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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039754
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】修繕提案書作成方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20240315BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144351
(22)【出願日】2022-09-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】504303458
【氏名又は名称】イオンディライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】尾形 曜
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 輝
(72)【発明者】
【氏名】吉水 智也
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】不具合等の発見の報告を修繕の提案に有効に利用し、設備機器の不具合や事故のリスクを低減することを可能とする修繕提案書作成方法を提供することを目的としている。
【解決手段】互いにネットワーク(N)で接続された、報告者端末(2)と、修繕提案書作成者端末(4)と、施設に設置される複数の機器の機器詳細情報を記憶するサーバ(1)と、を用いて、施設に設置される機器に不具合等を発見したときに、報告者端末(2)からサーバ(1)へ不具合等情報を送信し、サーバ(1)はそれに基づき修繕提案書を作成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いにネットワークで接続された、報告者端末と、修繕提案書作成者端末と、施設に設置される複数の機器の機器詳細情報を記憶するサーバと、を用いて、修繕提案書を作成する修繕提案書作成方法であって、
前記サーバが、前記報告者端末から、不具合または事故を生じた機器を特定する機器特定情報を含む不具合等情報を受け付ける工程と、
前記サーバが、前記不具合等情報に基づき、不具合または事故を生じる可能性がある機器を前記複数の機器の機器詳細情報から抽出する工程と、
前記サーバが、前記抽出した機器を修繕対象とする修繕提案書を、前記修繕提案書作成者端末の表示部に表示する工程と、
を含んでなる、修繕提案書作成方法。
【請求項2】
さらに、前記サーバが、展開対象とする前記不具合等情報の指定を受け付ける工程を含み、
前記サーバは、前記展開対象と指定された不具合等情報に基づき、不具合または事故を生じる可能性がある機器を前記複数の機器の機器詳細情報から抽出してなる、請求項1に記載の修繕提案書作成方法。
【請求項3】
さらに、前記サーバが、計画修繕提案書を作成する工程を含み、
前記計画修繕提案書は、前記修繕提案書にて修繕対象とされた機器であって、修繕がされなかった機器を、修繕対象として含んでなる、請求項1に記載の修繕提案書作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、修繕提案書作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル等の施設に設置される電気設備、空調設備、給排水設備、昇降設備等の各種設備機器に不具合や事故が生じると、施設の安全な運営に支障をきたすことがあるため、日常的に点検がなされる。そして、不具合や事故が発見された際に、特許文献をあげることはできないが、報告書が作成される。報告書には、日付、場所、設備機器を特定する管理番号、不具合や事故の詳細等が記録される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、このような報告書は、不具合や事故の内容の記録として以外、有効に利用することは進んでいない。
【0004】
一方、上記のような各種設備機器の不具合や事故は、施設の安全な運営に影響を与える場合もあるから、設備機器が不具合や事故を生じる前に補修・取替等し、設備機器の不具合や事故のリスクを低減することが求められる。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、不具合や事故の発見の報告を修繕の提案に有効に利用し、設備機器の不具合や事故のリスクを低減することを可能とする修繕提案書作成方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0007】
請求項1に記載の、修繕提案書作成方法は、
互いにネットワーク(例えば図1に示すネットワークN)で接続された、報告者端末(例えば図1に示す報告者端末2)と、修繕提案書作成者端末(例えば図1に示す修繕提案書作成者端末4)と、施設に設置される複数の機器の機器詳細情報(例えば図2に示す機器詳細情報テーブルtbl_K)を記憶するサーバ(例えば図1に示すサーバ1)と、を用いて、修繕提案書(例えば図6に示す修繕提案書7A1、7A2、図10(b)に示す修繕提案書9)を作成する修繕提案書作成方法であって、
前記サーバ(例えば図1に示すサーバ1)が、前記報告者端末(例えば図1に示す報告者端末2)から、不具合または事故を生じた機器を特定する機器特定情報(例えば図3(a)に示す不具合等テーブルtbl_Fの機器管理番号tbl_Fe)を含む不具合等情報(例えば図3(a)に示す不具合等テーブルtbl_Fの機器管理番号tbl_Fe、認知日/作業日tbl_Fd、事象tbl_Ff)を受け付ける工程(例えば図4に示すステップS1、S2)と、
前記サーバ(例えば図1に示すサーバ1)が、前記不具合等情報(例えば図3(a)に示す不具合等テーブルtbl_Fの機器管理番号tbl_Fe、認知日/作業日tbl_Fd、事象tbl_Ff)に基づき、不具合等を生じる可能性がある機器を前記複数の機器の機器詳細情報(例えば図2に示す機器詳細情報テーブルtbl_K)から抽出する工程(例えば図4に示すステップS6)と、
前記サーバ(例えば図1に示すサーバ1)が、前記抽出した機器を修繕対象とする修繕提案書(例えば図6に示す修繕提案書7A1、7A2、図10(b)に示す修繕提案書9)を、前記修繕提案書作成者端末(例えば図1に示す修繕提案書作成者端末4)の表示部に表示する工程(例えば図4に示すステップS7、S8)と、
を含んでなることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の、修繕提案書作成方法は、上記請求項1に記載の、修繕提案書作成方法において、前記サーバ(例えば図1に示すサーバ1)が、展開対象とする前記不具合等情報(例えば図3(a)に示す不具合等テーブルtbl_Fの機器管理番号tbl_Fe、認知日/作業日tbl_Fd、事象tbl_Ff)の指定を受け付ける工程(例えば図4に示すステップS3、S4)をさらに含み、
前記サーバ(例えば図1に示すサーバ1)は、前記展開対象と指定された不具合等情報(例えば図3(a)に示す不具合等テーブルtbl_Fの展開対象IDtbl_Fgに番号が付与されている不具合等情報)に基づき、不具合または事故を生じる可能性がある機器を前記複数の機器の機器詳細情報(例えば図2に示す機器詳細情報テーブルtbl_K)から抽出してなることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の、修繕提案書作成方法は、上記請求項1に記載の、修繕提案書作成方法において、前記サーバ(例えば図1に示すサーバ1)が、計画修繕提案書(例えば図9に示す計画修繕提案書8A1、8A2)を作成する工程(例えば図7に示すステップSS2~SS5)をさらに含み、
前記計画修繕提案書(例えば図9に示す計画修繕提案書8A1、8A2)は、前記修繕提案書(例えば図6に示す修繕提案書7A1、7A2、図10(b)に示す修繕提案書9)にて修繕対象とされた機器であって、修繕がされなかった機器(例えば図3(b)に示すレコードtbl_Td)を修繕対象として含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0011】
請求項1に係る発明によれば、従来は有効に利用されていなかった不具合等の報告を有効に利用し、今後不具合等を生じる可能性がある機器を予め修繕し、機器の不具合や事故のリスクを低減することができる。
【0012】
より具体的に説明すると、電気機器が、異常発火するという不具合等を起こしたとする。この場合、発火の原因が、機器の構造上の理由である場合、同じ型番の機器や、同じメーカーの機器についても、同内容の不具合等が生じる可能性がある。さらには、発火の原因が耐用年数の超過である場合、耐用年数を超過する他の電気機器も、同内容の不具合等を生じる可能性がある。このように、不具合等を起こした機器と同様の条件を備える他の機器に、同内容の不具合等が生じる可能性がある。
【0013】
このため、請求項1に係る発明によれば、サーバ1は、報告者端末2から受信した不具合等情報(例えば図3(a)に示す不具合等テーブルtbl_Fの機器管理番号tbl_Fe、認知日/作業日tbl_Fd、事象tbl_Ff)に基づき、型番やメーカー等、不具合等を生じた機器と同様の条件を備える他の機器を、今後不具合等を生じる可能性がある機器として、機器詳細情報テーブルtbl_K(図2参照)から抽出する。そして、それら抽出した機器を修繕対象とする修繕提案書(例えば図6に示す修繕提案書7A1、7A2、図10(b)に示す修繕提案書9)を作成する。
【0014】
このようにすれば、報告された不具合等と同様の不具合が、今後生じる可能性を低減することができる。
【0015】
すなわち、従来は有効に利用されていなかった不具合等の報告を有効に利用し、今後不具合等を生じる可能性がある機器を予め修繕し、機器の不具合や事故のリスクを低減することができる。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、すべての不具合等情報(例えば図3(a)に示す不具合等テーブルtbl_Fの機器管理番号tbl_Fe、認知日/作業日tbl_Fd、事象tbl_Ff)について修繕提案書(例えば図6に示す修繕提案書7A1、7A2、図10(b)に示す修繕提案書9)を作成せず、展開対象とされた不具合等情報(例えば図3(a)に示す不具合等テーブルtbl_Fのレコードtbl_Fo)についてのみ、修繕提案書(例えば図6に示す修繕提案書7A1、7A2、図10(b)に示す修繕提案書9)を作成するため、修繕提案書(例えば図6に示す修繕提案書7A1、7A2、図10(b)に示す修繕提案書9)の作成の負担を軽減することができる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、修繕対象として修繕提案書に掲載されたが、修繕がされなかった機器(例えば図3(b)に示すレコードtbl_Td)を、計画修繕提案書(例えば図9に示す計画修繕提案書8A1、8A2)においては修繕対象とすることから、修繕されず放置されている機器について、改めて修繕の提案を行うことができる。よって、より効果的に、機器の不具合や事故のリスクを低減することができる計画修繕提案書(例えば図9に示す計画修繕提案書8A1、8A2)を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る修繕提案書作成システムの一実施形態を示すブロック図である。
図2図1のサーバに格納されている、機器詳細情報テーブルを示す図である。
図3図1のサーバに格納されているデータテーブルを示す図であって、(a)は不具合等テーブルtbl_F、(b)は対応記録テーブルtbl_Tを示す。
図4】本実施形態による修繕提案書作成システムにより、修繕提案書を作成する方法を示すフローチャートである。
図5】修繕提案書の作成にあたり、図1の修繕提案書作成者端末の表示部に表示される対象設備検索画面である。
図6】本実施形態において作成される修繕提案書を示す図である。
図7】本実施形態による修繕提案書作成システムにより、修繕計画を作成する方法を示すフローチャートである。
図8】計画修繕提案書の作成にあたり、図1の修繕提案書作成者端末の表示部に表示される対象設備検索画面である。
図9】本実施形態において作成される修繕計画提案書を示す図である。
図10】本発明の一実施形態の別の実施形態を説明する図であって、(a)は不具合等テーブルtbl_F2、(b)は修繕提案書9を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る修繕提案書作成方法を使用した、修繕提案書作成システムの一実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0020】
<全体システムの説明>
本実施形態においては、図1に示すように、サーバ1と、報告者端末2と、展開対象指定者端末3と、修繕提案書作成者端末4と、がネットワークNを介して接続されている。なお、本実施形態においては、修繕提案書作成システムは、施設の所有者から施設の管理を委託される施設管理会社が使用する。この施設管理会社は、関東支社と関西支社を有し、各支社が、所定地域に属する施設を管理している。また、支社ごとに報告者端末2、及び展開対象指定者端末3が配置されている。一方、修繕提案書作成者端末4は施設管理会社本社に配置されている。
【0021】
<サーバの説明>
サーバ1は、図1に示すように、各種のデータを処理する制御部10と、無線LAN,有線LAN,ダイヤルアップ等の通信手段でネットワークNに接続が可能な通信部11と、データベース12と、で構成されている。
【0022】
データベース12には、図2に示す機器詳細情報テーブルtbl_K、図3(a)に示す不具合等テーブルtbl_F、図3(b)に示す対応記録テーブルtbl_Tが記憶されている。
【0023】
まず、図2に示す機器詳細情報テーブルtbl_Kは、施設管理会社(図1参照)が管理する施設に設置されている機器の詳細情報を記憶するものである。より具体的には、いずれの支社が管理する施設の機器であるかを示す支社tbl_Kaと、機器が稼働中であるか否かを示す稼働状況tbl_Kbと、機器を一意的に特定する番号を示す機器管理番号tbl_Kcと、機器の種類を示す設備種類tbl_Kdと、機器を施設に設置した時期を示す設置年月tbl_Keと、機器が設置される施設を示す施設情報tbl_Kfと、機器の製造元を示すメーカーtbl_Kgと、機器の製造された時期を示す製造年月tbl_Khと、機器の型番である型番tbl_Kiと、機器の系統用途を示す系統用途tbl_Kjと、機器の設置場所を示す屋内屋外tbl_Kkと、機器の法定耐用年数である法定耐用年数tbl_Klと、が含まれる。
【0024】
なお、機器とは、商業施設やオフィスビル等の施設に設置された、電気設備、空調設備、給排水設備、昇降設備等の各種設備機器が含まれる。
【0025】
次に、図3(a)に示す不具合等テーブルtbl_Fは、報告者端末2から受信する不具合等情報と、当該不具合等情報が展開対象であるか否かと、及び、当該不具合等情報が展開済みであるか否かと、を記憶するものである。
【0026】
ここで、機器の不具合等とは、機器の不具合、および機器の事故を含む。機器の不具合とは、機器の性能・機能が初期の水準あるいは実用上支障のない状態を下回るが、施設の運営に支障のない程度の、機器の不良な状態を意味する。一例を挙げると、機器の破損、停止または異常運転、センサの計測値が異常であること、等を含む。機器の事故とは、機器の状態が、施設の運営に支障を生じるような不良な状態に陥ったことをいう。例えば、発火、漏電等が含まれる。機器の事故は、機器の不具合を放置した結果生じることが多いが、それに限定されない。
【0027】
なお、機器の不具合等は、展開可能な不具合等、展開不可能な不具合等に分類される。展開可能な不具合等とは、「当該不具合等を生じた機器と同様の条件を備える他の機器は、当該不具合等と同内容の不具合を生じる可能性がある」と予測できるような不具合をいう。例えば、機器の構造上の理由により生じたセンサの計測値の異常、電気機器の発火などは、展開可能な不具合等である。本実施形態においては、展開可能な不具合等のみが、サーバ1に通知されるものとする。
【0028】
一方、強風により飛来物が衝突したことにより機器が破損するようなケースは、当該不具合等を生じた機器と同様の条件を備える他の機器は、当該不具合等と同内容の不具合(飛来物の衝突による破損)が生じる可能性がある、とは予測できないため、展開不可能な不具合等である。展開不可能な不具合等は、サーバ1に通知されないものとする。
【0029】
また、不具合等情報が展開対象であるとは、当該不具合等情報に基づき、同内容の不具合が生じる可能性がある機器を予測して、それら機器の修繕を提案するための修繕提案書を作成する、と指定されたことを意味する。すなわち、サーバ1に通知された展開可能な不具合等情報のうち、一部が展開対象に指定される。
【0030】
図3(a)に示す不具合等テーブルtbl_Fの説明に戻る。図3(a)に示す不具合等テーブルtbl_Fは、まず、報告者端末2から受信した不具合等情報を記憶する際に、自動的に付与される不具合等IDtbl_Faと、不具合等が発見された施設を管理する支社tbl_Fbと、不具合等が発見された施設を示す施設情報tbl_Fcと、不具合等が発見された日を示す認知日/作業日tbl_Fdと、機器を一意的に特定する番号を示す機器管理番号tbl_Feと、不具合等の説明を示す事象tbl_Ffと、を含む。これらのフィールドには、報告者端末2から受信する不具合等情報が記憶される(図4に示すステップS2参照)。
【0031】
さらに、この不具合等テーブルtbl_Fは、この不具合等が、展開対象と判断された場合に付与される展開対象IDtbl_Fgを含む。このフィールドは、報告者端末2から受信した不具合等情報を記憶するときには何も記憶されない。そして、この不具合等情報が、展開対象に指定された際(図4に示すステップS4参照)、すなわち、当該不具合等情報に基づき、同内容の不具合が生じる可能性がある機器を予測して、それら機器の修繕を提案するために、修繕提案書を作成すると指定された際に、一意な値(ID)が採番され記憶される。
【0032】
さらに、この不具合等テーブルtbl_Fは、この不具合等情報が、展開済み(当該不具合等情報に基づき、修繕提案書を作成済み)であることを記憶するステータスtbl_Fhを含む。このフィールドは、報告者端末2から受信した不具合等情報を記憶するときには何も記憶されない。そして、この不具合等情報に基づき、修繕提案書が作成された際(図4に示すステップS7参照)、「展開済み」が記録される。
【0033】
図3(b)に示す対応記録テーブルtbl_Tは、修繕提案書にて修繕対象とされた機器が、修繕がされたか否かを記録する。これについては、詳しくは後述する。
【0034】
<報告者端末、展開対象指定者端末、修繕提案書作成者端末の説明>
報告者端末2は、iphone(登録商標)等のスマートフォンや携帯電話又はPC(Personal Computer)等で構成されてなるもので、図1に示すように、CPU20と、マウスやキーボード、タッチパネル、或いは、USBコネクタ、Lightningコネクタ等を用いて外部から所定データを報告者端末2に入力することができる入力部21と、所定のアプリケーションプログラム等を格納した書込み可能なフラッシュROM等からなるROM22と、作業領域やバッファメモリ等として機能するRAM23と、種々の画像を表示可能な表示部24と、無線LAN,有線LAN,ダイヤルアップ等の通信手段でネットワークNに接続が可能な通信部25と、で構成されている。
【0035】
そして、展開対象指定者端末3、修繕提案書作成者端末4も、iphone(登録商標)等のスマートフォンや携帯電話又はPC(Personal Computer)等で構成されてなり、報告者端末2と同様に、CPU、入力部、ROM、RAM、表示部、通信部を備える。
【0036】
本実施形態に係る修繕提案書作成システムは、上記のような構成からなる。そして、施設に設置された機器に不具合等が生じた場合に、報告者端末2によりサーバ1に不具合等情報が送信され、サーバ1はその不具合等情報を不具合等テーブルtbl_F(図3(a)参照)に記録する。さらに、記録された不具合等情報のうち、展開対象指定者端末3により展開対象と指定された不具合等情報に基づいて、型番やメーカーなどの条件から同様の不具合等が生じ得ると予測できる機器を機器詳細情報テーブルtbl_K(図2参照)から抽出し、修繕提案書7A1、7A2(図6参照)を作成し、修繕提案書作成者端末4(図1参照)に表示させるものである。
【0037】
<修繕提案書作成システムの使用方法>
次に、上記のような修繕提案書作成システムにて修繕提案書を作成する方法について、図4を参照して具体的に説明する。なお、以下の内容はあくまで一例であり、これに限定されるものではない。
【0038】
まず、施設において機器の不具合等を発見した者が、報告者端末2を用いて、不具合等情報を送信する(ステップS1)。ここでは、図2の機器詳細情報テーブルtbl_Kに示すレコードtbl_Koの機器が、不具合等を生じたものとする。不具合等の発見者は、発見した不具合等が展開可能なものであると判断し、報告者端末2(図1参照)を用いて、不具合等の情報を送信する。具体的には、発見者は、入力部21を用いて、不具合等を発見した日付(例えば「2021/10/15」)、機器を一意的に特定する番号(例えば「N8326」)、発見した不具合等の詳細(例えば「発火により変形」)を入力する。報告者端末2は、通信部25を用いてネットワークNを介してサーバ1に送信する。
【0039】
次に、サーバ1は、通信部11を介して報告者端末2からの不具合等情報を受信し、これをデータベース12に記憶する(ステップS2)。具体的には、図3(a)に示す不具合等テーブルtbl_Fの、不具合等IDtbl_Faには一意な値(例えば「100917」)を採番して付与し、認知日/作業日tbl_Fdに「2021/10/15」を、機器管理番号tbl_Feに「N8326」を、事象tbl_Fgに「発火により変形」を、それぞれ記憶する。なお、支社tbl_Fb、施設情報tbl_Fcは、報告者端末2から受信することとしてもよいし、機器詳細情報テーブルtbl_K(図2参照)を参照し、機器管理番号tbl_Fe「N8326」によりレコードtbl_Koを特定して、「関東支社」「施設E」を記憶してもよい。
【0040】
なお、展開対象IDtbl_Fgとステータスtbl_Fhは、このとき、何も記憶されていない。
【0041】
次に、展開対象指定者端末3は、不具合等の展開対象の指定を送信する(ステップS3)。具体的には、まず、不具合等の展開対象の指定を許可された関東支社(図1参照)の従業員が、展開対象指定者端末3を用いて、サーバ1に従業員IDとパスワードなどを用いてログインする。なお、ログインは、不具合等テーブルtbl_Fに不具合等が記録されたことの通知をサーバ1から受けた際に、あるいは定期的に、行えばよい。
【0042】
サーバ1は、ログインした従業員が不具合等の展開対象の指定を許可された者であるため、図3(a)の不具合等テーブルtbl_Fを、展開対象指定者端末3の図示しない表示部に表示させる。従業員は、事象tbl_Fgなどを確認したうえで、展開対象指定者端末3の図示しない入力部を用いて、不具合等IDtbl_Faが「100917」であるレコードtbl_Foは展開対象とすると指定する旨を入力する。
【0043】
そして、展開対象指定者端末3は、サーバ1に、不具合等IDtbl_Faが「100917」であるレコードtbl_Foは展開対象と指定した旨を送信する。
【0044】
なお、不具合等の展開対象を送信する処理(ステップS3)、及びそれを記憶する処理(ステップS4)はなくても良い。すなわち、ステップS1において送信され、ステップS2においてサーバ1が具合テーブルtbl_Fに記憶した不具合等情報の全てについて、不具合等を生じる可能性がある機器を抽出し、修繕提案書に掲載してもよい。しかしながら、展開対象と指定された不具合等についてのみ、不具合等を生じる可能性がある他の機器を抽出すれば、修繕提案書の作成の負担を軽減することができる。
【0045】
次に、不具合等IDtbl_Faが「100917」であるレコードtbl_Foは展開対象との指定を受信したサーバ1は、データベース12の不具合等テーブルtbl_Fに、その旨の記憶する(ステップS4)。具体的には、図3(a)に示す不具合等テーブルtbl_Fの、不具合等IDtbl_Faが「100917」であるレコードtbl_Foを参照し、展開対象IDtbl_Fiに番号(例えば「0000105」)を付与する。
【0046】
なお、サーバ1は、レコードtbl_Fpは展開対象との通知を受信しないため、当該レコードの展開対象IDtbl_Fgには番号は付与しない。
【0047】
次に、修繕提案書作成者端末4から修繕提案書作成の指示を行う(ステップS5)。
【0048】
具体的には、まず、修繕提案書の作成を許可された施設管理会社の本社(図1)の従業員が、修繕提案書作成者端末4を用いて、サーバ1に従業員IDとパスワードなどを用いてログインする。サーバ1は、ログインした従業員が修繕提案書の作成を許可された者であるため、修繕提案書作成者端末4に図5に示す対象設備検索画面5を表示させる。なお、ログインは、不具合等テーブルtbl_Fに展開対象とされる不具合等が記録されたことの通知をサーバ1より受けた際に、あるいは定期的に、行うこととすればよい。
【0049】
修繕提案書作成者端末4に表示された図5に示す対象設備検索画面5は、機器詳細情報テーブルtbl_K(図2参照)を一覧リスト6に表示させるための画面である。対象設備検索画面5は、複数の検索キー5a~5lを備え、これら検索キーにより、一覧リスト6に表示する機器詳細情報テーブルtbl_Kを絞りこむこともできる。具体的には、機器が設置される施設を管理する支社を検索キーとするための支社5a、機器が稼働中であるか否かを検索キーとするための稼働状況5b、機器の設置時期を検索キーとするための設置年月5c、機器の法定耐用年数を検索キーとするための法定耐用年数5d、機器の製造元を検索キーとするためのメーカー5e、機器の型番を検索キーとするための型番5f、機器の型式を検索キーとするための型式5g、機器の製造時期を検索キーとするための製造年月5h、機器の系統・用途を検索キーとするための系統・用途5i、機器の種別を検索キーとするための設備種類5j、機器が設置される場所を検索キーとするためのセクション5kおよびサブセクション5lを備える。
【0050】
このような対象設備検索画面5において、図5に示すとおり、支社5aに「関西」、稼働状況5bに「稼働中」を入力し、検索ボタン5mをクリックすると、サーバ1は、機器詳細情報テーブルtbl_Kを、支社tbl_Kaが「関西(支社)」、稼働状況tbl_Kbが「稼働中」である機器をリストアップし、修繕提案書作成者端末4に送信し、一覧リスト6を修繕提案書作成者端末4の表示部に表示させる。
【0051】
なお、図5に示す一覧リスト6は、機器詳細情報テーブルtbl_Kのうち、支社tbl_Kaが「関西(支社)」、稼働状況tbl_Kbが「稼働中」である機器の一覧を表示するにすぎず、不具合等を生じる可能性がある機器が抽出された状態ではない。
【0052】
そして、施設管理会社の本社(図1)の従業員が、修繕提案書作成者端末4の図示しない入力部を用いて、展開対象出力ボタン6Aをクリックすることにより、サーバ1に対し修繕提案書の作成を指示する。これにより、修繕提案書作成者端末4は、サーバ1に、修繕提案書の作成指示とともに、支社5aに「関西」、稼働状況5bに「稼働中」が入力されていることを送信する。
【0053】
次に、修繕提案書の指示を通信部11を介して検知したサーバ1は、一覧リスト6に表示された機器の中から、不具合等を生じる可能性がある機器を抽出する(ステップS6)。具体的には、不具合等テーブルtbl_F(図3(a)参照)を参照する。そして、レコードtbl_Foの展開対象IDtbl_Fgに番号が付与されていることから、レコードtbl_Foは展開対象の不具合等であると認識する。そのため、機器管理番号tbl_Feに記録されている「N8326」を、図2に示す機器詳細情報テーブルtbl_Kにて検索する。これにより、レコードtbl_Koが特定される。
【0054】
そこで、サーバ1は、レコードtbl_Koの型番tbl_Kiが「00119300」であることより、型番tbl_Kiが「00119300」であるレコードを、図2に示す機器詳細情報テーブルtbl_Kにて検索する。これにより、レコードtbl_Kpおよびレコードtbl_Kqが特定される。
【0055】
また、サーバ1は、レコードtbl_Koのメーカーtbl_Kgが「●電機」であることより、メーカーtbl_Kgが「●電機」であるレコードを、図2に示す機器詳細情報テーブルtbl_Kにて検索する。これにより、レコードtbl_Kpおよびレコードtbl_Kqに加え、レコードtbl_Krが特定される。
【0056】
上記のようにして、サーバ1は、不具合等を生じる可能性がある機器として、レコードtbl_Kp、レコードtbl_Kq、レコードtbl_Krの3件のレコードを抽出する。
【0057】
なお、不具合等を生じる可能性がある機器を特定する条件は、上記に限られない。例えば、レコードtbl_Koの設備種類tbl_Kd(照明)、製造年月tbl_Kh(2010年1月)、および法定耐用年数tbl_Kl(10年)により、レコードtbl_Koの機器は耐用年数を超過している照明とわかる。そこで、法定耐用年数を超過している照明を、図2に示す機器詳細情報テーブルtbl_Kにて検索し、機器管理番号tbl_Kcが「578」の機器を抽出してもよい。
【0058】
なお、サーバ1は、修繕提案書作成者端末4から修繕提案書作成の指示を受信した際に、支社5aに「関西」、稼働状況5bに「稼働中」が入力されていることも、受信している。そのため、上記の検索を実行するにあたり、サーバ1は、機器詳細情報テーブルtbl_Kから、支社が「関西」でないレコードや、稼働状況が「稼働中」でないレコードは予め検索対象から排除する。
【0059】
次に、サーバ1は、上記の通り抽出した不具合等を生じる可能性がある機器を掲載した修繕提案書を作成し、修繕提案書作成者端末4に送信する(ステップS7)。具体的には、提案書の提出先ごとに、図6に示すように、施設Aへの修繕提案書7A1と、施設Cへの修繕提案書7A2を作成する。
【0060】
すなわち、サーバ1は、まずデータベース12に記憶している修繕提案書のテンプレート(図示せず)を読み出す。次に、サーバ1は、先程抽出したレコードtbl_Kq、レコードtbl_Krの施設情報tbl_Kf(図2参照)が「施設A」であることから、図6に示すように、修繕提案書のテンプレートの宛先7aに「施設A 様」と記入する。そして、先程図2に示す機器詳細情報テーブルtbl_Kから抽出したレコードtbl_Kq、レコードtbl_Krの機器管理番号等をリスト7bのように記入する。
【0061】
なお、リスト7bを記入するにあたり、サーバ1は、修繕の要請がより高いレコードtbl_Kqの情報7b1をリストの上位に記入する(あるいは、図示しないが、修繕の要請がより高いレコードtbl_Kqの情報7b1を太字で示しても良い)。すなわち、レコードtbl_Kqの機器は屋外に設置されている(図2に示すレコードtbl_Kqの屋内屋外tbl_Kk参照)。一般的に、屋外に設置される機器は劣化が早いと考えられるため、修繕の要請は高いと考えられる。このため、リスト7bでは、レコードtbl_Kqの情報7b1は上位に記入される。このようにして、機器の属性より記入方法を決定すれば、修繕の要請がより高い機器が着目されやすいことが期待できるから、より効果的に、機器の不具合や事故のリスクを低減することができる。
【0062】
なお、修繕に係る費用の見積書(図示せず)を同時に作成し、その見積番号を見積書番号欄7cに記載するようにしてもよい。
【0063】
同様にして、機器詳細情報テーブルtbl_Kの残りのレコードtbl_Kpについても、修繕提案書7A2を作成する。
【0064】
そして、サーバ1は、上記のようにして作成した修繕提案書7A1、7A2を、通信部11を介して、修繕提案書作成者端末4に送信することとなる。
【0065】
このとき、サーバ1は、データベース12に格納する不具合等テーブルtbl_Fのレコードtbl_Foの、ステータスtbl_Fhを「展開済み」と記録する。
【0066】
さらに、修繕提案書を作成した後に、修繕がされたかどうかを記録する対応記録テーブルtbl_Tに、修繕提案書7A1、7A2に修繕対象として記入した3つの機器「44SSA」「831」「833」に対応する3つのレコードを作成する。具体的には、それら3つのレコードの展開対象IDtbl_Taには展開対象IDtbl_Fi「0000105」を、機器管理番号tbl_Tbには機器「44SSA」「831」「833」を記録する。そして、いずれのレコードにも、進捗tbl_Tcには「未対応」を記録する。
【0067】
なお、修繕提案書7A1、7A2を用いて施設管理会社から顧客に修繕が提案された後、機器「44SSA」「831」「833」に修繕がされた際には、対応する機器の進捗tbl_Tcを「未対応」から「修繕完了」に更新することとなる。
【0068】
なお、この対応記録テーブルtbl_Tは、後述の通り、計画修繕提案書を作成する際に参照される。
【0069】
次に、修繕提案書作成者端末4は、サーバ1より受信した修繕提案書7A1、7A2を、その表示部(図示せず)に表示する(ステップS8)。そして、施設管理会社の本社(図1)の従業員が、修繕提案書作成者端末4に表示される修繕提案書7A1、7A2を確認した後、修繕提案書作成者端末4を用いて修繕提案書7A1、7A2を修繕提案書作成者端末4に保存する、あるいは印刷するなどして、修繕提案書の作成が完了することとなる。
【0070】
以上のことより、本実施形態によれば、まず、報告者端末2からサーバ1に送信される不具合等情報を、不具合等テーブルtbl_F(図3(a)参照)に登録する。そして、登録された不具合等情報のうち展開対象と指定されたものに基づき、型番やメーカー等、不具合等を生じた機器と同様の条件を備える他の機器を、今後不具合等を生じる可能性がある機器として機器詳細情報テーブルtbl_K(図2参照)から抽出する。そして、それら抽出した機器を修繕対象とする修繕提案書7A1、7A2(図6参照)を作成することができる。このため、従来は有効に利用されていなかった不具合等の報告を有効に利用し、今後不具合等を生じる可能性がある機器を予め修繕し、機器の不具合や事故のリスクを低減することができる。
【0071】
なお、次のようにすれば、図4に示すステップS3、ステップS5を省略しても、報告者端末2によりサーバ1に送信される不具合等情報に基づき、今後不具合等を生じる可能性がある機器を予め修繕し、機器の不具合や事故のリスクを低減する、という同一の作用効果を発揮させることができる。
【0072】
まず、サーバ1は、ステップS2にて記憶する不具合等情報の事象tbl_Ffに、所定の文字(例えば「発火」)が含まれていたら、展開対象に指定する旨の設定を、予めデータベース12に記憶しておく。このようにすれば、ステップS2にて不具合等情報を不具合等テーブルtbl_Fに記憶する際、事象tbl_Ffに、所定の文字が含まれていたら、展開対象に指定し、不具合等テーブルtbl_Fに、その旨の記憶する処理(ステップS4)を行うことができる。
【0073】
このようにすれば、ステップS3にて展開対象指定者端末3が展開対象を送信するステップを省略しても、本発明を実施することができる。
【0074】
また、サーバ1は、ステップS2にて不具合等情報を記憶したのち、あるいは、定期的に、自動的に不具合等を生じる可能性がある機器を抽出する処理(ステップS6)を開始することとしても良い。
【0075】
このようにすれば、ステップS5にて修繕提案書作成者端末4から修繕提案書作成を指示するステップを省略しても、本発明を実施することができる。
【0076】
ところで、ビル等の施設は、設備機器の入れ替え等の目的で、一定の期間ごとに計画的に修繕を行う計画修繕が行われる。本発明によれば、より効果的に、設備機器の不具合や事故のリスクを低減することができる計画修繕提案書を作成することができるため、図7をもちいて、以下説明する。
【0077】
まず、サーバ1に対し、計画修繕提案書の作成を指示する(ステップSS1)。具体的には、まず、計画修繕提案書の作成を許可された施設管理会社の本社(図1)の従業員が、修繕提案書作成者端末4を用いて、サーバ1に従業員IDとパスワードなどを用いてログインする。サーバ1は、ログインした従業員が計画修繕提案書の作成を許可された者であるため、修繕提案書作成者端末4に図8に示す対象設備検索画面5を表示させる。
【0078】
図8に示す対象設備検索画面5は、図5に示す対象設備検索画面5とほとんど同じであるが、図5に示す対象設備検索画面5では右下に展開対象出力ボタン6Aが表示されていたのに対し、図8では右下に計画修繕出力ボタン6Bが表示される。
【0079】
図8に示すとおり、支社5aに「関西」、稼働状況5bに「稼働中」を入力し、検索ボタン5mをクリックすると、機器詳細情報テーブルtbl_Kのうち、支社tbl_Kaが「関西(支社)」、稼働状況tbl_Kbが「稼働中」である機器の一覧リスト6が表示される。
【0080】
そして、施設管理会社の本社(図1)の従業員が、修繕提案書作成者端末4の図示しない入力部を用いて、計画修繕出力ボタン6Bをクリックすることにより、サーバ1に対し計画修繕提案書の作成を指示する。これにより、計画修繕提案書の作成指示とともに、支社5aに「関西」、稼働状況5bに「稼働中」が入力されていることが、サーバ1に送信される。
【0081】
次に、計画修繕提案書の作成の指示を通信部11を介して検知したサーバ1は、法定耐用年数を超過した機器を抽出する(ステップSS2)。具体的には、サーバ1は、機器詳細情報テーブルtbl_K(図2参照)を参照する。そして、各レコードの製造年月tbl_Khと法定耐用年数tbl_Klとから、機器管理番号tbl_Kcが「00119296」「00119297」「578」の機器が、法定耐用年数を超過していると判断し、これを抽出する。
【0082】
次に、サーバ1は、修繕提案書にて修繕対象とされた機器であって、修繕がされなかった機器を抽出する(ステップSS3)。具体的には、サーバ1は、修繕提案書を作成した後の対応を記録する対応記録テーブルtbl_T(図3(b)参照)を参照する。そして、レコードtbl_Tdの進捗tbl_Tcが、「未対応」であることから、機器詳細情報テーブルtbl_Kから機器管理番号tbl_Kcが「833」であるレコードtblKqを、修繕提案書にて修繕対象とされた機器であって、修繕がされなかった機器と判断し、抽出する
【0083】
次に、サーバ1は、展開対象でない不具合等情報に基づき機器を抽出する(ステップSS4)。このステップは、修繕提案書を作成するにあたっては展開対象とされなかった不具合等情報についても、計画修繕提案書においては、同様の条件を備える他の機器についての修繕を提案するために行う。具体的には、サーバ1は、不具合等テーブルtbl_F(図3(a)参照)を参照する。そして、レコードtbl_Fpの展開対象IDtbl_Fgに番号が付与されていないことから、レコードtbl_Fpは展開対象でない不具合等情報と認識する。そのため、機器管理番号tbl_Feに記録されている「00119962」を、図2に示す機器詳細情報テーブルtbl_Kにて検索する。これにより、レコードtbl_Ksが特定される。
【0084】
そこで、サーバ1は、レコードtbl_Ksの型番tbl_Kiが「KKY」であることより、型番tbl_Kiが「KKY」であるレコードを、図2に示す機器詳細情報テーブルtbl_Kにて検索する。これにより、レコードtbl_Ktが特定される。
【0085】
なお、サーバ1は、レコードtbl_Ksのメーカーtbl_Kgが「●●企画」であることより、メーカーtbl_Kgが「●●企画」であるレコードを、図2に示す機器詳細情報テーブルtbl_Kにて検索する。しかし、該当するレコードがないため、サーバ1は、不具合等を生じる可能性がある機器として、レコードtbl_Ktのみを抽出する。
【0086】
次に、サーバ1は、上記の通り抽出した機器が掲載された計画修繕提案書を作成し、修繕提案書作成者端末4に送信する(ステップSS5)。具体的には、提案書の提出先ごとに、図9に示すように、施設A、Bへの計画修繕提案書8A1、8A2を作成する。具体的な作成方法は、修繕提案書7A1、7A2とほとんど同じである。
【0087】
すなわち、サーバ1は、まずデータベース12に記憶している計画修繕提案書8A1、8A2のテンプレート(図示せず)を読み出す。次に、サーバ1は、先程抽出したレコードの施設情報tbl_Kf(図2参照)を参照し、「施設A」「施設B」を宛先に各々記入する。さらに、抽出した法定耐用年数超過の機器を8a、8bのように記入し、展開済みだが修繕されていない機器(図2のレコードtblKq)及び修繕提案書が作成されなかった不具合等情報に基づき抽出された機器(図2のレコードtbl_Kt)を、8cのように記入し、する。
【0088】
なお、施設Bの機器で、展開済みだが修繕されていない機器及び修繕提案書が作成されなかった不具合等情報に基づき抽出された機器は抽出されなかった。そのため、計画修繕提案書8A2には、法定耐用年数超過の機器のみが掲載されている。
【0089】
また、修繕に係る費用の見積書(図示せず)を同時に作成し、その見積番号を見積書番号欄8dに記載するようにしてもよい。
【0090】
そして、サーバ1は、上記のようにして作成した計画修繕提案書8A1、8A2を、通信部11を介して、修繕提案書作成者端末4に送信する。
【0091】
次に、修繕提案書作成者端末4は、サーバ1より受信した計画修繕提案書8A1、8A2を、その表示部(図示せず)に表示する(ステップSS6)。そして、施設管理会社の本社(図1)の従業員が、修繕提案書作成者端末4を用いて計画修繕提案書8A1、8A2を修繕提案書作成者端末4に保存する、あるいは印刷するなどして、計画修繕提案書の作成が完了することとなる。
【0092】
以上のことより、本実施形態によれば、不具合等の発見の報告を、計画修繕の対象とする機器の特定に利用することができるから、より効果的に、機器の不具合や事故のリスクを低減することができる計画修繕提案書を作成することができる。
【0093】
なお、本実施形態において示した修繕提案書作成システムは、あくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において種々の変形・変更が可能である。例えば、本実施形態においては、修繕提案書作成システムは、本社や支社を有する施設管理会社により使用されているが、使用者はこれに限定されず、例えば、施設の所有者が使用してもよい。また、本社や支社を備える必要はない。さらに、報告者端末2、展開対象指定者端末3、修繕提案書作成者端末4は、本社や支社に分けて設ける必要はなく、各端末が行う処理はすべて1つの端末により行われても良い。
【0094】
また、本実施形態においては、展開可能な不具合等のみが、サーバ1に通知されるものとしたが、展開可能な不具合等と、展開不可能な不具合等と、の両方がサーバ1に通知されることとしてもよい。その場合、展開可能な不具合等であるか否かを示す情報を、不具合等情報に付加してサーバ1に送信することとしてもよい。
【0095】
また、図3(a)に示す不具合等テーブルtbl_Fに、展開対象IDtbl_Fiのフィールドを設けているが、図10(a)に示す不具合等テーブルtbl_F2ように、展開対象とした理由tbl_Fg2や、不具合等の分類tbl_Fg3を追加して設けてもよい。
【0096】
このようにすれば、複数の不具合等(例えば図10(a)に示すレコードtbl_Foとレコードtbl_Fq)について、各々、不具合等を生じる可能性がある機器を抽出し、1つの修繕提案書(例えば図10(b)に示す修繕提案書9)にまとめて掲載する場合に、展開対象とした理由や不具合等の分類に鑑み、記入順を決定することができる。
【0097】
より具体的に説明すると、例えば、図10(a)に示す不具合等テーブルtbl_Fの不具合等の分類tbl_Fg3について、レコードtbl_Foは「火災」とあり、レコードtbl_Fqは「劣化」とある。また、同テーブルtbl_Fの展開対象とした理由tbl_Fg2について、レコードtbl_Foは「営業支障」とあり、レコードtbl_Fqは「営業可能」とある。これらに鑑みると、営業に支障を生じ、火災に分類されるレコードtbl_Foの不具合等のほうが、修繕の要請が高いと判断できる。
【0098】
そこで、図10(b)に示すように、レコードtbl_Foに基づき抽出された機器の情報9aを上位に掲載することができる。あるいは、図示しないが、情報9aを太字にするなどして目立たせても良い。このように、不具合等の属性より記入方法を決定すれば、修繕の要請がより高い機器が着目されやすいことが期待できるから、より効果的に、機器の不具合や事故のリスクを低減することができる。
【0099】
なお、展開対象とした理由tbl_Fg2や不具合等の分類tbl_Fg3に記憶する情報は、不具合等を発見した者が、報告者端末2を用いて不具合等情報をサーバ1に送信するときに、送信し、サーバ1がこれを各フィールドに記憶しても良い。また、展開対象指定者端末3が、不具合等の展開対象をサーバ1に送信する際に、送信し、サーバ1がこれを各フィールドに記憶しても良い。さらには、サーバ1によって、事象tbl_Fgに所定の文字(例えば「発火」)が含まれていたら、所定の情報(例えば「営業支障」「火災」)を各フィールドに記憶するように、予め設定しておいても良い。
【符号の説明】
【0100】
1 サーバ
2 報告者端末
4 修繕提案書作成者端末
7A1、7A2、9 修繕提案書
8A1,8A2 計画修繕提案書
tbl_K 機器詳細情報テーブル(機器詳細情報)
tbl_F 不具合等テーブル(不具合等情報)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-12-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いにネットワークで接続された、報告者端末と、修繕提案書作成者端末と、施設に設置される複数の機器の機器詳細情報を記憶するサーバと、を用いて、修繕提案書を作成する修繕提案書作成方法であって、
前記サーバが、前記報告者端末から、不具合または事故を生じた機器を特定する機器特定情報を含む不具合等情報を受け付ける工程と、
前記サーバが、前記不具合等情報に基づき、不具合または事故を生じる可能性がある機器を前記複数の機器の機器詳細情報から抽出する工程と、
前記サーバが、前記抽出した機器を修繕対象とする修繕提案書を、前記修繕提案書作成者端末の表示部に表示する工程と、
を含んでなる、修繕提案書作成方法であって、
さらに、前記サーバが、計画修繕提案書を作成する工程を含み、
前記計画修繕提案書は、前記修繕提案書にて修繕対象とされた機器であって、修繕がされなかった機器を、修繕対象として含んでなる、修繕提案書作成方法
【請求項2】
さらに、前記サーバが、展開対象とする前記不具合等情報の指定を受け付ける工程を含み、
前記サーバは、前記展開対象と指定された不具合等情報に基づき、不具合または事故を生じる可能性がある機器を前記複数の機器の機器詳細情報から抽出してなる、請求項1に記載の修繕提案書作成方法
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
請求項1に記載の、修繕提案書作成方法は、
互いにネットワーク(例えば図1に示すネットワークN)で接続された、報告者端末(例えば図1に示す報告者端末2)と、修繕提案書作成者端末(例えば図1に示す修繕提案書作成者端末4)と、施設に設置される複数の機器の機器詳細情報(例えば図2に示す機器詳細情報テーブルtbl_K)を記憶するサーバ(例えば図1に示すサーバ1)と、を用いて、修繕提案書(例えば図6に示す修繕提案書7A1、7A2、図10(b)に示す修繕提案書9)を作成する修繕提案書作成方法であって、
前記サーバ(例えば図1に示すサーバ1)が、前記報告者端末(例えば図1に示す報告者端末2)から、不具合または事故を生じた機器を特定する機器特定情報(例えば図3(a)に示す不具合等テーブルtbl_Fの機器管理番号tbl_Fe)を含む不具合等情報(例えば図3(a)に示す不具合等テーブルtbl_Fの機器管理番号tbl_Fe、認知日/作業日tbl_Fd、事象tbl_Ff)を受け付ける工程(例えば図4に示すステップS1、S2)と、
前記サーバ(例えば図1に示すサーバ1)が、前記不具合等情報(例えば図3(a)に示す不具合等テーブルtbl_Fの機器管理番号tbl_Fe、認知日/作業日tbl_Fd、事象tbl_Ff)に基づき、不具合等を生じる可能性がある機器を前記複数の機器の機器詳細情報(例えば図2に示す機器詳細情報テーブルtbl_K)から抽出する工程(例えば図4に示すステップS6)と、
前記サーバ(例えば図1に示すサーバ1)が、前記抽出した機器を修繕対象とする修繕提案書(例えば図6に示す修繕提案書7A1、7A2、図10(b)に示す修繕提案書9)を、前記修繕提案書作成者端末(例えば図1に示す修繕提案書作成者端末4)の表示部に表示する工程(例えば図4に示すステップS7、S8)と、を含んでなり、
さらに、前記サーバ(例えば図1に示すサーバ1)が、計画修繕提案書(例えば図9に示す計画修繕提案書8A1、8A2)を作成する工程(例えば図7に示すステップSS2~SS5)を含み、
前記計画修繕提案書(例えば図9に示す計画修繕提案書8A1、8A2)は、前記修繕提案書(例えば図6に示す修繕提案書7A1、7A2、図10(b)に示す修繕提案書9)にて修繕対象とされた機器であって、修繕がされなかった機器(例えば図3(b)に示すレコードtbl_Td)を修繕対象として含むことを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
すなわち、従来は有効に利用されていなかった不具合等の報告を有効に利用し、今後不具合等を生じる可能性がある機器を予め修繕し、機器の不具合や事故のリスクを低減することができる。また、修繕対象として修繕提案書に掲載されたが、修繕がされなかった機器(例えば図3(b)に示すレコードtbl_Td)を、計画修繕提案書(例えば図9に示す計画修繕提案書8A1、8A2)においては修繕対象とすることから、修繕されず放置されている機器について、改めて修繕の提案を行うことができる。よって、より効果的に、機器の不具合や事故のリスクを低減することができる計画修繕提案書(例えば図9に示す計画修繕提案書8A1、8A2)を作成することができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】削除
【補正の内容】