる情報処理システムのうち、ゲーム装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】
図3のゲーム装置および
図1のサーバ等の機能的構成の一例を示す図である。
【
図5】
図4のゲーム装置が実行する瞬き演出処理の概要を説明するためのゲーム画像の一例を示すイメージ図である。
【
図6】
図4のゲーム装置が実行する瞬き演出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】ゲームの進行状況と演出内容との対応関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[実施形態]
まず、本発明の実施形態を説明するに先立ち、本発明の一実施形態にかかる情報処理システム(以下、「本システム」と呼ぶ)の適用対象となるゲーム(以下、「本ゲーム」と呼ぶ)の内容を説明する。
本ゲームは、例えば、VR(Virtual Reality)技術を利用して実行されるアクションゲームである。プレイヤは、HMD(Head Mounted Display)を装着し、ゲーム内のキャラクタの視点を反映した各種ゲーム画像を視認しながらゲームを進行する。このような形式のゲームは、プレイヤのゲームへの没入感を高める点で極めて有効である。
具体的に、プレイヤは、入力操作などを行うことで、仮想空間内に表示されたキャラクタ(またはキャラクタの体の一部)を操作する。そして、銃や爆発物などを利用しながらゲーム内の敵キャラクタを倒していくことでゲームを進行する。
このようなゲームは、通常の押しボタン式のゲームコントローラのみでもプレイすることは可能であるものの、本実施形態では、位置情報を取得可能なHMDおよびセンサ機能を内蔵したコントローラを採用することで、より没入感のあるゲーム体験を実現する。
具体的に本実施形態において、本システムは、HMDおよびコントローラに各種センサが搭載されていることから、実空間における座標認識や各種動作の把握を行うことが可能となる。そのため、本ゲームでも実空間のプレイヤの動作とゲーム内のキャラクタの動作を連動することができる。例えば、実空間でプレイヤが銃を持って狙いを定める動作を行うと、その入力操作がゲーム装置1内で処理され、ゲーム内でもキャラクタが銃を持って狙いを定める動作が実行される。このような仕様を採用することで、本システムは、プレイヤにあたかも自分自身が冒険をしながら敵を倒しているかのような高い没入状態でゲームをプレイする環境を提供できる。
また、アクションゲームでは、一般に数多くのゲーム媒体が設定される。これは、プレイヤのゲーム内での選択の幅を広げるという点で効果的である反面、数多くのゲーム媒体を管理、運用しなければならないという側面もある。これは、通常のアクションゲームでも問題となるが、本実施形態のようなVRゲームでは特に問題となりやすい。
本実施形態において、本システムは、このようなVRゲーム特有の事情のすべてまたは一部を加味しつつ、プレイヤが、ゲームへの没入感を損なうことなく、ゲームを簡便にプレイできる環境を提供することを目的の一つとしている。
なお、ゲーム媒体とは、キャラクタが仮想空間にて使用する武器、防具、アイテムなどに関する電子データの総称である。
また、以降の説明において、キャラクタ(オブジェクト)と表現した場合、1つの独立したキャラクタだけを意味するのではなく、キャラクタの一部(例えば、手)のみの画像などを含むものとする。
【0020】
<概要の説明>
図1は、本システムの構成の一例を示している。
図1に示すように、本システムは、ゲーム装置1と、HMD2と、コントローラ3と、サーバ4とを含み構成される。ゲーム装置1と、HMD2と、コントローラ3とは、LAN(Local Area Network)などの通信方式により相互に接続されている。また、ゲーム装置1と、サーバ4とは、インターネットなどの所定のネットワークNを介して相互に接続されている。
なお、これらの通信方式の形態はいずれも限定されず、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fiなどが利用されてもよい。
なお、以下、単に「画像」と呼ぶ場合には、「動画像」と「静止画画像」などの任意の画像を含むものとする。
【0021】
ゲーム装置1は、本システムの適用を希望するプレイヤにより使用される。ゲーム装置1は、汎用的な家庭用ゲーム機、PC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレットなどで構成される。ゲーム装置1は、本ゲームの進行に必要となる各種処理を実行する。
【0022】
HMD2は、ゲーム装置1とLAN等により接続されるヘッドマウントディスプレイである。HMD2は、ゲーム装置1で生成された各種ゲーム画像を図示せぬ表示部に表示する。また、HMD2は、例えば、後述するコントローラ3と実空間内の座標認識を行うことができる。なお、HMD2は、CPUやSSDなど各種制御部や記憶部などの汎用的な情報処理装置としての機能を備えていてもよい。
【0023】
コントローラ3は、ゲーム装置1とLAN等により接続されるセンサ機能などを備えたコントローラである。コントローラ3は、各種ボタンやタッチパネル等が設けられているほか、センサやトラッキング機能などが備えられており、HMD2と連動して、実空間内での座標認識を行うことができる。
【0024】
サーバ4は、本システムの管理者などにより管理される。サーバ4は、汎用的なPCなどで構成される。ゲーム装置1などと通信を行いながら、本ゲームの進行に必要となる各種情報の保存や管理を実行する。
【0025】
次に、
図2を参照しながら、本ゲームの操作方法について簡単に説明する。
図2は、本システムにかかるゲームの操作方法の一例を説明する図である。
【0026】
図2には、実空間においてゲームをプレイ中のプレイヤの状況と、その時点におけるゲーム画面の一例が合わせて表示されている。
具体的に
図2の(a1)を見ると、実空間において、テレビ画面に向かって右手を突き出した状態(片手で銃を撃つような姿勢を模した状態)をとりながらゲームをプレイしている。そして、
図2の(a2)を見ると、同一時点におけるゲーム画像の一例として、右手で銃を保持しながら攻撃しようと狙いを定めているキャラクタの状態が表示されている。
同様に、
図2の(b1)を見ると、実空間において、テレビ画面に向かって両手を突き出した状態で(両手で銃を撃つような姿勢を模した状態)でゲームをプレイしているプレイヤが表示されている。そして、この時のゲーム画面、すなわち
図2の(b2)を見ると、両手で武器を保持しながら攻撃しようと狙いを定めているキャラクタが表示されている。
このように、本ゲームでは、HMD2およびコントローラ3を保持するプレイヤの動作や姿勢を取得し、その情報がゲームの入力情報として処理される。そして、ゲーム内のキャラクタは、原則として、プレイヤの実空間の動作や姿勢に応じて、ゲーム空間内に配置され、動作する。これにより、プレイヤはあたかも自分がゲーム空間を冒険しているような感覚で楽しみながらゲームをプレイすることができる。
ただし、上述の通り、コントローラ3には、各種ボタンやタッチパネルなどが設けられている。プレイヤは、ゲームの状況に応じて、ボタンやタッチパネルなどを介した入力操作も自由に行うことができる。
【0027】
<ハードウェア構成>
図3は、本システムを構成するゲーム装置1のハードウェア構成を示している。
【0028】
図3に示すように、ゲーム装置1は、制御部11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、記憶部16と、通信部17と、ドライブ18と、を備えている。
【0029】
制御部11は、CPU、GPU、半導体メモリを含むマイクロコンピュータなどにより構成される。制御部11は、ROM12に記録されているプログラムまたは記憶部16からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、制御部11が各種の処理を実行する上において必要な情報なども適宜記憶される。
【0030】
制御部11、ROM12およびRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、記憶部16、通信部17、ドライブ18が接続されている。
【0031】
また、入出力インターフェース15には、HMD2およびコントローラ3も接続されている。
HMD2は、例えば、ゲームに関する画像や音声などを出力する出力機器である。例えば、HMD2は、制御部11の各種処理の結果として生成されたゲーム画像を図示せぬ表示部に表示する。また、例えば、HMD2は、制御部11の各種処理の結果として生成されたゲームの音声をプレイヤが認識可能な形式で出力する。
コントローラ3は、例えば、制御部11による各種処理の実行に際して、プレイヤからの操作指示を受け付ける入力機器である。例えば、コントローラ3は、プレイヤがゲームにおいて実行する操作指示の内容を入力情報として取得する。
【0032】
記憶部16は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などで構成され、各種データを記憶する。例えば、記憶部16には、ゲームの進行に必要となる各種ゲームプログラムや他のハードウェアなどで進行されるゲームの進行状況に関する情報などが格納されている。
【0033】
通信部17は、インターネットを含むネットワークNを介して、他のハードウェアなどと行う通信を制御する。
【0034】
ドライブ18は、必要に応じて設けられる。ドライブ18には磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどよりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ18によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部16にインストールされる。また、リムーバブルメディア31は、記憶部16に記憶されている各種データも、記憶部16と同様に記憶することができる。
【0035】
なお、HMD2やサーバ4のハードウェア構成は、ゲーム装置1のハードウェア構成と基本的に同様とできるので、ここでは説明を省略する。
【0036】
図4は、
図3のゲーム装置および
図1のサーバ等の機能的構成の一例を示す図である。
図4に示すように、ゲーム装置1の制御部11は、各種プログラムなどを実行することにより、ゲーム処理実行手段60と、入力操作受付手段62と、演出実行決定手段64と、演出実行手段66と、表示制御手段68とが機能する。
【0037】
ゲーム処理実行手段60は、ゲームに関する各種処理を実行する。
具体的にゲーム処理実行手段60は、プレイヤなどの各種入力操作に従い、ゲーム情報に含まれる仮想のゲーム空間オブジェクトおよびテクスチャなどを図示せぬ記憶部から読み出すなどして、ゲームプログラムを実行しつつ、ゲームに関する2次元または3次元の画像や音声などを生成する。すなわち、ゲーム処理実行手段60は、プレイヤによる操作指示の結果を生成し、管理することで、ゲームの進行を制御する。
また、ゲーム処理実行手段60は、適宜、ゲームに関する各種情報をサーバ4に送信する。
【0038】
入力操作受付手段62は、プレイヤからの入力操作を受け付ける。
ここで、入力操作受付手段62が受け付ける入力情報には、例えば、コントローラ3に設置された各種ボタンの押下に関する情報、実空間におけるプレイヤの配置や各コントローラ3の方向に関する情報、実空間におけるコントローラ3の位置の変化に伴う加速度に関する情報などが含まれる。本実施形態では、このようにしてコントローラにより入力された入力情報のそれぞれに対応し、仮想空間内に表示されたキャラクタの体の一部(例えば、手)の動きやゲーム画面の中心となる視点などが決定される。これにより、プレイヤは、実空間に極めて近い感覚でゲームをプレイすることができる。
【0039】
演出実行決定手段64は、ゲームにおいて実行される処理に関する所定の条件が満たされた場合に、ゲームにかかるユーザの酔いを防止するための演出を実行することを決定する。
ここで、演出実行決定手段64には、イベント管理手段80と、仮想カメラ管理手段82とが設けられている。
イベント管理手段80は、ゲームの進行状況およびイベントの発生状況などを管理する。そして、イベント管理手段80は、本システム特有の画面酔いを低減する瞬きを模した演出(以下、「瞬き演出」と呼ぶ)を実行する所定のイベントを進行する場合に、所定の条件が満たされたと判定する。
すなわち、イベント管理手段80は、ゲームの進行状況において、瞬き演出を実行する所定のイベントに到達しているか否かを判定する。
なお、本実施形態では、ゲーム装置1がゲーム内で発生するイベントと、それぞれのイベントで実行する瞬き演出の内容に関するリストなどの情報を記憶部16などに保有しているものとする。
また、仮想カメラ管理手段82は、入力操作受付手段62で受け付けられた入力操作に関する情報に基づいて、本ゲームにおける仮想カメラの移動を管理する。そして、仮想カメラ管理手段82は、仮想カメラの動きが所定の閾値以上である場合に、条件が満たされたと判定する。
すなわち、仮想カメラ管理手段82は、仮想カメラの移動量または移動角度が所定の閾値を超えているか否かを判定する。
演出実行決定手段64は、例えば、イベント管理手段80または仮想カメラ管理手段82のいずれかの条件が満たされた場合に、瞬き演出の実行を決定する。
【0040】
演出実行手段66は、演出の実行が決定された場合、人の視覚の動作を模した前記演出を実行する。すなわち、演出実行手段66は、演出実行決定手段64で、瞬き演出を実行することが決定された場合に、瞬き演出に関する各種処理を実行する。
ここで、瞬き演出とは、例えば、瞬きを模した演出である。具体的に瞬き演出とは、例えば、ゲーム画像の上下端から中央に向けて、徐々にゲーム画像(キャラクタや背景)を表示する領域を減少させていき、一度ゲーム画像全体を暗転した後、徐々にゲーム画像(キャラクタや背景)を表示する領域を増加させていく一連の演出である。
また、演出実行手段66には、時間回数決定手段90が設けられている。時間回数決定手段90は、演出実行手段66が実行する瞬き演出を実行する時間(どの程度の間隔で瞬き演出を行うのか)および回数を決定する。
そして、演出実行手段66は、時間回数決定手段90で決定された時間および回数に応じて、瞬き演出を実行する。なお、瞬き演出の詳細については、
図5を参照しながら後述する。
【0041】
表示制御手段68は、ゲーム処理実行手段60で生成された各種ゲーム画像などを、HMD2の図示せぬ表示部に表示させる制御を実行する。また、表示制御手段68は、ゲーム処理実行手段60で生成されたゲームの音声などをHMD2の図示せぬ出力部に出力させる制御を実行する。
【0042】
図4に示すように、サーバ4の制御部400は、各種プログラムなどを実行することにより、ゲーム情報管理手段420が機能する。
【0043】
サーバ4のゲーム情報管理手段420は、ゲーム装置1によるゲームの進行に必要となる各種情報を管理し、各種処理を実行する。具体的に例えば、ゲーム情報管理手段420は、ゲーム装置1から送信されてきたアカウント情報に対する認証、ゲーム装置1からの各種ゲーム情報のダウンロード要求に対するゲーム情報の配信などを実行する。
【0044】
図5は、
図4のゲーム装置が実行する瞬き演出処理の概要を説明するためのゲーム画像の一例を示すイメージ図である。
図5の例では、画面酔いを催す恐れのある所定のイベント(以下、「演出実行イベント」と呼ぶ)の進行にともない、瞬き演出が実行される場合に、ゲーム装置1に表示されるゲーム画像の変化の一例が示されている。
【0045】
まず、
図5の(a)を見ると、通常のゲーム画面を示すゲーム画像が表示されている。
図5の例では、演出実行イベントの進行に合わせて、この状況から瞬き演出が開始される。次に、
図5の(b)を見ると、ゲーム画面の上下の一部が黒く塗りつぶされているゲーム画像が表示されている。すなわち、
図5の(b)には、本来のゲーム画像のうち一部のみが表示されているゲーム画像が表示されている。
図5の(c)を見ると、ゲーム画面全体が黒く塗りつぶされているゲーム画像が表示されている。そして、
図5の(d)では、再び、ゲーム画面の上下の一部が黒く塗りつぶされているゲーム画像が表示され、
図5の(e)でも、再び、通常のゲーム画面を示すゲーム画像が表示されている。
これらの
図5の(a)乃至(e)のゲーム画像は、所定の間隔(例えば、0.05秒ごと)でゲーム装置1を介して、プレイヤに表示される。これにより、プレイヤは、あたかも自身が瞬きをしているかのような感覚で、ゲーム画像を視認することができる。この演出は、プレイヤに表示される情報量を減少させることで画面酔いの危険性を低減させるという利点に加えて、プレイヤが日常的に行うであろう行為と同様の演出を行うためより自然にゲームを継続できるという利点ある。
なお、上述の通り、瞬き演出を実行する時間(どの程度の時間間隔で瞬き演出を行うのか)や瞬き演出を行う回数は、本システムの任意である。
【0046】
図6は、
図4のゲーム装置が実行する瞬き演出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0047】
ステップS1において、イベント管理手段80は、ゲームの進行状況において、瞬き演出を実行する所定のイベントに到達しているか否かを判定する。
所定のイベントに到達していない場合、ステップS1はNOと判定され、処理はステップS2に進む。
これに対して、所定のイベントに到達している場合、ステップS1はYESと判定され、処理はステップS3に進む。
【0048】
ステップS2において、仮想カメラ管理手段82は、仮想カメラの移動量または移動角度が所定の閾値を超えているか否かを判定する。
閾値を超えていない場合、ステップS2はNOと判定され、処理はステップS1に戻される。
これに対して、閾値を超えている場合、ステップS2はYESと判定され、処理はステップS3に進む。
【0049】
ステップS3において、演出実行決定手段64は、イベント管理手段80または仮想カメラ管理手段82のいずれかの条件が満たされた場合に、瞬き演出の実行を決定する。
【0050】
ステップS4において、時間回数決定手段90は、演出実行手段66が実行する瞬き演出を実行する時間および回数を決定する。
【0051】
ステップS5において、演出実行手段66は、時間回数決定手段90で決定された時間および回数に応じて、瞬き演出を実行する。
【0052】
図7は、ゲームの進行状況と演出内容との対応関係の一例を示す図である。
図7の例では、ゲームにおけるイベントの内容と、各イベントにおいて実行する瞬き演出の詳細とがリストとして表示されている。ゲーム装置1は、例えば、このような情報を保有することで、瞬き演出を実行するタイミングや実行する瞬き演出の内容を決定することができる。
【0053】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
【0054】
<他の実施形態>
【0055】
ここで、上述の実施形態の瞬き演出について補足する。
本システムの瞬き演出は、例えば、仮想カメラが移動する際に背景の輝度を下げる、画面全体を暗転させるなどの演出とは本質的に発想が異なるものである。輝度を下げる、画面全体を暗転させるなどの演出は確かに画面酔いのリスクを低減するという意味では効果的であるものの、何れの演出も、通常、プレイヤが現実世界ではあまり体験しない状況であり、結果として、ゲームへの没入感が低下すると考えられる。
これに対して、本システムの瞬き演出は、視界が徐々に狭まっていき、一時的に何も見えない状態になった後、再度、視界が回復していく、というプレイヤが日常的に行っている瞬きという行為を模した演出を採用することで、ゲームの没入感を遮ることなく自然に画面酔いのリスクを低減させることが可能となる。
【0056】
また、上述の実施形態において、人の視覚の動作を模した演出は瞬きを模した演出であるものとして説明したが、限定されない。本システムは、例えば、目を瞑る、目を細める、瞑想する、サングラスをかける(背景の透過度を低下させる)など、人の視覚に関する動作を模した任意の演出を採用してもよい。
【0057】
また、上述の実施形態において、瞬き演出を行う条件は、所定のイベントに到達した場合または仮想カメラの移動量などが閾値以上であった場合であるものとして説明したが、限定されない。例えば、本システムは、所定のイベントに到達した場合かつ仮想カメラの移動量などが閾値以上であった場合にのみ瞬き演出を行ってもよいし、他の任意の条件に基づいて瞬き演出の実行の有無を決定してもよい。
【0058】
また、上述の実施形態において、本システムにかかるゲームは、VRのアクションゲームであるものとして説明したが、限定されない。本システムにかかるゲームは、VRに分類されないアクションゲームでもよいし、他のジャンルのゲームであってもよい。
さらに言えば、本システムの適用対象は、ゲームではなく、動画や映画など画面酔いが関係し得る任意のコンテンツであってもよい。
【0059】
また、上述の実施形態(特に
図5など)において、瞬き演出の一例を説明したが、例示であり限定されない。例えば、本システムは、ゲーム画像を表示しない領域(
図5の黒く塗りつぶされた領域)の形状を、より目を模した円弧の形状などとした瞬き演出を実行してもよい。
【0060】
また、上述の実施形態では説明を省略したが、本システムは、ゲーム中のキャラクタの状態(体力値、状態異常、装備している武器や防具など)に応じて、瞬き演出の時間、回数、形状などを変更してもよい。具体的に例えば、本システムは、キャラクタの体力値が少ない場合、画面を塗りつぶす色を赤く変更して、瞬き演出を実行してもよい。
【0061】
また、上述の実施形態では説明を省略したが、本ゲームは、例えば、プレイステーション(登録商標)などの家庭用ゲーム機、ニンテンドースイッチ(登録商標)などの携帯用のゲーム機、業務用に設計された各種ゲーム機、もしくは、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットなどの電子機器などである任意のハードウェア(例えば、ゲーム装置1など)により実行されてもよい。
【0062】
また、上述の実施形態では説明を省略したが、本システムにかかるゲームの内容は限定されない。本システムは、例えば、FPS(First Person Shooter)、TPS(Third Person Shooter)、RPG(Role Playing Game)、アクションゲーム、シミュレーションゲーム、スポーツゲーム、カードゲーム、バトルロワイヤル(対称型、非対称型)、MOBA(Multiplayer online battle arena)、音楽ゲーム、格闘ゲーム、クイズゲームなどのあらゆるゲームに適用されてもよい。
【0063】
また、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、
図4などの機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。
即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは
図4などの例に限定されない。また、機能ブロックの存在場所も、
図4などの例に限定されず、任意でよい。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成されてもよいし、ソフトウェア単体で構成されてもよいし、それらの組み合わせで構成されてもよい。
【0064】
また、本システムを構成する各種ハードウェアの数や使用者は任意であるし、他のハードウェアなどを含み構成されてもよい。
【0065】
また、一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータなどにネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0066】
また、コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータであってもよい。
すなわち、例えば、上述の実施形態における各種ハードウェアには、任意のコンピュータ、任意のスマートフォンなどの携帯端末、任意のゲーム機などが自由に採用されてもよい。さらに言えば、各種入力部や各種出力部などの種別や内容についても任意の組み合わせが採用されてもよい。
【0067】
また、このようなプログラムを含む記録媒体は、プレイヤなどにプログラムを提供するために装置本体とは別に提供される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でプレイヤに提供される記録媒体などで構成されてもよい。
【0068】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理は勿論、並列的または個別に実行されてもよい。また、上述の実施形態で記載するステップは、一部が省略されてもよい。
【0069】
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段などより構成される全体的な装置を意味している。
【0070】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本実施形態の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、および他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【0071】
以上をまとめると、本発明適用されるプログラムは、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
情報処理装置を、
所定のコンテンツに関する処理を実行するコンテンツ処理実行手段(例えば、ゲーム処理実行手段60)と、
前記コンテンツで実行される処理に関する所定の条件が満たされた場合に、前記コンテンツにかかるユーザの酔いを防止するための演出を実行することを決定する演出実行決定手段(例えば、演出実行決定手段64)と、
前記演出の実行が決定された場合、人の視覚の動作を模した前記演出を実行する演出実行手段(例えば、演出実行手段66)と、
として機能させるプログラムであれば足りる。
【0072】
<効果>
プレイヤは、ゲームへの没入感を十分に感じつつ、画面酔いを催すことなく、ゲームを楽しむことができる。
【符号の説明】
【0073】
1 ゲーム装置
11 制御部
60 ゲーム処理実行手段
62 入力操作受付手段
64 演出実行決定手段
80 イベント管理手段
82 仮想カメラ管理手段
66 演出実行手段
90 時間回数決定手段
68 表示制御手段
2 HMD
3 コントローラ
4 サーバ
400 制御部
420 ゲーム情報管理手段