(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039803
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】交通事故予防システム、交通事故予防方法、交通事故予防プログラム、端末、及びクラウド装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240315BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20240315BHJP
G08G 1/005 20060101ALI20240315BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20240315BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/13
G08G1/005
G08B25/04 K
G08B21/02
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144433
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】杉本 英司
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5H181
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086AA48
5C086AA51
5C086AA52
5C086BA22
5C086CA08
5C086CA16
5C086CA21
5C086CA25
5C086CB01
5C086CB19
5C086EA13
5C086FA06
5C086FA12
5C086FA15
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA11
5C087AA12
5C087AA16
5C087AA37
5C087AA44
5C087DD03
5C087DD14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG06
5C087GG07
5C087GG08
5C087GG22
5C087GG31
5C087GG36
5C087GG51
5C087GG66
5C087GG70
5H181AA21
5H181BB04
5H181CC27
5H181FF05
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL06
5H181MC07
5H181MC12
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】利用者の危険行動を適切に検出可能な交通事故予防システム、交通事故予防方法、交通事故予防プログラム、端末、及びクラウド装置を提供すること。
【解決手段】本開示に係る交通事故予防システムは、端末1と、クラウド装置2と、を備える交通事故予防システムである。端末1は、検出部11と、端末側送信部12と、位置情報取得部14と、端末側受信部13と、判定部161と、警告部15と、を備える。クラウド装置2は、クラウド装置側受信部21と、閾値決定部231と、記憶部24と、クラウド装置側送信部22と、を備える。各構成要素の動作は明細書に記載の通りである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末と、クラウド装置と、を備える、交通事故予防システムであって、
前記端末が、
少なくとも利用者の加速度を検出する検出部と、
前記検出部が検出した加速度、又は加速度の大きさを示す値を、クラウド装置に送信する端末側送信部と、
前記利用者の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記クラウド装置から、少なくとも前記利用者の加速度に基づいて決定された前記利用者の加速度に関する閾値と、交通事故が発生しやすい危険箇所の位置情報と、を受信する端末側受信部と、
前記利用者の加速度と、前記利用者の位置情報と、前記加速度に関する閾値と、前記危険箇所の位置情報と、に基づいて、前記利用者が危険行動をとっているか否かを判定する判定部と、
前記判定部が、前記利用者が危険行動を取っていると判定した場合、利用者に対して警告を通知する警告部と、を備え、
前記クラウド装置が、
少なくとも前記端末が検出した加速度、又は加速度の大きさを示す値を受信するクラウド装置側受信部と、
受信した前記利用者の加速度に基づいて利用者毎に前記加速度に関する閾値を決定する閾値決定部と、
前記危険箇所の位置情報を記憶する記憶部と、
前記閾値決定部が決定した前記閾値と、前記記憶部が記憶する危険箇所の位置情報と、を前記端末に対して送信するクラウド装置側送信部と、を備える、
交通事故予防システム。
【請求項2】
前記クラウド装置が、前記加速度に関する閾値と、前記危険箇所の位置情報とを、所定の周期毎に、前記端末に対して送信する、
請求項1に記載の交通事故予防システム。
【請求項3】
前記利用者の位置と、前記危険箇所の位置との距離が、所定の距離以下であり、なおかつ、前記利用者の加速度の大きさを示す値が、前記加速度に関する閾値以上である場合に、前記端末が、前記利用者が危険行動をとっていると判定する、
請求項1又は2に記載の交通事故予防システム。
【請求項4】
前記クラウド装置が、前記利用者が軽車両に乗っている場合の前記加速度に関する閾値と、前記利用者が歩行している場合の前記加速度に関する閾値と、を決定し、前記端末に対して送信する、
請求項1又は2に記載の交通事故予防システム。
【請求項5】
前記端末が、外的要因を検出する種々のセンサと接続されるセンサ取り付け部をさらに備え、
前記判定部が、前記センサ取り付け部と接続されたセンサが検出した外的要因に基づいて、前記利用者が危険行動をとっているか否かを判定する、
請求項1又は2に記載の交通事故予防システム。
【請求項6】
前記クラウド装置が、危険箇所の統計情報を記憶する統計情報提供システムに対して、利用者が危険行動をとった地点の位置情報を、当該統計情報の更新データとして送信する、
請求項1又は2に記載の交通事故予防システム。
【請求項7】
端末が、
少なくとも利用者の加速度を検出し、
検出した加速度、又は加速度の大きさを示す値を、クラウド装置に送信し、
前記利用者の位置情報を取得し、
前記クラウド装置から、少なくとも前記利用者の加速度に基づいて決定された前記利用者の加速度に関する閾値と、交通事故が発生しやすい危険箇所の位置情報と、を受信し、
前記利用者の加速度と、前記利用者の位置情報と、前記加速度に関する閾値と、前記危険箇所の位置情報と、に基づいて、前記利用者が危険行動をとっているか否かを判定し、
前記利用者が危険行動を取っていると判定した場合、利用者に対して警告を通知し、
前記クラウド装置が、
少なくとも前記端末が検出した利用者の加速度を受信し、
受信した前記利用者の加速度に基づいて利用者毎に前記加速度に関する閾値を決定し、
前記危険箇所の位置情報を記憶し、
決定した前記閾値と、記憶する危険箇所の位置情報と、を前記端末に対して送信する、
交通事故予防方法。
【請求項8】
少なくとも利用者の加速度を検出する検出部と、
前記検出部が検出した加速度、又は加速度の大きさを示す値を、クラウド装置に送信する端末側送信部と、
前記利用者の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記クラウド装置から、少なくとも前記利用者の加速度に基づいて決定された前記利用者の加速度に関する閾値と、交通事故が発生しやすい危険箇所の位置情報と、を受信する端末側受信部と、
前記利用者の加速度と、前記利用者の位置情報と、前記加速度に関する閾値と、前記危険箇所の位置情報と、に基づいて、前記利用者が危険行動をとっているか否かを判定する判定部と、
前記判定部が、前記利用者が危険行動を取っていると判定した場合、利用者に対して警告を通知する警告部と、を備える、
端末。
【請求項9】
少なくとも利用者の加速度を検出し、
検出した加速度、又は加速度の大きさを示す値を、クラウド装置に送信し、
前記利用者の位置情報を取得し、
前記クラウド装置から、少なくとも前記利用者の加速度に基づいて決定された前記利用者の加速度に関する閾値と、交通事故が発生しやすい危険箇所の位置情報と、を受信し、
前記利用者の加速度と、前記利用者の位置情報と、前記加速度に関する閾値と、前記危険箇所の位置情報と、に基づいて、前記利用者が危険行動をとっているか否かを判定し、
前記利用者が危険行動を取っていると判定した場合、利用者に対して警告を通知する、処理をコンピュータに実行させる、
交通事故予防プログラム。
【請求項10】
少なくとも端末が検出した利用者の加速度を受信するクラウド装置側受信部と、
受信した前記利用者の加速度に基づいて利用者毎に前記加速度に関する閾値を決定する閾値決定部と、
前記危険箇所の位置情報を記憶する記憶部と、
前記閾値決定部が決定した前記閾値と、前記記憶部が記憶する危険箇所の位置情報と、を前記端末に対して送信するクラウド装置側送信部と、を備える、
クラウド装置。
【請求項11】
少なくとも端末が検出した利用者の加速度を受信し、
受信した前記利用者の加速度に基づいて利用者毎に前記加速度に関する閾値を決定し、
危険箇所の位置情報を記憶し、
決定した前記閾値と、危険箇所の位置情報と、を前記端末に対して送信する、処理をコンピュータに実行させる、
交通事故予防プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通事故予防システム、交通事故予防方法、交通事故予防プログラム、端末、及びクラウド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交通事故を予防するための種々の技術が開示されている。例えば、特許文献1には、交通に関して注意すべき危険管理エリアに進入する前に、複数の歩行者各々の緯度及び経度を示す現在位置データを取得し、現在位置データに基づいて、危険管理エリア内で注意喚起するか否かを決定する車載装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された車載装置は、交通事故の発生しやすいエリアに侵入した際に、車両の運転手に対して、注意喚起を行うことで、交通事故を抑制しようとしている。
一方で、例えば、歩行者の交通事故を抑制しようとする場合、交通事故の発生しやすい場所の位置情報のみならず、歩行者の急な駆け出しや、方向転換、急停止等の危険行動を考慮に入れる必要がある。
特許文献1に開示された技術においては、これらの危険行動を考慮に入れて、交通事故の発生を抑制することはできない。
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであって、利用者の危険行動を適切に検出可能な交通事故予防システム、交通事故予防方法、交通事故予防プログラム、端末、及びクラウド装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る交通事故予防システムは、
端末と、クラウド装置と、を備える、交通事故予防システムであって、
前記端末が、
少なくとも利用者の加速度を検出する検出部と、
前記検出部が検出した加速度、又は加速度の大きさを示す値を、クラウド装置に送信する端末側送信部と、
前記利用者の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記クラウド装置から、少なくとも前記利用者の加速度に基づいて決定された前記利用者の加速度に関する閾値と、交通事故が発生しやすい危険箇所の位置情報と、を受信する端末側受信部と、
前記利用者の加速度と、前記利用者の位置情報と、前記加速度に関する閾値と、前記危険箇所の位置情報と、に基づいて、前記利用者が危険行動をとっているか否かを判定する判定部と、
前記判定部が、前記利用者が危険行動を取っていると判定した場合、利用者に対して警告を通知する警告部と、を備え、
前記クラウド装置が、
少なくとも前記端末が検出した加速度、又は加速度の大きさを示す値を受信するクラウド装置側受信部と、
受信した前記利用者の加速度に基づいて利用者毎に前記加速度に関する閾値を決定する閾値決定部と、
前記危険箇所の位置情報を記憶する記憶部と、
前記閾値決定部が決定した前記閾値と、前記記憶部が記憶する危険箇所の位置情報と、を前記端末に対して送信するクラウド装置側送信部と、を備える、
交通事故予防システムである。
【0007】
本開示に係る交通事故予防方法は、
端末が、
少なくとも利用者の加速度を検出し、
検出した加速度、又は加速度の大きさを示す値を、クラウド装置に送信し、
前記利用者の位置情報を取得し、
前記クラウド装置から、少なくとも前記利用者の加速度に基づいて決定された前記利用者の加速度に関する閾値と、交通事故が発生しやすい危険箇所の位置情報と、を受信し、
前記利用者の加速度と、前記利用者の位置情報と、前記加速度に関する閾値と、前記危険箇所の位置情報と、に基づいて、前記利用者が危険行動をとっているか否かを判定し、
前記利用者が危険行動を取っていると判定した場合、利用者に対して警告を通知し、
前記クラウド装置が、
少なくとも前記端末が検出した利用者の加速度を受信し、
受信した前記利用者の加速度に基づいて利用者毎に前記加速度に関する閾値を決定し、
前記危険箇所の位置情報を記憶し、
決定した前記閾値と、記憶する危険箇所の位置情報と、を前記端末に対して送信する、
交通事故予防方法である。
【0008】
本開示に係る端末は、
少なくとも利用者の加速度を検出する検出部と、
前記検出部が検出した加速度、又は加速度の大きさを示す値を、クラウド装置に送信する端末側送信部と、
前記利用者の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記クラウド装置から、少なくとも前記利用者の加速度に基づいて決定された前記利用者の加速度に関する閾値と、交通事故が発生しやすい危険箇所の位置情報と、を受信する端末側受信部と、
前記利用者の加速度と、前記利用者の位置情報と、前記加速度に関する閾値と、前記危険箇所の位置情報と、に基づいて、前記利用者が危険行動をとっているか否かを判定する判定部と、
前記判定部が、前記利用者が危険行動を取っていると判定した場合、利用者に対して警告を通知する警告部と、を備える、
端末である。
【0009】
本開示に係る交通事故予防プログラムは、
少なくとも利用者の加速度を検出し、
検出した加速度、又は加速度の大きさを示す値を、クラウド装置に送信し、
前記利用者の位置情報を取得し、
前記クラウド装置から、少なくとも前記利用者の加速度に基づいて決定された前記利用者の加速度に関する閾値と、交通事故が発生しやすい危険箇所の位置情報と、を受信し、
前記利用者の加速度と、前記利用者の位置情報と、前記加速度に関する閾値と、前記危険箇所の位置情報と、に基づいて、前記利用者が危険行動をとっているか否かを判定し、
前記利用者が危険行動を取っていると判定した場合、利用者に対して警告を通知する、処理をコンピュータに実行させる、
交通事故予防プログラムである。
【0010】
本開示に係るクラウド装置は、
少なくとも端末が検出した利用者の加速度を受信するクラウド装置側受信部と、
受信した前記利用者の加速度に基づいて利用者毎に前記加速度に関する閾値を決定する閾値決定部と、
前記危険箇所の位置情報を記憶する記憶部と、
前記閾値決定部が決定した前記閾値と、前記記憶部が記憶する危険箇所の位置情報と、を前記端末に対して送信するクラウド装置側送信部と、を備える、
クラウド装置である。
【0011】
本開示に係る交通事故予防プログラムは、
少なくとも端末が検出した利用者の加速度を受信し、
受信した前記利用者の加速度に基づいて利用者毎に前記加速度に関する閾値を決定し、
危険箇所の位置情報を記憶し、
決定した前記閾値と、危険箇所の位置情報と、を前記端末に対して送信する、処理をコンピュータに実行させる、
交通事故予防プログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本開示により、利用者の危険行動を適切に検出可能な交通事故予防システム、交通事故予防方法、交通事故予防プログラム、端末、及びクラウド装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態に係る交通事故予防システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に係る端末の構成を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施形態に係るクラウド装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】第1の実施形態に係る端末の動作を示すフローチャートである。
【
図5】第1の実施形態に係るクラウド装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】第2の実施形態に係る交通事故予防システムの構成を示すブロック図である。
【
図7】第2の実施形態に係る端末の構成を示すブロック図である。
【
図8】第2の実施形態に係る端末の構成を示すブロック図である。
【
図9】第2の実施形態に係るクラウド装置の構成を示すブロック図である。
【
図10】第2の実施形態に係るクラウド装置の構成を示すブロック図である。
【
図11】第2の実施形態に係る端末の動作を示すフローチャートである。
【
図12】第2の実施形態に係る端末の動作を示すフローチャートである。
【
図13】第2の実施形態に係る端末の動作を示すフローチャートである。
【
図14】第2の実施形態に係るクラウド装置の動作を示すフローチャートである。
【
図15】第3の実施形態に係る端末の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
<交通事故予防システムの構成>
以下、図面を参照して、第1の実施形態に係るについて詳細に説明する。
図1は、第1
の実施形態に係る交通事故予防システムの構成を示すブロック図である。
【0015】
本実施形態に係る交通事故予防システム101は、利用者が危険行動を取った場合に、利用者に対して警告を通知する。本実施形態に係る交通事故予防システム101は、端末1及びクラウド装置2を備える。
【0016】
ただし、ここでいう危険行動とは、例えば、急な駆け出し、方向転換、又は急停止等の利用者の加速度の変化を伴う行動である。危険行動は、事故の原因となりうる行動や、事故を回避するための行動を含むため、危険行動を検出して適切な対応を行うことで、事故の発生を予防できる。
【0017】
なお、危険行動の中には、利用者の加速度の変化のみならず、例えば方向転換のように、利用者の角加速度の変化を伴う行動もある。このような危険行動は、利用者の角加速度に基づいて、検出されてもよい。
【0018】
図2は、第1の実施形態に係る端末の構成を示すブロック図である。端末1は、検出部11と、端末側送信部12と、端末側受信部13と、位置情報取得部14と、警告部15と、判定部161と、を備える。
【0019】
検出部11は、少なくとも利用者の加速度を検出する。検出部11は、検出した加速度を、端末側送信部12及び判定部161に対して出力する。端末側送信部12は、検出部11が検出した加速度を、クラウド装置に送信する。
【0020】
なお、検出部11は、利用者の加速度のみならず、例えば、利用者の角加速度や、地磁気を検出するようにしてもよい。そして、端末側送信部12が、これらの情報を合わせてクラウド装置に対して送信するようにしてもよい。
【0021】
端末側受信部13は、少なくとも利用者の加速度に基づいて利用者毎に決定された加速度に関する閾値と、危険箇所の位置情報と、を受信する。端末側受信部13は、受信した加速度の閾値と、危険箇所の位置情報と、を判定部161に対して出力する。
【0022】
なお、ここでいう危険箇所とは、交通事故の発生する可能性が高い地点又は区域を指している。危険箇所は、例えば、統計的に交通事故の発生件数が多い地点又は区域を指してもよい。また、危険箇所は、交差点や坂道等の、交通事故の発生しやすい特定の構造を有する地点又は区域を指してもよい。
【0023】
ここで、加速度に関する閾値とは、例えば、加速度の大きさを示す値に対して定められる閾値であってもよい。
ただし、加速度の大きさを示す値は、検出部11が検出した加速度に対して種々の処理を行った値であってもよく、利用者の行動に起因して生じた加速度が大きくなる程、大きくなる値であってもよい。また、加速度の大きさの値そのものであってもよい。
【0024】
加速度の大きさを示す値は、例えば、検出部11が検出した加速度から、地球の重力に由来する成分を除いた加速度の大きさの値であってもよい。
また、加速度の大きさを示す値は、例えば、検出部11が検出した加速度から、地球の重力に由来する成分を除いた加速度の大きさの値を、2乗した値であってもよい。
【0025】
位置情報取得部14は、利用者の位置情報を取得する。位置情報取得部14は、取得した利用者の位置情報を判定部161に対して出力する。
【0026】
判定部161は、検出部11から少なくとも利用者の加速度を取得し、位置情報取得部14から利用者の位置情報を取得し、端末側受信部13から少なくとも加速度に関する閾値と、危険箇所の位置情報と、を取得する。
【0027】
判定部161は、利用者の加速度と、利用者の位置情報と、加速度に関する閾値と、危険箇所の位置情報と、に基づいて、利用者が危険行動をとっているか否かを判定する。
判定部161は、利用者が危険行動をとっているか否かの判定結果を警告部15に対して出力する。
【0028】
警告部15は、判定部161から利用者が危険行動をとっているか否かの判定結果を取得する。警告部15は、判定部161が、利用者が危険行動をとっていると判定した場合、利用者に対して警告を通知する。
【0029】
図3は、第1の実施形態に係るクラウド装置の構成を示すブロック図である。クラウド装置2は、クラウド装置側受信部21と、クラウド装置側送信部22と、閾値決定部231と、記憶部24と、を備える。
【0030】
クラウド装置側受信部21は、少なくとも端末1が検出した利用者の加速度を受信する。クラウド装置側受信部21は、受信した利用者の加速度を、閾値決定部231に対して出力する。
【0031】
閾値決定部231は、クラウド装置側受信部21から利用者の加速度を取得する。閾値決定部231は、受信した加速度に基づいて利用者毎に加速度に関する閾値を決定する。閾値決定部231は、決定した加速度に関する閾値を、クラウド装置側送信部22に出力する。
【0032】
記憶部24は、危険箇所の位置情報を記憶する。記憶部24は、記憶する危険箇所の位置情報を、クラウド装置側送信部22に出力する。
クラウド装置側送信部22は、閾値決定部231から加速度の閾値を取得し、記憶部24から危険箇所の位置情報を取得する。クラウド装置側送信部22は、閾値決定部231が決定した加速度に関する閾値と、記憶部24が記憶する危険箇所の位置情報と、を端末1に対して送信する。
【0033】
<交通事故予防システムの動作>
次に、図面を参照して、第1の実施形態に係る交通事故予防システムの動作、即ち交通事故予防方法について詳細に説明する。なお、以降の説明においては、適宜
図1~
図3を参照する。まず始めに、本実施形態に係る端末1の動作について詳細に説明する。
【0034】
図4は、第1の実施形態に係る端末の動作を示すフローチャートである。まず始めに、検出部11が利用者の加速度を検出する(ステップS101)。次に、端末側送信部12が、検出した加速度をクラウド装置2に送信する(ステップS102)。
【0035】
次に、位置情報取得部14が、利用者の位置情報を取得する(ステップS103)。
次に、端末側受信部13が、クラウド装置から、加速度に関する閾値と、危険箇所の位置情報と、を受信する(ステップS104)。
【0036】
次に判定部161が、利用者が危険行動を取っているか否かを判定する(ステップS105)。より詳細には、判定部161が、利用者の加速度と、利用者の位置情報と、加速度に関する閾値と、危険箇所の位置情報と、に基づいて、利用者が危険行動をとっているか否かを判定する。
【0037】
利用者が危険行動を取っていない場合(ステップS105 NO)、端末1は、一連の動作を終了する。
利用者が危険行動を取っている場合(ステップS105 YES)、警告部15が、利用者に警告を通知し(ステップS106)、端末1は、一連の動作を終了する。
【0038】
ただし、ステップS101~ステップS106の動作は、並行して連続的に実行される動作であってもよい。また、ステップS102及びステップS104は、スキップされてもよく、所定の期間毎に実行されるステップであってもよい。
【0039】
次に、本実施形態に係るクラウド装置2の動作について詳細に説明する。
図5は、第1の実施形態に係るクラウド装置の動作を示すフローチャートである。
まず始めに、クラウド装置側受信部21が、端末1から利用者の加速度を受信する(ステップS201)。より詳細には、クラウド装置側受信部21が、前述したステップS102において、端末1が送信した利用者の加速度を、受信する。
【0040】
次に、閾値決定部231が、受信した加速度に基づいて利用者毎に加速度に関する閾値を決定する(ステップS202)。より詳細には、閾値決定部231が、受信した加速度に対して種々の処理を実行し、利用者毎に加速度に関する閾値を決定する。
【0041】
最後に、クラウド装置側送信部22が、加速度に関する閾値と、危険箇所の位置情報と、を端末1に対して送信し(ステップS203)、クラウド装置2は、一連の動作を終了する。より詳細には、クラウド装置側送信部22が、閾値決定部231が決定した加速度に関する閾値と、記憶部24が記憶する危険箇所の位置情報と、を端末1に対して送信する。
ステップS201~ステップS203の動作は、所定の期間毎に実行されてもよい。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係る交通事故予防システム101は、利用者毎に設定された加速度に関する閾値を用いて、利用者の危険行動を検出する。このような構成によって、本実施形態に係る交通事故予防システム101は、利用者個人の身体能力によらず、適切に利用者の危険行動を検出でき、その結果として、交通事故を予防できる。
【0043】
また、本実施形態に係る交通事故予防システム101は、交通事故が発生しやすい危険箇所の位置情報を用いて、利用者の危険行動を検出する。このような構成によると、交通事故の発生しやすい箇所において、利用者に対して警告を通知することができ、その結果として、交通事故を予防できる。
【0044】
(第2の実施形態)
<交通事故予防システムの構成>
以下、図面を参照して、第2の実施形態に係る交通事故予防システムについて詳細に説明する。まず始めに、第2の実施形態に係る交通事故予防システムの構成について説明する。
図6は、第2の実施形態に係る交通事故予防システムの構成を示すブロック図である。
【0045】
本実施形態に係る交通事故予防システム102は、複数の端末1と、クラウド装置2とを備え、統計情報提供システム103と接続されている。
なお、
図6には、2つの端末1a及び1bが記載されているが、実際には3つ以上の端末1が接続されている。ただし、端末1の数は3つ以上に限定されるものではなく、1つ又は2つであってもよい。
【0046】
本実施形態に係る交通事故予防システム102は、利用者が危険行動を取った場合に、利用者に対して警告を通知する。本実施形態に係る交通事故予防システム102においては、端末1が、利用者の加速度、角加速度、地磁気情報及び位置情報を検出し、加速度の閾値、角加速度の閾値、及び危険箇所の位置情報を参照することで、利用者の危険行動を検出する。
【0047】
また、本実施形態に係る交通事故予防システム102においては、端末1が利用者の危険行動を検出する場合に用いる加速度及び角加速度の閾値を、クラウド装置2が利用者の加速度、利用者の角加速度、及び地磁気情報に基づいて、利用者毎に決定するようにしている。
【0048】
統計情報提供システム103は、危険箇所の位置情報の統計情報をクラウド装置2に対して提供するシステムである。
なお、統計情報提供システム103は、例えば、警察や自治体等の行政機関によって提供されるシステムであってもよいし、企業によって提供されるシステムであってもよいし、あるいはその両方によって提供されるシステムであってもよい。
また、危険箇所の位置情報の統計情報は、例えば、公開情報として提供されるオープンデータであってもよい。
【0049】
統計情報提供システム103は、危険箇所の位置情報として、例えば交通事故が発生した地点の位置情報をクラウド装置2に対して提供してもよい。また、例えば、道路上において、凍結が発生している個所や、道路が破損している個所、あるいは道路上で工事を行っている個所等の位置情報を危険箇所の位置情報として、クラウド装置2に対して提供してもよい。
なお、危険箇所の位置情報は、危険箇所の位置を特定できる情報であれば、どのような情報であってもよく、例えば、危険箇所の緯度及び経度を示す情報であってもよいし、危険箇所の住所を示す情報であってもよいし、危険箇所の郵便番号を示す情報であってもよい。
【0050】
また、統計情報提供システム103は、クラウド装置2から、利用者が危険行動をとった地点の位置情報を取得するようにしてもよい。そして、当該位置情報を、危険箇所の位置情報として例えば、警察や自治体等の行政機関等に提供するようにしてもよい。
また、統計情報提供システム103は、クラウド装置2から取得した位置情報に基づいて、自身が記憶する危険箇所の位置情報を更新するようにしてもよい。
【0051】
つまり、統計情報提供システム103は、交通事故の発生しやすい箇所を記録した統計情報を記憶するシステムであり、クラウド装置2から送信された位置情報を、当該統計情報の更新データとして受信してもよい。
言い換えると、クラウド装置2は、危険箇所の統計情報を記憶する統計情報提供システムに対して、利用者が危険行動をとった地点の位置情報を、当該統計情報の更新データとして送信してもよい。
【0052】
図7は、第2の実施形態に係る端末の構成を示すブロック図である。端末1は、利用者が所持する装置であって、利用者の加速度、利用者の角加速度、地磁気情報、及び位置情報を検出し、これらに基づいて、利用者の異常行動を検出する。
【0053】
端末1は、例えば、加速度、角加速度、地磁気情報、及び位置情報の検出機能を有するスマートフォンに対して、後述する所定の動作を実行させるためのアプリケーションをダウンロードすることによって実現されてよいし、スマートフォン以外の装置によって実現されてもよい。
端末1は、検出部11と、端末側送信部12と、端末側受信部13と、位置情報取得部14と、警告部15と、制御部16と、を備える。
【0054】
検出部11は、少なくとも利用者の加速度を検出する。また、本実施形態に係る検出部11は、利用者の角加速度を検出し、更に、地磁気情報を検出する。検出部11は、検出した加速度、角加速度、及び地磁気情報を、制御部16に対して出力する。
【0055】
より詳細には、検出部11は、自身にかかる加速度及び角加速度を、互いに直交する3方向について検出する。つまり、検出部11は、自身にかかる加速度及び角加速度をベクトル量として検出する。そして、検出した自身にかかる加速度及び角加速度を、利用者の加速度及び角加速度として出力する。
【0056】
また、ここでいう地磁気情報とは、地磁気に基づいて特定された方角と、鉛直方向、即ち地球引力と平行な方向を特定する情報である。検出部11は、地磁気情報を検出するために、互いに直交する3方向について地磁気を検出する。
つまり、本実施形態に係る検出部11は、9軸センサとして実現される。
【0057】
位置情報取得部14は、利用者の位置情報を取得する。より詳細には、位置情報取得部14は、自身の位置情報を取得することで、利用者の加速度を取得する。位置情報取得部14は、例えば、GPS(Global Positioning System)を利用して利用者の位置情報を取得してもよい。位置情報取得部14は、取得した利用者の位置情報を制御部16に対して出力する。
【0058】
端末側送信部12は、クラウド装置2に対して、後述する種々のデータを送信する。端末側送信部12は、クラウド装置2に対して送信するデータを制御部16から取得し、制御部16からの制御に基づいて、取得したデータをクラウド装置2に対して送信する。
【0059】
端末側送信部12は、検出部11が検出した加速度、角加速度、及び地磁気情報を、クラウド装置に送信する。より詳細には、端末側送信部12は、検出部11が検出した加速度、角加速度、及び地磁気情報を、制御部16から取得し、制御部16が決定したタイミングにおいて、クラウド装置2に対して送信する。
なお、端末側送信部12は、加速度、角加速度、及び地磁気情報に代わり、加速度の大きさを示す値及び角加速度の大きさを示す値を、クラウド装置2に対して送信してもよい。
【0060】
ただし、ここでいう、加速度の大きさを示す値とは、検出部11が検出した加速度に対して種々の処理を行った値であり、利用者の行動に起因して生じた加速度が大きくなる程、大きくなる値である。
【0061】
例えば、加速度の大きさを示す値は、検出部11が検出した加速度から、地球の重力に由来する成分を除いた加速度の大きさを示す値を、2乗した値であってもよい。
このような構成によると、加速度の大きさを示す値は、利用者の行動に起因して発生した加速度を適切に反映できる。また、このような構成によると、加速度の大きさを示す値が常に0以上となるため、端末1及びクラウド装置2における処理を簡素化できる。
【0062】
また、ここでいう、角加速度の大きさを示す値とは、例えば、検出部11が検出した角加速度の大きさの値を2乗したものであってもよい。このような構成によると、角加速度の大きさを示す値が常に0以上となるため、端末1及びクラウド装置2における処理を簡素化できる。
【0063】
端末側送信部12は、利用者の異常行動を端末1が検出した場合、利用者が異常行動を取った地点の位置情報を制御部16から取得し、制御部16が決定したタイミングにおいてクラウド装置2に対して送信してもよい。
【0064】
端末側受信部13は、クラウド装置2から、後述する種々のデータを受信する。端末側受信部13は、クラウド装置2から受信したデータを制御部16に対して出力する。
端末側受信部13は、少なくとも利用者の加速度に基づいて利用者毎に決定された加速度及び角加速度に関する閾値と、交通事故が発生しやすい危険箇所の位置情報とをクラウド装置2から受信する。端末側受信部13は、受信した加速度及び角加速度に関する閾値と、危険箇所の位置情報と、を制御部16に対して出力する。
【0065】
警告部15は、制御部16の制御に基づいて、利用者に対して警告を通知する。より詳細には、制御部16が、利用者が危険行動をとっていると判定した場合、利用者に対して警告を通知する。警告部15は、例えば、利用者に対して音声を再生するスピーカを備えていてもよいし、点灯するライト等を含んでもよい。
【0066】
警告部15がスピーカを含む場合、警告部15は、制御部16から出力された音声データを再生することで、利用者に対して警告を通知する。
また、警告部15がライトを含む場合、警告部15は、制御部16から、点灯時間、点灯させる光の色、または点滅タイミング等を記録した点灯データを取得し、取得した点灯データに基づいて点灯することによって、利用者に対して警告を通知してもよい。
【0067】
制御部16は、端末1の動作を制御する。また、制御部16は、利用者の加速度と、利用者の角加速度と、地磁気情報と、位置情報と、加速度及び角加速度の閾値と、危険箇所の位置情報とに基づいて、利用者が危険情報を取っているか否かを判定する。
【0068】
図8は、第2の実施形態に係る端末の構成を示すブロック図である。より詳細には、
図8は、制御部16の構成を示すブロック図である。制御部16は、判定部161と、動作制御部162と、端末記憶部163と、を備える。
【0069】
判定部161及び動作制御部162は、図示しない演算部の機能ブロックとして実現されてもよい。演算部は、後述する端末記憶部163からソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して実行することで、後述する種々の処理を実行する。演算部は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processing Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)であってもよい。演算部は、複数のプロセッサを含んでもよい。
つまり、本実施形態に係る制御部16は、コンピュータとしての機能を有する。
【0070】
判定部161は、検出部11が検出した利用者の利用者の加速度と、利用者の角加速度と、地磁気情報と、位置情報取得部14が取得した利用者の位置情報とを、動作制御部162から取得する。
また、判定部161は、端末側受信部13が受信した加速度及び角加速度の閾値と、端末側受信部13が受信した危険箇所の位置情報とを、端末記憶部163から取得する。
【0071】
判定部161は、利用者の加速度と、利用者の加速度と、利用者の角加速度と、地磁気情報と、加速度及び角加速度の閾値と、危険箇所の位置情報とに基づいて、利用者が危険行動をとっているか否かを判定する。
【0072】
より詳細には、判定部161は、まず始めに、検出した加速度と、地磁気情報とに基づいて、利用者自身の行動に起因して発生した加速度の大きさを算出する。
具体的には、判定部161は、地磁気情報に基づいて重力加速度と平行な方向を特定する。そして、利用者の加速度から、特定した方向と平行で、重力加速度に相当する大きさを有するベクトルを減算する。
【0073】
つまり、判定部161は、前述した加速度の大きさを示す値を算出する。なお、判定部161は、利用者自身の行動に起因して発生した加速度の大きさを2乗した値を、前述した加速度の大きさを示す値として算出してもよい。
【0074】
判定部161は、検出した角加速度を2乗した値を、前述した角加速度の大きさを示す値として算出してもよい。また判定部161は、検出した角加速度の値そのものを、角加速度の大きさを示す値としてもよい。
【0075】
そして、判定部161は、加速度の大きさを示す値が、受信した加速度の閾値以上であるか否かを判定する。また、判定部161は、角加速度の大きさを示す値が、受信した角加速度の閾値以上であるか否かを判定する。更に、判定部161は、取得した利用者の位置情報と受信した危険箇所の位置情報とから、利用者の位置と危険箇所の位置との距離を算出し、当該距離が所定の距離以下であるか否かを判定する。
【0076】
判定部161は、例えば、利用者の位置と、危険箇所の位置との距離が、所定の距離以下であり、なおかつ、加速度の大きさを示す値が、受信した閾値以上である場合に、利用者が危険行動を取っていると判定してもよい。
【0077】
加速度の大きさを示す値は、例えば、利用者が急な駆け出しを行った場合や、急停止を行った場合等に増加する。そのため、上記のような構成によると、本実施形態に係る端末1は、利用者が危険箇所近傍において、急な駆け出しや、急停止等の危険な行動を取ったか否かを判定できる。
【0078】
ただし、判定部161は、利用者の位置と、危険箇所の位置との距離に関わらず、加速度の大きさを示す値が、受信した閾値以上である場合に、利用者が危険行動を取っていると判定してもよい。
また、判定部161は、加速度の大きさを示す値に関わらず、利用者の位置と、危険箇所の位置との距離が、所定の距離以下である場合に、利用者が危険行動をとっていると判定してもよい。
【0079】
また、判定部161は、例えば、利用者の位置と、危険箇所の位置との距離が、所定の距離以下であり、なおかつ、角加速度の大きさを示す値が、受信した閾値以上である場合に、利用者が危険行動を取っていると判定してもよい。
【0080】
角加速度の大きさを示す値は、例えば、利用者が急な方向転換を行った場合や、転倒した場合等に増加する。そのため、上記のような構成によると、本実施形態に係る端末1は、利用者が危険箇所近傍において、急な方向転換や、転倒等の危険な行動を取ったか否かを判定できる。
【0081】
ただし、判定部161は、利用者の位置と、危険箇所の位置との距離に関わらず、角加速度の大きさを示す値が、受信した閾値以上である場合に、利用者が危険行動を取っていると判定してもよい。また、判定部161は、角加速度の大きさを示す値に関わらず、利用者の位置と、危険箇所の位置との距離が、所定の距離以下である場合に、利用者が危険行動をとっていると判定してもよい。
【0082】
また、判定部161は、加速度の大きさを示す値に基づいて、利用者が歩行によって移動しているか、又は自転車等の軽車両によって移動しているかを判定してもよい。そして、利用者が、歩行によって移動している場合と、軽車両によって移動している場合とで、異なる加速度及び角加速度に関する閾値を用いるようにしてもよい。
なお、この場合、クラウド装置2が、利用者が軽車両に乗っている場合の加速度及び角加速度に関する閾値と、利用者が歩行している場合の加速度及び角加速度に関する閾値とを決定し、端末1に対して送信する。
【0083】
判定部161は、利用者が異常行動をとっているか否かの判定結果を、動作制御部162に対して出力する。
ただし、判定部161は、利用者が異常行動をとっていると判定した場合のみ、動作制御部162に対して判定結果を出力してもよい。つまり、判定部161は、利用者の異常行動を検出した場合に、動作制御部162に対して、その旨を通知してもよい。
【0084】
なお、判定部161は、加速度の大きさを示す値を、複数の加速度に関する閾値に基づいて、段階分けして評価するようにしてもよい。即ち、利用者の行動の危険性を段階分けして評価するようにしてもよい。
このような構成の場合、判定部161は、利用者の行動の危険性の評価結果を、後述する動作制御部162に対して出力してもよい。そして、動作制御部162が、利用者の行動の危険性の評価結果に基づいて、警告部15の警告態様を変更するようにしてもよい。
【0085】
動作制御部162は、検出部11と、端末側送信部12と、端末側受信部13と、位置情報取得部14と、警告部15と、の動作を制御する。
動作制御部162は、検出部11から、検出した利用者の加速度を取得し、判定部161及び端末側送信部12に対して出力する。
【0086】
動作制御部162は、端末側送信部12が、検出した利用者の加速度と、利用者の角加速度と、地磁気情報とを、クラウド装置に対して送信するタイミングを決定する。
例えば、動作制御部162は、端末側送信部12が所定の周期毎に利用者の加速度を送信するように、端末側送信部12を制御してもよい。
また、動作制御部162は、利用者が、クラウド装置2と通信するように指示したタイミングにおいて、端末側送信部12が利用者の加速度を送信するように、端末側送信部12を制御してもよい。
【0087】
なお、動作制御部162は、判定部161から、加速度の大きさを示す値及び角加速度の大きさを示す値を取得し、端末側送信部12に出力するようにしてもよい。そして、加速度の大きさを示す値及び角加速度の大きさを示す値をクラウド装置2に対して送信するように、端末側送信部12を制御してもよい。
【0088】
動作制御部162は、位置情報取得部14から、利用者の位置情報を取得する。動作制御部162は、取得した利用者の位置情報を、判定部161に対して出力する。
動作制御部162は、端末側受信部13から、受信した加速度に関する閾値と、角加速度に関する閾値と、危険箇所の位置情報とを取得する。動作制御部162は、加速度の閾値と、危険箇所の位置情報とを、端末記憶部163に対して出力する。
【0089】
動作制御部162は、判定部161から利用者が危険行動をとっているか否かの判定結果を取得する。ただし、前述した通り、動作制御部162は、利用者の危険行動を判定部161が検出した場合に、判定部161から通知を受ける構成としてもよい。
【0090】
動作制御部162は、判定部161が利用者の危険行動を検出した場合、警告部15を制御し、利用者に対して警告を通知させる。
例えば、警告部15がスピーカを含む場合、動作制御部162は、警告内容を含む音声データを警告部15に対して出力し、当該音声データを再生させる。
また、警告部15がライトを含む場合、動作制御部162は、点灯データを警告部15に対して出力し、当該点灯データに基づいて警告部15を点灯させる。
【0091】
また、動作制御部162は、段階分けして評価された利用者の行動の危険性の評価結果を、判定部161から取得してもよい。このような構成の場合、動作制御部162は、当該評価結果に基づいて、警告部15の警告態様を変更するようにしてもよい。
例えば、警告部15がスピーカを含む場合、動作制御部162は、利用者の行動の危険性の評価結果に応じて、異なる警告内容を含む音声データを警告部15に対して出力し、当該音声データを再生させてもよい。
【0092】
動作制御部162は、判定部161が利用者の危険行動を検出した場合、危険行動が検出された地点の位置情報を、位置情報取得部14から取得し、当該位置情報を端末記憶部163に格納してもよい。また、動作制御部162は、当該位置情報を端末側送信部12に対して出力し、クラウド装置2に対して送信させてもよい。
【0093】
また、動作制御部162は、段階分けして評価された利用者の行動の危険性の評価結果を、判定部161から取得していた場合、当該評価結果を、危険行動が検出された地点の位置情報と合わせて、クラウド装置2に対して送信するようにしてもよい。
【0094】
端末記憶部163は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を用いて実現される記憶装置である。端末記憶部163は、端末1の動作を制御するためのプログラムを格納する。前述した図示しない演算部は、これらのプログラムを端末記憶部163から読み出して実行することで、前述した種々の処理を実行する。
【0095】
端末記憶部163は、動作制御部162から、端末側受信部13が受信した加速度及び角加速度に関する閾値と、危険箇所の位置情報とを取得して、記憶する。
端末記憶部163が記憶した加速度及び角加速度に関する閾値と、危険箇所の位置情報とは、判定部161によって利用される。
【0096】
端末記憶部163は、判定部161が利用者の危険行動を検出した場合、危険行動が検出された地点の位置情報を、動作制御部162から取得して、危険箇所の位置情報として記憶してもよい。
【0097】
このように、端末記憶部163が、加速度及び角加速度に関する閾値と、危険箇所の位置情報とを記憶しておくことで、端末1は、クラウド装置2との通信を行わずとも、利用者の危険行動を検出でき、その結果として、利用者の危険行動の検出に必要な時間を短縮できる。
【0098】
図9は、第2の実施形態に係るクラウド装置の構成を示すブロック図である。本実施形態に係るクラウド装置は、1つ以上の端末1及び統計情報提供システムと通信を行う装置である。
【0099】
本実施形態に係るクラウド装置2は、端末1から受信した利用者の加速度に基づいて、利用者毎に加速度及び角加速度に関する閾値を決定する。また、端末1に対して、危険箇所の位置情報を送信する。さらに、統計情報提供システム103に対して、端末1が利用者の危険行動を検出した地点の位置情報を提供する。
クラウド装置2は、クラウド装置側受信部21と、クラウド装置側送信部22と、演算部23と、記憶部24と、を備える。
【0100】
クラウド装置側受信部21は、端末1が検出した利用者の加速度、角加速度、及び地磁気情報を受信する。クラウド装置側受信部21は、受信した利用者の加速度、角加速度、及び地磁気情報を、演算部23に対して出力する。
ただし、クラウド装置側受信部21は、端末1が検出した利用者の加速度、角加速度、及び地磁気情報に代わって、前述した利用者の加速度の大きさを示す値と、利用者の角加速度の大きさを示す値と、を受信してもよい。
【0101】
また、クラウド装置側受信部21は、端末1が危険行動を検出した場合、当該危険行動を検出した地点の位置情報を、端末1から受信する。クラウド装置側受信部21は、当該位置情報を、演算部23に対して出力する。
さらに、クラウド装置側受信部21は、統計情報提供システム103から、危険箇所の位置情報を受信する。クラウド装置側受信部21は、当該位置情報を、演算部23に対して出力する。
【0102】
記憶部24は、RAMや、ROM等を用いて実現される記憶装置である。記憶部24は、クラウド装置2の動作を制御するためのプログラムを格納する。後述する演算部23は、これらのプログラムを記憶部24から読み出して実行することで、後述する種々の処理を実行する。
【0103】
記憶部24は、危険箇所の位置情報を記憶する。記憶部24は、記憶する危険箇所の位置情報を、演算部23に対して出力する。
ここで、記憶部24が記憶する危険箇所の位置情報は、統計情報提供システム103によって提供された位置情報と、端末1から提供された位置情報を合わせたものである。
【0104】
演算部23は、記憶部24からソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して実行することで、後述する種々の処理を実行する。演算部23は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU、又はCPUであってもよい。演算部23は、複数のプロセッサを含んでもよい。つまり、本実施形態に係るクラウド装置2は、コンピュータとしての機能を有する。
【0105】
図10は、第2の実施形態に係るクラウド装置の構成を示すブロック図である。より詳細には、
図10は、演算部23の構成を示すブロック図である。演算部23は、クラウド装置2の動作を制御する。また、演算部23は、端末1が検出した利用者の加速度に基づいて、利用者毎に加速度の閾値を決定する。
演算部23は、閾値決定部231と、通信制御部232と、を備える。
【0106】
閾値決定部231は、通信制御部232から利用者の加速度、角加速度、及び地磁気情報を取得する。そして、閾値決定部231は、利用者の加速度、角加速度、及び地磁気情報に基づいて利用者毎に加速度に関する閾値及び角加速度に関する閾値を決定する。閾値決定部231は、決定した加速度に関する閾値及び角加速度に関する閾値を、通信制御部232に対して出力する。
【0107】
ただし、閾値決定部231は、利用者の加速度の大きさを示す値と、利用者の角加速度の大きさを示す値とを取得し、これらに基づいて、加速度に関する閾値及び角加速度に関する閾値を決定するような構成であってもよい。
【0108】
閾値決定部231は、利用者の加速度、角加速度、及び地磁気情報を取得した場合、まず始めに、これらに基づいて、利用者の加速度の大きさを示す値と、利用者の角加速度の大きさを示す値とを算出する。
【0109】
閾値決定部231は、利用者の加速度の大きさを示す値の平均値と標準偏差を算出してもよい。そして、閾値決定部231は、算出した標準偏差に対して所定の係数を掛け、算出した平均値に対して加算した値を、加速度に関する閾値として決定してもよい。
また、閾値決定部231は、利用者の角加速度の大きさを示す値の平均値と標準偏差を算出してもよい。そして、閾値決定部231は、算出した標準偏差に対して所定の係数を掛け、算出した平均値に対して加算した値を、角加速度に関する閾値として決定してもよい。
【0110】
このような構成によると、加速度の閾値は、利用者個人の身体能力に対して適切に調整された値となる。そのため、このようにして算出された加速度の閾値を、利用者の危険行動の検出に用いた場合、利用者個人の身体能力に関わらず、適切に利用者の異常行動を検出できる。
【0111】
また、閾値決定部231は、加速度に関する閾値と、角加速度に関する閾値とを複数出力するようにしてもよい。このようにすると、前述したように端末1が利用者の行動の危険性を段階分けして評価できるようになる。
【0112】
また、閾値決定部231は、利用者が歩行している場合の加速度の閾値と、利用者が軽車両に乗っている場合の加速度の閾値とを決定してもよい。
この場合、閾値決定部231は、利用者が歩行していると端末1が判定した期間に検出された加速度に基づいて、利用者が歩行している場合の加速度の閾値を決定する。
また、閾値決定部231は、利用者が軽車両に乗っていると端末1が判定した期間に検出された加速度に基づいて、利用者が軽車両に乗っている場合の加速度の閾値を決定する。
【0113】
通信制御部232は、クラウド装置側受信部21及びクラウド装置側送信部22を制御する。通信制御部232は、クラウド装置側受信部21が端末1から利用者の加速度、角加速度、及び地磁気情報を受信すると、当該利用者の加速度、角加速度、及び地磁気情報をクラウド装置側受信部21から取得し、閾値決定部231に対して出力する。
【0114】
また、通信制御部232は、クラウド装置側受信部21が端末1から危険行動を検出した地点の位置情報を受信すると、当該位置情報をクラウド装置側受信部21から取得し、記憶部24に対して出力する。
【0115】
さらに、通信制御部232は、クラウド装置側受信部21が統計情報提供システム103から、危険箇所の位置情報を受信すると、当該位置情報をクラウド装置側受信部21から取得し、記憶部24に対して出力する。
【0116】
通信制御部232は、閾値決定部231から、加速度に関する閾値と、角加速度に関する閾値とを取得する。通信制御部232は、加速度に関する閾値と、角加速度に関する閾値とをクラウド装置側送信部22に対して出力し、端末1に対して送信させる。
また、通信制御部232は、記憶部24から危険箇所の位置情報を取得し、当該位置情報を端末1及び統計情報提供システム103に対して送信させる。
【0117】
通信制御部232は、クラウド装置側送信部22が、加速度に関する閾値と、角加速度に関する閾値とを、端末1に対して送信するタイミングを決定する。
また、通信制御部232は、クラウド装置側送信部22が、危険箇所の位置情報を端末1及び統計情報提供システム103に対して送信するタイミングを決定する。
【0118】
ただし、統計情報提供システム103に対して送信される危険箇所の位置情報は、端末1が検出した位置情報、即ち、利用者の危険行動が検出された地点の位置情報のみを含むものであってもよい。
【0119】
例えば、通信制御部232は、クラウド装置側送信部22が、所定の期間毎に、加速度に関する閾値と、角加速度に関する閾値と、危険箇所の位置情報とを送信するように、クラウド装置側送信部22を制御してもよい。
【0120】
また、通信制御部232は、クラウド装置側送信部22が、所定の期間毎に、統計情報提供システム103に対して危険箇所の位置情報を送信するように、クラウド装置側送信部22を制御してもよい。
【0121】
クラウド装置側送信部22は、演算部23からの制御に基づいて、端末1及び統計情報提供システム103に対して種々のデータを送信する。
クラウド装置側送信部22は、演算部23から加速度に関する閾値と、角加速度に関する閾値と、危険箇所の位置情報とを取得し、演算部23が決定したタイミングで、端末1に対して送信する。
また、クラウド装置側送信部22は、演算部23から危険箇所の位置情報を取得し、演算部23が決定したタイミングで、統計情報提供システム103に対して送信する。
【0122】
<交通事故予防システムの動作>
次に、図面を参照して、第2の実施形態に係る交通事故予防システムの動作、即ち交通事故予防方法について詳細に説明する。なお、以降の説明においては、適宜
図6~
図10を参照する。
【0123】
図11及び
図12は、第2の実施形態に係る端末の動作を示すフローチャートである。より詳細には、
図11は、第2の実施形態に係る端末1が、利用者の危険行動を検出する動作を示すフローチャートであり、
図12は、
図11に記載のフローチャートのステップ304における端末1の動作の一例をより詳細に示すフローチャートである。
【0124】
まず始めに、検出部11が利用者の加速度、利用者の角加速度、及び地磁気を検出する(ステップS301)。次に、位置情報取得部14が利用者の位置情報を検出する(ステップS302)。ただし、ステップS301及びステップS302は逆の順序で実行されてもよく、並行して実行されてもよい。
【0125】
次に、判定部161が、利用者の加速度及び角加速度の大きさを示す値を算出する。より詳細には、判定部161が、ステップS301において検出した利用者の加速度、利用者の角加速度、及び地磁気に基づいて、利用者の加速度及び角加速度の大きさを示す値を算出する。
【0126】
次に、判定部161が、利用者が危険行動を取っているか否かを判定する(ステップS304)。より詳細には、ステップS303において算出した利用者の加速度及び角加速度の大きさを示す値と、クラウド装置2から受信した加速度及び角加速度に関する閾値と、に基づいて、利用者が危険行動をとっているか否かを判定する。
利用者が危険行動を取っていない場合(S303 NO)、端末1は一連の動作を終了する。
【0127】
利用者が危険行動を取っている場合(S303 YES)、警告部15が、利用者に対して警告を通知する(ステップS305)。そして、最後に、端末側送信部12が、危険行動を検出した地点の位置情報を、クラウド装置2に対して送信し(ステップS306)、端末1は一連の動作を終了する。
端末1は、
図11に示す一連の動作を継続的に実行してもよい。
【0128】
図12は、
図11に記載のフローチャートのステップ304における端末1の動作、即ち、利用者の異常行動を検出する動作の一例をより詳細に示すフローチャートである。
図12のフローチャートによって示される動作においては、まず始めに、判定部161が、利用者の位置と、危険箇所の位置との距離が所定の距離以下であるか否かを判定する(ステップS341)。
【0129】
利用者の位置と、危険箇所の位置との距離が所定の距離以下でない場合(ステップS341 NO)、判定部161が、利用者が危険行動をとっていないと判定し(ステップS344)、一連の動作を終了する。
【0130】
利用者の位置と、危険箇所の位置との距離が所定の距離以下である場合(ステップS341 YES)、判定部161が、加速度の大きさを示す値が、加速度に関する閾値以上であるか否かを判定する(ステップS342)。
【0131】
加速度の大きさを示す値が、加速度に関する閾値以上である場合(ステップS342 YES)、判定部161が、利用者が危険行動をとっていると判定し(ステップS345)、一連の動作を終了する。
【0132】
加速度の大きさを示す値が、加速度に関する閾値以上でない場合(ステップS342 NO)、判定部161が、角加速度の大きさを示す値が、角加速度に関する閾値以上であるか否かを判定する(ステップS343)。
【0133】
角加速度の大きさを示す値が、角加速度に関する閾値以上でない場合(ステップS343 NO)、判定部161が、利用者が危険行動をとっていないと判定し(ステップS344)、一連の動作を終了する。
【0134】
角加速度の大きさを示す値が、角加速度に関する閾値以上である場合(ステップS343 YES)、判定部161が、利用者が危険行動をとっていると判定し(ステップS345)、一連の動作を終了する。
【0135】
また、
図12に示したフローチャートにおいては、判定部161が、利用者の位置と、危険箇所の位置との距離が、所定の距離以下であり、なおかつ、利用者の加速度もしくは角加速度の大きさを示す値が、閾値以上である場合に、利用者が危険行動をとっていると判定している。
【0136】
しかしながら、前述したように、判定部161は、例えば、利用者の位置と、危険箇所の位置との距離に関わらず、加速度または角加速度の大きさを示す値が、受信した閾値以上である場合に、利用者が危険行動を取っていると判定してもよい。
また、判定部161は、加速度または角加速度の大きさを示す値に関わらず、利用者の位置と、危険箇所の位置との距離が、所定の距離以下である場合に、利用者が危険行動をとっていると判定してもよい。
また、判定部161は、利用者の位置と、危険箇所の位置との距離が、所定の距離以下であり、なおかつ、利用者の加速度及び角加速度の大きさを示す値が、閾値以上である場合に、利用者が危険行動をとっていると判定してもよい。
【0137】
図13は、第2の実施形態に係る端末の動作を示すフローチャートである。より詳細には、第2の実施形態に係る端末1が、利用者の危険行動を検出するために用いる種々のデータをクラウド装置2から取得する動作を示すフローチャートである。
【0138】
まず始めに、検出部11が利用者の加速度、利用者の角加速度、及び地磁気を検出する(ステップS401)。次に、端末側送信部12が、利用者の加速度、利用者の角加速度、及び地磁気をクラウド装置2に対して送信する(ステップS402)。最後に、端末側受信部13が、クラウド装置2から、加速度の閾値と、危険箇所の位置情報とを受信して(ステップS403)、端末1は一連の動作を終了する。
【0139】
ただし、ステップS401は、前述した
図11のステップS301によって代用されてもよい。つまり、端末側送信部12は、ステップS301において取得された利用者の加速度、利用者の角加速度、及び地磁気をクラウド装置2に対して送信してもよい。
【0140】
また、ステップS402においては、端末側送信部12が、利用者の加速度、利用者の角加速度、及び地磁気をクラウド装置2に対して送信しているが、代わりに、利用者の加速度及び角加速度の大きさを示す値を送信するようにしてもよい。
【0141】
図13に示す一連の動作は、例えば、所定の期間毎に実行されてもよい。また、
図13に示す一連の動作は、例えば、利用者から実行するように指示されたタイミングにおいて、実行されてもよい。
【0142】
図14は、第2の実施形態に係るクラウド装置の動作を示すフローチャートである。より詳細には、第2の実施形態に係るクラウド装置2の動作を示すフローチャートである。
【0143】
まず始めに、クラウド装置側受信部21が、端末1から利用者の加速度、利用者の角加速度、及び地磁気を受信する(ステップS501)。次に、閾値決定部231が、利用者の加速度及び角加速度の大きさを示す値を算出する(ステップS502)。
なお、ステップS501において、クラウド装置側受信部21は、利用者の加速度、利用者の角加速度、及び地磁気に代わって、利用者の加速度及び角加速度の大きさを示す値を受信してもよい。この場合、ステップS502はスキップされる。
【0144】
次に、クラウド装置側受信部21が、統計情報提供システム103から危険箇所の位置情報を取得する(ステップS503)。
ただし、ステップS503は、ステップS501及びステップS502よりも前に実行されてもよいし、並行して実行されてもよい。
【0145】
次に、閾値決定部231が、利用者の加速度及び角加速度の大きさを示す値に基づいて、利用者毎に閾値を決定する(ステップS504)。最後に、クラウド装置側送信部22が、決定した閾値と、危険箇所の位置情報とを端末1に対して送信し(ステップS505)、クラウド装置2は一連の動作を終了する。
【0146】
図14に示す一連の動作は、例えば、所定の期間毎に実行されてもよい。また、
図14に示す一連の動作は、例えば、利用者から実行するように指示されたタイミングにおいて、実行されてもよい。
【0147】
以上説明したように、本実施形態に係る交通事故予防システムは、検出された利用者の加速度、利用者の角加速度、及び地磁気に基づいて、クラウド装置が利用者毎に、閾値を設定する。そして、端末1が当該閾値に基づいて、利用者の危険行動を検出する。
このような構成によって、本実施形態に係る交通事故予防システム102は、利用者個人の身体能力によらず、適切に利用者の危険行動を検出でき、その結果として、交通事故を予防できる。
【0148】
また、本実施形態に係る交通事故予防システム102は、交通事故が発生しやすい危険箇所の位置情報を用いて、利用者の危険行動を検出する。このような構成によると、交通事故の発生しやすい箇所において、利用者に対して警告を通知することができ、その結果として、交通事故を予防できる。
【0149】
さらに、本実施形態に係る交通事故予防システムは、端末1が危険行動を検出した地点の位置情報をクラウド装置2に集約し、危険箇所の位置情報として、統計情報提供システムと共有できる。このような構成によると、交通事故の発生しやすい地点を行政機関や、一般企業等との間で共有することができ、その結果として、交通事故の発生しやすい地点の状況を改善しやすくなる。
【0150】
(第3の実施形態)
<交通事故予防システムの構成>
以下、図面を参照して、第3の実施形態に係る交通事故予防システムについて詳細に説明する。第3の実施形態に係る交通事故予防システムは、第2の実施形態に係る交通予防システムの応用例である。
【0151】
図15は、第3の実施形態に係る端末の構成を示すブロック図である。第3の実施形態に係る交通事故予防システムは、センサ取り付け部17を備える点で、第2の実施形態に係る交通事故予防システムと異なる。
【0152】
センサ取り付け部17は、利用者の危険行動の検出に活用可能な外的要因を検出する種々のセンサと接続される。センサ取り付け部17に取り付けられたセンサは、検出した外的要因を制御部16に対して出力する。そして、制御部16は、より詳細には、判定部161は、取り付けられたセンサが検出した外的要因に基づいて、利用者の危険行動を検出する。
【0153】
センサ取り付け部17に対して取り付けられるセンサは、例えば、気圧を検出する気圧センサであってもよい。
この場合、端末1は、検出された気圧に基づいて、利用者が坂を昇っているか、あるいは坂を降っているかを判定してもよい。そして、利用者が坂を昇っている場合と、坂を降っている場合とで、異なる閾値を用いて利用者の危険行動を検出してもよい。
また、端末1は、検出された気圧に基づいて、利用者が転落しているか否かを判定してもよい。この場合、端末1は、所定の時間あたりの気圧の上昇値が、所定の閾値以上である場合に、利用者が転落していると判定してもよい。
【0154】
センサ取り付け部17に対して取り付けられるセンサは、例えば、気温を検出する気温センサであってもよい。
この場合、端末1は、検出された気温に基づいて、路面が凍結している可能性があるか否かを判定してもよい。そして、路面が凍結している可能性がある場合と、路面が凍結している可能性がない場合とで、異なる閾値を用いて利用者の危険行動を検出してもよい。
【0155】
このような構成によると、利用者の希望に合わせて危険行動の判定基準を変更し、より適切に利用者の危険行動を検出できる。
【0156】
(その他の実施形態)
第2及び第3の実施形態に係る交通事故予防システムにおいては、加速度の大きさを示す値を算出するために、地磁気情報を用いていた。しかしながら、本開示に係る交通事故予防システムは、利用者の向きの変化に基づいて危険行動を検出するために、地磁気情報を用いてもよい。
例えば、本開示に係る交通事故予防システムは、地磁気情報に基づいて利用者の向きを検出し、所定の時間における利用者の向きの変化が所定の閾値以上である場合に、利用者が危険行動を取っていると判定してもよい。
また、本開示に係る交通事故予防システムは、地磁気情報に基づいて利用者の向きを検出し、利用者の鉛直方向の傾きが所定の大きさ以上になった場合に、利用者が危険行動を取っていると判定してもよい。
このような構成によると、本開示に係る交通事故予防システムは、例えば、急な方向転換や、転倒等の利用者の危険行動を適切に検出できる。
【0157】
また、本開示に係る交通事故予防システムは、取得した利用者の位置情報に基づいて、利用者の速度を検出するようにしてもよい。そして、例えば、利用者の速度が所定の閾値以上であった場合に、利用者が危険行動を取っていると判定してもよい。
このような構成によると、本開示に係る交通事故予防システムは、利用者の速度を抑制でき、その結果として、交通事故の発生を抑制できる。
【0158】
なお、本明細書中において、プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0159】
以上、本開示を上記実施形態に即して説明したが、本開示は上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【0160】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
端末と、クラウド装置と、を備える、交通事故予防システムであって、
前記端末が、
少なくとも利用者の加速度を検出する検出部と、
前記検出部が検出した加速度、又は加速度の大きさを示す値を、クラウド装置に送信する端末側送信部と、
前記利用者の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記クラウド装置から、少なくとも前記利用者の加速度に基づいて決定された前記利用者の加速度に関する閾値と、交通事故が発生しやすい危険箇所の位置情報と、を受信する端末側受信部と、
前記利用者の加速度と、前記利用者の位置情報と、前記加速度に関する閾値と、前記危険箇所の位置情報と、に基づいて、前記利用者が危険行動をとっているか否かを判定する判定部と、
前記判定部が、前記利用者が危険行動を取っていると判定した場合、利用者に対して警告を通知する警告部と、を備え、
前記クラウド装置が、
少なくとも前記端末が検出した加速度、又は加速度の大きさを示す値を受信するクラウド装置側受信部と、
受信した前記利用者の加速度に基づいて利用者毎に前記加速度に関する閾値を決定する閾値決定部と、
前記危険箇所の位置情報を記憶する記憶部と、
前記閾値決定部が決定した前記閾値と、前記記憶部が記憶する危険箇所の位置情報と、を前記端末に対して送信するクラウド装置側送信部と、を備える、
交通事故予防システム。
(付記2)
前記検出部が、利用者の角加速度を更に検出し、
前記端末側送信部が、前記検出部が検出した角加速度、又は角加速度の大きさを示す値を、クラウド装置にさらに送信し、
前記端末側受信部が、前記クラウド装置から、前記利用者の角加速度に基づいて決定された前記利用者の角加速度に関する閾値を、さらに受信し、
前記判定部が、前記利用者の角加速度と、前記角加速度に関する閾値と、に基づいて、前記利用者が危険行動をとっているか否かを判定する、
付記1に記載の交通事故予防システム。
(付記3)
前記検出部が地磁気をさらに検出し、
前記利用者の加速度の大きさを示す値が、前記利用者の加速度と、前記地磁気と、に基づいて算出される、
付記1又は2に記載の交通事故予防システム。
(付記4)
前記判定部が、複数の前記利用者の加速度に関する閾値に基づいて、前記利用者の行動の危険性を評価し、
前記警告部が通知する警告内容が、前記判定部が評価した前記利用者の行動の危険性に応じて変更される、
付記1乃至3のいずれか1項に記載の交通事故予防システム。
(付記5)
前記クラウド装置が、前記加速度に関する閾値と、前記危険箇所の位置情報とを、所定の周期毎に、前記端末に対して送信する、
付記1乃至4のいずれか1項に記載の交通事故予防システム。
(付記6)
前記利用者の位置と、前記危険箇所の位置との距離が、所定の距離以下であり、なおかつ、前記利用者の加速度の大きさを示す値が、前記加速度に関する閾値以上である場合に、前記端末が、前記利用者が危険行動をとっていると判定する、
付記1乃至5のいずれか1項に記載の交通事故予防システム。
(付記7)
前記クラウド装置が、前記利用者が軽車両に乗っている場合の前記加速度に関する閾値と、前記利用者が歩行している場合の前記加速度に関する閾値と、を決定し、前記端末に対して送信する、
付記1乃至6のいずれか1項に記載の交通事故予防システム。
(付記8)
前記端末が、外的要因を検出する種々のセンサと接続されるセンサ取り付け部をさらに備え、
前記判定部が、前記センサ取り付け部と接続されたセンサが検出した外的要因に基づいて、前記利用者が危険行動をとっているか否かを判定する、
付記1乃至7のいずれか1項に記載の交通事故予防システム。
(付記9)
前記センサ取り付け部と、気圧を検出する気圧センサとが接続され、
前記判定部が、前記気圧センサが検出した気圧に基づいて、前記利用者が危険行動をとっているか否かを判定する、
付記1乃至8のいずれか1項に記載の交通事故予防システム。
(付記10)
前記センサ取り付け部と、温度を検出する温度センサとが接続され、
前記判定部が、前記温度センサが検出した温度に基づいて、前記利用者が危険行動をとっているか否かを判定する、
付記1乃至9のいずれか1項に記載の交通事故予防システム。
(付記11)
前記クラウド装置が、危険箇所の統計情報を記憶する統計情報提供システムに対して、利用者が危険行動をとった地点の位置情報を、当該統計情報の更新データとして送信する、
付記1乃至10のいずれか1項に記載の交通事故予防システム。
(付記12)
付記11に記載のクラウド装置から統計情報システムに送信された位置情報に基づいて、危険箇所の統計情報を記憶する統計情報提供システムの、危険個所の位置情報が更新されるデータ構造。
(付記13)
付記12に記載のデータ構造を保持する情報提供システム。
(付記14)
端末が、
利用者の加速度を検出し、
検出した加速度を、クラウド装置に送信し、
利用者の位置情報を取得し、
前記クラウド装置から、少なくとも前記利用者の加速度に基づいて決定された前記利用者の加速度に関する閾値と、交通事故が発生しやすい危険箇所の位置情報と、を受信し、
前記利用者の加速度と、前記利用者の位置情報と、前記前記加速度に関する閾値と、前記危険箇所の位置情報と、に基づいて、前記利用者が危険行動をとっているか否かを判定し、
前記利用者が危険行動を取っていると判定した場合、利用者に対して警告を通知し、
前記クラウド装置が、
前記端末が検出した利用者の加速度を受信し、
受信した加速度に基づいて利用者毎に前記加速度に関する閾値を決定し、
交通事故が発生しやすい危険箇所の位置情報を記憶し、
決定した前記閾値と、記憶する危険箇所の位置情報とを前記端末に対して送信する、
交通事故予防方法。
(付記15)
利用者の加速度を検出する検出部と、
前記検出部が検出した加速度を、クラウド装置に送信する端末側送信部と、
前記利用者の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記クラウド装置から、少なくとも前記利用者の加速度に基づいて決定された前記利用者の加速度に関する閾値と、交通事故が発生しやすい危険箇所の位置情報と、を受信する端末側受信部と、
前記利用者の加速度と、前記利用者の位置情報と、前記加速度に関する閾値と、前記危険箇所の位置情報と、に基づいて、前記利用者が危険行動をとっているか否かを判定する判定部と、
前記判定部が、前記利用者が危険行動を取っていると判定した場合、利用者に対して警告を通知する警告部と、を備える、
端末。
(付記16)
利用者の加速度を検出し、
検出した加速度を、クラウド装置に送信し、
前記利用者の位置情報を取得し、
前記クラウド装置から、少なくとも前記利用者の加速度に基づいて決定された前記利用者の加速度の閾値と、危険箇所の位置情報と、を受信し、
前記利用者の加速度と、前記利用者の位置情報と、前記加速度の閾値と、前記危険箇所の位置情報と、に基づいて、利用者が危険行動を取っているか否かを判定し、
前記利用者が危険行動をとっていると判定した場合に、利用者に対して警告を通知する、処理をコンピュータに実行させる、
交通事故予防プログラム。
(付記17)
端末が検出した利用者の加速度を受信するクラウド装置側受信部と、
受信した加速度に基づいて利用者毎に加速度の閾値を決定する閾値決定部と、
交通事故が発生しやすい危険箇所の位置情報を記憶する記憶部と、
前記閾値決定部が決定した前記閾値と、前記記憶部が記憶する危険箇所の位置情報と、を前記端末に対して送信するクラウド装置側送信部と、を備える、
クラウド装置。
(付記18)
端末から利用者の加速度を受信し、
受信した加速度に基づいて利用者毎に加速度の閾値を決定し、
交通事故が発生しやすい危険箇所の位置情報を記憶し、
決定した前記閾値と、記憶した前記危険箇所の位置情報と、を前記端末に対して送信する、処理をコンピュータに実行させる、
交通事故予防プログラム。
【符号の説明】
【0161】
1 端末
11 検出部
12 端末側送信部
13 端末側受信部
14 位置情報取得部
15 警告部
16 制御部
17 センサ取り付け部
161 判定部
162 動作制御部
163 端末記憶部
2 クラウド装置
21 クラウド装置側受信部
22 クラウド装置側送信部
23 演算部
231 閾値決定部
232 通信制御部
24 記憶部
101、102 交通事故予防システム
103 統計情報提供システム