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  • 特開-通過人数計測装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039743
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】通過人数計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01V 8/10 20060101AFI20240315BHJP
【FI】
G01V8/10 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144332
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000210403
【氏名又は名称】竹中エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若林 航佑
【テーマコード(参考)】
2G105
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB16
2G105BB17
2G105CC04
2G105EE06
2G105HH01
(57)【要約】
【課題】比較的軽い処理負担で検知エリアに関するエリア画像から人を認識することが可能な通過人数計測装置を提供する。
【解決手段】検知エリアAを通過した人の数を計測する通過人数計測装置10は、目標クラスタ数決定部22と、クラスタリング部23と、計測部24とを備えている。目標クラスタ数決定部22は、エリア画像Pを構成する複数のセルのそれぞれにおいて人の存在を示唆する画素の有無を判定し、有りと判定したセルの数を目標クラスタ数Kとする。クラスタリング部23は、エリア画像P全体に含まれる人の存在を示唆する複数の画素をK個のクラスタに分割し、それぞれの重心位置を求める。計測部24は、重心位置間の距離が予め設定した最小距離を下回る2個のクラスタを統合していき、最終的に残ったクラスタの数を人の数とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の検知エリアを通過した人の数を計測する通過人数計測装置であって、
前記検知エリアに関するエリア画像に基づいて目標クラスタ数Kを決定する目標クラスタ数決定部と、
前記エリア画像および前記目標クラスタ数Kに基づいてK個のクラスタの重心位置を求めるクラスタリング部と、
前記重心位置に基づいて前記人の数を計測する計測部と
を備え、
前記目標クラスタ数決定部は、前記エリア画像を構成する複数のセルのそれぞれにおいて前記人の存在を示唆する画素の有無を判定し、有りと判定したセルの数を前記目標クラスタ数Kとするよう構成され、
前記クラスタリング部は、前記エリア画像全体に含まれる前記人の存在を示唆する複数の画素を前記K個のクラスタに分割し、それぞれの前記重心位置を求めるよう構成され、
前記計測部は、前記重心位置間の距離が予め設定した最小距離を下回る2個のクラスタを統合していき、最終的に残ったクラスタの数を前記人の数とするよう構成されている
ことを特徴とする通過人数計測装置。
【請求項2】
前記クラスタリング部は、前記目標クラスタ数Kが予め設定した最大クラスタ数Kmaxを超えている場合は、前記エリア画像全体に含まれる前記人の存在を示唆する複数の画素をK個ではなく前記Kmax個のクラスタに分割し、それぞれの前記重心位置を求めるよう構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の通過人数計測装置。
【請求項3】
前記エリア画像は、時間Δtが経過する毎に生成される熱画像である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の通過人数計測装置。
【請求項4】
前記エリア画像は、時刻tに生成された熱画像および時刻t+Δtに生成された熱画像の差画像である
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の通過人数計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種施設や各種乗物の出入口付近等に設けられた検知エリアを通過した人の数を計測する通過人数計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載の入退室監視装置が知られている。この装置は、出入口の上方に設けられた一対の熱感知センサ(室外側サーモパイルセンサおよび室内側サーモパイルセンサ)と、各センサの出力信号の差分を増幅する増幅器と、増幅器の出力信号に基づいて人の動きを判別するCPU処理部とを備えている。この装置によれば、人の入室および退室だけでなく、入室しようとした人が入室することなくUターンしたことや、退室しようとした人が退室することなくUターンしたことも判別することができる。
【0003】
しかしながら、この装置は、複数の入室または退室が同時に起こった場合に、入室または退室をした人の数を正確に特定することはできない。入室と退室とが同時に起こった場合についても同様である。
【0004】
この問題を解決するために、出入口付近に設けられた検知エリアに関する熱画像を一定時間毎に生成する熱画像センサと、生成された熱画像に基づいて人の動きを判別する判別部とを備えたタイプの装置も提案されている。この装置によれば、検知エリアを通過した人の数と通過方向とを判別することができる。例えば、この装置によれば、出入口から2人が入って来るとともに、出入口から3人が出て行ったことを判別することができる。
【0005】
ところで、後者の装置では、検知エリア内に通過中の人がいると、当該人の位置および大きさに対応した複数の画素が床面とは温度が異なることを示す画素(すなわち、人の存在を示唆する画素)に変化した熱画像が得られる。後者の装置は、このような画素の集まりを「人」と認識し、「人」の動きを追跡することにより、検知エリアを通過した人の数と通過方向とを判別する。
【0006】
しかしながら、画素の集まりを「人」と認識するための演算処理は、特に低消費電力で動作する通過人数計測装置にとって負担が大きかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9-113355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、比較的軽い処理負担で検知エリアに関するエリア画像から人を認識することが可能な通過人数計測装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る通過人数計測装置は、所定の検知エリアを通過した人の数を計測する装置であって、検知エリアに関するエリア画像に基づいて目標クラスタ数Kを決定する目標クラスタ数決定部と、エリア画像および目標クラスタ数Kに基づいてK個のクラスタの重心位置を求めるクラスタリング部と、重心位置に基づいて人の数を計測する計測部とを備え、目標クラスタ数決定部は、エリア画像を構成する複数のセルのそれぞれにおいて人の存在を示唆する画素の有無を判定し、有りと判定したセルの数を目標クラスタ数Kとするよう構成され、クラスタリング部は、エリア画像全体に含まれる人の存在を示唆する複数の画素をK個のクラスタに分割し、それぞれの重心位置を求めるよう構成され、計測部は、重心位置間の距離が予め設定した最小距離を下回る2個のクラスタを統合していき、最終的に残ったクラスタの数を通過した人の数とするよう構成されている、との構成を有している。
【0010】
上記クラスタリング部は、目標クラスタ数Kが予め設定した最大クラスタ数Kmaxを超えている場合は、エリア画像全体に含まれる人の存在を示唆する複数の画素をK個ではなくKmax個のクラスタに分割し、それぞれの重心位置を求めるよう構成されていてもよい。
【0011】
上記エリア画像の例としては、時間Δtが経過する毎に生成される熱画像を挙げることができる。
【0012】
また、上記エリア画像の別の例としては、時刻tに生成された熱画像および時刻t+Δtに生成された熱画像の差画像を挙げることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、比較的軽い処理負担で検知エリアに関するエリア画像から人を認識することが可能な通過人数計測装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例に係る通過人数計測装置のブロック図である。
図2】実施例に係る通過人数計測装置において生成されるエリア画像を示す図である。
図3】実施例に係る通過人数計測装置の目標クラスタ数決定部が実行する処理に関する図である。
図4】実施例に係る通過人数計測装置のクラスタリング部が実行する処理に関する図である。
図5】実施例に係る通過人数計測装置の動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る通過人数計測装置の実施例について説明する。
【0016】
[実施例]
図1に、本発明の実施例に係る通過人数計測装置10を示す。通過人数計測装置10は、商業施設の出入口付近の床200に設けられた検知エリアAをM1方向に通過する歩行者W1の数とM2方向に通過する歩行者W2の数とを計測するためのもので、同図に示すように、熱画像生成部11と、記憶部12と、制御部20と、設定部13と、外部インタフェース部14と、音声出力部15と、発光部16と、これらを収容する筐体とを備えている。通過人数計測装置10は、熱画像生成部11が検知エリアAを向くように、天井100に取り付けられている。
【0017】
本実施例では、取り付け高さHが4mである。また、本実施例の検知エリアAは、想定される通過方向M1,M2に直交する辺の長さが4m、通過方向M1,M2に平行な辺の長さが3mの長方形である。取り付け高さHが変化すると、これに応じて検知エリアAの大きさも変化する。
【0018】
熱画像生成部11は、二次元の熱画像センサで構成されている。熱画像生成部11は、検知エリアA(床200)または当該エリアA内にいる歩行者W1,W2から放射される遠赤外線を検出し、検出結果に対応した60画素×45画素の熱画像(より正確には、熱画像に関するデータ)を生成する。熱画像の生成は、1/10s毎に行われる。生成された熱画像は、順次記憶部12に送られる。
【0019】
記憶部12は、揮発性または不揮発性のメモリで構成されている。記憶部12は、熱画像生成部11から1/10s毎に送られてきた熱画像のうち、少なくとも最新のものとその1つ前のものとを格納している。言い換えると、記憶部12には、最後に生成された熱画像(以下、「第2熱画像」という)と、その1/10s前に生成された熱画像(以下、「第1熱画像」という)とが格納されている。
【0020】
制御部20は、マイクロプロセッサ(MPU)と当該プロセッサ上で実行されるコンピュータプログラムとで構成されている。本実施例では、コンピュータプログラムの実行により、差画像生成部21、目標クラスタ数決定部22、クラスタリング部23および計測部24が制御部20内に形成されている。
【0021】
差画像生成部21は、記憶部12に格納された第1熱画像および第2熱画像に基づいて、図2に示すような60画素×45画素の差画像P(より正確には、差画像Pに関するデータ)を生成する。例えば、差画像生成部21は、第2熱画像を構成する座標(0,0)の画素が示す温度から第1熱画像を構成する座標(0,0)の画素が示す温度を引くことにより、差画像Pを構成する座標(0,0)の画素が示すべき温度変化を求める。
【0022】
差画像Pは、目標クラスタ数決定部22およびクラスタリング部23において「エリア画像」として使用される。エリア画像Pは、1/10sの間にどのような温度変化があったのかを示しているといえる。また、温度変化があったことを示している画素、すなわち、0℃以外の温度変化を示す画素は、「人(検知エリアAを通過中の歩行者W1,W2)の存在を示唆する画素」であるといえる。
【0023】
目標クラスタ数決定部22は、エリア画像Pに基づいて目標クラスタ数Kを決定する。より詳しくは、目標クラスタ数決定部22は、エリア画像Pを構成する25個のセルC00,C10,C20,・・・,C24,C34,C44(図2参照)のそれぞれにおいて人の存在を示唆する画素の有無を判定し、有りと判定したセルの数を目標クラスタ数Kとする。なお、セルC00,C10,C20,・・・,C24,C34,C44はいずれも、108(=12×9)個の画素で構成されている。
【0024】
図3を参照しながら、目標クラスタ数Kの決定の具体例について説明する。
【0025】
エリア画像Pを構成するセルC01は、人の存在を示唆する画素(塗り潰された画素)を1個以上含んでいる。このため、目標クラスタ数決定部22は、セルC01の判定結果を「有」とする(同図(B)参照)。
【0026】
エリア画像Pを構成するセルC11,C43,C14も、人の存在を示唆する画素を1個以上含んでいる。このため、目標クラスタ数決定部22は、これらのセルの判定結果も「有」とする。
【0027】
一方、その他の21個のセル(例えば、セルC22)は、人の存在を示唆する画素を含んでいない。このため、目標クラスタ数決定部22は、これらのセルの判定結果を「無」とする(同図(C)参照)。
【0028】
エリア画像Pを構成する25個のセルC00,C10,C20,・・・,C24,C34,C44のうち、人の存在を示唆する画素を有していると判定されたセルはセルC01,C11,C43,C14の4個であった。このため、目標クラスタ数決定部22は、目標クラスタ数Kを4とする。
【0029】
クラスタリング部23は、エリア画像Pおよび目標クラスタ数Kに基づいてK個のクラスタの重心位置を求める。より詳しくは、クラスタリング部23は、図4に示すように、エリア画像P全体に含まれる人の存在を示唆する複数(本例では129個)の画素をK個(本例では4個)のクラスタ(本例ではクラスタB1,B2,B3,B4)に分割し、それぞれの重心位置(本例では重心位置b1,b2,b3,b4)を求める。クラスタリング部23は、目標クラスタ数Kを用いたK平均法によりこれらの処理を行う。
【0030】
計測部24は、K個の重心位置に基づいて検知エリアAを通過した歩行者W1,W2の数(厳密には、検知エリアA内にいる歩行者W1,W2の数)を計測する。より詳しくは、計測部24は、まず、重心位置間の距離が予め設定した最小距離を下回る2個のクラスタを統合していき、最終的に残ったクラスタの数を歩行者W1,W2の数とする。本例では、標準的な人の肩幅(約40cm)の2倍をやや下回る70cmに相当する距離を最小距離とした。
【0031】
全ての重心位置間距離b1-b2,b1-b3,b1-b4,b2-b3,b2-b4,b3-b4のうち、重心位置間距離b1-b2は最小距離よりも小さい。このため、計測部24は、クラスタB1およびクラスタB2を統合する。すなわち、計測部24は、クラスタB1を構成していた38個の画素およびクラスタB2を構成していた33個の画素の集合を新たなクラスタB1’と認識するとともに、当該新たなクラスタB1’の重心位置b1’を求める。
【0032】
この統合により、残ったクラスタはクラスタB1’,B3,B4の3個となった。言い換えると、この統合により、検知エリアAを通過中の歩行者W1,W2の数が3であることが特定された。この特定の後、計測部24は、この3人の位置である重心位置b1’,b3,b4に基づいて、検知エリアAをM1方向に通過した歩行者W1の数とM2方向に通過した歩行者W2の数とを計測する。この計測には、種々の既知の手法を用いることができる。
【0033】
なお、計測部24は、全ての重心位置間距離b1-b2,b1-b3,b1-b4,b2-b3,b2-b4,b3-b4を求めた後に各重心位置間距離と最小距離とを比較してもよいし、いずれかの重心位置間距離(例えば、重心位置間距離b1-b2)を求めた時点でその重心位置間距離と最小距離とを比較してもよい。
【0034】
外部インタフェース部14は、適当な外部機器に接続されている。外部インタフェース部14は、計測部24による計測の結果を予め定めたタイミングおよび形式で当該外部機器に送信することができる。
【0035】
音声出力部15は、ブザーまたはスピーカーで構成されている。音声出力部15は、計測部24による計測の結果に対応した音声を出力することにより、計測結果を周辺にいる者に知らせることができる。
【0036】
発光部16は、少なくとも1つの発光ダイオードで構成されている。発光部16は、計測部24による計測の結果に対応した態様(色、明るさ等)で点灯または点滅することにより、計測結果を周辺にいる者に知らせることができる。
【0037】
設定部13は、ディップスイッチで構成されている。ユーザは、設定部13を介して前述の最小距離および後述の最大クラスタ数を設定することができる。また、ユーザは、設定部13を介して、外部インタフェース部14、音声出力部15および発光部16のオン/オフを個別に切り替えることもできる。
【0038】
図5は、これまでに述べてきた各部の動きを時系列に記述した、本実施例に係る通過人数計測装置10の動作フロー図である。
【0039】
ステップS1では、熱画像生成部11が生成した第1熱画像を記憶部12が格納する。
【0040】
ステップS1の1/10s後に実行されるステップS2では、熱画像生成部11が生成した第2熱画像を記憶部12が格納する。
【0041】
ステップS2の後に実行されるステップS3では、差画像生成部21が第1熱画像および第2熱画像から差画像(エリア画像)Pを生成する。
【0042】
ステップS3の後に実行されるステップS4では、目標クラスタ数決定部22がエリア画像Pに基づいて目標クラスタ数Kを決定する。
【0043】
ステップS4の後に実行されるステップS5では、クラスタリング部23がエリア画像Pおよび目標クラスタ数Kに基づいてK個のクラスタの重心位置を求める。
【0044】
ステップS5の後に実行されるステップS6では、計測部24がK個の重心位置に基づいて通過人数等を計測する。
【0045】
本実施例に係る通過人数計測装置10は、1/10s毎にこの動作フローにしたがって繰り返し動作する。なお、2巡目のフローでは、1巡目で生成・格納された第2熱画像が第1熱画像となる。3巡目以降についても同様である。
【0046】
このように、本実施例に係る通過人数計測装置10では、K平均法を実行する際に必要となる目標クラスタ数Kを複雑な演算なしに簡単に決定することができる。このため、通過人数計測装置10によれば、エルボー法等の既知の手法により目標クラスタ数Kを決定する場合に比べて、軽い処理負担で検知エリアAに関するエリア画像Pから人を認識することができる。
【0047】
[変形例]
以上、本発明に係る人数計測装置の実施例について説明してきたが、本発明の構成はこれに限定されるものではない。
【0048】
例えば、通過人数計測装置10は、商業施設以外の各種施設や各種乗物の出入口付近等に設けられた検知エリアAを通過した人を計測してもよい。
【0049】
また、通過人数計測装置10の取り付け場所は、壁面であってもよい。
【0050】
また、通過人数計測装置10は、設定部13、外部インタフェース部14、音声出力部15および発光部16の全部または一部を備えていなくてもよい。
【0051】
また、通過人数計測装置10は、差画像生成部21(および記憶部12)を備えていなくてもよい。この場合、制御部20は、熱画像生成部11が生成した熱画像自体をエリア画像Pとして使用することができる。
【0052】
また、通過人数計測装置10は、熱画像生成部11、記憶部12および差画像生成部21の代わりに、人の存在を示唆する画素を有するエリア画像Pを生成することができる既知のエリア画像生成手段を備えていてもよい。このような手段としては、例えば、距離画像センサを挙げることができる。距離画像センサを使用した場合は、床200よりも高いことを示している画素が「人(検知エリアAを通過中の歩行者W1,W2)の存在を示唆する画素」となる。
【0053】
また、通過人数計測装置10の目標クラスタ数決定部22は、人の存在を示唆する画素の数が予め設定した閾値(例えば、3個)を超えている場合に判定結果を「有」とし、それ以外の場合に判定結果を「無」としてもよい。つまり、本発明の「人の存在を示唆する画素の有無の判定」には、0個であるか否かの判定だけでなく、閾値を超えているか否かの判定も含まれる。
【0054】
また、通過人数計測装置10のクラスタリング部23は、目標クラスタ数決定部22によって決定された目標クラスタ数Kが予め設定した最大クラスタ数Kmaxを超えている場合は、エリア画像P全体に含まれる人の存在を示唆する複数の画素をK個ではなくKmax個のクラスタに分割し、それぞれの重心位置を求めるよう構成されていてもよい。検知エリアA内に同時に存在することができる歩行者W1,W2の人数は、当該検知エリアAの大きさに依存する。例えば、検知エリアAの大きさが4m×3mである場合は、検知エリアA内に同時に存在することができる歩行者W1,W2の最大人数は9名程度であると考えられるので、最大クラスタ数Kmaxを9に設定すればよい。こうすることで、クラスタリング部23の処理負担の軽減を図ることができる。すなわち、10~25の範囲の大きすぎるクラスタ数Kを使用してクラスタリングが行われるのを防ぐことができる。
【0055】
また、エリア画像Pを構成する画素の数(2700個)およびセルの数(25個)は単なる一例である。
【符号の説明】
【0056】
10 通過人数計測装置
11 熱画像生成部
12 記憶部
13 設定部
14 外部インタフェース部
15 音声出力部
16 発光部
20 制御部
21 差画像生成部
22 目標クラスタ数決定部
23 クラスタリング部
24 計測部
100 天井
200 床
P エリア画像
W1,W2 歩行者
図1
図2
図3
図4
図5