IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 ケイビーエクセルの特許一覧

<>
  • 特開-ナノバブル水製造装置 図1
  • 特開-ナノバブル水製造装置 図2
  • 特開-ナノバブル水製造装置 図3
  • 特開-ナノバブル水製造装置 図4
  • 特開-ナノバブル水製造装置 図5
  • 特開-ナノバブル水製造装置 図6
  • 特開-ナノバブル水製造装置 図7
  • 特開-ナノバブル水製造装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039736
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】ナノバブル水製造装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 23/2375 20220101AFI20240315BHJP
   B01F 25/10 20220101ALI20240315BHJP
   B01F 25/44 20220101ALI20240315BHJP
   B05B 1/02 20060101ALI20240315BHJP
   B05B 1/34 20060101ALI20240315BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
B01F23/2375
B01F25/10
B01F25/44
B05B1/02 101
B05B1/34 101
B05C11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144322
(22)【出願日】2022-09-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1)販売による公開 [販売日又は配布日]令和4年8月1日 [販売場所又は配布場所]▲東輝(大連)貿易有限公司▼ [公開者]株式会社ケイビーエクセル [販売又は配布した物の内容]ナノバブル水を製造するナノバルブ水製造装置であって、加圧溶解・マルチサイクロンチャンバーが、内径が大きい方を上側に内径が小さい方を下側に略円筒形状の空洞部を上下方向に連通状態で半径方向の隙間なく連結したチャンバー部と、チャンバー部に内設した、上から下方に向けて、略円錐状、略円筒状及び略逆円錐状の3つの流路を上下方向に連通状態で連結して1本の流路としたナノバブル水流路と、チャンバー部の下側の周壁に液体と気体の混合流体を周方向でかつ上方向に向けてらせん状に上昇するように噴入させる噴入部と、を備え、チャンバー部の下側の内径が小さい方の円筒形状体の内周面と、略円筒状の中筒状体の外周面との隙間を小さくしたナノバルブ水製造装置。
(71)【出願人】
【識別番号】399029916
【氏名又は名称】株式会社 ケイビーエクセル
(74)【代理人】
【識別番号】100146020
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 善光
(74)【代理人】
【識別番号】100062328
【弁理士】
【氏名又は名称】古田 剛啓
(72)【発明者】
【氏名】吉村 光雅
(72)【発明者】
【氏名】吉村 和紘
(72)【発明者】
【氏名】北野 洋一郎
【テーマコード(参考)】
4F033
4F042
4G035
【Fターム(参考)】
4F033BA02
4F033BA04
4F033DA01
4F033EA01
4F033KA03
4F033LA09
4F033NA01
4F042BA06
4F042BA11
4F042CB02
4F042CB08
4F042CB10
4F042CB20
4F042CB25
4F042DH09
4G035AB29
4G035AC26
4G035AC44
(57)【要約】
【課題】1cc当たり10億個以上の粒径100nm未満のナノバブルを含むナノバブル水を製造するナノバブル水製造装置を提供することを課題とする。
【解決手段】ナノバブル水を製造するナノバルブ水製造装置であって、加圧溶解・マルチサイクロンチャンバーが、内径が大きい方を上側に内径が小さい方を下側に略円筒形状の空洞部を上下方向に連通状態で半径方向の隙間なく連結したチャンバー部と、チャンバー部に内設した、上から下方に向けて、略円錐状、略円筒状及び略逆円錐状の3つの流路を上下方向に連通状態で連結して1本の流路としたナノバブル水流路と、チャンバー部の下側の周壁に液体と気体の混合流体を周方向でかつ上方向に向けてらせん状に上昇するように噴入させる噴入部と、を備え、チャンバー部の下側の内径が小さい方の円筒形状体の内周面と、略円筒状の中筒状体の外周面との隙間を小さくしたナノバルブ水製造装置により課題解決できた。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体供給部と、液体供給部と、前記気体供給部からの気体と前記液体供給部からの液体とを混合させ所定の加圧をした混合流体を送出する高圧ポンプと、前記高圧ポンプからの混合流体を濾過する濾過フィルターと、前記濾過後の混合流体からナノバブルを含有したナノバブル水を生成する加圧溶解・マルチサイクロンチャンバーと、生成されたナノバブル水を吐出する吐出弁とを備えるナノバルブ水製造装置であって、
前記加圧溶解・マルチサイクロンチャンバーが、
内径が異なる2つの略円筒形状の空洞部を上下方向に連通状態で半径方向の隙間なく連結したチャンバー部と、前記チャンバー部に内設した、略円錐状、略円筒状及び略逆円錐状の3つの流路を上下方向に連通状態で連結して1本の流路としたナノバブル水流路と、を備え、
前記チャンバー部が、下端のみに開口部を有する前記空洞部を形成した上側円筒状チャンバー部と、前記上側円筒状チャンバー部の下端に前記上側円筒状チャンバー部の内径より小さい内径で上端のみに開口部を有する空洞部を形成した下側円筒状チャンバー部と、を備えて、前記下側円筒状チャンバー部の周壁に液体と気体の混合流体を周方向でかつ上方向に向けてらせん状に上昇するように噴入させる噴入部を設け、
前記ナノバブル水流路が、高さ方向で前記上側円筒状チャンバー部の下端面又は前記下側円筒状チャンバー部の上端面の高さの近傍に設け、外周面と前記チャンバー部の内周面との隙間を狭くした略円筒状の中筒状体と、前記中筒状体の上端縁に載設され、内部に前記上端縁の開口部と略同じ内径を有し所定の長さのガイド用円筒体を前記上端縁から垂下設させた、下方にいくほど内径を大きくした略円錐状の上筒状体と、前記中筒状体の下端縁に垂下設され、下方に行くほど内径を小さくし下端に形成した下端開口部を前記下側円筒状チャンバー部の底壁に貫設した略逆円錐状の下筒状体と、を備えていることを特徴とするナノバルブ水製造装置。
【請求項2】
前記下側円筒状チャンバー部の前記噴入部の位置から前記下側円筒状チャンバー部の上端までの高さ方向の長さを、噴入された混合液体に含まれている気泡が溶解可能な長さとすることを特徴とする請求項1に記載のナノバルブ水製造装置。
【請求項3】
前記下側円筒状チャンバー部の上端の内周面と前記中筒状体の外周面との間の環状の隙間の水平方向の流路断面積に対する、前記上側円筒状チャンバー部の内周面の水平方向の断面積を、前記隙間によって加圧されて気泡が溶解した混合液体から圧力低下により溶解していた気体が解放され、ナノバルブが発泡可能となる広さとすることを特徴とする請求項1又は2に記載のナノバルブ水製造装置。
【請求項4】
前記加圧溶解・マルチサイクロンチャンバーから噴出した混合液体を、前記高圧ポンプの上流に流入する循環用流路を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のナノバルブ水製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細な気泡であるナノバブルが含まれた液体であるナノバブル水を製造するナノバブル水製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、気泡径がマイクロメートルからナノメートルオーダーの範囲内の微細気泡を含有するファインバブル液製造装置であって、気体供給口からの気体と原料液を吸入するためのポンプとともに、ポンプによって圧送された原料液と気体との気液混合物を加圧するための加圧室と、加圧室で加圧された気液混合物中の気泡径をマイクロメートルからナノメートルオーダーの範囲内のファインバブルへと微細化するための金属フィルターを備え、金属フィルターでは、通水液方向と同軸方向に微細孔路が多数開口されており、気液混合物が微細孔路を通過することにより、気泡径が微細化されるファインバブル液製造装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、上部にバブル含有液導入口を配するとともに底部にバブル含有液導出口を配してなる液槽と、この液槽の前記バブル含有液導入口にマイクロバブルを含有するマイクロバブル含有液を供給するマイクロバブル含有液供給部と、前記バブル含有液導入口を通して前記液槽内に供給された前記マイクロバブル含有液が下方へ向けて流れる箇所に超音波によるマイクロバブルの圧壊が集中して起こりナノバブルが生成される超音波圧壊場を形成するために前記液槽内へ超音波を照射する超音波圧壊部と、この超音波圧壊部により生成されたナノバブルを含有するナノバブル含有液を、前記バブル含有液導出口を通して前記液槽外に取り出すナノバブル含有液導出部とを具備するナノバブル製造装置が開示されている。
【0004】
特許文献3には、液体と気体との混合流体を内部に導入させる導入部と、前記気体のナノバブルが含まれた混合流体を送り出す噴出部と、前記導入部と前記噴出部との間に、前記気体のナノバブルを生成するためのナノバブル生成構造部とを備えたナノバブル生成ノズルであって、前記ナノバブル生成構造部は、断面積の異なる複数の流路が前記ナノバブル生成ノズルの軸方向に複数段階に分けて配置されてなり、前記流路が加圧溶解の原理を利用してナノバブルを生成するナノバブル生成ノズルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6157688号公報
【特許文献2】特開2015-186781号公報
【特許文献3】特許第6129390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の発明は、ファインバルブ液1cc当たり均気泡径154nmの微細気泡量が1.25億個/ccであり、図5に示された粒径と量との割合をみると、気泡の大きさ100nm以下が40%弱しかないという問題があった。
【0007】
特許文献2の発明は、微細で径が均一であり且つ高濃度のナノバブル含有液NBを得ることができる。具体的にはマイクロバブル含有液供給部3により200nm~2μm前後のマイクロバブル含有液MBを生成するとともに、このマイクロバブル含有液MBに対し超音波圧壊場を形成しさらに圧壊することで、中心粒径100nm前後以下且つバブル濃度3億個/ml以上の達成ができるホモジニアスナノバブル製造装置を実現するものであると記載されているが、粒径100nm未満の量が少ないという問題があった。
【0008】
特許文献3の発明は、約100nmの直径のナノバブルが最も多く生成され、その数は1cc当たり約4億個のナノバブルが生成されたと記載されているが、図5又は図6をみると粒径100nm未満のナノバブルの量が少ないという問題があった。
【0009】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、1cc当たり10億個以上の粒径100nm未満のナノバブルを含むナノバブル水を製造するナノバブル水製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載のナノバルブ水製造装置は、気体供給部と、液体供給部と、前記気体供給部からの気体と前記液体供給部からの液体とを混合させ所定の加圧をした混合流体を送出する高圧ポンプと、前記高圧ポンプからの混合流体を濾過する濾過フィルターと、前記濾過後の混合流体からナノバブルを含有したナノバブル水を生成する加圧溶解・マルチサイクロンチャンバーと、生成されたナノバブル水を吐出する吐出弁とを備えるナノバルブ水製造装置であって、前記加圧溶解・マルチサイクロンチャンバーが、内径が異なる2つの略円筒形状の空洞部を上下方向に連通状態で半径方向の隙間なく連結したチャンバー部と、前記チャンバー部に内設した、略円錐状、略円筒状及び略逆円錐状の3つの流路を上下方向に連通状態で連結して1本の流路としたナノバブル水流路と、を備え、前記チャンバー部が、下端のみに開口部を有する前記空洞部を形成した上側円筒状チャンバー部と、前記上側円筒状チャンバー部の下端に前記上側円筒状チャンバー部の内径より小さい内径で上端のみに開口部を有する空洞部を形成した下側円筒状チャンバー部と、を備えて、前記下側円筒状チャンバー部の周壁に液体と気体の混合流体を周方向でかつ上方向に向けてらせん状に上昇するように噴入させる噴入部を設け、前記ナノバブル水流路が、高さ方向で前記上側円筒状チャンバー部の下端面又は前記下側円筒状チャンバー部の上端面の高さの近傍に設け、外周面と前記チャンバー部の内周面との隙間を狭くした略円筒状の中筒状体と、前記中筒状体の上端縁に載設され、内部に前記上端縁の開口部と略同じ内径を有し所定の長さのガイド用円筒体を前記上端縁から垂下設させた、下方にいくほど内径を大きくした略円錐状の上筒状体と、前記中筒状体の下端縁に垂下設され、下方に行くほど内径を小さくし下端に形成した下端開口部を前記下側円筒状チャンバー部の底壁に貫設した略逆円錐状の下筒状体と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載のナノバルブ水製造装置は、請求項1において、前記下側円筒状チャンバー部の前記噴入部の位置から前記下側円筒状チャンバー部の上端までの高さ方向の長さを、噴入された混合液体に含まれている気泡が溶解可能な長さとすることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載のナノバルブ水製造装置は、請求項1又は2において、前記下側円筒状チャンバー部の上端の内周面と前記中筒状体の外周面との間の環状の隙間の水平方向の流路断面積に対する、前記上側円筒状チャンバー部の内周面の水平方向の断面積を、前記隙間によって加圧されて気泡が溶解した混合液体から圧力低下により溶解していた気体が解放され、ナノバルブが発泡可能となる広さとすることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載のナノバルブ水製造装置は、請求項1又は2において、前記加圧溶解・マルチサイクロンチャンバーから噴出した混合液体を、前記高圧ポンプの上流に流入する循環用流路を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のナノバルブ水製造装置は、液体と気体を加圧して混合させた混合液体を、さらに加圧溶解させ、サイクロン渦を起こしてナノバブルを含有したナノバブル水にすることができる。特に、100nm未満のナノバルブを1cc当たり100億個以上含むナノバルブ水を製造することができるという効果を奏する。
【0015】
混合液体を循環させることにより、より粒径の小さいナノバブルをより多量に生成させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のナノバルブ水製造装置の概要説明図である。
図2】加圧溶解・マルチサイクロンチャンバーの外観説明図である。
図3】加圧溶解・マルチサイクロンチャンバーの内部構造説明図である。
図4図3における各水平断面の説明図で、(a)は下側円筒状チャンバー部と上側円筒状チャンバー部との境界範囲のA―A断面説明図で、(b)は噴入口近傍のB-B断面説明図である。
図5】加圧溶解・マルチサイクロンチャンバーのチャンバー部内における混合流体やナノバルブの流れの説明図である。
図6】加圧溶解・マルチサイクロンチャンバーのナノバブル水流路内におけるナノバルブの流れの説明図である。
図7】ナノバブル水流路の構成部材の説明図である。
図8】実施例1の計測結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のナノバルブ水製造装置1は、図1に示すように、気体供給部21と、液体供給部22と、前記気体供給部21からの気体と前記液体供給部22からの液体とを吸い込み、混合させ所定の加圧をした混合流体を送出する高圧ポンプ23と、前記高圧ポンプ23からの混合流体を濾過する濾過フィルター24と、前記濾過後の混合流体からナノバブルを含有したナノバブル水を生成する加圧溶解・マルチサイクロンチャンバー2と、生成されたナノバブル水を吐出する吐出弁25とを備えている。さらに、図示はされていないが、ナノバブル水の供給量をコントロールする前記高圧ポンプ23の流量コントロールできるインバータを搭載したスイッチを有する操作盤も備えている。前記吐出弁25から吐出されたナノバブル水は貯水タンク48に貯水されたり、あるいは、前記吐出弁25から種々の装置へナノバブル水を供給するナノバルブ水供給管に接続される。
【0018】
前記気体供給部21は、例えば、酸素発生器等の気体を発生させる機器、又は、大気中の空気吸入管などの気体を供給できる手段であればよく、前記気体供給部21から下流側に設けた、上流側を負圧にする高圧ポンプ23を配設した流路42と接続するまでの流路41に、気体が逆流しないように逆止弁27、気体負圧計31、気体流量計32、及び、気体流量調整弁36を設ける。気体の圧力は気体負圧計31で検知し、気体の流量は気体流量調整弁36で、例えばニードル弁で気体の流量を調整する。
【0019】
前記液体供給部22は、例えば、水道等の液体を送水又は貯水できる機器であればよく、前記液体供給部22から下流側に設けた、前記液体を吸い込む前記高圧ポンプ23までの間の流路42に、液体の流れを制御する給水バルブ33を設けている。
【0020】
前記高圧ポンプ23は、気体と液体を吸い込み、加圧して混合できる気液混合ポンプが好ましく、前記気液混合ポンプにより前記気体と前記液体を混合させながら旋回流により微細気泡を発生させた混合液体を下流側に送り出す。
【0021】
前記濾過フィルター24は、例えば5μmのふるい目のフィルターを有するものが好ましい。前記濾過フィルター24は、前記混合液体中に浮遊しているゴミなどの固形物を除去する。
【0022】
吐出弁25は、前記加圧溶解・マルチサイクロンチャンバー2で生成されたナノバブル水を吐出する機器であり、前記吐出弁25としては、例えば、吐出する液体の流れを制御する流量調整バルブがある。そして、前記加圧溶解・マルチサイクロンチャンバー2と前記吐出弁25とを連通させる流路44に吐出流量計35を設けている。
【0023】
また、前記加圧溶解・マルチサイクロンチャンバー2から流出した混合液体を、前記高圧ポンプ23の上流に流入させる循環用流路45を設けている。前記加圧溶解・マルチサイクロンチャンバー2で生成されたナノバブル水は前記加圧溶解・マルチサイクロンチャンバー2から流出したが、前記流量調整バルブによる水量調整によって吐出弁25で吐出を抑制された前記ナノバブル水は、前記加圧溶解・マルチサイクロンチャンバー2と前記吐出流量計35との間の流路44の任意の部位と、前記高圧ポンプ23の上流側であって、前記液体供給部22から下流側に設けた前記給水バルブ33の下流側に設けた、流路42の任意の部位とを接続させた循環用流路45内を流入させて循環させる。
【0024】
前記循環用流路45内に混合液体を流動させて循環させることにより、ナノバルブの粒径をいっそう小さくでき、かつナノバルブの発生数を飛躍的に増加させることができる。
【0025】
前記加圧溶解・マルチサイクロンチャンバー2は、内径が異なる2つの略円筒形状の空洞部を上下方向に連通状態で半径方向の隙間なく連結したチャンバー部3と、前記チャンバー部3内に内設した、略円錐状、略円筒状及び略逆円錐状の3つの流路を上下方向に連通状態で連結して1本の流路としたナノバブル水流路4と、を備えている。そして、高圧となるチャンバー部3内の圧力を計測する圧力計34と、安全対策として、所定の圧力以上になった場合に対して安全弁34aを取り付けている。
【0026】
前記チャンバー部3は、図2又は図3に示すように、下端のみに開口部を有する前記空洞部を形成した上側円筒状チャンバー部5と、前記上側円筒状チャンバー部5の下端に前記上側円筒状チャンバー部5の内径より小さい内径で上端のみに開口部を有する空洞部を形成した下側円筒状チャンバー部6と、を備えて、図4(b)に示すように、前記下側円筒状チャンバー部6の周壁に液体と気体の混合流体を周方向でかつ上方向に向けてらせん状に上昇するように噴入させる噴入部10を設けている。
【0027】
前記噴入部10は、前記濾過フィルター24の下流側に位置しており、前記高圧ポンプ23で加圧されて微細気泡を生成しながら混合され、さらに前記濾過フィルター24で濾過された気液の混合流体を前記チャンバー部3内に流入させる部位であり、前記噴入部10は筒状形態であって、その筒状の先端にある噴入部10の向きが、前記下側円筒状チャンバー部6の周壁の内周面に円周方向でかつ斜め上向きに前記混合流体が噴入するように設けられている。
【0028】
前記ナノバブル水流路4は、図3図7に示すように、前記チャンバー部3内に内設されている。そして、前記ナノバブル水流路4は、高さ方向で前記上側円筒状チャンバー部5の下端面又は前記下側円筒状チャンバー部6の上端面の高さの近傍に設け、外周面と前記チャンバー部3の内周面との隙間を狭くした略円筒状の中筒状体8と、前記中筒状体8の上端縁に載設され、内部に前記上端縁の開口部と略同じ内径を有し所定の長さのガイド用円筒体12を前記上端縁から垂下設させた、下方にいくほど内径を大きくした略円錐状の上筒状体7と、前記中筒状体8の下端縁に垂下設され、下方に行くほど内径を小さくし下端に形成した下端開口部を前記下側円筒状チャンバー部8の底壁に貫設した略逆円錐状の下筒状体9と、前記下筒状体9の下端の開口部の内径と同じ大きさの内径の円筒状の流出部11を備えている。
【0029】
前記下側円筒状チャンバー部6と前記下筒状体9との半径方向の隙間は、前記下筒状体9の外径を下方に行くほど内径を小さくしているので、前記噴入部10から上方になるに従い狭くなり、噴入された微細気泡を含んだ前記混合液体はらせん状Rに上昇するにしたがい、前記混合液体に対する加圧を累進的に高めることができるので、前記加圧によって前記高圧ポンプ23で微細化された気泡が加圧溶解される。この加圧溶解を実行させるために、前記下側円筒状チャンバー部6の前記噴入部10の位置から前記下側円筒状チャンバー部6の上端までの高さ方向の長さを、噴入された混合液体に気泡が溶解するに必要な長さ以上に設定する。
【0030】
また、前記中筒状体8の外径は前記下筒状体9の上端縁の外径と同一にし、前記中筒状体8と前記下筒状体9との接続箇所の外面はなめらかな面に仕上げている。これにより、前記下側円筒状チャンバー部6と前記中筒状体8との半径方向の隙間は最も狭い状態を長くして、加圧溶解の状態を維持している。また、前記上筒状体7と前記中筒状体8との外周面同士の接続部の外面もなめらかな面に仕上げられている。
【0031】
次に、前記下側円筒状チャンバー部6から前記上側円筒状チャンバー部5に、前記加圧溶解された混合液体を流入させると、前記狭い隙間によって加圧溶解された混合液体に対する圧力を急に減圧させるので、前記加圧溶解されていた状態から急に解放状態になって超微細なナノバルブが発泡する。
【0032】
そのように、急に解放状態にもっていくためには圧力を急激に減圧できる広さが必要になる。そのため、前記下側円筒状チャンバー部6の上端の内周面と前記中筒状体8の外周面との間の環状の隙間の水平方向の流路断面積に対する、前記上側円筒状チャンバー部5の内周面の水平方向の断面積を、前記隙間によって加圧されて気泡を溶解した混合液体から圧力低下により気体が解放され、ナノバルブが一気に多数発生する広さにする。例えば、図4(a)に示すように、前記下側円筒状チャンバー部6の上端の内周面と前記中筒状体8の外周面との間の環状の隙間の水平方向の流路断面積sに対して、前記上側円筒状チャンバー部5の内周面の水平方向の断面積Sを、約10倍~約30倍、好ましくは約15倍~約25倍、より好ましくは約18倍~約22倍の広さにする。
【0033】
前記混合液体は、図5に示すように、前記下側円筒状チャンバー部6の内周面と前記中筒状体8の外周面との間の環状の隙間においてらせん状Rの渦を巻きながら上昇してきて、前記上側円筒状チャンバー部5内に流入した後もそのままらせん状Rの渦を巻きながら上昇する。
【0034】
前記下側円筒状チャンバー部6の内周面と前記中筒状体8の外周面との間の環状の隙間におけるらせん状Rの渦を巻く流動により、すなわち加圧溶解された混合液体が、前記上側円筒状チャンバー部5の広い空洞部の中でらせん状Rの渦を巻き続けると、急に減圧されたことによりナノバルブが多数発生するとともに、広い内径の前記上側円筒状チャンバー部5の広い空洞部の中でのらせん状Rの渦によってサイクロン現象が発生する。
【0035】
気泡は表面張力が小さくなると粒径が小さい気泡ができ、表面張力が大きくなると粒径が大きい気泡ができる。そして、粒径の大きい気泡が含まれる混合液体の方が、粒径が小さい気泡が含まれている混合液体より軽い。
【0036】
したがって、前記空洞部の中央域に軽い、すなわち大きい粒径のナノバルブが遠心分離で中心部に集中して過密になり、前記空洞部の内周壁近傍には、気泡による重量軽減効果が少ない、微小の粒径のナノバルブを多く含む混合液体が遠心分離で外側部に過密になる。
【0037】
また、前記上側円筒状チャンバー部5内において、急に減圧されたことにより発生したナノバルブを含む気泡と液体との混合液体が、前記サイクロン現象の発生により高速で旋回する。前記高速での旋回により生じる旋回流によって、高速化された前記気泡と前記液体は、前記気泡と前記液体との境界に形成されている境界層が薄くなることにより前記気泡の溶解が進む。そして、前記溶解後の減圧時に発生するナノバブルの発生量をより一層増加させることができる。
【0038】
次に、中央域の混合液体が、中央に設けた前記上筒状体7の開口部に、内周壁近傍の混合液体より優先的に吸い込まれる。そして、前記上側円筒状チャンバー部5内の内周壁近傍の粒径が小さい気泡も前記上筒状体7の開口部から流入してくる。
【0039】
そして、前記中央域に過密状態になったナノバルブを含んだナノバブル水は、図6に示すように、前記ナノバブル水流路4の略円錐状の上筒状体7の上端の開口部から前記ナノバブル水流路4の内部にらせん状Rの渦を巻きながら流下する。この流下し始めたときに、前記上筒状体7の上端の開口部と略同じ内径を有し所定の長さのガイド用円筒体12の内部を通過させるので、前記ガイド用円筒体12が前記ナノバブル水を下方に流下させる流れを形成することになり、前記ナノバブル水を前記上側円筒状チャンバー部5内から前記ナノバブル水流路4内に誘い込みやすくなる。
【0040】
前記上筒状体7は下方にいくほど内径を大きくした略円錐状であるが、流下する混合液体は上端の小さい直径の開口部と略同じ内径の円筒状の前記ガイド用筒状体12の中を、渦を巻きながら流下するので、中央域の比較的に内径の大きいナノバブルを含んだナノバブル水を、さらに追加で加圧溶解する。
【0041】
次に、前記中筒状体8に流下すると、前記中筒状体8で内径が急に大きくなるので、気泡が加圧溶解された混合液体から減圧により気体が開放されて一層微細なナノバブルが発生する。
【0042】
以上のように、本発明のナノバルブ水製造装置1は、加圧溶解、減圧、旋回流、加圧溶解そして減圧を行うことによって、ナノバルブをより微細化でき、前記ナノバブルを含んだナノバブル水の1ccに中に含まれるナノバブルの数量を増加させることができる。
【0043】
そして、前記吐出弁25で吐出水量を調整し、前記循環用流路45に設けた流量調整弁26を開にすると、前記加圧溶解・マルチサイクロンチャンバー2から流出したナノバブル水は、外部に吐出するナノバブル水と、再び高圧ポンプ23に流入されるナノバブル水とに分かれる。前記循環用流路45でナノバブル水を循環させて加圧溶解、減圧、旋回流、加圧溶解そして減圧を再度行うことによって、ナノバルブをより一層微細化でき、前記ナノバルブを含んだナノバブル水の1ccに中に含まれるナノバブルの数量をさらに増加させることができる。
【0044】
次に、生成したナノバブル水を利用するときは、前記吐出弁25を所定の水量になるように前記チャンバー部3内の圧力を計測する圧力計34、吐出流量計35で圧力及び流量を確認しながら調整し、前記下筒状体9の下端部の下側に空洞部を連通させて連結させ、前記下側円筒状チャンバー部6の底壁に貫設した流出口11から、ナノバブルを含んだナノバブル水を流出させ、流路44内を流動させて前記吐出弁25から吐出させ、例えば、密閉構造の貯水タンク48に一旦貯水して利用するか、あるいは、前記吐出弁25の下流側の配管を野菜・果物の水耕栽培用水、又は、畜産用の飲料水等の設備に接続させて利用する。
【0045】
次に、前記ナノバルブ水製造装置1の使用方法について説明する。まず、前記液体供給部22から、例えば、水道水又は地下水等を貯水した水槽から給水バルブ33を開にし、操作盤で高圧ポンプ23の入り切りスイッチをオンにして液体を吸い込ませる。
【0046】
次に、前記加圧溶解・マルチサイクロンチャンバー2の前記圧力計34の表示が500KPaに、かつ、前記流路44からナノバルブ水の吐出量が吐出量100L/分になるように、前記吐出弁25を調整する。
【0047】
次に、前記高圧ポンプ23の作動によって流路41内の圧力が負圧になり、前記気体供給部21からの大気中の空気が吸い込まれているので、前記気体供給部21から流入する気体の圧力が前記気体負圧計31の表示が負圧-20KPaを示した状態で、前記気体流量調整弁36であるニードル弁で前記気体流量計32の表示が1.6L/分になるように調整する。
【0048】
次に、前記加圧溶解・マルチサイクロンチャンバー2から流出した混合液体の一部を、流路45の流量調整弁26を調整して前記高圧ポンプ23の上流側に送り込み、前記混合液体を循環させる。この状態で、前記加圧溶解・マルチサイクロンチャンバー2内の圧力を圧力計34の表示で500KPaで、前記吐出流量計35の吐出量の表示が100L/分に合わすように前記吐出弁25及び前記流量調整弁26を調整する。
【0049】
ここで、前記混合液体を循環させることによって、前記混合液体内に気泡の粒径をさらに細かくしたナノバルブをより多く含有したナノバブル水を製造することができる。
【0050】
そして、前記ナノバルブ水製造装置1を所定の時間ほど作動させ続ける。これにより、前記吐出弁25から吐出するナノバブル水の気泡の大きさをより微細化し、より多く含有されたナノバブル水を製造することができる。
【0051】
次に、実施例1について説明する。前記ナノバルブ水製造装置1を30分間作動させ生成したナノバルブ水を吐出させて、ナノバブルの粒径と発生数を前記ナノ粒子動画計測システムによって計測した。
【0052】
前記計測は、ナノバブル水に含まれているナノバブルの粒径及び数が計測できる計測器である、ナノ粒子動画計測システム(NP-NEX 株式会社生体分子計測研究所社製)で計測し、表1又は図8に示す結果が得られた。
【0053】
【表1】
【0054】
表1又は図8には、生成されたナノバブルの大きさを示すデータとして1~100nmが示されているが、特に大きさ40nm以下のナノバブルがナノバブル水の主成分となっていることが明らかである。前記計測値から超微細なナノバルブがナノバブル水の中に生成されていることが明示されている。また、前記表1又は図8の計測値をみると、例えば粒径1~5nmのナノバブルは2.7×1,000億/cc生成されており、特許文献1乃至3よりも粒径の小さいナノバブルが、特許文献1乃至3より数倍も多く生成されていることが示されている。
【符号の説明】
【0055】
1 ナノバルブ水製造装置
2 加圧溶解・マルチサイクロンチャンバー
3 チャンバー部
4 ナノバブル水流路
5 上側円筒状チャンバー部
6 下側円筒状チャンバー部
7 上筒状体
8 中筒状体
9 下筒状体
10 噴入部
11 流出部
12 ガイド用円筒体
21 気体供給部
22 液体供給部
23 高圧ポンプ
24 濾過フィルター
25 吐出弁
26 流量調整弁
27 逆止弁
31 気体負圧計
32 気体流量計
33 給水バルブ
34 圧力計
34a 安全弁
35 吐出流量計
36 気体流量調整弁
41 流路
42 流路
43 流路
44 流路
45 循環用流路
48 貯水タンク
R らせん状
S 断面積
s 流路断面積
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8