IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブラザー工業株式会社の特許一覧

特開2024-3974印刷装置、印刷方法および印刷プログラム
<>
  • 特開-印刷装置、印刷方法および印刷プログラム 図1
  • 特開-印刷装置、印刷方法および印刷プログラム 図2
  • 特開-印刷装置、印刷方法および印刷プログラム 図3
  • 特開-印刷装置、印刷方法および印刷プログラム 図4
  • 特開-印刷装置、印刷方法および印刷プログラム 図5
  • 特開-印刷装置、印刷方法および印刷プログラム 図6
  • 特開-印刷装置、印刷方法および印刷プログラム 図7
  • 特開-印刷装置、印刷方法および印刷プログラム 図8
  • 特開-印刷装置、印刷方法および印刷プログラム 図9
  • 特開-印刷装置、印刷方法および印刷プログラム 図10
  • 特開-印刷装置、印刷方法および印刷プログラム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003974
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷方法および印刷プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/52 20060101AFI20240109BHJP
   H04N 1/60 20060101ALI20240109BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B41J2/52
H04N1/60 300
B41J21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103363
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野津 知広
【テーマコード(参考)】
2C187
2C262
5C079
【Fターム(参考)】
2C187AC06
2C187AC07
2C187AE01
2C187AF03
2C187AF07
2C187BG06
2C187CD12
2C187CD19
2C187GA01
2C187GA03
2C187GA10
2C262AA02
2C262AA05
2C262AA16
2C262AA18
2C262AA24
2C262AB12
2C262AB17
2C262AC02
2C262AC07
2C262BB14
2C262CA11
2C262EA16
2C262GA09
2C262GA29
2C262GA51
5C079HB01
5C079HB08
5C079HB11
5C079LA02
5C079LA31
5C079LB01
5C079MA17
5C079MA20
5C079PA03
(57)【要約】
【課題】ユーザが望む色についての色校正の精度が低下することを抑制し得る印刷装置、印刷方法、および印刷プログラムを提供する。
【解決手段】印刷装置は、画像データに基づいて被印刷媒体に画像を印刷する印刷部と、前記印刷部により実現可能な解像度である印刷解像度を記憶する記憶部と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記画像に対応するプレビュー画像を表示させる処理と、前記プレビュー画像を構成する複数の画素のうちユーザにより指定された画素の情報を受け付ける処理と、前記印刷解像度に基づき、前記指定された画素を含む複数の画素の領域を指定拡張領域として取得する処理と、前記指定拡張領域のパッチ画像を生成する処理と、前記パッチ画像を前記印刷部に印刷させる処理と、を実行する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいて被印刷媒体に画像を印刷する印刷部と、
前記印刷部により実現可能な解像度である印刷解像度を記憶する記憶部と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記画像に対応するプレビュー画像を表示させる処理と、
前記プレビュー画像を構成する複数の画素のうちユーザにより指定された画素の情報を受け付ける処理と、
前記記憶部に記憶された印刷解像度に基づき、前記指定された画素を含む複数の画素の領域を指定拡張領域として取得する処理と、
前記指定拡張領域のパッチ画像を生成する処理と、
前記パッチ画像を前記印刷部に印刷させる処理と、を実行する、印刷装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記指定拡張領域を構成する複数の画素の数を取得し、
前記複数の画素について、RGB表色系における色値の平均値を算出し、
前記平均値により表される色値のパッチ画像を生成する、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記指定拡張領域を構成する複数の画素の数を取得し、
取得した前記複数の画素について、Lab表色系における色値の平均値を算出し、
前記平均値により表される色値のパッチ画像を生成する、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記印刷部による印刷モードが第1印刷モード又は当該第1印刷モードよりも高画質で印刷する第2印刷モードであることを示す指示情報を取得し、
前記印刷モードが前記第1印刷モードである場合には前記指定拡張領域を取得する処理を実行し、前記印刷モードが前記第2印刷モードである場合には前記指定拡張領域を取得する処理を実行しない、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記第2印刷モードは前記印刷解像度が所定値以上となる印刷モードである、請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記印刷モードが前記第1印刷モードである場合に、前記指定拡張領域を構成する複数の画素の数を算出する処理をさらに実行する、請求項4に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記制御装置は、
前記複数の画素の数が所定数未満であるか否かを判別する処理をさらに実行し、
前記複数の画素の数が所定数以上である場合に、前記指定拡張領域を構成する複数の画素のうち所定の優先順位が高い画素についてのパッチ画像を生成する、請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記所定の優先順位は、所定の表色系における、前記指定拡張領域における各画素の色値と前記指定拡張領域における複数の画素の色値の平均値とのユークリッド距離に基づき定められている、請求項7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記制御装置は、
前記複数の画素の数が所定数未満である場合に、前記指定拡張領域における複数の画素の全てについてのパッチ画像を生成する、請求項6に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記記憶部は前記印刷解像度と前記指定拡張領域を構成する複数の画素の数とが対応付けられたテーブルをさらに記憶し、
前記制御装置は、
前記印刷モードが前記第1印刷モードである場合に、前記テーブルにおいて前記印刷解像度に対応する画素の数を抽出する、請求項6に記載の印刷装置。
【請求項11】
画像データに基づいて被印刷媒体に画像を印刷する印刷部と、前記印刷部により実現可能な解像度である印刷解像度を記憶する記憶部とを備える印刷装置における印刷方法であって、
前記画像に対応するプレビュー画像を表示し、
前記プレビュー画像を構成する複数の画素のうちユーザにより指定された画素の情報を受け付け、
前記印刷解像度に基づき、前記指定された画素を含む複数の画素の領域を指定拡張領域として取得し、
前記指定拡張領域のパッチ画像を生成し、
前記パッチ画像を前記印刷部に印刷させる、印刷方法。
【請求項12】
画像データに基づいて被印刷媒体に画像を印刷する印刷部と、前記印刷部により実現可能な解像度である印刷解像度を記憶する記憶部と、を備える印刷装置におけるコンピュータに実行させる印刷プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記画像に対応するプレビュー画像を表示させる表示制御手段、
前記プレビュー画像を構成する複数の画素のうちユーザにより指定された画素の情報を受け付ける受付手段、
前記印刷解像度に基づき、前記指定された画素を含む複数の画素の領域を指定拡張領域として取得する取得手段、
前記指定拡張領域のパッチ画像を生成する生成手段、および
前記パッチ画像を前記印刷部に印刷させる印刷制御手段、として機能させる、印刷プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばインクジェットプリンタ等の印刷装置、当該印刷装置を用いた印刷方法、および印刷装置におけるコンピュータに実行させる印刷プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷対象データのプレビュー画面を表示させ、パッチを作成したい色をユーザに指定させることが可能なプリンタが知られている(特許文献1参照)。既存の色域パッチに加えてユーザによりカーソルで指定された色のパッチを印刷し、印刷された校正用のパッチ全体画像を測色機により測色して得られた測色データに基づき印刷対象の画像データの色校正を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-157920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ユーザによるカーソル操作の精度が高くないことに起因して、プレビュー画面においてユーザが実際指定した色の位置とユーザが望む色の位置とに乖離が生じ、所望の位置を適切に指定できないことがある。そのため、ユーザが望む色についての校正を適切に行うことができず、ゆえに色校正の精度が低下することがあった。
【0005】
そこで、本発明は、ユーザが望む色についての色校正の精度が低下することを抑制し得る印刷装置、印刷方法、および印刷プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の印刷装置は、画像データに基づいて被印刷媒体に画像を印刷する印刷部と、前記印刷部により実現可能な解像度である印刷解像度を記憶する記憶部と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記画像に対応するプレビュー画像を表示させる処理と、前記プレビュー画像を構成する複数の画素のうちユーザにより指定された画素の情報を受け付ける処理と、前記印刷解像度に基づき、前記指定された画素を含む複数の画素の領域を指定拡張領域として取得する処理と、前記指定拡張領域のパッチ画像を生成する処理と、前記パッチ画像を前記印刷部に印刷させる処理と、を実行するものである。
【0007】
本発明に従えば、ユーザにより指定された画素を含む複数の画素の領域が印刷解像度に基づき指定拡張領域として取得され、取得された指定拡張領域のパッチ画像が生成される。これにより、プレビュー画像においてユーザが実際指定した色だけでなく、当該色を含む指定拡張領域のパッチ画像を生成することができる。これによって、プレビュー画像においてユーザが実際指定した色の位置とユーザが望む色の位置とに乖離が生じ難くなる。このため、ユーザが望む色についての校正を適切に行うことができ、ゆえに色校正の精度が低下することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザが望む色についての色校正の精度が低下することを抑制し得る印刷装置、印刷方法、および印刷プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る印刷装置の外観を示す斜視図である。
図2図1の印刷装置に備わる吐出ヘッドを含む構成を示す平面図である。
図3図1の印刷装置の制御系統の構成を示すブロック図である。
図4】表示装置に表示された画像データに係るプレビュー画像の一例を示す図である。
図5】指定拡張領域の例を示す図である。
図6】印刷解像度に基づく指定拡張領域に含まれる画素の数およびパッチ生成色を規定するテーブルを示す図である。
図7】複数のパッチが配置されたパッチ全体画像を示す図である。
図8】制御装置による指定拡張領域の取得の要否を規定するテーブルを示す図である。
図9】画像解像度と印刷解像度と指定拡張領域を構成する複数の画素の数とが対応付けられたテーブルを示す図である。
図10】ユークリッド距離に基づくパッチ画像優先順位およびパッチ画像の生成有無を規定するテーブルを示す図である。
図11】制御装置による色校正処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る印刷装置について図面を参照して説明する。以下に説明する印刷装置は本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除および変更が可能である。
【0011】
図1は本発明の一実施形態に係る印刷装置1の外観を示す斜視図である。図1において、相互に直交する方向を、第1方向Ds、第2方向Dfおよび第3方向Dzとする。本実施形態では、例えば、第1方向Dsは後述のキャリッジ41の移動方向であり、第2方向Dfは後述の被印刷媒体Wの搬送方向であり、第3方向Dzは上下方向である。以下の説明では、Dsを移動方向と呼び、Dfを搬送方向と呼び、Dzを上下方向と呼ぶ。
【0012】
印刷装置1は、図1に示すように、例えば印刷用紙等の被印刷媒体W(図2)に画像を印刷するインクジェットプリンタであり、直方体形状の外観を有する。印刷装置1はプリンタユニット2およびスキャナーユニット3を備える。なお、図1の印刷装置1はあくまで一例であってこれに限定されるものではなく、例えば、紫外線硬化型のインク滴を吐出する印刷部(吐出ヘッド)と紫外線によりインク滴を硬化させる光源とを備える印刷装置などであってもよい。
【0013】
スキャナーユニット3は、画像を撮像素子により読み取って画像データを生成する。生成された画像データは、プリンタユニット2において印刷装置1の内部に収容され又は印刷装置1の外部から供給される被印刷媒体Wに印刷される。このようなスキャナーユニット3は、プリンタユニット2上に重ねて配置され、当該プリンタユニット2の後側部分に設けられた連結部2aによりプリンタユニット2と連結されている。これにより、スキャナーユニット3はその前部を持ち上げると、連結部2aを支点としてプリンタユニット2に対して上方へ回動し、プリンタユニット2の内部が露出するようになっている。
【0014】
スキャナーユニット3は原稿台7および蓋8を有しており、蓋8は原稿台7の上部を覆うように配置される。スキャナーユニット3は、原稿台7と蓋8との間に原稿が配置された状態で当該原稿に記録された画像を読み取る。
【0015】
プリンタユニット2は、後述のタンク12から供給されるインクにより被印刷媒体Wに画像を印刷する。プリンタユニット2は印刷装置1の筐体の一部を成すケース4を有する。ケース4には、当該ケース4内に設けられた内部空間に通じる開口部分を開閉するカバー6が取り付けられている。ケース4の内部には被印刷媒体Wを収容するトレイ5が配置されており、当該トレイ5はケース4の前方へ引き出して被印刷媒体Wを補充可能となっている。
【0016】
タンク12にはインクが貯留されている。タンク12は、カバー6が開けられることで外部に露出する。タンク12は吐出ヘッド20(図2)にインクを供給すべく流路を介して吐出ヘッド20に接続される。
【0017】
図2に示すように、印刷装置1はシリアルヘッド方式であって、複数の吐出ヘッド20、プラテン11、複数のタンク12、搬送装置30および走査装置40を備える。なお、印刷装置1はラインヘッド方式であってもよい。この場合、印刷装置1は走査装置40を備えず、吐出ヘッド20は移動せずに移動方向Dsにおいて被印刷媒体Wの印刷領域の長さよりも長い寸法を有する。
【0018】
吐出ヘッド20は、後述の基本色のインクにより画像データに基づいて被印刷媒体Wに画像を印刷する。本実施形態において吐出ヘッド20が印刷部に相当する。吐出ヘッド20は、例えば2つの第1吐出ヘッド21および2つの第2吐出ヘッド22を含む。プラテン11は、平坦な上面を有し、その上面上に配置された被印刷媒体Wと、これに対向して設けられる吐出ヘッド20の下面との間の距離を規定する。タンク12は、インクを貯留する容器であって、その数はインクの種類と同数以上である。例えば、タンク12は、4種類の基本色のインクをそれぞれ貯留する4種類の第1タンク12a、および、特色のインクを貯留する1又は複数の第2タンク12bを有する。
【0019】
基本色のインクとしては、シアンのインク、イエローのインク、マゼンタのインク、ブラックのインクが例示される。一方、特色のインクは、基本色のインクとは異なる色のインクであって、レッドのインク、グリーンのインクおよびブルーのインクなどが例示される。
【0020】
第1タンク12aは、基本色のインクを貯留し、第1流路13aにより第1吐出ヘッド21に連通されている。基本色のインクは、第1タンク12aから第1流路13aを介して第1吐出ヘッド21に供給される。第2タンク12bは、第2流路13bにより第2吐出ヘッド22に連通されている。第2タンク12bに特色のインクが貯留されると、特色のインクは第2タンク12bから第2流路13bに流入して充填され、吐出ヘッド20に供給される。この第2タンク12bに特色のインクが貯留される前には、特色のインクとは異なる保存液が満たされている。第1流路13aおよび第2流路13bは、例えばゴムチューブ又はプラスチックチューブであり、屈曲に強いものが好ましい。
【0021】
搬送装置30は、例えば、2組の搬送ローラ31、および搬送モータ32(図3)を有する。2組の搬送ローラ31は、搬送方向Df(前後方向)において互いの間にプラテン11を挟んで配置されている。搬送ローラ31は移動方向Dsに延びる軸を有する。各組の搬送ローラ31は、互いの間に被印刷媒体Wを挟むように上下方向Dzに並んでいる。各組の搬送ローラ31のうちの一方の搬送ローラ31は、搬送モータ32に連結されている。搬送ローラ31は、搬送モータ32の駆動によって軸を中心に回転し、被印刷媒体Wをプラテン11上において搬送方向Dfに搬送する。
【0022】
走査装置40は、キャリッジ41、2本のガイドレール42、走査モータ43、および、無端ベルト44を有する。2本のガイドレール42は搬送方向Dfにおいて吐出ヘッド20を互いの間に挟むようにプラテン11の上方において移動方向Dsに延びている。キャリッジ41は、吐出ヘッド20を保持し、移動方向Dsに移動可能に2本のガイドレール42に支持されている。無端ベルト44は、移動方向Dsに延びて、キャリッジ41に取り付けられ、走査モータ43にプーリー45を介して取り付けられている。走査モータ43が駆動すると、無端ベルト44が走行し、キャリッジ41はガイドレール42に沿って移動方向Dsに往復移動する。これにより、キャリッジ41は移動方向Dsに吐出ヘッド20を移動させる。
【0023】
図3に示すように、吐出ヘッド20は複数の駆動素子25を有する。駆動素子25は、圧電素子、発熱素子および静電式アクチュエータ等であって、吐出ヘッド20のノズルに設けられ、当該ノズルからインク滴を吐出する圧力を当該インクに付与する。
【0024】
印刷装置1は、さらに、表示装置14、入力装置15および制御装置50を備える。制御装置50はコンピュータに相当し、インターフェース51、演算部52および記憶部53を有する。インターフェース51は、コンピュータ、カメラ、通信ネットワーク、記録媒体、ディスプレイおよびプリンタ等の外部装置200から画像データなどの各種データを受信する。画像データは、被印刷媒体Wに印刷される画像を示すラスタデータなどであり、当該被印刷媒体Wの種などを含む印刷条件の情報が含まれる。なお、制御装置50は、単独の装置により構成されていてもよく、或いは複数の装置が分散配置されていて、それらが協働して印刷装置1の動作を行うよう構成されていてもよい。
【0025】
記憶部53は、吐出ヘッド20により実現可能な解像度である印刷解像度に関する情報を予め記憶する。記憶部53は、演算部52からアクセス可能なメモリであって、RAMおよびROMを有する。RAMは、画像データなどの外部装置200から受信したデータおよび演算部52により変換されたデータなどの各種データを一時的に記憶する。ROMは、各種データ処理を行うための印刷プログラムおよび所定のデータなどを記憶する。なお、印刷プログラムは、記憶部53とは異なる外部の記憶媒体であって且つ演算部52からアクセス可能な記憶媒体、例えばCD-ROMなどに記憶されていてもよい。
【0026】
演算部52は、例えばCPUなどのプロセッサおよびASICなどの集積回路などの少なくとも1つの回路を含む。演算部52は、印刷プログラムを実行することにより各部を制御し、印刷動作などの各種動作を実行する。本実施形態において、演算部52がコンピュータ、表示制御手段、受付手段、取得手段、生成手段および印刷制御手段に相当する。
【0027】
表示装置14は、例えばディスプレイなどであって、制御装置50の指示に従って画像データに係る画像および後述のプレビュー画像PIなどを表示する。入力装置15は、例えばボタンなどであって、ユーザにより操作される。なお、表示装置14は、吐出ヘッド20により被印刷媒体Wに印刷された画像と完全同一の画像(画像データに係る未校正の画像)および完全同一のプレビュー画像PIを表示し得ない場合があるが、このように完全同一でなくとも均等の範囲内に包含されるものとする。また、入力装置15は表示装置14と一体化されたタッチパネルであってもよい。
【0028】
制御装置50は、搬送駆動回路33を介して搬送装置30の搬送モータ32に電気的に接続され、搬送モータ32の駆動を制御する。これにより、搬送装置30による被印刷媒体Wの搬送が制御される。また、制御装置50は、走査駆動回路46を介して走査装置40の走査モータ43に電気的に接続され、走査モータ43の駆動を制御する。これにより、走査装置40による吐出ヘッド20の移動が制御される。さらに、制御装置50は、吐出ヘッド駆動回路26を介して駆動素子25に電気的に接続されている。制御装置50は、駆動素子25の制御信号を吐出ヘッド駆動回路26に出力し、ヘッド駆動回路26が制御信号に基づいて駆動信号を生成して駆動素子25に出力する。駆動素子25は駆動信号に応じて駆動し、これによりノズルからインク滴が吐出される。
【0029】
以上の構成を有する印刷装置1において、制御装置50は画像データを取得し、当該画像データに基づいて印刷動作を実行する。この場合、制御装置50は、印刷パスにおいて吐出ヘッド20を移動方向Dsに移動させながら、吐出ヘッド20からインクを被印刷媒体Wに吐出させる。そして、制御装置50は被印刷媒体Wを搬送方向Dfの前方へ搬送させる。このように、印刷装置1は印刷パスと搬送動作とを交互に繰り返す。これにより、画像データに係る画像が被印刷媒体Wに印刷される。
【0030】
図4は表示装置14に表示された画像データに係るプレビュー画像PIの一例を示す図である。図5は指定拡張領域SRの例を示す図である。図6は印刷解像度に基づく指定拡張領域SRに含まれる画素の数およびパッチ生成色を規定するテーブルT1を示す図である。図7は複数のパッチ画像が配置されたパッチ全体画像PAを示す図である。
【0031】
制御装置50は外部装置200から送信された画像データを受信する。画像データは色値を含む。色値は、例えば、デバイス依存の色空間における色座標としてのRGB色空間におけるRGB値で表される。RGB値は、0~255のレッドの色値、0~255のグリーンの色値、および0~255のブルーの色値の組み合わせにより1つの色として表される。或いは、色値としてRGB値をLab値に変換したものを用いてもよい。このLab値は、デバイス非依存であるL*a*b*色空間における色値であり、Lが明度を表し、aおよびbが色相および彩度を表すデカルト座標である。
【0032】
制御装置50は、図4に示すように画像データに係るプレビュー画像PIを表示装置14に表示させる。図4では、プレビュー画像PIの一例として、りんご画像PI1およびパプリカ画像PI2が示されている。ユーザは、表示装置14にプレビュー画像PIが表示されると、パッチ画像を作成したい色に係る画像(画素)を指定する。この場合、表示装置14においてユーザにより指定された画像がポインタ14aにより指し示される。図4は、ユーザによりりんご画像PI1が指定されたことを示す。
【0033】
制御装置50はプレビュー画像PIを構成する複数の画素のうちユーザにより指定された画素の情報を受け付ける。図4の例では、りんご画像PI1を構成する複数の画素のうちユーザにより指定された画素の情報(当該画素の位置および色)が制御装置50により受け付けられる。
【0034】
制御装置50はユーザにより指定された画素の情報を受け付けた後、記憶部53に記憶された印刷解像度に基づき、指定された画素を含む複数の画素の領域を後述の指定拡張領域SRとして取得する。その後、制御装置50は指定拡張領域SRに含まれる画素に係るパッチ画像GP(図7)を生成し、生成した複数個のパッチ画像GPの位置の情報を付加した複数個のパッチ画像GPを含む印刷データを生成し、当該印刷データに基づき生成したパッチ画像GPを吐出ヘッド20に印刷させる。なお、パッチ画像GPを吐出ヘッド20に印刷させる前に、制御装置50は、印刷データのRGB値をLab値に変換し、シアンの印刷データ、イエローの印刷データ、マゼンタの印刷データ、ブラックの印刷データを生成する。各色の印刷データに基づきインクの吐出量を示すデータ(吐出データ)にさらに変換する。吐出ヘッド20は、各色のインクの吐出量を示すデータに基づきインクを吐出し、パッチ画像GPを印刷する。本実施形態は、キャリッジ41を有するシリアル方式であるので、各色のインクの吐出量を示すデータをキャリッジ41の移動回数に合わせてさらに分割する。例えば、キャリッジ41を3回移動させて印刷を完了するためには、各色のインクの吐出量を示すデータを3分割する。
【0035】
指定拡張領域SRについて詳しく説明する。図6に示すように、テーブルT1には、画像データの画像解像度と印刷解像度と選択範囲拡張ドット数と選択範囲(指定拡張領域SR)とパッチ生成色とについての各情報が格納されている。テーブルT1は記憶部53に記憶される。画像解像度および印刷解像度が例えば2400dpiである場合、すなわち、画像解像度と印刷解像度とが同じである場合、図5に示すように、制御装置50はユーザにより指定された画素DPを基準とした指定拡張領域SRを取得しない。この場合、制御装置50は画素DPの所定の色空間における色値に係るパッチ画像GPを生成する。図6のテーブルT1における色値(R=197,G=3,B=100)は一例である。なお、所定の色空間における色値として、例えば、RGB色空間におけるRGB値又はL*a*b*色空間におけるLab値を採用することができる。
【0036】
一方、印刷解像度が画像解像度よりも小さい場合における制御装置50の処理は以下の通りである。例えば、画像解像度が2400dpiであり印刷解像度が1200dpiである場合、図5に示すように、制御装置50は画素DPを基準として上下方向D1の各方向に1画素(1ドット)ずつ選択範囲拡張ドット数として拡張し、かつ、当該画素DPを基準として左右方向D2の各方向に1画素(1ドット)ずつ選択範囲拡張ドット数として拡張した指定拡張領域SR1を取得する。つまり、制御装置50は、9画素(=3×3)から構成される指定拡張領域SR1を取得する。
【0037】
そして、制御装置50は、取得した9画素についてRGB色空間におけるRGB値の平均値を算出する。図6のテーブルT1には、RGB値の平均値の一例として、R=209,G=61,B=111が示されている。R=209は、選択範囲にある9画素のR値を加算し9で割ることで算出している。G=61は、選択範囲にある9画素のG値を加算し9で割ることで算出している。B=111は、選択範囲にある9画素のB値を加算し9で割ることで算出している。制御装置50は算出したRGB値の平均値に係る色値のパッチ画像GPを生成する。なお、画像解像度が2400dpiであり印刷解像度が600dpiである場合、および画像解像度が2400dpiであり印刷解像度が300dpiである場合における制御装置50の処理は上記と同様であるため説明を省略する。
【0038】
制御装置50は、上記の通り取得した9画素について、L*a*b*色空間におけるLab値の平均値を算出してもよい。この場合、制御装置50は算出したLab値の平均値に係る色値のパッチ画像GPを生成することができる。Lab値でパッチ画像GPを生成した場合、制御装置50は、Lab値からなる印刷データを生成し、シアンの印刷データ、イエローの印刷データ、マゼンタの印刷データ、ブラックの印刷データを生成してもよい。生成したパッチ画像GPのLab値をRGB値に変換してもよいが、印刷の際に、再度RGB値をLab値に変換しなければならず、処理負荷がかかるためである。
【0039】
図7に示すように、パッチ全体画像PAは、基本パッチBPが配置される第1パッチ領域PR1と、第1パッチ領域PR1とは異なり且つ移動方向Dsにおいて当該第1パッチ領域PR1に隣接する余白領域である第2パッチ領域PR2とを含む。第1パッチ領域PR1および第2パッチ領域PR2は、それぞれ、パッチ画像を配置して印刷すべき区画であって所定の面積を有する複数のパッチ区画PKを有している。基本パッチBPとは、画像データにおける複数の基本色の各々に対応して予め定められたパッチ区画PKに配置されたパッチ画像である。制御装置50は、上記の通り生成したパッチ画像GPを第2パッチ領域PR2の空きのパッチ区画PKに配置し、第2パッチ領域PR2にパッチ画像GPの配置された印刷データを生成する。
【0040】
本実施形態において、制御装置50は印刷モードに基づき指定拡張領域SRの取得の要否を判断してもよい。詳しくは、ユーザは入力装置15を用いて吐出ヘッド20による印刷モードとして第1印刷モード又は当該第1印刷モードよりも高画質で印刷可能な第2印刷モードを指定することができる。第2印刷モードは吐出ヘッド20による印刷解像度が所定値以上となる印刷モードである。第2印刷モードにおける印刷解像度は、例えば1200dpi以上とすることができる。制御装置50はユーザによる前記指定に基づき印刷モードが第1印刷モード又は第2印刷モードであることを示す指示情報を取得する。
【0041】
制御装置50は、ユーザにより指定された印刷モードが第1印刷モードである場合には上述した指定拡張領域SRを取得する処理を実行する。一方、制御装置50は、ユーザにより指定された印刷モードが第2印刷モードである場合には指定拡張領域SRを取得する処理を実行しない。
【0042】
ここで、画像データの画像解像度と印刷解像度との大小関係に基づき指定拡張領域SRを構成する画素の数を決定することができる。図8は制御装置50による指定拡張領域SRの取得の要否を規定するテーブルT2を示す図である。なお、テーブルT2は記憶部53に記憶される。
【0043】
図8に示すテーブルT2においては、画像解像度と印刷解像度との大小関係に基づき指定拡張領域SRを構成する画素の数が規定されている。具体的には、画像解像度が印刷解像度以上である場合、選択範囲拡張ドット数は、(画像解像度/印刷解像度)-1により得られる数とする。例えば、テーブルT2において画像解像度が600dpiであり、印刷解像度が300dpiである場合、選択範囲拡張ドット数は、(600/300)-1=1となる。この場合、制御装置50は上述の画素DPを基準として上下方向D1の各方向に1画素(1ドット)ずつ選択範囲拡張ドット数として拡張し、かつ、当該画素DPを基準として左右方向D2の各方向に1画素(1ドット)ずつ選択範囲拡張ドット数として拡張した、9画素で構成される指定拡張領域SR1を取得する。
【0044】
また、テーブルT2において画像解像度が1200dpiであり、印刷解像度が1200dpiである場合、選択範囲拡張ドット数は、(1200/1200)-1=0となる。この場合、制御装置50は画素DPを基準とした指定拡張領域SRを取得しない。よって、制御装置50は上述した通り画素DPの所定の色空間における色値に係るパッチ画像GPを生成する。
【0045】
一方、画像解像度が印刷解像度未満である場合には、選択範囲拡張ドット数を0とする。すなわち、制御装置50は画素DPを基準とした指定拡張領域SRを取得しない。よって、この場合も制御装置50は画素DPの所定の色空間における色値に係るパッチ画像GPを生成する。
【0046】
制御装置50は指定拡張領域SRを構成する画素の数に基づきパッチ画像を生成してもよい。図9は画像解像度と印刷解像度と指定拡張領域SRを構成する複数の画素の数とが対応付けられたテーブルT3を示す図である。テーブルT3は、記憶部53に記憶され、一例として画像解像度が2400dpiであり印刷解像度が1200dpiである場合の指定拡張領域SRにおける9画素の各色値を格納する。図9のテーブルT3において、9画素の各々に対応するパッチ画像のRGB色空間における色値は一例である。なお、図9のテーブルT3は図8のテーブルT2から抜粋した一の画像解像度と一の印刷解像度とに係るパッチ画像の生成色を示しているが、図8のテーブルT2における他の画像解像度と他の印刷解像度とに係るパッチ画像の生成色を規定するテーブルも記憶部53に記憶される。
【0047】
制御装置50は、印刷モードが第1印刷モードである場合に、指定拡張領域SRを構成する複数の画素の数を取得する。具体的には、制御装置50は上述の図8のテーブルT2を用いて指定拡張領域SRを取得する際に、当該指定拡張領域SRを構成する複数の画素の数を算出してもよく、図9のテーブルT3において指定拡張領域SRを構成する画素の数として9を抽出してもよい。
【0048】
ここで、上述した図6では9画素の色値の平均値に係る色値のパッチ画像を生成したが、以下では指定拡張領域SRを構成する画素の数が所定数未満であるか否かに基づきパッチ画像を生成してもよい。
【0049】
この場合、制御装置50は取得した画素の数が閾値としての所定数未満であるか否かを判別する。閾値は記憶部53に記憶され、ユーザが任意に定めることができる。画素の数が所定数未満である場合には、制御装置50は指定拡張領域SRにおける複数の画素の全てについてのパッチ画像を生成する。図9の例では、9画素の各色値のパッチ画像が全て生成される。制御装置50は、9画素の各色値のパッチ画像を第2パッチ領域PR2の空きのパッチ区画PKに配置し、第2パッチ領域PR2に9画素の各色値のパッチ画像の配置された印刷データを生成する。
【0050】
これに対して、取得した画素の数が閾値としての所定数未満でない場合には、制御装置50は以下の処理を実行する。図10はユークリッド距離に基づくパッチ画像優先順位およびパッチ画像の生成有無を規定するテーブルT4を示す図である。なお、テーブルT4は記憶部53に記憶される。
【0051】
制御装置50は、取得した画素の数が閾値としての所定数未満でない場合、指定拡張領域SRを構成する複数の画素のうち所定の優先順位が高い画素についてのパッチ画像を生成する。所定の優先順位とは、所定の表色系(例えばRGB色空間)における、指定拡張領域SRにおける各画素の色値と当該指定拡張領域SRにおける複数の画素の色値の平均値とのユークリッド距離に基づき定められたものである。
【0052】
ユークリッド距離について一例を挙げて説明する。図10のテーブルT4における9画素のRGB値は一例である。これら9画素のRGB値の平均値は、R=209,G=66,B=111である。図10における9画素のうちNo.1の画素のRGB値は、R=193,G=116,B=180である。したがって、9画素のRGB値の平均値とNo.1の画素のRGB値との差は、R=-16,G=50,B=69となる。よって、ユークリッド距離は、√A(但し、A=(-16)+50+69)により算出され、87となる。なお、No.2~No.9の画素についてのユークリッド距離も同様に算出できる。
【0053】
図10のテーブルT4においては、各ユークリッド距離の小さい順に、優先順位が高くなるようにパッチ生成の優先順位が規定されると共に、パッチ画像の生成数が規定される。パッチ画像の生成数はユーザが印刷解像度に応じて予め任意に設定することができ、テーブルT4では例えば3とする。したがって、パッチ生成の優先順位が1~3まで(No.4とNo.3とNo.9)のRGB値については、パッチ生成がありとされ、その他のRGB値についてはパッチ生成がなしとされる。よって、制御装置50は、No.4とNo.3とNo.9に係る3画素の各色値のパッチ画像をそれぞれ生成する。制御装置50は、No.4とNo.3とNo.9に係る3画素の各色値のパッチ画像を第2パッチ領域PR2の空きのパッチ区画PKに配置し、第2パッチ領域PR2にNo.4とNo.3とNo.9に係る3画素の各色値のパッチ画像の配置された印刷データを生成する。
【0054】
図11は制御装置50による色校正処理の一例を示すフローチャートである。図11に示すように、制御装置50は画像データを受信する(ステップS1)。制御装置50は画像データに係るプレビュー画像PIを表示装置14に表示させる(ステップS2)。
【0055】
次いで、制御装置50はユーザにより指定された色を指定色として受け付ける(ステップS3)。制御装置50は印刷モードが第2印刷モード(高画質印刷モード)であるか否かを判別する(ステップS4)。印刷モードが第2印刷モードでない場合(ステップS4でNo)、制御装置50は指定拡張領域SRを取得する(ステップS5)。
【0056】
続いて、制御装置50は取得した指定拡張領域SRを構成する画素の数が所定数未満であるか否かを判別する(ステップS6)。指定拡張領域SRを構成する画素の数が所定数未満である場合(ステップS6でYes)、制御装置50は全ての画素の色値についてのパッチ画像を生成する(ステップS7)。一方、指定拡張領域SRを構成する画素の数が所定数未満でない場合(ステップS6でNo)、制御装置50は所定の優先順位が高い複数の画素の色値を抽出し(ステップS8)、その後、抽出した色値についてのパッチ画像のみを生成する(ステップS7)。
【0057】
ステップS7の処理の後、制御装置50は生成したパッチ画像が配置されたパッチ全体画像PAを吐出ヘッド20に被印刷媒体Wにおいて印刷させる(ステップS9)。また、印刷モードが第2印刷モードである場合(ステップS4でYes)、制御装置50は指定色に係るパッチ画像が配置されたパッチ全体画像PAを吐出ヘッド20に第2印刷モードにて印刷させる(ステップS9)。
【0058】
そして、制御装置50は被印刷媒体Wに印刷されたパッチ全体画像PAを例えば分光光度計などの測色機により測色させ、その測色値とパッチ画像の色値とを対応付けて記憶部53に記憶させる(ステップS10)。制御装置50は上記対応関係に基づいて印刷される画像の色を目標の色に校正するための校正プロファイルを作成し、吐出ヘッド20に当該校正プロファイルに基づく画像を被印刷媒体Wに印刷させる(ステップS11)。
【0059】
以上説明したように、印刷装置1によれば、ユーザにより指定された画素DPを含む複数の画素の領域が印刷解像度に基づき指定拡張領域SRとして取得され、取得された指定拡張領域SRのパッチ画像GPが生成される。これにより、プレビュー画像PIにおいてユーザが実際指定した色だけでなく、当該色を含む指定拡張領域SRのパッチ画像GPを生成することができる。これによって、プレビュー画像PIにおいてユーザが実際指定した色の位置とユーザが望む色の位置とに乖離が生じ難くなる。このため、ユーザが望む色についての校正を適切に行うことができ、ゆえに色校正の精度が低下することを抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態では、取得した指定拡張領域SRを構成する複数の画素についてRGB色空間におけるRGB値の平均値が算出され、算出したRGB値の平均値に係る色値のパッチ画像GPが生成されてもよい。これによって、よりユーザの意図に沿った色校正が可能となる。
【0061】
また、本実施形態では、取得した指定拡張領域SRを構成する複数の画素についてL*a*b*色空間におけるLab値の平均値が算出され、算出したLab値の平均値に係る色値のパッチ画像GPが生成されてもよい。これによっても、よりユーザの意図に沿った色校正が可能となる。
【0062】
また、本実施形態では、ユーザにより指定された印刷モードが第1印刷モードである場合には指定拡張領域SRが取得され、ユーザにより指定された印刷モードが第2印刷モードである場合には指定拡張領域SRは取得されない。このように印刷モードが高画質印刷モードである第2印刷モードである場合には高画質なプレビュー画像PIが表示されるため、ユーザによるカーソル操作の精度が比較的高くなると推測される。このため、ユーザが実際指定した色の位置とユーザが望む色の位置とに乖離が生じ難くなるので、第2印刷モードにおいて必要性の低い指定拡張領域SRの取得処理を省略することができる。
【0063】
また、本実施形態では、指定拡張領域SRの取得の要否を容易に決定すべく、第2印刷モードを印刷解像度が例えば1200dpi以上となる印刷モードとすることができる。
【0064】
また、本実施形態では、印刷モードが第1印刷モードである場合に、指定拡張領域SRを構成する複数の画素の数が取得される。これにより、生成すべきパッチ画像の数を得ることができる。
【0065】
また、本実施形態では、指定拡張領域SRを構成する複数の画素の数が所定数未満でない場合に、当該指定拡張領域SRを構成する複数の画素のうち所定の優先順位が高い画素についてのパッチ画像のみが生成される。これにより、印刷モードが特に低印刷解像度である場合においてパッチ画像が多くなることを避けることができる。
【0066】
また、本実施形態では、上記の所定の優先順位は、所定の表色系(例えばRGB色空間)における、指定拡張領域SRにおける各画素の色値と当該指定拡張領域SRにおける複数の画素の色値の平均値とのユークリッド距離に基づき定められたものである。このようなユークリッド距離を用いることで、パッチ画像を生成すべき色値に対して優先順位を付与し易くなる。
【0067】
また、本実施形態では、指定拡張領域SRを構成する複数の画素の数が所定数未満である場合には、当該指定拡張領域SRにおける複数の画素の全てについてパッチ画像が生成される。これによって、ユーザの意図にさらに沿った色校正が可能となる。
【0068】
さらに、本実施形態では、指定拡張領域SRを構成する画素の数をテーブルT3に基づき抽出することができる。これにより、生成すべきパッチ画像の数を容易に得ることができる。
【0069】
(変形例)
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変形例を採用することが可能である。例えば以下の通りである。
【0070】
上記実施形態では、指定拡張領域SRを取得する際に、ユーザにより指定された画素DPを基準に上下方向D1および左右方向D2のそれぞれにおいて均等に画素を拡張したが、これに限定されるものではない。画素DPを基準に上下方向D1および左右方向D2のそれぞれにおいて不均等に画素を拡張することもできる。
【0071】
また、上記実施形態では、プレビュー画像PIを印刷装置1の表示装置14に表示させるようにしたが、これに限定されるものではなく、当該印刷装置1に対して有線又は無線により通信可能なパーソナルコンピュータなどのディスプレイにプレビュー画像PIを表示してもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、ユークリッド距離を、指定拡張領域SRにおける各画素の色値と当該指定拡張領域SRにおける複数の画素の色値の平均値との差に基づき算出したが、これに限られるものではない。指定拡張領域SRにおける各画素の色値と当該指定拡張領域SRにおける複数の画素の色値の最大値又は最小値との差に基づきユークリッド距離を算出することもできる。
【0073】
さらに、上記実施形態では、印刷装置1としてインクジェットプリンタを例に挙げたが、これに限らず、印刷装置1はレーザープリンタやサーマルプリンタ等の他のプリンタであってもよい。レーザープリンタは印刷部を備える。レーザープリンタの印刷部は、感光ドラムや感光体ベルト等の像担持体と、像担持体を接触又は非接触で帯電させる帯電部と、レーザー半導体等を用いて帯電された像担持体に静電潜像を形成する(いわゆる露光)露光部と、静電潜像が形成された像担持体にトナーを供給するトナーカートリッジや現像カートリッジと、像担持体上で現像されたトナー像を直接被印刷媒体に転写する転写ローラや転写ベルト等の転写部と、被印刷媒体に転写されたトナーを熱定着させる定着ローラや定着ベルト等の定着部とを備える。上述のダイレクトタンデム方式のレーザープリンタに限らず、中間転写方式のレーザープリンタであってもよく、像担持体上で現像されたトナー像を中間転写ベルトに転写した後、転写部を用いて中間転写ベルトから被印刷媒体に転写する。また、サーマルプリンタは印刷部を備える。サーマルプリンタの印刷部は、サーマルヘッドと、インクリボンとを備える。サーマルヘッドは、インクリボンと接触しており、インクリボンのインクを被印刷媒体に転写させるときに、対応する発熱素子を発熱させることで、インクリボンのインクを被印刷媒体に転写させる。
【0074】
また、上記実施形態では、制御装置50は、取得した9画素についてRGB色空間におけるRGB値の平均値を算出する際に算術平均を用いていたが、これに限られない。制御装置50は、取得した9画素についてRGB色空間におけるRGB値の加重平均を算出してもよい。
【0075】
さらに、上記実施形態では、印刷装置1はシリアルヘッド方式であったがこれに限られない。印刷装置1はラインヘッド方式であってもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 印刷装置
14 表示装置
20 吐出ヘッド
50 制御装置
52 演算部
53 記憶部
GP パッチ画像
PI プレビュー画像
SR 指定拡張領域
T1,T2,T3,T4 テーブル
W 被印刷媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11