(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039827
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】画像形成装置及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/377 20060101AFI20240315BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240315BHJP
G03G 21/20 20060101ALI20240315BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
B41J29/377 103
B41J29/38 104
B41J29/38 301
G03G21/20
G03G21/00 530
G03G21/00 386
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144477
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】波多野 圭
(72)【発明者】
【氏名】根津 満尚
(72)【発明者】
【氏名】奥家 章生
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ06
2C061AR01
2C061BB19
2C061CN01
2C061CN03
2C061CN08
2C061CN16
2C061CN18
2C061HJ10
2C061HK10
2C061HK19
2C061HN08
2C061HN15
2C061HT05
2C061HT13
2C061HV01
2C061HV32
2C061HV45
2H270LA71
2H270MB27
2H270MH11
2H270QA13
2H270QA23
2H270QA35
2H270QB07
2H270SA09
2H270SB16
2H270SB23
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZD05
(57)【要約】
【課題】既設の冷却部を用いて、画像形成部を冷却する冷却部を制御する制御基板に設けられた素子の損傷を防止することができる画像形成装置及び情報処理プログラムを得る。
【解決手段】画像形成装置10は、自装置が省電力状態に切り替わる場合で、かつ、自装置に設けられた画像形成部を冷却する場合に、画像形成部を冷却する第1冷却部(印刷部冷却ファン80)と、第1冷却部を制御する第1の制御基板(印刷基板70)とは別体の第2の制御基板(コントロール基板50)に設けられた第2冷却部(コントローラファン26)と、を駆動する駆動部34Cを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
自装置が省電力状態に切り替わる場合で、かつ、自装置に設けられた画像形成部を冷却する場合に、前記画像形成部を冷却する第1冷却部と、前記第1冷却部を制御する第1の制御基板とは別体の第2の制御基板に設けられた第2冷却部と、を駆動する、
画像形成装置。
【請求項2】
前記第2冷却部は、前記第1の制御基板の冷却対象より鉛直方向の上側に設けられている、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の制御基板及び前記第2の制御基板は、共に筐体により囲まれており、
前記第1の制御基板と前記第2の制御基板との各筐体の間には貫通孔が設けられている、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
自装置内及び前記画像形成部の少なくとも一方の温度に応じて、前記第1冷却部及び前記第2冷却部の少なくとも一方による冷却期間を決定する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記冷却期間を、前記画像形成部の温度が高いほど長くする、
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2冷却部は、空気冷却を行う送風機を含んで構成されており、
前記プロセッサは、
静音効果及び節電効果の何れを重視するかにより、前記第2冷却部の前記送風機の回転速度を設定する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記冷却の対象とする期間が騒音を防止したい期間である場合、他の期間に比較して、前記第2冷却部の前記送風機の回転速度を低減させる、
請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記騒音を防止したい期間は、夜間である、
請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記第2冷却部の故障が検出された場合、前記画像形成部の電源を遮断し、かつ、当該故障の旨を提示する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、
自装置が停止状態に切り替わる場合に、前記第2冷却部の故障が検出された場合、前記画像形成部の電源を遮断し、かつ、当該故障の旨を次回の自装置の起動時に提示する、
請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
自装置が省電力状態に切り替わる場合で、かつ、自装置に設けられた画像形成部を冷却する場合に、前記画像形成部を冷却する第1冷却部と、前記第1冷却部を制御する第1の制御基板とは別体の第2の制御基板に設けられた第2冷却部と、を駆動する、
処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置における冷却部を用いた温度制御に関する技術として以下の技術があった。
【0003】
特許文献1には、部品の追加によるコストアップなしに、冷却に必要な時間だけファンモータを動作させるファンモータ制御を可能とすることを目的とした画像形成装置が開示されている。
【0004】
この画像形成装置は、画像形成装置内部を冷却する冷却手段と、前記冷却手段の動作を制御する冷却制御装置とを有する画像形成装置において、前記冷却制御装置は、画像形成装置のプリント動作終了後に、該プリント動作の状況と、該プリント動作を開始する前のプリンタの状況に応じて、冷却手段の動作を制御することを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、自装置が停止状態を含む省電力状態に切り替わる場合で、かつ、自装置に設けられた現像機、定着器等を含む画像形成部、及び当該画像形成部を冷却する冷却部を制御する制御基板に対して、冷却する状態である場合がある。例えば、省電力状態に切り替わる直前まで、比較的多くの印刷を連続的に行っていた場合や、画像形成装置の使用環境の気温が比較的高い場合等である。
【0007】
そこで、この場合に、上記制御基板により上記冷却部の駆動を直ちに停止するのではなく、当該冷却部を一時的に駆動させる一時駆動制御を行う技術がある。
【0008】
しかしながら、この技術では、上記一時駆動制御を行うために、上記制御基板に設けられた少なくとも一部の素子が高温となってしまい、損傷してしまう場合がある、という問題点があった。
【0009】
本開示の目的は、既設の冷却部を用いて、画像形成部を冷却する冷却部を制御する制御基板に設けられた素子の損傷を防止することができる画像形成装置及び情報処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1態様に係る画像形成装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、自装置が省電力状態に切り替わる場合で、かつ、自装置に設けられた画像形成部を冷却する場合に、前記画像形成部を冷却する第1冷却部と、前記第1冷却部を制御する第1の制御基板とは別体の第2の制御基板に設けられた第2冷却部と、を駆動する。
【0011】
また、第2態様に係る画像形成装置は、第1態様に係る画像形成装置において、前記第2冷却部が、前記第1の制御基板の冷却対象より鉛直方向の上側に設けられているものである。
【0012】
また、第3態様に係る画像形成装置は、第2態様に係る画像形成装置において、前記第1の制御基板及び前記第2の制御基板が、共に筐体により囲まれており、前記第1の制御基板と前記第2の制御基板との各筐体の間には貫通孔が設けられているものである。
【0013】
また、第4態様に係る画像形成装置は、第1態様に係る画像形成装置において、前記プロセッサが、自装置内及び前記画像形成部の少なくとも一方の温度に応じて、前記第1冷却部及び前記第2冷却部の少なくとも一方による冷却期間を決定するものである。
【0014】
また、第5態様に係る画像形成装置は、第4態様に係る画像形成装置において、前記プロセッサが、前記冷却期間を、前記画像形成部の温度が高いほど長くするものである。
【0015】
また、第6態様に係る画像形成装置は、第1態様に係る画像形成装置において、前記第2冷却部が、空気冷却を行う送風機を含んで構成されており、前記プロセッサが、静音効果及び節電効果の何れを重視するかにより、前記第2冷却部の前記送風機の回転速度を設定するものである。
【0016】
また、第7態様に係る画像形成装置は、第6態様に係る画像形成装置において、前記プロセッサが、前記冷却の対象とする期間が騒音を防止したい期間である場合、他の期間に比較して、前記第2冷却部の前記送風機の回転速度を低減させるものである。
【0017】
また、第8態様に係る画像形成装置は、第7態様に係る画像形成装置において、前記騒音を防止したい期間が、夜間であるものである。
【0018】
また、第9態様に係る画像形成装置は、第1態様に係る画像形成装置において、前記プロセッサが、前記第2冷却部の故障が検出された場合、前記画像形成部の電源を遮断し、かつ、当該故障の旨を提示するものである。
【0019】
また、第10態様に係る画像形成装置は、第9態様に係る画像形成装置において、前記プロセッサが、自装置が停止状態に切り替わる場合に、前記第2冷却部の故障が検出された場合、前記画像形成部の電源を遮断し、かつ、当該故障の旨を次回の自装置の起動時に提示するものである。
【0020】
更に、上記目的を達成するために、第11態様に係る情報処理プログラムは、自装置が省電力状態に切り替わる場合で、かつ、自装置に設けられた画像形成部を冷却する場合に、前記画像形成部を冷却する第1冷却部と、前記第1冷却部を制御する第1の制御基板とは別体の第2の制御基板に設けられた第2冷却部と、を駆動する、処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0021】
第1態様及び第11態様によれば、画像形成部を冷却する第1冷却部のみならず、当該第1冷却部を制御する第1の制御基板とは別体の第2の制御基板に設けられた第2冷却部も駆動させることで、既設の冷却部を用いて、画像形成部を冷却する冷却部を制御する第1の制御基板に設けられた素子の損傷を防止することができる。
【0022】
第2態様によれば、第2冷却部が第1の制御基板の冷却対象より鉛直方向の上側に設けられていない場合に比較して、より効果的に、第1の制御基板に設けられた素子の損傷を防止することができる。
【0023】
第3態様によれば、貫通孔がない場合に比較して、より効果的に、第1の制御基板に設けられた素子の損傷を防止することができる。
【0024】
第4態様によれば、自装置内及び画像形成部の何れの温度も用いない場合に比較して、より確実に、第1の制御基板に設けられた素子の損傷を防止することができる。
【0025】
第5態様によれば、画像形成部の温度を用いない場合に比較して、より確実に、第1の制御基板に設けられた素子の損傷を防止することができる。
【0026】
第6態様によれば、第2冷却部の送風機の回転速度を一定とする場合に比較して、静音効果及び節電効果の何れか一方を重視した制御を行うことができる。
【0027】
第7態様によれば、第2冷却部の送風機の回転速度を一定とする場合に比較して、騒音を防止したい期間における騒音の発生を抑制することができる。
【0028】
第8態様によれば、夜間における騒音の発生を抑制することができる。
【0029】
第9態様によれば、画像形成部の電源の遮断及び故障の旨の提示を行わない場合に比較して、第1の制御基板に設けられた素子の損傷を、より確実に防止することができる。
【0030】
第10態様によれば、次回の起動時に故障の発生をユーザに把握させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る画像形成装置における要部の正面視でのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る画像形成装置の効果の説明に供するブロック図である。
【
図4】実施形態に係る画像形成装置におけるコントロール基板の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】実施形態に係る情報処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】実施形態に係る故障提示画面の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して、本開示を実施するための形態例を詳細に説明する。
【0033】
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る画像形成装置10の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の構成の一例を示すブロック図である。
【0034】
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置10は、自装置の複数の機能について機能単位に設けられた複数の機能モジュールを備えている。
【0035】
画像形成装置10は、印刷データに基づいて感光体に静電潜像を記録し、静電潜像をモノクロトナー又はカラートナーを用いて現像し、現像した画像を記録用紙に転写して出力する制御を行う印刷基板70が機能モジュールとして設けられている。この印刷基板70が、本開示の技術の第1の制御基板に相当する。
【0036】
また、画像形成装置10は、文書を読み取って印刷データを生成する読み取りモジュール22と、画像形成装置10の各種処理を指示するための操作ボタンや各種設定画面を表示する操作パネルを備える操作パネルモジュール24と、が機能モジュールとして設けられている。
【0037】
また、画像形成装置10は、後述するコントロール基板50を冷却するコントローラファン26と、ネットワークを介した通信を行うインタフェース28と、自装置内の各部に電源電力を供給する電源制御モジュール30と、が機能ブロックとして設けられている。上記コントローラファン26が本開示の技術における第2冷却部に相当する。このように、本実施形態では、本開示の技術の第2冷却部としてコントローラファン26を適用しているが、これに限るものではない。例えば、ペルチエ素子等の電気的に温度を制御することができる素子を、本開示の技術の第2冷却部として適用する形態としてもよい。また、本実施形態では、コントローラファン26として複数段階(本実施形態では、2段階)で回転速度を設定することができるものを適用しているが、これに限るものではない。例えば、予め定められた単一の回転速度のみ設定することができる送風機をコントローラファン26として適用する形態としてもよい。更に、本実施形態では、コントローラファン26としてボックスファンを適用しているが、これに限るものではなく、冷却効果を有する他の種類の送風機をコントローラファン26として適用する形態としてもよいことは言うまでもない。
【0038】
なお、本実施形態に係る電源制御モジュール30には自装置の外部に設けられた電源スイッチ46が接続されている。本実施形態に係る画像形成装置10は、電源スイッチ46に対するユーザによる操作により、各部への駆動用の電力の供給及び当該供給の遮断を切り替えることができる。
【0039】
更に、画像形成装置10は、画像形成装置10の各部を制御するコントロール基板50が機能モジュールとして設けられている。このコントロール基板50が、本開示の技術の第2の制御基板に相当する。
【0040】
本実施形態に係るコントロール基板50は、後述する情報処理プログラム32A(
図2も参照。)を含む各種プログラムやパラメータ等が記憶されたROM(Read Only Memory)32、及び各種プログラムを実行する、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)34が設けられている。また、本実施形態に係るコントロール基板50は、CPU34による各種プログラムの実行時におけるワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)36、及び印刷データを記憶するためのHDD(Hard Disk Drive)38が設けられている。また、本実施形態に係るコントロール基板50は、印刷基板70、読み取りモジュール22、操作パネルモジュール24、及びコントローラファン26を制御するモジュール制御部40が設けられている。更に、本実施形態に係るコントロール基板50は、インタフェース28による通信を制御するインタフェース制御部42、及びこれらの各部を相互に接続するためのバス44が設けられている。
【0041】
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る画像形成装置10の要部のハードウェア構成について説明する。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置10における要部の正面視でのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0042】
図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置10は、装置筐体12の内部において、印刷基板70とコントロール基板50とが、その表面が横並びとなるように設けられている。本実施形態に係る印刷基板70は略直方体状の筐体70Aの内部に設けられており、コントロール基板50もまた略直方体状の筐体50Aの内部に設けられている。
【0043】
本実施形態に係る画像形成装置10は、装置筐体12の側面に、定着部、現像部、転写部等を含む画像形成部60を冷却するための印刷部冷却ファン80が設けられている。そして、本実施形態に係る印刷基板70には、印刷部冷却ファン80の駆動を制御する印刷部ファン制御部72Aを含む、画像形成部60の駆動を統括的に制御するモジュール制御部72が設けられている。印刷部冷却ファン80が本開示の技術における第1冷却部に相当する。なお、本実施形態では、印刷部冷却ファン80として単一の回転速度のみ設定することができる送風機を適用しているが、これに限るものではない。例えば、複数段階で回転速度を設定することができるものを印刷部冷却ファン80として適用する形態としてもよい。
【0044】
一方、
図2に示すように、筐体70A及び筐体50Aは隣接して設けられており、各々の隣接する面には貫通孔90が設けられている。また、本実施形態では、上述したコントローラファン26は、筐体50Aにおける、コントロール基板50の各種素子が設けられている位置より
図2の手前側の面で、かつ、印刷基板70に設けられたモジュール制御部72より鉛直方向の上側に設けられている。
【0045】
従って、一例として
図3に示すように、本実施形態に係る画像形成装置10では、コントローラファン26により、コントロール基板50に設けられた各素子による発熱に加えて、印刷基板70における印刷部ファン制御部72Aによる発熱も放熱することができる。
【0046】
次に、
図4を参照して、本実施形態に係る画像形成装置10の機能的な構成について説明する。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置10におけるコントロール基板50の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【0047】
図4に示すように、コントロール基板50は、決定部34A、設定部34B、駆動部34C、及び遮断提示部34Dを含む。画像形成装置10におけるCPU34が上記情報処理プログラム32Aを実行することで、決定部34A、設定部34B、駆動部34C、及び遮断提示部34Dとして機能する。
【0048】
本実施形態に係る駆動部34Cは、自装置が省電力状態に切り替わる場合で、かつ、画像形成部60の冷却が必要な場合に、画像形成部60を冷却する印刷部冷却ファン80を駆動する。また、この場合に、駆動部34Cは、印刷部冷却ファン80を制御する印刷基板70とは別体のコントロール基板50に設けられたコントローラファン26を駆動する。なお、ここでいう「省電力状態」には、広義の意味で、省電力モードに加えて、停止モード(所謂シャットダウン)も含む。
【0049】
また、上記決定部34Aは、自装置内及び画像形成部60の少なくとも一方(本実施形態では、画像形成部60のみ)の温度に応じて、印刷部冷却ファン80及びコントローラファン26の少なくとも一方(本実施形態では、双方)による冷却期間を決定する。このように、本実施形態では、各ファンによる冷却期間を画像形成部60の温度に応じて決定しているが、これに限るものではない。例えば、自装置内の全体的な温度に応じて冷却期間を決定する形態としてもよいし、自装置内の全体的な温度と、画像形成部60の温度との双方の温度に応じて冷却期間を決定する形態としてもよい。また、本実施形態では、決定した冷却期間の対象とするファンを印刷部冷却ファン80及びコントローラファン26の双方としているが、これに限るものではない。例えば、印刷部冷却ファン80及びコントローラファン26の何れか一方のみを、決定した冷却期間の対象とするファンとする形態としてもよい。
【0050】
本実施形態に係る決定部34Aでは、上記冷却期間を、画像形成部60の温度が高いほど長くする。ここで、本実施形態に係る決定部34Aでは、画像形成部60の温度が高いほど冷却期間が無段階に長くなるように決定しているが、これに限るものではない。例えば、画像形成部60の温度が高いほど冷却期間が段階的に長くなるように、上記冷却期間を決定する形態としてもよい。
【0051】
また、上記設定部34Bは、静音効果及び節電効果の何れを重視するかにより、コントローラファン26の回転速度を設定する。特に、本実施形態に係る設定部34Bでは、冷却の対象とする期間が騒音を防止したい期間である場合、他の期間に比較して、コントローラファン26の回転速度を低減させる。更に、本実施形態に係る設定部34Bでは、上記騒音を防止したい期間として夜間を適用している。
【0052】
一方、上記遮断提示部34Dは、コントローラファン26の故障が検出された場合、画像形成部60の電源を遮断し、かつ、当該故障の旨を提示する。本実施形態では、遮断提示部34Dによる提示として、上述した操作パネルに設けられた表示部による表示による提示を適用しているが、これに限るものではない。例えば、音声再生装置による音声による提示や、画像形成部60による印刷による提示を、遮断提示部34Dによる提示として適用する形態としてもよい。
【0053】
本実施形態に係る画像形成装置10では、画像形成部60の近傍に当該画像形成部60の温度を検出する温度センサ(図示省略。)が設けられている。そして、印刷基板70におけるモジュール制御部72は、当該温度センサによって検出された温度に応じて、印刷部冷却ファン80及びコントローラファン26による冷却期間を上述したように決定する。そして、モジュール制御部72は、当該冷却期間を示す情報を、各ファンによる冷却を指示する指示情報と共にコントロール基板50に送信する。この指示情報を受信すると、コントロール基板50に設けられたCPU34は、当該指示情報と共に受信した情報が示す冷却期間だけ印刷部冷却ファン80及びコントローラファン26を回転駆動させる制御を行う。
【0054】
次に、
図5~
図6を参照して、本実施形態に係る画像形成装置10の作用として、情報処理を実行する場合の画像形成装置10の作用を説明する。本実施形態に係る情報処理は、画像形成装置10の電源がオン状態とされており、画像形成処理や画像読取処理等の各種処理の実行待ちをしている状態(スタンバイ状態)で省電力モードに切り替わる場合に、CPU34が情報処理プログラム32Aを実行することで実行される。なお、ここでは、錯綜を回避するために、静音効果及び節電効果の何れを重視するかが画像形成装置10のユーザや管理者等によって予め設定されている場合について説明する。また、ここでは、画像形成装置10における画像形成処理等の各種処理が最後に実行された時点から省電力モードに移行させるまでの待機期間(一例として10分)が予め設定されている場合について説明する。
【0055】
図5のステップ100で、CPU34は、画像形成処理等の各種処理が最後に実行された時点から上記待機期間が経過するまで待機することで、省電力モードへの遷移が可能となるまで待機する。ステップ102で、CPU34は、電源制御モジュール30に対して、印刷基板70、読み取りモジュール22、コントローラファン26等の周辺モジュールや、画像形成部60への給電を停止するように制御する。
【0056】
ステップ104で、CPU34は、ステップ102による給電の停止に先立って、印刷基板70から上述した指示情報を受信したか否かを判定することで、自装置内の冷却が必要か否かを判定する。ここで、CPU34は、否定判定となった場合は本情報処理を終了する一方、肯定判定となった場合はステップ106に移行する。
【0057】
ステップ106で、CPU34は、印刷基板70に対する給電を再開するように電源制御モジュール30を制御した後、印刷基板70のモジュール制御部72における印刷部ファン制御部72Aに対して、印刷部冷却ファン80の回転駆動を指示する。当該指示を受けると、印刷部ファン制御部72Aは、印刷部冷却ファン80の回転駆動が行われるように制御する。
【0058】
ステップ108で、CPU34は、コントローラファン26の回転速度を次に示すように設定する。
【0059】
まず、CPU34は、この時点が予め定められた夜間(本実施形態では、午後5時から午前4時までの間)であるか否かを判定する。
【0060】
次いで、CPU34は、この時点が夜間であり、かつ、静音効果を重視することが設定されている場合は、コントローラファン26の回転速度を低速側に設定する。一方、CPU34は、この時点が夜間であり、かつ、節電効果を重視することが設定されている場合、及びこの時点が夜間ではない場合は、コントローラファン26の回転速度を高速側に設定する。
【0061】
このように、本実施形態では、夜間か否かと、重視する効果との双方を考慮してコントローラファン26の回転速度を設定する形態とされているが、これに限るものではない。例えば、夜間か否かと、重視する効果との何れか一方のみを考慮してコントローラファン26の回転速度を設定する形態としてもよい。また、本実施形態では、夜間であり、かつ、静音効果を重視する場合のみ、コントローラファン26の回転速度を低速側に設定しているが、これに限るものではない。例えば、夜間か否かに関わらず、静音効果を重視する場合は、コントローラファン26の回転速度を強制的に低速側に設定する形態としてもよい。
【0062】
ステップ110で、CPU34は、コントローラファン26の回転駆動が行われるようにモジュール制御部40を介して制御する。これに応じて、コントローラファン26は、ステップ108の処理によって設定された回転速度での回転を開始することになるが、コントローラファン26が故障している場合は、当該回転が開始しない。
【0063】
そこで、ステップ112で、CPU34は、コントローラファン26が回転しているか否かを判定することで、コントローラファン26が故障しているか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ114に移行する。
【0064】
ステップ114で、CPU34は、予め定められた構成とされた故障提示画面を操作パネルの表示部によって表示するように、操作パネルモジュール24を介して制御した後、ステップ118に移行する。
図6には、本実施形態に係る故障提示画面の一例が示されている。
【0065】
図6に示すように、本実施形態に係る故障提示画面では、コントローラファン26が故障している旨、及び修理の依頼を促す旨を示すメッセージが表示される。従って、ユーザや管理者等は、当該故障提示画面を参照することで、コントローラファン26が故障していることを容易に把握することができる。
【0066】
一方、ステップ112において否定判定となった場合、即ち、コントローラファン26が故障していない場合はステップ116に移行する。ステップ116で、CPU34は、上述した指示情報と共に受信した情報が示す冷却期間が経過したか否かを判定し、否定判定となった場合はステップ112に戻る一方、肯定判定となった場合はステップ118に移行する。
【0067】
ステップ118で、CPU34は、印刷基板70のモジュール制御部72における印刷部ファン制御部72Aに対して、印刷部冷却ファン80の回転駆動の停止を指示した後、印刷基板70に対する給電を停止するように電源制御モジュール30を制御する。
【0068】
ステップ120で、CPU34は、コントローラファン26の回転駆動が停止するようにモジュール制御部40を介して制御し、その後に本情報処理を終了する。
【0069】
なお、本情報処理の実行終了後に省電力モードからスタンバイ状態に復帰する際に、CPU34は、画像形成処理等の各種処理を実行可能とするべく、各部への給電を行うように電源制御モジュール30を制御することになる。
【0070】
なお、上記実施形態では、本開示の技術を、スタンバイ状態から省電力モードに移行する処理に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、スタンバイ状態から停止モード(電源スイッチ46の操作による電源オフ(シャットダウン)状態)に移行する処理に本開示の技術を適用する形態としてもよい。
【0071】
この場合のスタンバイ状態から停止モードに移行する処理は、上記情報処理と略同様の処理となる。但し、ステップ120の処理の後に、CPU34が、コントロール基板50を含む、ステップ102の処理によって給電を停止した部位を除く各部への給電を停止するように制御する点が相違する。
【0072】
この場合、CPU34は、コントローラファン26の故障が検出された場合には、画像形成部60の電源を遮断し、かつ、当該故障の旨を次回の自装置の起動時に提示する形態としてもよい。これにより、次回の起動時に故障の発生をユーザや管理者等に把握させることができる。
【0073】
また、上記実施形態では、騒音を防止したい期間として夜間を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、昼休み時間等の休憩時間を騒音を防止したい期間として適用する形態としてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、冷却期間を印刷基板70において決定する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、コントロール基板50のCPU34が、画像形成部60の温度を検出して冷却期間を決定する形態としてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、印刷部冷却ファン80の回転駆動の制御を、印刷基板70の印刷部ファン制御部72Aを介して行う場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、コントロール基板50のCPU34が印刷部冷却ファン80の回転駆動の制御を直接行う形態としてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、コントローラファン26及び印刷部冷却ファン80による冷却期間を同一とした場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、コントローラファン26の方が印刷部冷却ファン80より冷却期間が長い形態としてもよいし、印刷部冷却ファン80の方がコントローラファン26より冷却期間が長い形態としてもよい。例えば、コントローラファン26の方が印刷部冷却ファン80より冷却期間が長い場合は、より確実に空冷を行いたい場合等であり、印刷部冷却ファン80の方がコントローラファン26より冷却期間が長い場合は、より節電したい場合等である。
【0077】
また、上記実施形態では、情報処理のステップ116の処理において、指示情報と共に受信した情報が示す冷却期間が経過したことをもって冷却が完了したと判定する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、画像形成部60の温度が予め定められた閾値以下となったことをもって冷却が完了したと判定する形態としてもよい。
【0078】
以上、実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0079】
また、上記実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の組み合わせにより種々の発明が抽出される。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0080】
また、上記実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えば、CPU等)や、専用のプロセッサ(例えば、GPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0081】
更に、上記実施形態では、情報処理を、プログラムを実行することにより、コンピュータを利用してソフトウェア構成により実現する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、情報処理を、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成の組み合わせによって実現する形態としてもよい。
【0082】
その他、上記実施形態で説明した画像形成装置10の構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したりしてもよいことは言うまでもない。
【0083】
また、上記実施形態で説明した情報処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよいことは言うまでもない。
【0084】
(付記)
(((1)))
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
自装置が省電力状態に切り替わる場合で、かつ、自装置に設けられた画像形成部を冷却する場合に、前記画像形成部を冷却する第1冷却部と、前記第1冷却部を制御する第1の制御基板とは別体の第2の制御基板に設けられた第2冷却部と、を駆動する、
画像形成装置。
(((2)))
前記第2冷却部は、前記第1の制御基板の冷却対象より鉛直方向の上側に設けられている、
(((1)))に記載の画像形成装置。
(((3)))
前記第1の制御基板及び前記第2の制御基板は、共に筐体により囲まれており、
前記第1の制御基板と前記第2の制御基板との各筐体の間には貫通孔が設けられている、
(((2)))に記載の画像形成装置。
(((4)))
前記プロセッサは、
自装置内及び前記画像形成部の少なくとも一方の温度に応じて、前記第1冷却部及び前記第2冷却部の少なくとも一方による冷却期間を決定する、
(((1)))から(((3)))の何れか1項に記載の画像形成装置。
(((5)))
前記プロセッサは、
前記冷却期間を、前記画像形成部の温度が高いほど長くする、
(((4)))に記載の画像形成装置。
(((6)))
前記第2冷却部は、空気冷却を行う送風機を含んで構成されており、
前記プロセッサは、
静音効果及び節電効果の何れを重視するかにより、前記第2冷却部の前記送風機の回転速度を設定する、
(((1)))から(((5)))の何れか1項に記載の画像形成装置。
(((7)))
前記プロセッサは、
前記冷却の対象とする期間が騒音を防止したい期間である場合、他の期間に比較して、前記第2冷却部の前記送風機の回転速度を低減させる、
(((6)))に記載の画像形成装置。
(((8)))
前記騒音を防止したい期間は、夜間である、
(((7)))に記載の画像形成装置。
(((9)))
前記プロセッサは、
前記第2冷却部の故障が検出された場合、前記画像形成部の電源を遮断し、かつ、当該故障の旨を提示する、
(((1)))から(((8)))の何れか1項に記載の画像形成装置。
(((10)))
前記プロセッサは、
自装置が停止状態に切り替わる場合に、前記第2冷却部の故障が検出された場合、前記画像形成部の電源を遮断し、かつ、当該故障の旨を次回の自装置の起動時に提示する、
(((9)))に記載の画像形成装置。
【0085】
(((1)))に係る画像形成装置によれば、画像形成部を冷却する第1冷却部のみならず、当該第1冷却部を制御する第1の制御基板とは別体の第2の制御基板に設けられた第2冷却部も駆動させることで、既設の冷却部を用いて、画像形成部を冷却する冷却部を制御する第1の制御基板に設けられた素子の損傷を防止することができる。
(((2)))に係る画像形成装置によれば、第2冷却部が第1の制御基板の冷却対象より鉛直方向の上側に設けられていない場合に比較して、より効果的に、第1の制御基板に設けられた素子の損傷を防止することができる。
(((3)))に係る画像形成装置によれば、貫通孔がない場合に比較して、より効果的に、第1の制御基板に設けられた素子の損傷を防止することができる。
(((4)))に係る画像形成装置によれば、自装置内及び画像形成部の何れの温度も用いない場合に比較して、より確実に、第1の制御基板に設けられた素子の損傷を防止することができる。
(((5)))に係る画像形成装置によれば、画像形成部の温度を用いない場合に比較して、より確実に、第1の制御基板に設けられた素子の損傷を防止することができる。
(((6)))に係る画像形成装置によれば、第2冷却部の送風機の回転速度を一定とする場合に比較して、静音効果及び節電効果の何れか一方を重視した制御を行うことができる。
(((7)))に係る画像形成装置によれば、第2冷却部の送風機の回転速度を一定とする場合に比較して、騒音を防止したい期間における騒音の発生を抑制することができる。
(((8)))に係る画像形成装置によれば、夜間における騒音の発生を抑制することができる。
(((9)))に係る画像形成装置によれば、画像形成部の電源の遮断及び故障の旨の提示を行わない場合に比較して、第1の制御基板に設けられた素子の損傷を、より確実に防止することができる。
(((10)))に係る画像形成装置によれば、次回の起動時に故障の発生をユーザに把握させることができる。
【符号の説明】
【0086】
10 画像形成装置
12 装置筐体
22 読み取りモジュール
24 操作パネルモジュール
26 コントローラファン
28 インタフェース
30 電源制御モジュール
32 ROM
32A 情報処理プログラム
34 CPU
34A 決定部
34B 設定部
34C 駆動部
34D 遮断提示部
36 RAM
38 HDD
40 モジュール制御部
42 インタフェース制御部
44 バス
46 電源スイッチ
50 コントロール基板
50A 筐体
60 画像形成部
70 印刷基板
70A 筐体
72 モジュール制御部
72A 印刷部ファン制御部
80 印刷部冷却ファン
90 貫通孔