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特開2024-39836自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法及びその塗布装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039836
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法及びその塗布装置
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/30 20060101AFI20240315BHJP
   B05D 5/00 20060101ALI20240315BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20240315BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20240315BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20240315BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20240315BHJP
   B05C 9/14 20060101ALI20240315BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
B05D1/30
B05D5/00 Z
B05D7/00 K
B05D7/00 B
B05D7/24 303B
B05D3/00 G
B05C5/00 102
B05C9/14
B05C11/10
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144495
(22)【出願日】2022-09-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2022年8月1日にアクリコネクト株式会社のホームページの広告 https://akriconnect.com/product/竹炭箸/にて発表
(71)【出願人】
【識別番号】518363598
【氏名又は名称】株式会社ジェイ-パック化工
(74)【代理人】
【識別番号】100161355
【弁理士】
【氏名又は名称】野崎 俊剛
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 実
(72)【発明者】
【氏名】角掛 竜太郎
【テーマコード(参考)】
4D075
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4D075AC12
4D075AC13
4D075AC88
4D075AC91
4D075BB14Y
4D075BB16Y
4D075BB57Z
4D075CA35
4D075CA45
4D075CA47
4D075CA48
4D075DC38
4D075EA05
4D075EB07
4D075EC01
4D075EC03
4D075EC07
4F041AA01
4F041AB01
4F041BA07
4F041BA13
4F041BA32
4F041BA34
4F042AA01
4F042AB00
4F042BA19
4F042CA01
4F042CA04
4F042CA06
4F042CB02
4F042CB20
4F042DB17
4F042DB26
4F042DF02
4F042DF15
4F042DF24
(57)【要約】
【課題】竹箸に自然塗料を塗布して塗装状態を良好に保つことができる簡易な自然塗料抗菌竹染箸の塗布技術を提供すること。
【解決手段】自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法は、竹箸本体に天然素材を原料とした自然塗料を塗布する方法であり、竹箸本体の長手方向が上下方向となるように竹箸本体を箸立て治具にセットする竹箸セット工程と、箸立て治具にセットした竹箸本体に上方から下方に向けて自然塗料をかけ流して塗布する塗布工程と、自然塗料が塗布された竹箸本体を乾燥させて自然塗料抗菌竹染箸を得る乾燥工程と、を備えている。
を備えている
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
竹箸本体に天然素材を原料とした自然塗料を塗布する自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法であって、
前記自然塗料には、シリカと酸化カルシウムとを含むものを使用し、
前記竹箸本体の長手方向が上下方向となるように前記竹箸本体を箸立て治具にセットする竹箸セット工程と、
前記箸立て治具にセットした前記竹箸本体に上方から下方に向けて前記自然塗料をかけ流して塗布する塗布工程と、
前記自然塗料が塗布された前記竹箸本体を乾燥させて自然塗料抗菌竹染箸を得る乾燥工程と、
を備えていることを特徴とする自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法。
【請求項2】
請求項1記載の自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法であって、
前記自然塗料は、シリカと水酸化カルシウムとを配合した除菌剤を含むことを特徴とする自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法であって、
前記塗布工程の後に、前記竹箸本体に塗布された余分な前記自然塗料を切って落とす余分塗料落とし工程を備え、
前記余分塗料落とし工程は、前記箸立て治具を移動させて固定された液落とし棒に当てて衝撃を加えることで前記竹箸本体に塗布された余分な前記自然塗料を切って落とすことを特徴とする自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法。
【請求項4】
請求項1又は請求項2記載の自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法であって、
前記自然塗料を容器内で撹拌する撹拌工程と、
高周波振動機構により前記自然塗料に高周波で振動を与える高周波振動工程と、
を備えていることを特徴とする自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法。
【請求項5】
請求項1又は請求項2記載の自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法であって、
乾燥工程は、前記箸立て治具にセットした前記竹箸本体に上方から下方に向けて風を当てることを特徴とする自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法。
【請求項6】
竹箸本体に天然素材を原料とした自然塗料を塗布する自然塗料抗菌竹染箸の塗布装置であって、
前記竹箸本体の長手方向が上下方向となるように前記竹箸本体を支持する箸立て治具と、前記自然塗料を貯留する容器と、前記容器内に設けられ前記自然塗料を撹拌する撹拌機構と、前記容器内に設けられ前記自然塗料に高周波で振動を与える高周波振動機構と、前記容器に設けられ前記箸立て治具にセットした前記竹箸本体に上方から下方に向けて前記自然塗料をかけ流して塗布する塗布機構と、前記自然塗料が塗布された前記竹箸本体に上方から下方に向けて風を当て乾燥させて自然塗料抗菌竹染箸を得る乾燥室と、前記容器に設けられ前記箸立て治具を前記塗布機構から前記乾燥室まで移動させる移動機構と、を備えていることを特徴とする自然塗料抗菌竹染箸の塗布装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竹箸本体に天然素材を原料とした自然塗料を塗布する自然塗料抗菌竹染箸の塗布技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、竹製や木製の箸の表面に塗料を塗布することでデザイン性、抗菌性、防カビ性の機能を有する竹箸、木箸が知られている。竹箸、木箸に塗装を塗布する方法には、刷毛で塗料を竹箸、木箸に塗る方法、容器に塗料を貯留してその中に竹箸、木箸を入れる(いわゆるどぶづけ)方法等があるが、これらの方法では作業工数の増加や、塗装ムラができやすく仕上げが難しいといった問題がある。このような中、機械を使用して竹箸等に塗料を塗布する技術が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1の技術は、塗料を入れた塗料タンクの前面に箸をその先端から挿入し得る挿入孔付き可撓膜を張るように設け、塗料タンクの前面側に設けた供給手段で箸を可撓膜の挿通孔に向かって押圧するように構成する一方、塗料タンク内に押し込まれた箸の先端に当接させるように塗料タンク内に臨ませた支持体を箸の長手軸線に沿って移動可能に設け、塗料タンクを、塗料タンク内に箸が押し込まれた状態にて水平反転して箸の根元部を挟持して引き抜く排出手段が塗料タンクから離れて移動するのに同調し、支持体で塗料タンク内の箸の先端を可撓膜に向かって押し戻すように構成した箸等の塗装装置である。
【0004】
ところで、竹箸や木箸に塗布する抗菌性、防カビ性を有する塗料には大きく分けて2種類ある。一方は、キシレン、トルエン、プラスチック系等の材料が含まれた化学塗料である。他方は、柿渋、荏胡麻油、桐油、米油、ひまし油、米ぬかロウ、カルナバロウ等の材料が含まれた自然塗料である。化学塗料の例としては、特許文献2や特許文献3に開示された技術が知られている。
【0005】
特許文献2の技術は、工業用防カビ組成物に関するものであり、従来からハロゲン化フェノール化合物や有機錫化合物が使われており、これらは急性及び慢性毒性が強い点、これをある程度改善した化合物等が開示されている。特許文献3では、竹製食器の表面にウレタン塗膜層を少なくとも3層以上設けた技術が開示されている。
【0006】
しかし、特許文献2、3の技術はいずれも化学塗料であり、竹箸等に塗布して使用した場合、竹箸は人間の口内や歯に接触して使用されることから、現在では安全性や環境性の面で化学塗料を塗布した箸等は好ましくない。
【0007】
また、自然塗料の例としては、特許文献4に開示された技術が知られている。特許文献4の技術は、柿渋を用いて容易に抗菌性等を付与することができる材料表面処理方法、及び抗菌性材料の製造方法に関するものであり、水溶性柿渋成分を材料表面に付着させる工程、及び、水溶性柿渋成分が付着した材料表面をアルデヒドガスに暴露する工程を有することが開示されている。
【0008】
しかし、特許文献4では、水溶性柿渋成分を材料表面に付着させる工程は、水溶性柿渋成分を含む塗料を材料(竹等)に塗り広げているだけであり、その後のアルデヒドガスに暴露する工程は、容器を用いて、ホルムアルデヒド水溶液の濃度を35重量%に一定にし、反応温度をそれぞれ4℃、40℃、60℃にして、柿渋コーティング木綿布の不溶化反応を行う必要がある。このため、量産される竹箸に自然塗料を塗布するには設備が複雑になるうえ、アルデヒドガスの管理も必要になり生産コストが高くなり実施することが難しい。
【0009】
また、自然塗料は化学塗料に比較して、竹箸や木箸への塗料の定着が悪く(塗料の浸透性が悪く)、単に自然塗料を刷毛で塗っただけ、または容器に貯留された自然塗料内に竹箸、木箸を入れただけ(いわゆるどぶづけ)では、塗装ムラが生じやすい。図7(B)は比較例1の竹箸に自然塗料を塗布した写真であり、容器に貯留された自然塗料内に竹箸を投入したものの、所定の時間経過すると竹箸の表面に塗装ムラが生じる。また、図7(C)は比較例2の木箸(一般的な木製の割箸)に自然塗料を塗布した写真であり、容器に貯留された自然塗料内に木箸を投入したものの、図7(B)に示す竹箸よりかは木箸の方が、若干塗装ムラが少ないが、やはり塗装自体の定着が悪く塗装が薄くなるうえ塗装ムラも残る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平2-280870号公報
【特許文献2】特開昭63-264504号公報
【特許文献3】特開2022-76224号公報
【特許文献4】特開2012-180613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、竹箸に自然塗料を塗布して塗装状態を良好に保つことができる簡易な自然塗料抗菌竹染箸の塗布技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施例によれば、竹箸本体に天然素材を原料とした自然塗料を塗布する自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法であって、
前記自然塗料には、シリカと酸化カルシウムとを含むものを使用し、
前記竹箸本体の長手方向が上下方向となるように前記竹箸本体を箸立て治具にセットする竹箸セット工程と、
前記箸立て治具にセットした前記竹箸本体に上方から下方に向けて前記自然塗料をかけ流して塗布する塗布工程と、
前記自然塗料が塗布された前記竹箸本体を乾燥させて自然塗料抗菌竹染箸を得る乾燥工程と、
を備えていることを特徴とする。
【0013】
かかる構成によれば、自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法は、自然塗料には、シリカと酸化カルシウムとを含むものを使用し、竹箸セット工程で竹箸本体の長手方向が上下方向となるように竹箸本体を箸立て治具にセットし、塗布工程で箸立て治具にセットした竹箸本体に上方から下方に向けて自然塗料をかけ流して塗布する。シリカ(ケイ素、詳細には二酸化ケイ素、または二酸化ケイ素によって構成される物質)は、レジオネラ菌や大腸菌などの殺菌に優れた効果を発揮し、雑菌や臭いの原因菌の繁殖を抑え、消臭効果を有する。また、酸化カルシウムは、実施例では帆立貝殻を焼成した帆立貝殻焼成カルシウム使用するところ、水と反応すると水酸化カルシウムに変換してアルカリpHが12以上になり、細菌(ウィルス)が生存できない。このような性質を持つシリカと帆立貝殻焼成カルシウムとを含む自然塗料を使用するので、抗菌(抗ウィルス)、除菌、防臭、防カビにおいて優れた効果を有する。また、一般的に竹箸は繊維方向と長手方向を合わせている。このため、竹箸本体の長手方向が上下方向に沿った状態で上方から下方に向けて自然塗料をかけ流し、重力も加わった勢いがついた自然塗料を竹箸本体の繊維方向に沿ってぶつけるように塗布するので、自然塗料を竹箸本体の繊維に沿って浸透させて定着させることができる。
【0014】
仮に、従来技術のように刷毛で自然塗料を竹箸本体に塗布すると、自然塗料を竹箸本体に広げるようにして塗ることができても、自然塗料に勢いがついた状態で竹箸本体の繊維方向に沿ってぶつけるように塗布することができないため、自然塗料があまり浸透せずに定着性が悪く、塗装ムラができやすい。また仮に、従来技術のように竹箸本体を自然塗料に入れると(どぶづけすると)、自然塗料が竹箸本体の表面に付着しても、自然塗料に勢いがついた状態で竹箸本体の繊維方向に沿ってぶつけるように塗布することができないため、自然塗料があまり浸透せずに定着性が悪く、塗装ムラができやすい。この点、本発明は、自然塗料を竹箸本体の繊維に沿って浸透させて定着させることができ、その結果、竹箸に自然塗料を塗布して塗装状態を良好に保つことができる簡易な自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法とすることができる。
【0015】
好ましくは、前記自然塗料は、シリカと水酸化カルシウムとを配合した除菌剤を含む。
【0016】
かかる構成によれば、自然塗料は、シリカと水酸化カルシウムとを配合した除菌剤を含み、アルカリpHが12以上になり、細菌(ウィルス)が生存できない状態となるので、より一層除菌効果を高めることができる。
【0017】
好ましくは、前記塗布工程の後に、前記竹箸本体に塗布された余分な前記自然塗料を切って落とす余分塗料落とし工程を備え、
前記余分塗料落とし工程は、前記箸立て治具を移動させて固定された液落とし棒に当てて衝撃を加えることで前記竹箸本体に塗布された余分な前記自然塗料を切って落とす。
【0018】
かかる構成によれば、余分塗料落とし工程で竹箸本体に塗布された余分な自然塗料を切って落とすので、自然塗料を塗布した仕上がりの状態を良好にすることができる。さらに、余分塗料落とし工程は、塗布工程から乾燥工程へ移動する途中で、箸立て治具を移動させて固定された液落とし棒に当てて衝撃を加えることで竹箸本体に塗布された余分な自然塗料を切って落とすので、液落とし棒のみからなる簡易な設備で設備コストを低減することができる。さらに、次工程への箸立て治具の移動を利用するだけであるので、余分塗料落とし工程のための余計な工数を取らずに全体として短時間で塗布から乾燥まで行うことができる。これにより、塗布工程の終わりから乾燥工程の開始までは10秒以内に移行する必要があるところ、余分塗料落とし工程のための余計な工数を取らないので、10秒以内の移行を実現し且つ余分な自然塗料を切って落とし、仕上がりの状態をより良好にすることができる。
【0019】
好ましくは、前記自然塗料を容器内で撹拌する撹拌工程と、
高周波振動機構により前記自然塗料に高周波で振動を与える高周波振動工程と、
を備えている。
【0020】
かかる構成によれば、撹拌工程で自然塗料を撹拌するので、自然塗料を均一にすることができる。さらに、高周波振動工程で高周波振動機構により塗布する直前の自然塗料に高周波で振動を与えることで、自然成分をナノレベルに粒子を小さくし、竹箸本体への自然塗料の浸透性を向上させ、短時間で(例えば30秒で)自然塗料を竹箸本体により一層定着させることができる。
【0021】
好ましくは、乾燥工程は、前記箸立て治具にセットした前記竹箸本体に上方から下方に向けて風を当てる。
【0022】
かかる構成によれば、乾燥工程は、箸立て治具にセットした竹箸本体に上方から下方に向けて風を当てるので、乾燥させる風を利用して自然塗料を竹箸本体の繊維方向に沿って流しつつ浸透させ、自然塗料をより定着させることができる。さらに、自然塗料抗菌竹染箸の長手方向に沿った塗布を実現させて自然な仕上がりとすることができる。
【0023】
好ましくは、竹箸本体に天然素材を原料とした自然塗料を塗布する自然塗料抗菌竹染箸の塗布装置であって、
前記竹箸本体の長手方向が上下方向となるように前記竹箸本体を支持する箸立て治具と、前記自然塗料を貯留する容器と、前記容器内に設けられ前記自然塗料を撹拌する撹拌機構と、前記容器内に設けられ前記自然塗料に高周波で振動を与える高周波振動機構と、前記容器に設けられ前記箸立て治具にセットした前記竹箸本体に上方から下方に向けて前記自然塗料をかけ流して塗布する塗布機構と、前記自然塗料が塗布された前記竹箸本体に上方から下方に向けて風を当て乾燥させて自然塗料抗菌竹染箸を得る乾燥室と、前記容器に設けられ前記箸立て治具を前記塗布機構から前記乾燥室まで移動させる移動機構と、を備えている。
【0024】
かかる構成によれば、箸立て治具、自然塗料を貯留する容器、撹拌機構、高周波振動機構、塗布機構、乾燥室、移動機構からなり、従来技術のようなアルデヒドガスの管理が不要な簡易な設備とすることができる。さらに、撹拌機構と高周波振動機構により均一で浸透し易い自然塗料を、竹箸本体の繊維方向(長手方向)に沿って重力も加わった勢いがついた状態でぶつけるように塗布するので、自然塗料を竹箸本体の繊維に沿って浸透させて定着させることができる。さらに、乾燥室で竹箸本体に上方から下方に向けて風を当て乾燥させるので、乾燥させる風を利用して自然塗料を竹箸本体の繊維方向に沿って流しつつ浸透させ、自然塗料をより定着させることができる。その結果、竹箸に自然塗料を塗布して塗装状態を良好に保つことができる簡易な自然塗料抗菌竹染箸の塗布装置とすることができる。
【発明の効果】
【0025】
竹箸に自然塗料を塗布して塗装状態を良好に保つことができる簡易な自然塗料抗菌竹染箸の塗布技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施例に係る自然塗料抗菌竹染箸の塗布装置の説明図である。
図2】(A)は実施例の箸立て治具の斜視図である。(B)は実施例の箸立て治具の要部平面図である。
図3】実施例の自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法のフロー図である。
図4】(A)は竹箸セット工程の作用図である。(B)は箸立て治具の移動の作用図である。(C)は箸立て治具を支持部に載せる作用図である。
図5】(A)は塗布工程の作用図である。(B)は余分塗料落とし工程の作用図である。(C)は余分塗料落とし工程後の支持部(箸立て治具)の移動状態を説明する図である。
図6】(A)は乾燥工程の作用図である。(B)は箸立て治具の取り出しを説明する図である。
図7】(A)は実施例の自然塗料抗菌竹染箸の仕上がり状態を説明する図である。(B)は比較例1の自然塗料抗菌竹染箸の仕上がり状態を説明する図である。(C)は比較例2の自然塗料木箸の仕上がり状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を実施するための形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は自然塗料抗菌竹染箸の塗布装置を概念的(模式的)に示すものとする。
【実施例0028】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。まず、実施例の自然塗料抗菌竹染箸の塗布装置10について説明する。
図1に示されるように、自然塗料抗菌竹染箸の塗布装置10は、竹箸本体81に天然素材を原料とした自然塗料82を塗布するものである。自然塗料82は、シリカと、酸化カルシウムとを含むものである。さらに自然塗料82は、シリカ及び酸化カルシウムに、柿渋、荏胡麻油、桐油、米油、ひまし油、米ぬかロウ、カルナバロウ等の材料を含ませて融合している。シリカ(ケイ素、詳細には二酸化ケイ素、または二酸化ケイ素によって構成される物質)は、レジオネラ菌や大腸菌などの殺菌に優れた効果を発揮し、雑菌や臭いの原因菌の繁殖を抑え、消臭効果を有する。また、酸化カルシウムは、実施例では帆立貝殻を焼成した帆立貝殻焼成カルシウム使用するところ、水と反応すると水酸化カルシウムに変換してアルカリpHが12以上になり、細菌(ウィルス)が生存できない。このような性質を持つシリカと帆立貝殻焼成カルシウムとを含む自然塗料を使用するので、抗菌(抗ウィルス)、除菌、防臭、防カビにおいて優れた効果を有する。キシレン、トルエン、プラスチック系等の材料を含む化学塗料と異なり、自然塗料82はキシレン、トルエン、プラスチック系等の材料を含まず、一般的に化学塗料と比較して竹箸や木箸への塗料の定着性が悪い。
【0029】
自然塗料抗菌竹染箸の塗布装置10は、竹箸本体81の長手方向が上下方向となるように竹箸本体81を支持する箸立て治具12と、自然塗料82を貯留する容器20と、この容器20内に設けられ自然塗料82を撹拌する撹拌機構30と、容器20内に設けられ自然塗料82に高周波で振動を与える高周波振動機構40と、容器に設けられ箸立て治具12にセットした竹箸本体81に上方から下方に向けて自然塗料82をかけ流して塗布する塗布機構50と、自然塗料82が塗布された竹箸本体81に上方から下方に向けて風を当て乾燥させて自然塗料抗菌竹染箸80(図6(B)、図7(A)参照)を得る乾燥室60と、容器20に設けられ箸立て治具12を塗布機構50から乾燥室60まで移動させる移動機構70と、を備えている。
【0030】
次に箸立て治具12について説明する。
図1図2に示されるように、箸立て治具12は、直方体状の本体部13と、この本体部13に複数形成され上下に貫通する断面星形の貫通孔14と、本体部13の側面にピボットヒンジ15を介して揺動可能に設けられ吊り上げられる取っ手16と、この取っ手16の上部に設けられ上方に凸状に曲がった引っかけ部17と、を備えている。貫通孔17を上下方向に貫通させることで、竹箸本体81の長手方向が上下方向となるように真っすぐ支持することができる。また、貫通孔17を断面星形にすることで、自然塗料82を上方からかけ流したときに竹箸本体81の上端から下端まで自然塗料82を塗布しつつ、余分な自然塗料82を下方へ流し落とすことができる。
【0031】
次に容器20について説明する。
図1図5に示されるように、容器20は自然塗料82を貯留するものであり、箱状に形成されている。容器20は、合成樹脂製、金属製、コンクリート製などでよく、材質は問わない。容器20は、図左右方向中程で自然塗料82の液面より上方に、図表裏方向に延びるように液落とし棒21が所定の間隔を空けて2本設けられている。なお、実施例では、液落とし棒21を2本としたが、これに限定されず、0本、1本、3本以上であってもよい。液落とし棒21は、これに移動機構70の支持部78を介して箸立て治具12を当て、その衝撃を利用して竹箸本体81や箸立て治具12等に付着した余分な自然塗料82を液切りするものである。
【0032】
次に撹拌機構30について説明する。
図1に示されるように、撹拌機構30は、容器20の底部に設けられたモータ31と、このモータ31に回転可能に設けられ自然塗料82を撹拌する撹拌羽根32と、を備えている。なお、実施例では、撹拌羽根32の形状をプロペラ型としたが、これに限定されず、自然塗料82を撹拌できれば形状は問わない。また、実施例では容器20の窪みに撹拌羽根32を収納したが、容器20に窪みを形成しなくてもよく、さらには容器20の内壁に撹拌を補助するいわゆる邪魔板を設けても差し支えない。
【0033】
次に高周波振動機構40について説明する。
高周波振動機構40は、自然塗料82に所定の周波数(高周波)で振動を与えるものであり、その振動する周波数は40KHz以上であればよいが、1THz(テラヘルツ)以上あればより好ましい。高周波振動機構40の振動する周波数を、1THz以上とする場合、高周波で振動する人工鉱石などを使用するとよい。振動周波数は40KHz以上に限定されず、一般的に市販されている高周波振動装置の振動周波数であってもよい。
【0034】
次に塗装機構50について説明する。
塗装機構50は、容器20内に配置され自然塗料82を吸い込む吸い込み口51と、この吸い込み口51に接続され自然塗料82を導く配管52と、この配管52に設けられ自然塗料82を吸い上げて送り出すポンプ53と、配管52に設けられ箸立て治具12の竹箸本体81に上から自然塗料82をかけ流して塗布するシャワーヘッド54と、を備えている。
【0035】
次に乾燥室60について説明する。
乾燥室60は、容器20に隣接して設けられており、その上部に設けられ上方から下方に向けて温度調整された風を送風する上部送風機61と、乾燥室60の室内に設けられ熱を発するヒーター62と、を備えている。なお、実施例では、上部送風機61は温度調整された風を送付するものとしたが、これに限定されず、室内の空気をそのまま送風してもよく、さらには温度だけでなく湿度を調整した風を送風するものとしてもよい。
【0036】
次に移動機構70について説明する。
図1図4図6に示されるように、移動機構70は、容器20の上方に設けられた滑車部71と、この滑車部71に吊るされ昇降するワイヤー状の昇降部72と、この昇降部72の下端に設けられ箸立て治具12を引っかけるフック部73と、容器12に横方向に掛け渡されるように設けられたレール74と、このレール74に移動可能に設けられた自走する走行装置75と、この走行装置75にピボットヒンジ76を介して揺動可能に吊り下げられたリンク77と、このリンク77にピボットヒンジ76を介して揺動可能に設けられた枠状の支持部78と、この支持部78の内側に内下りに傾斜して設けられ箸立て治具12をガイドする傾斜ガイド78aと、支持部78の底の略全面に開口するように形成された開口部78bと、この開口部78bに設けられ自然塗料82を通過させる底網79と、を備えている。
【0037】
次に自然塗料抗菌竹染箸80の塗布方法をフロー図に基づいて説明する。
図3に示されるように、自然塗料抗菌竹染箸80の塗装方法は、竹箸本体81に天然素材を原料とした自然塗料82を塗布する方法であり、竹箸本体81の長手方向が上下方向となるように竹箸本体81を箸立て治具12にセットする竹箸セット工程(STEP1、図ではSTEPをSと記す)と、移動機構70で竹箸本体81セットした箸立て治具12を支持部70に移動させる移動工程(STEP2)と、撹拌機構30で自然塗料82を容器20内で撹拌する撹拌工程(STEP3)と、高周波振動機構40により自然塗料82に高周波で振動を与える高周波振動工程(STEP4)と、を備えている。
【0038】
さらに、自然塗料抗菌竹染箸80の塗装方法は、塗布機構50で箸立て治具12にセットした竹箸本体81に上方から下方に向けて自然塗料82をかけ流して塗布する塗布工程(STEP5)と、移動機構70で自然塗料82が塗布された竹箸本体81及び箸立て治具12を支持部70ごと移動させる移動工程(STEP6)と、竹箸本体82及び箸立て治具12等に塗布された余分な自然塗料82を切って落とす余分塗料落とし工程(STEP7)と、乾燥室60で自然塗料82が塗布された竹箸本体81を乾燥させて自然塗料抗菌竹染箸80を得る乾燥工程(STEP8)と、移動機構70で乾燥した自然塗料抗菌竹染箸80を支持部70ごと移動させ箸立て治具12を取り出す移動工程(STEP9)と、を備えている。
【0039】
次に各工程を図面に基づいて説明する。
図4(A)に示されるように、竹箸セット工程では、箸立て治具12の本体部13に形成された貫通孔14に、竹箸本体81を長手方向が上下方向となるように挿入してセットする。このとき取っ手16を倒しておくことで作業を容易に行うことができる。
【0040】
図4(B)に示されるように、移動工程では、移動機構70のフック部73を箸立て治具12の引っかけ部17に引っかけて取っ手16を矢印(1)のように吊り上げて移動させる。図4(C)に示されるように、移動機構70で箸立て治具12を矢印(2)のように支持部78に下降させる。このとき箸立て治具12の本体部13が、支持部78の傾斜ガイド78aでガイドされるので、箸立て治具12を所定位置に容易に移動させて位置決めし支持部78で保持することができる。
【0041】
図5(A)に示されるように、塗布工程では、竹箸本体81がセットされた箸立て治具12に、塗布機構50のシャワーヘッド54から自然塗料82をかけ流すように塗布する。塗布時間は30秒以上1分以下であると好ましい。なお、実施例では、塗布時間を30秒以上1分以下としたが、これに限定されず、下限を5秒以上、15秒以上、1分以上とするなど、また上限を10秒以下、45秒以下、2分以下、5分以下とするなど、適宜塗布時間の範囲を変更しても差し支えない。
【0042】
図5(B)に示されるように、余分塗料落とし工程は、支持部78を介して箸立て治具12を矢印(3)のように移動させて固定された液落とし棒21に当てて衝撃を加えることで竹箸本体81及び箸立て治具12等に塗布された余分な自然塗料82を矢印(4)のように切って落とす。なお、実施例では、液落とし棒21を2本設けて余分塗料落とし工程で2回液切りするものとしたが、これに限定されず、液落とし棒21の本数を変えることで液切りの回数を1回、3回、4回など適宜変更してもよい。
【0043】
図5(C)に示されるように、支持部78が液落とし棒21に当たった後は、移動機構70で支持部78を矢印(5)のように移動させる。このとき、リンク77が揺動して支持部78が液落とし棒21の上に乗り上がりそのまま移動する。このため、余分塗料落とし工程は数秒という短時間で終了する。
【0044】
図6(A)に示されるように、乾燥工程では、乾燥室60において上部送風機61で箸立て治具12にセットした竹箸本体81に上方から下方に向けて矢印(6)のように風を当てることで乾燥させる。これにより、乾燥させる風を利用して自然塗料82を竹箸本体81の繊維方向に沿って流しつつ浸透させ、自然塗料82をより定着させることができる。さらに、自然塗料抗菌竹染箸80の長手方向に沿った塗布を実現させて自然な仕上がりとすることができる。
【0045】
図7(B)に示されるように、移動工程では、移動機構70で乾燥室60から支持部78を移動させ、さらにフック部73を引っかけ部17に引っかけて矢印(7)のように移動させて、箸立て治具12を外す。さらに箸立て治具12から自然塗料抗菌竹染箸80を取り出すことで完成品を得る。
【0046】
次に仕上がり状態について説明する。
図7(A)は実施例の自然塗料抗菌竹染箸80であり、塗布された自然塗料82が竹箸本体81に浸透してしっかりと定着している。このため、塗布面にムラがなく、仕上がりが良好である。
【0047】
図7(B)は比較例1に示す自然塗料竹染箸100であり、単に自然塗料を刷毛で塗っただけ、または容器に貯留された自然塗料内に竹箸を入れただけ(いわゆるどぶづけ)のものである。比較例1の自然塗料竹箸100は、塗布ムラが多数あり、仕上がりが悪い。図7(C)は比較例2に示す自然塗料木箸101であり、単に自然塗料を刷毛で塗っただけ、または容器に貯留された自然塗料内に木箸を入れただけ(いわゆるどぶづけ)のものである。比較例2の自然塗料木箸101(一般的な木製の割箸)は、図7(B)に示す自然塗料竹箸100よりかは若干塗布ムラが少ないが、やはり塗布自体の定着が悪く塗布が薄くなるうえ塗布ムラも残り、仕上がりが悪い。
【0048】
以上に述べた自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法及びその塗布装置10の効果について説明する。
本発明の実施例では、自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法は、自然塗料にはシリカと酸化カルシウムとを含むものを使用し、竹箸セット工程で竹箸本体81の長手方向が上下方向となるように竹箸本体81を箸立て治具12にセットし、塗布工程で箸立て治具12にセットした竹箸本体81に上方から下方に向けて自然塗料82をかけ流して塗布する。シリカ(ケイ素、詳細には二酸化ケイ素、または二酸化ケイ素によって構成される物質)は、レジオネラ菌や大腸菌などの殺菌に優れた効果を発揮し、雑菌や臭いの原因菌の繁殖を抑え、消臭効果を有する。また、酸化カルシウムは、実施例では帆立貝殻を焼成した帆立貝殻焼成カルシウム使用するところ、水と反応すると水酸化カルシウムに変換してアルカリpHが12以上になり、細菌(ウィルス)が生存できない。このような性質を持つシリカと帆立貝殻焼成カルシウムとを含む自然塗料を使用するので、抗菌(抗ウィルス)、除菌、防臭、防カビにおいて優れた効果を有する。一般的に竹箸は繊維方向と長手方向を合わせている。このため、竹箸本体81の長手方向が上下方向に沿った状態で上方から下方に向けて自然塗料をかけ流し、重力も加わった勢いがついた自然塗料82を竹箸本体81の繊維方向に沿ってぶつけるように塗布するので、自然塗料82を竹箸本体81の繊維に沿って浸透させて定着させることができる。
【0049】
仮に、従来技術のように刷毛で自然塗料を竹箸本体に塗布すると、自然塗料を竹箸本体に広げるようにして塗ることができても、自然塗料に勢いがついた状態で竹箸本体の繊維方向に沿ってぶつけるように塗布することができないため、自然塗料があまり浸透せずに定着性が悪く、塗装ムラができやすい。また仮に、従来技術のように竹箸本体を自然塗料に入れると(どぶづけすると)、自然塗料が竹箸本体の表面に付着しても、自然塗料に勢いがついた状態で竹箸本体の繊維方向に沿ってぶつけるように塗布することができないため、自然塗料があまり浸透せずに定着性が悪く、塗装ムラができやすい。この点、本発明は、シリカと酸化カルシウムとを含む自然塗料82を竹箸本体81の繊維に沿って浸透させて定着させることができ、その結果、竹箸に自然塗料を塗布して塗装状態を良好に保つことができる簡易な自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法とすることができる。
【0050】
さらに、自然塗料82は、シリカと水酸化カルシウムとを配合した除菌剤を含み、アルカリpHが12以上になり、細菌(ウィルス)が生存できない状態となるので、より一層除菌効果を高めることができる。
【0051】
さらに、余分塗料落とし工程で竹箸本体81に塗布された余分な自然塗料82を切って落とすので、自然塗料82を塗布した仕上がりの状態を良好にすることができる。さらに、余分塗料落とし工程は、塗布工程から乾燥工程へ移動する途中で、箸立て治具12を移動させて固定された液落とし棒21に当てて衝撃を加えることで竹箸本体81に塗布された余分な自然塗料82を切って落とすので、液落とし棒21のみからなる簡易な設備で設備コストを低減することができる。さらに、次工程への箸立て治具12の移動を利用するだけであるので、余分塗料落とし工程のための余計な工数を取らずに全体として短時間で塗布から乾燥まで行うことができる。これにより、塗布工程の終わりから乾燥工程の開始までは10秒以内に移行する必要があるところ、余分塗料落とし工程のための余計な工数を取らないので、10秒以内の移行を実現し且つ余分な自然塗料82を切って落とし、仕上がりの状態をより良好にすることができる。
【0052】
さらに、撹拌工程で自然塗料82を撹拌するので、自然塗料82を均一にすることができる。さらに、高周波振動工程で高周波振動機構40により塗布する直前の自然塗料82に高周波で振動を与えることで、自然成分をナノレベルに粒子を小さくし、竹箸本体81への自然塗料82の浸透性を向上させ、短時間で(例えば30秒で)自然塗料82を竹箸本体81により一層定着させることができる。これにより大量生産と材料コスト及び生産コストの削減を可能とし、さらに使用後等に竹炭化処理を施すことで土壌改良剤として利用することもできる。このように大地からの恵みを燃やすことなく大地へ戻し、地球温暖化や異常気象の問題に着目した、地球循環型リサイクルに貢献することができる。
【0053】
さらに、乾燥工程は、箸立て治具にセットした竹箸本体81に上方から下方に向けて風を当てるので、乾燥させる風を利用して自然塗料82を竹箸本体81の繊維方向に沿って流しつつ浸透させ、自然塗料82をより定着させることができる。さらに、自然塗料抗菌竹染箸80の長手方向に沿った塗布を実現させて自然な仕上がりとすることができる。
【0054】
さらに、箸立て治具12、自然塗料を貯留する容器20、撹拌機構30、高周波振動機構40、塗布機構50、乾燥室60、移動機構70からなり、従来技術のようなアルデヒドガスの管理が不要な簡易な設備とすることができる。さらに、撹拌機構30と高周波振動機構40により均一で浸透し易い自然塗料82を、竹箸本体81の繊維方向(長手方向)に沿って重力も加わった勢いがついた状態でぶつけるように塗布するので、自然塗料82を竹箸本体81の繊維に沿って浸透させて定着させることができる。さらに、乾燥室60で竹箸本体81に上方から下方に向けて風を当て乾燥させるので、乾燥させる風を利用して自然塗料82を竹箸本体82の繊維方向に沿って流しつつ浸透させ、自然塗料82をより定着させることができる。その結果、竹箸に自然塗料82を塗布して塗装状態を良好に保つことができる簡易な自然塗料抗菌竹染箸の塗布装置10とすることができる。
【0055】
尚、実施例では、移動機構70の走行装置75を自走式としたが、これに限定されず、走行装置75を自走式ではなく、単なる滑車として滑車部71(昇降部72、フック部73も含む)自体をさらに上方に設置したレール上に横移動可能に設けて、滑車部71を移動させてフック部73で箸立て治具12、支持部78又は走行装置75などを引っかけて移動させるようにしてもよい。
【0056】
さらは、移動機構70のレール74を固定式にするのではなく、移動可能なワイヤー等にしてワイヤー自体を移動させることで支持部78を介して箸立て治具12を移動させてもよい。
【0057】
さらに、実施例では、箸立て治具12を支持部78に設置する形式としたが、これに限定されず、箸立て治具12自体をレール74に吊り下げて移動させる形式としてもよい。この場合、箸立て治具12の取っ手16に滑車を設け上記と同様にする形式や、取っ手16に自走する走行装置75に引っかける形式としてもよい。
【0058】
なお、実施例では、自然塗料の流速を速くして竹箸本体にぶつけるように塗布したが、これに限定されず自然塗料の流速を遅くして竹箸本体を自然塗料に浸すのと同等にしても差し支えない。
【0059】
さらに、自然塗料82は、シリカ及び酸化カルシウムに、自然植物から得られる成分である柿渋、荏胡麻油、桐油、米油、ひまし油、米ぬかロウ、カルナバロウ等の材料を含ませて融合したものとしたが、これに限定されず、自然塗料82がシリカ及び酸化カルシウムを含めば、その他の自然植物から得られる成分は上記のなかの一つ以上を含むもの、又は他の一般的な自然植物から得られる成分を含むものであれば差し支えない。
すなわち、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、竹箸本体に天然素材を原料とした自然塗料を塗布する自然塗料抗菌竹染箸の塗布技術に好適である。
【符号の説明】
【0061】
10… 自然塗料抗菌竹染箸の塗布装置
12… 箸立て治具
13… 本体付
14… 貫通孔
20… 容器
21… 液落とし棒
30… 撹拌機構
40… 高周波振動機構(人工鉱石)
50… 塗装機構
54… シャワーヘッド
60… 乾燥室
61… 上部送風機
70… 移動機構
71… 滑車部
72… 昇降部
73… フック部
74… レール
75… 走行装置
76… ピボットヒンジ
77… リンク
78… 支持部
79… 底網
80… 自然塗料抗菌竹染箸
81… 竹箸本体
82… 自然塗料

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-11-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
竹箸本体に天然素材を原料とした自然塗料を塗布する自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法であって、
前記自然塗料には、シリカと酸化カルシウムとを含むものを使用し、
前記竹箸本体の長手方向が上下方向となるように前記竹箸本体を箸立て治具にセットする竹箸セット工程と、
前記箸立て治具にセットした前記竹箸本体に上方から下方に向けて前記自然塗料をかけ流して塗布する塗布工程と、
前記自然塗料が塗布された前記竹箸本体を乾燥させて自然塗料抗菌竹染箸を得る乾燥工程と、
を備えていることを特徴とする自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法。
【請求項2】
請求項1記載の自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法であって、
前記自然塗料は、シリカと水酸化カルシウムとを配合した除菌剤を含むことを特徴とする自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法であって、
前記塗布工程の後に、前記竹箸本体に塗布された余分な前記自然塗料を切って落とす余分塗料落とし工程を備え、
前記余分塗料落とし工程は、前記箸立て治具を移動させて固定された液落とし棒に当てて衝撃を加えることで前記竹箸本体に塗布された余分な前記自然塗料を切って落とすことを特徴とする自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法。
【請求項4】
請求項1又は請求項2記載の自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法であって、
前記自然塗料を容器内で撹拌する撹拌工程と、
高周波振動機構により前記自然塗料に高周波で振動を与える高周波振動工程と、
を備えていることを特徴とする自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法。
【請求項5】
請求項1又は請求項2記載の自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法であって、
乾燥工程は、前記箸立て治具にセットした前記竹箸本体に上方から下方に向けて風を当てることを特徴とする自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法。
【請求項6】
竹箸本体に天然素材を原料とした自然塗料を塗布する自然塗料抗菌竹染箸の塗布装置であって、
前記竹箸本体の長手方向が上下方向となるように前記竹箸本体を支持する箸立て治具と、前記自然塗料を貯留する容器と、前記容器内に設けられ前記自然塗料を撹拌する撹拌機構と、前記容器内に設けられ前記自然塗料に高周波で振動を与える高周波振動機構と、前記容器に設けられ前記箸立て治具にセットした前記竹箸本体に上方から下方に向けて前記自然塗料をかけ流して塗布する塗布機構と、前記自然塗料が塗布された前記竹箸本体に上方から下方に向けて風を当て乾燥させて自然塗料抗菌竹染箸を得る乾燥室と、前記容器に設けられ前記箸立て治具を前記塗布機構から前記乾燥室まで移動させる移動機構と、を備えていることを特徴とする自然塗料抗菌竹染箸の塗布装置。
【請求項7】
天然素材を原料としたシリカと水酸化カルシウムとを配合した除菌剤を含む自然塗料を竹に塗布したことを特徴とする自然塗料抗菌竹染箸または自然塗料抗菌竹。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
竹箸本体に天然素材を原料とした自然塗料を塗布する自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法であって、
前記自然塗料は、キシレン、トルエン及びプラスチックの材料を含まず、二酸化ケイ素及び帆立貝殻を焼成した酸化カルシウムに水を加えて前記酸化カルシウムを水と反応させて融合したものであり、
前記自然塗料を容器内で撹拌する撹拌工程と、
前記竹箸本体の長手方向が上下方向となるように前記竹箸本体を箸立て治具にセットする竹箸セット工程と、
前記箸立て治具にセットした前記竹箸本体に上方から下方に向けて前記自然塗料をかけ流して塗布する塗布工程と、
前記自然塗料が塗布された前記竹箸本体を乾燥させて自然塗料抗菌竹染箸を得る乾燥工程と、
を備えていることを特徴とする自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法。
【請求項2】
請求項1記載の自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法であって、
前記塗布工程の後に、前記竹箸本体に塗布された余分な前記自然塗料を切って落とす余分塗料落とし工程を備え、
前記余分塗料落とし工程は、前記箸立て治具を移動させて固定された液落とし棒に当てて衝撃を加えることで前記竹箸本体に塗布された余分な前記自然塗料を切って落とすことを特徴とする自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法であって、
高周波振動機構により前記自然塗料に高周波で振動を与える高周波振動工程と、
を備えていることを特徴とする自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法。
【請求項4】
請求項1又は請求項2記載の自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法であって、
乾燥工程は、前記箸立て治具にセットした前記竹箸本体に上方から下方に向けて風を当てることを特徴とする自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法。
【請求項5】
竹箸本体に天然素材を原料とした自然塗料を塗布する自然塗料抗菌竹染箸の塗布装置であって、
前記自然塗料は、キシレン、トルエン及びプラスチックの材料を含まず、二酸化ケイ素及び帆立貝殻を焼成した酸化カルシウムに水を加えて前記酸化カルシウムを水と反応させて融合したものであり、
前記竹箸本体の長手方向が上下方向となるように前記竹箸本体を支持する箸立て治具と、前記自然塗料を貯留する容器と、前記容器内に設けられ前記自然塗料を撹拌する撹拌機構と、前記容器内に設けられ前記自然塗料に高周波で振動を与える高周波振動機構と、前記容器に設けられ前記箸立て治具にセットした前記竹箸本体に上方から下方に向けて前記自然塗料をかけ流して塗布する塗布機構と、前記自然塗料が塗布された前記竹箸本体に上方から下方に向けて風を当て乾燥させて自然塗料抗菌竹染箸を得る乾燥室と、前記容器に設けられ前記箸立て治具を前記塗布機構から前記乾燥室まで移動させる移動機構と、を備えていることを特徴とする自然塗料抗菌竹染箸の塗布装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明の実施例によれば、竹箸本体に天然素材を原料とした自然塗料を塗布する自然塗料抗菌竹染箸の塗布方法であって、
前記自然塗料は、キシレン、トルエン及びプラスチックの材料を含まず、二酸化ケイ素及び帆立貝殻を焼成した酸化カルシウムに水を加えて前記酸化カルシウムを水と反応させて融合したものであり、
前記自然塗料を容器内で撹拌する撹拌工程と、
前記竹箸本体の長手方向が上下方向となるように前記竹箸本体を箸立て治具にセットする竹箸セット工程と、
前記箸立て治具にセットした前記竹箸本体に上方から下方に向けて前記自然塗料をかけ流して塗布する塗布工程と、
前記自然塗料が塗布された前記竹箸本体を乾燥させて自然塗料抗菌竹染箸を得る乾燥工程と、
を備えていることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
好ましくは、竹箸本体に天然素材を原料とした自然塗料を塗布する自然塗料抗菌竹染箸の塗布装置であって、
前記自然塗料は、キシレン、トルエン及びプラスチックの材料を含まず、二酸化ケイ素及び帆立貝殻を焼成した酸化カルシウムに水を加えて前記酸化カルシウムを水と反応させて融合したものであり、
前記竹箸本体の長手方向が上下方向となるように前記竹箸本体を支持する箸立て治具と、前記自然塗料を貯留する容器と、前記容器内に設けられ前記自然塗料を撹拌する撹拌機構と、前記容器内に設けられ前記自然塗料に高周波で振動を与える高周波振動機構と、前記容器に設けられ前記箸立て治具にセットした前記竹箸本体に上方から下方に向けて前記自然塗料をかけ流して塗布する塗布機構と、前記自然塗料が塗布された前記竹箸本体に上方から下方に向けて風を当て乾燥させて自然塗料抗菌竹染箸を得る乾燥室と、前記容器に設けられ前記箸立て治具を前記塗布機構から前記乾燥室まで移動させる移動機構と、を備えている。